読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2020年9月に読んだ本 #読書メーターより

9月は4連休などもあったりしましたが、意外とペースを落とすことなく最後までいろいろ読めました。ただ毎年のことですが、9月は刊行点数も気になる本も多くて、ここ最近ではわりと読めた方なのになぜか積読が増えている謎…。読める本>積読本のバランスはなかなか難しいなとしみじみ感じます。

 

9月は比較的新作の割合が高くて、シリーズものの中では「魔法科高校の劣等生」「なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?」が完結、2年ぶりの刊行となった「ナイツ&マジック」があったくらいで、全体的に安定の続巻といった感じで楽しめました。

 

9月の読書メーター
読んだ本の数:73
読んだページ数:21996
ナイス数:4181

コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店― (新潮文庫nex)コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店― (新潮文庫nex)感想
九州に展開するコンビニ「テンダネス」の門司港こがね村店。勤勉なのに老若男女を意図せず籠絡するフェロモン店長・志波三彦と、彼を慕ってやってくる常連客たちがコンビニを舞台に繰り広げるお仕事小説。バイト野宮が密かに抱えていた後悔、夢と現実の狭間で悩む塾講師・桐山、幼馴染との関係に悩む梓、定年後妻との距離感が分からなくなった夫、パート・光莉の息子・恒星が抱いた疑惑、クリスマスの騒動など、店長や周囲の登場人物たちを絡めたドタバタ劇が楽しくて、その優しさが関わる人たちの心を癒してゆくとてもじんわりと来る物語でした。
読了日:09月01日 著者:町田 そのこ
ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女 (集英社オレンジ文庫)ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女 (集英社オレンジ文庫)感想
王族による共同統治が行われる国イルバス。王宮を離れ北方辺境のリルベクで趣味の工業生産に明け暮れる王女ベアトリスが、周辺国の情勢が悪化により政治的決断を迫られる激動のヒストリカルロマン。尊大な兄アルバートと狡猾な弟サミュエルから距離を置くベアトリスが抱える秘密と、彼女を支え続ける側近のギャレット。事態が緊迫する中で駆け引きを続ける兄弟に振り回されるベアトリスでしたけど、不器用な彼女とギャレットの葛藤と繊細な距離感が効いていて、覚悟を決めた彼女たちが向き合った末に取り戻した絆にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:09月01日 著者:仲村 つばき,藤ヶ咲
晴れ、時々くらげを呼ぶ晴れ、時々くらげを呼ぶ感想
父親を病気で亡くし、ワーカホリック気味な母と二人で暮らしの高校生の越前亨。図書委員になった亨が、毎日屋上でくらげ乞いをする後輩・小崎優子と出会う青春小説。理不尽に対抗するためにくらげを降らせようとする小崎の相手をしながら、日常を適当にこなす亨。本が好きな図書委員たちの読書あるあるがあって、同じ場所にいるのに温度差を感じてしまう亨がいて、けれどバス停で見かけた小崎をきっかけに、バラバラだったそれぞれの想いが繋がる展開は優しくて、ずっと忘れていた大切なものを思い出してゆく、とても素敵な結末だったと思いました。
読了日:09月02日 著者:鯨井 あめ
うちの作家は推理ができない (二見サラ文庫)うちの作家は推理ができない (二見サラ文庫)感想
先輩編集の高山から売れっ子現役大学生ミステリ作家・二ノ宮花壇の担当を引き継いだ左京真琴。「いま書いている物語の推理パートを忘れてしまう」彼の物語を推理し、つじつまの合う結末を考える作家ミステリ。喫茶店カップルの男が怒った理由、花壇に依頼した書評、寮で見かけた幽霊の正体、エノが食あたりをした理由、そして素直になれない作家の真意。何度も振り回される左京を見ていると拗らせ過ぎなのではと思ってしまいますが、左京があまりにも不憫だったので続編があったら是非二ノ宮に逆襲してぎゃふんと言わせる展開を期待したいですね。
読了日:09月02日 著者:なみあと
偽りの君と、十四日間の恋をした偽りの君と、十四日間の恋をした感想
女子が苦手な高校生・湊人は、見慣れない同級生・繭から告白をされ、断るつもりが彼女の勢いに呑まれ、二週間限定で彼女の願いに付き合うことになる青春小説。湊人が女子を苦手とする遠因となった元カノとの苦い記憶。冬休みの二週間で一冊の手帳に書かれた未来日記を湊人と一緒に叶えてゆく繭の真意。思い出す元カノとの過去の記憶がある一方で、共に過ごすうちに繭に対する想いも変わっていって、謎の真相自体はだいたい想像の通りで、繭が抱える想いもまたなかなか複雑でしたけど、最後の願いに繋がる可能性を残した結末には希望を感じましたね。
読了日:09月03日 著者:櫻 いいよ
海蝶海蝶感想
女性初の潜水士として注目を集める横浜海上保安部所属・忍海愛。兄は特殊救難隊、父もベテラン海保潜水士で血筋は折り紙付きの彼女が、初めてならではの苦難や過去にも向き合ってゆく物語。東日本大震災に遭遇し目の前で母を失った愛。それをきっかけにバラバラになってしまった家族や、女性初の潜水士「海蝶」として働く彼女や周囲の戸惑いもあって、初めての任務がまたとんでもない事件でしたけど、苦難にぶつかって葛藤しながらも、行くも地獄戻るも地獄の道を突き進む覚悟を決めた愛がようやく大切な絆を取り戻す姿がとても印象的な物語でした。
読了日:09月03日 著者:吉川 英梨
お迎えに上がりました。 5 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)お迎えに上がりました。 5 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)感想
国土を不法占拠する「元国民」=地縛霊を立ち退かせる幽冥推進課の職員として働く夕霞。出張先の気仙沼東日本大震災による津波で引き裂かれた親子が抱え続ける悲痛な想いに遭遇する第五弾。息子が心配で毎日決まった時間に鳴り続ける電話が届けた想い、秋田の実家で遭遇した祖母が遺した手紙、実家近くの幽霊バスの正体。気仙沼の震災の話にはなんか来るものがありましたけど、そこからの流れでの夏休み帰省で初登場した夕霞のお母さん・朝顔や妹の夜露は、個性的だけれどいい人でしたね。しかし幽冥推進課は一体どうなってしまうのか気になる…。
読了日:09月04日 著者:竹林 七草
水族館ガール7 (実業之日本社文庫)水族館ガール7 (実業之日本社文庫)感想
赤ん坊を出産後病気にかかってしまったイルカのルン。思わぬ形で子育ての大変さを学ぶことになった由香が、離れ離れになった親子を対面させるためのアイディアを思いつく第七弾。イルカの赤ん坊が生まれてから安定するまでの大変さも初めて知りましたけど、病気になった母イルカと子供を対面させるために工夫してみたり、ひょんなことから見つかったアイデアがまさかあんなハプニングに繋がるとは思わなかったというか、まさに激動の展開でしたね(苦笑)ようやくかとも思いましたけど、乗り越えるハードルは高そうで次巻もどうなるのか楽しみです。
読了日:09月05日 著者:木宮 条太郎
