読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2019年9月に読んだ本 #読書メーターより

9月はマンガを結構読んだなという印象があったのですが、数えてみたら小説その他も66冊と結構読んでいたみたいです。どうしても9月のように刊行点数多い時は、頑張って読まないと積読増えて首が回らなくなるんですよね(苦笑)今回も結構読んだはずが終わってみたらなぜか積読が増えているという結果に...いや月に99冊読んで積読増えるとかおかしいですよね(白目)

 

9月の読書メーター
読んだ本の数:99
読んだページ数:25489
ナイス数:7055

ちょっと今から人生かえてくる (メディアワークス文庫)ちょっと今から人生かえてくる (メディアワークス文庫)感想
かつてブラック企業に勤めボロボロになりながら、謎の男ヤマモトと出会ったことで本来の自分を取り戻した青山。彼と姿を消してしまったヤマモトを巡るもうひとつの物語。青山の先輩だった五十嵐、その五十嵐の友人・米田、とあるミュージシャンやその音楽を聴いたある男といった、様々な視点から「ちょっと今から仕事やめてくる」の語られなかったエピソードがあって、それぞれの事情が明らかになっていたり、青山やヤマモトのその後も明かされてましたけど、ほんとヤマモトはいろいろなところに関わってたんですね(苦笑)いやほんといい話でした。
読了日:09月01日 著者:北川 恵海
キキ・ホリックキキ・ホリック感想
かつて校庭の一角を占める<プラントハウス>を管理していた蘇芳キキ。ミステリアスな彼女と運命的な出会いを果たした若宮波留花が事件に巻き込まれてゆくミステリ。学校ではいじめに遭い、家では両親に抑圧されていた波留花。キキと出会ったことで劇的に変わってゆく彼女の環境。キキに惹かれてゆく波留花が邂逅するキキの妹・カラの存在、謎めいたキキの周辺で次々と起こった殺人事件。姿を消した彼女の行方を追う波留花が直面する真相は何とも切なかったですが、巧みに回収されてゆく伏線によって紡がれていった結末が儚くも美しい物語でした。
読了日:09月02日 著者:森 晶麿
小説 天気の子 (角川文庫)小説 天気の子 (角川文庫)感想
離島から家出し東京にやってきた帆高。連日降り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜に出会う映画の原作小説。漠然としていた穂高の家出の理由とか、行き当たりばったりだった彼の行動は気になるところで、けれど陽菜のために頑張ろうとするその姿勢がどこまでも真摯なのも間違いなくて、彼女を選んだ代償がもたらした予想以上の結末には驚きましたが、様々な視点から描かれてゆく何をもって「正しい」とするのかという難しさと、大切なものを譲らない強い想いがもたらした結末がとても印象的な物語でした。
読了日:09月02日 著者:新海 誠
(P[さ]7-1)真夜中だけの十七歳 (ポプラ文庫ピュアフル さ 7-1)(P[さ]7-1)真夜中だけの十七歳 (ポプラ文庫ピュアフル さ 7-1)感想
両親の仕事がうまくいかず貧乏な日々に鬱屈を抱える翠。夜に語らう高校生グループで気を紛らわせていた彼が、桃子という少女に出会う物語。お金もなくバイトも禁止で手先の器用さや宿題で小銭を稼いで早く働きたいと願う翠と、彼が同じ思いを共有する仲間と語らう中で出会った桃子。お互いままならない日常に葛藤しながら、想いを積み重ねていった二人にはそれぞれ思いも寄らない嘘があって、転機を迎えた自分に向き合ってこれまで見えていなかった様々なことに気づいてゆく彼らが、それでも忘れなかった大切なものに気づくとても素敵な物語でした。
読了日:09月02日 著者:櫻 いいよ
どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)どうかこの声が、あなたに届きますように (文春文庫)感想
地下アイドル時代に心身に深い傷を負い、鎌倉の祖母のもとでひっそりと生活を送っていた小松奈々子20歳。そこに突然現れたラジオ局ディレクター黒木から番組アシスタントにスカウトされる物語。母親に認められるために頑張っていたアイドル活動に挫折して、希望を失いかけていた奈々子が挑戦するラジオの世界。戸惑いながら始めた彼女が多くの人に支えられて成長し、切実な日々を生きるリスナーたちと交流を深めていって、何度か危機に直面しながらも、これまでの放送で積み重ねてきたみんなの力を合わせて乗り越えていくとても素敵な物語でした。
読了日:09月03日 著者:浅葉 なつ
ウォルテニア戦記XIII (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記XIII (HJ NOVELS)感想
怒涛の勢いでザルツベルグ伯領に迫る亮真の軍と迎え撃つのはザルツベルグ伯爵と「北部十家」。真正面から打ち破るのは難しいと判断した亮真は心理戦を仕掛ける第十三弾。双刃相手には策を講じて時間稼ぎしつつの裏工作ということで膠着状態。あのメルティナに成長の兆しがあったのは意外でしたけど、時すでに遅しというかあの密使にどんな意味があったのか…展開遅い感もありましたけど心理戦に持ち込んだところで、ここからどう決着をつけるかというところですか。飛鳥と浩一郎も久しぶりの登場で、こちらもどうなるのか気になるところですね。
読了日:09月04日 著者:保利亮太
鎌倉うずまき案内所鎌倉うずまき案内所感想
古ぼけた時計屋の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。旋階段を下りた先には、双子の内巻・外巻と所長のアンモナイトが待っていて、ほんの少しの軌跡を起こす連作短編集。平成の世を遡りながら、会社を辞めたい編集者、ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親、結婚に悩む女性司書、クラスで孤立したくない中学生、売れない劇団の脚本家、ひっそりと暮らす古書店の店主といったさりげなく繋がっている登場人物たちが主人公で、不思議な優しい案内所に迷い込んだ悩める彼らが、苦悩を乗り越え進むべき道を見出す展開はなかなか良かったですね。
読了日:09月04日 著者:青山 美智子
オタクと家電はつかいよう ミヤタ電器店の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)オタクと家電はつかいよう ミヤタ電器店の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
