読書する日々と備忘録

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2019年上半期注目のオススメ新作ライト文芸26選

2019年上半期注目のオススメ新作企画、「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」に続く第四弾は「ライト文芸」レーベル編です。どうしても後追い気味になっているために仕方ないのですが、この時期までずれ込むと、もうどこまで入れるのか諦めるのかなかなか難しいところではあります(苦笑)

 

ライト文芸レーベルの増加もあって刊行点数そのものが増えていて、できるだけ気になるものは読むようにしているものの、どこまでカバーできているのかは正直なところ怪しい部分も出てきました。とはいえ相対的に見ればそれなりに読んでいる方だとは思うので、自分が上半期に読んだものの中からオススメしたい26作品を今回紹介しています。

 

なお今回の上半期企画としてはあと「単行本」編が残っていますが、こちらもまだ読んでいない本が数冊あるので、それを読んだら更新の予定です。よろしくお願いします。

 

1.ホテルクラシカル猫番館 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

 

師匠が倒れ3年間勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。旧家の子女ゆえ祖父からお見合いを勧められるも、きっぱりと断って横浜・山手の「ホテル猫番館」で働き始める物語。紗良に仕事を紹介した叔父の誠、気難しいシェフの隼介や人なつっこいコンシェルジュの要に囲まれ、職場に溶け込んでゆく紗良。働く人たちそれぞれの事情や、彼らの意外な一面も明らかになっていって、師匠にその成長した姿を見せる展開にはぐっと来るものがありました。紗良たちのこれからを温かく見守りたい、続きが読みたいと思わせてくれる素敵な作品でした。

2.谷中びんづめカフェ竹善 (集英社オレンジ文庫)

大学デビューし損ねた「猫の町」谷中に住む女子大生・紬。故郷から送られてくる大量の野菜を持て余し、こっそり捨てようとして謎の英国人セドリックと出会う物語。コミュ障で趣味の手芸に生きがいを見出していた紬にとって転機となった。「びんづめカフェ」を営むセドリックとの出会い。彼の血の繋がらない息子・武流の家庭教師として関わる過程でいろいろ交流も増えていきましたけど、過去の複雑な事情が明らかになっていったあの親子との関係や距離感がここからどのように変わってゆくのか、これからの展開がちょっと気になる新シリーズですね。 

3.リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

 

兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語でした。

4.君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫nex)

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)

 

両親の離婚で引っ越してきた高校一年生の舞奈。地元の川でカヌーを操る少女・恵梨香に出会った彼女が、一緒にながとろ高校カヌー部に入部する青春部活小説。長年コンビを組むも少しずつ想いがすれ違ってきた先輩の希衣と千帆。実力者恵梨香の出現による希衣の決意。初心者の舞奈は今後に期待ですけど、過去に執着していたり今の自分を見て欲しいと願う、それぞれの繊細で複雑な心情を巧みに描きつつ、ずっともやもやしていた思いをぶつけ合って、前に進む力に昇華させてゆく展開にはぐっと来るものがありますね。これは続巻に期待の新シリーズです。

5.わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

 

名家に生まれたものの実母を早くに亡くし、継母と義母妹に虐げられて育った美世。そんな彼女が名門だけれど冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞への嫁入りを命じられる物語。義妹のように異能も発現せず、使用人のように扱われていた美世に訪れた転機。我儘放題のお嬢様に辟易していた清霞と、自信なさげだった美世が少しずつ心を通わせてゆく積み重ねがとても良かったですね。因縁ある彼女の実家とはとりあえず決着が付きましたけど、彼女の生い立ちにまつわる謎もまだ残っていて二人のその後も見たいですし、是非シリーズ化に期待したい作品です。7月に2巻目刊行。

6.世界で一番かわいそうな私たち (講談社タイガ)

戦後最大の未解決事件「瀬戸内バスジャック事件」に巻き込まれたあの夏から声を失った三好詠葉。舞原杏が教壇に立つフリースクールで学ぶ彼女が教師・佐伯道成と出会う物語。事件に振り回され、居場所と声を失ってしまった詠葉が巡り合った一冊の小説とフリースクール。そこで教師として働くことになった佐伯。不器用で不確かな詠葉の想いと、生徒と真摯に向き合って何とかしようと奔走する佐伯。正解なんてない生徒と向き合うことの難しさを痛感する展開でしたけど、最後の急展開からどんな物語が紡がれてゆくのか登場人物たちの繊細な描写に注目のシリーズです。全3巻?