法律は嘘とお金の味方です。 3 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)法律は嘘とお金の味方です。 3 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)感想
クセモノ弁護士・吾妻正義のもとに舞い込む依頼は手強いものばかりで、孫の女子高生と幼馴染検察官たちが振り回される第三弾。勝手に婚姻届を出された男と婚約者を巡る偽装結婚疑惑、偏屈な老人と母子家庭の間に起きた騒音問題、執拗につきまとう記者を名誉毀損で訴えたい連続放火犯からの依頼。ライバル弁護士も登場して、濃い案件だらけの上に正義も相変わらずで苦笑いしたけど、でもそれが草司の過去にも繋がっていて、事件を通じてそれぞれの心境の変化もあって少しずつ成長していってるんだなというのを実感しますね。続巻もまた期待してます。
読了日:09月05日 著者:永瀬 さらさ
二丁目のガンスミス -恋わずらいの銃弾-二丁目のガンスミス -恋わずらいの銃弾-感想
さびれた絵本専門店、黒縁眼鏡の地味な女店主。「赤と黒の表紙、アリスの初版」の合言葉で、絵本店の地下深く秘密の工房の扉が開く第二弾。騙された祖母のための復讐、飢えた熊九頭の檻から少女を奪還、トラップだらけの地下迷宮から脱出、夫に囚われた妻の真相、金庫解錠のために囚われたものたち、そして美夜が過去に起きた事件の真相。美夜を地道に餌付けする京介は微笑ましかったですけど、今回は危険な状況に二人で巻き込まれまくりで、たびたび後始末に登場するホームクリーニングが恐ろしい(苦笑)なんとも二人らしい結末が良かったですね。
読了日:09月06日 著者:柊サナカ
もう一度人生をやり直したとしても、また君を好きになる。もう一度人生をやり直したとしても、また君を好きになる。感想
柳葉美緑と結婚して三年。幸せなはずの生活を突然襲った病魔よる彼女の死。彼女を救うため、再び幸せにするため時間を巻き戻す力を使い、中学生から人生をやり直す物語。神様を助けて授けられた、副作用として巻き戻した時間の五倍の寿命が縮められる特殊な力。それでも覚悟を決めて彼女を取り戻すために十一年遡り再び始める中学時代。疎遠だった幼馴染の優弥と美緑の関係が再び交わり始めて、その狂おしいまでの葛藤を思うとあのセリフは残酷だなとも思いましたが、それでも切なる願いをしっかりと受け止めた誠実な二人の想いは印象に残りました。
読了日:09月06日 著者:蒼山 皆水
お局美智 経理女子の特命調査 (文春文庫)お局美智 経理女子の特命調査 (文春文庫)感想
とある地方の建設会社「NOMURA建設」のベテラン経理社員佐久間美智。先代社長・野村朔太郎の指令で社内盗聴システムを使い、社内のトラブルを解決する特命任務に奔走するお仕事小説。同僚の寿退社と経理課長の失踪、勤務実績のない社員の存在、厳しい経費削減から起きた事件、社員旅行での騒動、ライバル会社炎上と銀行融資。お局美智と陰口を叩かれ平和に生きることが望みの美智が、上の思惑や身勝手な同僚たちに振り回されてぼやきながらも、何だかんだ言いながらも会社や周囲の人たちを守るために奔走する姿がなかなか印象的な物語でした。
読了日:09月07日 著者:明日乃
アフリカ経済の真実 ――資源開発と紛争の論理 (ちくま新書)アフリカ経済の真実 ――資源開発と紛争の論理 (ちくま新書)感想
なぜ豊富な資源や大規模開発があっても、国民は貧しいままなのか?日本では知られていないアフリカ諸国の現状を解説し背景を分析する一冊。本書はサハラ以南のサヘル地域が混迷する理由、マリにおけるイスラーム急進派の拡大や、疲弊するマダガスカル、資源の呪いに翻弄されるアルジェリア、内戦に明け暮れるアフリカ諸国、狩場としてのアフリカ農地などを例に挙げ、資源や農地があっても外資に搾取され、貧富の差が拡大して不満を募らせてゆく構図がわかりやすく解説されていましたが、なかなか根が深くて容易には解決できない難しい状況ですね…。
読了日:09月07日 著者:吉田 敦
大阪マダム、後宮妃になる! (小学館文庫 C た- 2-1 キャラブン!)大阪マダム、後宮妃になる! (小学館文庫 C た- 2-1 キャラブン!)感想
大阪で生まれ育ったコテコテのアラサー大阪女子が、凰朔国一の豪商・鴻家の華やかな屋敷に住む令嬢・鴻蓮華に転生し、放り込まれた後宮でたくましく生きてゆく後宮コメディファンタジー。理想の男性はバースと公言する大阪マダムが転生した理由には笑ってしまいましたが、母・皇太后と対立する疑り深い皇帝の天明に協力し、蓮華をライバル視する妃嬪候補たちすら巻き込んで、後宮にタコパを流行らせたり妃嬪たちに野球を指導したり、やりたい放題なのに深刻な問題すら何とかしてしまう蓮華の慧眼や心意気、圧倒的なパワーがとても痛快な物語でした。
読了日:09月08日 著者:田井 ノエル
世界を変えた微生物と感染症 (単行本)世界を変えた微生物と感染症 (単行本)感想
世界にあふれているけれどほとんど知られていない微生物。感染症の元になるウイルスから健康・暮らしに役立つものまで、感染症を引き起こす微生物、感染症と人間の関係について中学理科のレベルでやさしく解説する一冊。そもそも感染症とは何か、私たちがたびたび風邪を引く理由、滅菌・殺菌・消毒・除菌・抗菌の違い、インフルエンザ・マラリアコレラエボラウィルスエイズといった人間が闘ってきた感染症の歴史、そしてコロナやPCR検査の仕組みなども解説されていて、書き慣れている著者さんらしい内容でよみやすく分かりやすかったです。
読了日:09月08日 著者:左巻健男
月はまた昇る (文芸書)月はまた昇る (文芸書)感想
出産後すぐに職場復帰するつもりが、なかなか保育園が見つからない北村彩芽。そんな彼女のSNSでの呟きにママたちの苦悩が寄せられ、オフ会で知り合った二人と一念発起して保育園設立に動き出す物語。娘の保育園の方針が合わない経理担当のシングルマザー契約社員・敦子、保育園で働きたい元保育士の専業主婦・梨乃が、彩芽の情熱に引っ張られるように設立に向けて動き出して、三者三様に遭遇するトラブルにはそううまく行かないよな…とも感じましたけど、時にはぶつかり合いながら絆を深め、苦難を乗り越える姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:09月08日 著者:成田名璃子
京都府警あやかし課の事件簿 4 伏見のお山と狐火の幻影 (PHP文芸文庫)京都府警あやかし課の事件簿 4 伏見のお山と狐火の幻影 (PHP文芸文庫)感想
京都府警「あやかし課」に配属されて初めて迎える冬。より仕事に励む古賀大が、想いを寄せる先輩・坂本塔太郎が何かに悩んでいることに気づく第四弾。滋賀の日吉大社への出張、悪戯好きの熱狐たちを補導するため向かった伏見でのすれ違い、そこから少しずつ距離を置くようになってゆく塔太郎。何でそうなっちゃったのかな…と二人の苦悩がどうにももどかしくて、大の昔の先輩を巡る様々な苦悩も切なかったですけれど、あれだけ濃い展開を乗り越えたのに結末は…と少し脱力してしまいました(苦笑)いつか塔太郎が乗り越えた時を楽しみにしています。
読了日:09月09日 著者:天花寺 さやか
蟲愛づる姫君の純潔 (小学館文庫キャラブン!)蟲愛づる姫君の純潔 (小学館文庫キャラブン!)感想
玲琳が嫁いでくる一年前、旅の途中で盗賊に襲われ馬車ごと谷底に落ちて死んだはず鍠牙の妹・累姫の突然の帰還。どんな医師の治療も受け入れない彼女に万策尽きた臣下たちは玲琳に姫の問診を願い出る第四弾。玲琳が妹に接することをなぜか快く思わない兄・鍠牙。傍若無人な累姫がまた強烈なキャラでしたけど、その過去も性格を破綻させるに足る壮絶なもので、つまるところあの魔性の女に狂わされた人たちがそれだけいるということですか。また新たな因縁も出て来たりしましたが、このお似合い夫婦の思考回路は斜め上過ぎてもう苦笑いしかないですね。
