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今回はKindleポイント還元セールや企画のセール対象商品を中心におすすめ小説を30作品セレクトしました。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
1.地雷グリコ
勝負事にやたらと強い女子高生・射守矢真兎。彼女が文化祭での屋上利用を賭けたゲームに挑んだのをきっかけに、風変わりなゲームの数々に巻き込まれてゆく本格頭脳バトル小説。掴みどころのない彼女が勝負に挑む、生徒会役員の椚先輩に挑む罠の位置を読み合う地雷グリコ、出禁解除を賭けて戦った坊主衰弱、生徒会加入を賭けた自由律ジャンケン、星越高校と対戦しただるまさんが数えた、過去の因縁も絡むフォールームポーカー。初めて目にするゲームの本質を瞬時に判断して対戦相手ならどうするかを観察しながら展開を読み合い、丁々発止の駆け引きを繰り広げるゲームの醍醐味が詰まっていて、視界に入ったものなら何でも利用し尽くしてルールの隙を突く、その自由で奇想天外な発想には何度も驚かされました。
2.ぎんなみ商店街の事件簿 Sister編/Brother編
ぎんなみ商店街の事件簿 Sister編
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井上 真偽 小学館 2023年09月13日頃
古き良き商店街で起きた不穏な事件。ぎんなみ商店街に店を構える焼き鳥店「串真佐」の三姉妹、佐々美、都久音、桃が商店街に起きた事件を解決する連作ミステリ。近所の商店に車が突っ込む事故で事故死した佐々美の同僚と、目撃された謎の人物探し。地元中学校で起きた器物損壊事件と、現場に残された「井」の字に置かれていた焼き鳥の串の意味。「ミステリーグルメツアーに行く」と言って出掛けた佐々美が行方不明になり、偶然見つけてしまう作りかけの脅迫状。謎解きに関わる中で良くも悪くもおっとりマイペースな佐々美に、お友達との関係がいい都久音、小学生と思えない鋭い桃と三姉妹の個性がよく出ていました。
ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編
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井上 真偽 小学館 2023年09月13日頃
古き良き商店街で起きた不穏な事件。母は早くに亡くなり父は海外赴任中で、ぎんなみ商店街近くに住む元太・福太・学太・良太の四兄弟。ある日、馴染みの商店に車が突っ込む事故が起きる連作ミステリ。事故の目撃者だった末っ子で小学生の良太が隠していることとは何か。中学校で手作りの楽器が壊されて、犯人がいるのではと疑われた学太の所属する書道部。「ミステリーグルメツアー」に同行している元太が誘拐事件に関わっている?こちらも兄弟たちを絡めた事件の謎を解いてゆく連作ミステリでしたが、ちらは賢い三男の学太に福太を絡めて二人を中心に事件解決に挑む展開で、Sister編とも交わる部分がありましたが、同じ事件でも立ち位置が違えばその様相も登場人物たちもこうも違って見えるんだな…ととても印象的な物語になっていましたね。
ラブカは静かに弓を持つ
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安壇 美緒 集英社 2022年05月02日頃
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への二年間の潜入調査を命じられた全日本音楽著作権連盟の職員・橘。チェロを武器に傷を抱えた潜入調査員の孤独な闘いと葛藤を描くスパイ×音楽小説。著作権法の演奏権を侵害している証拠を掴むため、身分を偽ってチェロ講師・浅葉のもとに通い始める橘。師と仲間との出会いや奏でる歓びを積み重ねて、愚直にチェロに真摯に向き合い続けた彼が、過去の苦い思い出で凍っていた心を溶かし、自らの行為に葛藤するのも必然の展開だと思いましたけど、対照的な構図も絡めながら描かれる、自分にとって本当に大切なものは何か、自分はどうすべきなのか、その先に見出した不器用な彼らしい決断がとても印象に残る物語でした。
同志少女よ、敵を撃て
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逢坂 冬馬 早川書房 2021年11月17日
独ソ戦が激化する1942年、突如として日常を奪われたモスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマ。赤軍の女性兵士イリーナに救われた彼女が、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵を目指す物語。母を撃ったドイツ人狙撃手と母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するため、理不尽で過酷な戦争を多くの仲間を喪いながら生き延び、狙撃兵として成長してゆく展開で、何が正しく間違っているのか難しい状況が続く中、時折垣間見える彼女の危うさにはたびたびハラハラさせられましたが、多くの葛藤を抱えながらもその戦争を生き延びて、過去の因縁にも見事決着をつけてみせた彼女の生き様がとても印象的な物語でした。
