読書する日々と備忘録

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2019年5月に読んだ本 #読書メーターより

5月はGWの十連休が忙しくて時間が取れなくて、仕事でも読書でもその遅れを取り戻した一ヶ月でした。最後の方で少し頑張って読んでコミック以外でも数の上では61冊まで読んだのですが、前半遅れた分を頑張って追いついただけで、後半はだいぶ翌月に積み残してしまった感じです。

 

優先順位的にラノベの方は新刊をある程度これだ、と思うもの中心に絞り込んでいるのでわりと順調に読めてはいるものの、ライト文芸とか一般文庫、単行本の遅れはもう少し頑張りたいな…と思いつつも、ずっとズレたままでちょっと打開策は見えてこないですね(苦笑)いつもどおり新刊のオススメは別エントリでまとめます。

 

5月の読書メーター
読んだ本の数:95
読んだページ数:23289
ナイス数:5968

探偵はぼっちじゃない探偵はぼっちじゃないの感想
理事長の息子という立場を持てあましながらも「よき教師」であろうと日々奮闘する新任教師の原口。受験生として屈託多き日々を送る中学3年生の緑川光毅。二人の視点から進むミステリ。やる気のない教師に見えていた同僚教師・石坂の意外な姿を知る原口。未来に希望を感じられない光毅と同級生の星野の出会い。それに光毅の作中作も絡めてそれぞれ進でゆくストーリーが、自殺サイトに自校の生徒がいることをきっかけに繋がってゆく展開とその結末はなかなか良かったです。中3の夏休み時に書いたデビュー作とのことで、今後に期待の作家さんですね。
読了日:05月01日 著者:坪田 侑也
Re:ゼロから始める異世界生活 短編集4 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活 短編集4 (MF文庫J)感想
フェルトとラインハルト主従の歩み寄りとその後の奮闘、王国を襲ったパンデミックに立ち向かうプリシラとアル、オットーの受難を描く短編集第四弾。フェルトとラインハルトの生い立ちの違いから徐々に理解を深めてゆく様子だったり、プリシラとアルの信頼感というか距離感だったり、オチのように描かれるオットーの冒険だったり、サイドストーリー的な内容ではありましたけど、今後本編の方にも繋がりそうなエピソードですね。プリシラの双子メイドもそうですけど、マローネは是非本編に再登場してオットーとの絡みを期待したいところではあります。
読了日:05月03日 著者:長月 達平
アウトルック最速仕事術 年間100時間の時短を実現した32のテクニックアウトルック最速仕事術 年間100時間の時短を実現した32のテクニック感想
普段仕事で使うOutlookの作業効率を上げられないか、これまで本自体があまりなかったので参考になればと思い手にとった一冊。要旨としてはマウスを使わずに「10個のショートカットキー」で無駄な動作や画面切り替えを減らす、受信メールは整理せず「アーカイブ」フォルダを作って移動して未処理分だけとし過去分は検索する、クイック操作を有効活用するあたりですか。今でも使っている機能は結構あって納得できる部分も多く、習慣化できれば時短には繋がりそうですが、これを技術として部内に定着させるのはなかなか大変そうですね(苦笑)
読了日:05月03日 著者:森新
営業の問題地図 ~「で、どこから変える?」いつまで経っても成長しない営業マンと営業チーム営業の問題地図 ~「で、どこから変える?」いつまで経っても成長しない営業マンと営業チーム感想
自分自身は営業の仕事ではありませんが、シリーズとして読んでいて参考になる部分があればと思い手に取った一冊。営業成績の多角評価による公平化、営業時間をきちんと取ること、個々の進捗状況の確認方法は直接に具体的に、プレイングマネージャーの弊害(マネジメントに専念すべき)、営業スタイルのマニュアル化などがテーマで、窓口になっている人の力量をきちんと見極める、営業会議の有用性は疑わしい、量の積み重ねがいつか質に変わる、人の事例は自分のこととして聞いていないとか、営業でない人にもいろいろ参考になる部分がありました。 
読了日:05月03日 著者:藤本 篤志
放課後質屋 僕が一番嫌いなともだち (集英社オレンジ文庫)放課後質屋 僕が一番嫌いなともだち (集英社オレンジ文庫)感想
空腹に耐えかねた貧乏学生の家木伊吹が、大切な品を持ち込んだ質屋で現れた美貌の質屋店主・湯布院。査定評価は「品物にまつわる思い出」と聞き思わずついた嘘から由布院と変わった客人たちに関わってゆく物語。亡き夫が残したコースターの真実、由布院の意外な婚約者と残された犬の真相、そしていわくつきの着物を巡る因縁。登場人物の印象的な描写など光る部分はあって、エピソードの読後感も悪くはなかったんですが、やはり由布院の人物設定から来る無理がいろいろなところに影響を及ぼしていた感は否めなくて、ちょっともったいなかったですね。
読了日:05月04日 著者:家木 伊吹,カシオ
赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)感想
将軍直属の「御庭番」を務めた家で育った米国帰りの探偵・入江明彦。横濱を舞台に犯罪コンサルタント組織『灯台』と対峙する明治浪漫ミステリ。助手の少年・文弥に世話を焼かれつつ暮らす明彦が出会った訳ありの美青年・ミツ。彼らが遭遇する不老不死の霊薬、皇太子の切手、港の青年の行方、そして灯台の首領の意外な正体。著者さんらしい雰囲気描写に加えて、頭脳明晰で容姿端麗な明彦と有能な文哉、訳ありのミツたちのやりとりも軽妙でなかなか楽しめました。「灯台」を巡る事件は今巻で決着のようですが、続きがあるならまた読んでみたいですね。
読了日:05月07日 著者:三木 笙子
閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎 (講談社タイガ)閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎 (講談社タイガ)感想