読了日:09月09日 著者:宮野 美嘉
魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編 (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(32) サクリファイス編/卒業編 (電撃文庫)感想
達也の元に届いた九島光宜からの挑戦状。病身という唯一の欠点すら克服し、日本へ戻ってきた彼と決戦の地、東富士演習場で激突する第三十二弾。アメリカや政府とも折り合いをつけて、反対勢力を抑えて着実に立ち位置を固めてゆく達也。愛する少女・水波の救済を決意する光宜と、同じ想いを抱く達也の激突。卒業に向けてそれぞれの進路も気になるところでしたけど、光宜との決着は無難な落とし所でしたかね。それにしてもあんな可愛い子に慕われてるらしい一条が、まだ深雪のことを諦めていなかったことに驚きました(苦笑)大学生編も期待してます。
読了日:09月10日 著者:佐島 勤
わたし以外とのラブコメは許さないんだからね (電撃文庫)わたし以外とのラブコメは許さないんだからね (電撃文庫)感想
冷たい態度に負けずアプローチを続けて一年、晴れて孤高の美人・有坂ヨルカに振り向いてもらえた瀬名希墨。強気なくせに恥ずかしがり屋で秘密の両想い生活を送る青春ラブコメディ。クラスの誰をも寄せ付けようとしなかったヨルカと密かに放課後・美術準備室で過ごす日々。一見平凡でも努力家で人のために頑張れるクラス委員の希墨は周囲にも認められていて、そんな希墨を見続けてきたからこそヨルカも彼にだんだん心動かされたんですよね。ほんとは不器用で臆病な彼女が、本当に大切なものを失いたくなくて懸命に頑張る姿はなかなか可愛かったです。
読了日:09月10日 著者:羽場 楽人
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3 (GA文庫)お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3 (GA文庫)感想
二年に進級し同じクラスになった真昼と周。周は遠慮からなかなか踏み込めない一方で、真昼は徐々に学校でも距離を近づけようとする第三弾。家や二人きりだとすっかり甘々な雰囲気なのに、教室では千歳との絡みも増えて変わりつつある真昼に遠慮して相変わらずどこか近寄れない周。いろいろ気苦労が多そうな王子様・門脇は意外といいやつでしたけど、料理教室を開いてみたり周と二人でお出かけしたり、真昼の頑張ろうとする想いも垣間見えるだけに、過去の出来事を乗り越えていつかその想いに応えてあげてほしいところですね。続巻も期待しています。
読了日:09月10日 著者:佐伯さん
ドラキュラやきん! (電撃文庫)ドラキュラやきん! (電撃文庫)感想
清く正しく現代に生きる吸血鬼で夜勤限定のコンビニで働く虎木由良。ある日、酔っ払いに襲われていた吸血鬼退治を生業とするシスター・アイリスを助けてしまうドラキュラ日常ファンタジー。太陽の光を浴びると灰になる吸血鬼・由良のアパートに転がり込んだ男性恐怖症でポンコツの天敵シスター・アイリス。その依頼にもなし崩し的に巻き込まれるうちに意外な繋がりも見えてきて、アイリスと様々な意味で対照的なヒロインの未晴も絡めつつ、宿敵の吸血鬼と対峙する構図は因縁が深そうですね…ここからどう盛り上げてくれるのか期待の新シリーズです。
読了日:09月10日 著者:和ヶ原 聡司
カノジョの妹とキスをした。2 (GA文庫)カノジョの妹とキスをした。2 (GA文庫)感想
恋人・晴香との初めてのキスを、義妹で彼女の妹・時雨に上書きされてしまった博道。時雨を異性として意識する状況に、彼女と距離を置き晴香との仲を深めようとする第二弾。時雨との同居も依然として秘密のまま、その後ろめたさを払拭すべく晴香に向き合おうとしていく中で、皮肉にも明らかになってゆく辛い過去から形成されていった彼女の極端な恋愛観。博道に理解してもらおうとする晴香が、苦悩する博道の想いに寄り添う時雨と対照的な構図になっていて、いやこれは泥沼不可避の展開ですね…この結末からどうなるのか楽しみだけど怖いです(苦笑)
読了日:09月11日 著者:海空りく
転生魔王の大誤算 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~ (GA文庫)転生魔王の大誤算 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート~ (GA文庫)感想
前世は不良だった兄と勘違いされ舎弟から尊敬を集めた草食系高校生・健剛が、歴代最強の実力を持つ魔王ケンゴーに生まれ変わり、より凶悪な魔族達に臣従されていつ本性を見抜かれるかハラハラの生活を送る勘違いコメディ。本性を知る乳兄妹のルシ子に見守られながら、過激な部下たちの暴走を必死で止めて、苦し紛れの言い訳が深謀遠慮っぽく勘違いされる展開には苦笑いでしたが、何だかんだで部下に愛されてる感じがいいですね。人間側王女の狂信者っぷりにはドン引きでしたけど、窮地に陥ったルシ子を救うべく奮闘する姿はなかなか良かったですね。
読了日:09月11日 著者:あわむら赤光
娘じゃなくて私が好きなの!?(3) (電撃文庫)娘じゃなくて私が好きなの!?(3) (電撃文庫)感想
隣に住む巧からの告白以降、急速に距離が縮まっていた綾子にまさかの娘の美羽が宣戦布告。綾子が困惑する中、南国旅行に三人で行くことになる第三弾。周囲に振り回され戸惑いながらも、プールでの水着対決に部屋の家族風呂と巧にアピールする綾子。自分の立場もあったりで綾子さんの何とも複雑な乙女心が難しいなと感じる展開でしたけど、あくまでぶれずに真っ直ぐな巧と、母娘勝負の果てにクローズアップされる遠い昔の約束がなかなか効いてましたね。しかしこれでもめでたしめでたしで終われない綾子さんの恋路はまだまだ前途多難そうです(苦笑)
読了日:09月11日 著者:望 公太
竜と祭礼3 ―神の諸形態― (GA文庫)竜と祭礼3 ―神の諸形態― (GA文庫)感想
作杖の依頼で神の街エストーシャの修道院へ向かったイクス。魔法杖の祖レドノフの伝説が残るその街でイクスは職人仲間・シュノと出会い、職人としての在り方を見つめ直しはじめる第三弾。イクスが依頼で出会った同年代の魔法杖職人のシュノとの刺激的な邂逅。故郷に戻るはずがマレー教の勢力争いに巻き込まれ、エストーシャの神学会議に出席するユーイ。魔法杖職人に対する想いを自覚する中、思わぬ形で将来の選択肢を提示されたイスクと彼女の思ってもみなかった形での再会が、今後の展開にどう影響してゆくのかとても気になる印象的な結末でした。
読了日:09月12日 著者:筑紫一明
わたしの幸せな結婚 四 (富士見L文庫)わたしの幸せな結婚 四 (富士見L文庫)感想
清霞の両親が住む別邸からの帰りを敵に狙われ、日中を清霞の職場である屯所内で過ごすことになった美世。そこで紹介された女性軍人、薫子と清霞の仲の良さに美世の心が揺らぐ第四弾。護衛役となった清霞の元婚約者候補・薫子の距離感にモヤモヤする美世。描写見てると清霞は美世を大切に扱っている感あるし、ベタ惚れな気もしたんですが、自己肯定感が低い分どうしてもそういうの気になっちゃうんでしょうね…。今上帝が攫われたままのわりにのんびりしてましたけど、誘われた新も気になるし、しっかりと決着して二人には幸せになってほしいですね。
読了日:09月12日 著者:顎木 あくみ
王妃ベルタの肖像 2 (富士見L文庫)王妃ベルタの肖像 2 (富士見L文庫)感想