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
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アンディ・ウィアー/小野田 和子 早川書房 2021年12月16日頃
大ヒット映画「オデッセイ」のアンディ・ウィアー最新作。映画化決定!未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく宇宙へ飛び立った男は、ただ一人人類を救うミッションに挑む! 『火星の人』で火星でのサバイバルを描いたウィアーが、地球滅亡の危機を描く極限のエンターテインメント
1944年ナチ体制下のドイツ。父を処刑され居場所をなくした少年ヴェルナーが、エーデルヴァイス海賊団を名乗るエルフリーデとレオンハルトに出会う歴史青春小説。愛国心を煽って自由を奪う体制に反抗し、ヒトラー・ユーゲントにたびたび戦いを挑む少年少女たち海賊団。そんな彼らが市内に敷設されたレールに不審を抱き、その線路の先で非人道的な「究極の悪」が行われているのを目撃してしまう展開で、統制を強めてゆく体制に対する同調圧力が強まっていく中で、それに迎合する者、立ち向かう者、そして見て見ぬふりをする者たちと様々な姿があって、そんな彼らの生き様を読みながら、自分がこういう不条理を突きつけられたら、果たしてどうするだろうか…とつい考えずにはいられませんでした。
7.黒牢城
天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻した荒木村重は、有岡城内で起きる難事件に翻弄され、動揺する人心を落ち着かせるために、土牢の囚人にして黒田官兵衛に謎を解くよう求める歴史ミステリ。使者としてやってきた官兵衛を帰すわけにはいかないと捕らえて囚人とした村重が、城内で次々と起こる難しい事件で動揺させるわけにもいかず、仕方なく官兵衛に解決を依頼する展開で、なぜ立て続けに城内で事件が起きたのか、登場人物たちそれぞれの思惑、戦と推理の果てに村重や官兵衛が何を企んでいたのか、そんな駆け引きも含めて普通の歴史小説とはまた一味違った風味が加わっていてなかなか面白く読めました。
8.テスカトリポカ
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。
オカルト雑誌の編集者となった後輩が近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、いくつかの共通点を見出していって、恐ろしい事実が浮かび上がってゆくオカルト小説。焼き直しの記事ではなくオリジナリティのある記事を描くために、某月刊誌に掲載されていた記事、ネットで収集した情報、読者からの手紙などを改めて分析していた後輩が考察してゆく中で気づいてしまった、エピソードに出てくる『山へ誘うモノ』、『赤い女』、『呪いのシール』といったものの存在。淡々と繰り返し綴られてゆく描写はいずれもとある山中付近に点在していて、それに近づくとどうなるのか…狂気を孕んだ文章がなかなか鮮烈な印象を残す一冊でした。
10.宙ごはん
育ててくれたママと産んでくれたお母さんがいる小学生の宙。育てのママ・風海が夫の海外赴任に同行することになり、産んでくれたお母さんの花野と同居を始める家族の物語。花野と一緒に暮らし始めた宙が直面する、ご飯も作らず子供の世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活。けれどそんな彼女を支えてくれる人たちがいて、宙が成長していく過程でいろいろなことに気づいたり、また違う一面も見えてきたりして、いろいろな人たちのとの大切な出会いや哀しい別れも経験しながら、成長してゆく宙と周囲のひとたちとのかけがえのない日々にはぐっと来るものがありました。
カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘され、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人たちと出会う物語。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、依頼人の望む香りをオーダーメイドで作る仕事を手伝う中で、出会う様々な人々たちが抱えている秘めた想い。源さんの過去や思わぬ共通点が明らかになったり、前作に出てきた一香と朔の言葉にするのが難しい距離感も相変わらずな感じでしたけど、最終的に女性を苦手とする理由が明らかになった満がどうするのか、香るような結末の余韻がこの物語らしい結末だと感じました。
12.エレファントヘッド
本格ミステリ大賞受賞の鬼才が仕掛ける、空前絶後の推理迷宮。精神科医の象山は家族を愛している。だが彼は知っていた。どんなに幸せな家族も、たった一つの小さな亀裂から崩壊してしまうことを――。やがて謎の薬を手に入れたことで、彼は人知を超えた殺人事件に巻き込まれていく。謎もトリックも展開もすべてネタバレ禁止!前代未聞のストーリー、尋常ならざる伏線の数々。多重解決ミステリの極限!
