今回は8月の角川スニーカー文庫・HJ文庫・講談社ラノベ文庫、7月のファミ通文庫・KADOKAWA新文芸新刊新刊感想まとめです。内訳は角川スニーカー文庫が続巻3点・HJ文庫の新作1点・続巻1点・講談社ラノベ文庫の新作2点、7月のファミ通文庫の新作1点、KADOKAWA新文芸続の巻1点の計9点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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誰が勇者を殺したか 預言の章 (角川スニーカー文庫)
勇者を求めて幾度も世界をやり直していた預言者。とある街で金の亡者と噂される冒険者・レナードとその一行に興味を抱く知られざるもうひとつの物語。選んだ勇者が志半ばで何人も倒れていくのを目の当たりにして、心を擦り切れさせていく預言者。そんな状況で実力を認められながら報酬に相場の十倍の金額を要求する冒険者レナードと出会い、興味を持って勇者と認定し見守り始める展開で、彼がひとりひとり声を掛けて仲間にしていった魔法使いや僧侶、槍使いたちの過去も掘り下げながら、その目的が明らかにされてゆく知られざる生き様は、彼らの印象をガラリと変えていきますが、巡り巡って迎えた結末で果たされた意外な再会、そして勇者と彼を慕う仲間たちの存在もなかなか効いていました。
我が焔炎にひれ伏せ世界 ep.3 治癒魔法、極めてみた (角川スニーカー文庫)
我が焔炎にひれ伏せ世界 ep.3 治癒魔法、極めてみた(3)
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すめらぎ ひよこ/Mika Pikazo/徹田 KADOKAWA 2024年08月01日
スクール村からの帰途、どこか元気がない自称最高のマッドサイエンティストの天才サイコ。そんな彼女の過去が明らかになっていく第3弾。護国聖盾将シグラットたちに鍛えられてジンやプロト、ホムラたちは突出した力の具体的なアドバイスを受ける一方、スクール村に続いて戦闘向きではない評価をされ複雑な想いを抱くサイコ。そんな状況でも相変わらずマイペースなフードファイターツツミには苦笑いでしたけど、隣国侵攻で窮地に陥る中で過去を乗り越えて、ツツミと一緒にマッドサイエンティストな彼女らしい新たな戦い方を見出してゆくサイコの奮闘が光りましたね。とはいえ依然として微妙な立ち位置な彼女たちに、最後の急展開は果たして転機となるのか続巻が楽しみです。
最強落第貴族の剣魔極めし暗闘譚3 (角川スニーカー文庫)
王国第一王女にして風の魔剣を操る実力者、セシリアに求婚された剣聖クラウドことロイ。積極的なセシリアに対して、縁談を破談させる手立てを考え始める第3弾。状況的に現時点で結婚を考えておらず、剣聖に勝てず向上心を見失ってしまっているセシリアのためにも良くないと考え、剣聖の後継者であるユキナを育成して、セシリアとの決闘に勝たせる解決策を思いつくロイ。アプローチがエスカレートしていくセシリアに対して、ロイがユキナに秘策を授ける展開で、2人の場外戦には苦笑いでしたが、ギリギリの激闘を繰り広げて王国の危機には共闘して、お互いに切磋琢磨しあえる良いライバル関係になれましたかね。戦線を支えて奮闘したアネットの成長もしっかり感じられて、今後の展開が楽しみです。
悪役転生者は結婚したい 序盤のザコ悪役でも最強になれば、主人公でも攻略できないヒロインと結婚できますか? (ファミ通文庫)
大小判/江田島電気 KADOKAWA 2024年07月30日頃
エロゲー序盤の典型的悪役やられキャラ華衆院國久に転生した主人公が、破滅する未来を回避して愛する女性と幸せになる道を目指す物語。最悪な最期を回避するために幼い頃から努力してきた國久が、忌み子として疎まれて最後には殺されてしまう皇女・雪那に一目惚れして、彼女と婚約関係を結び破滅の未来から救うため、一転家督を継ぐことを決意する展開で、彼女にふさわしい男になるために地道に努力と工夫を積み重ねて成長しながら、不遇だった雪那と焦らず少しずつ心を通わせてゆく初々しい姿には応援したくなりましたけど、一方ですっかり歪みが際立つ存在になってしまった本来のハーレム主人公との因縁もあって、ストーリーから外れ始めた今後の展開が楽しみですね。
TS転生した私が所属するVTuber事務所のライバーを全員堕としにいく話 1 (HJ文庫)
TS転生した私が所属するVTuber事務所のライバーを全員堕としにいく話 1
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恋狸/ほまでり ホビージャパン 2024年08月01日
VTuber大好きがTS転生して、百合てぇてぇ勢でもある現役女子高生・夢見蓮華になった主人公。メスガキキャラでVTuber業界の覇権を握ることを決意するVTuber小説。たゆまぬ努力の末、個性の強いメンツが揃う企業系VTuber花依琥珀として無事デビューした蓮華。メスガキキャラを前面に押し出して、所属事務所の先輩や同期ライバーを全員堕とすと力強く宣言するものの、出会った彼女たちの苦境を放っておけない世話好きママっぷりを炸裂させてしまうお人好しっぷりで、いきなりキャラを崩壊させていく姿には苦笑いでしたけど、クセの強い仲間たちと次々とコラボしていきながら、思っていたのと違う方法で皆に慕われる存在になっていく姿はなかなか微笑ましかったです。
