読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

※弊サイト上の商品紹介にはプロモーションが使用されています。

男女バディで挑む!相棒ライトノベル22選

前々から唯一無二の男女バディものの企画はいつかやりたいと思っていたのですが、先日スニーカー文庫「1/2―デュアル― 死にすら値しない紅」を読んで今このタイミングしかないと気持ちに再び火がつきました(苦笑)男女のコンビ自体はもともとラノベの王道テーマで、定番の狼と香辛料など古くからあるジャンルですが、今回はその中でも比較的最近の作品を中心に、いかにもバディという感じの22作品を勢いで選んで作った企画です。どれも個人的に読んだことがあるオススメの作品ばかりです(とある飛空士への追憶は10年以上前の作品ですが自分の好みであえて入れましたw)。気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。

 

1.1/2―デュアル― 死にすら値しない紅 (角川スニーカー文庫)

殺されヒトとしての一部分を失い、引き替えに特殊能力を得て生き返る偽生者。偽生者を殺し直すために生きる限夏が、不老不死な偽生者の少女・伴を相棒とする近未来SF。ぎこちない距離感から始まった二人が挑む、偽生者による国家統一を掲げたテロ事件発生と、首謀者と伴を巡る凄惨な因縁。そんな彼女に限夏がいかにして並び立つ存在になりうるのかが問われる展開でしたけど、絶妙のタイミングで複雑な過去や葛藤も絡めつつ、絶望する彼女が直面する最悪の状況にも最後まで諦めずに挑み、見事に伴の相棒たることを証明してみせた結末は見事でした。

2.とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

 

空に生き甲斐を見出す傭兵飛空士シャルルが、次期皇妃ファナを送り届けるため、単機敵制空権内を翔破することを命じられる物語。秘密作戦のはずなのに皇子の迂闊な連絡で敵に作戦が筒抜けという状況下、二人が協力して切り抜けていくうちに、命じられたことに従うだけだったファナも本来の自分を取り戻し、お互い想いを育んでいきながら、でも叶わないと知っているその思いに葛藤する展開は切なくて美しく、何度も心を揺さぶられました。もし読んだことがなければぜひ読んでみて欲しい一冊。

3.天球駆けるスプートニク 未到の空往く運送屋、ネジの外れた銀髪衛精 (Novel 0)

西暦二〇三〇年、突如上空に現れた正体不明の飛行物体「衛精」の無差別攻撃で人類が空を奪われた世界。低空飛行に特化させた飛行艇ULFを駆る運び屋タクロウと銀髪犬耳少女チェルシーの物語。チームを組まない訳ありげな青年タクロウと駄犬扱いの相棒チェルシー。彼らに託した想いのため危険と最速の限界を乗り越えようとする二人の物語は、明らかになってゆく彼らの過去や事情によってガラリと印象も変わりますが、メリハリの効いた展開やギリギリを攻め続ける飛行描写、二人を中心とする人間模様がとても良くてぜひ続刊を期待したい作品ですね。

4.飛べない蝶と空の鯱  (ガガガ文庫)

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

 

霧の上に浮かぶ島々に人々が住んでいる世界で、空を飛ぶ武装郵便屋を営む少年ウィルと、その相棒ジェシカのお話。飛ぶことが下手なウィルと、風を読むことが得意でも、過去の事故で高所恐怖症になってしまったジェシカは、一人では飛べなくても二人でなら飛べる。不器用なジェシカの思い、全てを知った上でそれを支えるウィル。こういう足りない者同士が力を合わせてみたいな感じがいいですね。封書を通じて物語が紡がれ、二人の絆もまた育まれてゆく展開はとても素敵なのでぜひ読んでみて欲しいシリーズです。全6巻。

5.白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

 

人々が陸地のほとんどを失い、いくつかの巨大な船に都市国家を作ってわずかな資源を争う世界。船国を行き来して荷物を運ぶスワローの少年・シエルが、無人島に流れ着いた謎の少女・ステラと巡り合うボーイミーツガール。空を飛ぶことにしか生きる意味を見出だせないシエル。理由を明かさないまま自分を荷物として運んで欲しいと依頼するステラ。その飛行は息苦しかった彼らにとって新鮮だけれど危険の連続でもあって、たびたび衝突しすれ違った彼らが力を合わせて乗り越えようと挑んだそのとても爽やかな結末にはぐっと来るものがありました。現在2巻まで刊行。

