最近Twitterで巻数少なめのおすすめライトノベルを募集していた人を見て、ふと少し前の既刊を中心に、さくっと数冊で読めるくらいのおすすめライトノベルの作品紹介を作ってみてもいいのかなと思いました。
が、実際当たってみると痛感するのは、結局完結したのか、続巻出る予定があるのかよく分からない作品がほんとに多いですよね…(遠い目 いや、これは著者さんに起因する問題ではないことの方が多くて、それだけ完結するまで書き上げるのがとても難しい状況なのだと思いますが、面白ければいいんじゃないのかとは思うものの、こういう作品をもっと知ってほしいと思う反面、ちょっと扱いが難しいと感じたりもしています。
いつかまたそういう作品も紹介して読んでもらえたら著者さんも喜んでもらえるのかなという思いもあるので、いつかそういう作品もまた紹介する機会を作りたいと思いますが、とりあえず今回はきちんと最後まで完結している作品の中から十作品を紹介したいと思います。
1.近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)
母と二人で暮らす家で、同い年の遠い親戚の女の子和泉里奈と同居することになった高校生の坂本健一。彼女の出現によって様々な変化がもたらされてゆく物語。兄にコンプレックスを抱き他人との距離に悩む健一と、控えめながら女子校育ちで無防備な里奈。近過ぎるのにどこか遠い彼女を意識し友人たちに知られたくないと感じる健一に気づき、心穏やかではいられない幼馴染・由梨子。幼馴染二人の関係に登場した新ヒロインというオーソドックスな構成ですが、著者らしい繊細な心理描写がとてもいいですね。終盤にもたらされた波紋からの展開が楽しみなシリーズ。全2巻。
2.明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (電撃文庫)
明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。
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藤まる/H2SO4 アスキー・メディアワークス 2013年02月09日頃
女子高生・夢前光の交通事故に遭遇し、自分の寿命の半分と引き換えにその生命を救った坂本秋月は、なぜか1日おきに光の人格と入れ替わる身体になってしまった物語。行動力のあるイタズラ好きな光がぐいぐい引っ張って、どんどん秋月の生活環境が変わっていくのが面白かったですね。後半は一転シリアスな展開で頑張るなあと思ったら、最後のあんまりなオチにずっこけてしまいました(苦笑)可愛い感じなのに残念な光に垣間見える真摯な思い、そして周囲を振り回す泣き笑いの絶妙なバランスはとても自分好みでした。全3巻+外伝1巻。
3.東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)
ひょんなことから兄の持っていた雑誌で、普段一緒に図書委員を務める東雲侑子が作家であることを知った英太は、長編を書くためにという理由で侑子から仮の男女交際を依頼される。英太はつかみ所のない侑子に戸惑うことも多かったようですが、その存在が英太の心境の変化をもたらし、恋愛感情のよく分からなかった侑子もまた、英太に徐々に惹かれていって、その不器用な距離感が何ともまた見ていてもどかしくて、そういった繊細な機微の描写がとても良かったです。全3巻。
4.WORLD END ECONOMiCA (電撃文庫)
夢を叶えるため株式市場に活路を見出す月生まれ月育ちの家出少年ハルが、ふとしたきっかけから数学の天才少女ハガナと出会い、コンテスト優勝と周囲の人々の危機打開を目指す物語。夢のために孤高だったハルが彼女たちに出会い触発され、自分に自信を持てなかったハガナもハルへの協力をきっかけに変わっていく、そんな不器用な二人の距離感の変化。そんな存在に葛藤しながら、二人が夢やその思いを語れるようになるまでに近づいたからこそ終盤の喪失感、そして絶望が切なかったです。一度は全て失ってしまって、ここからどう取り戻すのかに期待のシリーズですね。全3巻。
5.友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)
