読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

「10代」をテーマにした単巻ラノベ20選

この前見かけたこんなツイートがありました。

こういう時にどういうセレクトが出てくるのか、それぞれの個性があって面白いですけど、これを見て自分なりに選んでみたいと思って20作品を選んでみました。

 

 

1.ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)

人と吸血鬼が昼と夜を分け合う世界。両親が営むコンビニを手伝う高校生・山森頼雅と、夕方に紅茶を買っていく自分と同じ蓮大附属に通う少女冴原綾萌と出会いを描く青春小説。頼雅と吸血鬼の少女冴原との出会いは不器用だけれどまっすぐで、容易には越えられない壁を感じながら、それでも惹かれ合う二人の思いにとても切ない気持ちになりました。そんな思い悩む吸血鬼の冴原も、夜の世界では厳しい指導ぶりにバレー部の後輩から「オニハラ」とか呼ばれてしまう存在。ファンタジーな設定が日常に溶け込んでいる、ステキな世界観でした。

 

2.下読み男子と投稿女子 -優しい空が見た、内気な海の話。 (ファミ通文庫)

どんな作品も面白いと感じるラノベ新人賞の下読み高校生アルバイト・青と、厳しい祖母との生活や投稿作への酷評から自信をなくしかけていた同級生の美少女・氷ノ宮氷雪。本来出会うはずのない二人が出会い、二人で協力しながら投稿作品を作り上げていく二ヶ月間。周囲とうまく付き合うことのできなかった氷雪と、孤高の彼女に自分は釣り合わないと思う青。お互いに影響を受けて強く惹かれていきながらも、そこからあと一歩を踏み出す勇気を持てないもどかしい二人の迷いや、それを乗り越えようとする真摯な想いが心に響く素敵な青春創作物語でした。

 

3.彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

  • 作者:三田 千恵
  • 発売日: 2018/08/30
  • メディア: 文庫
 

嘘がわかる特異体質を持つ遠藤正樹。そんな彼が気になる決して嘘をつかない川端小百合と常に振りまく学校のアイドル佐倉成美、死んだ共通の友人を巡る願いと嘘と恋が交錯する青春ミステリ。「彼女は殺された」という川端と「彼女を追い詰めたのは私」とうそぶく佐倉。ともに過ごす時間が増えてゆく中で正樹にだけ見せる彼女たちの素顔と、正樹と父親の関係。新事実が明らかになってゆくたびにガラリと変わってゆく構図。彼女たちがついた嘘は切なくも優しくて、真実に向き合ったからこそ見えたその想いとはっとするような結末はとても印象的でした。

 

4.読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

  • 作者:岬 鷺宮
  • 発売日: 2017/04/08
  • メディア: 文庫
 

期待もない新学年のホームルーム。高校生・細野亮の前に愛してやまない物語の中にいた「トキコ」そのままの少女・柊時子が現れる出会うはずがなかった読者と主人公の物語。見れば見るほどそのままの時子との出会い。一緒に過ごしてゆくうちに想いが少しずつ積もってゆく一方で、自分の中で湧き上がってくる違和感。主人公の周辺を切り取ったようなクローズな世界観で、あまりにも不器用な二人の距離感にもどかしくもなりましたが、物語をきっかけに知り合った二人が物語で心を通わせて、これからの二人の世界の広がりを予感させる素敵な物語でした。

 

5.夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

  • 作者:迷, 八目
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 文庫
 

海に面する田舎町・香崎。家族崩壊させた過去を悔やむ高校生・塔野カオルが、クラスで浮いた存在になっていた転校生・花城あんずと互いの欲しいものを手に入れるため協力関係を結ぶ青春小説。夏の日のある朝、塔野カオルが偶然耳にした、中に入れば年を取る代わりに欲しいものが何でも手に入る『ウラシマトンネル』の都市伝説。周囲との関係を拒絶していたあんずの言動はなかなかぶっ飛んでいましたが、彼女との協力関係から始まった二人の不器用なやりとりはとても甘酸っぱくて、大切なものに向き合った二人の結末にはぐっと来るものがありました。

 

6.6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

人間関係に焦燥を募らせる優等生香衣。サッカー部のエースで香衣が気になる隆生。香衣に一目惚れした不良・龍輝。付かず離れずの距離で香衣の友人を演じるセリカ。それぞれの視点から綴られる出会いと別れの物語。中学時代一緒に勉強して同じ高校に合格したのに、いつの間にか距離ができてしまった香衣と隆生。その関係を起点に描かれてゆく読んでいる方がもどかしくなるような青春群像劇は、前作とはまたガラリと違う読みやすさと繊細さが感じられて、こういう作品も書けるのかとビックリしました。こういう王道の青春小説をまた読んでみたいです。

