読書する日々と備忘録

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7月に読んだ本 #読書メーターより

7月はコミックと恒例の夏イチ文庫カウントを除くと56冊読了。暑さで体調がいまいちな日が続いていて、1日2冊ペースが崩れ続けていますが、書籍の方はそこそこおもしろい本が続いて満足度も高かったのかなと。休日が多くなると読めるペースもガクッと落ちるので、中旬に夏休みがある来月は読む冊数減りそうですね~。まあ終わってみたらそれなりに読んでるかもしれませんが(苦笑)

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:103
読んだページ数:25240
ナイス数:6379


夏は終わらない 雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)
夏は終わらない 雲は湧き、光あふれて (集英社オレンジ文庫)感想
エース月谷と主将笛吹のもと確実に実力をつけていった弱小野球部の三ツ木高校。そんな中で捕手の鈴江が調子を崩してゆく一方、ライバル東明学園の木暮も思わぬ乱調でエースナンバー剥奪の危機に陥る第三弾。月谷たち三ツ木高校を中心に最後の夏に向けての一年を追った今回は、チームとして成長したがゆえにぶつかる壁とそれぞれの挫折や葛藤が描かれていて、周囲の助けを得ながらそれを乗り越えてぶつかってゆく展開がとても良かったですね。一区切りついてそれぞれの進路で野球への距離感も変わりそうですけど、彼らのその後も読んでみたいですね。
読了日:07月31日 著者:須賀 しのぶ
ゆきうさぎのお品書き 親子のための鯛茶漬け (集英社オレンジ文庫)ゆきうさぎのお品書き 親子のための鯛茶漬け (集英社オレンジ文庫)感想
碧の友人・玲沙の母親の再婚相手の関する相談だったり、蓮やミケにそれぞれ訪れる人生の決断、そして変わってゆく状況の中でついに変化の兆しが訪れる第四弾。美味しそうな描写は相変わらずで、ゆきうさぎに関わる人たちがそれぞれ転機を迎えてゆく中、ようやくそこにたどり着いたか感がありましたが、知らない人には若女将と何度も間違えられるくらい身近になっていて、自分好みに肥え太らせようとしているとか傍らから見たらバレバレなのに、脅かす存在が現れるまで自覚ないとかさすがにちょっと鈍すぎですよね(苦笑)これは次巻が楽しみですよ。
読了日:07月31日 著者:小湊 悠貴
最強魔法師の隠遁計画 3 (HJ文庫)最強魔法師の隠遁計画 3 (HJ文庫)感想
アリスの過去に関わる狂気の科学者・グドマが自ら作り出した傀儡ドールズたちを使い学園を襲撃。アリスにとって姉のような存在・メリッサの出現でアリスが攫われ、アルスたちが救出に向かう第三弾。優しさからメリッサの存在に振り回されるアリス。彼女たちと関わってきたアルスやロキにも心境の変化があって、それがアリスの過去を乗り越える後押しとなりましたかね。ヒロインが増えてもなかなかそういう雰囲気にならなかったアルスに意外な形から参戦宣言があって、その流れが今後も増えそうな予感も。続巻ではもう少しその辺も動き欲しいですね。
読了日:07月30日 著者:イズシロ
この素晴らしい世界に祝福を!12 女騎士のララバイ (角川スニーカー文庫)この素晴らしい世界に祝福を!12 女騎士のララバイ (角川スニーカー文庫)感想
一同が騒然としたダクネスをママと呼ぶ謎の少女の出現。一方、ダクネスは貴族の仕事に精を出すべく高額所得冒険者への税金取り立てを開始する第十二弾。毎回思わせぶりにカズマを困惑させているだけのめぐみんが今回提示した仲間以上恋人未満なる関係もあれですが、今回は半強制的にカズマと一緒にいる関係が構築されて開き直ったダクネスが大奮闘でしたね。告白されたカズマの対応がクズマさんじゃなくて驚かされましたが、あれこれ言いながら諦めが悪いダクネスの言動もあって結局グダグダに(苦笑)でもそんな感じがまたこの物語らしいですね。 
読了日:07月29日 著者:暁 なつめ
桜色のレプリカ 2 (HJ文庫)桜色のレプリカ 2 (HJ文庫)感想
理事長の理不尽な依頼に嫌気が差しつつあったカザネ。そんな彼に意外なヒロインが校内の桜の木の下で衝撃の告白を突きつけ、ハートのど真ん中を射抜く第二弾。彼女とのやりとりの中で戸惑いながら少しずつ変わってゆくカザネの心境の変化と、すっかり変容してしまった関係を諦めきれない彼女・メグミの存在。一見ベタなはずなのに皮肉にしか思えない構図が、事態が深刻化してゆく状況の中でああいう展開に繋がるとは思いませんでしたね(苦笑)ガチバトルでの決着と学校からの卒業というある意味ラブコメらしい結末はなかなか深いものがありました。
読了日:07月29日 著者:翅田大介
桜色のレプリカ 1 (HJ文庫)桜色のレプリカ 1 (HJ文庫)感想
「学校」の文学教師を務めている六方カザネが、ある日理事長の二階堂イツキに呼び出されて奇妙な依頼を受ける物語。同じ教師を務める彼女・メグミがいて、淫乱ピンクの三十刈アイラ、アニメ的お約束好きの四十田ユキ、委員長タイプの五十嵐ヒビキや、無口で小説好きの百合原ハルカといった女生徒たちに振り回される日々。けれどそれも緊急時には全く別の一面があって、急展開の中で明かされてゆく事実はこの物語そのものの意味合いもガラリと変えてしまいましたけど、そこからさらに驚愕の事実を突きつけられるカザネという構図には驚かされました。
読了日:07月28日 著者:翅田大介
そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1 (オーバーラップ文庫)そして黄昏の終末世界<トワイライト> 1 (オーバーラップ文庫)感想
