1月の読了冊数は読書メーターによると最終的に97冊でした。
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こちらでは1月のライトノベル新作おすすめ23点を紹介します。
気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
陽キャになった俺の青春至上主義 (GA文庫)
努力と根性で高校デビューし、陽キャに囲まれた学校生活を送る上田橋汰。そろそろギャルの彼女でも…と思っていた彼が、なぜか陰キャの七草遊々に好かれてしまう青春ラブコメ。橋汰が気のいいカエラや天然の徒然と構成する陽キャグループに、なぜか彼を慕って集うギャルになりたくてピンク髪でイメチェンした恋愛脳ストーカー遊々、イキリオタクの宇民、メスガキ男の娘・龍虎といった濃い陰キャたち。橋汰と仲良くなりたくて頑張る方向が斜め上の遊々はなかなか強烈でしたが、けれど彼らと過ごす日々は陽キャ陰キャ関係なく思いの外楽しくて、困っている仲間たちを放っておけるわけもなくて、何とか解決しようと協力して一緒に乗り越えてみせた橋汰と愉快な仲間たちの物語はとても面白くて、その続きを早く読みたくなりました。
VTuberのエンディング、買い取ります。 (ファンタジア文庫)
朝依 しると/Tiv KADOKAWA 2023年01月20日
VTuber乃亜を推すことに青春の全てを捧げ、界隈でも一目置かれていた高校生の苅部業。大炎上した推しの引退に絶望した彼が推しの最期をプロデュースする救済と再生の物語。高校を休学して一年後、VTuber炎上ネタブロガーとして日々を過ごしていた業。そんな彼のもとに自分のVTuberを炎上させてほしいと依頼するかつての元推し友の海那、同じく炎上したその友人・彩音、かつての推しの後継者として扱われることに悩む菜乃。そんな苦悩する彼女たちに真摯に向き合い、奔走してくれた業に助けられた彼女たちの優しさや、推したちの熱い想いに触れて、自らもまた救われてゆく展開は強く心に響くものがありました。
ステラ・ステップ (MF文庫J)
隕石により荒廃し、国家間の戦争の手段として「アイドル」が戦うことを強いられる近未来。技術を追求し続けて感情を失いかけていた最強のアイドル・レインが、感情豊かに歌う少女ハナと出会う愛と絆の物語。無敗記録を続けるアイドルとして国民からは崇められながら、プロデューサーから活動停止を宣告された理由。愛されるアイドルを目指すハナとの出会いをきっかけに知ってゆく、勝てないアイドルの非情な現実、少しずつ取り戻してゆく感情。しかし彼女自身に心境の変化があったからといっても、事態がそう簡単に好転するわけでもなくて、状況が変わる中で衝撃の事実も突きつけられて、なかなか難しい状況になってきましたけど、どうやって未来を変えてゆくのか、これからの展開が楽しみになってきました。
不可逆怪異をあなたと 床辻奇譚 (電撃文庫)
怪異に満ちた地方都市・床辻市で起きた全校生徒が消失する『血汐事件』。遅刻して偶然難を逃れた青己蒼汰が、事件に巻き込まれた妹・花乃の身体を取り戻すため呪刀を振るう都市伝説怪異譚。数少ない手がかりをもとに、借り受けた呪刀を携えて市内のオカルトを追う蒼汰の前に現れた謎の少女・一妃の存在。花乃の身体はどこに隠されたのか。そして凄惨な事件は何故起きたのか。伏線も回収しながら真相に迫る中で見えている構図も二転三転して、いくつもの激闘と難しい判断の末に神経が太い主人公でなければおそらくたどり着けなかった結末と、その裏に隠されたもうひとつの真相の持つ意味がなかなか深くて唸らされました…。
僕は、騎士学院のモニカ。 (ファンタジア文庫)
陸 そうと/おやずり KADOKAWA 2023年01月20日