13.君の顔では泣けない
プールに一緒に落ちたことがきっかけで同級生の水村まなみと体が入れ替わってしまう高校1年の坂平陸。いつか元に戻ると信じ、入れ替わったことは二人だけの秘密にすると決める青春小説。そう簡単には元に戻れるわけもなく、坂平陸としてそつなく生きるまなみと、うまく水村まなみになりきれず戸惑う陸。迷いや不安を抱えながら卒業し、その後も人生を歩む中でかつての家族に対する複雑な思いも自覚して、時には衝突したりもしながら、人生の転機を経験して様々なことが変わっていっても、かけがえのない絆を再確認する二人がなかなか印象的でした。
14.夜がうたた寝してる間に
夜がうたた寝してる間に
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君嶋 彼方 KADOKAWA 2022年08月26日頃
特殊能力が世の中に認知された世界。時間を止める能力を持つ高校生・冴木旭が、普通の場所で普通の人と同じように生きていきたいと抗う青春小説。無遠慮な視線や偏見に耐え、必死で笑顔を作ってきた旭。しかし彼らに疑惑の目が向けられる学校で立て続けに起きた怪事件。それぞれに苦い過去があって、異質であることへの苦悩も抱える能力者たちは、彼らがごく当たり前の普通の高校生活を送ることがいかに難しいことかを痛感していて、それでも持たざる人たちからしてみれば、彼らは得体が知れなくともやはり特別な存在なんですよね…。なかなかほろ苦い真相を突きつけられましたけど、それでも大切なものは変わらない結末には救われる思いでした。
15.六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)
六人の嘘つきな大学生
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浅倉 秋成 KADOKAWA 2023年06月13日
成長著しいIT企業「スピラリンクス」初の新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に課されたチームを作り上げてのディスカッションが、直前になって突然六人の中から一人の内定者を決めると通達される青春ミステリ。全員で内定を目指していたはずの仲間たちが、ひとつの席を奪い合うライバルに。内定を賭けた議論の中で暴露されてゆく六通の封筒の中身。十年後に行われたインタビューも交えながら、当時の事件が語られる展開で、新たな嘘や事実が判明するたびに二転三転するそれぞれの印象の変化もありましたけど、れを収束させていった先には鮮烈な結末が待っていて、就職活動についてもいろいろと考えさせられるなかなか奥が深い物語でした。
16.殺した夫が帰ってきました (小学館文庫)
取引先の穂高にしつこく言い寄られて悩む都内アパレルメーカー勤務の鈴倉茉菜。家の前で待ち伏せされた彼女が、かつて崖から突き落とし殺したはずのDV夫・和希に助けられるサスペンスミステリ。衝撃的な再会から始まった二人の同居生活。記憶を失って優しい和希との平穏な日々。けれど茉菜の過去を示唆するメッセージは誰が送ってきたのか、そして和希の正体を探る展開でしたけど、そこから思ってもみなかった形に構図がガラリと書き換えられていって、いろいろあった彼女でしたけど、いつか幸せになれるといいなと願わずにはいられませんでした。
17.海蝶 海を護るミューズ (講談社文庫)
海蝶 海を護るミューズ
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吉川 英梨 講談社 2022年04月15日
女性初の潜水士として注目を集める横浜海上保安部所属・忍海愛。兄は特殊救難隊、父もベテラン海保潜水士で血筋は折り紙付きの彼女が、初めてならではの苦難や過去にも向き合ってゆく物語。東日本大震災に遭遇し目の前で母を失った愛。それをきっかけにバラバラになってしまった家族や、女性初の潜水士「海蝶」として働く彼女や周囲の戸惑い。初めての任務がまたとんでもない事件でしたけど、苦難にぶつかって葛藤しながらも、行くも地獄戻るも地獄の道を突き進む覚悟を決めた愛が、皮肉にもそれをきっかけにようやく失われていた大切な絆を取り戻してゆく結末がとても印象的な物語でした。
18.電気じかけのクジラは歌う (講談社文庫)
電気じかけのクジラは歌う
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逸木 裕 講談社 2022年01月14日
人工知能が作曲をするアプリ「Jing」が普及し、作曲家の仕事が激減した近未来。「Jing」専属検査員になった元作曲家・岡部の元に、自殺した現役作曲家で親友の名塚から未完の新曲と指紋が送られてくる近未来ミステリ。名塚から託されたものの意味と、事故で右手が不自由になった名塚の従妹・梨紗の苦悩、そして「Jing」を作り出した霜野の野望。「Jing」で気軽に音楽を作れてしまう中、あえて自分の手で音楽を作り出す意味に葛藤しながらも、秘められた名塚の想いに気づいてゆく展開は著者さんらしさがよく出ていて面白かったです。