紆余曲折の末に王家の女主人の座を手中に収めたベルタ。公私ともに変わっていく国王ハロルドとの関係性に戸惑いながら、王妃としての初仕事で「遷都」という国家の一大事業に携わることになる第二弾。王妃であると同時に南部最大領主の娘という立場に翻弄されながら、ハロルドと共に遷都先の二つの候補地へ視察に赴くベルタ。状況の激変にどうあるべきか、情報が不足して戸惑いを隠せないベルタはそれでもルイの母親で、配慮が足りないハロルドに言うべきことをしっかり言って、何だかんだでいい夫婦になっていくのかなと思えた結末が印象的でした。
読了日:09月12日 著者:西野 向日葵
落第魔術師を伝説にするまでの果てなき英雄譚 (電撃文庫)落第魔術師を伝説にするまでの果てなき英雄譚 (電撃文庫)感想
盗掘家アランが遺跡で見つけた、世界を救った大英雄「不没の銀月グレイ」の魔法遺物である杖。それを手にしたことで英雄が生きていた1000年前にタイムスリップするファンタジー。英雄譚にひそかに憧れていたアランが探し出した虚勢張りまくりの残念ポンコツ少女・グレイ。いろいろ伝承とは違う現実に幻想がぶち壊されてゆくコメディとテンポのよい掛け合い、シリアスな展開の組み合わせが絶妙で、宿敵だったのはずの「暴君」の真意を知ってその企みをぶち壊し、本来の歴史を逸脱したこれからをどう展開させていくのか、期待の新シリーズですね。
読了日:09月13日 著者:榎本 快晴
紙山さんの紙袋の中には 1 (HJ文庫)紙山さんの紙袋の中には 1 (HJ文庫)感想
高校に入学して紙袋を被り常にびしょ濡れのヤバい女子・紙山の後ろの席になってしまった小湊波人。恥ずかしさから紙袋を取れない彼女の人見知りを直そうと会話部を作る青春ラブコメディ。身体能力の高さと人見知りのギャップが凄まじい紙山や、制服に異様なこだわりを見せるクラス委員長新井、魔法少女のパネルと喋るコミュ障・春雨といった異様に個性的すぎるヤバいヒロインたちと様々なことに挑戦していく展開は毎回斜め上でしたけど、そんな彼女たちも着実に成長して、紙山の紙袋を巡るエピソードもちゃんと回収していてなかなか面白かったです。
読了日:09月13日 著者:江ノ島アビス
威風堂々惡女 4 (集英社オレンジ文庫)威風堂々惡女 4 (集英社オレンジ文庫)感想
芙蓉が身籠もった子が次代の皇帝となる皇子であると悟り、その子が産まれる前に亡き者にすべきか迷う雪媛。そんな状況で青嘉の亡き兄の妻・珠麗が芙蓉の世話係として皇宮へと上がる第四弾。我が子と皇帝に執着する芙蓉との対立に加えて、様々な思惑が入り乱れ陰謀と嫉妬が渦巻く中、青嘉と珠麗の関係や、幼い頃に芙蓉の父・独護堅の陰謀で家が潰れ、全てを失った飛蓮も絡んできて、かなり複雑な展開になってきましたが、雪媛にも判断に迷いが感じられる中で複雑な暗い想いを抱える珠麗の不気味な動向がどう影響してくるのか気になるところですね…。
読了日:09月13日 著者:白洲 梓
揚げて炙ってわかるコンピュータのしくみ揚げて炙ってわかるコンピュータのしくみ感想
技術が進むにしたがって中身がブラックボックスと化してきたコンピュータ。そのしくみを「炙る」「揚げる」などの過激な手法も用いつつ、半導体レベルから実際に目に見える形でひもといていく一冊。大規模化・複雑化しハードウェアとソフトウェアが分離してブラックボックス化が進んでいるのに、仕組みを知らないままでも普通に使えてしまっている現状や、加速度的に進んだ集積回路の小型化、それに伴い小型化した機器ではどこでどう処理を分担しているのか、半導体チップを炙ったり揚げたりで分解して解説してゆく様子はなかなか興味深かったです。
読了日:09月13日 著者:秋田 純一
楽園とは探偵の不在なり楽園とは探偵の不在なり感想
二人以上殺した者は天使によって地獄に引き摺り込まれるようになった世界。細々と探偵業を営む青岸焦が、大富豪・常木王凱に誘われ天使が集まる常世島を訪れる孤島×館ミステリ。激変した世界でかつて無慈悲な喪失を経験した青岸が直面する、起きるはずのない連続殺人事件。犯人はいかにして連続殺人を成し遂げたのか。復讐に人生を賭けた犯人の「天使」の特性を逆手に取ったその真相には善悪とは何かを考えさせられましたね。そんな中で青岸が見出してゆく、天使と役割を逆転させたような探偵の存在意義がなかなか印象的な結末だったと思いました。
読了日:09月14日 著者:斜線堂 有紀
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身III」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身III」感想
ダンケルフェルガーとのディッター勝負で倒れたローゼマインが目を覚まし、諸問題は解決したものの、乱入した中央騎士団にトルークを使われた可能性が浮上する第五部第三弾。何というか上位領地との認識齟齬みたいなものだったり、エーレンファレスとの準備不足的なものもあったりで、結果的にローゼマインの突出ぶりが目に付く状況になっていますが、それにしてもデートリンデのダメっぷりもまた際立っていて、婚約者のフェルディナントも大変そうですね…何やら不穏な気配を感じる状況ですが、彼とローゼマインと再会の機会があって良かったです。
読了日:09月14日 著者:香月美夜
平安・陰陽うた恋ひ小町 言霊の陰陽師 (宝島社文庫)平安・陰陽うた恋ひ小町 言霊の陰陽師 (宝島社文庫)感想
承和の変の謀反から二年。いまだ権力争いの残り火に翻弄される後宮で、言霊をあやつる異才の陰陽師小野小町が難事も怪異も解き明かす物語。陰陽師小野篁の孫として後宮の女たちの相談を受ける小町が直面する、袖にした貴族の悪夢や恋煩いの相手探し、そして承和の変を巡る事件。時の権力者・藤原良房なども登場して、かの有名な色男・在原業平などの協力も得ながら、あやかしが絡むの事件の背景を探り、言霊を使って人知れず影から解決してゆく業深き女陰陽師・小町という構図はなかなか面白かったですね。続刊がまた出るなら読んでみたいです。
読了日:09月15日 著者:遠藤 遼
Babel II 魔法大国からの断罪Babel II 魔法大国からの断罪感想
カンデラ城での禁呪事件を経た後も、行く先々で何故か騒動に巻き込まれながら魔法大国ファルサスへと到着する二人。日本帰還への糸口を求めて王ラルスと謁見する第二弾。雫たちが旅先の町で出会った謎の少女・リースヒェン、うっかり見てはいけない場面を見て攫われる雫、そしてついに謁見したファルサス王の断罪。いや、それにしても雫はトラブルに首を突っ込みすぎというか巻き込まれがちというか、ラルスとのやりとりが何かいい感じでしたけど、エリクの過去に加えて思わぬ事実も明らかになって、波乱万丈の日々はまだまだ続きそうですね(苦笑)
読了日:09月16日 著者:古宮 九時
終電の神様 台風の夜に (実業之日本社文庫)終電の神様 台風の夜に (実業之日本社文庫)感想
大型台風接近のため繰り上がった鉄道各線の終電。「嵐」という神様のいたずらが、それぞれの運命を変えてゆく一夜の物語第三弾。風雨が強まる公園で「あの人」を待つ彼女、行っていれば変わったかもしれない結末、その日結婚式を挙げる予定のカップル、当直明けの外科医、ターミナル駅で乗客を誘導する駅員。今回は終電が繰り上がったことであちこちで繰り広げられる悲喜こもごものエピソードでしたけど、突発的な事故で運命が変わってしまうことって確かにありそうですよね。そんな中、旅客担当に奮闘する駅員さんのリアルがなかなか印象的でした。
読了日:09月16日 著者:阿川 大樹
花村遠野の恋と故意 (幻冬舎文庫)花村遠野の恋と故意 (幻冬舎文庫)感想