予言された終末に抗うため人知れず「刻の黄昏」と魔人「ペイガン」と戦ってきた世界。密かに復讐のために生きる高校生・東雲冬夜が、終末と戦う同級生の少女・如月御姫と出会う物語。厨二全開な世界観でしたけど、主人公に突出した力があってもそれを発揮しきれるわけでもないバトルは緊張感があって、一方で基本的にキリッとした人を寄せ付けないイメージなのに、冬夜の前ではなぜかポンコツな一面も見せてしまう御姫とのやりとりはなかなか楽しかったです。深刻な秘密を抱えることになった彼女と密かな共犯関係になった二人の今後が楽しみですね。
読了日:07月28日 著者:樋辻臥命
二周目の僕は君と恋をする (ファミ通文庫)二周目の僕は君と恋をする (ファミ通文庫)感想
高三の夏に突如消失した片想いの相手・茉莉。辛い現実を受け止められないまま二十歳の誕生日を迎えた崇希が、消失を回避すべく二人が出会った二年前の春からやり直すタイムリープ青春小説。近くで眺めるだけだった過去を反省し、積極的に茉莉と距離を縮め真相に近づこうとする崇希。幸せな日々に時折訪れる不安な兆候の一方で、明らかになってゆく意外な過去。不安に揺れる二人の初々しい距離感はもどかしくて、容易には覆らない未来に難しさも感じましたけど、再会して絆を育んでいった今の二人ならきっとそれを乗り越えてくれると信じたいですね。
読了日:07月27日 著者:瑞智士記
黄泉がえりの町で、君と (角川ホラー文庫)黄泉がえりの町で、君と (角川ホラー文庫)感想
寂れてゆく一方の田舎町。父が死んで受け継いだ葬儀社で死者が甦る事件が続き、若社長遼一が風評被害を振り払うため調査を始める青春ホラー。高校時代の親友の自殺を引きずったまま、父の死により望まぬ形で葬儀社を継いだ遼一。霊が見える秘密を抱え、そんな兄を厭うようになっていた佐紀が出会った少年・颯太。最初何事にも腰が引けていた遼一が黄泉がえりを巡る町の過去や自らの想いに向き合い、佐紀もまた颯太との出会いかららしさを取り戻してゆくことで、様々な停滞が打破されて動き出す予感と爽やかな読後感に繋がってゆく素敵な物語でした。
読了日:07月27日 著者:雪富 千晶紀
(P[わ]2-1)文学少年と書を喰う少女 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[わ]2-1)文学少年と書を喰う少女 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
明・正徳帝の時代。泰山にあった禄命簿『玉策』が持ち出され不思議な力を持つ少女となり、本と物語が何より好きな少年・呉承恩とともに過ごす彼女がその力目当てで様々な人々に狙われる中華ファンタジー。博覧強記な書痴の少年・呉承恩と出会った本を食べる生意気な少女・玉策。実在した登場人物も織り交ぜつつ描かれる二人が運命的な出会いを果たして、共に笑い時には喧嘩もして絆を育んでいったその短かくも濃密な冒険の日々はとても印象的で、常坤や白華といった脇役もよく効いていて良かったと思いました。またこういう物語を読んでみたいです。
読了日:07月26日 著者:渡辺 仙州
装幀室のおしごと。2 ~本の表情つくりませんか?~ (メディアワークス文庫)装幀室のおしごと。2 ~本の表情つくりませんか?~ (メディアワークス文庫)感想
幼い日、演奏で自分を救ってくれた恩人に直接お礼が言いたい盲目のヴァイオリニスト、人気小説家の装画を描く新人イラストレーター発掘コンペの審査員に、本好きの装幀家・わらべと売上至上主義で巻島のコンビが挑む第二弾。前回いろいろ衝突したり意外な事実が判明したのが良かったのか、わらべの猪突猛進ぶりは相変わらずでしたけど(苦笑)、彼を尊重するようになったり、巻島がうまく彼女の意図を汲み取っていい感じにまとめたりコンビがいい方向に作用してきましたね。今回の装幀絡みの話も興味深くて、続巻あるようならまた読んでみたいです。
読了日:07月26日 著者:範乃 秋晴
クロニクル・レギオン 7 (ダッシュエックス文庫)クロニクル・レギオン 7 (ダッシュエックス文庫)感想
女皇照姫と平将門の反乱を乗り切り皇都を押さえた覇者となった征継と志緒理。衛青や大英帝国とも協力して陣営を整えた彼らがついにカエサルとの決戦を迎える第七弾。強敵カエサルを相手にする方策と、そんな状況でも繰り広げられる征継を巡る女性陣の駆け引き。カエサルがここで繰り出した切り札がなかなか面白かったですけど、オチがなるほどなと思った結末。何より注目していた征継を巡る女の争いの決着は、初音も頑張っていいポジション取ったけれど、したたかな志緒理と立夏が一枚上手でしたかね(苦笑)いい感じに楽しめましたし次回作も期待。
読了日:07月25日 著者:丈月 城
たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語2 (GA文庫)たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語2 (GA文庫)感想
ようやく士官候補生となり、魔術大会に向け特訓に励むロイド。しかし彼がゴミ拾いと騙されうっかり伝説の聖剣を抜いていたことで思わぬ展開を迎える第二弾。一般的基準から見たら規格外のロイドの力、勘違いが続いて思わぬ展開に向かうところは相変わらずで、女傭兵のリホの過去と因縁も絡んで始まる魔術大会。彼女の意外な一面が垣間見えてつつ、セレンヤンデレっぷりも冴え渡っていましたが、独特のテンポで進む展開はじわじわと来る感じですね。新キャラも仲間に加わって、大筋としては物語もひとつの方向に向かっているのかな。続巻に期待。 
読了日:07月24日 著者:サトウとシオ
たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語 (GA文庫)たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語 (GA文庫)感想
