読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

ライトノベルのミステリ10選

周回遅れの話題になりかけてるかもしれないですが、他の方がラノベミステリのエントリを挙げられていたので、自分もまた乗っかってみようと思いました。

 

まずラノベミステリというとこのあたりは思いつきましたけど、

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

  • 作者:野村 美月
  • 発売日: 2006/04/28
  • メディア: 文庫
 
神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳 (電撃文庫)

  • 作者:杉井 光
  • 発売日: 2007/01/06
  • メディア: 文庫
 

それで終わると芸がないので、とりあえずそれ以外で思いついたものを10作品ざっと挙げていこうと思います。

 

1.生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫)

生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫)

生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫)

 

ふとしたきっかけから、巨大一貫校の莫大な予算を扱う生徒会に巻き込まれ、生徒会会計兼探偵のキリカと一緒に解決する生徒会探偵ミステリ。個人的にはミステリ部分よりもコメディ的な要素を期待して読んだので、キリカや生徒会長の狐徹といった生徒会の個性的で魅力的な面々とツッコミ役兼詐欺師のヒカゲの掛け合いも面白く、郁乃や朱鷺子ら脇役もいい味を出していました。またキリカとともに探偵役をこなす物語のもうひとつの軸となるミステリもまたなかなか効いていて、新章もスタートして今後も注目のシリーズですね。

2.ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

 

訳あって親友以外の他人との接触を断ち、部員が自分だけのジャーナリズム研究会に属する高校2年生の啓介。しかしうっかり美人な先輩の白鳥真冬の抱える謎を解いたことをきっかけに様々な事件やトラブルに巻き込まれてゆく日常系ミステリ。真冬のジャナ研入部により少しずつ変化し広がってゆく啓介の世界。彼が親友の大地や良太郎の協力も得ながら解いてゆく謎の真相。当事者にとってはほろ苦い結末であることが多かった一方で、それが停滞から前に進むための転機にも繋がっていて、巻数を重ねれば重ねるほど面白くなってゆくシリーズです。全五巻。

3.薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

  • 作者:日向 夏
  • 発売日: 2014/08/29
  • メディア: 文庫
 

花街の薬師だったのをさらわれて後宮で下働き中の娘・猫猫が、薬師としての能力を美形の宦官・壬氏に見込まれ、後宮の事件や噂を解決する物語。中華風の後宮にいるものの特に出世を目指すわけでもない猫猫はわりとさっぱりとした性格で、周囲が色めき立つ美貌の壬氏にも醒めた視線を向けるわけですが、そんな猫猫を壬氏が何となく気にかけている構図が面白いですね。狭い世界で繰り広げられる事件に、薬と毒には並々ならぬ執着とこだわりを見せて謎解きに挑む猫猫、彼女を取り巻く登場人物たちも魅力的で、テンポの良いやりとりを楽しく読めますね。現在9巻まで刊行。

4.彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

彼女のL ~嘘つきたちの攻防戦~ (ファミ通文庫)

  • 作者:三田 千恵
  • 発売日: 2018/08/30
  • メディア: 文庫
 

嘘がわかる特異体質を持つ遠藤正樹。そんな彼が気になる決して嘘をつかない川端小百合と常に振りまく学校のアイドル佐倉成美、死んだ共通の友人を巡る願いと嘘と恋が交錯する青春ミステリ。「彼女は殺された」という川端と「彼女を追い詰めたのは私」とうそぶく佐倉。ともに過ごす時間が増えてゆく中で正樹にだけ見せる彼女たちの素顔と、正樹と父親の関係。新事実が明らかになってゆくたびにガラリと変わってゆく構図。彼女たちがついた嘘は切なくも優しくて、真実に向き合ったからこそ見えたその想いとはっとするような結末はとても印象的でした。

5.天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)

天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)
 

大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春ミステリ。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。

6.噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか? (角川スニーカー文庫)

