今回は2月MF文庫J・ダッシュエックス文庫・メディアワークス文庫の新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jが新作2点、続巻3点・ダッシュエックス文庫が新作1点・メディアワークス文庫の新作1点の計7点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
あと1ヶ月で転校する僕の青春ラブコメ (MF文庫J)
あと1ヶ月で転校する僕の青春ラブコメ
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絵戸太郎/雪丸 ぬん KADOKAWA 2024年02月24日
母親の再婚もあり、2年に進級して突然転校が決まったことを、クラスメイトたちに言い出せずにいるクラス委員長の相影誠治。そんな状況でクラスにかつての幼馴染・朝陽悠乃が転校してくる青春小説。仲が良かった幼馴染との小学校以来の突然の再会に仲間たちと盛り上がる状況で、余計に言い出しにくくなった自身の転校話。それが思わぬところからバレてしまい、軽い感じに転校したいと思っていた誠治の思いとは裏腹に、残り一ヶ月で忘れられない思い出を作ろうとする幼馴染やクラスメイトたち。アルバム作りにもいろいろアイデアがあって、幼馴染の心残りをそのままにしない誠治の優しさがあって、慕われていたんだなとしみじみ感じる中で、最後に欠けていたピースを埋める突然の参戦には驚かされましたけど、これは続刊が楽しみですね。
テレキャスタービーボーイ (MF文庫J)
テレキャスタービーボーイ(1)
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すりぃ/coalowl KADOKAWA 2024年02月24日
周囲の環境にうまく馴染めず、目標も定まらない自分自身にモヤモヤを感じていた軽音部所属の高校生・楓月。好きなバンドのライブに初参加した彼が姉の友人・飛鳥と出会う超ヒット楽曲のボカロP本人によるノベライズ。男らしさに対する違和感や心と身体が一致しないことを自覚して悩む楓月。一方保育士の専門学校に通いつつも、かつて打ち込んだ音楽の道を諦められずにいた飛鳥。閉塞した日常に息苦しさを抱いていた楓月の姉を介して知り合い、意気投合してバンド活動を始めたものの様々な障害が立ちはだかる展開で、身近な人にこそ理解してほしいのに理解してもらえない、大切だと思う人には自分のことをちゃんと知ってもらいたいと願う心の渇望に向き合ってゆく、不器用だけれどとても温かい素敵な物語になっていました。
俺の背徳メシをおねだりせずにいられない、お隣のトップアイドルさま2 (MF文庫J)
俺の背徳メシをおねだりせずにいられない、お隣のトップアイドルさま2
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及川 輝新/緋月 ひぐれ KADOKAWA 2024年02月24日
マンションのお隣同士でメシ堕ちバトルを繰り広げて、隙あらばファンに堕とそうとする優月と鈴文。そこへ優月が所属するアイドルグループのリーダー衛本留々が襲来する第2弾。優月の自称姉として鈴文にライバル意識を燃やし、超絶ヘルシーな道徳メシで宣戦布告する留々。毎日の優月のお世話係を奪い去らんとする勢いの留々に、優月の一番でいるため一世一代の勝負に挑む鈴文。休日デートの公園、お忍び旅行のホテル、いつものマンションの部屋などで繰り広げられる人に見せられないメシ堕ち対決は微笑ましかったですけど、一方で留々の優月への真摯な想いも感じられて、そんな中で鈴文もまた自らの想いを自覚してゆく展開は良かったですね。思わぬ副産物には納得しつつ続刊も期待してます。
マスカレード・コンフィデンス2 詐欺師は少女と仮面仕掛けの旅をする (MF文庫J)
マスカレード・コンフィデンス2 詐欺師は少女と仮面仕掛けの旅をする
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滝浪 酒利/Roitz KADOKAWA 2024年02月24日
浜辺での死闘を経て騎士団から逃げるため、クロニカを救うために海の先を目指すライナス。しかし突如として現れた新たな刺客が二人の行く手を再び阻む第2弾。窮地に陥った二人を救って在共和国大使館に迎え入れた巫女アナヒト。共に向かった蒸気帝国の帝国外軍商社でのあからさまな処遇と騒動、アナヒトの望まぬ結婚を巡る過去。相変わらず殺しても殺しても死なない貴族がしぶと過ぎて、何とか因縁の決着をつけても残ったラスボスがこれまたエグい(苦笑)流石に相手が悪くてライナスのゆかいなヒロインたちでも厳しい戦いを強いられる中、それでも最後まで諦めないライナスには痺れましたけど、最後の提案が彼らにとって果たして吉と出るか凶と出るか…今後の展開が気になるところではあります。
男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと4 百合の間に挟まる男として転生してしまいました (MF文庫J)
男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと4 百合の間に挟まる男として転生してしまいました
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端桜 了/hai KADOKAWA 2024年02月24日
冒険者として行方不明者の捜索に当たっていたヒイロのもとに、寮長ミュール誘拐の情報がもたらされ、そこで妹を餌に誘い出されたクリスと出会う第4弾。どうやら犯人の正体はヒイロの命を狙う三条家の一味と魔神教フェアレディ派の思惑が合致した混合勢力で、仲間たちと敵のアジトに潜入して奇襲で奪還に成功したものの、その直後に精神に干渉する「夢畏施の魔眼」を操る魔人フェアレディが復活してしまい、魔神の夢に囚われてしまうヒイロとクリス。あくまで百合にこだわるヒイロと妹への複雑な想いをこじらせたクリスという、面倒くさい組み合わせでしたけど、夢の設定に流されかけたり、囚われかけながら、それでも葛藤を乗り越えて力を合わせる熱い展開はなかなか良かったですね。
なりすまし聖女様の人生逆転計画 (ダッシュエックス文庫)
なりすまし聖女様の人生逆転計画
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片沼 ほとり/あさなや 集英社 2024年02月22日頃
庶民出身ゆえに、凄腕魔術師でも軍隊で差別的な扱いを受けていたアリシア。戦死を装い聖女召喚の儀に割り込んで聖女になりすます人生逆転ガールズコメディ。ある日の戦場で上官の嫌がらせで単騎出陣を命じられ、敵の待ち伏せにより危機に陥ったものの、自分の死体を偽装することで無事に逃げ切り、もう軍を辞めたいと愚痴る彼女に、孤児院時代からの悪友でゴシップ誌を発行するマリーヌからいっそのこと聖女になってみればと提案されるアリシア。実力を見せて首尾よく認定されて、マリーヌを参謀に演じる聖女役は意外と庶民に人気で、もう一人の聖女が現れて対立の構図からの陰謀に巻き込まれる展開でしたけど、持ち前の魔術と人の良さで切り抜けるなかなか楽しい物語になっていました。
竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る (メディアワークス文庫)
竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る
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fudaraku KADOKAWA 2024年02月24日頃
明治の終わり、病死した父が商っていた家業を継ぐため東京から金沢にやってきた十七歳の菖子が、二代目竜胆を襲名して怪異をもてなす魅惑的な地獄遊戯の物語。父が「竜胆」の名の下で、三人の商者、三人の下男とともに夜の訪れと共にやってくる怪異「おかととき」をもてなしていた話を聞き、詳細を何も知らぬまま、初めて迎えた驚愕の宴の夜。優しい彼女の戸惑いやためらいがさらなる悲劇を生む地獄の光景に直面して、葛藤を抱えるようになっていく菖子がなぜ父はこのような商売を始めたのかと思うのは当然の展開でしたけど、その事情が明らかになっていくと同時に、思ってもみなかった展開へと繋がってゆくその結末は予想もつかなかったですけど、なかなか印象的に残る物語になっていました。