秘境の村で育ち王都で軍人になることを夢見るロイド。村で一番弱い男と言われる彼だけれど、育った村は実はラストダンジョン手前の人外魔境で、無自覚なギャップで騒動に繋がってゆくファンタジー。村人たちの基準がそもそもおかしいんですが、周囲もそんな感じだと基準も狂ってきますよね…無自覚なハイスペックぶりが勘違いを引き起こしつつ、ヤンデレセレンや溺愛する村長など周囲のキャラもよく動いていて、ベタな展開ながらきちんと見せ場もあってなかなか楽しめました。まだ自覚もなく真相も知らないロイドがどう活躍するのか、今後も期待。
読了日:07月24日 著者:サトウとシオ
神話伝説の英雄の異世界譚 8 (オーバーラップ文庫)神話伝説の英雄の異世界譚 8 (オーバーラップ文庫)感想
ローザ達に支えられ、権勢に綻びを見せ始めたグランツ帝国で地歩を固めつつあるリズ。彼女が身を投じたシュタイセン共和国の新たな指導者を巡る争いに、黒辰王としてバウム小国に身を置く比呂もまた関わってゆく第八弾。彼の生存を知ってぶん殴っての決別から二年。今回は美しく成長したリズが、裏で暗躍する南方貴族の難しい対応を迫られつつ関わった隣国の内紛でしたけど、それに呼応するかのようなヒロの気の利いた暗躍ぶりを読んでいると、二人のどうにもならないもどかしさが切ないですね。いつかまた二人が並び立つ日が早く来て欲しいです。 
読了日:07月23日 著者:
ぼくたちのリメイク2 十年前に戻って本気になれるものを見つけよう! (MF文庫J)ぼくたちのリメイク2 十年前に戻って本気になれるものを見つけよう! (MF文庫J)感想
新生チームきたやま・改の上映会で役者のナナコが足を引っ張ったと言われ、加納先生や英子に役者への志を問われ心を閉ざしてしまうナナコ。一方で学園祭も始まる第二弾。誰もが本気で取り組んでいるがゆえに、浮き彫りになったナナコの向き合えていない現状。それでも日々奔走する恭也を知るからこそ、その言葉に説得力があるんですよね。学園祭のメイド喫茶での一幕や素晴らしいライブに至るまでの繊細なやりとりの積み重ねが青春していてとても良かったですが、だからこそ迎えた結末が切なかったです。次巻もいろいろありそうで今から楽しみです。
読了日:07月22日 著者:木緒 なち
14歳とイラストレーター3 (MF文庫J)14歳とイラストレーター3 (MF文庫J)感想
大手レーベルから依頼を受けた悠斗だったが、突然姉・彩華がその仕事を自分がやると宣言。その真意も分からないまま悠斗と彩華が対決することになった一方で、周囲の人間関係も少しずつ変化してゆく第三弾。傍若無人なブラコン姉来襲!という回に見せかけて、実は人間関係とか仕事まわりのこととか、絵を描く以外のことは悠斗はほんとに無頓着なんだなということが次第に明らかになって、絵師としては天性のものを持っていても、人間関係はこれからも苦労しそうだなと確信しました(苦笑)とりあえず目の前の爆弾処理をどう乗り切るのか次巻に期待。
読了日:07月22日 著者:むらさき ゆきや
灰と幻想のグリムガル level.11 あの時それぞれの道で夢を見た (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.11 あの時それぞれの道で夢を見た (オーバーラップ文庫)感想
メリィの死という現実から必死に目をそむけようとするハルヒロに謎の男・ジェシーが囁いた「方法ならある。一つだけ」という言葉。一方、フォルガンを脱退したランタが世話役だったタカサギの追跡から必死に逃亡を続ける第十一弾。これまでもいくつもの死に直面して受け入れてきたのに、到底そんな気持ちになれないところでのジェシーの提案。儀式自体もアレでしたが、彼女自身も説明できない一面を持ったようになった影響が今後出てくるんでしょうか。多くの心情が語られたランタの今後も気になりますが、予告された次巻のほんわか冒険物語も期待。
読了日:07月21日 著者:十文字青
魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>17 (MF文庫J)魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>17 (MF文庫J)感想
それぞれ軍を率いて相対したエレンとフィグネリアの直接対決。一方ティグルはガヌロンと決着をつけるべく、単身で王都を抜け出して荒野を行く第十六弾。展開が大きく動き出したり意外な過去と繋がりが見えてきたり、いくつかのこれまでの因縁に決着がついたりと物語として終盤に向かっているのを改めて実感しますが、ティグルがついにひとつの決心をした一方で、決着の代償によってアドバンテージだったはずが危機的状況に陥った最後の場面からどういう結末に繋げてゆくのか、あと一巻で終わるのは寂しいですが最終巻を楽しみに待ちたいと思います。
読了日:07月21日 著者:川口 士
空戦魔導士候補生の教官14 (ファンタジア文庫)空戦魔導士候補生の教官14 (ファンタジア文庫)感想
仲間たちの絆を深めた初期メンバー三人による寮の合宿、ユリーが書いて大流行した小説とサイン会を巡る騒動、レクティによるペットコンテスト参加、微熱により別人のように頭脳明晰となってしまったミソラ、リコの恐ろしい母親来襲、書き下ろしの本編アフターが描かれた連作短編集の最終巻。サイン会騒動での意外な行動や、みんなに惜しまれたミソラの別人ぶり、猫被りしたリコの代わりに次々と犠牲になってゆく小隊の面々などなかなか面白かったです。著者さんは彼女エンドで考えてたようで個人的にはちょっと意外でした。次回作も期待しています。
読了日:07月21日 著者:諸星 悠
空戦魔導士候補生の教官13 (ファンタジア文庫)空戦魔導士候補生の教官13 (ファンタジア文庫)感想
