本年もよろしくお願いします。
2024年に読んだ本は読書メーターによると合計で1590冊になりました。
読んだ本1590冊
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また12月の読了冊数は読書メーターによると最終的に126冊でした。
読んだ本126冊
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こちらでは12月に読んだライトノベルの新作19点、新文芸新の新作4点の計23点を紹介しています。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
文芸単行本・文庫編はこちら↓
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
営業課の美人同期とご飯を食べるだけの日常 (電撃文庫)
入社同期だけでなく、実は高校時代の同級生でもある営業課の秋津ひより。彼女と同じ会社の業務課に務める鹿見有の周囲には秘密の関係を描いた社会人ラブコメ。入社で再会して以来、残業モンスターとして日々を過ごす中で積み重ねてきた、社内で人気のひよりとランチを一緒に食べたり、帰りに飲みにいったり、はたまた自宅で夕飯を食べるような関係。お互いかけがえのない存在なのは間違いなくて、ひよりのいい加減気づけとばかりのぐいぐい迫る距離感や、彼を尊敬する後輩や取引先として再会した元カノの接近にセンサーが働くあたりも微笑ましかったですけど、着々と外堀を埋めていく彼女に苦笑いしながら、徐々に認知されてゆくまさにこういうのが読みたかった2人の関係がなかなか良かったです。
エルフの渡辺 (電撃文庫)
園芸部の部長でクラスでは目立たないものの、笑顔が魅力的な心優しき少女・渡辺風花。彼女に告白した同級生の大木行人が、エルフに一変した風花の姿を目の当たりにする青春ファンタジー。行人が期せずして知ることになった、風花が異世界から逃げてきたエルフの少女だったという事実。彼女も好意を持ってくれていて、周囲で彼だけが真の姿を見ることができるぶっ飛んだ設定も飲み込んで、どうにかいい感じに向かうかと思いきや、彼を気に食わない彼女の幼馴染・泉美の妨害があったり、風花もまたどこか感性がズレていて上手く噛み合わない展開がじわじわ来ましたけど、地味でも密かに人気でエルフという面倒くさい彼女の事情に巻き込まれて戸惑いながらも、それでも風花と真摯に向き合おうとする行人がなかなか良かったですね。
配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信 (富士見ファンタジア文庫)
佐藤 悪糖/福きつね KADOKAWA 2024年12月20日
ダンジョン探索に記録が義務付けられた世界。コミュニケーションは苦手でも最強な配信者「日療の白石」さんが、人助けしながら成長してゆくダンジョン配信ファンタジー。コミュニケーションが苦手ゆえに無言配信を続け、窮地に陥った探索者たちを黙々と救助しながら、魔物を瞬殺して名乗りもせず去っていく、無名ではあってもダンジョン配信で最も話題な配信者・白石さん。そんな彼女が大手医療法人・日療にスカウトされて国内初の迷宮救命士として活動を始める展開で、厳しい状況でも人を救うことを諦めない白石さんがカッコよくて、彼女を無名な頃から見守ってきたリスナーたちや、その行動に理解を示しつつも何かと無茶をしがちな白石さん叱ってくれる周囲の大人たちの存在もいい感じに効いていました。
帝国最強の天才騎士、冒険者に憧れる (角川スニーカー文庫)
蒼井 美紗/LINO KADOKAWA 2024年12月27日