妙なこだわりで高校で友達ができない新藤大輔に、存在感のないクラスメイト澄田が持ちかけてきた困ったときに助け合う「友達いらない同盟」そんな同盟から始まる二人の物語。それぞれが複雑な家庭事情を抱えてはいるけれど、一見同じようでいてまるで対照的な新藤と澄田。グループから浮いた城ヶ崎も加わって三人で楽しそうに見えたのに、なぜか澄田が距離を置くようになってゆく危機的状況でしたが、本音で引き留めようとする新藤の提案はかなり無茶苦茶でしたね(苦笑)このレーベルでたまに出てくる不思議な魅力のある物語です。全2巻。
6.血翼王亡命譚 (電撃文庫)
言葉を話す事を禁じられた王女・アルナと護舞官ユウファ。密かに想いを交わし合う二人が国を挙げての耀天祭に向かう途中で突如襲われ、放浪娘イルナや軍犬ベオルらと逃避行することになる物語。再会しても結ばれることはない二人が5年前に交わしていた約束。逃避行における不器用で繊細な交流や、育まれていった絆がかけがえのないものに思えたからこそ、いくつもの複雑な想いから引き起こされた事件の顛末はとても残念でした…。作品の世界観や概念はやや独特でしたが、新たに始まる彼らの旅の行方がどうなるのかが楽しみなシリーズ。全3巻。
7.群青の竜騎士 (ヒーロー文庫)
科学とファンタジーが混じり合う世界。テルミア空軍第一航空隊の結城文洋が交戦中に邂逅した少女・レオナ。策謀に巻き込まれた異国の少女を若き飛行士たちが救う航空戦記。母国に残されたレオナの弟を救出するため密かに協力を惜しまないフミや男たちはカッコよくて、機を逃さずしっかり妻の座に収まったエルフで大家のローラを軸に、養女となったレオナやダークエルフで戦場では相棒のラディアといったヒロインたちもまた魅力的で、絶妙な世界観を舞台に繰り広げられる躍動感のある展開もとても良かったです。全2巻。
8.アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人 (ファミ通文庫)
革命後の混乱を乗り越えたフロリアの王都パリゼ。そこで出会った劇作家オーギュストと、かつての動乱の英雄で女王の菓子職人アルジャン・カレールの物語。無愛想な菓子職人アルジャンの意外な一面を知ったオーギュストが、見事な菓子に魅せられ彼の店に通うようになり、その対照的な二人が巻き込まれる事件を菓子を通じて解決していくストーリーの数々と、そして何よりアルジャンと国のためを思い立ち上がった王女ロクサーヌの出会いから二人の逃避行、そして菓子職人になるまでの過程がとても良かったです。全2巻。
9.この大陸で、フィジカは悪い薬師だった (電撃文庫)
この大陸で、フィジカは悪い薬師だった
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鳩見 すた/アマガイ タロー KADOKAWA 2016年04月09日頃
エイル教の新米角守となったアッシュが、教典に記された禁忌を冒し『害獣』を治療する異端者の薬師フィジカに命を救われ、二人で共に旅するファンタジー。経験不足もあって何事も教典に書いてあることを前提に善悪を判断しがちな頭の堅いアッシュと、そんな彼に呆れながら出会った害獣とされるものたちにきちんと向き合って治療し、もうひとつの真実を突きつけてゆくフィジカ。教えと現実の乖離にどうあるべきか苦悩するアッシュが、危機に陥ったフィジカを救い信頼関係を育んでゆく過程はとても良かったですね。全2巻。
10.きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった (GA文庫)
きれいな黒髪の高階さん(無職)と付き合うことになった
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森田 季節/紅林 のえ SBクリエイティブ 2018年11月15日頃
サークルも幽霊部員と化して暇を持て余し気味だった京都の大学二年生・日之出。再起を期して潜り込んだ新歓コンパでミステリアスな年上ニートの高階さんと出会う青春小説。高階さんが言った「付き合って欲しい」の真意を確かめられないまま、ゆるゆるとした日々を共に過ごすうちに少しずつ心境が変わってゆく日之出。サークル仲間の祭利や彼が家庭教師を務めるJK彩乃も絡めた人間模様にはこれまで育まれてきた確かな関係があって、彼女たちとのドキドキ展開が恋愛に直結しなくても、これはこれで悪くない大学生活なのかなとか思ったりしました。全2巻。
以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。