第五弾は怪我からの復活を目指すバドミントン選手の轢死、屋上から落下した初恋の女の子を受け止めようとしての圧死、子会社社長の渇え死に。才能に甘えて怪我を理由に引退していたけれど父の死を機に復活を目指すとか、甘ったれな部分もあるけれど初恋の女の子ために頑張る高校生とか、こういう展開がわりと好きなのでいいねと思ってたら、最後はこうきましたか(苦笑)まあ状況的に救済無理だろうとか、配置的にも何かあるのかな?とは思いましたが、これはちょっと予想できなかったですね。テンポよく読めるシリーズですけどまた続巻に期待です。
読了日:05月07日 著者:木元 哉多
リケジョ探偵の謎解きラボ 彼女の推理と決断 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)リケジョ探偵の謎解きラボ 彼女の推理と決断 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
二年間の留学を経て帰ってきた研究者・友永久理子と同棲を始めた保険調査員の江崎。相変わらず厄介な依頼を二人で取り組む一方で、結婚に向けて着々と準備を進めていく二人の生活には様々な問題も生じる第二弾。スズメバチに刺されて死んだ妻、二人続けて夫が脳溢血で死んだ妻、離婚寸前で崖から転落した夫、そしてガン宣告が他より多い病院と、夫婦にまつわるテーマが多く、警察による捜査とは立ち位置が違う分、グレーで終わることもあったエピソードは興味深かったですが、二人が試練を乗り越えていい関係になってゆく様子がとても良かったです。
読了日:05月08日 著者:喜多 喜久
Re:ゼロから始める異世界生活19 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活19 (MF文庫J)感想
大罪司教に占拠された都市を解放するべく、王選候補者と騎士たちがついに大罪司教と激突する第十九弾。『無敵』の権能を持つレグルスに挑むスバルとラインハルト、シリウスに挑むプリシラとリリアナをメインにした今回でしたけど、王選候補者の中ではプリシラの存在感が別格ですね。難敵レグルス相手にある意味化物のラインハルトも苦戦しましたけど、試行錯誤を繰り返しながらスバルとエミリアのコンビが力を合わせてそんな状況を打開する展開にはぐっと来るものがありました。しかし残る剣鬼と元剣聖の何とも複雑な戦いはどうなるんでしょうね…。
読了日:05月08日 著者:長月 達平
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.19 (電撃文庫)ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.19 (電撃文庫)感想
実装されたレジェンダリー・エイジのメインシナリオ『グランドクエスト』。クリスマスや新年会でリアルな問題にも直面する第十九弾。リアルイベント時にゲーム仲間でわいわいやってる時点で楽しそうにしか見えませんが、そんな彼らに気を使われる猫姫先生の境遇が哀愁漂ってて切ない…。ご両親への挨拶ネタはやっぱり少し気が早いよねと苦笑いしつつ、ルシアン父のあの余計な言動の数々が残念過ぎて女性陣の反発も妙に納得してしまった。今回ゲームでは方向性を巡って意見が割れたりもしたけど相変わらず楽しそうで、安心して読めるシリーズですね。
読了日:05月09日 著者:聴猫 芝居
大学進学のための〝返さなくてよい"奨学金ガイド大学進学のための〝返さなくてよい"奨学金ガイド感想
娘の受験はまだ先ですが、気になって読んだ大学・自治体・企業などによる返さなくてよい奨学金 1800件以上を網羅したガイドブック。現状の奨学金事情を解説しつつ、大学を中心に自治体や企業・公益法人の各奨学金、問い合わせ先を掲載。基本的には成績優秀/就学困難な学生が中心で、地域や学部限定などいろいろな条件があるものも多く、要件が緩いものもありましたが狭き門になりそうですね。とりあえず娘には成績優秀を目指して頑張ってもらうのが無難そうです(苦笑)でもこういうものがあるというのは知っておいて損はないと思いました。 
読了日:05月09日 著者:給付型奨学金研究会 
三角の距離は限りないゼロ3 (電撃文庫)三角の距離は限りないゼロ3 (電撃文庫)感想
恋に落ちた矢野と告白したもう一人の彼女。文化祭実行委員になった二人が、かつての矢野を知る庄司霧香と出会う第三弾。関係を変えようとする春珂と、春珂を想う秋玻の気持ちから委員として動き始めた矢野、そしてかつての矢野に戻そうとする霧香。彼女の言動は反発を招く一方で、否が応でも繊細で不器用な彼らの関係に影響を与えずにはいられなくて、文化祭を通じて変化の兆しを見せた彼らが、それぞれ突きつけられた問いにきちんと向き合おうとしたら、やっぱりそうなりますよね…切なくもどかしい三角関係がどうなるのか早く続きが読みたいです。
読了日:05月10日 著者:岬 鷺宮
俺を好きなのはお前だけかよ(11) (電撃文庫)俺を好きなのはお前だけかよ(11) (電撃文庫)感想
開催中止の危機を回避した西木蔦高校の『繚乱祭』。とある依頼から驚異のラブコメ主人公・ホースたちが招待されたことで再びカオスな展開に巻き込まれてゆく第十一弾。ひとつの思惑を秘めてやってきたジョーロの天敵で上位互換のホース、妙にやる気を見せるパンジーサザンカと彼を極力接触させまいとして空回りし続けるジョーロ。それぞれの視点で描かれてゆく展開は、大人げないジョーロがちょっと煩かったですが、肝となるベストカップル決定戦から始まる予想外の展開はとてもこの作品らしくて、オチまで含めて見事な着地点でした。続刊も期待。
読了日:05月10日 著者:駱駝
魔王学院の不適合者4〈下〉 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)魔王学院の不適合者4〈下〉 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~ (電撃文庫)感想