前職を辞めて求職中の美優が、「なんでも対応」ありのミヤタ電器店の求人を知って、変わり者の宮田社長と一緒に家電を巡る謎を解き明かすミステリ。新品のルータを欲しがる理由、空気清浄機についたカビの謎、同じような使い方なのにスマホの充電の減りが早い理由、異音を発する食器洗い機、そして美優をストーカーする人物の正体。無表情な宮田の過去に、美優のトラウマやストーカー騒ぎもあって若干詰め込みすぎだった感もありますが、家電知識の宮田と推理力の美優のコンビで家電と人間関係を絡めた謎を解き明かしてゆく展開は興味深かったです。
読了日:09月04日 著者:田中 静人
この素晴らしい世界に祝福を!16 脱走女神、ゴーホーム! (角川スニーカー文庫)この素晴らしい世界に祝福を!16 脱走女神、ゴーホーム! (角川スニーカー文庫)感想
セレナが起こした騒動の後、『追伸。探してください』との手紙を残して家出したアクア。カズマが誰も想像がつかないようなパワーアップ方法で復活して後を追う第十六弾。期せずしてまともなパーティーで魔王討伐に向かうことになってしまったアクアと、ウィズさんの秘めたる実力を再認識する残念な方法で短期間の再レベルアップを果たしたカズマ。カズマたちがアクアたちを追いかける展開でしたけど、お互いがいないと旅も物足りないと感じる二人が微笑ましくて、魔王相手にめぐみんがついに大活躍(するのかな?この展開はw)続巻も期待してます。
読了日:09月05日 著者:暁 なつめ
電気じかけのクジラは歌う電気じかけのクジラは歌う感想
人工知能が作曲をするアプリ「Jing」が普及し、作曲家の仕事が激減した近未来。「Jing」専属検査員になった元作曲家・岡部の元に、自殺した現役作曲家で親友の名塚から未完の新曲と指紋が送られてくる近未来ミステリ。名塚から託されたものの意味と、事故で右手が不自由になった名塚の従妹・梨紗の苦悩、そして「Jing」を作り出した霜野の野望。「Jing」で気軽に音楽を作れてしまう中、あえて自分の手で音楽を作り出す意味に葛藤しながらも、秘められた名塚の想いに気づいてゆく展開は著者さんらしさがよく出ていて面白かったです。
読了日:09月05日 著者:逸木 裕
旺華国後宮の薬師 (富士見L文庫)旺華国後宮の薬師 (富士見L文庫)感想
『不苦の良薬』誰でも飲みやすい良薬を志して女だてらに薬師を目指し薬屋の娘から後宮の官女になった英鈴。珍しい処方の薬茶を売り始めた英鈴に皇帝が興味を持ち、皇帝専属のお薬係に任命される後宮小説。珍しい処方で宮女の身ながら皇帝に興味を持たれ、嫉妬により後宮内で窮地に陥りかけたところを、逆に皇帝に昭儀に任じられた英鈴。書きたい意図は分かるのですが、その力を活かすために貴妃まで昇格させたり、地方の流行病を皇帝と一緒に解決したり、段階をすっ飛ばし気味というか、皇帝自身がいろいろ動きすぎなのは少しばかり気になりました。
読了日:09月06日 著者:甲斐田 紫乃
翠玉姫演義 三 ‐泥に咲く花‐ (富士見L文庫)翠玉姫演義 三 ‐泥に咲く花‐ (富士見L文庫)感想
極南を元海賊・緑旗幇の領土として認めさせ、政治の勉強を始めた香月。順調に発展しているかに見えた極南において、ひそかに燻っていた不満が爆発する第三弾。久しぶりの刊行でしたが、極南が海賊集団から国として発展していく過程で富をどう分配していくのか、最初に貢献した人たちをどう扱うのかという問題はやはり出てきましたね。商人の発想だけではどうにもならなくて、国のありようと人々の想い、結婚への苦手意識に揺れ動く香月の姿が印象的でしたけど文烈とは結局どうなったのか、これで完結なのか続巻は売上次第なのか気になるところです。
読了日:09月06日 著者:柊平 ハルモ
高校事変 II (角川文庫)高校事変 II (角川文庫)感想
武蔵小杉高校事変から2か月。平成最悪のテロリストの次女・優莉結衣は同じ施設に暮らす奈々未の行方不明事件に再び巻き込まれてゆく第二弾。奈々未の妹に懇願され調査に乗り出す結衣、明らかになってゆく貧困JKビジネスや多数の女子高生失踪、特権階級の存在。最近流行のテーマも取り込みつつ売春斡旋者やヤクザ、連続殺人犯など分かりやすいクズ相手に、即席レールガンやムササビスーツまで使って成敗していく展開は痛快でしたけど、不器用な結衣の心境も少しずつ変化しているのか気になるところですね。まさかの妹登場でどうなるのか気になる。
読了日:09月06日 著者:松岡 圭祐
アルバート家の令嬢は没落をご所望です 6 (角川ビーンズ文庫)アルバート家の令嬢は没落をご所望です 6 (角川ビーンズ文庫)感想
次期当主争いに名乗りを上げたメアリ。双子の兄たちとフェイデラへ視察へ行くことになった彼女が、訪問先で転生者の貴族・マウロに出会う第六弾。次期当主国外視察とか単にお兄ちゃんたちが溺愛する妹と旅行したいだけなんじゃないのか…とか思いつつ、行った先が「恋多き国」ですか(苦笑)でもフェイデラにも事情があって、面食らいながらも商売に繋げようとするメアリが商魂たくましかったですが、転生の秘密を暴露するマウロの脅迫はまあアディも知ってたし、メアリがそれを明かしても関係なくみんなに愛されているのをしみじみと実感しました。
読了日:09月07日 著者:さき
誰も死なないミステリーを君に 2 (ハヤカワ文庫JA)誰も死なないミステリーを君に 2 (ハヤカワ文庫JA)感想
人が死ぬ予兆がみえてしまう志緒の幼馴染・獅加観飛鳥に死線が現われ、莫大な財産の相続話の相続人候補である彼女の死を止めるため佐藤が志緒とともに奔走する第二弾。今回は趣向を変えて遺産相続にまつわる殺意を回避しようとする展開で、相続人候補である言動不可解な芸術家、軽薄な私立探偵、狐面をかぶる医者にも死線が現れる中、ゴリラ先輩が地味に使い勝手良い存在でしたが、選択によって変わってゆく死線の対象と、浮かび上がってきた真相がなかなか印象的な結末でした。未だ友達以上恋人未満な二人には今後の進展を期待したいところですね。
読了日:09月08日 著者:井上 悠宇
森があふれる森があふれる感想
作家の夫に小説の題材にされ続けて植物の種を一心不乱に食べ続けた結果、身体から芽吹いて森と化した妻。壊れた作家夫婦と彼らに関わった人々の物語。家でどんどん森を侵食させてゆく妻とそれを題材にして執筆する夫の狂気。彼らに関わった担当編集者たちや不倫相手の家族関係にも歪みをもたらして、妻の不在が作家として決定的な停滞をもたらしたのに、それにすら慣れてしまう懲りない作家と妻のどこまでも噛み合わない会話には絶望しかけましたが、それでも夫にようやく話し合おうとする姿勢が生まれたことに希望を感じるべきなんでしょうかね…。
読了日:09月09日 著者:彩瀬 まる
無実の君が裁かれる理由無実の君が裁かれる理由感想