なぜか自分の最期を看取った少女モニカの身体で蘇った伝説の騎士ダレン。命を譲ってくれた彼女の意思を継いで、本来女性にはなれないはずの騎士を目指す学園ファンタジー。全力の剣技に耐えられない女性の身体というアンバランスさを抱えながら、同級生の騎士アルを圧倒して力を証明してみせたモニカ。一方で暗示される不穏な雰囲気の正体。展開がやや早く読みやすかった反面、各キャラや事件の背景に関してはもう少し掘り下げても良かったかなと感じましたけど、危機的状況に直面する中でも、彼女たちの想いに向き合い、最期まで諦めなかったそのありようはなかなか良かったですね。
Mother D.O.G (電撃文庫)
猟奇殺人事件が世間を騒がす大都市。不釣り合いな大きな傘を携えた少女・夜子と顔に傷がある青年サトルが、人を装って群衆に紛れ込む怪物を狩るダーク・アクションファンタジー。D.O.Gと呼ばれる遺伝子を操作された生体兵器たちを殲滅するため、手がかりすらない事件の話を聞きつけはるばるやってきた二人。彼女たちが対峙した人狼、悪魔、巨人といった怪物たち、そして夜子とサトルが背負う何とも業の深い背景があって、二人の出会いや関係がまた来るものがありますけど、タイトルの意味をつい考えてしまう展開の中で、目をそらさずにしっかり向き合う夜子、そして彼女に寄り添うサトルのこれからをまた読んでみたくなりました。
ヴァンパイアハンターに優しいギャル (GA文庫)
気のいいギャル女子高生・琉花のクラスに復学生として現れた美少女・銀華。気になる彼女の秘密を偶然知って仲良くなってゆく光のギャルと闇の狩人が織り成すデコボコ学園(非)日常コメディ。銀髪銀眼、十字架アクセサリーに黒革手袋をしたヤベー奴と思っていた銀華が、実は吸血鬼を討伐していた狩人だと偶然知ってしまう琉花。でもそんな過去も気にせずぐいぐい距離を詰めて、女子高生らしさを知らない銀華にコスメやプリ、友人と一緒にカラオケをする楽しさを教えてゆく琉花が、眷属に襲われたり陰謀に巻き込まれてもJKギャルならではの発想で銀華に協力して一緒に乗り越えてしまう、パワフルで優しいとても素敵な友情の青春小説でした。
完璧な俺の青春ラブコメ 1.ぼっち少女の救い方 (ファンタジア文庫)
藍藤 唯/kodamazon KADOKAWA 2023年01月20日
勉強・運動共にトップで完璧な評価を維持するため、日々努力する高校生・五代涼真。彼が真面目過ぎてぼっちになったクラスメイト木下みなみの本音を耳にする青春小説。クラスメイトと良好な関係を築きながら、他人に深く干渉せずグループにも所属していなかい涼真。風紀委員として空回りしてしまい、周囲から浮いているみなみのことを放っておけない彼が、さりげなくフォローすることで少しずつ変わってゆくクラスの雰囲気やみなみ自身の思いがあって、真もまたそんなみなみに感化されてゆくも二人の関係はもどかしくて、そんな彼を巡るライバルとしてみなみと張り合う一方で、さりげなく彼女のことも気にかける亜衣梨の存在がいい感じに効いていました。
スペル&ライフズ 1 (オーバーラップ文庫)
十利ハレ/たらこMAX オーバーラップ 2023年01月23日
魔法と召喚獣を顕現させる異能のカード『スペル&ライフズ』を操る力に覚醒した少年・桐谷駿が、全プレイヤーが集う人工島・色藤島で姉を探す少女・萌葱咲奈と出会うファンタジー。生き別れた妹を探している駿が、恋人を自称する少女・ミラティアとともにその調査に協力する展開で、ルールと手持ちのカードを駆使しての駆け引きが熱いバトルを繰り広げながら、異能の力に魅入られた存在の意志と思惑に繋がってゆく中で見せる、駿の隠されていた異能とミラティアとの絆がなかなか良かったですね。仲間も増えてこれからが楽しみになる結末には、今後に向けた確かな期待感がありました。
落ちこぼれから始める白銀の英雄譚 1 (オーバーラップ文庫)
鴨山兄助/刀 彼方 オーバーラップ 2023年01月23日