ついに出現した偽りの魔王アヴォス・ディルヘヴィアアノスは大精霊アヴォス誕生の秘密を知るため、《時間遡行》によって二千年前のアハルトヘルンを訪れる第五弾。手がかりを得るため過去に向かったアノスたちが知った二千年前の卑劣な計略と、それによって引き裂かれたひとつの家族の愛と絆。何とも複雑な因縁を積み重ねた先に偽りの魔王と対峙するアノスでしたけど、それをものともせずに理不尽も悲劇も、圧倒的な力でみんなまとめてひっくり返して何とかしまう展開は流石ですね(苦笑)しかし最後に残った謎が何を意味するのか今後の展開に期待。
読了日:05月10日 著者:
七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)感想
オフィーリアが魔に呑まれその使い魔に攫われてしまったピート。迷宮の深みに潜む魔女を相手に何が出来るのか、現実に直面して苦悩するオリバーたちに、先輩のミリガンが取引を持ちかける第四弾。極めて困難な状況にミリガンの助力を得て救出に向かうオリバーたち。一方で明かされてゆく複雑な生い立ちゆえに孤独だったオフィーリアが得た居場所と、不器用で純粋な想いが決定的にすれ違ってしまった過去がどうにも切なくて、こういう結末を迎えるしかなかったとしても、最後まで寄り添ったカルロスの存在が彼女にとって救いであったと思いたいです。
読了日:05月10日 著者:宇野 朴人
ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実 (講談社現代新書)ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実 (講談社現代新書)感想
この30年間で在日外国人の数は94万人から263万人へと約3倍に増加、永住権を持つ外国人も100万人を突破。19年春からは外国人労働者の受け入れがさらに拡大。リーマンショックなど受け入れに影響を与えた過去の状況の変化を踏まえつつ、どのように変化してきたのか、現状がどのようになってきているのかを解説した一冊で、単身の単純労働者を多数受け入れている現状がある一方で、定住者・永住者としての移民政策ではかなり慎重な姿勢を崩さない現状が透けて見えました。そんな状況がこれからどう変わってゆくのか注視したいと思います。
読了日:05月11日 著者:望月 優大
わたし、定時で帰ります。 :ハイバーわたし、定時で帰ります。 :ハイバー感想
絶対に残業しない主義のはずがなぜか管理職になってしまった結衣。新人教育では個性的過ぎる若者たちに翻弄され、差別的なCMで炎上中の企業コンペでは前時代的で超絶ブラックな社風に直面する第二弾。何というか本音と建前のギャップに悩まされる中間管理職という立場だったり、働き方改革を守るために売上が必要で前時代的な社風の会社に振り回されたり、晃太郎も何とか守ろうとしていたけれど今回はほんとしんどい展開。昔気質の父親や忠臣蔵も興味深かったですが、周囲の人達が支えてくれたからこその結末ですね。二人の今後に期待したいです。
読了日:05月12日 著者:朱野 帰子
数字で話せ数字で話せ感想
「数字が苦手な文系人間」向けに「数字で話す」能力について解説した一冊。大きすぎる数字は実感が沸かないので自分の把握できる数字にする、法人営業の「5・5・5の法則」、飛び込み営業の「3・3・5の法則」とその応用、偏差値と標準偏差の使い分け、ブームのS字カーブ、数字で伝えるテクニックの功罪、デジタルマーケティングやオンラインビズネスの仕組みからビックデータやAIの仕組みまで、ざっくりとではありましたが重要なポイントをわかりやすく解説してありました。イメージしやすい数字の提示をこれから意識していこうと思います。
読了日:05月12日 著者:斎藤広達
幻の彼女幻の彼女感想
ドッグシッターの風太に届いた一通の訃報。以前交際していた美咲の若過ぎる死に驚いた彼が、他の別れた恋人たちもことごとく消息がつかめないことに気づくミステリ。まるで存在しなかったかのように、一切の痕跡が消えてしまっていた三人の元恋人たち。追えば追うほど謎も深まる展開で、友人の雪枝、裕一郎とともに調べていた風太がやがてたどり着いた真相は、振り返ってみればいくつか示唆されていた箇所はあってもこの結末は予想できなかったです。それでも終わってみれば納得感があったのは、物語の着地点が上手かったということなんでしょうね。
読了日:05月13日 著者:酒本 歩
29とJK6 ~あなたの隣を歩きたい~ (GA文庫)29とJK6 ~あなたの隣を歩きたい~ (GA文庫)感想
ついに三十歳の誕生日を迎えた社畜・槍羽。出世し一大事業を立ち上げた彼に対し、夏川社長の言葉に一念発起して下JK花恋が作家デビューを目指し、綾もまた槍羽に釣り合う存在になろうと新企画を起ち上げる第六弾。研修時代の綾との出会いのエピソード、槍羽にふさわしい存在になるべく奮闘する花恋と綾、そして沙樹も含めたヒロインたちに関わる男・御旗廉太郎。一見わりと順調に進んでいるように見える展開ですが、一方で登場人物たちの印象的な言葉が頑張る二人の不穏な今後を示唆しているようにも思えて、辛い展開にならないといいですね…。 
読了日:05月13日 著者:裕時悠示
家に帰るとカノジョが必ずナニかしています (GA文庫)家に帰るとカノジョが必ずナニかしています (GA文庫)感想
お一人様生活を謳歌する泉ヶ丘颯人の元に父との契約で「レンタル家族」としてやってきた美少女・朱莉。彼女との出会いから日々に変化してゆく青春ラブコメディ。山で自給自足生活する父親が謎な存在でしたが、家族を演じ時折変態っぽい一面を垣間見せる朱莉、なぜか構ってくるリア充女子・戸祭のWヒロイン、ストーカー気味な朱莉の妹・雫や行き過ぎた婚活女教師まで絡めたドタバタコメディは楽しかったですが、いろいろ詰め込み過ぎたのか肝心の朱莉が謎めいていた理由が明かされないままだったのは残念。続刊以降の展開で明らかになるんですかね。
読了日:05月13日 著者:柚本悠斗
ぼんくら陰陽師の鬼嫁 五 (富士見L文庫)ぼんくら陰陽師の鬼嫁 五 (富士見L文庫)感想
保護者代りで笑と二泊三日の短期高額バイト旅行に出かけた芹。途中、父親の墓参りも兼ねて立ち寄った伯母一家の営む食堂で、偶然八城を含めた『廃墟研究会』メンバーと会う第五弾。芹が過去世話になった親戚の家訪問と再会した亡父の知人・鷹雄光弦。ミステリ作品聖地巡礼で閉園遊園地に向かう八城たちに同行した芹たちを襲う不穏な状況。玄武二人組は相変わらず可愛くて、芹自身も知らない過去や事情が明らかになってゆく展開は興味深くて、今回の事件のポイントになりそうな北御門家も含めた因縁が今後の展開にどう繋がるのか続巻が楽しみですね。