6.空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

空飛ぶ卵の右舷砲 (ガガガ文庫)

 

人造豊穣神の大崩壊で跋扈するようになった異形の怪物により人類が地上から追放された世界。小型ヘリ<静かなる女王号>を操り樹竜を狩るモズと相棒ヤブサメが、その腕を買われ旧都市新宿での大規模探索作戦に参加する近未来ファンタジー。豪快なモズと彼女に振り回されながちなヤブサメのコンビを中心に、立場の違う空団の面々と時にはいがみ合いながらも、強大な敵を相手にギリギリの戦いを繰り広げてゆく中で認め合うようになってゆく熱い展開に、その物語を締めくくる意外なオチもまた効いていました。現在2巻まで刊行。

7.コップクラフト (ガガガ文庫)

コップクラフト (ガガガ文庫)

コップクラフト (ガガガ文庫)

 

ラノベらしからぬハードボイルドっぽい表紙で、以前から気になっていたシリーズ。アメリカドラマのポリスアクションっぽいテイストと、異世界との接続というファンタジーが交じり合った、一見ミスマッチに思える世界が、思ったほど違和感なく溶け込んでいました。男臭いけどお人好しな刑事と、外界から来た世間知らずの騎士身分の少女が、最悪な出会いからなりゆきでコンビを組むことになり、いがみ合いながらも相棒になっていく話は面白かったです。村田蓮爾氏のイラストも良かったですね。あとがきもまた思わせぶりな遊び心があって楽しめますね。現在6巻まで刊行。

8.七日の喰い神 (ガガガ文庫)

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

七日の喰い神 (ガガガ文庫)

 

人間に害を為す禍々しい神々マガツガミと祈祷師が戦う世界。元祈祷師の古川七日と喰い神の少女ラティメリアが、依頼を受けて神々を葬っていくダークファンタジー。目的のため彼女の力を必要とする七日と、彼が死んだら喰らう約束をするラティメリア。相棒と呼ぶには微妙な関係の二人ですが、その繊細な距離感の描写がとてもいいですね。世界観や登場人物たちも魅力的で、特に可愛らしさと残酷さを兼ね備えたラティメリアがよく動き、素晴らしいイラストともマッチして存在感がありました。明らかになってゆく二人と宿敵の因縁も楽しみなシリーズです。全4巻。

9.不戦無敵の影殺師 (ガガガ文庫)

「異能力制限法」で異能力の無断使用が厳禁される世界に暮らす「暗殺異能」に特化した冬川朱雀と相棒の少女小手毬の物語。事務所に所属しているもののテレビに出演して映えるような能力でもなく、密かに引き受けた裏仕事も失敗し、普通に生活しようとしたらむしろ小手毬がバイトで密かに高給を稼いだりとなかなか上手くいかず、ダメダメな生活一直線になりかけていましたが、そんな流れが続く中でも最後のチャンスを逃さずに活かしきった展開はいいですね。葛藤したり愚痴の多い朱雀と、それを支える小手毬の二人の会話がじわじわ来る感じです。全7巻。

10.東京侵域:クローズドエデン (角川スニーカー文庫)

厄襲に巻き込まれ幼馴染を失った高校生・秋月蓮次と、弟を失ったアイドルの弓家叶方。そんな二人がコンビを組んで、行方不明の大切な人を取り戻すべく人類の敵EOMが跋扈する禁止区域・東京に侵入を繰り返す物語。政府機関「救務庁」とも相容れないギリギリの状況の中で抱き続けてきた、取り戻したい大切な人を渇望する気持ちと、共に戦ってきた二人の絆。そんな絆を大きく揺るがす幼馴染にそっくりな少女。様々な思惑が交錯する緊迫感のある展開はテンポも良く、読むのもあっという間でした。現在3巻まで刊行。

11.ゼロから始める魔法の書 (電撃文庫)

自分が書いた魔法の書を奪われたゼロが、半獣半人の傭兵と一緒に取り戻すため旅をする物語。魔法を生み出せる「ゼロの書」を作り出したゼロと、現実主義だけれど仲間を見捨てられない情に厚い傭兵。人との関わりが少なく情に乏しいゼロがそんな傭兵を気に入っていく過程はややあっさりめでしたが、共に旅するうちに交流を積み重ねて変わってゆく関係があって、世界観や構成もしっかりと手堅く作られていて、物語として完成度も高いですね。じっくり書いている分文章はやや重いですが、広がっていくその世界を楽しめるシリーズです。全11巻。

