今回は5月MF文庫J・オーバーラップ文庫・ダッシュエックス文庫・メディアワークス文庫の新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jの新作1点、続巻3点、オーバーラップ文庫の新作2点、続巻3点、ダッシュエックス文庫の新作1点、メディアワークス文庫の新作1点の計11点です。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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電脳バニーとゲームモノ。 (MF文庫J)
記憶喪失の状態で拡張都市パンドラの見知らぬ路地裏で目を覚ました少年・波止場皐月。Nav.bitにサポートされながら生きる世界で、何も知らない彼が頭脳バトル「パンドラゲーム」でギャンブルシティを生き残る近未来サイバーパンクファンタジー。ホログラムとゲームが溢れる街中で、バニー姿の波止場担当コンシェルジュ・ツキウサギから簡単に状況を説明された皐月。記憶・住居なし残金わずかな絶体絶命の状況を打破するため、勝てば願いが叶うチートイカサマなんでもありのゲームで、不運というハンデを追いながら大人気配信者・櫃辻ミライや、神がかり的ラッキーガールな令嬢・渡鳥メイに挑む展開で、かけがえのないものを懸けて挑む相手とのギリギリの駆け引きを繰り広げるゲーム、自身の失った記憶や明らかにされてゆくこの世界の真相に迫ってゆく展開はなかなか面白かったです。
この恋、おくちにあいますか?2 (MF文庫J)
白姫リラに迫る危機を救い、ほんのちょっとだけ距離感が縮まった君波透衣。そんな中、店の倉庫でカミーユさんと金髪の幼女が一緒に写った写真を見つける第2弾。写真に写った幼女がリラではないかと疑問を持ち、彼女が名目上と別の理由で自分や店に接近してきたのではないかと考えた透衣と、リラのの口から語られる真実と過去。真相を知った透衣が目指していたものを見失ってしまう展開でしたけど、そんな彼のことを見守ってくれていた人たちがいて、周囲の人々と様々な話をする中で透衣が本当に大切なものを自覚していく中、必ずしも報われる想いばかりではありませんでしたけど、確かな成長を感じさせてくれたその結末はなかなか良かったですね。
探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。2 (MF文庫J)
夜方 宵/美和野 らぐ KADOKAWA 2024年05月24日
本格的名探偵・推川理耶の提案で万桜花家の別荘がある小さな離島を訪れた幸太たちSIP一行。オウガ様という鬼の伝承が残る離島で事件に巻き込まれてゆく第2弾。かつて鬼ヶ島と呼ばれた離島で美味しい料理や砂浜で水遊び、浴衣姿を披露しあったり小旅行を満喫する幸太たちが、年に一度の祭り「業落とし」の夜に発見する島の村長の遺体。いかにもクローズドサークルっぽい流れからの、目隠し幼女イリスを狙う危険な陰謀も明らかにされてゆく展開になっていて、その可愛らしさに加えて、過去の事情も掘り下げられたイリスは今回なかなか存在感がありましたけど、何よりそれまでの空気を全然読まない最後のオチには鮮烈なインパクトがあって、この物語らしさがよく出ていました。
神は遊戯に飢えている。8 (MF文庫J)
超獣ニーヴェルンとのマーダーミステリーに勝利したフェイ。その活躍に危機感を抱いたヘレネイアは切り札とも言える天使の長フレイヤにフェイとの対戦を持ちかける第8弾。いよいよ人類未踏の領域へと近づいたフェイたちの「神々の遊び」完全攻略を阻止すべく立ちはだかった、フレイヤとと配下たちを相手に天使の学園を舞台にしたゴールの場所が不明のタイムアタックバトル。先達が遺した叡智の書を手がかりに、ひとつひとつ試行錯誤しながら攻略していくフェイたちが行き詰まった末に気づく根本的な勘違い。今回も単純だけれどなかなか気づけそうにない罠を上手く使っていて面白かったですけど、気になるエピローグもあったりで今後の展開が楽しみですね。
骨姫ロザリー 1.死者の力を引き継ぐ最強少女、正体を隠して魔導学園に入学する (オーバーラップ文庫)
朧丸/みきさい オーバーラップ 2024年05月23日
魔導を持つ魔導騎士が支配する世界。死霊騎士の属性を持つ少女・ロザリーが、かつて最強と謳われた死霊騎士ヒューゴの死体と運命の出会いを果たすファンタジー。霊が見えるゆえに人々に忌み嫌われ、死体から情報を得る仕事をさせられていた時に、ヒューゴから強大な力を引き継いだことで覚醒するロザリー。彼女がヒューゴに導かれて放浪の旅をした末に居場所を求めて真の力を隠したまま入学した魔導学園。死霊騎士であることを隠しながらも実力を認められ、かけがえのない仲間にも巡り会えた彼女が、動かなければ仲間が危機に陥る状況で覚悟を決めて立ち向かう姿が印象的でしたけど、それによって圧倒的な力を知られたロザリーに対する様々な思惑も垣間見えて、彼女の今後が気になりますね。
断罪された転生聖女は、悪役令嬢の道を行く! (オーバーラップ文庫)