若くして騎士団長に上り詰めた剣と魔法の天才フランツ。先の戦争で武功を立てた彼が褒美として2年間の長期休暇を願い、かねてから憧れていた冒険者になるファンタジー。新人冒険者として世界を巡ることを目標に、魔法使いのマリーアを初めて仲間にした世間知らずで規格外のフランツ。通りすがりに魔物の巣窟を一掃し、孤児院の不正を見抜き、獣人族と交易を開拓したりと、これまで積み重ねてきた豊富な知識と経験で、状況や物事を見極めていく観察眼は流石で、初めはその選択を疑問に思っていた国王たちも成果を認める大活躍でしたけど、規格外過ぎてツッコミ役が忙しいマリーアや、行き当たりばったりに発見して解決してゆく問題をフォローする副団長イザークはちょっと大変そうでしたね（苦笑）
エンバーミング・マジック 魔法を殺す魔法 (MF文庫J)
【第20回MF文庫Jライトノベル新人賞＜最優秀賞＞】
目の前で女の子が車に撥ねられ、初めて禁忌と知りながら家入ナギに魔法を使ってしまった斬桐シズキ。「破壊」魔法以外は下手で助けたナギを猫にしてしまう退廃的青春ファンタジー。『魔法憑き』になってしまったら、十八歳までに魔法を使えるようにならないと魔物化けしてしまうというタイムリミットがある中、師匠の千歌にも力を借りて一緒に魔法を使う特訓を始めるものの、彼女の魔法はなかなか発動せず、何かを隠している様子の師匠と、そしてどこかちぐはぐな様子を見せるナギ。そこから明らかにされてゆくナギの意外な過去は、斬桐シズキ自身が抱える記憶の空白にも繋がっていて、そこから目をそらさずに過去に向き合って乗り越えてみせた2人のやり取りが、とてもこの物語らしい結末に思えました。
巡る冬の果てで、君の名前を呼び続けた (MF文庫J)
【第20回MF文庫Jライトノベル新人賞＜優秀賞＞】
鹿毛 おどり/chooco KADOKAWA 2024年12月25日
勇者により魔王は討ち倒されたはずが、決戦時の強大な魔力の余波が滅びをもたらしてしまった世界。勇者一行の一人だった魔法師エルメがアンデッドの少年と旅に出る物語。魔王討伐に向かった勇者一行で唯一の生き残りで、何とか復命したものの今の状況に陥ったのはお前たちのせいだと糾弾されて、大切な人も失い自らの死期もそう遠くないことを悟ったエルメ。孤独となり自身の存在意義と未来を見失った死にゆく彼女と出会った、生き続けるアンデッドの少年ディート。2人の旅がかけがえのないものだったからこそ、自分にできることを求めての果てしない旅はなかなか胸に来るものがありましたけど、何度も歴史を繰り返す定めの中で、長い旅路の果てにようやく引き寄せたその結末には救われる思いでした。
銀河放浪ふたり旅 ep.1 宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します (電撃文庫)
榮織 タスク/黒井 ススム KADOKAWA 2024年12月10日
人類の指導者としての教育を受け、冤罪で地球上から追放され、宇宙空間の個人牢獄に収監されていたカイト。地上滅亡で刑期が終了した彼が最後の旅に出るスペースファンタジー。刑務官で生活支援ロボットのエモーションとの気ままな囚人ライフが突然終了し、彼女と一緒に限りある資源を有効活用して地球人類最後の宇宙旅行を始めたカイト。運良く地球外生命体たちの連邦に保護されて、超能力の発現や自分だけの宇宙船を獲得したりと、新たな世界を前向きに満喫する一方で、地球外生命体たちもなかなか魅力的に描かれていましたが、一方、残された地球の人々の危機に奔走したりするもののその生き方はどこまでも自由で、相棒エモーションとのコンビも良かったですし、2人のこれからの旅に期待です。