突然、身に覚えのない同級生へのストーカー行為を告発された大学生・牟田幸司。周囲の犯人扱いに追い詰められてゆく幸司に冤罪の研究する先輩・紗雪が疑いを晴らすために協力する連作短編集。二人が挑むストーカー扱いされた裏に潜んでいたもう一つの事件、ドローンを破壊したという自白の真相、冤罪痴漢事件に隠されていた真実、そして紗雪の父にまつわる冤罪事件の究明。読んでいると冤罪に繋がる証拠や自白、証言に対する信頼性のあやふやさが恐ろしくなりますが、信じてくれる人の想いや思い込みを覆してゆく展開には救われるものがありました。
読了日:09月09日 著者:友井羊
魔法科高校の劣等生(30) 奪還編 (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(30) 奪還編 (電撃文庫)感想
水波を連れUSNA軍基地のある北西ハワイ諸島を目指す光宜。一方、水波のことを諦めない達也はカノープス少佐奪還も要請されてUSNA軍基地を隠密裏に強襲する第三十弾。達也の行動を許容できなくなっていた佐伯少将の焦燥っぷりがあれでしたけど、一方で軍と袂を分かつことになりそうな四葉家や達也陣営は、不遇の人材を着々とスカウトして陣容を厚くしていきそうですね…これは。一条のところも気になりますが、肝心の奪還編は圧倒的な強さで、水波の容態もどうなっているのか気になるところですけど、ここから光宜はどうするんでしょうかね。
読了日:09月10日 著者:佐島 勤
86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト― (電撃文庫)86―エイティシックス―Ep.7 ―ミスト― (電撃文庫)感想
シンたちの活躍でゼレーネ確保に成功した連邦・連合王国は、ヴァルト盟約同盟でその解析と尋問を開始。大戦果を上げた彼らには特別休暇が与えられ、もう一つの戦線がついに動く第七弾。今回はゼレーネ尋問と並行しての著者宣言のライト回ですよ...ライト回?初々しい自覚してないレーナとのやりとりが青春していて、悶たくなるくらい眩しかったですが、一転ふとしたことから迷走してゆくレーナに彼女たちは一言物申したくもなりますよね…(遠い目)かなり遠回りしながらもついにやってくれた結末でしたが、道のりはまだまだ遠そうですね(苦笑)
読了日:09月10日 著者:安里 アサト
スイレン・グラフティ(2) もすこしつづく、ナイショの同居 (電撃文庫)スイレン・グラフティ(2) もすこしつづく、ナイショの同居 (電撃文庫)感想
いろいろあってナイショの同居を継続することになった彗花と蓮。夏休みに二人で行った同人誌即売会でいろいろ刺激を受けた蓮が、手伝う彗花と一緒に同人誌即売会へ初挑戦する第二弾。二人暮らしに至るまでの彗花の判断はそれで良かったのかな…と思わなくもなかったですが、たびたびケンカや衝突しながらも少しずつ絆を深めてゆく関係がいいですね。悲喜こもごもだった同人誌即売会でも印象的な出会いがあって、示唆されたそう遠くない未来に起こる出来事や二人の今の状況がどうなるのか、立ち向かう相棒二人の奮闘をまた読んでみたいと思いました。
読了日:09月11日 著者:世津路 章
要・調査事項です! 2 ななほし銀行監査部コトリ班の選択 (集英社オレンジ文庫)要・調査事項です! 2 ななほし銀行監査部コトリ班の選択 (集英社オレンジ文庫)感想
監査部個人取引担当・通称「コトリ班」所属の入行2年目・小林髙が、イケメン班長矢岳、クールビューティーの先輩多岐川とともに一筋ではいかない事件に巻き込まれてゆく第二弾。偽造疑惑のある通帳や間違いで口座に振り込まれたお金、シュレッダーにかけられた謎の一万円、通帳を持って失踪した俳句愛好会の会計係。今回もいろいろ難解な事件に巻き込まれましたけど、謎の美人監察官の正体も意外とあっさり明らかになって、妙に意味深に見えた矢岳の言動は果たしてブラフだったのか、変化の兆しも見えてきた人間関係も面白くなってきそうですね。
読了日:09月11日 著者:きりしま 志帆
平安あや解き草紙 ~その後宮、百花繚乱にて~ (集英社オレンジ文庫)平安あや解き草紙 ~その後宮、百花繚乱にて~ (集英社オレンジ文庫)感想
嵩那への行き場のない感情を抱え帝に応えられない伊子。尚侍の仕事が楽しく思えてきた矢先に、藤壺の女御の従姉がお后候補として後宮にやってくる第二弾。御匣殿別当の祇子が頑なな態度を取る理由、いかにもな恋文を送った女官の真意、若い笛の名手と伊予の部下の意外な関係。伊予が年長者として周囲で起きる騒動を落ち着いてさばいて落とし所を見つけてゆく展開は良かったですけど、今回の登場人物たちがまたクセのある人たちばかりでしたね(苦笑)帝はまだ諦めていないようですが、二人が想いを自覚してしまってこれからどうなるんでしょうか…。
読了日:09月11日 著者:小田 菜摘
お騒がせロボット営業部! (文春文庫)お騒がせロボット営業部! (文春文庫)感想
社運をかけて開発された人型ロボット・パティ。外見はダサくて実用性も低いパディを導入した取引先から次々と「パティが事件を起こした」と連絡が入るお仕事ミステリ。残念なパディを懸命に営業する朝香が、失踪騒ぎや外車を傷物にした疑惑、振り込め詐欺幇助疑惑に殺人容疑まで掛けられるパディの無実を晴らすため、開発者の怜央と一緒に奔走する展開で、それがいちいち「このロボットはそんなに有能じゃない」証明に繋がっている辺りが切ないですね…。まさかの事業存続でしたけど、果たしてそれで良かったのかちょっと考えてしまいました(苦笑)
読了日:09月12日 著者:辻堂 ゆめ
ゴブリンスレイヤー11 (GA文庫)ゴブリンスレイヤー11 (GA文庫)感想
夏、妖精弓手や鉱人道士が騒がしいギルドの酒場に女商人が訪れ、その依頼で東国に商談に向かう護衛として、彼ら一党が同行する第十一弾。東国の国境にゴブリンが増えている状況を調査するため、砂漠超えに挑むゴブスレたち。砂漠超えでの様々な出来事と、訪れた砂漠の隣国で起きていた異様な状況。いつものゴブリン退治へ向かう展開はお約束でも、最後はなかなか大物な相手のド派手な戦いで、でも決着としては妥当な落とし所だったのかなと。旅先での様々な出会いや個々の成長、裏での動きは今後に繋がっていきそうな予感もあって続巻に期待ですね。
読了日:09月12日 著者:蝸牛くも
29とJK7 ~さらば、憧憬~ (GA文庫)29とJK7 ~さらば、憧憬~ (GA文庫)感想