聖女として助けてきた人々に裏切られて無実の罪で処刑され、300年後、彼女は絶大な力をそのままに転生したルナ。断罪された聖女が悪役令嬢を目指す、最強セカンドライフファンタジー。裏切られた前世の思い出から、学院内では聖女とバレないよう目立たず過ごしつつ、裏では全身甲冑を纏った謎の冒険者として活動し始めるルナ。しかしポーションを作ればエリクサー、魔法のレベルは異次元、凶暴な魔獣をペットにと、やることなすこと注目を集めてしまう彼女の存在感は際立っていて、小説のような悪役令嬢は無理なのでは…と苦笑いでしたけど、一緒に危機を乗り越えて仲良くなれそうなお友達もできて、一方で聖女復活を待望する人々もいたりして、彼女がこれからどんな存在になっていくのか今後の展開が楽しみです。
弱小国家の英雄王子 2 ~最強の魔術師だけど、さっさと国出て自由に生きてぇぇ!~ (オーバーラップ文庫)
楓原こうた/トモゼロ オーバーラップ 2024年05月23日
ルーゼン魔法国家を筆頭とした連合軍相手に勝利を収めた弱小国家の英雄王子アレン。しかし今度は捕虜として連れ帰った賢者の弟子ジュナを巡る新たな戦争に巻き込まれてゆく第2弾。捕虜になったはずなのに、なぜかアレンにすっかり懐いてしまったジュナ。結果として捕虜になったジュナを救出しようとする魔法国家軍と、アレンに褒めてもらうために魔法国家軍に攻撃するジュナという不可思議な構図が生まれる中、周辺各国も巻き込んで混沌とした状況になってゆく展開でしたけど、魔法国家が卑劣な手段でジュナを脅迫して、素直になれない彼女のために立ち上がるアレンの熱い想いや、それに応える個性的なキャラたちの見せ場もしっかりあって、それぞれの因縁も絡めた熱い戦いの結末は…まあこれもお約束ですね(苦笑)
学生結婚した相手は不器用カワイイ遊牧民族の姫でした 2 (オーバーラップ文庫)
どぜう丸/成海七海 オーバーラップ 2024年05月23日
とある事情で結婚した高校一年生の志田亨と遊牧民の姫メイユエ。少しずつ歩み寄り、夫婦らしくなってきた2人が横浜デート&開運部の皆で海合宿と夏休みを満喫する第2弾。開運部が生徒会から目をつけられたり、テストに向けた勉強を何とか乗り越えて突入した夏休み。新キャラとして小紅の幼馴染・千和も登場して、目的はそれか!と苦笑いでしたけど2人で一緒に横浜デートしたり、開運部の仲間と向かった夏合宿で海を満喫する一方、水着回やオカルト絡みのイベントに立ち向かうとても夏休みらしい展開になっていましたね。いろいろ関わってくるキャラはいるものの、基本的には2人を軸にほんのり甘くじっくりと関係を育んでいく方向性ということもあって、安心して楽しめるストーリーになっていました。
ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 3 (オーバーラップ文庫)
遥 透子/秋乃える オーバーラップ 2024年05月23日
ミスコンの優勝賞品として、旅行券を手に入れた真冬のおかげで3人と一緒に旅行へ行くことになった蒼馬。しかし3人に押し切られてなぜか彼女たちと同部屋にされてしまう第3弾。蒼馬を意識するVTuberの林城静とアイドル声優の支倉ひより、そして幼馴染の水瀬真冬が、それぞれに思惑と覚悟を秘めて臨む四人一緒の旅行。蒼馬一緒に寝るために密かな駆け引きが繰り広げられたり、さりげなくぐいぐい迫ってくる魅力的なヒロインたちそれぞれにもしっかりと見せ場があって、理性的な蒼馬も落ち着かない気分になるくらいには、彼女たちの大胆なアプローチもじわじわと効いていましたけど、一方で蒼馬会がみんなのかけがえのない居場所になってきていて、彼女たちとの関係がこれからどうなるのか気になるところです。
タメ口後輩ギャルが懐いたら、さすがに可愛すぎる (ダッシュエックス文庫)
高校二年生の秋。生徒会長に就任した辻堂正近が、生徒指導の体育教師に喫煙の嫌疑をかけられていた後輩ギャルの大庭萌仲の危機を助けて、なぜか妙に懐かれてしまう青春ラブコメ。気まぐれに助けただけで関わることはないと思っていたのに、生徒会室に毎日押しかけてきたり、一緒に行事の準備を手伝ったり、休日にデートに誘ってきたりとぐいぐい距離を詰めてくる萌仲。会計の茉莉がいるくらいのミニマムな生徒会で、時には茉莉とぶつかり合いながらもめげず徐々に認められて、しっかりと居場所を確保してゆく萌仲の積極性が光りましたね。2人を目の敵にする因縁の教師を巡る決着にはやや驚かされましたが、萌仲が正近を意識した過去エピも明らかにされて、なんとも初々しい距離感な2人のこれからが楽しみです。
境界のメロディ (メディアワークス文庫)
メジャーデビュー目前にして相方のカイを事故で亡くしたキョウスケ。それから3年が経過して、音楽から距離を置き無気力に生きていた彼の前に、突然カイが現れる青春小説。生前と変わらない歯に衣着せぬ物言い。そして思わずつられて笑顔になってしまう強引さ。カイに説得されて再び音楽の世界と向き合い、共に音を重ねる喜びを感じてゆくキョウスケ。さらに彼に協力してもらいながら、心残りを解消してゆくかのように、2人にとって大切な存在だったユイやカイの父、切磋琢磨していたライバルたちといった、あれから前に進めずにいた人たちにもそれぞれ向き合って、その背中を押してゆくカイの姿には切なさを感じずにはいられなくて、シンプルなストーリーラインながらもとても印象的な物語になっていました。

