今回は1月オーバーラップ文庫・MF文庫J・MFブックスの新刊感想まとめです。内訳はオーバーラップ文庫が新作3点、続刊1点、MF文庫Jが続刊2点、新作3点、ダッシュエックス文庫の新作1点、MFブックスが続刊1点の計11点です。気になる作品があったらこの機会に是非読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
【第10回オーバーラップ文庫大賞<金賞>】
これが「恋」だと言うのなら、誰か「好き」の定義を教えてくれ。 1 (オーバーラップ文庫)
これが「恋」だと言うのなら、誰か「好き」の定義を教えてくれ。 1
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北条連理/サコ オーバーラップ 2024年01月24日
忘れられない過去を拗らせている大学生・寺田悠。孤独を抱えた彼が冬の夜の帰り道、公園で寒さに震えるあざと可愛い人気者の後輩・藤宮光莉から助けを求められる青春小説。うっかり家に泊めて以来、頻繁に家へやって来てウザ絡みする光莉と、面倒に思いながらそれを受け入れてしまう悠が積み重ねていく、微笑ましくてかけがえのない日常。一方で明らかになってゆく光莉が抱える複雑な事情があって、お互いに不器用で苦い過去を抱えているがゆえにすれ違いかけましたけど、それを乗り越えて向き合い始めた二人の関係がこれからどう変わっていくのかとても楽しみです。光莉が所属していたサークルで二人の関係を意識する和田の存在もなかなかいい感じに効いていました。
【第10回オーバーラップ文庫大賞<銀賞>】
最強守護者と叡智の魔導姫 1 死神の力をもつ少年はすべてを葬り去る (オーバーラップ文庫)
最強守護者と叡智の魔導姫 1 死神の力をもつ少年はすべてを葬り去る
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安居院 晃/tef オーバーラップ 2024年01月24日
ブリューゲル王国の禁書だけを所蔵する禁忌図書館。それを管理して守護する最高司書官のクムラと補佐官のヴィルのコンビが、危機に立ち向かうビブリオファンタジー。酒好きだけれど有能で、隙あらば執着しているウィルに求婚しようとする最高司書官クムラと、そんな彼女を支える副官ヴィルが共有する秘密。そんな二人が突如禁書の封印が解けて出現した霧の巨人に対処したり、ヴィルの秘密の力が欲しいと勧誘する帝国の思惑に巻き込まれてゆく展開でしたけど、二人の間には容易には断ち切れないなかなか業の深い特異な繋がりや、積み重ねてきたかけがえのない絆があって、それがこれから彼ら何をもたらすのか、どんな関係になっていくのか今後の展開が楽しみです。
【第10回オーバーラップ文庫大賞<銀賞>】
魔法警察ファンシー☆マリリン 1 ~証拠がなくても即逮捕!~ (オーバーラップ文庫)
魔法警察ファンシー☆マリリン 1 〜証拠がなくても即逮捕!〜
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やますやま/さまてる オーバーラップ 2024年01月24日
高校生探偵として数々の難事件を解決してきた迷渕零人。彼が赴いた殺人現場に突如現れた自称・魔法警察のマリリンの迷推理に振り回されるマジカル推理コメディ。魔法の国からやってきて零人を助手に指名し、事件現場に突然現れて魔法で犯人を当てたり、家に侵入し勝手にご飯を作ったりとやりたい放題のマリリン。そんな彼女に振り回されながら挑む六つ子殺人事件、校内で起きた窃盗事件や密室事件、宝石盗難事件やコンビニ連続強盗事件、洋館失踪事件。魔法で犯人は特定するものの動機や犯行方法は全くわからないマリリンと、それを推理で埋めていく零人のコンビも、学校ではまた少し違う関係性があって、マイペースな彼女の行動に付き合ううちに徐々に慣らされていく零人が微笑ましかったです。
幼馴染たちが人気アイドルになった 2 (オーバーラップ文庫)
幼馴染たちが人気アイドルになった 2 〜甘々な彼女たちは俺に貢いでくれている〜