クラスで浮いてる宇良々川さん (ガガガ文庫)
物理学的にあり得ない宇良々川さんと、彼女の秘密を知った物理学信奉者のハカセ。交通事故で負傷した自分の代わりに、彼女を人力飛行機のパイロットに勧誘する青春グラヴィティ。無重力状態で文字通り物理的に浮いている宇良々川さんがパイロットになれば、鳥人間コンテストで大会新記録を出すことも夢ではないと、彼女を何とか飛行機部に勧誘しようとするハカセと個性的過ぎる部員たち。無重力生活は思っていた以上に大変そうでしたけど、彼女の誰にも話せない事情に向き合い、協力するようになってからも思わぬトラブルに直面して、チャレンジ自体が空中分解しかけながらも、それでも諦めずに様々な困難を乗り越えて、みんなで力を合わせて挑む彼らの熱い想いが感じられる展開とその結末はなかなか良かったですね。
学園の姫攻略始めたら修羅場になってた件 (GA文庫)
かわいさん/ウナサカ SBクリエイティブ 2024年12月15日頃
学内の姫ヶ咲学園総選挙が7位と惜しくも姫6入を逃した妹の彩音。彼女に弱みを握られた兄の神原佑真がほかの姫たちを攻略するミッションを課される青春ラブコメ。横暴な妹に進捗を報告しながら、隣の席の男子に告白される風の妖精や、中学時代の同級生でもある土の女神、意外な接点があった火の姫王子や氷の姫君たちにアプローチしていく展開で、様々な思惑や駆け引きが絡まり合い、佑真の周囲になぜか姫がどんどん増えていく異様な状況になってゆく中で、さりげなく外堀を埋めながら一気に距離を詰めて、遅れを取り戻しながらしっかりと流れを引き寄せてみせた伏兵のしたたかなアプローチはなかなか圧巻でしたね。それぞれに違うヒロインたちの立ち位置もはっきりしてきた中で今後の展開がとても楽しみです。
誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由 (GA文庫)
八神鏡/あろあ SBクリエイティブ 2024年12月15日頃
高校に飛び級した八歳の天才少女・星宮ひめ。隣の席になった大空陽平が、見た目はお姫様のように愛くるしいものの、誰ともか関わろうとしない彼女と少しずつ交流を深めていく青春ラブコメ。かつて迷子になったひめを導き、同じクラスの隣の席になって甘いお菓子をあげたことをきっかけに、ひめにすっかり懐かれてしまう陽平。彼の義妹になるために美少女と名高い姉の聖と結婚させようとするあたりは微笑ましかったですけど、天然でなかなか食いしん坊な姉の聖も交えた交流が始まる中で、天才の妹に対する聖の複雑な想いも明らかになりましたけど、そんな姉妹たちを上手くフォローする陽平のことを聖も認め、ひめもまた無自覚に惹かれていって、これから3人の関係がどう変わってゆくのか、今後の展開がなかなか楽しみですね。
小柳さんと。 (ダッシュエックス文庫)
社内恋愛で3年付き合った年上の彼女に素っ気なくフラれ、傷心独り身となった幸大。行ったこともないバーで長身の彼より遥かに小さくて、元気いっぱいな年上の小柳さんと出会う社会人ラブコメ。聞けば同棲していた彼氏に浮気された挙句、フラれたのだという小柳さん。振られたもの同士すっかり意気投合して、うっかり一夜の関係を持って始まった2人の関係。それぞれ元カレ・元カノの様子も描かれる一方で、思いの外相性が良くて一緒にいるのが居心地が良い関係なんだなと思える2人でしたけど、だからこそ突然の急展開は青天の霹靂で、それでも簡単には諦めない幸大の頑張りが光りましたね。意外な繋がりも明らかになる中で、直面する苦難に迷わずしっかりと寄り添い、一緒に乗り越えてみせた2人の結末がなかなか素敵でした。
隣の席の王女様、俺の前だけ甘々カノジョ (富士見ファンタジア文庫)