「お仕事小説コンテスト」に受賞した花恋。渡良瀬の発案による合同センターのコンテスト参画も注目を集める中、花恋に「編集との改稿作業」というプロの洗礼が待ち受ける第七弾。渡良瀬に次々とプロモーション追加の提案をしてくる御旗、改稿作業で徐々にらしさを失ってゆく花恋、そして幼馴染・沙樹の後悔。事態の進捗に違和感を感じつつも累計三億部の看板に自重していた鋭二が、その背景を知って彼女たちのために怒り、対峙する道を選ぶ展開はベタでしたけど、でもそれが作品らしさなんですよね。ここからどういう決着を迎えるのか続巻に期待。
読了日:09月12日 著者:裕時悠示
処刑少女の生きる道(バージンロード)2 ―ホワイト・アウト― (GA文庫)処刑少女の生きる道(バージンロード)2 ―ホワイト・アウト― (GA文庫)感想
古都ガルムをあとにし、港町リベールへと辿りついたメノウとアカリ。かつて南方諸島連合を食らいつくした、四大人災「霧魔殿」があるこの町で、リベール伯の娘・マノンとの出会う第二弾。リベールで暗躍する第四と彼らが扱う魔薬、そして「霧魔殿」によって明かされる四大人災の背景。対峙した霧魔殿はとんでもない強さでしたけど、アーシュナとメノウの共闘、そしてアカリの戦いは見どころで、アカリを想い心境が変化しつつあるメノウの決意とそれを危惧するモモがいて、新たな動きもありここからまた大きく動きそうな今後の展開が楽しみですね。
読了日:09月13日 著者:佐藤真登
浅草鬼嫁日記 七 あやかし夫婦は御伽噺とともに眠れ。 (富士見L文庫)浅草鬼嫁日記 七 あやかし夫婦は御伽噺とともに眠れ。 (富士見L文庫)感想
浅草あやかしを狙う「狩人」の騒動を退けた真紀たちの高校に転校してきた陰陽局の津場木茜。そんな折、法事で実家に帰る馨に真紀はついていくことになり、「御伽噺の隠れ里」と呼ばれる九州の片田舎に向かう第七弾。津場木茜から真紀に提示された選択肢、帰省した馨が久しぶりに会う母との関係、そして天衣を巡るひとつの物語。天衣を取り戻す過程で馨と母の関係にも変化があって、読んでいてほんと良かったなと思えた旅行でした。真紀が抱える密かな逡巡と凛音のことは気になりますけど、巻末にある幼稚園の二人の運命の再会は微笑ましかったです。
読了日:09月13日 著者:友麻碧
家に帰るとカノジョが必ずナニかしています2 (GA文庫)家に帰るとカノジョが必ずナニかしています2 (GA文庫)感想
朱莉の騒動が落ち着いた頃にやってきたお一人様生活を脅かす次なる脅威。颯人の『過去』を唯一知る従姉の優衣ねぇが第二のレンタル家族としてやってくる第二弾。今回は羽凪との貸し切り温泉デートや今後料理に関わることを禁止される朱莉だったりもありましたけど、メインは働き過ぎるお姉さん優衣の悩みを解決すべく奔走する展開。協力する彼女たちとの信頼関係には変化を感じつつも、ラブコメ展開としてはヒロインも増える中で、大きく心揺さぶるようなアプローチという点ではやや決め手に欠いていた印象。その辺は次回作に期待したいですね。
読了日:09月14日 著者:柚本悠斗
Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て (DENGEKI)Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て (DENGEKI)感想
オスカーの呪いも解かれ、契約終了まであと三ヶ月。自分の心に迷うティナーシャの前に、契約者であるオスカーを狙う新たな魔女の刺客「呼ばれぬ魔女」レオノーラが現れる第三弾。何というかオスカーさんは人外じゃなかったんだな…とか思った今回の窮地でしたけど、煮え切らなかったティナーシャさんの鈍さがここまでとは思いませんでした(苦笑)でもその幸せの日々は束の間で、ティナーシャさんを救わずにはいられないのがオスカーで、どんな状況でもブレないそのありようがとてもらしいなあと思いつつ、もうひとつの物語の新展開も期待してます。
読了日:09月14日 著者:古宮 九時
宮廷神官物語 七 (角川文庫)宮廷神官物語 七 (角川文庫)感想
突然正体を明かされ長子として王位継承者を藍晶王子と争うことになった曹鉄。天青はその争いに心を痛め鶏冠も曹鉄に肩入れできず、孤立した彼の前に亡き母に似た婚約者が現れる第七弾。突然立場が変わってしまった曹鉄に戸惑う面々、そして周囲と引き離されて孤立を深めてゆく曹鉄。そこまでやるかとも正直思った虞恩賢母の執念に凄まじいものを感じつつ、そんな迷える曹鉄に一喝してみせた櫻嵐はカッコよかったですね。曹鉄はこれからどうするのか、王位継承者はどうなるか、黒幕らしき苑遊と対峙する鶏冠も苦戦しそうで次巻の展開が気になります。
読了日:09月15日 著者:榎田 ユウリ
木曜日にはココアを (宝島社文庫)木曜日にはココアを (宝島社文庫)感想
川沿いを散歩する、卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる...小さな喫茶店「マーブル・カフェ」の一杯のココアから始まる些細な出来事の積み重ねが、最後に繋がってゆく連作短編集。登場人物たちがどこかでさり気なく繋がっている連作短編集で、行き詰まっていた登場人物たちが新たな出会いや今まで気づかなかった優しさに触れて、見える世界を少しだけ変えていって、連鎖反応的に繋がってゆく物語がもたらした勇気と、それがもたらした結末がとても素敵な物語でした。最初のエピソードが最後にこういう形で結実するのもいいですね。
読了日:09月15日 著者:青山 美智子
湖底ゆらめく最果て図書館 光の勇者と涙する姫君 (電撃文庫)湖底ゆらめく最果て図書館 光の勇者と涙する姫君 (電撃文庫)感想
魔王を倒した平和な日々を迎えた「最果ての図書館」。しかし地下で剣で身体を串刺しにされた謎の美女・ヒルデを発見し、彼女が逃げてきた「地底湖の博物館」館長で心を病んだ少女マリアージュと対峙する第二弾。ヒルデを助けるため、館長として図書館を守るため、訪れたトレジャーハンター・ロットとも協力して対峙する過程で明らかになってゆく悲しい過去。ウォレスは相変わらずお人好しな一面も垣間見えましたけど、ルチアや光の勇者たちの協力も得ての決着は、伏線をうまく回収しながらいい感じにまとめあげましたかね。続巻にも期待しています。
読了日:09月16日 著者:冬月いろり
隠れ教育費: 公立小中学校でかかるお金を徹底検証隠れ教育費: 公立小中学校でかかるお金を徹底検証感想
小中の9年間でいったい学校にいくら払っているのか?無償と言われる義務教育の学校や地域によって金額も項目も異なる保護者が学校に支払うお金の現状と、そこに至る歴史や法的根拠を解説した一冊。制服や学校指定品、補助教材、消耗品といった私費購入の現状から、部活動負担、学校給食、修学旅行などの行事まで、様々な徴収される費用がどのような歴史や法的根拠によって徴収されているのかが解説されていて、結局財源的不足も大きいのでしょうけど、これまで漠然とそんなものなのかなとは思っていたことを考えてみるいいきっかけになりました。