九年前一度会ったきりの美しい少女を想い続ける大学生の花村遠野。大学にほど近い住宅街で吸血種の仕業とも噂される惨殺事件が続いて、サークル仲間と現場を訪れた遠野が記憶の中の美しい少女にそっくりな姉妹と出会う物語。運命的な再会を果たした少女と繋がりを持ち続けるため、警戒されない言葉や距離感を慎重に選びながら事件解決に協力を持ちかける遠野。思わぬ方向に向かう事件にもブレない彼には感心しましたが、迎えた皮肉な結末は…本人的に結果オーライとはいえなかなか重いものを背負いまいましたね。そんな彼らのこれからが楽しみです。
読了日:09月16日 著者:織守 きょうや
川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(1) (電撃文庫)川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(1) (電撃文庫)感想
電子書籍限定電撃文庫。人の心が読める無口系少女の不器用な初恋、恋愛成就の「告白の木」が三本もある町で、その一本をお気に入りスポットにしている少女と黒のジャージ少年、開かずの踏切とその周辺の喫茶店に集まる作家と編集者たち、学校で漂う幽霊と彼が見える後輩、画家を目指していた少女の初めての挫折と美術部の彼。独特なちょっとクセのあるノリで登場人物たちもちょっと変わっているけれど、積み重ねていったものが溜めに溜めた先にガチっとハマった時の破壊力がどうにも凄まじい、パワフルでインパクトのあるラブコメ連作短編集でした。
読了日:09月16日 著者:川上 稔
川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2) (電撃文庫)川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り(2) (電撃文庫)感想
電子書籍限定電撃文庫第二弾。弁当を美味そうに食う少女とまずそうに食う少年の弁当交換会、想い人に恋愛相談をされてしまった家業が神社の少女の顛末、心に鍵を掛ける少年が入部した文芸部で出会った風変わりな先輩、元秀才女子と才覚男子の勉強攻略、ゴリラ女子とオスの人類のちょっと恥ずかしい昔話。二巻目は前巻とはまたちょっと違ったテイストで、自分はお弁当の話とか文芸部の先輩後輩の話とか、こういうお話が好きなんですよ。なかなか気づかないけれど、そんな溜めに溜めた展開の先にある結末がまたじわじわくるラブコメ連作短編集でした。
読了日:09月17日 著者:川上 稔
嘘つきな魔女と素直になれないわたしの物語 (集英社オレンジ文庫)嘘つきな魔女と素直になれないわたしの物語 (集英社オレンジ文庫)感想
父親の浮気発覚による突然の両親の離婚。充実していた人生から一変した董子が、母親の地元である田舎で魔女を自称する金髪碧眼の少年・ハルと出会う青春小説。ご近所のほとんどが親類縁者で、携帯電話の電波もろくに入らない田舎への引っ越し。そこで出会った少年・ハルと解き明かす盗まれた卵、なくなったクッキー、赤い服の幽霊の謎。謎めいたハルとトーコが忘れてしまっていた八年前の真相。密かに村に危機が迫っていて、けれどそんな窮地を力を合わせて乗り越えて、二人で未来を切り開いてゆく姿がどこか微笑ましい、ひと夏の素敵な物語でした。
読了日:09月17日 著者:梨沙,げみ
塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (3)塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (3)感想
夏休みも後半に差し掛かった頃、押尾君がバイトするcafetutujiに通い詰めていた佐藤さん。夏休み終わりのお祭りに誘われ、金欠から一念発起バイトに挑戦する第三弾。押尾君に会うためにバイト先に通いつめたり、彼にプレゼントするためにバイト初挑戦したり、不慣れなことにもチャレンジしてみたり、表情豊かになってきてお友達も増えたりで、そんな奮闘する佐藤さんの成長を感じました(苦笑)最後の夏祭りもまた何かいい感じでお似合いの二人だなとつくづく思いましたけど、その裏で密かに進行する二人の物語もちょっと気になりますね。
読了日:09月17日 著者:猿渡 かざみ
千歳くんはラムネ瓶のなか (4) (ガガガ文庫)千歳くんはラムネ瓶のなか (4) (ガガガ文庫)感想
インハイ予選を終えた7月。チームの新キャプテンになった陽の姿はやけに眩しく心を揺さぶられる朔。そんなときかつて所属していた野球部のキャプテン江崎が朔の前に現れる第四弾。今回は前巻とは打って変わってキャプテンとして女子バスケ部を引っ張る陽の奮闘と焦燥、苦い過去にも繋がる朔と野球部の関係にスポットが当たる展開で、突出する才能ゆえに周囲とのギャップに苦しみながら諦めない陽と、自分で止めた時計をもう一度動かすために覚悟を決めた朔の奮闘には激しく心揺さぶられました。あんな姿見せられたらみんな惚れちゃいますよ(苦笑)
読了日:09月18日 著者:裕夢
美少女と距離を置く方法 1.クールな美少女に、俺のぼっちライフがおびやかされているんだが (オーバーラップ文庫)美少女と距離を置く方法 1.クールな美少女に、俺のぼっちライフがおびやかされているんだが (オーバーラップ文庫)感想
『選択的ぼっち』を自称する高校生の楠葉廉。ある日、クールな同級生の橘理華が強引に迫られている現場に遭遇し、気紛れに彼女を助けたことから始まる青春小説。最初の印象でクールな美少女タイプかと思ったら、廉となぜか行きつけの店が被ったり、行動原理や趣味も似ていたり、挙句の果てに住んでいるマンションまで隣の棟で苦笑いでしたが、ご近所さんとしても関わりが増える中で育まれる二人らしい関係性があって、そんな彼らを応援する友人たちがいて、不器用なりに自らの想いにしっかりと向き合った彼らの物語をまた読んでみたいと思いました。
読了日:09月18日 著者:丸深まろやか
現実主義勇者の王国再建記XIII (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記XIII (オーバーラップ文庫)感想
敵対国家・九頭龍諸島連合へフリードニア王国艦隊の派遣を決定したソーマ。故国を救うべく身を捧げた九頭龍諸島の姫シャボンを味方に付けたソーマは、彼女の手引きで王国艦隊の到着前に島へと潜入する第十三弾。王国との対決姿勢を崩さない諸島連合艦隊と、そもそもの緊迫状況を生む原因となった近海に出没する謎の巨大生物・オオヤミズチ。諸島連合艦隊とオオヤミズチ、直面する二つの脅威にソーマが講じた策略、先を見据えた落としどころは見事だと思いましたけど、だからこそ将来的にフウガの国との関係がどうなってゆくのか気になる結末でした。
読了日:09月19日 著者:どぜう丸
経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。 (ファンタジア文庫)経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。 (ファンタジア文庫)感想
罰ゲームでの告白をきっかけに、スクールカースト最上位で憧れの白河月愛と付き合うことになった陰キャ気味な高校生・加島龍斗。何もかもが違い過ぎる二人が少しずつ心を通わせ始める青春小説。告白されたその日に龍斗を当たり前のように自室に呼ぶ月愛の恋愛観とか、察してしまうその過去にはいろいろと考えてしまうものがありましたけど、そんな彼女を大切にしようとする龍斗との不器用で素朴な付き合いが、月愛を笑顔にして大切なものを思い出させてゆく展開はいいですね。二人がいい感じなだけに、復讐を誓う海愛の動向は気になるところです…。