12.白銀のソードブレイカー (電撃文庫)

聖剣で世界を護る7人の剣聖を殺そうとする少女エリザと、家族を殺した仇を探している傭兵レベンスの物語。バトル多めで、剣聖殺しエリザの剣技の拙さはちょっと気になりましたが、戦っている時と平時のまだ幼い感じのギャップは可愛くて、またレベンスとの組み合わせもなかなか良かったと感じました。戦ったりエリザとの話の中で剣聖と剣魔の謎も徐々に明らかになっていきますが、一方でまだエリザやその剣にも秘密があったりで、二人の道中を楽しめるシリーズです。全4巻。

13.D9―聖櫃の悪魔操者― (電撃文庫)

D9―聖櫃の悪魔操者― (電撃文庫)

D9―聖櫃の悪魔操者― (電撃文庫)

 

悪魔召喚して故郷を滅ぼした兄を倒すため悪魔メルヴィーユと契約した少年が、悪魔憑きとなって二人で兄を探す旅を続けるお話。クールで素っ気ないけど優しいソーマは、強力な悪魔も打ち破る力を持っていますが、それもメルヴィーユと二人力を合わせてこそ力を発揮できる関係。そんな二人の連携が問われるところが、お話の肝なのかなと思いました。ソーマ大好きな可愛い悪魔メルヴィーユも、作中に出てくる悪魔とは一線を画する存在で、話の謎にも深く関わっている模様。テンポ良く進むストーリーも好印象で楽しめます。全3巻。

14.この大陸で、フィジカは悪い薬師だった (電撃文庫)

この大陸で、フィジカは悪い薬師だった (電撃文庫)

この大陸で、フィジカは悪い薬師だった (電撃文庫)

 

エイル教の新米角守となったアッシュが、教典に記された禁忌を冒し『害獣』を治療する異端者の薬師フィジカに命を救われ、二人で共に旅するファンタジー。経験不足もあって何事も教典に書いてあることを前提に善悪を判断しがちな頭の堅いアッシュと、そんな彼に呆れながら出会った害獣とされるものたちにきちんと向き合って治療し、もうひとつの真実を突きつけてゆくフィジカ。教えと現実の乖離にどうあるべきか苦悩するアッシュが、危機に陥ったフィジカを救い信頼関係を育んでゆく過程はとても良かったです。全2巻。

15.ガーリー・エアフォース (電撃文庫)

突如出現した謎の飛翔体ザイに、母親と第二の故郷を奪われた少年鳴谷慧が、彼を救ったドーターを操る少女グリペンと出会うボーイミーツガールな物語。ザイに対抗する兵器として基地でも周囲から距離を置かれ、挙動が不安定で廃棄予定も囁かれているグリペン。そんな彼女が安定する存在として認識される慧が、その過酷な生い立ちを知って葛藤しながらも彼女を支えようと決意するストーリーは良かったと思いました。兵器とされるグリペンらも可愛くて、展開も設定もポイントを押さえた説明で複雑になり過ぎずわかりやすかったです。現在10巻まで刊行。

16.夜桜ヴァンパネルラ (電撃文庫)

吸血鬼が科学的に認められた近未来。人々を吸血種から護る『捜査第九課』に所属する真祖の少女・櫻夜倫子と、何も知らされないまま配属された新人・桐崎紅朗がコンビを組んで吸血鬼に挑む物語。業を背負って孤独に戦い続けてきた倫子と、辛い過去がありながら底抜けにバカで前向きな紅朗。どうしても凄惨なバトルに繋がりがちな展開で、著者さんらしい二人のボケツッコミが癒やしになっていましたね。敵味方の多くに忌避される倫子の終わりの見えない戦いがどこに向かうのか、紅朗の存在が重要なキーマンになっていきそうな予感のシリーズです。現在2巻まで刊行。

17.ラストラウンド・アーサーズ (ファンタジア文庫)

来るべき世界危機を救うため真なるアーサー王を決める「アーサー王継承戦」完璧チート高校生・真神凜太朗が、暇つぶしのためあえて最弱と呼ばれる残念少女・瑠奈に協力する現代異能ファンタジー。金のために聖剣を売り払ってしまったり、召喚した「騎士」ケイ卿にコスプレさせて利用する瑠奈。あざとい生徒会長選の票稼ぎやデートさせられたり彼女のわがままに振り回されつつも、垣間見えるその真っ直ぐな想いに王の資質を見出して、曲者ぞろいの強敵を相手に共に戦い絆を育んでいく王道展開は面白かったです。現在2巻まで刊行。