読了日:09月16日 著者:栁澤 靖明,福嶋 尚子
君はレフティ (小学館文庫)君はレフティ (小学館文庫)感想
夏休み中、交通事故に遭った高校生・古谷野真樹。後遺症で過去の記憶を失いつつも夏休み明けの日常を取り戻しつつあった古谷野が謎の落書き「7.6」にあちこちで遭遇する青春ミステリ。自分へのメッセージと直感で感じて、同じクラスで写真部の生駒桂佑や春日まどかと一緒にその謎に挑む古谷野。謎を追ううちに明らかになってゆく親友の秘密と事件の真相。事実を知るたびに過去にあった情景が変化して、正直な心境は時に残酷で、失われたものの大きさを痛感しましたが、それでもまっすぐに向き合った彼らの真摯な想いがとても印象的な物語でした。
読了日:09月17日 著者:額賀 澪
プロペラオペラ (ガガガ文庫)プロペラオペラ (ガガガ文庫)感想
追い詰められた極東の島国・日之雄。悲壮な決意で駆逐艦「井吹」の艦長として戦いに挑む皇家第一王女イザヤのもとに、かつて最低の事件を起こして皇籍剥奪された幼馴染・クロトが部下として乗り込む空戦ファンタジー。敵国ガメリア合衆国で投資家として成功していたクロトが日之雄に戻ってきた理由。苦戦必至の状況の中、超傲慢で頭が切れてバカがつく努力家クロトが、アホな部下たちと共にイザヤを支えて大逆転に導く熱い展開で、異国で台頭しつつある因縁のライバルの魔の手から彼女を守りきれるのか、これは今後がとても楽しみなシリーズですね。
読了日:09月17日 著者:犬村 小六
妹さえいればいい。 (13) (ガガガ文庫)妹さえいればいい。 (13) (ガガガ文庫)感想
春を迎えて心機一転。不破春斗が新シリーズを発表したり、白川京が出版社ブランチヒルに入社でプロの編集者となったそれぞれが新たな道をあゆみはじめる第十三弾。今回は主に白川京視点で、新レーベル立ち上げに参加して、作家担当について奮闘する展開でしたけど、それにしても世間は狭いですね…(苦笑)最終章前編ということでいろいろ区切りがついたり、関係が変化したり一歩前進したりと物語として終わりに向かってゆくのを感じてしみじみとしましたが、そんな余韻をぶち壊しにしてみせた巻末の自主映画制作エピもあれはあれで楽しかったです。
読了日:09月17日 著者:平坂 読
クラスメイトが使い魔になりまして (2) (ガガガ文庫 か 13-2)クラスメイトが使い魔になりまして (2) (ガガガ文庫 か 13-2)感想
千影の両親相手に売り言葉に買い言葉で彼女との婚約を認めて一応主従関係は継続中の想太。監視役までつけられた彼らが新魔術を狙う連中に対抗するため想太の師匠に特訓を申し込む第二弾。千影の遠縁の監視役・日麗や師匠の真紀美といった新ヒロインも登場して、海にクエストという名の遊びに行ったり、師匠の特訓を受けたりな展開で、魅力的なヒロインたちに振り回されながら、素直になれない喧嘩ップルな二人がようやく少しずつ向き合い始めてゆく展開にはぐっと来るものがありました。ソフィアも再臨しそうでいい感じに盛り上がってきましたね。
読了日:09月18日 著者:鶴城 東
希望の糸希望の糸感想
閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺されて、捜査線上に浮かぶ常連客だったひとりの男性。容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事・松宮が挑む物語。自身も今まで知らなかった秘密を知ることになった松宮が、加賀刑事にフォローされながら殺人事件の真相を追う展開でしたけど、その過程で明らかになってゆくとてもデリケートで複雑ない事情があって、それが積み重なったことで起きたすれ違いの悲劇が何とも切なかったです。でもそれでもきちんと向き合ったことで、壊れかけていた不器用な親子関係に修復の兆しが見えたことには救いを感じました。
読了日:09月18日 著者:東野 圭吾
三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)三日月邸花図鑑 花の城のアリス (講談社タイガ)感想
父が亡くなったことで、大名庭園を敷地内に持つ三日月邸を相続し、探偵事務所を開業した八重樫光一。そんな事務所を訪れた不思議な少女・咲に出会い三日月邸を巡る謎に迫る和風ファンタジー。「庭には誰にも立ち入らないこと」という亡父の謎の遺言。咲と踏み入った庭で出会った人々の悔恨と、彼らのためにそれを解消してゆくお人好し探偵・光一。八重樫家とは険悪の仲と聞いていた牧家の兄妹たちとの出会いがあって、明かされる過去や庭園の真相には切ない気持ちになりましたが、光一と不器用な牧兄妹たちのやりとりが妙にツボにハマる物語でした。
読了日:09月19日 著者:白川 紺子
サードドア: 精神的資産のふやし方サードドア: 精神的資産のふやし方感想
18歳の大学生がビル・ゲイツレディー・ガガスピルバーグなど、米国各界の著名人に次々と突撃インタビュー。正面入口でもVIP専用入口でもないもうひとつの入口を提示した一冊。平凡だった一人の大学生が、成功者した偉人たちにインタビューするために試行錯誤しながら敢行してゆく成長の物語で、迂闊で至らない部分があっても失敗を恐れない前向きな気持ちがあって、真面目に無難にという方向に意識が向きがちな世の中にあって、コネクションを作って人との繋がりを活かしつつ、正しい方向にチャレンジし続ける大切さを改めて実感しました。
読了日:09月19日 著者:アレックス バナヤン
ファイフステル・サーガ4 再臨の魔王と女神の巫女 (ファンタジア文庫)ファイフステル・サーガ4 再臨の魔王と女神の巫女 (ファンタジア文庫)感想
灰エルフの軍勢を退けて一時休戦状態へ持ち込んだカレルたち。息つく暇もなく「狂嗤の団」切り込み隊長コルネリウスの元へヴィエレヒト司教領の少女・ヘンリエッテとの婚約話が持ち込まれる第四弾。ヴィエレヒト司教領大司教の腐敗ぶりと対抗馬だった前大司教の暗殺、殺された父の代わりに大司教を目指すヘンリエッテとコルネリウスの出会い。コルネリウスのキャラを生かした展開で「狂嗤の団」も大活躍でしたけど、結末で明かされた意外な出自や、再会したミーリエルが提示する条件が今後にどう影響してくるかですね。カレルの決断が楽しみです。
読了日:09月20日 著者:師走 トオル
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦7 (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦7 (ファンタジア文庫)感想