凶乱令嬢ニア・リストン 6 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録 (HJ文庫)
凶乱令嬢ニア・リストン 6 病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録
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南野海風/刀彼方 ホビージャパン 2024年08月01日
王様との約束を果たし10億クラムを揃えたニア。ついに武闘大会の開催が告知され世界中から強者たちが集まってくる第6弾。続々集まってくる強者たちに加えて、新進気鋭の冒険家リーノもついに大会参加表明。大会の注目度がますます高まっていけば、当然いろいろ裏で動いていろいろと企む輩も出てくるわけですが、流石にそこでニアや弟子たちに何かちょっかいをかけようとするのは、ちょっと相手が悪かったですよね(苦笑)ニアのお陰で注目度が急速に高まったウィンドロード事業もまた他に先駆けて手を打てたとなれば、セドーニ商会が他の商売敵から目の敵にされるのも仕方ないような気もしましたけど、これから始まる本大会も楽しみです。
七月の蝉と、八日目の空 -晴れ、ときどき風そよぐ季の約束- (講談社ラノベ文庫)
七月の蝉と、八日目の空 -晴れ、ときどき風そよぐ季の約束ー
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界達 かたる/古弥月 講談社 2024年08月02日頃
中学三年の夏休み。脚の負傷で大好きなバスケットボールを遠ざけ、地方にある祖父母の家に兄とともに滞在する初花晴。彼女が華奢な金髪の少女セミと出会う青春小説。祖母の勧めで祠にお参りに行った道中で出会った、池の前で絶望していた晴だけしか見えない少女セミ。記憶を失った少女を放っておけず、彼女を家まで連れてきて、一緒に暮らしながらその孤独に寄り添い続ける晴。一方で晴が祖母の家に滞在しているのか、何とも切ない理由も明らかになってゆく展開でなかなか難しい状況でしたけど、それでも晴のことを思ってくれるかけがえのない友人たちがいて、共に過ごしたその日々が彼女に与えてくれた勇気を胸に、過去に向き合って乗り越えてゆくその結末には確かな希望がありました。
猫のJKとサラリーマン (講談社ラノベ文庫)
【第17回講談社ラノベ文庫新人賞《優秀賞》受賞作】
就職して二年目の若手サラリーマン佐藤康介。ある日、自分のアパートに帰ってきた彼が、見知らぬ女子高生・河嶋黒葉と遭遇して突然始まる同居生活。同僚・河嶋涼葉の妹と名乗る黒葉にアパートの前で待ち伏せされ、突然猫に呪われて彼以外には黒猫にしか見えない事情を明かされ、状況的に見過ごすこともできずなし崩し的に始まった同居生活。家出状態の妹を心配する涼葉もフォローしながら、猫神の呪いを解くために黒葉と一緒に試行錯誤する展開で、ドキドキが空回りする二人の生活も描かれる一方で、呪いをかけた猫神側も事情も明らかになっていきましたけど、過去の因縁も絡めながら複雑な事情を抱える姉妹のため、迷わず覚悟を決めていく康介の姿がなかなか印象的な物語になっていました。
人数合わせで合コンに参加した俺は、なぜか余り物になってた元人気アイドルで国宝級の美少女をお持ち帰りしました。2 (PASH!文庫)
星野 星野/たん旦 主婦と生活社 2024年08月02日頃
阿崎の策略で2回目の合コンに参加させられた槇島祐太郎。そこで綺羅星絢音がアイドルを辞めるきっかけになったMIZUKIこと水城月乃と遭遇する第2弾。創作の助けとするためにデートしてほしいという水城の誘いを断る口実として、急遽絢音と水族館デートすることになった槇島。絢音と付き合っていないこと、水城さんの存在もバレるわけにはいかない板挟み状態の中でのドキドキデート、槇島の謎の鈍感っぷりが炸裂して迷走しかける展開でしたけど、結果的に絢音の過去も明らかになり、藍原を悪友・阿崎の企みに振り回されるうちに全体の構図もようやく見えてきて、だいぶ遠回りしましたけどようやく素直に向き合えるようになってきた今後の進展が楽しみになってきました。
転生した俺が可愛いすぎるので、愛されキャラを目指してがんばります 2
転生した俺が可愛いすぎるので、愛されキャラを目指してがんばります 2
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ジャジャ丸/にわ田 KADOKAWA 2024年07月30日頃
グランベル伯爵家を立て直したユミエは、本来相容れないはずの貴族派令嬢たちともマブダチになり、引きこもりの王女リフィネを社交界デビューさせる第2弾。魔物騒動の流れで屋敷にやってきたモニカともすっかり仲良くなったユミエが、ジグート王子の紹介で出会うことになった彼の腹違いの妹であるリフィネ。王族派・貴族派の派閥争いの中で難しい立ち位置もあって孤立気味の彼女にしっかりと寄り添い、明るい笑顔を取り戻してみせたのは流石でしたね。それにより王族派・貴族派のパワーバランスが崩れたことで、結果として派閥争いに巻き込まれてしまう激動の展開でしたけど、彼女が大好きな父や兄の奮闘だったり、王子の決断もあって乗り越えてみせた結末はなかなか良かったです。