今回は8月のGA文庫・カドカワBOOKS新刊感想まとめです。内訳はGA文庫が新作3点、続巻6点、カドカワBOOKSの続巻1点の計10点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
夜が明けたら朝が来る (GA文庫)
本州と九州を隔てる関門海峡を舞台に、九州側にある福岡県門司港に住む歌が美味いママと二人暮らしの高校生のアサが、思わぬ事実に直面してその人生が激変していくゆく家族小説。音痴な自分もいつか歌が上手くなりたいとスナックで働くママに歌を教わる日々を過ごすアサと、彼女の推し人気歌手「Yoru」の突然の休止宣言。そして意外なところから突然判明した出生時に取り違えられた事故。海峡の向こう側下関に住む本当の両親に会い、思わぬ事実も明らかになっていく展開で、恵まれた環境に見出す希望と、積み重ねてきた日々を実感する彼女だけでなく、両親たちの垣間見える複雑な想いにも来るものがありましたけど、伏線を回収しながら遺された想いも知った彼女が葛藤の末に導き出す答えがなかなか効いていました。
極彩の夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。 (GA文庫)
極彩の夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。
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志馬なにがし/raemz SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
桜が満開を迎えた四月、東京の夜。目が見えない大学生・冬月小春の不自由な恋に起きた奇跡のその続きを描いた後日談。三年前に出会い、少し高い声でいつもこうしてそっと気遣ってくれた空野かけるの存在。顔は見れないけどとても素敵な未来をくれた大切な人がいて、自分のことを支えてくれる両親がいて、そんなかけがえのない日々を過ごせるからこそ、彼女がふと抱いてしまう不安。自分が幸せになっていいのか、周囲の負担になってしまっていないか、望外の幸せを得たからこそつい抱いてしまう彼女の不安も分かる気がしましたけど、そんな彼女のチャレンジを応援してくれるかけがえのない人たちと過ごしたその後の物語を読むことができて良かったです。
ラブコメの悪役に転生した俺は、推しのヒロインと青春を楽しむ (GA文庫)
ラブコメの悪役に転生した俺は、推しのヒロインと青春を楽しむ
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そらちあき/mmu SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
ブラック企業で働きすぎて意識を失い、大好きなラブコメ作品の破滅する悪役・進藤龍介に転生した主人公が、原作知識を駆使して更生を誓うやり直し青春ラブコメ。憧れの学園で青春をやり直せる事に希望を抱いて、原作知識を駆使して破滅から回避するために更生を誓う龍介と、同じく悪役の運命を背負う美少女・甘夏真白の出会い。これまでも彼のことを気に掛けていて邪険に扱われても離れず、彼の好みを聞いてギャルから清楚な美少女に変身してみせた彼女の存在は大きかったですね。たびたび働く物語の強制力に抗いながら、努力し続ける龍介を認めてくれる友人たちもできて、本来の主人公の存在は気になるところですけど、2人で幸せになるために頑張る彼らを応援したくなる物語ですね。
願ってもない追放後からのスローライフ?(GA文庫)
シュガースプーン。/なたーしゃ SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
彼女にプロポーズして振られたものの、予定通り冒険者を引退してスローライフを考えていた春風黎人が、人生に絶望する女子高生・火蓮と出会って、彼女を新米冒険者として導いてゆくファンタジー。振られた彼女の婚約者が勝手に冒険者ライセンスを抹消したことで、むしろせいせいして親に見捨てられた冒険初心者の火蓮を保護して、効率よく成長できるように丁寧に指導してゆく黎人。一方で実は引退を遺留されていたSSS冒険者の彼の突然の登録抹消が、大騒ぎになっていく様子には苦笑いでしたけど、その後の選択次第でそれぞれの因果応報がしっかり変わっていく構図にもなっていて、一連の因縁も決着していく一方で、火蓮も冒険者としてスタートラインに立ったことで、師弟関係から少しずつ変わっていきそうな2人の関係にも注目です。
家事代行のアルバイトを始めたら学園一の美少女の家族に気に入られちゃいました。2 (GA文庫)
家事代行のアルバイトを始めたら学園一の美少女の家族に気に入られちゃいました。2
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塩本/秋乃える SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