自らモブとして目立つことを避けていた高校生・鷹野祐と孤高を貫く学園一の美少女・衣川マトの邂逅。二人が遭遇するサーバーセキュリティ絡みの問題を解決してゆくサイバーミステリー。祐の幼馴染が絡む試験問題漏洩事件、学校で起きたサイバー攻撃事件、マトが学校を中退して渡米しようとする理由。タイトルの印象より大分サイバーセキュリティが存在感のある内容でしたが、ミステリアスな彼女に最初は戸惑っていた祐が、マトのことを知っていくうちにその心境も変わっていって、彼女もまた祐たちとの出会いから新たな一歩を踏み出してゆく素敵な物語でした。

7.魔王殺しと偽りの勇者 (ファミ通文庫)

魔王殺しと偽りの勇者1 (ファミ通文庫)

魔王殺しと偽りの勇者1 (ファミ通文庫)

 

復活した魔王を倒した勇者は誰か?王の依頼を受け、魔族に堕ちた王族のユーサーと共に、4人の勇者候補を調査する王宮騎士エレインのお話。まず最初に魔王が既に誰かに倒されている前提で、そこから王の側近や候補者たちに当たっていく、ファンタジー世界でのミステリーです。堅物なエレインと冷静沈着なユーサーという組み合わせの妙や、文章などはそつなく構成されていて、反面やや意外性がなかったり、話が冗長な印象もありましたが、じっくり読む分には楽しめる一冊なのかなと思いました。全2巻。

8.霧ノ宮先輩は謎が解けない (講談社ラノベ文庫)

霧ノ宮先輩は謎が解けない (講談社ラノベ文庫)

霧ノ宮先輩は謎が解けない (講談社ラノベ文庫)

  • 作者:御守 いちる
  • 発売日: 2017/09/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

事件の匂いを嗅ぎつけて実家の財力もフル活用し現場に赴く霧ノ宮先輩。傍迷惑な彼女に助手とされた後輩の秀一が探偵として事件を解決する探偵小説。華麗に的外れな迷推理を披露してしまう残念な霧ノ宮先輩が持つ特異な能力。彼女に振り回されて殺人事件の捜査に関わるうちに起きる第二第三の事件。いわくありげな人間関係を設定をいくつも提示しながら物語へ上手く落とし込めず、消化不良気味なまま終わった感はありましたが、たびたび挿入される犯人の独白や伏線は事件解決へと繋がっていて、探偵役秀一はなかなかいい味を出していたと思いました。全2巻。

9.鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)

鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)

鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)

 

郷土史研究部とは名ばかりのシロ先輩の趣味を実践するだけの部活動に強引に入部させられたキタロー。今回は隠れキリシタンの郷として村興しを始めた村の取材に向かうウサギと鬼の青春怪異譚。振り回されると分かっていても彼女の笑顔と行動力に逆らえないキタローが一緒に向かった、隠れキリシタンに絡めた遺物を持つ村の取材。随所にシロ先輩の小動物めいた魅力が効いていた一方で、実はワケありな二人が解決した事件は意外と凄惨な結末でしたが、将来的に部員も増えそうな予感もあって、未だ謎も多い二人の怪しい部活動をまた読んでみたいですね。

10.ウィッチハント・カーテンコール 超歴史的殺人事件 (ダッシュエックス文庫)

千年前の伝説を模倣した形で起こった炎獄殺人の謎に、嫌疑を掛けられた魔女狩り女伯ルドヴィカと護衛する準聖騎士ウェルナーが挑むミステリ。魔法によって起こされた密室殺人は誰がどう起こしたのか。ルドヴィカを陥れた旧友にして因縁のある異端審問官エルシリアと対決する構図、二人が諦めずに事件解決へ力を合わせ奮闘する描写はなかなか良かったですが、たどり着いた真相はやや予想が難しかったですし、諸要素混在はもう少し整理しても良かったかもしれないですね。二人の距離感は好みでした。

 

以上です。特にミステリマニアなわけではないので、見かけたら読んでいるくらいのレベルですが、ラノベミステリは全体から見たらさほど点数多くはないのかもしれないですね。ラノベ作家がライト文芸や一般文庫レーベルでも書くようになってきていて、ライト文芸や一般文庫との境界線はますます曖昧になっているので、出版社としてもあえてライトノベルレーベルで書かなくても...というのはあるのかもしれないです。