18.デボネア・リアル・エステート  (GA文庫)

ダークエルフの呪いで少年の姿になってしまい餓死寸前な伝説の傭兵・ルーウィンが、人使いが荒く金に汚いハイ=エルフ・デボネアの下僕募集に応じ、不動産屋の仕事を手伝うことになる物語。見た目で伝説の傭兵と誰にも信じてもらえないルーウィン、唯我独尊で守銭奴なのに、どこかちぐはぐな行動を見せるデボネアの目的。ツンデレデボネアとルーウィンのコンビだけでなく、無邪気な魔法人形ココや侠気のヴェローニカといった魅力的なキャラたちを上手く配した勢いのあるストーリー展開は、それでいて意外と筋立てもしっかりしていて好感です。全3巻。

19.幻葬神話のドレッドノート (GA文庫)

幻葬神話のドレッドノート (GA文庫)

幻葬神話のドレッドノート (GA文庫)

 

一族を神話級幻獣に滅ぼされ、全ての神話級幻獣を滅ぼす方法を探るために養成校に入学した御霊志雄とその嫁・日輪の物語。入学式早々新婚宣言したり惚気けたりとバカップル全開の二人でしたが、一方で二人は血の滲むような特訓で突出した存在でもあり、志雄は一族の仇を討つため、傍らに立つことを選んだ日輪も一族のしがらみを乗り越えてきていたりで、イチャイチャだけで終わらずに適度な緊張感もあるバランス感覚がよかったです。因縁の再会を果たしたバトル面も強敵相手に二人で力を合わせて討滅するならではの展開はグッと来るものがあるシリーズです。2巻まで刊行。

20.黒鋼の魔紋修復士 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

 

神巫になったばかりの少女・ヴァレリアと、実力はあるものの性格に難のある紋章官ディミタール。肌に刻まれた魔紋を委ねる恥ずかしさや、プライドが高いのに自分の世間知らずを痛感させられるヴァレリアは、容赦無いディミタールの物言いに当然の如く反発するわけなんですが、そんな分かりやすい性格の彼女に現実を突きつけながらも囚われた彼女を救い出し、その思うところはよく理解していたようですね。反発することの多かった二人が、どう成長し絆を育んでいくのか楽しみなシリーズです。全13巻。

21.竜と正義 人魔調停局 捜査File.01 (NOVEL0)

竜と正義 人魔調停局 捜査File.01 (NOVEL0)

竜と正義 人魔調停局 捜査File.01 (NOVEL0)

 

人間と魔物が共存する現代。人魔社会の平和を維持する調停局の実働官ライルが、帰属するために魔物の里からやってきた竜族の姫を仲間とともに陰謀から守り抜こうと奔走する物語。説明が全体的に冗長で、文章のテンポがあまり良くないのは気になりましたけど、それ以上に現実の世界にファンタジーをうまく同居させつつ、護衛しながらも姫や仲間とも楽しみつつな日常パートの部分と、襲われての戦闘パートのメリハリは上手いですね。今後の展開を期待したいシリーズです。現在2巻まで刊行。

22.黒獅子城奇譚 (ダッシュエックス文庫)

黒獅子城奇譚 (ダッシュエックス文庫)

黒獅子城奇譚 (ダッシュエックス文庫)

 

旅の途中で雷雨に襲われ、黒獅子城と呼ばれる古い砦に逃げ込んだ放浪の騎士グレンと神官を装う魔術師のリュー。そこで同じく雨宿りする先客たちと出会い、陰謀に巻き込まれてゆく物語。視察を終えた騎士たち三人と義眼の老騎士、商人一家、吟遊詩人、町娘との一夜限りだったはずの出会い。老騎士殺害から続く惨劇と、不穏な雰囲気の中で明らかになってゆく複雑に絡み合ったそれぞれの関係。大人な関係にあるワケありな二人が事件を解決に導いてゆく展開は著者さんの新境地ですかね。目的があって旅を続ける二人のその後をまた読んでみたい作品です。

 

以上です。読んだ本の中から選んだこともあって、当然全部カバーできているわけではないので、こんな作品もあるよ的な他の方の企画も是非期待しています(ぇ