最終決戦を迎えて魔甲蟲の王・ゼスの圧倒的なチカラに苦戦するカナタ。人類の未来を護るため全てを捨てる覚悟を決める彼のもとに、未熟な彼女たちや仲間たちも集う第十三弾。ゲートを潰すための総力戦といくつかの最終手段。崩力の使い手とそれぞれ対決するE601小隊の面々。そしてゼスと戦い続けるカタナの元に駆けつける彼女たち。裏切り者と呼ばれた彼がこれほど多くの仲間に支えられて戦った最終決戦の結果、皆の記憶から一度は消えてしまった消えたカナタでしたけど、そこからまた新たに始まる予感を感じさせる結末はなかなか良かったです。
読了日:07月21日 著者:諸星 悠
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦2 (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦2 (ファンタジア文庫)感想
帝国とネビュリス皇庁が争う戦場で運命的な出会いを果たし、再会を願うもののすれ違ってしまうイスカとアリス。そんな状況でこの永き戦争の元凶である星脈噴出泉が発見されて、それを巡る任務にそれぞれが参戦する第二弾。敵同士なのに会いたくて、けれどベタなすれ違い続きでなかなか会えないもどかしいお約束展開には苦笑いでしたが、今回で両陣営ともにそれぞれ抱える事情の一端が明らかになり、イスカとアリスが対峙した強敵の新キャラたちを中心にいくつもの因縁や明かせない秘密が生まれて、それが今後の展開でどう活きてくるか楽しみですね。
読了日:07月20日 著者:細音 啓
ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック (ファンタジア文庫)ゲーマーズ!8 星ノ守心春と逆転バックアタック (ファンタジア文庫)感想
修学旅行で決断し、新たな関係へ踏み出そうとした花憐と上原。その余波でギクシャクし思うように関係の再構築が進まない中、心春がついに動き出してクリスマスも近づく第六弾。いったん関係が解消されてぎこちなくなったけれど、かといって本質的なところでは変わらない揺るぎない想い。これだけだったらそれぞれ復縁も時間の問題とも思えた状況でしたけど、要所要所でいろいろ手を打ってきた心春や、比較対象としての亜玖璃の存在が次の局面へと流れを作ってゆくキーマンとして効いてました。ここから関係がどう変わってゆくのか次巻が楽しみです。
読了日:07月20日 著者:葵 せきな
少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)感想
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の原作者による映像化されなかった幻のエピソードを復刻して再構成し、劇場アニメ版にあわせて書き下ろされたもうひとつの小説版。こちらは典道となずなの印象的な邂逅のエピソードが前振りとしてしっかり描かれていて、物語の導入部分という点ではこちらの方がスッキリしていて完成度は高かったですね。結末が少しばかりぼんやりとしていた感もありますが、若さゆえに突然の別れにうまく向き合えないもどかしさがよく出ていると思いました。創作秘話となっているやや長めのあとがきにも注目です。 
読了日:07月20日 著者:岩井 俊二
砂の城 風の姫 (講談社X文庫)砂の城 風の姫 (講談社X文庫)感想
弟に国を譲った徐国の元王太子・飛牙が代々女王が治める燕国へ向かい、そこで偶然お忍び外出中の名跡姫・甜湘と出会い、いきなり「胤」候補にされてしまう第二弾。どうやら四国漫遊記めいた展開になってきましたが、代々女王が「胤」と呼ばれる子を産ませるための制度上の夫に娘を産ませて跡を継がせる燕で、閉塞感のある現状を打破したい王女・甜湘と出会った今回もなかなか面白かったです。でもまさかあんな決断するとは思わなかったですよ(苦笑)いやほんとみんないろいろあるけど、うまくいって幸せになれるといいですねえ。続巻も楽しみです。
読了日:07月19日 著者:中村 ふみ,六七質
世界の終わりに問う賛歌 (ガガガ文庫)世界の終わりに問う賛歌 (ガガガ文庫)感想
科学技術が発達しながら魔力を抽出する発魔炉により依然として魔力の恩恵を享受する世界。マフィアの特殊交渉人ブルクハルトが、魔力枯渇危機を背景とした魔導師から直接抽出する次世代型発魔炉開発で少女ヘレナと出会う物語。肉体的苦痛で莫大な魔力を生み出すヘレナが志願したプロジェクト。つい利他的になりがちな彼女の身を案じ、拷問しか取り柄がないのに穏便な方法に活路を見出そうとするブルクハルト。それだけに急展開からの絶望感が半端なかったですが、それでも諦めずに最後まで戦い抜いてみせた二人が迎えた結末には救われる思いでした。
読了日:07月19日 著者:白樺 みひゃえる
スクールジャック=ガンスモーク (ガガガ文庫)スクールジャック=ガンスモーク (ガガガ文庫)感想
戦勝国・葦原皇国に創設された新兵器・機巧外骨格のパイロット育成学校。そこで戦時中の遺恨からテロが発生し、運命的な因果に絡め取られた二人の手に人質たちの命運が託される物語。戦時中の虐殺という事実無根の糾弾から貶められ爆発した元情報部。かつて情報部に助けられたヤンキー風のウブなヒロイン・連理と、整備士として学園を訪れた元情報部の凛児が力を合わせその阻止に動く展開は、いくつもの悲しい因縁にAIやロボットも絡めたギリギリの緊張感があって、何よりその結末が自分好みでとてもいいですね。もっと早く読めば良かったです。 
読了日:07月19日 著者:坂下 谺
青の聖騎士伝説 LEGEND OF THE BLUE PALADIN (電撃文庫)青の聖騎士伝説 LEGEND OF THE BLUE PALADIN (電撃文庫)感想