魔獣と契約して変身する操獣者が平和を守る世界。魔獣と契約できずトラッシュと蔑まれるレイが、それでもヒーローだった父親の背中を追いかける英雄譚。操獣者の魔武具整備士として日々を過ごすレイを、チームにスカウトする新進気鋭の操獣者フレイア。苦い過去から逡巡するレイが、大量発生した食獣魔法植物ボーツに遭遇して共闘する展開で、浮かび上がるレイに対する周囲の複雑な感情、一方で頑張ってきた彼を見守ってきた人たちもいて、因縁の地での絶望的な戦いに挑む中でも最後まで諦めず、見事過去を乗り越えてみせたその結末は心を熱くさせるものがありました。
かみつら 1 (オーバーラップ文庫)
北条新九郎/トーチケイスケ オーバーラップ 2023年01月23日
高校生の志郎が紀行作家の父親に連れられて引っ越してきた太平洋の孤島「神面島」。未婚の女性は仮面を着けて暮らさねばならないその島で、島の当主の孫娘・真璃の素顔を見てしまう青春小説。伴侶となる者以外の男性に素顔を見せてはいけないしきたりが残る神面島で、うっかり掟を破ってしまい秘密を共有することになった二人。さらにそして島の外に憧れる魅力的な真璃の従姉・直のアプローチによって彼女の素顔も見てしまい、島の禁忌を犯しながらの三角関係に心揺れる展開でしたけど、彼女たちの真摯な想いにそれぞれ向き合った志郎の結論がそれか!と思わず笑ってしまいましたが、ここから物語をどう動かしてゆくのか今後の展開が楽しみな新シリーズですね。
さあっ候補生さま、“王霊討伐”の時間です (MF文庫J)
藤木 わしろ/にの子 KADOKAWA 2023年01月25日
異形の死者『悪霊』が蘇るようになった現代。特別な能力を生者に与える『善霊』から霊器を授けられた少女・穂羽天理が、『王霊』を討伐するための候補生に志願するファンタジー。悪霊による世界的な集団失踪事件で母を失った天理が出会った善霊リシアと殺し屋を名乗るハルト。曲者揃いの候補生たちと初めての異界攻略作戦に挑む展開で、誰が味方で敵なのか分からないまま疑心暗鬼になってゆく候補生たちの中で、関係者としての知識と卓越した洞察力で信頼を得てゆく天理はいい感じに存在感を見せていましたけど、物語の構図が見えてくる中で傍若無人な王霊にこれからどう対峙してゆくのか、今後の展開に期待したいと思います。
少年、私の弟子になってよ。~最弱無能な俺、聖剣学園で最強を目指す (電撃文庫)
七菜 なな/さいね KADOKAWA 2023年01月07日
全人類に聖剣が宿る世界。聖聖剣が宿らなかった少年・阿頼耶識が、憧れの世界最強の天才聖剣士ラディアータの弟子として世界の頂点を目指す学園ファンタジー。聖剣演武で絶大な人気を誇りながら、若くして事故で引退したラディアータと、昔交わした約束で師弟関係を結び、聖剣・無明を託されて三年で世界の頂を穫ることを誓った識。天才だけれど浮世離れしていて、どこかポンコツな彼女に振り回されながら切磋琢磨し、学園に何とか入学を果たした識が、推薦組のピノや練習嫌いの比燐といった学園で出会った魅力的なライバルたちと戦う中で加速度的に成長してゆく展開はなかなか熱かったです。まだまだ未熟な師弟がどこまで駆け上がることができるのか、続巻に期待の新シリーズですね。
この日、『偽りの勇者』である俺は『真の勇者』である彼をパーティから追放した 1 (HJ文庫)
くたびれサラリーマンな俺、7年ぶりに再会した美少女JKと同棲を始める 1 (HJ文庫)
シノノメ公爵/伊藤 宗一 ホビージャパン 2023年02月01日
ジョブ『偽りの勇者』を授かり、役割に従い親友をパーティから追放したフォイル。『真の勇者』に覚醒した親友ユウにより討たれてから始まる影の英雄による救世譚。自覚的に偽りの勇者を演じていた前半、そして人に尽くし、かつて自分を救ってくれた彼の素顔を唯一知るエルフの少女アイリスに救われたフォイルが、その傷を癒やして改名し再び彼女とともに新たな冒険の旅に出る展開で、偽りの勇者ゆえにその時代のエピソードはなかなか悲惨でしたけど、終盤に戦った魔王軍八戦将との因縁はこれからも絡んできそうで、ここから物語をどう動かしてゆくのか、幼馴染たちとの再会はあるのか、今後に期待の新シリーズですね。
