今回は9月MF文庫J・オーバーラップ文庫・ブレイブ文庫・MF新文芸の新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jの新作3点、オーバーラップ文庫の新作2点、続巻2点、ブレイブ文庫の新作2点、MF新文芸の続巻1点の計10点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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みみみみ -神手洗澪には未来が視える- (MF文庫J)
最終的に人類の勝利に終わった、地球に現れた外敵【IW禍】との戦い。『未来視』で人類を勝利に導いた『元』救世主・神手洗澪とのありふれた恋物語。世界に平和が戻ってきて復興が進められる中、戦いの中で後方支援として有能さを示して、澪の側近に選ばれた桃澤基雄。学校では正体を隠しつつ恋人同士として、放課後はお隣さんとして共同生活を送る日々。特別な力を当たり前のように使うことが日常的になっている澪でしたけど、一方で特別な存在であることを自覚する彼女だからこそ、ありふれた幸せを夢見る一人の女の子であることは変わらなくて、彼女に対する認識のズレから起きたすれ違いを乗り越えて、大切な関係を取り戻していく結末はなかなか良かったですね。
パルパネルは再び世界を救えるのか (MF文庫J)
長い旅の末、魔王を倒した勇者パルパネル。たった一人で魔王討伐を果たした彼が、光を失いし天使、一匹の蛙とともに送るスローライフ。神の遣いの天使に魔王を倒した褒美として、冗談で言った不老不死をあっさり付与されてしまったパルパネル。なぜか天界に戻れなくなった天使、かつて蛙に変えて封印した不死の霊王アルダモートと人里離れた山奥で暮らし始める展開で、著者さんのことだからどんな殺伐とした物語になるのかと思いきや、そうそう死なないメンツだけに安心感は抜群で(苦笑)、時には世界の危機に立ち向かいながら、意外と普通に三人でわいわいとスローライフを楽しんでいて、何だかんだ言いながらもそんな中で育まれていく絆がなかなか良かったですね。
横溝碧の倫理なき遊戯の壊し方 (MF文庫J)
SNSで活動する名探偵のジェノサイド江戸川が、生活費を使い込まれて困窮してしまい、仕方なく大企業主催の脱出ゲームに参加するデスゲーム物語。社会の裏で開催されている命と大金を賭けた殺し合うデスゲームで、全ての殺し合いを秒で終わらせて、司会の少女・姫野心音を手錠で自分と繋いで人質に取る江戸川。さらにルールの穴を突いて、全プレイヤーが生存して上でのゲームクリアを目指す展開で、名探偵がデスゲームをどう突破していくのか、シンプルなゲームの裏を突いていく江戸川の発想がなかなか痛快でしたけど、相対する黒幕は手段を選ばず、問答無用で殺そうとしてくる勝つまでいつまでも諦めないような悪辣な存在で、すっかり黒幕を敵に回してしまった2人がどうなるか、未だ謎もいろいろ多くて続巻への期待が高まりますね。
クラス転移したけど性格がクズ過ぎて追放されました 1 (オーバーラップ文庫)
フーツラ/ウラシマ オーバーラップ 2024年09月21日
勇者召喚によりクラス丸ごと異世界転移させられた番藤茶太郎。しかし番藤は自分に勇者の紋様がなく、侵略者の称号を持っていることに気づくファンタジー。勇者の紋様を持っているか否かで格差が生まれる扱い。そんな中で自分の侵略者の称号は迫害の対象なのではないかと気づき離脱を図る番藤。固有スキルの「穴」で窮地を脱した彼が、地下組織リザーズと繋がりを作り、落ちこぼれ扱いの仲間たちを拾って仲間にしたりしながら勢力を拡大していく展開で、無邪気に慕ってくるS級冒険者の死霊遣いリリアナは何気にヤバくて苦笑いでしたけど、現状を変えたい隣国の帝国も上手く巻き込みながら、エミーリアが思い描いた盤面をひっくり返していく展開はなかなか面白かったです。
異世界帰りの勇者先生の無双譚 1 (オーバーラップ文庫)
次佐駆人/竹花ノート オーバーラップ 2024年09月21日
異世界に勇者として召喚され、魔王と相打ちになった相羽走。気が付けば手にした力はそのままに召喚前の現代に戻され、私立の女子校に赴任するファンタジー。普通の日常を送れると思った矢先に、山奥で非現実的な謎の化け物と戦う教え子で裏の剣士・青奥寺に始まり、銀河連邦所属の独立判事・新良、秘密組織のエージェント双党、メスガキ魔法少女リーララと、裏の世界で戦う女の子たちが通う学校だと知っていく展開はなかなかカオスで、一見バラバラに見えたそれぞれのストーリーも、徐々に繋がりが見えてきましたね。要所で先生の勇者として圧倒的な力を見せるのに、正直に話している事情をなかなか信じてもらえなかったですけど(苦笑)たびたび窮地に陥る教え子たちを救って慕われるようになってゆく展開はなかなか良かったです。