 

7.平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

平浦ファミリズム (ガガガ文庫)

 

五年前にベンチャー企業社長である母を亡くした平浦一慶。残されたトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父とともに過ごす日々が描かれる青春小説。何でも自分でできてしまうがゆえに高校にもろくに通わず、アプリ開発に精を出す日々を送る一慶。過去の苦い経験から周囲に無関心でしたけど、誤解されて窮地に陥った時でも彼のことを気にかけてくれる人たちがいて、不器用な交流の中にもたくさん気づけたことがあって、彼だけでなく周囲もまたその影響を受けて成長してゆく展開は、とても心に響くものがありました。

 

8.天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

 

大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春小説。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。

 

9.公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

 

昔からの幼馴染、瀬川エリカと吾妻千里。そんな二人とその友人たちを中心とした公園でのやりとりや日常が描かれる青春小説。お隣さんな二人の家の近くの公園で繰り広げられる仲間とダベったり野球をしたり、走り回ったり少し喧嘩したりのありふれた日常。でもそんな中にも幼馴染の二人が積み重ねてきた様々なことや、傍から見たら何で付き合っていないの?とついちょっかいを出したくなる二人の確かな絆があって、それでいて相手の知らないことに遭遇すると思わず動揺してしまう関係が微笑ましくて、何かじわじわとこみ上げてくるものがありました。

 

10.東池袋ストレイキャッツ (電撃文庫)

東池袋ストレイキャッツ (電撃文庫)

東池袋ストレイキャッツ (電撃文庫)

  • 作者:杉井 光
  • 発売日: 2014/06/10
  • メディア: 文庫
 

引きこもって音楽ばかり聞いていた不登校児のハルが、ゴミ捨場に捨てられていたギターと運命的な出会いを果たし、池袋のストリートミュージシャンとしての一歩を歩み出すお話。ギターに取り憑いていたキースはとてもミュージシャンらしい性格でしたね(苦笑)そんな後押しがあったとはいえ、理解してくれる人たちと知り合えた幸運。ハルとの交流があったからこそ、誰も気づかなかったミウの苦しみも救われました。ボリュームはなかったですが作者らしい、それでいて音楽が好きで書いていることを改めて感じさせる、良かったなと思える作品でした。

 

11.二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

  • 作者:赤城 大空
  • 発売日: 2015/01/20
  • メディア: 文庫
 

転校生・森山燐と意気投合し、念願だった文化祭でのバンド演奏を成功させながら、亡くなる間際の彼女に告白した結果すれ違ったまま失った智。そんな後悔から引きこもってしまった彼が、彼女と出会いからやり直す機会を得る物語。彼女との別れで再び後悔しないため、やり直す日々で奔走する智でしたが、それはやはり燐を大切に思う気持ちがあったからですよね。そう遠くない別れを予感しながらも精一杯生きようとする燐と、そんな彼女の思いをきちんと受け止めて、悲しみを乗り越えて再び歩き出そうとする智の二人を描いた素晴らしい青春小説でした。

 

12.かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月 (角川スニーカー文庫)

いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。

 

13.リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

  • 作者:三田 千恵
  • 発売日: 2017/01/30
  • メディア: 文庫
 

想いを寄せていた少女・襟仁遥人と共に屋上から落下し死んでしまったらしい神田幸久。二年後地縛霊として目覚めた彼はクラスでいじめに遭う穂積美咲に存在を気づかれ彼女と友達になる青春小説。自分の存在に気づいてくれた少女・美咲の優しい一面を知って現状を変えようとアドバイスをし、美咲が勇気を持って踏み出した一歩から少しずつつ変わってゆくその境遇。繊細な描写を積み重ねて作り上げられた伏線を回収してゆくことで意外な事実も明らかになっていって、爽やかで納得感のある結末まで組み上げたその構成力に大きなポテンシャルを感じました。

 

14.尾木花詩希は褪せたセカイで心霊を視る (ダッシュエックス文庫)

とある事情から廃墟と化したデパートの屋上遊園地に向かった久佐薙卓馬が、そこで古びた傷だらけのカメラで写真を撮り続ける同級生の少女・尾木花詩希と出逢う物語。「観覧車の花子さん」に逢わねばならない理由がある卓馬と、自身の失ってしまった彩りを取り戻すため写真を撮り続ける詩希。ぎこちない交流を続けるうちに少しずつ変わってゆく詩希がとても可愛くて、悪意に巻き込まれてお互いを大切に想う気持ちが空回りした二人でしたけど、真相に近づいてゆく中で大切な人にきちんと想いが伝わった結末は本当に良かったです。