フォーチュン・クエストシリーズに出てくる戦士クレイ・S・アンダーソンの曾祖父で、勇者デュアン・サークとも共に戦った「伝説の青の聖騎士」クレイ・ジュダ・アンダーソンの冒険譚を描いた物語の文庫化+α。クレイ・ジュダが伝説の名剣シドを手に入れた切ないエピソードや、彼の終生の友・ランドとの出会い、彼の若き日の恋の思い出や美しいエルフ・ロスマリノとの冒険のエピソードなど、昔読んだシリーズのことも少し思い出したり、いろいろ確認したりしながら懐かしい思いで読みました。これ続巻も出る予定あるんですよね。期待していますよ。
読了日:07月18日 著者:深沢 美潮
正解するマド (ハヤカワ文庫JA)正解するマド (ハヤカワ文庫JA)感想
リスペクトする野崎まどが脚本を手がけたTVアニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された著者が、いつまで経っても一文字も書けず、思い悩むあまり精神を病んでゆくスピンアウトノベライズ。読んでみたら思わぬスピンオフ展開というか、著者さんが描いたもう一つの「正解するカド」だったりして青天の霹靂でしたが、著者さんの野崎まど愛だったり、これまでや近況(?)も何となく把握できたり、もちろん展開自体も意外と楽しめたりでこれはこれでアリでしたね。それでいて気がついたら続編としても繋がってるし(苦笑)とても面白かったです。
読了日:07月18日 著者:乙野四方字
化学探偵Mr.キュリー6 (中公文庫)化学探偵Mr.キュリー6 (中公文庫)感想
アメリカから四宮大学に留学生としてやって来た飛び級の天才少女・エリー。彼女の挑む全合成に絡んで明らかになってゆく大学内のきな臭い事情に、例によって舞が奔走し沖野が巻き込まれる第六弾。エリーが化学に興味を持つきっかけとなったエピソード。以前同じ全合成を挑んだ学生の不自然な退学。サポート役として彼女のために奔走する舞。大学や研究室の負の側面が明らかになっていきましたが、沖野も自覚する変化は決して悪いことばかりでもなくて、舞もまた窮地にこれまで助けた人たちが次々と協力を申し出てくれる展開には胸が熱くなりました。
読了日:07月16日 著者:喜多 喜久
六道先生の原稿は順調に遅れています (富士見L文庫)六道先生の原稿は順調に遅れています (富士見L文庫)感想
担当作家と騒動を起こした老舗中小出版社の文芸編集・滝川詠見が、年単位で原稿が上がらない謎のベテラン作家・六道先生の担当を引き継ぐ不思議×出版お仕事物語。連絡手段がなく会いに行くしかない六道先生の元に日参する詠見が知る六道先生の意外な姿と正体。なかなか原稿が上がらない理由と複雑な想いを抱えつつも原稿を書いてきた先生の姿を知って、戸惑いつつもきちんと向き合う詠見のブレない編集者の矜持と相手を思いやる優しさが、あえて安直に流れない間柄として描かれたことで心に響くものがありました。続編あるならまた読みたいですね。
読了日:07月15日 著者:峰守 ひろかず
シャーロック・ホームズ対伊藤博文 (講談社文庫)シャーロック・ホームズ対伊藤博文 (講談社文庫)感想
少年だったホームズと英国に密入国した伊藤博文の出会い。ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と死んだとされたホームズが日本に密入国し、伊藤博文大津事件を巡る謎に挑むミステリ。最初はさすがに無茶苦茶な組み合わせだろうと思いましたが、読んでみると意外に現実の隙間を埋める形で違和感なく整合させていて、大津事件の真相に迫ると同時に、裏で進行していたロシアの陰謀を阻止すべく二人が時にはぶつかりながらも解決に奔走する展開は面白く読めました。モリアーティ教授との顛末やマイクロフトの関係としてもなかなか興味深かったです。
読了日:07月14日 著者:松岡 圭祐
りゅうおうのおしごと! 6 (GA文庫)りゅうおうのおしごと! 6 (GA文庫)感想
竜王防衛を果たして史上最年少で九段に昇り、二人の弟子も女流棋士になった八一。新年を迎えてJS研との初詣、弟子の棋士室デビューとイベントが続く中、銀子は奨励会三段になるための大一番を迎える第六弾。今回八一はロリコン疑惑が深まり、他の女性陣ともハプニング続きで何とも締まらない感じでしたが、一方でただひとつの願いのため異次元な将棋星人たち相手に孤独で絶望的な戦いに挑む銀子の切ない想いも明らかになっていって、鈍くて残念な竜王がそれにいつか気づく日が来るんでしょうか(遠い目)その想い報われるといいんだけどなあ…。 
読了日:07月13日 著者:白鳥 士郎
ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家 (ファンタジア文庫)ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家 (ファンタジア文庫)感想
長年の秘めたる思いが募って幼馴染の結麻にいきなりプロポーズしてしまった神陽太。一方業界の不条理さに直面した後輩・小太郎を救うべく特訓を始める第二弾。プロポーズ後にお互いを意識しまくりで、ことあるごとに悶える陽太とユマの反応が甘過ぎて、お似合いな二人を見守る周囲の意見が一致してたのには苦笑い。一方で面白い面白くない以前に、読んでもらえないと何も始まらない厳しい現実と、それに直面した作家がどうすべきかという問題はほんと難しいですね。幼馴染ものとしてはキレイにまとまった結末で、これで完結なのかな?次回作も期待。
読了日:07月13日 著者:望 公太
鳥居の向こうは、知らない世界でした。2 群青の花と、異界の迷い子 (幻冬舎文庫)鳥居の向こうは、知らない世界でした。2 群青の花と、異界の迷い子 (幻冬舎文庫)感想
