今回は2月刊行のガガガ文庫・富士見ファンタジア文庫・GCN文庫・集英社オレンジ文庫新刊感想まとめです。内訳はガガガ文庫が続刊2点、富士見ファンタジア文庫の新作2点、続巻2点、GCN文庫の新作1点・集英社オレンジ文庫の新作2点、続巻2点の計11点になります。今回はなかなか面白いラインナップなので、気になる本があったらぜひこの機会に読んでみてください。
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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結 2 (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結(2)
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渡 航/ぽんかん8 小学館 2023年02月17日
年明け、迎えた新学期。冬休み中にあった葉山を中心とした噂が広まり始めて、それが雪乃や結衣にも影響を及ぼす俺ガイルのもうひとつの物語第二弾。渦中にあっても葉山は特に噂を否定せず、収束することなく燻り続ける状況。そんな状況に業を煮やした三浦からの奉仕部への依頼。このキャラクターの掛け合いとか地の文が俺ガイルなんだよな…としみじみ思いながら読みましたけど、相変わらずちゃっかりしているいろはすの存在感が際立っていて、本編ともディテールが少しずつ変わって、違うルートに向かっているのを感じますね。不器用過ぎる八幡に応えてみせた葉山が投げかけた最後の波紋によって、これから何か起きるのかちょっと期待しています。
衛くんと愛が重たい少女たち 2 (ガガガ文庫)
幼馴染・瑞希、DV姉・凛という障壁を超えて、どうにか京子とつきあうことになった森崎衛。しかし今度は京子に執着し続ける彼女の元アイドル仲間・桂花がわざわざ佐賀にやってくる第二弾。京子に複雑な思いを抱える桂花、彼女と裏で手を結び衛との関係修復を目指す瑞希、そして相変わらず独占欲が強く暴力的で衛を振り回す姉の存在。ヒロインたちの衛への重い愛や執着がたびたび衝突する中で、旧交を温める京子と桂花、彼女と対等な関係になりたい衛の思いも絡めて物語が再び動く展開で、どうにもならないところまで拗れてしまっても、それでも彼女のために最後まで諦めたくなくて奔走した衛の頑張りがとても光っていました。ヒロインたちの執着っぷりもヤバいなあ…と改めて思いましたけど(苦笑)
週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~ (ファンタジア文庫)
週に一度クラスメイトを買う話 ~ふたりの時間、言い訳の五千円~(1)
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羽田 宇佐/U35 KADOKAWA 2023年02月17日
ふとしたきっかけから、1回五千円で週に1~2回、同級生の宮城の部屋で命令される権利を行使される仙台。いつしか気まぐれな彼女の日常に振り回されるようになってゆく青春小説。一緒にゲームしたり、お菓子を食べさせたり、気分次第で危ない命令も時々。秘密を共有し始めて半年経っても、友達でも恋人でもないそんな曖昧な関係。ストレスの溜まる学校生活や家庭環境に疲れている仙台にとって、いつの間にかささやかな居場所となりつつある宮城は気まぐれで面倒くさくて、宮城の考えていることがよく分からないことに仙台がイライラする展開は分かる…と思いながら読んでいましたが、そこから踏み込んだことで二人の関係がここからどう変わるのか、これからに期待したい新シリーズです。
俺と妹の血、つながってませんでした (ファンタジア文庫)
俺と妹の血、つながってませんでした(1)
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村田 天/絵葉 ましろ KADOKAWA 2023年02月17日
超絶ブラコンの妹久留里に振り回される日々を送る高校生の入鹿光雪。妹が同じ高校に入学した日の深夜、両親から妹自身も知らない衝撃的な真実を告げられる青春家族小説。連れ子同士の再婚で久留里が血の繋がらない義理の兄妹であることを知り、衝撃を受けながらも秘密にしたままにする光雪。一方でそんなことも知らず、高校入学後はこれでもかとばかりに光雪に構ってちゃん全開で、仕方ないと思いながら妹ファーストな光雪という構図に、早くも注目を集めてしまう久留里。光雪が妹離れすべきなのか悩んでも、それが上手くいくわけもなく、その存在感が際立っていた彼女が自らの秘密をうっかり知ってしまってどうなるのか、これは続巻に期待しかないですね。
双星の天剣使い2 (ファンタジア文庫)
玄の侵攻を防ぎ切った隻影と白玲。しかし友邦国だった西冬も敵に回る依然として厳しい状況の中、それが分からない副宰相によって無謀な西冬征伐戦が立案される第二弾。どう見ても厳しい戦いになるのが見えている中で、その一軍として参加することになった隻影たち。そんな折に現れた仙娘を自称する金髪碧眼の少女・瑠璃の策で一矢報いて、張家軍は貴重な軍師を得たものの、全体として有力な将を次々と失う一方で、死んで欲しいクズほど生き残ってしまう最悪の結末で、裏から手を回して着実な手を打ってくる相手にどう立ち向かうのか、国内の状況があれなだけにさらに苦しい展開に追い込まれそうです…。
【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。7 (ファンタジア文庫)