帝国軍の襲撃により火の海に包まれたネビュリス皇庁。使徒聖と純血種という最強同士の戦闘が勃発する中、イスカたちもまたルゥ家の別荘にて、帝国軍に擬装したヒュドラ家から第三王女・シスベルを護るべく奔走する第七弾。今回は使徒聖たちや純血種たちがそろい踏みで各所で華々しい戦いが繰り広げられる展開でしたけど、裏切り者の本当の目的は何なのか、甚大な被害を被った皇庁側のここからの立て直しは可能なのか、そしてイスカとアリスの関係はこれからどうなってしまうのか、いろいろと気になるところが出てきて今後の展開に注目したいですね。
読了日:09月20日 著者:細音 啓
氷川先生はオタク彼氏がほしい。1時間目 (ファンタジア文庫)氷川先生はオタク彼氏がほしい。1時間目 (ファンタジア文庫)感想
「可愛くて優しいオタク彼女がほしい」儚い願望を抱くオタク高校生の霧島拓也が、春休みにオタクの理想を体現したような存在の氷川真白と運命的に出会い、新学期にその意外な正体に驚愕する教師×生徒の青春ラブコメディ。オタクで可愛くて趣味も相性抜群な真白とラブラブっぷりと、思ってもみなかった形での再会。今巻ではお互い叱咤激励されながら、秘密の関係に覚悟を決めて向き合おうとしてゆく展開で、試練自体はこれからという印象でしたけど、オタクでポンコツな真白と鬼教師というギャップはなかなか破壊力抜群で期待の新シリーズですね。
読了日:09月20日 著者:篠宮 夕
わが家は祇園の拝み屋さん11 めぐる因果と紐解かれる謎 (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん11 めぐる因果と紐解かれる謎 (角川文庫)感想
封じられていた災厄の神・禍津日神が召喚されていたことを知り、東京と京都に分かれた小春たちチームOGM。厄神が東京に放たれることを防ぐための手掛かりを求めて奔走する第十一弾。若宮が不思議な少年・千歳の傍にいることを知った小春の不安、京都で事件の重要な真実に迫る和人と由里子、朔也と愛衣のほのかな変化、そして東京と京都を繋ぐひとつのエピソード。黒幕も明らかになって事態も急展開を迎えましたけど、澪人なら何とかしてくれますよね。それぞれに芽生えつつある想いや、さりげなく外堀が埋まっていった彼らのその後にも期待です。
読了日:09月20日 著者:望月 麻衣
HELLO WORLD if --勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする-- (ダッシュエックス文庫)HELLO WORLD if --勘解由小路三鈴は世界で最初の失恋をする-- (ダッシュエックス文庫)感想
平凡で物静かな中学生活を送っていた三鈴のもとに、ある日未来からやってきたミスズ。とても大切な二人を助けるため過去に来た彼女を助けることを決める、勘解由小路三鈴を主人公としたもう一つの物語。恋と気づかないまま失恋した中学時代。未来の自分と出会い変わってゆく三鈴が出会った直実と瑠璃、彼らの恋を見守るうちに気づいてしまった自らの想い。原作ではキーマン然とした存在感があったのに、なぜかその後の展開に絡んでこなかった三鈴の想いや葛藤が掘り下げられていて、本編にはない大切な人たちのために頑張る姿がとても良かったです。
読了日:09月21日 著者:映画「HELLO WORLD」,伊瀬 ネキセ,堀口 悠紀子
VRが変える これからの仕事図鑑VRが変える これからの仕事図鑑感想
VRと5Gを組み合わせてこれからどんなことができるようになるのか、仕事や働き方、各業界がどう変わってゆくのか、その可能性を分かりやすく解説した一冊。バーチャルアイドルを始めとするVRの最前線や、それを加速させる5Gの存在、ARやMRとの違いや変わる業界地図、新しく生まれる仕事などが解説されていましたが、正直すでに代替するものがあったり導入コストの問題もあったりで、本格化するのはまだまだこれからの印象。これに限った話ではないですけれど、そんな状況を打破する画期的な仕組みを作ったところが覇権を握りそうですね。
読了日:09月22日 著者:赤津 慧
#失恋したて (LINEノベル)#失恋したて (LINEノベル)感想
就活がうまくいかず、社会人の恋人・亮平とも予定が合わなくて会えない日々が続く就活生のなつき。彼の出張に合わせた北海道旅行での思わぬ失恋と、そこから始まる少し不思議なひとなつの物語。彼と待ち合わせた幸福駅でなつきを待っていた全然幸福じゃない出来事。彼女の叫びを撮影してバズらせた小学生ユーチューバー・遥希、その父親と三人で一緒に巡る失恋旅行。彼女に届くたくさんの共感や悩みコメントがあって、楽しい旅は少しだけ自分らしさを思い出させてくれて、少しずつ前を向く元気を取り戻してゆく彼女の姿がとても印象的な物語でした。
読了日:09月22日 著者:中村 航
水族館ガール6 (実業之日本社文庫)水族館ガール6 (実業之日本社文庫)感想
水族館のありかたに試行錯誤する由香と梶。しかし二人の知らぬ間にアクアパークでは極秘のプロジェクトが進み、一方でもうひとつの前代未聞のプロジェクトも同時進行で始まる第六弾。アシカの多彩な芸と本来の姿のギャップに悩む梶、水族館基準の適用範囲拡大に向けた挑戦、そしてイルカのルン妊娠と出産。水族館がどうあるべきか、楽しいショーは観客を楽しませてくれるけど、本来の生態とのバランスは確かに考えどころですね…。二人の仲は相変わらずでしたけど、先輩方に助けられながら基準作りやイルカの出産に奔走する姿はとても印象的でした。
読了日:09月23日 著者:木宮 条太郎
薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
医者から処方された薬で足の痒みが治まらず悩んでいたホテルマン水尾爽太。再診後の薬局で薬オタクの女性薬剤師・毒島と出会う薬剤ミステリ。ホテル客室の塗り薬紛失事件に、薬の数が足りないと訴える老人、痩身剤を安く売る病院など、他のことには興味が薄いのに薬が関わると俄然行動力を発揮する毒島の存在感と、そんな彼女が気になる爽太が事件を解決していく展開はなかなか面白かったです。病院や薬剤師、薬の豆知識もあったりで、わりと踏み込んだのに進展しない二人の関係はなかなか遠い道のりですけど、続巻あるならまた読んでみたいですね。
読了日:09月23日 著者:塔山 郁
朝が来るまでそばにいる (新潮文庫)朝が来るまでそばにいる (新潮文庫)感想