7.群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

 

引っ越しや進学などで三年ごとに友達が入れ替わってきた三年周期の呪い。高校で映画好きの仲間を得た朝宮陽が、卒業しても友人三人との縁が切れないように、仲間たちで自分たちの映画を撮ろうと思い立つ青春小説。一念発起で仲間に提案した陽に、密かに声優を目指すお嬢様ミーコ、活動的で型破りなナツ、脚本を書くいおり。映画好きという共通項以外は性格も映画の好みもバラバラな少女たち四人が、映画製作に取り組んでいく中で葛藤したり衝突しながら、成長して絆を深めてゆく展開はなかなか良かったですね。結末もまた痛快で素敵な物語でした。

 8.ことのはロジック (講談社タイガ)

ことのはロジック (講談社タイガ)

ことのはロジック (講談社タイガ)

 

書くべき言葉を見失った元天才書道少年の墨森肇。金髪碧眼の転校生・アキに一目惚れした彼が、彼女とともに校内で発生する言葉にまつわる事件を解決してゆくミステリ。好奇心旺盛なアキや仲間たちと一緒に挑む回し手紙の伝言ゲーム、存在しない幽霊文字、同人誌の不可解な改変、そしてアキに対する違和感。探し続ける「月が綺麗ですね」を超える告白の言葉。彼らの心境の変化に繋がってゆくひとつひとつのエピソードがまた絶妙で、明らかになった真実にしっかりと向き合い、想いを込めた回答を提示してみせた結末にはぐっと来るものがありました。

9.ナイトメアはもう見ない (集英社オレンジ文庫)

遺体に触れると死の瞬間を追体験できる「夢視者」の能力で事件を解決に導く特殊捜査官・笹川硝子。意味深な言葉を残して突如失踪した先輩捜査官の行方を追ううちに意外な事実が明らかになってゆく物語。失踪を追う中で明らかになってゆく、硝子が生まれ育った研究所の火災で人生が変わってしまった人々、夢視捜査の際に使用される薬品を巡る疑惑。捜査線上に硝子と親しい関係者が次々と浮上する難しい状況で、それでもきちんと向き合おうとした彼女が辿り着いた結末は何ともほろ苦かったですが、硝子に希望も垣間見える最後には救われる思いでした。

10.推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

 

外務省のグレーゾーンな仕事を引き受ける外交官として働く桐島に宛てて、東南アジアの国・ビサワンで働く元恋人・亜希から謎めいたメールが届き、失踪した彼女を探すためビサワンへ飛ぶ物語。子供兵士の救済を目的とした国際NGOで働いていた亜希の失踪を探るうちに、ビサワンを巡る政情不安な状況に巻き込まれてゆく桐島。各国間の事情や利害関係に振り回されても諦めずに活路を見出そうとする中で、謎めいた彼女の過去も明らかになっていって、何ともやるせない結末でしたけど、最後まで真摯であろうとした彼女のありようはとても印象的でした。

11.あの日の君に恋をした、そして (メディアワークス文庫)

あの日の君に恋をした、そして (メディアワークス文庫)

あの日の君に恋をした、そして (メディアワークス文庫)

 

十二歳の夏を過ごしていた少年・嵯峨ナツキ。しかしある事故をきっかけに心だけが三十年前に飛ばされ、今は亡き父親・愁の少年時代の心と入れ替わってしまい、クラスメイトの少女・緑原瑠依と運命の出会いを果たす物語。戸惑いながらも愁として三十年前の世界で過ごすナツキと、ともに過ごすうちに大切な存在となってゆく瑠依。彼女も関わる父の日記にあった凄惨な事件の解決に挑むナツキ。瑠依と繋がる意外な関係性も明らかになって、短くも濃厚でかけがえのない時間を過ごしたナツキが、現在で見出した不思議な縁にはぐっと来るものがありました。

12.そして、その日まで君を愛する (メディアワークス文庫)

そして、その日まで君を愛する (メディアワークス文庫)

そして、その日まで君を愛する (メディアワークス文庫)

 

十二歳の夏を過ごす少年・嵯峨愁。しかし彼はあるとき心だけが三十年後に飛ばされ、将来生まれる自分の息子・ナツキの少年時代の心と入れ替わってしまうもうひとつの物語。開き直ってナツキとして積極的に過ごす愁と、そっと寄り添う不思議な少女・雪見麻百合。運命の出会いから明らかになってゆくもうひとつの物語。愁はナツキとだいぶ違うタイプのキャラで、ナツキ側エピソードとも関連性を持たせつつ、2つの物語に深く関わる秘められた過去の精算と、時を超えて果たした運命の出会いがひとつの結末に繋がってゆく展開はなかなか良かったですね。

13.逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

 