孤高の華と呼ばれる英国美少女、義妹になったら不器用に甘えてきた 2 (オーバーラップ文庫)
ネコクロ/Parum オーバーラップ 2024年09月21日
『孤高の華』と呼ばれる英国美少女・ソフィアと義兄妹になった白川賢人。ソフィアがずっと昔から野球部のマネージャーを夢見ていたことを知る第2弾。同居生活やお出掛けなどを積み重ねていく中で、少しずつ賢人に心を開き始めていったソフィアの密かな願い。特進科に所属するソフィゆえの難しい局面もあって、それでも彼女のために一度を諦めた夢を叶えようとする賢人という構図でしたけど、顧問やマネージャーにもフォローしてもらいながら、一見無謀とも思える条件をクリアしてみせた賢人の奮闘が光りましたね。最後のオチには思わず笑ってしまいましたが、少しずつでも確実に変わっていくこれからの2人が楽しみです。
10年ぶりに再会したクソガキは清純美少女JKに成長していた 5 (オーバーラップ文庫)
館西夕木/ひげ猫 オーバーラップ 2024年09月21日
朝華が勇にぃに夜這いを仕掛ける様子を目撃してしまった眞昼。様々な出来事で感情がぐちゃぐちゃになった彼女の葛藤が描かれる第5弾。朝華の想いを勝手に聞いたうえ、邪魔をしてしまった罪悪感や、勇にぃと朝華が関係を持たなかったことへの安心感、遠く離れた2つの実業団バレーボールチームからのスカウト。したたかにチャンスを狙う朝華、文学賞を目指す未夜の存在もあって、自分がどうすべきなのか迷いに迷う展開でしたけど、こういう時に先達のアドバイスは大きいですね…ふっきれた彼女のこれからも楽しみですけど、ややシリアスな展開も多かっただけに、クソガキ時代の彼女たちとの相変わらず微笑ましいやりとりには癒やされました。
隣に住んでる聖女様は俺がキャラデザを担当した大人気VTuberでした (ブレイブ文庫)
乃中カノン/ねいび 一二三書房 2024年09月25日頃
神絵師「かんきつ」として活動する影の薄い男子高校生・朱鷺坂庵が、これまで常に塩対応だった隣人の水瀬明澄から意外な問いを投げかけられるVtuber小説。美しい容姿や優等生ぶりから学校で「聖女様」と崇められていて、実は庵がキャラデザを担当している大人気VTuver京氷菓の中の人だった明澄。思わぬきっかけからママである「かんきつ」の正体を知ったことから、もともと配信上でいい感じのコンビだった2人は一緒に過ごす時間が増えていって、お世話したりされたりを積み重ねていくことで、相手の思わぬ一面を知ったりもして、お互いに少しずつ意識してゆく展開でしたけど、これからもっと甘い感じになっていきそうなこれからの展開が今から楽しみです。
妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件1 (ブレイブ文庫)
江波界司/みず(artumph) 一二三書房 2024年09月25日頃
妹が名家の令嬢設定のVtuber春風桜であることを知らず、うっかり放送に映り込んだ兄が配信に巻き込まれてゆくVtuber小説。Vtuberの妹は寝落ちしていたその配信が人気を博したことから、勝手に2D化されて負けたら罰ゲームのドSなゲームの魔王としてすっかり定着していく兄者。時々やらかす天然な妹との軽妙な掛け合いだけでなく、アニメ好きオタクで反応してくれる兄者を慕う紅葉、天然聖女で嫁扱いされる菫だったり、凶運ゲーマー夜斗といった所属ライバーともコラボするようになっていく構図で、やたらとパロネタも多くて苦笑いでしたけど、ライバーたちに懐かれてすっかり欠かせない存在になってきた兄者のこれからが楽しみです。
退役をきっかけに留学先のエルフの国ルース王国の幼年学校で数々の料理を子供たちに振る舞うシレンツィオが、ルースの地に存在するエルフ料理の謎と対峙する第2弾。時には魔法に興味を抱き、蕎麦や醤油を扱うエルフ料理を作ってみたりと興味の赴くままに日々を送っていたシレンツィオが直面する、エルフの子どもたちを襲った食中毒問題。美味しそうな料理を幼女たちに振る舞う様子や、彼を巡る羽妖精ボーラやエルフの幼女たちのせめぎあいも楽しかったですが、子どもたちのために解決方法を探るシレンツィオの姿勢はどこまでも真摯で、試行錯誤しながら原因を究明していく中で意外な事実も明らかになっていったり、ボーラとの確かな絆も感じられる部分もあって、今回もいろいろと興味深く読めました。