【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。7
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氷高 悠/たん旦 KADOKAWA 2023年02月17日
恋人たちの一大イベント・バレンタインデーで結花の誕生日でもある2月14日。そんな大切な時期を迎えて、遊一と結花の関係に大きな転機が訪れる第七弾。同級生たちから背中を押されて、学校で遊一に告白する結花。かつての苦い思い出を乗り越えて前に進むことを決意する遊一。そして新ユニットの結成や新たな『八人のアリス』の発表。遊一に応援されながら結花が変わろうとずっと頑張りを積み重ねてきたからこそ周囲に認められた今があって、それがいろいろといい感じに実を結んでいって良かったです。その矢先に陥った危機的な状況も彼女たちならきっと上手く乗り越えてくれると期待しています。
世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。 (GCN文庫)
世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。
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編乃肌/桑島黎音 マイクロマガジン社 2023年02月20日頃
女装して人気美少女モデルhikariとして活動する高校生・晴間光輝。世界で一番可愛いと自負していた残念な彼と、そんな彼が気にかけるクラスの地味系女子・雨宮雫の可愛いを巡る青春小説。密かに女装モデルとして人気を集める一方で、人の見ていないところでも頑張っている雨宮さんを密かにフォローしてきた晴間が見出した、一見どうしようもなくダサいけれど磨けば光るその素材。ふとしたきっかけから繋がり彼女をどんどん可愛くする晴間くんと、その期待に応えて変わろうとする雨宮さん。そんな様子についつい周囲も応援したくなってしまう初々しい二人のこれからに期待せずにはいられません。
双蛇に嫁す 濫国後宮華燭抄 (集英社オレンジ文庫)
草原の民アルタナの娘として双子のように育った異母姉妹シリンとナフィーサ。族長の父は彼女たち二人を双子信仰が盛んな濫国の双子の皇帝に嫁がせる中華風ファンタジー。気が優しく刺繍と料理を愛するナフィーサは兄帝・燕嵐に、活発で弓と騎馬が得意なシリンは弟帝・暁慶の後宮に迎え入れられて、対照的な皇帝たちのもとでつい比較して複雑な想いを抱きながらも、それぞれが居場所を得つつあった矢先の不穏な疑惑、そして状況を激変させてしまう思ってもみなかった事件。姉妹たちも否が応でも巻き込まれてゆく激動の展開と複雑な因縁、彼女たちの苦衷の選択にはほろ苦さも感じましたけど、とはいえこれまで育んできたかけがえのない絆が失われたわけではなく、これはこれで彼女たちらしい結末だったように思いました。
かなりや異類婚姻譚 蛇神さまの花嫁御寮 (集英社オレンジ文庫)
かなりや異類婚姻譚 蛇神さまの花嫁御寮
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夕鷺 かのう/久賀 フーナ 集英社 2023年02月16日頃
没落華族に生まれた緋鳳院櫻子と、権勢を誇る蛇神一族の御曹司・冬夜との政略結婚。異能に目覚め彼に惨殺される未来を予知した彼女が、死を回避すべくやり直す和風浪漫ファンタジー。帝妃に選ばれる義姉を母といじめ抜いた結果、暗転した未来。予知能力に目覚めて冬夜と距離を置き、義姉との融和を図ることでルート回避を目指す櫻子。逆に溺愛される関係になっても新たな破滅フラグが立ったりでなかなか難しいなと思いましたけど、こうなってしまうとフラグ管理で回避するよりも、諸悪の根源を生贄に問題解決する方が早いですよね…。本気になったヤンデレはどう転んでも恐ろしくて、取り扱い注意だな…としみじみ思いました(苦笑)
威風堂々惡女 11 (集英社オレンジ文庫)
瑞燕国からの逃避行でシディヴァの領地を目指す雪媛一行。青嘉がシディヴァと共にいると知った雪媛は、何とか彼らのもとへ向かい合流しようと策を練る第十一弾。シディヴァとタルカンの戦が始まったことで各所で厳しい検問が行われ、そこで一行は散り散りとなってしまい、結果として様々なエピソードに繋がる展開で、シディヴァの戦いの方は案外あっさり終わった感はありましたけど、その合間で紆余曲折の末にまさに集結ともいうべき様々な再会がありましたね。一方で瑞燕国内の覇権を争う二勢力の何とも残念な状況も相まって、雪媛の次なる行動が果たして何を目指すのか、今後の展開に期待したいところではあります。
京都伏見は水神さまのいたはるところ ふたりの春と翡翠の空 (集英社オレンジ文庫)
京都伏見は水神さまのいたはるところ ふたりの春と翡翠の空
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相川 真/白谷 ゆう 集英社 2023年02月16日頃
デートの約束をしたものの拓己が体調を崩してしまい、その原因が桃山の幽霊屋敷にあると知ったひろが、水神の化身シロとともに屋敷を訪れる第九弾。ひろの前に現れたヒスイと名乗る謎の美青年。屋敷の持ち主で多くの作品に命を吹き込んで三十年前に亡くなった彫刻家・吉楽雀。いつも自分を守ってくれる拓己のために謎の解明に立ち向かうひろと、彼女が心配で仕方ない拓己という構図が噛み合わなくて、なかなかもどかしい展開でしたけど、雀とヒスイの思いも投影させながら、大切な相手だからこそ懸命に向き合おうとする不器用な二人の思いが良かったですね。