13歳で心臓移植を受けたホズミ。それから自分が女の子になる夢を見るようになった彼が、明るく快活で幸せそうな彼女に恋をする奇跡の物語。移植された心臓の持ち主・葵花の記憶を夢で見るようになったホズミが抱く決して出会うことのない報われない恋心。ふとしたきっかけから知る彼女の背景。心臓を介しての二人だけの交流は微笑ましくて、そんな積み重ねがあったからこそ感じた違和感があって。大切な人を救うために最後まで諦めなかった彼の奔走と、彼女の強い想いによって新たに紡がれてゆくこの物語の結末にはぐっと来るものがありました。 

14.破滅の刑死者  (メディアワークス文庫)

ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。

15.妖怪解析官・神代宇路子の追跡 (メディアワークス文庫)

鷹橋川で発見されたミイラ化した不思議な遺体。街の治安が急速に悪化してゆく中、圧力により捜査がたびたび頓挫する状況に、新米刑事の御堂陸が真相を解明するため美貌の科学者・神代宇路子の許へ押しかける物語。正義感が強く融通の利かない陸と、ミステリアスでスボラな宇路子のコンビが、協力しながら人魚をめぐる謎に迫る展開でしたが、民俗学と科学的視点を組み合わせて語られる見地はなかなか興味深く、二人もなかなかいいコンビっぷりでしたね。解決されないままの疑惑に宇路子の秘密も明らかになって、これは続刊に期待の新シリーズです。 

16.告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

 

駅のホームで「人が恋に落ちた瞬間が視える」女子高生・明花と出会ったアラサーリーマン・星川。告白至上主義の明花に振り回されながら他人の恋愛事情に関わってゆく物語。海外転勤を決めた女上司、幼馴染のお兄ちゃんの結婚を受け入れられない明花の親友、悪女と名高い受付嬢の真相、そして明花が告白に異常にこだわる理由。お人好しでおせっかいゆえに周囲の女性の恋愛話に振り回されがちな星川でしたが、その奔走が関わった人たちの新たな一歩を切り出すきっかけにも繋がっていて、過去を乗り越えた二人の今後を応援したくなる素敵な物語でした。

17.瑕疵物件ルームホッパー (集英社オレンジ文庫)

幼い頃から他人には見えないものが見えて人間関係を上手く築けず、勤め先の倒産で引き籠もっていた瀬山冬。家賃も払えず追い詰められた彼が、謎めいた資産家・羽塔花澄に死者の霊がいる家に住んで、死の瞬間を報告する仕事を押しつけられる物語。巻き込まれた冬が出会う刺殺された若い女の霊、やたらと腰の低い30代女性の霊、母親を探す少女の霊、空き家に住む四人以上の霊。依頼人の花澄たちもまた謎めいていますが、何だかんだでお人好しな冬と接するうちに変化してゆく霊たちとの関係もなかなかいい感じで、続巻あるならまた読んでみたいです。

18.さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

 

事故の後遺症から記憶を忘却することができなくなり、過去の出来事を何度も追体験してしまう新川慧が、職場の同僚となった日野山空良と運命の出会いを果たす物語。記憶の再生をコントロールする術を見つけ出し、必死に日々をやり過ごしていた慧。彼女に突然告白し付き合うことになった空良がもたらしてくれた幸せな二人の日々と彼が抱えていた秘密。この人と思える存在だからこそ抱いてしまう複雑な想いがあって、その不在を痛感すればするほど相手の存在を意識せずにはいられなくて、そんな不器用で分かち難い運命の恋の結末はとても印象的でした。

19.平安あや解き草紙 (集英社オレンジ文庫)

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)

 

東宮への入内話が立ち消えになり、婚期を逃したまま実家に居座っている左大臣の娘・藤原伊子。そんな彼女に今は亡き東宮の息子である今上帝が入内を希望してくる平安お仕事ミステリー。十年前に別れた恋人・嵩那との間にあった誤解、そして伊子が初恋の人だったという今上帝という何とも複雑な距離感の関係も交えつつ、帝の熱烈な要請によって尚侍として入った年相応にこなれた感のある伊予が好みで、嵩那とも協力しながら後宮で起こる事件を解決してゆく展開は面白かったです。恋の行方も気になるその後のお話がまた読めたらいいなと思いました。

20.神様のスイッチ (講談社タイガ)

神様のスイッチ (講談社タイガ)

神様のスイッチ (講談社タイガ)

 

同棲相手との未来に迷うフリーター、街を警らする女性警察官、親友の彼女に横恋慕する大学生小説家、駆け出しやくざ、八方美人の会社員。神様が押した偶然という名の奇跡のスイッチによって繋がってゆく一夜限りの物語。年齢も生い立ちも違う五人それぞれの視点から始まるストーリーで、最初は頻繁に視点が切り替わる展開に困惑しましたが、話が進んでゆくごとに明らかになってゆく登場人物たちの意外な接点があって、それらが交差するたびに起きる変化を巧みに活かしつつ、それぞれのエピソードにもたらされた結末には心地よい読後感がありました。