 

15.やがてはるか空をつなぐ (ファミ通文庫)

やがてはるか空をつなぐ (ファミ通文庫)

やがてはるか空をつなぐ (ファミ通文庫)

  • 作者:山之 臨
  • 発売日: 2019/01/30
  • メディア: 文庫
 

高校の物理部でバルーン実験に勤しむロケットオタクの青桐七海、プログラマー山花俊、天真爛漫な後輩・町田佐奈。実験の当日、彼らが近くの高校に通う赤森遙と出会う青春小説。ロケットを打ち上げることに執着する七海が抱える悔恨、遙がロケットを打ち上げたい理由、そして後輩・佐奈や七海の予備校の友人・柊、そして俊のそれぞれの想い。それぞれに悔やみきれない苦い過去があって、ままならない複雑な事情も交錯する狂おしいまでの真摯な想いがあって。それでも彼らが勇気を出してぶつかりあった先にあった結末にはぐっと来るものがありました。

 

 

16.優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

  • 作者:樹戸 英斗
  • 発売日: 2018/02/10
  • メディア: 文庫
 

怪我でサッカーを辞めて灰色の高校生活を送る隼人と、歌姫として学校で注目される瑠子。近寄り難い存在だったはずなのに、ふとした繋がりからお互い意識するようになってゆくボーイミーツガール。周囲に上手く溶け込めない瑠子をさりげなくフォローする隼人と、そんな彼への評価が変わってゆく瑠子。お互い消化しきれない葛藤を抱えていて、強気なのに不器用で繊細な瑠子との出会いから隼人も少しずつ変化して、もがきながらも一緒に乗り越えようとする二人の関係と、強く心に訴えかけてくる熱い想いはとても真っ直ぐでぐっと来るものがありました。

 

17.さびしがりやのロリフェラトゥ (ガガガ文庫)

さびしがりやのロリフェラトゥ (ガガガ文庫)

さびしがりやのロリフェラトゥ (ガガガ文庫)

  • 作者:さがら 総
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: 文庫
 

ぼくらの学校には吸血姫がいる。書くことを止めた高校生作家・常盤桃香、学校に住む風変わりな吸血鬼、正義のために戦う風吹、いじめっ子を装いつつ風吹を気にかける真光寺、それぞれの視点から紡がれる物語。最初は切ない雰囲気のストーリーと感じていましたが、視点が切り替わるたびに登場人物たちの印象や行動の意味合いもどんどん変わっていってビックリしました(苦笑)著者さんらしいテイストで描かれる不器用な彼女たちの交流はとても暖かいのに、それらが噛み合わずすれ違う哀しい展開。どこかやるせなさを感じずにはいられない物語でした。

 

18.裏方キャラの青木くんがラブコメを制すまで。 (角川スニーカー文庫)

担当がついたもののなかなかデビューできない高校生作家の青木。そんな彼を恋愛マスターと勘違いした演劇部所属の憧れの綾瀬マイから、劇の脚本執筆を依頼される青春ラブコメディ。魅力的な彼女にどんどん惹かれてゆくのに、自信がなくて一歩を踏み出せずドツボにハマってゆくジレンマ。理解者の親友や彼女にお似合いのイケメン主人公キャラ、二人を振り回す女友達を配する王道な展開でしたけど、行き詰まっていた状況を打破する疾走感には勢いがあって、なのに何となく締まらない残念な結末に主人公らしさを感じてしまうなかなか面白い一冊でした。

 

19.たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

何をやっても三日坊主だった雪也がうっかり入部した社交ダンス部で、部の存続を賭けて競技大会に出場することになる物語。最初は望んで入ったわけでもなく、何事にも腰が引け気味の雪也でしたが、社交ダンスの楽しさを知ったり、部活の居心地の良さを感じたりするうちに、真摯に取り組む璃子や、部長の想いに応えようと前向きに取り組もうと決意し、パートナーになった璃子と心を通わせていく王道なストーリーがとても良かったです。

 

20.その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)

その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)
 

無気力で学校をサボりがちな高校生・島崎蒼が雨よけに寄った公園で、理由があって声が出ない同級生・宮崎菫と出会い、スケッチブックで会話をする彼女と交流を深めてゆく青春小説。菫と出会ったことで変わってゆく蒼と、彼と密かに公園で出会いを重ねてゆくことで本来の明るさを取り戻し、蒼やその親友二人と楽しい日々を過ごすようになった菫に訪れた重要な転機。些細なことからすれ違ってゆく二人の姿はとても辛かったですが、それでも大切な存在だと改めて痛感し、きちんと想いを交わし合った二人の今後を応援したくなるとても素敵な物語でした。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。