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くろねこどらごん/ものと オーバーラップ 2024年01月24日
幼馴染のアイドル二人が和真を生涯養う宣言をして、将来安泰と胸をなで下ろしたのも束の間、今度は彼同様「働きたくない」を標榜するクラスメイト夏純紫苑が現れる第二弾。前回の事件をきっかけにヤンデレにジョブチェンジしてしまい、信用できない和真を監禁する願望を抱える雪菜とアリサ。そんな彼女たちの言動にビビりながらも、密かにメイドの菊乃や二人の同僚瑠璃も手中に収めつつある和真が、紫苑に弱みを握られて彼女の不労所得人生プランに協力する展開で、相変わらず彼のどクズな発想にはドン引きでしたけど、ますますカオスになっていきそうな先の読めない今後の展開が楽しみです。
義妹生活10 (MF文庫J)
受験を控えた悠太と沙季にとって、初めて尽くしの高校生活最後の夏。そんな中、読売栞の就職前の最後の思い出にと、バイト仲間たちとのデイキャンプが企画される第10弾。思い出を作る最後のチャンスである夏休みに、悠太と一緒に花火大会に行きたいと思いながら、焦るように勉強する彼を誘っていいものか迷う沙季。そんな追い詰められたように勉強する悠太を気にかけて声を掛けてくれる人がいて、一方読売先輩の発案で一緒に行くことになったデイキャンプでも悠太に近い後輩の距離感にヤキモキする沙季が微笑ましくて、どちらも相手を気にかけ過ぎていてもどかしいですが、彼ららしい向き合い方でひとつひとつ一緒に乗り越えてゆく二人の関係性が良かったです。
カルネアデス 2.孤高の吸血姫と孤独な迷い猫 (MF文庫J)
カルネアデス 2.孤高の吸血姫と孤独な迷い猫(2)
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綾里 けいし/rurudo KADOKAWA 2024年01月25日
世界に隠された真実を探るため共に戦いを続ける天使警察エルと、気弱な悪魔イヴのバディ。ある日、最強の種族・吸血鬼の連続殺害事件が起きている報せが入る第2弾。どうやら吸血鬼の連続殺害事件の犯人は吸血鬼殺しに特化した狩人らしく、大昔に吸血鬼と最終戦に臨んだ最後の狩人が蘇ったという不穏な噂も囁かれる中、吸血鬼の姫ノアへの借りを返すべく彼女に力を貸すことになったエルたち。だんだん息の合ったいい感じのコンビになってきたエル&イヴや、ルナとノアのペット・ハツネも交えたほのぼの感も良かったですけど、何よりもノアを巡る最後の狩人との何とも切ない因縁や、固く結ばれたノアとハツネ主従関係の行く末がとても印象的なエピソードになっていました。
私を選んで、あなたのキスで ~運命のカノジョは私だけ!~ (MF文庫J)
私を選んで、あなたのキスで ~運命のカノジョは私だけ!~(1)
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星奏 なつめ/Parum KADOKAWA 2024年01月25日
懐かれている親友の妹・七星恵令奈と行ったお祭りの最中に、前世の記憶を思い出した高校生・陽高俊斗。そこに前世の恋人の波動を放つ転校生・瑠衣が現れる青春小説。前世の記憶を語り運命的な出会いをアピールする恵令奈とは対照的に、その身にまとうオーラは明らかに彼女なのに過去を語りたがらない瑠衣。前世の彼が来世での再会を誓ったフィオナは恵令奈なのか、瑠衣なのか。間違えるわけにはいかない選択の鍵を握る記憶が段階的に解放されていく中で、思ってもみなかった前世の結末も明らかになっていきましたが、それを踏まえて俊斗が果たしてどちらを選ぶのか、どんな結末が待っているのか、いろいろと続きが気になるシリーズですね。
隣の部屋のダ天使に、隠しごとは通じない。 (MF文庫J)
隣の部屋のダ天使に、隠しごとは通じない。(1)
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砂義 出雲/かるかるめ KADOKAWA 2024年01月25日