暁刀魚/パルプピロシ KADOKAWA 2024年12月20日
貴族ばかりの魔導学園に特待生として入学した平民のハイム。周囲に蔑まれるのも気にせず魔術を研鑽していたある日、王女の正体という国家機密を知ってしまうラブコメファンタジー。日頃からハイムを気にかけてくれるクラスメイトの女の子フィーアは、実は変身魔法で下級貴族の娘として通っていた第三王女だったことをうっかり知ってしまい、懐いてくる彼女と甘い関係を築いて秘密を共有しながら、フィーアを狙いハイムに嫌がらせをしてくる傲慢貴族と対峙していく展開で、犬系美少女フィーアも魅力的でしたけど、これまで悪目立ちすることを避けるため実力を加減していたハイムが、彼女とともにあるために困難に立ち向かう覚悟を決めて、その秘めた力で圧倒してゆく熱い展開はなかなか良かったですね。
デレたい彼女の裏表 (GCN文庫)
昔は仲が良かったのに、すっかり険悪になってしまっていた高校生の真島伊織と幼馴染・東雲氷菓。そこにもう一人の幼馴染、雨夜陽が転校してきたことで伊織に対する態度が変わってゆく青春ラブコメ。伊織とは中学時代にすれ違い、高校デビューした氷菓とは距離ができてしまっていた状況で転校してきた陽。伊織が男だと思っていた彼女はすっかり陽キャな美少女に成長していて、突然現れてぐいぐい伊織にアプローチするもう一人の幼馴染の急接近という構図に心穏やかではいられない氷菓。屈託のない陽のお陰で失われかけていた関係が再び動き出して、それでもなかなか素直になれないこじらせっぷりは、相当根深いものがありましたけど、覚悟を決めて本音でぶつかり合えた幼馴染たちの物語をまた読んでみたいと思いました。
一つ年上で姉の友達の美人先輩は俺だけを死ぬほど甘やかす。 (富士見ファンタジア文庫)
結乃 拓也/葛坊 煽 KADOKAWA 2024年12月20日
校内一の美少女として有名な緋奈藍李。雅日柊真にとっては姉の友達でしかなかった先輩からぐいぐいアプローチされて甘やかされる青春ラブコメ。最初はまともな会話すらしたことがない顔見知り程度の関係だったのに、姉の代わりに先輩の家へお見舞いに行ったのをきっかけに、緋奈先輩の方からぐいぐいアプローチして甘やかしてくる展開で、いろいろうっかりな言動が多い柊真の姉が無自覚に2人の関係を進展させる存在として効いていましたが、思ってもみなかった攻勢に最初はたじたじになって、彼女とは釣り合わないと戸惑いながらも周囲に秘密の恋人(仮)の関係になって、けれどそれをきっかけに彼女にふさわしい存在になろうと覚悟を決めた柊真の頑張りはなかなか良かったですね。
妹は呪われし人形姫 人間を恐れる兄は、妹の呪いを解くため立ち上がる (MF文庫J)
【第20回MF文庫Jライトノベル新人賞＜佳作＞】
雨谷 夏木/にもし KADOKAWA 2024年12月25日
人形には悪魔や呪いが潜むと忌避される世界。両親を殺されてから人間に対し壁を作っていた少年ジンが、人形に封じられていた悪魔と契約し『両親の蘇生』を試みるファンタジー。自分のせいで両親が死んだと思い込み、妹のためにと焦る想いが空回りして、悪魔に妹アインの体を半分人形に作り変えられてしまったジン。彼女の身体を元に戻すべく悪魔を追う展開で、少し変わった解体師ゲルドリオたちにも出会って協力関係を結び、時には兄思いな妹のフォローにも助けられながら、最初は独りよがりな一面も垣間見せたジンが、悪魔が振りまいた呪いに振り回される人々と出会う中で、その想いに懸命に向き合おうとしてゆく姿には彼の確かな成長が感じられて、兄妹のかけがえのない絆もなかなか良かったですね。
最強の悪役が往く ~実力至上主義の一族に転生した俺は、世界最強の剣士へと至る~ (電撃文庫)