異界に迷い込んだ女子大生の千歳は薬師・零の弟子として働く日々。そんなある日、姉を探して鳥居を越えて来たという腹違いの弟・優に再会する第二弾。明らかになってゆく異国や千国と周辺国を巡る諸事情や本格化する王宮の後継者争い。千歳に対して悔いを抱えていた優が零の預かりとなって、姉弟で共に過ごすことになったつかの間の日々。いろいろありましたけど、自分の居場所を得て活き活きとしている元気な姿を優に見せることができて良かったですね。気になることも出てきましたが、物語としてもこなれてきて今後の展開に期待したくなりました。
読了日:07月12日 著者:友麻 碧
ラノベのプロ! 年収2500万円のアニメ化ラノベ作家 (ファンタジア文庫)ラノベのプロ! 年収2500万円のアニメ化ラノベ作家 (ファンタジア文庫)感想
アニメが爆死した意識高い系ラノベ作家・神陽太。後輩作家のJKとJCの才能に焦らされつつ、税金対策として雇ったラノベ知識ゼロの女子大生幼馴染・希月結麻との日常が描かれる物語。少しばかり意識が高く言動が痛い主人公を中心に描かれるラノベ作家ものとしてみると特に目新しさはなかったですけど、一人暮らしの主人公の衣食住を掌握する世話焼き系幼馴染ものと見るとなかなか面白かったですね。そうなんだろうなあと思いつつも、転機をきっかけに明らかになってゆく想いのまま告げた決定的な一言。続巻でどういう展開になるのか楽しみです。 
読了日:07月12日 著者:望 公太
真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 (ポプラ文庫)真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 (ポプラ文庫)感想
希実の母・律子の死から五年の月日が経ち、常連客である斑目やソフィアやこだま、美作親子や多賀田たち、そして希実や暮林や弘基の周辺も様々な変化が訪れる最終巻。常連客それぞれもいろいろな変化があって、それぞれ前に進んでるんだなあということを感じさせる一方で、あれからの希実の紆余曲折はやっぱりなとも思いましたけど、それでも意外な嬉しい展開もあってとても良かったです。必ずしも上手く行くことばかりではないけれど、そんな人たちのことを思いやる人がいる温かさを感じられるところにこの物語らしさがよく出ていて良かったですね。
読了日:07月12日 著者:大沼 紀子
Re:ゼロから始める異世界生活13 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活13 (MF文庫J)感想
打ちのめされたスバルを取り囲んだ大罪の名を冠する魔女たち。どん底に突き落とされたスバルに友人からの最後の希望が差し伸べられる第十三弾。過去の記憶を失ったままだったエミリアが迎える転機と、事情を明かしたロズワールに賭けを提案するスバル。意外な力を秘めていたオットーの助力も得て森から出る事を頑なに阻み続けるガーフィールに挑む展開でしたけど、ここを力を合わせて乗り越えたことは大きな転機に繋がりそうですね。最近はやや停滞していた感もありましたけど、エミリアがここから成長した証を見せられるか今後に期待ということで。
読了日:07月11日 著者:長月 達平
書店ガール 6  遅れて来た客 (PHP文芸文庫)書店ガール 6 遅れて来た客 (PHP文芸文庫)感想
彩加が取手の駅中書店店長になってから一年半。仕事が軌道に乗り始めたと感じていたところでの閉店。一方『鋼と銀の雨が降る』のアニメ化が決定するものの担当の伸光はトラブルに振り回される第六弾。書店が取次傘下になるとか最近よく聞く話ですが、それによる方針転換で閉店というのはなかなか厳しい。アニメ化の話もいろいろ複雑でしたが、そういった時にどうやって折り合いをつけていくのか。思い入れがあるものを人に任せられるのか。登場人物それぞれにとってもいろいろ転機に繋がりそうなお話でしたけど、いろいろ考えさせられる内容でした。
読了日:07月10日 著者:碧野 圭
([お]7-8)真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者 (ポプラ文庫)([お]7-8)真夜中のパン屋さん 午前4時の共犯者 (ポプラ文庫)感想
希実の母・律子とついに再会する一方で、希実たちの前に現れた美和子の幼馴染という榊の存在。さらには希実の父とされる樹や、律子と美和子の過去も明らかになってゆく第五弾。入院していた律子はその過去が明らかになればなるほど、ただ逃げ回っていただけの母親というイメージから少しずつ変わっていって、けれど過去は明らかになっていってもそんな律子に素直になれないままだった希実が何とも切ないというか。父親を巡る騒動も含めてこれはこれで一区切りついたということなんですかね。最終巻がどんな結末を迎えるのか早いうちに読みたいです。
読了日:07月10日 著者:大沼 紀子
錬金術師は終わらぬ夢をみる ~ゆがみの王国のセラフィーヌ~ (コバルト文庫)錬金術師は終わらぬ夢をみる ~ゆがみの王国のセラフィーヌ~ (コバルト文庫)感想
十八世紀頃のフランスを舞台に過去の記憶を失ってしまったセラフィーヌが、自分が何者なのか分からぬまま美貌の錬金術師・カリオストロ伯爵と助手のアレクサンドルの手伝いを始める物語。彼女が繰り返して見るヴェルサイユ宮殿、雪山での逃亡、R女子修道院の夢。手伝ううち明らかになってゆくセラフィーヌの錬金術師的な才覚。物語としてはこれからかな?という印象で、なぜ記憶をなくしたのかセラフィーヌの過去から今までの過程が鍵を握りそうですが、現時点ではやや消化不良な部分が多かったですかね。続刊あればまた印象も変わるんでしょうか。
読了日:07月09日 著者:一原 みう
叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 (電撃文庫)感想