妊娠に悩む女の元に訪れる鳥、火葬したはずなのに家にいる妻との新婚旅行、美しいものを捉える目を持った女の運命の相手、幼くして母を亡くした子の父や弟に対する複雑な想い、過去の苦しい想いを共有した夫婦、女子トイレに潜む少女など、それぞれの黒い情念を描いた連作短編集。「死」に感傷的な思いなど関係なく直面する生々しい現実や、死してなお捉えて離さない想い、思いのままに突っ走った結末など、不気味な雰囲気の中に垣間見える複雑で繊細な想いを絡めた描写がとても印象的で、個人的に「ゆびのいと」「よるのふち」が気になりました。
読了日:09月23日 著者:彩瀬 まる
宝石商リチャード氏の謎鑑定 邂逅の珊瑚 (集英社オレンジ文庫)宝石商リチャード氏の謎鑑定 邂逅の珊瑚 (集英社オレンジ文庫)感想
滞在していたスリランカでの戒厳令発令をうけ、日本に一時帰国することになった見習い宝石商の中田正義。帰国前に連絡が取れずにいたヴィンセントからメールを受け取る第九弾。ヴィンセントのアカウントを乗っ取った意外な人物、ヴィンセントや師匠との興味深い話、岡山で教師になっていた谷本さんとの再会を経て出会ったリチャードへの想い。谷本さんとの関係には切ないものを感じましたけど、積み重ねていった先に見えたリチャードとの関係はとても彼らしいと思いました(苦笑)オクタヴィアとの再会が何をもたらすのか、続巻に期待ということで。
読了日:09月24日 著者:辻村 七子
やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)感想
人類が圧倒的な銃の力でファンタジー種族を滅ぼしてゆく時代。エルフの村で育った人間の少年・ガーディが村の掟を破ったことで追放され、金貨姫フローリンが治めるイントラシア領に身を寄せるファンタジー戦記。剣も槍もロクに扱えず秘められし権能も「究極のお人好し」な主人公カーディが、エルフの村でバカにされながら培った知恵と経験、時代遅れになりつつある弓や妖精たちを駆使して戦い、未来の大軍師に向けた第一歩を踏み出す姿はなかなか印象的でした。そんな一風変わった作品をどう評価するのか他の人の感想も読んでみたいと思いました。
読了日:09月24日 著者:芝村 裕吏
聖剣学院の魔剣使い2 (MF文庫J)聖剣学院の魔剣使い2 (MF文庫J)感想
〈第〇七戦術都市〉を襲ったヴォイド・ロードを圧倒的な力で蹂躙してみせた、転生した最強の魔王レオニス。そんな矢先に帝国の第四王女が来訪する第二弾。同じ小隊員のレギーナが第四王女の招待を躊躇する理由、軍港を襲撃するヴォイドと暗躍するテロ組織たちの恐るべき計画。レニオスを甘やかす過保護なポンコツお姉さん・リーセリアや、甘いもの好きな刺客メイドのシャーリなど、魅力的なヒロインたちをうまく物語に絡めて動かしながら、事件を通してレギーナの訳ありな事情や過去の因縁へと繋げてゆく展開は流石の安定感で今回も面白かったです。
読了日:09月25日 著者:志瑞祐
魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)魔弾の王と聖泉の双紋剣 (ダッシュエックス文庫)感想
ジスタートの戦姫・エレンの下で働く弓使いの青年・ティグルと副官リム。故あって突如攻め入ってきた敵国・アスヴァールの真っ只中で孤立した二人が、アスヴァール王女ギネヴィアと出会うもうひとつの物語。三百年も前の建国者・アルトリウスが蘇り、瞬く間に国を掌握してしまったアスヴァールを舞台に、二人がギネヴィアを助けて奮闘する展開で、並行して描かれるもうひとつの物語と舞台や一部登場人物が被る別展開という点はやや気になりましたが、お互い意識し複雑な想いも抱えながらも、力を合わせて戦う二人の物語はこれはこれで良かったです。
読了日:09月25日 著者:瀬尾 つかさ,川口 士,八坂 ミナト
魔弾の王と凍漣の雪姫 4 (ダッシュエックス文庫)魔弾の王と凍漣の雪姫 4 (ダッシュエックス文庫)感想
魔物・トルバランを討ち取り、港町デュリスを解放したティグル、ミラたちジスタート軍。しかしエリオット王子急死により、ギネヴィア王女を総指揮官とするブリューヌとの連合軍を結成する第四弾。思わぬ形でギネヴィア王女対ジャーメイン王子という構図になりましたけど、圧倒的な劣勢の中で大陸側へ橋頭堡を築き、それを覆して決着をつける展開は良かったですけど、少しばかり後味の悪い結末に…展開の変化でロランやザイアンといった登場人物たちの人生や役割もいろいろ変わってきていてなかなか興味深いですが、最後の展開はちょっと意外でした。
読了日:09月26日 著者:川口 士,美弥月 いつか
法律は嘘とお金の味方です。 2 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)法律は嘘とお金の味方です。 2 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)感想
強引でお金に汚い弁護士・吾妻正義と、その弁護士事務所でバイトする孫で嘘をついた人の顔が歪んで見える力を持つ女子高生・つぐみ。そんな事務所に知り合いの息子で大学生の大介がバイトとしてやってくる第二弾。守秘義務違反でSNSで炎上させてしまうアルバイト事務員、親子間で起きた交通事故についての奇妙な慰謝料訴訟、正義の恩師の身に降りかかった痴漢冤罪事件。正義の恩師の秘密には苦笑いでしたけど、最初はどうなることかと思った大介もレギュラーに定着しそうな雰囲気で、草司父の件もそろそろ進展ありそうですし続巻も期待してます。
読了日:09月26日 著者:永瀬 さらさ
由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)由比ガ浜機械修理相談所 (DENGEKI)感想
リアルなヒューマノイド「TOWA」を助けたい想いが空回りして挫折した若宮氷雨。世間から逃げるように鎌倉に機械修理相談所を開いた彼の元に、TOWAの結を伴った戸川が訪れる物語。十五億で結を売ってほしいという戸川の依頼から買ってくれる人を探すことになった氷雨。束の間の彼女と共に過ごす日々で少しずつ変わってゆく心境。けれどそれに素直に向き合えない苦い過去があって、不器用過ぎる氷雨の葛藤もありましたけど、様々なことが繋がって明らかになってゆく過去や、今の大切な想いにきちんと向き合えた結末がとても素敵な物語でした。
読了日:09月26日 著者:斉藤 すず
なめらかな世界と、その敵なめらかな世界と、その敵感想
いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春、ゼロ年代のSF論、脳科学インプラントと複雑な想いが交錯する愛憎劇、ソ連アメリカの超高度人工知能を巡る争い、未曾有の災害に巻き込まれた新幹線が陥った低減世界といった6つのSF連作短編集。テイストの違う世界を描いた作品にはそれぞれの良さがあって面白かったです。個人的には「美亜羽へ贈る拳銃」「ひかりより速く、ゆるやかに」が好みでしたかね。相手を思う真摯な気持ちの中にも複雑な想いが入り混じるからこそ、明示されないその結末がとても印象的なものに思えました。