読了日:05月14日 著者:秋田 みやび
最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)感想
妻が藝大生の著者が、藝大の独特の風習や少し変わった学生たちの日常にインタビューで迫ってゆく藝大探訪記。とてつもない倍率の入試をくぐり抜けた先にある、美校と音校のスタイルや考え方の違いを読んでいると、どちらも雰囲気や方向性が違うだけで、ブレずに突き抜けてないとやっていけない場所なんだろうなというのはしみじみ感じました。これ凡人がちょっと頑張ったぐらいでは入れるところじゃないですね(苦笑)こういう生き方をしてみたいとは思わないですけど、また違った価値観に生きるこういう人たちがいるんだなと興味深く読みました。 
読了日:05月14日 著者:二宮 敦人
レゾンデートル (実業之日本社文庫)レゾンデートル (実業之日本社文庫)感想
末期癌を宣告され絶望の日々を送る医師・岬雄貴。ある日、不良から暴行を受けた岬が、偶然連続殺人鬼「切り裂きジャック」、そしてトラブルに巻き込まれていた少女・沙耶と邂逅し運命が回り始める物語。雄貴の存在を知って事件に巻き込んでいくジャック、そんな日々の中で出会った沙耶との奇妙な同居生活で少しずつ心境が変わってゆく雄貴。最初は視点の切り替わりが少し多いかなと感じましたけど、読めば読むほどテンポも良くなっていって、いくつもの事件・人物が繋がってゆく終盤の展開は流石で、切なくもぐっと来る結末もなかなか良かったです。
読了日:05月15日 著者:知念 実希人
京都府警あやかし課の事件簿 (PHP文芸文庫)京都府警あやかし課の事件簿 (PHP文芸文庫)感想
京都府警が擁する「人外特別警戒隊」通称「あやかし課」。入隊したばかりの新人女性隊員・古賀大が仲間たちと京都の平和を守るために古都を奔走する物語。警察と神社の合同組織の仲間たちと共に、詩の創作に悩む女子大生と鬼の関係、命盛寺の鎮魂会、祇園で行方不明になった鬼の娘の捜索、斎王代の呪いといった事件に挑む展開で、ちょっと変わった名前の武闘派ヒロインが抱える秘密にビックリしましたが、ワケありのエース塔太郎や頼れる仲間たちもよく動いて、街の人々だったりあやかしとうまく共存していこうとする展開はなかなか良かったですね。
読了日:05月16日 著者:天花寺 さやか
告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)感想
駅のホームで「人が恋に落ちた瞬間が視える」女子高生・明花と出会ったアラサーリーマン・星川。告白至上主義の明花に振り回されながら他人の恋愛事情に関わってゆく物語。海外転勤を決めた女上司、幼馴染のお兄ちゃんの結婚を受け入れられない明花の親友、悪女と名高い受付嬢の真相、そして明花が告白に異常にこだわる理由。お人好しでおせっかいゆえに周囲の女性の恋愛話に振り回されがちな星川でしたが、その奔走が関わった人たちの新たな一歩を切り出すきっかけにも繋がっていて、過去を乗り越えた二人の今後を応援したくなる素敵な物語でした。
読了日:05月16日 著者:時本 紗羽,柳井 わかな
谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話 (集英社オレンジ文庫)谷中びんづめカフェ竹善 猫とジャムとあなたの話 (集英社オレンジ文庫)感想
大学デビューし損ねた「猫の町」谷中に住む女子大生・紬。故郷から送られてくる大量の野菜を持て余し、こっそり捨てようとして謎の英国人セドリックと出会う物語。コミュ障で趣味の手芸に生きがいを見出していた紬にとって転機となった。「びんづめカフェ」を営むセドリックとの出会い。彼の血の繋がらない息子・武流の家庭教師として関わる過程でいろいろ交流も増えていきましたけど、過去の複雑な事情が明らかになっていったあの親子との関係や距離感がここからどのように変わってゆくのか、これからの展開がちょっと気になる新シリーズですね。 
読了日:05月16日 著者:竹岡 葉月
ピンポンラバー (3) (ガガガ文庫)ピンポンラバー (3) (ガガガ文庫)感想
全日本ユース選抜強化合宿に代理として参加した翔星と瑠璃、そして椿。そこで翔星の小学生時代からの幼馴染でライバルだった千波晴海と再会する第三弾。四年間の間にとてつもない化物に成長していた晴海と、椿がずっと抱えていた秘密。すれ違いの先にあった意外な展開には驚かされましたが、卓球バカだからそこはやっぱり卓球で熱く打ち合うことでしか理解し合えなくて、これまで瑠璃の存在感にやや押され気味な感もあった椿も、時間は掛かったけどきちんと向き合えたのは前に進むいいきっかけにできそうですね。次巻、中国遠征編も期待しています。
読了日:05月16日 著者:谷山 走太
クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)感想
異世界の魔人召喚に失敗したクラスメイトの美少女・藤原千影。不可抗力で彼女を使い魔にしてしまった落ちこぼれ魔術師・芦屋想太の主従関係を描く魔法学園ラブコメ。千影と融合した皇女で想太に執着する強力な異世界の魔人ソフィア。不本意な同居生活を始めた二人のツンデレ気味なテンポの良い掛け合いには確かな積み重ねがあって、自分を救ってくれた千影を取り戻すために想太が立ち上がり、千影が魔人相手に見事決着をつけてみせる展開にはぐっと来ました。過去の因縁を抱える主従関係がこれからどうなるのか、続巻にも期待大の新シリーズですね。
読了日:05月17日 著者:鶴城 東
Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (DENGEKI)Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (DENGEKI)感想