反面教師/Genyaky KADOKAWA 2024年12月10日
VRMMORPG《モノクロの世界》に登場する悪役公爵家のルカ・サルバトーレに転生した主人公が、手段を選ばずに強さを目指す最凶悪役ファンタジー。反乱を起こしていずれ滅亡する最強一族の末子のモブに転生して、せっかく得た二度目の人生を生き抜くことを決意するルカ。本来はラスボスの荒神リリスと相棒として契約して異能を譲り受け、ストイックにひたすら強さを求めてサバイバルにも生き残り、父親にも力を認められて一躍注目を集める展開で、導かれるように出会った剣の天才皇女コルネリアと叩きのめして、ゲームの本来の主人公を一蹴し、さらには原初の悪魔も圧倒する戦いぶりはなかなか良かったですし、彼を慕うようになってゆくキャラが濃いヒロインたちもなかなか効いていました。
ゲーム世界のモブ悪役に転生したのでラスボスを目指してみた 〜なぜか歴代最高の名君と崇められているんですが、誰か理由を教えてください！〜 (GA文庫)
八又ナガト/もきゅ SBクリエイティブ 2024年12月15日頃
ゲーム『アルテナ・ファンタジア』のラスボス配下として処刑されるモブ悪役貴族クラウスに転生してしまった主人網が、理想のラスボスを目指す勘違いモブ悪役ファンタジー。悪逆非道の暴君を目指すため、まずは強くなろうと地道な努力を積み重ねる一方、貴族の立場を利用して悪評を広めようとするものの、悪役ムーブのつもりで打った手がことごとく裏目に出てしまい、望んでいないのにどんどん評価を高めていく展開には苦笑いでしたけど、流れの中でヤンデレ気味のメイドやかつての同級生、王女といったヒロインたちの好意もしっかり稼いでいて、すっかり英雄として期待されつつあるクラウスに、好意を抱くヒロインたちを絡めてこれから物語をどう動かしていくのか今後の展開が楽しみですね。
異世界リーマン、勇者パーティーに入る (ガガガ文庫)
魔王を倒すべく立ち上がった勇者を支えるため、王に選ばれた戦士、魔法使い、僧侶、そして営業のハヤシ。異世界からやってきた彼が勇者パーティを救う英雄譚。前髪を七三でぴっちり分け、黒服のうさんくさい笑顔の一方で、ステータスはごくごく一般人のハヤシ。最初はすぐに死んでしまいそうな彼がパーティーに必要なのか懐疑的だった仲間たちも、ブラック企業で鍛えられた観察眼や、エルフや冒険者に否定的な村人、挙句の果てにはドラゴンまで懐柔してしまう彼の巧みな交渉術はすぐになくてはならない存在になっていって、この手の物語では追放されやすい役回りですけど（苦笑）、そんな冒険以外の目立たないハヤシの縁の下の力持ち的な頑張りを認められる勇者たちの素直さも目を引きました。
お嫁さん魔王と僕の奇妙で最強な日々 (ダッシュエックス文庫)
アルバイト先の先輩の肝試しに付き合うことになった高校1年生の琴夜彼方。夜の峠道に一人置いていかれてしまい、途方に暮れたういちに自称魔王の美少女アリスと出会うファンタジーラブコメ。異世界から追放されたと主張する自称・魔王アリス。その力が封印されていた首輪をあっさり解いたことですっかり認められ、婿扱いされてアリスと同居を始めた彼方。そんな感じでいきなり始まった彼女の生活は、彼女と魔眼を覚醒させてオカルト体験をしたり、無防備アリスとイチャイチャしたりする中で、いつの間にか一緒にいるのが自然な距離感になっていって、オカルトな職場体験では彼方が意外な才能の片鱗を見せたりもありましたけど、訳あり同士これからもいろいろありそうな2人の今後が楽しみですね。
魔物使いの娘 ~緑の瞳の少女~ (DREノベルス)
【第2回ドリコムメディア大賞《大賞》受賞作】