家事代行のアルバイトがきっかけで学園一の美少女・東條綾香と家族ぐるみの仲となった高校生の大槻晴翔。2人の家事代行、以上恋人未満の関係が少しずつ変わってゆく第2弾。一緒にいる時間が増えていく中で彼女とますます仲良くなって、どうぶつの森公園へのお出かけを経て、改めて綾香への気持ちを自覚し始める晴翔。お互い相手のことを意識する中で、とある理由から恋人のフリをすることになった2人が、うっかりタイミングを逸してよりこじらせた関係になってゆく展開で、恋人のふりをする練習を持ちかけてぐいぐい攻める綾香と、それにドキドキさせられる晴翔の距離感も良かったですけど、あまりにもハイスペック過ぎて、晴翔をすっかり気に入った家族たちについヤキモキしてしまう綾香が微笑ましかったです。
無能の悪童王子は生き残りたい2 恋愛RPGの悪役モブに転生したけど、原作無視して最強を目指す (GA文庫)
無能の悪童王子は生き残りたい2 〜恋愛RPGの悪役モブに転生したけど、原作無視して最強を目指す〜
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サンボン/Yuzuki SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
恋愛RPGエンハザの世界に転生した『無能の悪童王子』ハロルド。聖女の危機を救った功績が認められ、王命で敵国カペティエとの和平交渉を任じられる第2弾。サンドラたちも伴ってかペティエに向かったハロルドを現地で出迎えに現れたエンハザのヒロインの一人『悪役令嬢』リゼット。傲慢な彼女の知られざる一面を知るハロルドが彼女を懐柔していく一方、王太子によるクーデター阻止に動く展開で、傲慢で努力もせず彼の成果を評価できない他の王子たちは何とも残念な感じでしたけど、物語改変の鍵を握る黒幕の存在も明らかになってきて、傲慢な第4王子の決闘を退けて未来の鍵を握る設定を根本的に変えたことで、大きく変わり始めた物語がこれからどう動くのか続巻が楽しみですね。
無慈悲な悪役貴族に転生した僕は掌握魔法を駆使して魔法世界の頂点に立つ2 (GA文庫)
びゃくし SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
貴族令嬢マユレリカを救いクリスティナ、ヒルデガルドと再度契約を交わしたヴァニタス。ゼンフッド帝立魔法学園でついに物語の主人公アンヘルと対峙する第2弾。掌握魔法を用いていずれ訪れる破滅の未来に抗い、本来奪われてしまうはずのヒロインたちを惹きつけながら、魔法世界の頂点を目指して突き進むヴァニタス。七不思議や学園探索、デートといった様々なイベントをこなす中でヒロインたちとの絆を深める一方で、彼のかけがえのない逆鱗に触れてしまった物語の主人公アンヘルとの決闘はお互いの覚悟の差が如実に出ていましたが、それ以上に戦いの結末の余韻のを台無しにしてしまうアンヘルの師匠の残念っぷりが際立っていました(苦笑)
ひとつ屋根の下、亡兄の婚約者と恋をした。2 (GA文庫)
夏休みに入り喫茶店の勉強に本腰を入れていた稔。志穂の提案で旅行に行くことになり、悠香と帆乃香も加わり四人で避暑地に向かう第2弾。束の間の休暇を満喫していく中で、「今月は食べてもいい」という謎理由で甘いものを食べまくる姿は微笑ましかったですけど、時折その瞳に時折哀愁の色を垣間見せる志穂。まだまだこれからの猫要素についてはまだまだ覚悟の足りなさを突きつけられる場面もある一方、兄の配慮に気づいたりもして、志穂の兄への想いを知れば知るほど、いつしか誤魔化しようのないとある感情を自覚していく稔は、彼なりに頑張ってるんですけど難しいですね…。けれど仲間たちと最後にサプライズで喜ばせてあげられた結末はなかなか良かったです。
レアモンスター?それ、ただの害虫ですよ2 (GA文庫)
御手々ぽんた/kodamazon SBクリエイティブ 2024年08月09日頃
家のダンジョン化も、害虫退治が配信されてバズっていることにも未だ気づかないユウト。同級生の早川と夏祭りに行った彼が突如として全国で同時発生したスタンピードに巻き込まれる第2弾。何とか逃げ切ったものの早川の父が亡くなる悲しみにくれる中、そこに現れた謎の女武士オボロがスタンピードを次々鎮圧するニュースが世間を騒がしていく展開で、分身体のクロコを作り出してしまうクロも相変わらずあれですが、オボロもまたユウトに深く関係した存在なんですよね…(苦笑)ユウトが生み出したものに振り回され続けるダンジョン公社は大変ですが、クロとクロコが別人格なのもなかなか面白いですね。何やら裏で暗躍する黒幕もいるみたいですが、自覚ないままの圧倒的な実力を垣間見せたユウトが圧巻でした。
サイレント・ウィッチ VIII 沈黙の魔女の隠しごと (カドカワBOOKS)
サイレント・ウィッチ VIII 沈黙の魔女の隠しごと(8)
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依空 まつり/藤実 なんな KADOKAWA 2024年08月09日頃
公爵邸への潜入で輪郭を表した、第二王子に関する仮説。その答え合わせのため帝国の魔術師と対峙し、重大な交渉を行ったモニカは、父の本当の処刑理由をついに突き止める第8弾。真相に限りなく近づいて、亡き父の冤罪を晴らせるかもしれないチャンスを前に動揺を隠せないモニカ。一方、様々な証言からその過去が明らかになっていく中で、古代魔導具の一件で孤立した宝玉の魔術師に取引を持ちかける第二王子。そこから公爵の都合の良いようにシナリオが書き換えられてゆく急展開に直面したモニカが、戦争を回避するため、かけがえのない人を守るため、そして父の冤罪を晴らすために決断を迫られ、これまで知り合った人たちの力を借りて最後まで諦めない姿に、これまで積み重ねてきた成長をしみじみと実感しました。