ゾンビ世界で俺は最強だけど、この子には勝てない (MF文庫J)
岩波零/TwinBox KADOKAWA 2023年01月25日
突如発生したゾンビパニック。人々が逃げ惑う中、ゾンビに噛まれてしまった高校生の幸坂優真。死の恐怖に怯える彼が、友達の妹・日向晴夏と数年ぶりに再会する極限状態ラブコメ。彼女に最期の思い出を作ってもらったはずが、ゾンビになったのになぜか自我を保ったままでいられることに気づいた優真。そこから行動を共にすることにした二人が、晴夏の高校の女子寮に転がり込む展開で、立てこもっていた生存者の女の子三人たちとの変化してゆく距離感もあったりで、晴夏がヤキモチを焼く展開は微笑ましかったですけど、そもそもなぜこのような事態に陥ってしまったのか、依然として先が見えない状況をこれからどう動かすのかも気になるところではあります。
新婚貴族、純愛で最強です (GA文庫)
婚姻で授かるホーリーギフトが最重要な貴族社会。とんでもない双子姉たちのせいで婚約破棄された失意の没落貴族アルフォンスが、一目惚れした美少女フレーチカと身分差結婚する純愛ファンタジー。フレーチカとの結婚でアルフォンスが得たギフトは嫁を愛するほど全能力が向上する『愛の力』(重複可)。新婚生活でイチャイチャしながら、それによって得た人並み外れた力で伝説の魔物や女傑の姉たちを一蹴する一方、フレーチカに忍び寄る不穏な影と徐々に明らかになってゆく彼女が抱える秘密。重複可とかいう不穏なスキルでも彼はどこまでもフレーチカに一途で、何とも数奇な運命の彼女に立ちはだかる数々の障害を、二人で乗り越える愛の力として彼らのギフトがカギを握る展開もなかなか上手かったですね。
上村夏樹/Parum ホビージャパン 2023年02月01日
日々の忙しさですっかりくたびれていた社会人三年目のサラリーマン天江雄也。かつて近所に住んでいた八歳年下の女の子・白鳥葵と七年ぶりに再会する青春ラブコメディ。彼女の母親の海外転勤に伴う葵の一人暮らしを危惧されて、家事万能な美少女JKへと成長していた葵と同居生活を始めることになった雄也。小学生の頃に交わした思いを大切に守ってきた葵との甘くて初々しい二人の距離感や、雄也自身もまた彼女の存在から一念発起していろいろ頑張るようになって、会社の社員旅行に彼女を同行させる大胆さにはびっくりしましたけど、周囲も温かく見守る二人のこれからの物語をまた読んでみたいと思いました。
コミュ力向上のために言語スキルをマスターしたら、引く手あまたの英雄になりました (ファンタジア文庫)
鈴木 竜一/フェルネモ KADOKAWA 2023年01月20日
魔力がなく幼い頃より家族から虐げられていた少年ハーレイ。彼が言語スキルを獲得したことで人生が一変するサクセスファンタジー。魔法使いの名門の長子に生まれながら、家督も弟に奪われ叔父モイゼスの養子になったハーレイが、養父のモイゼスが用意した言語スキルで話術向上、モンスターの言語習得、他人の嘘看破などのスキルを得たことで前向きに変わってゆくストーリーで、モンスター襲撃事件で令嬢のピンチを救い、嘘看破で旧鉱山の謎を明らかにし、モンスターの村での意外な出会い、思いを伝えるための協力したりと、現段階ではまだ英雄というほどの活躍ではなかったですが、好転した人生がこれからどうなるのか今後の展開に期待です。
3分聖女の幸せぐーたら生活 生真面目次期公爵から「きみを愛することはない」と言われたので、ありがたく1日3分だけ奥さんやります。それ以外は自由!やっほい‼ (アース・スタールナ)
魔法使いへの道 ‐腕利き師匠と半人前の俺‐ 上・下
ゆいレギナ/あかつき聖 アース・スターエンターテイメント 2023年02月01日頃