オスカーと共に過ごすティナーシャの前に現れた古き魔法大国の血を継ぐかつての婚約者ラナク。彼女を王妃として新たに国を興し大陸全土へ侵攻を企てる第二弾。いい感じになってきた矢先の急展開にビックリしましたが、居場所を変えても彼女らしさは失われてなくて、オスカーがそのままでいるわけもなくて、その揺るぎない信頼感と阿吽の呼吸がとても素敵でした。各地で新たな伝説を生み出してゆく破格の最凶カップルは、自覚はなくともお互いが特別でかけがえのない存在になりつつあって、もどかしくもニヤニヤしてしまう二人の今後が楽しみですね。
読了日:05月17日 著者:古宮 九時
ディスキャラ メグルくん オタクがラップでギャルとバトったら、青春ラブコメ始まった!? (ファンタジア文庫)ディスキャラ メグルくん オタクがラップでギャルとバトったら、青春ラブコメ始まった!? (ファンタジア文庫)感想
リア充を呪い密かに不満を「ディスノート」に書き込んでいた陰キャラ廻裏メグルが、ラップ好きの陽キャラ美少女・燦心に秘密を知られ一緒にラップを始める青春ラブコメディ。ディスるのとラップに共通点あるのか…と思いながら読み始めましたが、二人が積み重ねてゆくラップを通じたやりとりには自分の好みを超えた妙にクセになる何かがあって、燦心がわだかまりを抱える陽菜を加えたラブコメ展開、そしてメグルをきっかけにラップの戦いを通じて二人が絆を取り戻してゆく展開にはぐっと来るものがありました。続巻あるならまた読んでみたいです。 
読了日:05月17日 著者:佐波 彗
のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)感想
長大な壁で外界を拒絶した人間の国イエール。不治の病で壁外に追放された第三王子シュウが、壁外で生きる異形の民モール族の王女ミサキと出会うファンタジー。急速に工業化が進むイエールの陰で犠牲になっているフロンティアの存在。シュウがミサキに連れられてたどり着いた新天地と病の真実。運命に翻弄されながらも人間とモール族の共生を目指して、ふたつの種族の間に横たわる大きな壁を破壊すべく、仲間とともに毅然と立ち向かう二人の姿にはぐっと来るものがありました。物語としてはまだまだこれからですが、今後に期待大の新シリーズですね。
読了日:05月18日 著者:平尾 隆之
リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)感想
兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語でした。
読了日:05月18日 著者:瑚池 ことり,六七質
ぽんぽこ書房 小説玉石編集部ぽんぽこ書房 小説玉石編集部感想
ワンマン社長が下した突然の休刊宣言に文芸誌は滅びてしまうのか?編集者のリアルを真っ正面から描く業界お仕事漫画。経営者と編集者の視点の違い、新人作家とベテラン作家の違い、待つべきか介入すべきか、作家と貧困、働きながら書くこと、文芸編集者とSNS、サイン会、待ち会と落選、新人賞など、各話の解説も絡めつつ描かれた内容は興味深くていろいろ考えさせられました。文芸誌も単行本もなかなか厳しいという話は様々な形で聞きますが、自分も希望は失っていないですし応援したいと思います。ただ需給のバランスはほんと考えたいですよね。
読了日:05月19日 著者:川崎昌平
桜花妃料理帖 三 (富士見L文庫)桜花妃料理帖 三 (富士見L文庫)感想
消えた秘文書。紫苑は過去にも秘文書が何度もなくなっていたこと、秘文書と共に必ず花嫁の命が失われていたことを知り、玉葉の身体にも異変が起こり始める第三弾。玉葉を救うため桜を折ることを決断した紫苑と、その決断によって代わりに昏睡状態に陥ってしまう紫苑。相変わらず天然全開の玉葉でしたけど、一方で紫苑不在の状況で王妃から外されかけたりとここまでで最大の危機に直面。それでもこれまで関わってきた人たちにも助けられつつ、紫苑のことを最後まで諦めずに得意の料理で見事取り戻してみせた結末は悪くなかったですね。次回作に期待。
読了日:05月19日 著者:佐藤 三
スガリさんの感想文はいつだって斜め上 (5分シリーズ+)スガリさんの感想文はいつだって斜め上 (5分シリーズ+)感想
美人だけれどちょっと変わった女子高生・スガリさんが、気の弱い男性家庭科教師・直山を顧問に据えて、読書感想部を立ち上げようと奮闘する青春ミステリ。『こころ』『手袋を買いに』といった名作に対して、斬新な解釈の感想をぶっ込んでくるミステリアスなスガリさんと、そんな彼女に振り回されっぱなしの直山先生。けれどその斜め上な感想文が、直山が遭遇する事件解決のヒントになっていたりで面白かったです。スガリさんの過去は少し明らかになりましたけど、面白そうな直山の同居の彼女は未登場で、二人の遭遇は今後の展開に期待ということで。
読了日:05月20日 著者:平田駒
同潤会代官山アパートメント同潤会代官山アパートメント感想
関東大震災で最愛の妹を喪った八重は、妹の婚約者だった竹井と結婚。昭和と共に誕生してその終焉と共に解体された同潤会代官山アパートを舞台に繰り広げられてゆく家族の物語。最初は最新式の住居にも新しい夫にも上手く馴染めなかった八重と夫・竹井、娘・恵子とその夫・俊平、孫の浩太と進、浩太の娘・千夏と、世代を超えて綴られてゆく物語には、それぞれが積み重ねてきた年月があって、物語に登場する人たちも時代も確実に変わってゆく様子が描かれている一方で、それでも変わらない大切なものがあるんだなと改めて実感させてくれた物語でした。
読了日:05月20日 著者:三上 延
世界で一番かわいそうな私たち 第三幕 (講談社タイガ)世界で一番かわいそうな私たち 第三幕 (講談社タイガ)感想
中学校への復学を強要する母親との問題に悩む岩瀬知香。彼女が学校に行けない「本当の理由」を告げられた道成が杏と救済の道を探す第三弾。何とも難しい知香が学校に行けない本当の理由。そして明らかになる杏に隠された「世界で一番かわいそうな夫婦」の秘密。時効へのタイムリミットが迫る中でどうすべきか、やや融通がきかない感もある道成も葛藤しながらの展開でしたが、知香のこと夫婦のことは良かったですけど、詠葉とはこんな結末しかなかったのかな…と悲しくなりました。道成や詠葉がその後どうなったのか、またどこかで出会えるといいな。
読了日:05月21日 著者:綾崎 隼