邪神カを降臨させたランドール王国の野望を挫いた六人の英雄の一人・ギュネイ。平凡なその後の人生を選ぼうとしていた彼が、ふとしたきっかけから王国の現状を探るうちに、窮状を見捨てられず巻き込まれてゆく物語。戦勝国による身勝手な戦後処理で荒廃する国土と苦しむ民衆の姿に疑念を覚えてゆくギュネイ。苦悩しながらも巻き込まれ続けて救世主に登りつめてゆく彼と、したたかな王女ミネルバや彼を監視するディドー、初恋の王女といったヒロインをうまく絡めて物語を盛り上げてほしいですね。思わぬ方向へ向かう今後が楽しみな新シリーズです。 
読了日:07月08日 著者:杉原 智則
86―エイティシックス―Ep.2 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉 (電撃文庫)86―エイティシックス―Ep.2 ―ラン・スルー・ザ・バトルフロント―〈上〉 (電撃文庫)感想
共和国の指揮官・レーナとの別れの後、隣国ギアーデ連邦へとたどり着き保護されたシンたち。再び戦うことを選んだ彼らが幼き少女・フレデリカと出会い、激戦に身を投じてゆく第二弾・ギアーデ連邦編前編。休息を与えられ新たな選択肢を提示されたシンたち。そんな彼らが出会った新たな仲間・フレデリカ。戦場しか選べない、戦うことしかできない彼らの存在は連邦にあっても異質で、だからこそ地獄のような戦いを続ける彼らとレギオンとの決着と、彼らの心にある彼女の存在と再会に救いがあることを期待せずにはいられないですね。後編にも期待です。
読了日:07月07日 著者:安里 アサト
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXII (電撃文庫)ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXII (電撃文庫)感想
帝国、キオカ、ラ・サイア・アルデラミンによって開かれた三国会談。アナライ博士の指摘で会談は思わぬ方向へ向かい、激しく火花を散らす宿敵同士のイクタとジャンが力を合わせて試練に挑む第十二弾。アナライ博士の指摘の結果提示された神の試練。乗り越えた先で明かされた思わぬ真実。イクタとジャンのやりとりが楽しくて、明かされてゆくキャクレイの企図には慄然としましたが、何よりこの世界の根幹の部分が明かされて、今に至るまでの流れにはさすがに驚かされました。提示された決着で終わりも見えてきましたが、ここからの展開が楽しみです。
読了日:07月07日 著者:宇野 朴人
鹿の王 2 (角川文庫)鹿の王 2 (角川文庫)感想
王族たちが謎の黒狼たちに襲われ、噛みつかれて罹る疫病・黒狼熱が征服民には致命的でも、先住民・アカファの民は罹ら謎という噂が流れる第二弾。ヴァンは不思議な体験をして招待された谺主の元を訪れ、一方でホッサルはオタワル聖領の深学院へ向かうことになり、その過程で徐々に明らかになってゆく様々な過去の因縁や黒狼熱の謎。その目的や物語としてどこまで広がってゆくのか、まだ分からないことも多いですが、現時点でまだ向き合っていない運命の二人が、どのように邂逅して物語にどんな流れをもたらすのか、今後の展開がとても楽しみですね。
読了日:07月07日 著者:上橋 菜穂子
君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業 (宝島社文庫)君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業 (宝島社文庫)感想
徐々に距離を縮めていたのに、恵麻が友達に放った苦し紛れの陰口を耳にしてしまった靖貴。意図的に距離を置くようになり、すれ違ったままの二人がそれぞれの大学受験を迎える第二弾。自信を持てない靖貴が裏切られたと感じた時の反動で頑なになってゆく様子や、後から気づいてどうにかしようとするものの上手く行かない恵麻の絶望感に焦れったくなる展開でしたが、だからこそギリギリでの巡り合わせの妙には救われる思いでした。これから大変だなあとも感じましたけど、その後の二人を見ていたらきっと大丈夫ですね(苦笑)次回作も期待しています。
読了日:07月06日 著者:筏田 かつら
鹿の王 1 (角川文庫)鹿の王 1 (角川文庫)感想
東乎瑠帝国相手に戦い奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた独角の戦士・ヴァン。岩塩鉱を襲った不気味な犬の群れがもたらした謎の病を生き延びたヴァンが、幼子ユナとともに逃亡を図る物語。当面の落ち着き先を見つけたヴァンと、医術師ホッサルの従者マコウカンの二つの視点から語られる物語は、これから繋がって一つの物語になってゆくんですかね。サエがあっさり行方不明になったり、まだ謎も多かったりで物語がどんな方向に向かってゆくのか明確には見えてきませんが、作り込まれた壮大な設定に今後の展開に向けた期待感が高まる1巻目でした。 
読了日:07月06日 著者:上橋 菜穂子
横濱エトランゼ横濱エトランゼ感想
進路も決まり、横浜のタウン誌「ハマペコ」編集部でアルバイト中の高校生・千紗。編集長が倒れ編集長代理として奔走する初恋の相手・善正と一緒に遭遇する不思議な謎を解いてゆく連作短編集。善正たちの助けも借りつつ、今はない元町の百段階段や山手にある洋館など、出会った人たちの忘れられない思い出がたくさんつまった謎を過去のわだかまりと一緒に丁寧に解き明かしてゆく展開はなかなか良かったです。強力なライバルも現れて心揺れていた千紗の初恋の行方がどうなったのかは気になりましたが、横浜の情緒溢れる描写がとても素敵な物語でした。
読了日:07月05日 著者:大崎 梢
後宮に月は満ちる 金椛国春秋 (角川文庫)後宮に月は満ちる 金椛国春秋 (角川文庫)感想
