今回は2月富士見ファンタジア文庫の新刊感想まとめです。内訳は富士見ファンタジア文庫の続巻4点、新作4点の計8点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
魔術探偵・時崎狂三の回顧録 (富士見ファンタジア文庫)
かつて魔術師が作り出した人智を超えた力を持つ魔術工芸品。魔術工芸品犯罪を専門に扱う魔術探偵兼女子大生・時崎狂三のもとには様々な依頼人と事件が舞い込む第2弾。ライブ中に声を失うアイドル。亡くなったはずの漫画家から届く連載原稿。来禅高校の学生が怯える新・七不思議。因習村で消える巫女。そして未来視の目を持つ探偵。今回はいかにも胡散くさげな未来視探偵を絡めながら、登場するデート・ア・ライブのキャラたちもらしさを出しながらよく動いていて、著者さんがノリノリで書いているのがよくわかるギャグコメディめいた展開が今回も楽しかったです。探偵名刺を恥ずかしそうに出す狂三のツッコミや厨二っぷり、それぞれのエピソードのオチもいい感じに効いていました。
週に一度クラスメイトを買う話6 ~ふたりの秘密は一つ屋根の下~ (富士見ファンタジア文庫)
羽田 宇佐/U35 KADOKAWA 2025年02月20日
ルームメイトとは言えないことをしたあの日から、家に帰ってこなくなった宮城。しかしあの日宮城に触れて自覚した感情が仙台の足を重くする第6弾。不在になったことで宮城が自分の感情を左右する、面倒くさい存在であることを痛感させられる仙台。早く帰った方がいいと思いつつ時間が経てば立つほど戻りにくくなっていく宮城。待っていることができずに動き出した仙台が避けて通れない、音信不通なままの宮城の逃避先になっている宇都宮との再会。2人の間でお互いがどういう存在なのか共有されず中途半端なままだから、巻き込まれた宇都宮ももやもやするよなあ…と思いながら読んでいましたが、今回で変化の兆しは感じられたものの、関係を前に進めるにはもう一押し何かが必要ですね。
経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その9 (富士見ファンタジア文庫)
長岡 マキ子/magako KADOKAWA 2025年02月20日
念願が叶って月愛と卒業を迎え、一緒にいられる時間を増やしたいと同棲生活に踏み切った龍斗。しかし先輩編集の藤並から海外で働く熱烈な勧誘を受けて心揺さぶられる第9弾。部屋探しでもこっそりいちゃいちゃしたり、一緒に料理を作ったり買い物に出かけたり、これまで以上に濃密で甘酸っぱい日々を過ごす2人。一方で海外で働きたいことを月愛になかなか言えない葛藤が重くのしかかる展開でしたけど、こういうことはまず2人で話し合わないことには始まらないですよね。一緒にいたい気持ちは一緒でお互いにとっても前向きと言える方向性も見えて良かったですけど、朴念仁に戸惑う海愛や出産が大変だった朱璃の変化、笑琉の悩みに悩んだ末の決断も印象的でした。
転生王女と天才令嬢の魔法革命10 (富士見ファンタジア文庫)
鴉 ぴえろ/きさらぎ ゆり KADOKAWA 2025年02月20日
皇帝の誘いでアーイレン帝国を訪れたアニスとユフィ。帝国と王国の間にある一筋縄ではいかない情勢の中、アニスに興味津々の皇女クリスティンと出会う第10弾。皇帝から皇弟ファルガーナとともに2人の対応を任されたクリスティンを通して、帝国のことを知り交渉に臨むことになったアニスとユフィ。アニスのことをもっと知りたくてぐいぐい迫り、その実力を確かめて目を輝かせる暴走気味な皇女に、ちょっとだけ不機嫌なユフィが微笑ましかったですけど、使い方次第では危うい魔道具に対する帝国側の考え方を知って摺り合わせて、帝国の人々にその可能性を見せることはできましたかね。彼女たちを見守りその背中を押してくれる、その先を見据えた皇帝のあり方も印象的でした。