21.流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

 

父を火事で亡くしたトラウマから、亡くなる瞬間の情景が「予知夢」として見える能力を得てしまった女子高生みちる。予知夢に見た従兄の一美を助けようと介入した結果、被害者が変わってしまう学園青春ミステリ。殺された同級生・渡辺と交流があった不登校の穂香、そして人気者のサッカー部員・浜坂との因縁も解き明かしてゆくみちると一美。新事実が明らかになるたびに印象が二転三転して、やりすぎなければ…と思う積み重ねが招いた惨劇の真相はほろ苦かったですが、自分の能力にきちんと向き合うようになってゆくみちるの姿が印象的な物語でした。

22.赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

 

将軍直属の「御庭番」を務めた家で育った米国帰りの探偵・入江明彦。横濱を舞台に犯罪コンサルタント組織『灯台』と対峙する明治浪漫ミステリ。助手の少年・文弥に世話を焼かれつつ暮らす明彦が出会った訳ありの美青年・ミツ。彼らが遭遇する不老不死の霊薬、皇太子の切手、港の青年の行方、そして灯台の首領の意外な正体。著者さんらしい雰囲気描写に加えて、頭脳明晰で容姿端麗な明彦と有能な文哉、訳ありのミツたちのやりとりも軽妙でなかなか楽しめました。「灯台」を巡る事件は今巻で決着のようですが、続きがあるならまた読んでみたいですね。

23.銀行ガール (メゾン文庫)

銀行ガール 人口六千人の田舎町で、毎日営業やってます (メゾン文庫)
 

都会に行ってモデルになることを夢見ながら、地方銀行の営業として働く五十嵐吟子、24歳の奮闘が描かれるお仕事小説。渉外として顧客を訪れる吟子の元に次々と舞い込む厄介な相談。戦前から続く雨漏り食堂の修繕費用融資から、リサイクルショップ立ち退き交渉、振り込め詐欺犯逮捕、町おこしに離婚して生き別れた父の過去が絡んできたり、かつての想い人との久しぶりの再会もあって、困っている人たちのために周囲の助けも借りながらアイデアをひねり出し、奔走するうちに自分の目指すところを見出してゆく吟子の姿には心に響くものがありました。

24.漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

 

マンガ好きを周囲にひた隠す女子高生ときわが、学校帰りにアパートの前で行き倒れているのを発見した会社員・鈴木桂太。ご飯を食べさせてあげた彼が実は大好きなマンガ家の片割れだったと気づく物語。マンガ家のためのアパート・ヒット荘を舞台に、ほのかな恋心を抱く桂太や彼とコンビを組むレオ、新人漫画家の花や鬼の担当編集さん、マンガ家の桂太の妹たちも絡めながら、美味しそうなご飯やデザートを振る舞いつつのドタバタ劇や交流してゆく様子がなかなか楽しかったですね。ときわと桂太のその後も気になるので、また是非続巻を期待したいです。

25.ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

 

低迷が続く藤見屋百貨店吉祥寺店が再生をかけて食品フロアのリニューアルに乗り出し、食べるの大好きぽっちゃり女子・日向子が企画立案に立候補、高級志向のエリート上司・四ノ宮相手に挑むお仕事小説。B級グルメの企画をことごとく却下し本物の味を教えると言い出した四ノ宮。そんな対立の構図から境遇は違えど食に対する熱い想いで共感して、企画に邁進していく中でお互い助け合えるようないい関係に変わってゆく展開はいいですね。二人の距離感はまだまだこれからですけど相手を意識し始めてはいるようで、続きがあるならまた読んでみたいです。

26.主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅 (富士見L文庫)

主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅 (富士見L文庫)

主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅 (富士見L文庫)

 

育ち盛りの子供を抱えて夫が突然のリストラ。松枝梨沙は、姑の反対や子供といたい葛藤を押し切り、主婦友の奥竹美加子、汐田梅の3人で、会社の立ち上げを決意する物語。資格マニアの梨沙、人脈が広い美加子、知恵袋の梅で組んだ家事代行『チーム松竹梅』。喧嘩した雑誌編集長と奥さんの仲を取り持ったり、訪問先の引きこもりの息子を気にかけたり、訪問先の事情にやや首を突っ込みすぎる感もありましたけど、局面を打開する彼女たちのスキルや、家事代行業を始めたことで周囲との関係が変わってゆく展開はなかなか良かったですね。続巻にも期待。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。