かつて黒き竜が生み出した魔物を説き伏せ、従えたと呼ばれる魔女リングリーン。その末裔リーンが魔女狩りの異名を持つ冒険者ハクラを護衛として雇い、一緒に旅をするファンタジー。仲間を逃がすためにヒドラと戦い、瀕死の重傷を負っていたハクラを救い、契約して自らの護衛としたリーン。喋るスライム・アオを従えて、容姿に優れる一方でひねくれて食いしん坊な一面もあるリーンは、一方で魔物の思いを感じ取る力と冷静に見極める観察眼を持っていて、彼らが2人（と1匹）で挑む人を喰うようになってしまったコボルド退治や、アンデッド討伐には複雑な背景があって、そんなクエストに隠された切ない真相を見抜き、関係者たちの思いや感情を汲みながら上手い落とし所を見出していくそれぞれの結末が印象的な物語でした。
王都の行き止まりカフェ『隠れ家』 1 (MFブックス)
守雨/染平 かつ KADOKAWA 2024年12月25日頃
病気により人生を終える直前、祖母から魔法の知識と魔力を与えられ、異世界へと送り出されたマイ。異世界での暮らしに慣れた彼女が王都の行き止まりにカフェ『隠れ家』を開く物語。魔法が使えるために生活にそれほどでも切実というほどでもなく、のんびりマイペースで開店しているマイのお店に、美味しい料理や彼女の人柄にすっかり魅せられて、連日通うようになってゆくお城勤めの筆頭文官ヘンリー。ふとしたきっかけからヘンリーの秘密を共有するようになってゆく一方で、マイの祖母もかつて異世界に住んでいたことも明らかになって、著者さんらしい落ち着いた雰囲気の物語が、現時点では想いを自覚していくヘンリーに対して慎重なマイという構図がこれからどう変わっていくのか、これからの展開が楽しみですね。
私、蜘蛛なモンスターをテイムしたので、スパイダーシルクで裁縫を頑張ります! (ドラゴンノベルス)
【第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト大賞受賞作】
あきさけ/タムラ ヨウ KADOKAWA 2024年12月05日頃
病弱で不幸にも病死したVRMMORPG好きの女子高生が、女神からの祝福のもと異世界でリリィとして生きることを選び、自分のお店の開店を目指すファンタジー。女神に与えられた小屋で武器や魔法の扱い方を覚えて、人里を目指したリリィが出会った大蜘蛛タラトを仲間にして、最高品質の蜘蛛糸で作った日用品で生計を立てることを決心するリリィ。タラトとのコンビは冒険者としてもなかなか強力で、モンスターを討伐して得た魔石でタラトを強化しながら、徐々にエンチャントした衣服制作にシフトしていって、商業ギルドとの関わりも深めながら護衛も雇い、それでも時々とんでもない戦果を挙げながら、商人として人脈を広げて着々と基盤を固めていく彼女のこれからの活躍がとても楽しみです。
図書迷宮と心の魔導書 (ドラゴンノベルス)
いつきみずほ/ニシカワ エイト KADOKAWA 2024年12月27日頃
魔物が闊歩し、迷宮「ライブラリ」が存在する世界。辺境伯夫妻に拾われ、両親や溺愛する姉に愛されて育ったルミが恩返しするために奮闘する魔法と書物のマジカルビブリオファンタジー。ルミが成人の儀式で神様から授けられたのは表紙だけのページがない魔導書。最初はショックを受けるものの、現れた不思議な幼女ミカゲによりそれが特別な魔導書であることが明らかになる展開で、姉と同様にルミを溺愛する専属メイドのアーシェやその兄で傭兵のラルフを護衛にして、魔法を得るためにライブラリの迷宮を巡る過程で研究者リディアにも出会い、魔導書とライブラリの謎も少しずつ明らかになっていきましたけど、それにより得た力も活かしながら領地に訪れた危機に力を合わせて立ち向かっていく展開はなかなか良かったですね。
シリーズ続巻を含めた感想はこちら↓