三年前に起きた人類の半分が死亡するウイルス拡散事件以来、犯人の息子として壮絶な日々を送る冥賀春継。天国から派遣された美少女堕天使ペネと共に悪魔犯罪に立ち向かうファンタジー。事件後、悪魔が引き起こすようになった超常的な犯罪を解決するために派遣された、怠惰で人見知りなペネ。二人が挑む上空五百メートルでの密室殺人、忽然と姿を消した学園の生徒、寺院での復活を予告した悪魔。さらには時間遡行して過去の事件に挑んだ二人が対峙した思わぬ真相でしたけど、ペネが冥賀を選んだ理由も明らかになってゆく中で、何だかんだで二人で積み重ねてきたコミュ障な天才のペネとそれをフォローする冥賀のコンビはなかなか良かったですね。そんな二人に関わる兄大好きな妹の真理亜の存在も効いていました。
響界メトロ -SOUNDary LINE- (MF文庫J)
響界メトロ -SOUNDary LINE-(1)
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あさのハジメ/SOLANI/アルセチカ/kyoukaimetro project KADOKAWA 2024年01月25日
周囲から認められず孤独を感じていたカナタ。そんな彼女がちょっと変わった転校生カイと屋上で出会い、少しずつ変わってゆく「ボーカル」×「ボカロP」スピンオフ青春小説。かけがえのない時間を共に過ごして、安心できる居場所となり、カナタの歌を認めてくれたカイの存在。それによって変わってゆくカナタと、思ってもみなかった形での暗転。絶望しかない世界を変えるため、運命を変えてくれる最果ての駅にいるQを探し求めるカナタが出会った少女イツキの存在があって、どうすれば皆で幸せな結末を迎えられるのか、カナタとカイがそれぞれに試行錯誤しながら、最後まで諦めずに方法を探し続けて、遠回りしながらも引き寄せてみたその結末がなかなか印象的な物語になっていました。
高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない (ダッシュエックス文庫)
高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない
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ミソネタ・ドザえもん/ゆがー 集英社 2024年01月25日頃
ある日の深夜、コンビニでバイト中の大学生・山本は、レジでスウェット姿の高校時代の同級生・林恵に声を掛けられて偶然再会する青春小説。高校時代は勝ち気で傲慢がゆえに「女王様」と呼ばれ、不仲で苦手だった林。そんな彼女の手首に痛々しい青あざがあるのを見てしまい、同棲相手のDV事情を聞いて自分の部屋に匿うことを即断する山本。スマホも破壊されてしまい、実家も勘当状態で頼れる相手もおらず孤立していた彼女を心配して、真摯に向き合ってくれる山本の存在は大きかったですね。作中では5日間しか経過していないものの、お互いの印象が激変してゆく濃厚な日々で、問題は未だ何も解決していませんが、二人の関係がこれからどう変わるのか今後が気になるところです。
手札が多めのビクトリア 3 (MFブックス)
ある日暴漢に追われる女性を助けたビクトリアたち。怪我を負った女性の代わりに影武者の任務を引き受けることにしたビクトリアが、自らの意志で工作員に復帰する第3弾。大きな式典を控えるアシュベリー王国の王太子妃、デルフィーヌの影武者を務めることになったビクトリア。一方、隣国との金鉱を巡る交渉に駆り出されるジェフリーと、兄の家に預けられたもののたびたび抜け出すノンナ。様々な思惑が入り交じる中でも冷静に状況を見極めて、仕事を全うしてみせたビクトリアの多彩なプロフェッショナルぶりは流石でしたけど、神出鬼没のノンナも末恐ろしい可能性を垣間見せて、何より今回の騒動ではエドワードの辣腕っぷりが効いていました。ジェフリーやビクトリアもこれから大きな転機を迎えそうですね。