読了日:09月19日 著者:長岡 マキ子
姉ぶる初恋相手に絶対敗けない! (ファンタジア文庫)姉ぶる初恋相手に絶対敗けない! (ファンタジア文庫)感想
同級生の真綾といい感じなのに、理屈っぽくヘタレでなかなか付き合えない高校生・柘原修一郎。そうこうするうちに母親が再婚し、真綾が義父の連れ子として義姉となってしまう青春ラブコメディ。チャンスと見てお姉ちゃんとしてぐいぐい攻める真綾と、弟でなく恋愛対象となるべくそれに立ち向かう修一郎、という噛み合わなくてどんどん拗らせてゆく無駄に面倒くさい両片想いの構図、それでいてあまりにも甘い二人の距離感には眩暈がしますが、そんな二人の関係は周囲に秘密なゆえに早くも波乱の兆候しかなくて、今から続巻が楽しみな新シリーズです。
読了日:09月19日 著者:佐倉 唄
我が魔道書は此処に在り 没落貴族と魔道学院 (ファンタジア文庫)我が魔道書は此処に在り 没落貴族と魔道学院 (ファンタジア文庫)感想
七年前に陰惨な闇討ちを受け、大切な魔道書を失う最悪の形で壊滅した名門ロレーヌ公爵家。残された幼き令嬢ルネと騎士アルトが、宿敵への報仇と家門の再興を誓ってベルン帝立魔道学院の門を叩くバトルファンジー。帝国随一の荘厳な学び舎に入学した彼らが、否が応にも巻き込まれていく七年前の謀略に潜む黒幕との戦い。切磋琢磨するライバルがいて、支えてくれる姉のような存在がいて、明らかになってきた七年前の因縁と、なかなか強大な仇敵相手にどのように戦っていくのか、物語をどこまで広げていけるのか、今後に期待したい新シリーズですね。
読了日:09月20日 著者:大黒 尚人
席替えから始まるハイスペック陰キャのリア充への道(強制)(1) (モンスター文庫)席替えから始まるハイスペック陰キャのリア充への道(強制)(1) (モンスター文庫)感想
クラスでは目立たない陰キャ的存在の鷹宮仁。そんな彼が席替えで圧倒的人気を誇る白花朝姫と席が隣になってしまい、いろいろ巻き込まれてゆく青春ラブコメディ。ブラコン気味の妹や幼馴染・藤堂との日々を良しとしていた鷹宮が、朝姫との関わりをきっかけに周囲に認められ、少しずつ世界が変わってゆく展開で、彼の面倒見の良さや危機に陥った朝姫をさらっと救ってしまうそのハイスペックっぷりを見ると、惚れられるのも仕方ないですね(苦笑)意識し始めている朝姫に加えてその友人や藤堂姉もこれから絡んできそうで今後が楽しみな新シリーズです。
読了日:09月20日 著者:城之内
嘘嘘嘘、でも愛してる2 (ファンタジア文庫)嘘嘘嘘、でも愛してる2 (ファンタジア文庫)感想
事故のときの記憶を取り戻し、女友達の雪縫とクラスメイトの色町からクリスマスの誘いを受けていたくー助。クリスマスで加速してゆく、嘘だらけのヒロインレースを描く第二弾。前巻の決着からまさかの二巻目、少しずつ変わりつつある色町と、現実を突き付けられる雪縫霙、そして距離を置かれた花屋敷花蓮と、三者三様の複雑な想いが描かれて、苦しくても向き合うことを決めた雪縫霙の覚悟はなかなか印象的でしたね。妹相手にも大人げない色町には苦笑いでしたが、四人の関係がどういった結末を迎えるのか、今後の展開が気になるところではあります。
読了日:09月21日 著者:川田 戯曲
文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点 (講談社現代新書)文字世界で読む文明論 比較人類史七つの視点 (講談社現代新書)感想
ラテン文字圏、ギリシアキリル文字圏、アラビア文字圏、梵字圏、漢字圏。五つの文字圏という視点から見た文字世界で読む文明論。文明と文化、ことばと文字、宗教と科学、文化としての組織、衣食住の比較文化、グローバリゼーションと文化変容といったテーマから、文字圏がどのように変遷していったのか、それが文明や文化の概念にどのような影響を与えたのかを解説してゆく一冊でしたが、着眼点は面白くても内容はやや雑然としていて、もう少しうまく整理してくれるとだいぶ印象は変わったのかも。でも終盤のまとめはなかなか興味深かったですね。
読了日:09月21日 著者:鈴木 董
動機探偵 (双葉文庫)動機探偵 (双葉文庫)感想
令王大学で人工知能を進化させるため、人の心を解きあかそうとする名村准教授。特任助手の若葉とともに持ち込まれた不可解な事件の理由解明に挑むミステリ。遺品として見つかった出所不明の日本刀を亡き母が持っていた理由、慣れない登山で事故死した青年の想い、突然婚約破棄した理由、息子に殺人の罪をなすりつけた父親と、日常の人間関係において発生する「なぜ」を解き明かしてほしいという依頼を、有能だけれど人の心の動きがよく分からない名村を、行動力ある若葉がフォローする形で二人で真相を解き明かしてゆく展開はなかなか良かったです。
読了日:09月22日 著者:喜多 喜久
いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら (MF文庫J)いつか僕らが消えても、この物語が先輩の本棚にあったなら (MF文庫J)感想
可愛い妹と暴力的な父。アンバランスな家庭を守るためアルバイトに明け暮れ、将来のことなんて考えられなかった柊海人。そんな海人が小説の世界の素晴らしさを説く神楽坂朱音と運命の出会いを果たす青春小説。人生を変えるきっかけとなった朱音との出会い。何もかもが対照的なライバル・天谷浩太。歪な想いに囚われた朱音を巡る三角関係も絡めつつ、彼らの創作活動を軸として展開してゆくストーリーで、絶望的な状況に陥って小説を書くことを諦めかけた時も叱咤してくれる仲間がいて、大切な気持ちを胸に戦うことを選んだ彼らの姿が印象的でしたね。
読了日:09月22日 著者:永菜 葉一
弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇 (角川文庫)弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇 (角川文庫)感想
ミステリアスな美女に薦められて『くま弁』を訪れた失業中の雪緒。お弁当の美味しさと店主夫婦の温かさに惚れ込み、雪緒は次の仕事が決まるまで宅配のアルバイトをすることになる新章第一弾。『くま弁』を薦めてくれた女性が宅配を依頼する理由、小言を言うおばあちゃんの複雑な心境、元居た会社への宅配と再会、そして父親のために作る玉子焼きのお手伝い。繋ぎの仕事のつもりで始めた宅配を続けるうちに、どんどん心境が変化してゆく雪緒もいい人でしたけど、すっかり夫婦の二人と一緒にこれからどんな物語を紡いでいくのか、ますます楽しみです。
読了日:09月23日 著者:喜多 みどり
君と漕ぐ3 ながとろ高校カヌー部と孤高の女王 (新潮文庫)君と漕ぐ3 ながとろ高校カヌー部と孤高の女王 (新潮文庫)感想
突如ながとろ高校にやってきた孤高の女王こと利根蘭子の誘いに戸惑う恵梨香。パートナーの希衣は複雑な想いを抱き、葛藤を抱えた彼女は一人コーチの芦田のもとを訪れる第三弾。一緒にオリンピック目指そうと恵梨香を誘う蘭子に、提案の妥当性と素直に受け入れられない希衣の複雑な想いがまた生々しかったですが、それと比べるように描かれるそれぞれのコンビの在り方もまた印象的でしたね。そんな状況で希衣もまた変わりつつあるのかなと感じましたけど、様々な葛藤が伺える中でムードメーカー的存在の明るい舞奈がなかなか効いていると思いました。
読了日:09月23日 著者:武田 綾乃
高校事変 VIII (角川文庫)高校事変 VIII (角川文庫)感想