じゃれついてくる年下な女の子たち、俺への好きがバレバレ。(富士見ファンタジア文庫)
陸奥 こはる/セイル KADOKAWA 2025年02月20日
幼い頃の記憶から2人の少女たちを見守ってきた高校生の佐古代吉。積極的に関わろうとしなかったのに、彼を意識する少女たちのアプローチがエスカレートしていく青春ラブコメ。亡くなった両親が最後に話した後輩の桜咲を見守り、便宜を図ってもらうため校内で雑用をこなしてきた代吉。そこに中学生の従妹・椿や、後見人のエレノア先生とその娘・幸子を絡めた人間模様は、彼に懐いている年下ヒロイン2人が、友人たちとわいわいしながら代吉に絡んでいく関係が微笑ましくて、見守る対象という意識が強くて彼女たちをなかなか意識できない代吉に対して、ぐいぐいアプローチする彼女たちがいかに振り向かせるか今後に期待したいところですけど、何気に代吉の一番身近なポジションにいる幸子の存在も効いていました。
志乃と恋 Future (富士見ファンタジア文庫)
おっとり穏やかな志乃と、ボーイッシュで活発な恋。一緒に関係を積み重ねてきてた2人が社会人になって、それぞれ仕事を持ってからのもどかしい思いを描いていくノベライズ。社会人になって恋はモデル、志乃は数学教師と、それぞれのお仕事に邁進する姿が描かれる一方で、相変わらずお互いを大好きでいる2人。多忙ゆえに一緒に過ごす時間自体は高校時代よりも限られてしまうもどかしさは描かれるものの、一緒に関係を積み重ねてきた2人の関係は安定感があって、恋が志乃と周囲の関係を気にかける微笑ましいシーンだったり、お仕事終わりのバイクデート、高級ホテルで秘密の撮影会など、お互いに会えない時間がもどかしさの分だけ、一緒にいる時の甘い時間はなかなか濃厚でしたね(苦笑)
転生したら奴隷使役と回復のスキルを持っていたので遊び半分で奴隷だけの秘密結社を作ってみた(富士見ファンタジア文庫)
Crosis/あゆま紗由 KADOKAWA 2025年02月20日
ブラック企業で過労死した結果、生前ハマっていたVRMMOと酷似した世界に貴族の息子ローレンスとして転生した主人公。奴隷使役と回復のスキルでスローライフを目指すハーレムファンタジー。自身も稼ぐ手段を模索しながら自身の能力を最大限に活かすために、出来損ないとして親に捨てられたドラゴノイドのフレイムや、理不尽な嫉妬で奸計に嵌められた元王女マリアンヌたちの欠損を、試行錯誤しながら回復で復活させていくローレンス。奴隷たちを絶望的な状況から救ったこともあって、彼女たちの信頼関係もしっかり築かれている一方で、意外といい子だったドリルが印象的な婚約者フランとの関係もなかなかいい感じで、彼女たちの力も借りながら軌道に乗りつつあるスローライフがどうなっていくのか今後の展開に期待ですね。
エロゲの伯爵令嬢を奉仕メイド堕ちさせる悪役御曹司に転生した俺はざまぁを回避する (富士見ファンタジア文庫)
東夷/をん KADOKAWA 2025年02月20日
勇者からメインヒロインの伯爵令嬢エリーゼを寝取り、最後に殺される悪役御曹司ノルドに転生した主人公が、死亡フラグを回避するために動いたら逆に惚れられてしまうファンタジー。幼い頃のノルドに転生して妹のマリィと一緒にメイドのメイナに甘やかされながら、いかにして死亡フラグを回避するか方法を考えるノルド。しかしエリーゼの危機を自分で救ってしまったことで全ての歯車が狂いだす展開で、どこまでもノルドを盲信するようになってゆくエリーゼには苦笑いでしたけど、残念なことになっていく本来の勇者とは対照的に、フラグを回避しようとしてやることなすことなぜかいい意味で裏目に出てしまい、困惑しながらも人々を救った英雄として周囲から評価されてゆくノルドが微笑ましかったですね。