聖女としての力が枯渇したため、教会から若き次期侯爵リュナンに身請けされた聖女ノイシャ。「きみを愛することはない」と言われた彼女が、夢のぐーたら生活を目指すやっほい契約結婚ファンタジー。「毎朝3分だけらぶらぶ夫婦を演出する」という破格の条件で、暖かい布団に包まれたりアイスやジャージを作ったりデートしたりと、のんびり生活を満喫するノイシャ。使用人に溺愛され、不器用な交流を深めてゆく中で明らかになる、教会で酷使されていた過去やリュナンの幼馴染ラーナやバルサとの関係。不穏な予兆が垣間見える展開から思わぬ事態に繋がりましたけど、かけがえのない存在になってゆくノイシャのために奔走するリュナンと、自己肯定感が低くとても優しいノイシャの微笑ましい関係を応援したくなりました。
光乃 えみり/ずじ KADOKAWA 2023年01月30日頃
女性恐怖症のため、ほぼ女性の魔法使いと見習い実習ができず、魔法学校で学年首席なのに留年しかけていたアレクシス。彼が数少ない男の魔法使いダニエルを紹介されるファンタジー。英雄の曾孫で名門の跡取りながら、過去のトラウマで女性が苦手なアレクシウス。訪ねた先で会ったのはなぜか黒髪の美少女で、そこからダニエルの事情に巻き込まれて始まる苦労の旅。人を殺したくなくて攻撃魔法の習熟も避けていた彼が、不穏な状況の中で見せるポテンシャルと頑なさがあって、自分の経験不足を突きつけられながら、それでも破天荒な師匠を放っておけずついていくことを決意した彼がこれからどう変わってゆくのか、下巻に期待の上巻でした。
光乃 えみり/ずじ KADOKAWA 2023年01月30日頃
武装集団デウム・アドウェルサの襲撃から逃れたアレクシスとダニエル。平和式典の開催日までにクータスタ国への国境越えを目指す下巻。息が詰まる暗い道行きの間に自らの過去と師匠アイリーンのことを聞き、ダニエルがなぜ危険な仕事をしているのかその思いを知るアレクシス。彼が立場や能力全てを使って、遠ざけようとするダニエルを助ける決意をする選択が、魔法と世界の真実を暴くことに繋がって、難しい局面に直面に直面しましたけど、最初は青臭い理想論が先行しがちだった彼が、経験した激動の展開の中で見出した師匠ダニエルとの絆は、その後の展開も含めてなかなか良かったですね。
七日の夜を抜け出して (星海社FICTIONS)
12年前に起きた校内神隠し事件を解明するため超常を調査する頂上探究部を訪れた遊辺高校の新入生・中里蓮。彼が3人のそりの合わない同級生と超常的な力により部室に閉じ込められる青春ミステリ。閉じ込められた部室に現れた警告文、そして弾き手のいない三味線、鬼の造った階段、生徒を喰らうオオカミなどの本物の超常現象。謎解き好き紫苑の助手に指名された蓮が、意外な技を繰り出す北別や不思議なものが見える田子ら特殊な力を持つ仲間と挑む超常の解決方法はわりとバトルものでしたけど、積み重ねた伏線をまとめ上げた先にあった切ない結末はしっかりとミステリしていてなかなか良かったですね。妹がどうなったのかも気になるので、続巻あるならまた読んでみたいです。
斜陽の国のルスダン (星海社FICTIONS)
13世紀、モンゴルの侵略によって亡国の危機に瀕するジョージア王国。亡き兄が遺した国を護るために期せずして女王の座に着いたルスダンが、幼馴染の夫ディミトリとともに奮闘する物語。他国へ嫁ぐはずだったルスダンが、兄の死によって女王となり、モンゴルやホラズム軍と立ち向かうことになる展開で、あまりにも力の差がある相手にどうすべきかという誰でも難しい状況で、相手のためを思えばこそすれ違ってしまうこともあるんですかね…たとえ袂を分かつことになってしまっても、ためらわずにルスダンにとっての最善を選ぶディミトリの強い決意が印象に残る物語でした。お国事情も伺える大使なども交えた巻末の対談もなかなか興味深かったです。
続巻含めた新刊感想はこちら↓