始業式。襲撃を企てて優莉結衣にたびたび返り討ちに遭い、追い詰められた田代ファミリーか、残された総力を結集して結衣殺害に挑む第八弾。突如行方をくらました男子生徒の謎、担任教師・伊賀原の暗躍、午前零時に始まる結衣狩り。今回は結衣の兄・篤志に妹・凛香、過去に絡んだ半グレ軍団も結衣の命を狙って集結、絶望的なギリギリの状況が連続するダイナミックな展開でしたけど、最後まで諦めず打開してみせるらしい展開でしたね。どうやら窮地は脱したものの、勇次の行方や救出された妹たち、不穏な動きを見せる彼女の動向が気になるところです。
読了日:09月24日 著者:松岡 圭祐
聖剣学院の魔剣使い5 (MF文庫J)聖剣学院の魔剣使い5 (MF文庫J)感想
波乱に満ちた聖灯祭の余韻も残る中、レオニスの前に現れた倒したはずの竜王・ヴェイラ。そして第十八小隊に巣の殲滅任務が与えられる第五弾。ヴェイラに振り回されてしかたなく都市を案内するレオニス。死都で不死者の魔王復活を企てるかつての部下ゼーマイン。レオニスが気になるセリアの慌てぶりは微笑ましかったですけど、今回は過去にトラウマを抱えるエルフィーネにも見せ場がありましたね。女神復活と魔剣を巡る関係も徐々に明らかになってくる中、いくつかの気になる布石が物語の中でこれからどう活きてくるのか気になるところではあります。
読了日:09月24日 著者:志瑞祐
やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい3 (MF文庫J)やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい3 (MF文庫J)感想
僅かな仲間と森州平定という大偉業を成し遂げながらも、相変わらず俗世に疎いガーディ。そこに沿海州リエメンを率いる女王ニフレディルが、国の存亡を賭けて10万の大軍を率いてイントラシアへ侵攻する第三弾。すっかりフローリン姫に懐かれたガーディはどうにも脇の甘さが目立ちますけど、それとリエメンの侵攻計画を見事に的中させて、その10万の大軍相手に壮絶な戦いを見せた采配のギャップが大きかったです(苦笑)立て続けの大戦果からフローリン姫の国内における立ち位置も変わりつつあって、ここからまたその歴史が大きく動きそうですね。
読了日:09月25日 著者:芝村 裕吏
オニキスII ―公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子― (新潮文庫nex)オニキスII ―公爵令嬢刑事 西有栖宮綾子― (新潮文庫nex)感想
大富豪にして公爵令嬢、警察庁監察特殊事案対策官・西有栖宮綾子警視正が、検察の裏組織〈一捜会〉の卑劣な陰謀を撃ち砕く第二弾。今回も何というか優雅というか、斜め上のお金の使い方は相変わらずで、さらに豪快な親戚も加わって風俗街を牛耳るロシア・マフィアを壊滅させ、法務大臣のハニートラップを逆手に取って、警察署内の違法賭場を積み上げた現ナマの弾薬で華麗に吹き飛ばすとかいう解決方法には苦笑いでしたけど、いよいよ目論見をことごとく打破されて激怒する一捜会のトップ・法円坂行子殿下との直接対決も近いんですかね。続巻に期待。
読了日:09月25日 著者:古野 まほろ
スパイ教室03 《忘我》のアネット (ファンタジア文庫)スパイ教室03 《忘我》のアネット (ファンタジア文庫)感想
任務から帰還したリリィたちが知る選別組の少女たち4人の失踪。暗殺者《屍》の任務後、選抜組の少女たちが記憶喪失で出自不明の少女・アネットの母と出会う第三弾。ティアやモニカ、アネットといった個性豊かな残留組のキャラもなかなか濃い感じでしたけど、任務後に遭遇したアネットの母と遭遇したことで直面する方針の食い違いと対立、それを乗り越えての共闘はなかなか良かったですね。それにしても彼女もまたアレでしたけど…アネットの際立ったインパクトが最後に全て持って行った感がありますね。チーム灯が全員で挑む作戦行動も楽しみです。
読了日:09月26日 著者:竹町
居酒屋ぼったくり (11) (アルファポリス文庫)居酒屋ぼったくり (11) (アルファポリス文庫)感想
いよいよ美音と要の結婚が具体化する中で、結婚式や店舗住居の増改築も決まり、美音姉妹と佐島家の面々が顔合わせをすることになる第十弾。佐島家の男たちも美音を認めるとだいぶ変わるんだなとか、嫁たちもなかなかの強者だなとかいろいろ思った顔合わせでしたけど、しっかり胃袋を掴むあたりは美音らしいですね(苦笑)ようやく迎えた結婚式や佐島家一同の結婚祝いだったり、二人の新婚旅行だったり、気にかけてくれる常連客達だったり、そんな人たちに囲まれる二人なら新しいぼったくりと共に幸せな日々を送りそうだなとしみじみと実感しました。
読了日:09月27日 著者:秋川 滝美
どうして僕たちは、あんな働き方をしていたんだろう? 古い「仕事のやり方」を変える30の方法どうして僕たちは、あんな働き方をしていたんだろう? 古い「仕事のやり方」を変える30の方法感想
コロナを機に今までの仕事にやり方を疑問を感じるようになった人たちへ、古い仕事のやり方"を変える30の方法をまとめた一冊。これまでからこれから、そしてどのように(how to)と、どちらかというと具体的な実践方法よりは考え方をベースとした一冊で、どちらかというと上の方がどう意識を変えるべきなのかのかという部分に主眼を置いた内容でしたかね。震災の時にも大きく価値観が変わったのを感じましたし、今回もそのきっかけとなりそうな気がしていますが、ただ仕事と生活を統合するような生き方は果たしてどうなんでしょうね(苦笑)
読了日:09月27日 著者:河野 英太郎
なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?9 君の世界 (MF文庫J)なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?9 君の世界 (MF文庫J)感想
大始祖イフの撃破によって蛮神族を解放するなかで、遂にリンネの復活が実現。残る3種族の解放のために墓所の奥に進むカイ達の前に世界の改変を目論むアスラソラカが立ちはだかる第九弾。この世界から見捨てられた「世界種」の復讐を誓うアスラソラカの想い。そんな彼女が指摘するリンネの未来。圧倒的な力を見せつける相手に最後まで諦めず、各種族の力を結集して彼女にしっかりと向き合い、真の敵を打破してみせた先に垣間見せてくれた結末はそれぞれにとっていい感じにまとまっていましたね。バルムンクはやっぱり逃げられなかったか(仕方ない)
読了日:09月27日 著者:細音 啓
学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録 (メディアワークス文庫)学芸員・西紋寺唱真の呪術蒐集録 (メディアワークス文庫)感想
運の悪い大学生・宇河琴美は、北鎌倉に建つアンティーク博物館の学芸員・西紋寺唱真のもとで実習を受けることになり、持ち込まれる呪いの奇奇怪怪に振り回される伝奇ミステリ。眉目秀麗、博覧強記、慇懃無礼。博物館界のプリンスと呼ばれる名物学芸員・西紋寺の実習生兼助手(?)として琴美が挑む、丑の刻参りの藁人形、謎の木製人形、鬼の頭骨の呪い、そして呪術師との邂逅。西紋寺もなかなかインパクトのある性格してましたけど、そんな彼に振り回されがちな琴美も要所要所でいい仕事をして、なかなかいいコンビっぷりを見せてくせてくれました。
読了日:09月28日 著者:峰守 ひろかず
放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ (ファミ通文庫)放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ (ファミ通文庫)感想