流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)感想
父を火事で亡くしたトラウマから、亡くなる瞬間の情景が「予知夢」として見える能力を得てしまった女子高生みちる。予知夢に見た従兄の一美を助けようと介入した結果、被害者が変わってしまう学園青春ミステリ。殺された同級生・渡辺と交流があった不登校の穂香、そして人気者のサッカー部員・浜坂との因縁も解き明かしてゆくみちると一美。新事実が明らかになるたびに印象が二転三転して、やりすぎなければ…と思う積み重ねが招いた惨劇の真相はほろ苦かったですが、自分の能力にきちんと向き合うようになってゆくみちるの姿が印象的な物語でした。
読了日:05月21日 著者:藤石 波矢
ウォルテニア戦記 XII (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記 XII (HJ NOVELS)感想
着々と反乱への準備を進める御子柴亮真の手腕により混乱が広がるローゼリア王国。状況の悪化が加速してゆく展開で亮真がついに立ち上がる第十二弾。分岐点でことごとく決断できなかったルピス王女の甘さが致命的だったのは間違いないですけど、股肱の臣二人の無能ぶりもホント残念過ぎる分、この時に備えてつつキーマンを押さえていく亮真はそつがなさすぎですね(苦笑)それにしても千人単位の激突で死者13人も破格ですけど、それをもたらしたのがほぼ二人というのもまた…彼らも籠絡されちゃいそうですけど。まずは内乱がどう決着するかですね。
読了日:05月22日 著者:保利亮太
ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)感想
19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の真作。その絵に目を奪われたエディスが「贋作」と断言する美貌の青年・サミュエルと運命の出会いを果たすファンタジー。訳ありな貴族の娘・エディスと、絵より現れた異形の怪物から彼女を救ったサミュエル。ジョン・ラスキンヴィクトリア女王など実在の人物も絡めつつ、サミュエルと宿敵・ブラウンの贋作に宿る怪物を巡る戦いを描く展開でしたけど、虚構も織り交ぜながら展開されるストーリーはなかなか面白かったですね。未だ謎多きサミュエルとエディスの物語をまた読んでみたいです。
読了日:05月22日 著者:大塚 已愛
(P[も]1-1)託された子は、陰陽師!?: 出雲に新月が昇る夜 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[も]1-1)託された子は、陰陽師!?: 出雲に新月が昇る夜 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
突然、一人暮らしの大学院生・久瀬学のもとを訪ねてきたかつての親友・信治。彼から一方的にワケありの五歳の息子・タケルを預けられる物語。かつて共に過ごした小夜子を巡る三角関係に悔恨を抱えたままの学と、自宅で匿うことになったタケル、そして学に想いを寄せる女子高生・真美との運命的な出会い。利発なタケルを中心とした微笑ましいやりとりや、明かされてゆくほろ苦い過去の真相、そして過去から今に繋がる因縁の決着の先には変わらない真摯な想いがあって、運命に導かれるように紡がれた縁が未来に繋がってゆく結末が印象的な物語でした。
読了日:05月23日 著者:望月 麻衣
太秦荘ダイアリー(2) 三人娘、探偵になるっ! (双葉文庫)太秦荘ダイアリー(2) 三人娘、探偵になるっ! (双葉文庫)感想
太秦荘が再び下宿屋としてスタートし、下宿人第一号となった漫画家見習いの大学生・藤沢翔真。女子高生3人組も太秦荘の空き部屋を使って探偵事務所「ミモザ」を開設する第二弾。女子高生3人組が挑む、大学で密かに飼っていた蝶がいなくなった理由、十条タケルがパン屋になった事情、そして烏丸ミユの思わせぶりな神託の真相。日常ネタの探偵をする過程で、格段に増えた登場人物たちの周辺事情がいろいろ明らかになって興味深かったです。掌編にゲスト出演した清貴に興味津々だったお姉さん三人組の手のひら返しには思わず笑いました。続巻も期待。
読了日:05月23日 著者:望月 麻衣
魔弾の王と凍漣の雪姫 3 (ダッシュエックス文庫)魔弾の王と凍漣の雪姫 3 (ダッシュエックス文庫)感想
アスヴァール軍を撃退してエリオット王子を見事に捕らえたティグルたちに対し、ジスタート国王はエリオットを利用して、アスヴァールの内乱に介入することを試みる第三弾。長子のジャーメイン王子とエリオットが対立するアスヴァールへの船旅と、そんな構図にブリューヌ王国の協力を得て割って入った王女ギネヴィア。どこの国も似たような思惑で動いていて苦笑いですが、キーとなる魔物と宝具を巡るエピソードでは、ディグルや戦姫はもちろん今回はロランの活躍も期待できそうですね。思わぬ結末から新展開を迎えることになった続巻も楽しみです。 
読了日:05月23日 著者:川口 士
夏の陰夏の陰感想
15年前、警官を射殺した末に自殺した犯罪者の息子・倉内岳と、殺された警官の息子・辰野和馬。そんな二人が剣道を通じて再会してしまい、複雑な想いを募らせてゆく物語。世間から背を向け、公式戦にもほとんど出場したことがなかった岳と、因縁の京都県警で思いを燻らせていた和馬。岳が恩師のために一度だけ出場した全日本剣道選手権の京都予選で二人が激突する展開で、明らかになってゆく事実やエピローグが事件の印象を少し変えたりもしますが、それでもこういう過去や抱えてきた思いは消えないし、そうそう割り切れるもんでもないですよね。 
読了日:05月24日 著者:岩井 圭也
聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)感想
来たるべき決戦に備え自らを封印した魔王レオニス。しかし1000年の時を超えて目覚めた時には10歳の少年の姿で、聖剣学院に所属する少女・リーセリアに保護される学園ソードファンタジー。魔族も魔術もなく、聖剣を武器に未知なる敵・ヴォイドと戦う1000年後の世界。聖剣を発現できなかったりと訳ありなお姉さんたちの部隊に所属し、彼女たちのありように少しずつ感化されて、ヴォイドとの戦いに身を投じてゆく展開には安定感があって面白かったです。ヒロインたちとの関係に1000年前の因縁もあって、今後に期待の新シリーズですね。 