読了日:09月27日 著者:伴名 練
流浪の月流浪の月感想
奔放に育ててくれた両親を失い、引き取られた伯母の家で追い詰められてゆく更紗。そんな行き場のなかった彼女を受け入れた文が抱えていた苦悩。真実を知られることがないまま否定された二人の関係。確かに難しいテーマで、どんなに真摯な想いがあろうと世間一般の常識では容認し難いものがあるのは分からなくもないんですけどね。けれど辛い過去からうまく生きられない不器用な登場人物たちがいて、たくさん傷つきながらも育んできた揺るぎない真っすぐな想いがあって、ただともにありたいというささやかな願いくらいは叶う未来であって欲しいです。
読了日:09月27日 著者:凪良 ゆう
人口で語る世界史人口で語る世界史感想
アングロサクソンが世界覇権を奪う契機となった産業革命から、大変革期にあたる直近二百年を叙述した一冊。人口は土地の生産力を超えないとするマルサス人口論。「乳児死亡率」「出生数」「移民」をキーワードに、産業革命によってそれを打破したイギリスの躍進、猛追したドイツ・ロシア、アメリカと東側諸国の冷戦、日本・中国・東アジアの事情、中東とアフリカを人口学の観点から考えるといろいろなものが見えますね。出生が安定し女性が教育機会を得る人口増加は停滞していく状況に、移民という不確定要素に対する各国事情は興味深かったです。
読了日:09月28日 著者:ポール モーランド
丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。5 (角川文庫)丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。5 (角川文庫)感想
突如、吉原不動産の後継者に名乗りを上げた第六物件管理部部長の次郎。会う機会もないまま混乱する澪に高木が「次郎は呪いの標的になろうとしているのでは」と言い出し独自に調査を開始する第五弾。明らかになってゆく吉原家の男性後継者は早死にするという呪いの真実。すれ違いかけた次郎との合流からの次郎兄失踪にたどり着く展開でしたけど、市松人形意外に活躍してましたね(苦笑)でもまだまだ続きそうな新展開にはホッとしました。それにしても巻末の晃のエピソードは何かいい感じに思えた関係だったからこそ、どうにも切なかったですねえ…。
読了日:09月29日 著者:竹村優希
小説 空の青さを知る人よ (角川文庫)小説 空の青さを知る人よ (角川文庫)感想
山間の街に飽き東京でバンドデビューを渇望する高校生・あおい。そんな彼女を心配する姉・あかねの昔の恋人で、高校卒業後に上京したきりだった慎之介が街に帰ってくる映画原作小説。慎之介・あかね・正道を巡る三角関係と、慎之介に複雑な想いを抱くあおいが出会った、高校時代のままの慎之介こと「しんの」。映画版とは視点が違うようで、何もかもうまく行かないあおいの迷走っぷりには頭を抱えたくなりますが、それもまた大切な人たちへの思いがあるからこそで、再会したことでいろいろ諦めかけていた夢を思い出してゆく姿が印象的な物語でした。
読了日:09月29日 著者:額賀 澪
超すぐやる!  「仕事の処理速度」を上げる“科学的な"方法超すぐやる! 「仕事の処理速度」を上げる“科学的な"方法感想
思考の質とスピードを同時に上げる ワーキングメモリの鍛え、仕事の処理速度を上げる科学的な方法を解説した一冊。脳科学の観点からマルチタスク状態への対策、脳がどのように時間を捉え仕事の配分をしているのか、見落としによるミスの防ぎ方、時間がない社会人が効率よく学習するための方法、何をしてもすぐに飽きてしまう状況の解消、自分が満足できる選択をする方法などを解説していて、より具体的な実行に移すまでのイメージを持つことや、アウトプットを意識することでインプットも活きてくるといったことには読んでいて納得感がありました。
読了日:09月29日 著者:菅原洋平
君と漕ぐ2 :ながとろ高校カヌー部と強敵たち (新潮文庫nex)君と漕ぐ2 :ながとろ高校カヌー部と強敵たち (新潮文庫nex)感想
インハイ出場を決めた希衣と恵梨香の新ペア。カヌー部女子四人は休む間もなく練習を重ね、次の関東大会に向けて個性的なライバルたちと出会う第二弾。健康的な生活を送るマイペースな舞奈には苦笑いでしたけど、それぞれ複雑な想いを抱える千帆や希衣、恵梨香たちも転機を迎えつつあって、存在感ある個性的なライバルたちに刺激を受けながら勝負に挑む展開はいいですね。葛藤する希衣の意識も周囲の影響でだいぶ変わってきましたけど、負けず嫌いであることを自覚し、カヌー選手として意識し始めた恵梨香の決断が気になるところ。続巻も楽しみです。
読了日:09月30日 著者:武田 綾乃
犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2- (新潮文庫nex)犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー -探偵AI 2- (新潮文庫nex)感想
人工知能探偵・相以の驚異的な推理力に大敗を喫した以相。復讐に燃える彼女は人間の知能を増幅させ完璧な共犯者を造り、相以に挑戦状を叩きつける第二弾。ゴムボートで漂着した死体、密室で殺された漁協長、首相公邸内殺人事件。三つ子の右龍三兄弟が絡む連続殺人事件で、過去の因縁に伏線を絡めながら進んだ探偵劇は、相以によって明かされてゆく事件の真相にやや強引だなと感じる部分もありましたけど、ここに繋がるのかと唸らされる箇所もあったりで、今回は以相の思惑がうまくハマったように思えた結末が印象的でした。ここからの続巻にも期待。
読了日:09月30日 著者:早坂 吝
ニセモノ夫婦の紅茶店 ~あの日の茶葉と二人の約束~ (メディアワークス文庫)ニセモノ夫婦の紅茶店 ~あの日の茶葉と二人の約束~ (メディアワークス文庫)感想
4つのルールで結ばれた神経質で毒舌な秀二と、明るくて社交的なあやめのニセモノ夫婦。偽りの関係を通して次第に秀二への恋心が高まるあやめが、ルールの存在を気にかける第二弾。家族に秘密を抱える常連さん、嘘つきな女性客との出会い、そして館山にやってきた友人と因縁のあの人。少しずつお互いの心境が変わってゆく中で、増えてゆく周囲の人々との関わりだったり、友人や因縁との相手との再会が、結果的にお互いの距離感を見直すいいきっかけになりましたかね。いろいろ心揺れるあかねでしたけど、思わぬ形でいいお友達ができて良かったです。
読了日:09月30日 著者:神戸遥真

読書メーター