育ててくれた母を事故で亡くし、一人途方に暮れていた高校生・真壁静流。そんな彼に父親と名乗る人物から一緒に住むことを提案され、彼の娘と三人で住むことになる青春ラブコメディ。突如現れた弟との同居に戸惑いを隠せない異母姉紫苑、図書委員の彼を同類と感じアプローチする泪華、クールで曰くありげな雰囲気の奏多といった彼を振り回す個性的な先輩ヒロインたちの三者三様な距離感が絶妙で、自分が辛くても相手の想いをつい優先してしまう優しく不器用な静流と、彼女たちの関係がこれからどう変わってゆくのか、とても楽しみなシリーズですね。
読了日:09月28日 著者:九曜
氷の令嬢の溶かし方(1) (モンスター文庫)氷の令嬢の溶かし方(1) (モンスター文庫)感想
他者を寄せ付けず「氷の令嬢」と呼ばれる氷室冬華。マンションの隣に住みながら関わる機会がなかった同級生・火神朝陽が、ついお節介を焼いたことで二人の関係が変わり始める青春ラブコメディ。ぶっきらぼうで世話焼きな朝陽が冬華のピンチを助けたことで始まった二人の交流。何かワケありげな冬華は、完璧に見える裏側にポンコツで不器用な一面も隠し持っていて、貸し借りの関係から共に過ごす時間が増え、徐々に素の表情を見せるようになってゆく冬華と、二人のどかしくて繊細な関係がこれからどう変わってゆくのかとても楽しみな新シリーズです。
読了日:09月29日 著者:高峰 翔
ナイツ&マジック 10 (ヒーロー文庫)ナイツ&マジック 10 (ヒーロー文庫)感想
噂に導かれ冒険心からやって来たエムリスとキッドが早々に巻き込まれた空飛ぶ大地を巡る争い。そこに新婚旅行中の銀鳳騎士団団長・エルたちが合流してさらなる混迷を極めてゆく第十弾。エムリスとキッドとハルピュイア、浮遊大陸征服を目指すパーヴェルツィーク王国の王女・フリーデグント、ゲリラ的に暗躍する狂剣・グスターボなど、いくつもの勢力が入り乱れる中に新婚旅行中のエルたちが合流し、さらには竜や因縁の相手も現れたりする中、キッドたちは振り回されて疲労困憊なのに、新型機を駆ってやりたい放題だったエルが輝いてましたね(苦笑)
読了日:09月29日 著者:天酒之瓢
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 14.<物理最強> (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 14.<物理最強> (HJ文庫)感想
二国間による講和会議も決裂し、戦闘状態へと移行する王国と皇国両陣営。レイがゲームを始めて以来、最も過酷な戦いの幕が上がる第十四弾。様々な思惑の末にそれぞれ対峙することになった、レイたちVS物理最強と言われる獣王ベヘモット、アズライトVS衝神クラウディア、シュウVS怪獣女王レヴィアタン。対峙する相手の持ち札から展開を推察し、あるいは他の場所での激闘を予測しながら繰り広げられる駆け引きや、譲れない想いが激突するバトルは壮絶で、だからこそ最後まで状況を見極めた月夜のえげつない交渉にはつい苦笑いしてしまいました。
読了日:09月29日 著者:海道左近
会社員とJK、お隣さん歴1年目。 (角川スニーカー文庫)会社員とJK、お隣さん歴1年目。 (角川スニーカー文庫)感想
堅物サラリーマン・苺谷蓮太郎のアパートの隣室に引っ越してきた女子高生・花咲七葉。ふとしたきっかけからよく言葉を交わすようになり、気が付けば、晩ご飯を一緒に食べるようになってゆく二人の日常を描く年の差ラブコメ。隙あらばからかおうとする七葉と、ウザいと言いながら面倒見のいい蓮太郎のアパートでの日々。蓮太郎の幼馴染・純や葵、さらには会社の後輩・菜摘とのライバル関係も絡めながら、一緒に過ごしたり出かけたりする日々には思わぬ落とし穴も待っていましたけど、周囲も温かく見守る二人のその後をまた読んでみたいと思いました。
読了日:09月30日 著者:ナナシまる
あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?2 (角川スニーカー文庫)あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?2 (角川スニーカー文庫)感想
柚癒の思いつきで、翼の恋敵ギャル・麗奈の男除けのためにニセ彼氏を演じることになった七渡。それによって学校での空気が激変する中、七渡が中学時代の元カノ・須々木育美とまさかの再会を果たす第二弾。翼はなかなか七渡に近づけなくなってしまい、膠着状況に陥って焦燥を募らせてゆく二人。元カノ・須々木育美との再会は意外な過去を明らかにして、ヒロインたちを煽って余計なことをする彼女たちは、つくづく状況を悪化させる存在でしかなかったわけですが、また新たな構図が生まれて状況が混沌としてきましたね…これは七渡も大変ですね(苦笑)
読了日:09月30日 著者:桜目 禅斗
天才美少女な幼馴染のくせに、なんで俺の前でだけそんなにスキだらけなんだよ (角川スニーカー文庫)天才美少女な幼馴染のくせに、なんで俺の前でだけそんなにスキだらけなんだよ (角川スニーカー文庫)感想
生徒会長で天才と評判な美少女・神野毬萌。しかし何故か幼馴染の公平の前でだけ、突拍子もない行動力で突如ポンコツと化してしまう彼女との日常を描く青春ラブコメディ。公平を気に掛ける書記花梨、強面だけど優しい会計鬼瓦の1年生コンビを加えて、副会長として危なっかしい毬萌をフォローする日々。それが花梨の告白をきっかけに構図が激変して、それでも想いを自覚できない公平の筋金入りの鈍さには苦笑いでしたけど、天然に見えた毬萌もいろいろ思うところがあったんですね…ようやくスタートラインに立った彼らの今後に期待の新シリーズです。
読了日:09月30日 著者:五木 友人
失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い ~ビターのちシュガー~ (講談社ラノベ文庫)失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い ~ビターのちシュガー~ (講談社ラノベ文庫)感想
辛い失恋で体調を崩し、学校を休んでしまった高校生・沢渡悠。そんな彼のもとに理由もわからないまま険悪になっていた隣の部屋の幼馴染・白雪心愛が現れ、看病をきっかけに関係を再構築してゆく物語。再び悠を構うようになった心愛に首を傾げながらも、再び距離が近づいてゆく二人。彼女との触れ合いの中で傷付いた心を癒やされていく悠と、不器用な心愛の秘めていた想い。大きすぎる喪失感を簡単には切り替えられなくても、けれど彼女や周囲に支えられて積み重なってゆく想いがこれからどんな変化をもたらすのか、今後が楽しみな新シリーズですね。
読了日:09月30日 著者:七烏未 奏
それでも、好きだと言えない (講談社ラノベ文庫)それでも、好きだと言えない (講談社ラノベ文庫)感想
夏の終わりに事故に遭いかけた有馬悠人を救ってくれた記憶喪失の幽霊の少女・レイナ。彼女に取り憑かれた悠人が、成仏させるために記憶を取り戻す手助けをする青春小説。人付き合いが苦手な悠人が手がかりを探す過程で得た憧れの白浜美波との繋がり。レイナに支えられながら少しずつ自分を出せるようなって、周囲との関わりも変わってゆく悠人。意外なところから明らかになった過去でしたけど、レイナのために奔走する悠人の言葉にできない、彼女と積み重ねてきた想いが切なくて、残してくれた大切なものを胸に生きる悠人の姿が印象的な物語でした。
読了日:09月30日 著者:赤月 カケヤ

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