読了日:05月24日 著者:志瑞祐
14歳とイラストレーター7 (MF文庫J)14歳とイラストレーター7 (MF文庫J)感想
作品のアニメ化が決まり多忙を極める中、海老名水織の提案でなぜか一緒にチューバーをやることになったユウト。超過密日程の中でも仲間たちの様々な事情に関わってゆく第七弾。思ってもみなかった斜め上の展開から始まった今回ですが、突き抜けたイラストレーターってみんなこんな思考がぶっ飛んでるんですかね?(苦笑)他の面々のらしい日常も描かれつつ、最初は平凡に見えていたユウトの特異性がだんだん際立ってきましたが、だからこそ未だに自覚に乏しいヒロインたちそれぞれとの距離感がこれからどう変わってゆくのか、とても興味深いですね。
読了日:05月24日 著者:むらさき ゆきや
あまのじゃくな氷室さん5 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)あまのじゃくな氷室さん5 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)感想
約束通り学園祭限定カノジョとなった涼葉と一緒に学園祭を楽しむ愛斗。一方雅も積極的にアプローチし、涼葉と彼女の前に立ちはだかる愛斗の母親が再び激突、その母親の入院からの一人暮らし状態の愛斗の家に彼女たちが押しかける第五弾。雅推しの愛斗母再登場にランナも暴走し、振り回されて劣勢でも愛斗への強い想いで立ち向かう涼葉には確かな成長が感じられましたね。ブレずにビシッとキメたはずなのに、変わったようでいて相変わらずっぽい愛斗とめげないヒロインたちのその後でしたけど、終わってみればなかなか楽しかったです。次回作も期待。
読了日:05月25日 著者:広ノ祥人
新宿もののけ図書館利用案内 (メゾン文庫)新宿もののけ図書館利用案内 (メゾン文庫)感想
予算減で非常勤司書契約を切られた末花詞織。見つけた再就職先は新宿・舟町の住宅街にひっそりと佇む深夜営業の「新宿本姫図書館」。人間でないものばかりが訪れる妖怪専用図書館で館長代理のカイルとともに図書館を変えてゆく物語。最初はいろんな意味で未整備の勝手が違う図書館運営に戸惑いながらも、今まで得た知識を活かしてカイルとともに図書館をより良くすべく、化け猫や化け狐などの新宿由来の妖怪を相手に奮闘する詞織。実は意外に図太い彼女とカイルは組み合わせとしてはなかなかいいコンビですよね。続刊あるならまた読んでみたいです。
読了日:05月26日 著者:峰守 ひろかず
カモフラージュカモフラージュ感想
不倫相手と夜にホテルで食べるお弁当、夜に帰ると増えているお父さんたちの真相、メイドになりたい一心で上京したいとうちゃんの不安、昔の記憶に起因する桃に関するフェティズム、YouTuber三人組が配信中に起こした事件、半年前に振られたアラサーの心の傷などを描いた連作短編集で、最初は話題先行の小説なのかと思いながら読み始めましたが、ままならない状況に葛藤する登場人物たちの繊細な描写には光るものがあって、個人的にはわりと好みな作風でした。最後の「拭っても、拭っても」がいいですね。また書くようなら読んでみたいです。
読了日:05月27日 著者:松井 玲奈
サイメシスの迷宮 忘却の咎 (講談社タイガ)サイメシスの迷宮 忘却の咎 (講談社タイガ)感想
最近起きた事件と自らの過去の誘拐を結びつける情報。記憶を丹念にサーチする羽吹に見知らぬ番号からSMSが届き、指定された部屋で過去の事件の関係者の変死体に遭遇する第三弾。変死体の事件と過去の事件の関連性を疑い独自に調査する羽吹、彼の母と父が離婚した理由も明らかになってゆく緊迫感ある展開で、そんな状況で羽吹を気にかけ支えてくれる神尾たち同僚や友人たちの存在の大きさを改めて感じました。ようやく掴みかけた過去に繋がる糸を見失いかけた矢先に起きた衝撃的な急展開。ここからどういう形で決着をつけるのか続巻に期待ですね。
読了日:05月28日 著者:アイダ サキ
流星の消える日まで (小学館文庫 Cお 4-2 キャラブン!)流星の消える日まで (小学館文庫 Cお 4-2 キャラブン!)感想
東京で自分の店をオープンさせる夢を抱きながらも、夢破れて仕事を辞めて実家がある田舎町へ戻ってきたあずみ。数年ぶりの地元に到着早々、彼女の幼馴染・太一とばったり再会する物語。SNS上での出来事が原因で仕事を失い素直になれないあずみと、仲違いから未だ距離感が分からない太一との再会。ようやく取り戻せたかけがえのない関係、そして帰省した日から毎晩見る不安な夢があって、不安な彼女を支えて背中を押してくれる太一の優しさと、そんな彼の想いにきちんと向き合おうとする二人の想いが運命を変えてゆく展開はなかなか良かったです。
読了日:05月28日 著者:沖田 円
青雲を駆ける 5 (ヒーロー文庫)青雲を駆ける 5 (ヒーロー文庫)感想
フランコからの要請で、島の東側の村を回ることになったエイジ。この島を作ったご先祖様が最初に立ち寄った浜があると聞き、日本への郷愁の念も抱き始める第五弾。考え方次第で有用にも脅威にもなりうるエイジの危うい立ち位置もあって、状況が見えない一部の暴走からエイジと弟子たちに命の危機が迫る展開でしたが、職人として見せたそのありようや、ギリギリの選択を迫られても最後まで最善を模索しようとするエイジの姿がとても印象的でした。一難去っても悩みが尽きない状況の中で、カタリーナとの距離感の変化も気になるところではありますね。
読了日:05月28日 著者:肥前 文俊
さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)感想
事故の後遺症から記憶を忘却することができなくなり、過去の出来事を何度も追体験してしまう新川慧が、職場の同僚となった日野山空良と運命の出会いを果たす物語。記憶の再生をコントロールする術を見つけ出し、必死に日々をやり過ごしていた慧。彼女に突然告白し付き合うことになった空良がもたらしてくれた幸せな二人の日々と彼が抱えていた秘密。この人と思える存在だからこそ抱いてしまう複雑な想いがあって、その不在を痛感すればするほど相手の存在を意識せずにはいられなくて、そんな不器用で分かち難い運命の恋の結末はとても印象的でした。