宦官・玄月に正体を疑われつつも、使える存在になったことで命拾いした遊圭。皇太后の娘で引きこもりのぽっちゃり姫・麗華の心身の健康のため、明々と共に公主の部屋付きを命じられる第二弾。後宮から抜け出すために請け負った潜入捜査。声や身体つきなどがだんだん男らしくなっていくことに焦りを覚える遊圭。疑心暗鬼の中、刻々と変化する難しい判断を迫られる状況を、危ない橋を渡りながら何とか乗り切りましたけど、この結末は青天の霹靂でしたね(苦笑)簡単には抜け出せなくなってこれからどうするのか、これはこれで面白くなってきました。 
読了日:07月04日 著者:篠原 悠希
筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 ~鎌倉の花は、秘密を抱く (宝島社文庫)筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 ~鎌倉の花は、秘密を抱く (宝島社文庫)感想
筆跡鑑定も行う毒舌家で変人の書道家・東雲清一郎。第三弾は見事な書店ポップに込められた想い、松岡先輩に託された御朱印帳の意味、少年が見せたくなかったメモなど、清一郎の過去にも触れつつ、いつものように危なっかしい美咲に振り回されるだけでなく、時には彼女にも頼りながら事件を解決する清一郎や、チャラい松岡先輩の意外に一途な過去が印象的でした。清一郎も変わりつつあるみたいですけど、最後のあれはきちんと伝えようよ(苦笑)縮まりそうで縮まらない二人の距離感も近いうちに変化は訪れるんですかね。謎の書家も気になるところ。 
読了日:07月04日 著者:谷 春慶
Bの戦場 2 さいたま新都心ブライダル課の機略 (集英社オレンジ文庫)Bの戦場 2 さいたま新都心ブライダル課の機略 (集英社オレンジ文庫)感想
元CAの年上後輩・財前さん登場。斜め上の求婚をして困っていた意識の高いB専上司・久世課長も苦悩のあまり態度が急変する第二弾。新キャラ・財前さんに加えて香澄の幼馴染も登場していろいろありましたけど、仕事もできてイケメンなのに、斜め上な言動で香澄を振り回す久世課長が相変わらず突き抜けていて、その意味不明な態度だったりヤキモチ焼きな行動見てると、もう少し配慮できてたら...と思っちゃいますね(苦笑)次巻はどうなるのかな?と思うような展開でしたが、最後の新キャラがどう絡んでくるのか気になります。これは楽しみです。
読了日:07月03日 著者:ゆきた 志旗
下鴨アンティーク 暁の恋 (集英社オレンジ文庫)下鴨アンティーク 暁の恋 (集英社オレンジ文庫)感想
慧に告白してから関係がぎくしゃくしてしまっている鹿乃。周囲も二人の関係を気にする中、椿柄の振袖に関する相談が持ちかけられ、慧に鹿乃が振られたと聞いた春野も動き出す第六弾。慧と健気な鹿乃のもどかしい距離感にはもやもやしたものを感じてしまいましたが、本音で向き合ったらああなるのも必然の結末で、収まるべきところに収まったというかようやく一安心というか。それを見届けた良鷹もうまく言い表せない真帆との関係に何か変化があってもいいかなと思うんですけど、ここまで腐れ縁続いてると何かきっかけないと難しそうですね(苦笑) 
読了日:07月03日 著者:白川 紺子
御社のデータが流出しています: 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック (ハヤカワ文庫JA)御社のデータが流出しています: 吹鳴寺籐子のセキュリティチェック (ハヤカワ文庫JA)感想
企業の容易には解決できない表沙汰にできない危機的なセキュリティ問題。解決を依頼された82歳のセキュリティ・コンサルタント吹鳴寺籐子が、社内のネットワークを走査する連作ミステリ。個人情報漏洩や企業内情報漏洩、偽ウィルスソフト詐欺やCOBOLレガシーシステムといった昨今よくあるトラブルをテーマに、犯罪者たちのセキュリティの意外な穴を突いてくる手法や、それを合法非合法な手段で追い詰めてゆく籐子の攻防は意外な展開で面白かったです。まあ確かに企業は問題起きたからといって何でも公表してるわけではないですよね(遠い目)
読了日:07月02日 著者:一田 和樹
やはり雨は嘘をつかない こうもり先輩と雨女 (講談社タイガ)やはり雨は嘘をつかない こうもり先輩と雨女 (講談社タイガ)感想
危篤に陥ったおじいちゃんが肌身離さず持っていた写真の謎。雨女の五雨がその謎を解くために、雨の日にだけ登校する不思議な雨月先輩に相談を持ちかける雨の物語。おじいちゃんの写真や七夕の催涙雨といった雨に関する謎を、どこか複雑な気持ちで雨月先輩の下に持ち込む五雨。雨に関する無駄に詳しい知識を活かして優しい解決に導いてゆく雨月先輩の謎は深まるばかりで、五雨がその謎を追うことでたどり着いた真相は切なくもありましたが、それでも相変わらずなように見えて何かが変わったようにも思える二人の今後をまた読んでみたいと思いました。
読了日:07月01日 著者:皆藤 黒助
縛りプレイ英雄記2 剣が振れない聖騎士さま (角川スニーカー文庫)縛りプレイ英雄記2 剣が振れない聖騎士さま (角川スニーカー文庫)感想
はぐれていたマリーの護衛騎士イリスが合流して当然のように誤解される陣。そんな状況でメデューサによる石化事件の解決に挑む第二弾。実力はありそうなのに、力を発揮しきれていないポンコツ女騎士のイリス。イリスをかばい石化してしまったマリーと見えてきた事件の意外な真相。この世界に染まっていないからこそ見えることがあって、冷静に相手のためを思ってアドバイスしてやれる陣はほんといいやつですよね。今回登場したイリスもヒトミもなかなかいいキャラでしたけど、この調子で仲間も従魔も増えていくんですかね(苦笑)続刊も楽しみです。
読了日:07月01日 著者:語部 マサユキ

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