読了日:05月29日 著者:分玉 雨音
瑕疵物件ルームホッパー 但し、幽霊在住に限ります (集英社オレンジ文庫)瑕疵物件ルームホッパー 但し、幽霊在住に限ります (集英社オレンジ文庫)感想
幼い頃から他人には見えないものが見えて人間関係を上手く築けず、勤め先の倒産で引き籠もっていた瀬山冬。家賃も払えず追い詰められた彼が、謎めいた資産家・羽塔花澄に死者の霊がいる家に住んで、死の瞬間を報告する仕事を押しつけられる物語。巻き込まれた冬が出会う刺殺された若い女の霊、やたらと腰の低い30代女性の霊、母親を探す少女の霊、空き家に住む四人以上の霊。依頼人の花澄たちもまた謎めいていますが、何だかんだでお人好しな冬と接するうちに変化してゆく霊たちとの関係もなかなかいい感じで、続巻あるならまた読んでみたいです。
読了日:05月29日 著者:響野 夏菜,げみ
群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)感想
引っ越しや進学などで三年ごとに友達が入れ替わってきた三年周期の呪い。高校で映画好きの仲間を得た朝宮陽が、卒業しても友人三人との縁が切れないように、仲間たちで自分たちの映画を撮ろうと思い立つ青春小説。一念発起で仲間に提案した陽に、密かに声優を目指すお嬢様ミーコ、活動的で型破りなナツ、脚本を書くいおり。映画好きという共通項以外は性格も映画の好みもバラバラな少女たち四人が、映画製作に取り組んでいく中で葛藤したり衝突しながら、成長して絆を深めてゆく展開はなかなか良かったですね。結末もまた痛快で素敵な物語でした。 
読了日:05月30日 著者:半田 畔
丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。4 (角川文庫)丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。4 (角川文庫)感想
超優秀な後輩SE溝口晃に怪しい気配を感じ、憑かれているのでは?と懸念する高木。大のオカルト好きで事故物件に好んで住んでいるという晃の家を訪れる第四弾。優秀だけど能天気で霊感ゼロの新キャラ・晃が第六に関わるようになったことで、次郎の澪に対する言動も少し変わってきたみたいで気になるところですね。明らかになってゆく吉原家の現状やら高木の切ない過去エピなども興味深かったですが、澪と一哉とのやりとりがどんな意味を持ってくるのか、奥さん大好きな牧田さんや今回は未登場だった社長が今後どう絡んでくるのか今後の展開に期待。
読了日:05月30日 著者:竹村優希
一華後宮料理帖 第八品 (角川ビーンズ文庫)一華後宮料理帖 第八品 (角川ビーンズ文庫)感想
皇后候補・雪理美と五龍が攫われ、丈鉄と伯礼に彼女の捜索を命じる皇帝・祥飛。一方、知らせを聞いた朱西は考仁の元へと出向き彼女の行方を追及する第八弾。新キャラの呂蓮佳が登場して、ざっくばらんな彼女に正体を隠したまま匿われる理美。そして明らかになってゆく失われた呂蓮佳と考仁、青修の過去の友情。理美救出のために協力する朱西と丈鉄。考仁と朱西の複雑にこじれた関係の修復がポイントなのは間違いないですが、露見してしまった事態をここからどう上手く収束させるのか、蓮佳も関わってきそうですが、理美の頑張りに期待ということで。
読了日:05月30日 著者:三川 みり
百錬の覇王と聖約の戦乙女18百錬の覇王と聖約の戦乙女18感想
大陸の覇権を目指す《炎》の信長と、大陸の救済を目指す《鋼》の勇斗。両雄が神都の南で相対する一方で、宗都イアールンヴィズでもリネーアが猛将シバによる襲撃を受ける第十八弾。大陸からの脱出に向けた移動と並行しての信長との決戦。民族移動のための重要拠点を死守線とするリネーアと猛将シバの対決。知略を尽くして戦う鋼も炎も一枚岩ではなくて、それが二転三転する戦況に少なからず影響を及ぼしますが、つまるところ人心の機微の掌握がその明暗を分けましたかね…物語も終盤ですがまた強くなったジークルーネとシバもいよいよ決着ですか。 
読了日:05月30日 著者:鷹山 誠一
葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)感想
様々な種族がひしめき合う小国ランタン。流浪の少年メルがランタン王に語学を買われ政略結婚を控える豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢、なりゆきで次期王に任命され敗戦必至の戦いに挑むファンタジー。常に優しいメルに惹かれてゆく奔放な姫君・シャルネ。婚姻が最悪の形で破談となった巻き添えで亡国の危機に陥ったランタン。シャルネと並び立つ弱小国王として仲間の助力を得て異なる種族の力を糾合し、熱い想いと知略を尽くして大軍に立ち向かいつつ、巧みな心理戦で勝利を手繰り寄せる展開にはぐっと来るものがありました。続編も期待してます。
読了日:05月31日 著者:一ツ屋 赤彦
落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)16 (GA文庫)落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)16 (GA文庫)感想
オル=ゴールとの死闘を経て訪れたひとときの平穏。しかし「人形遣い」の影響で世界規模で混乱が生じ、日本の学生騎士たちも特例招集により動員される第十六弾。今回は死闘のダメージを癒すために一輝とステラはお休みで、脱走した囚人相手に《浪速の星》諸星雄大《剣士殺し》倉敷蔵人、そして《雷切》東堂刀華といったかつてのライバルたちが成長した姿を魅せてくれて、いつの間にか絢瀬と蔵人の距離感が気になる感じに?同時に新章突入で気になるキャラも登場しましたけど、博多弁で意外に喧嘩っ早かった刀華さんが最後どうなったのか気になる…。
読了日:05月31日 著者:海空りく

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