19.この本を盗む者は (角川文庫)
深緑 野分 KADOKAWA 2023年06月13日
“本の街”読長町に住み、巨大書庫「御倉館」を管理する家に生まれた本嫌いの高校生・深冬。ある日、入院した父の代わりに叔母を世話するために御倉館を訪れた時、蔵書が盗まれて祖母が仕掛けた本の呪いが発動してしまうファンタジー。泥棒を捕まえない限り町が元に戻ることはないと知り、本を盗んだ犯人を追って、不思議な少女・真白と一緒にいくつもの本の世界を冒険していく深冬。その過程で徐々に明かされてゆく御倉家の過去や本の呪いの正体、そして真実に向き合うことで少しずつ変わってゆく深冬の成長があって、様々なものがあるべき姿を取り戻しつつある中、それでも変わらなかった本当に大切なものを取り戻してゆくその結末はなかなか印象的でしたね。
20.トラペジウム (角川文庫)
「絶対にアイドルになる」ため己に4箇条を課して高校生活を送る高校1年生の東ゆうが、東西南北の仲間を集めて高校生活をかけて追いかけた夢を描く青春小説。「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」を信条に掲げて、他校の個性的な女の子を仲間にしながら地道に積み上げていったアイドルへの道。したたかにひたすら自らの夢を叶えるため邁進するがゆえに、仲間に助けられることもあればすれ違うこともあって、挫折しながらも夢を諦めなかったゆうが迎えた結末はなかなか悪くなかったです。
21.君を描けば嘘になる (角川文庫)
寝食も忘れてアトリエで感情の赴くまま創作に打ち込む毎日だった瀧本灯子が出会った、自分にはない技術を持つ南條遥都という少年の存在。お互いに認め合う二人の若き天才の喜びと絶望の物語。絵を描くこと以外の才能が壊滅的だった灯子と、そんな彼女の指針となったもう一人の天才・遥都。そんな二人のありようを影響を受けた周囲の視点からも浮き彫りにしつつ、良くも悪くも直情的な灯子に対して、断片的にしか描かれない不器用な遥都の積み重ねてきた想いが垣間見える結末は、ほんと素直じゃないなあと苦笑いしつつもとても良かったと思いました。
22.彼女の色に届くまで (角川文庫)
画廊の息子で幼い頃から才能を過信し画家を目指している緑川礼。しかしいつの間にか冴えない高校生活を送っていた礼が、無口で謎めいた同学年の美少女・千坂桜と出会うアートミステリ。礼が衝撃を受けた原石のような彼女の絵の才能。その推理で礼の窮地を救ってみせる桜の意外な一面と、共に過ごすようになってゆく日々。圧倒的な才能を前に平凡な自分を突きつけられる葛藤と少しの打算、生活力皆無な桜が気になって飼育係として世話を焼いてしまう礼の複雑な想いが悩ましいですが、それでも不器用な二人らしい結末はとても素敵なものに思えました。
23.晴れ、時々くらげを呼ぶ (講談社文庫)
晴れ、時々くらげを呼ぶ
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鯨井 あめ 講談社 2022年06月15日
売れない作家だった父が病死してから、ワーカホリック気味な母と二人で暮らしの高校生の越前亨。図書委員になった彼が、毎日屋上でくらげ乞いをする後輩・小崎優子と出会う青春小説。理不尽に対抗するために、毎日屋上でくらげ乞いをしている小崎を冷めた目で見ながら、日常を適当にこなすうちにいつしか彼女のことが気になってゆく亨。本が好きな図書委員たちの読書あるあるがあって、同じ場所にいるのに温度差を感じてしまう亨がいて、けれどバス停で見かけた小崎をきっかけに、バラバラだったそれぞれの想いが繋がる展開は優しくて、ずっと忘れていた大切なものを思い出してゆく、とても素敵な結末だったと思いました。
24.ひとり旅日和 (角川文庫)
人見知りで要領が悪く、紹介されて就職した先でも叱られてばかりの日和。そんな時に社長から気晴らしに旅に出ることを勧められ、旅好きの同僚に後押しされ一人旅を始める物語。初めて日帰りで行った熱海を皮切りに、千葉の水郷佐原、仙台、金沢、福岡と、時には失敗しながら遠くへ足を延ばしてゆく日和の気ままなひとり旅は楽しそうでしたね。それをきっかけにいろいろ変化の兆しが見えはじめて、状況が好転してゆく展開は良かったですけど、意外なところで繋がっていた縁がこれからどうなるのか、彼女の様子をもう少し見守ってみたいと思いました。
25.おうちごはん修業中! (角川文庫)
かなり出世は早いけど、彼氏も料理の作り方もさっぱりわからないまま34歳になってしまった独身の滝田和紗。健康診断でメタボ予備軍とされ一念発起で自炊生活に挑戦、利害が一致した同期の村越と一緒に料理研究を始める物語。仕事では有能な雰囲気が伺えるのに、なぜか二人ともびっくりな料理音痴ぶりでしたが、事あるごとに対抗心を燃やす同期の腐れ縁な二人の料理に対する切実な戸惑いと、周囲の人間模様を絡めてゆく展開は、ようやく向き合うようになった二人の関係が変化してゆく物語でもあって、随分遠回りしましたけど悪くない読後感でした。
26.向日葵のある台所 (角川文庫)
シングルマザーで中学二年の娘・葵を育ててきた美術館に勤める学芸員・麻有子。極力関わらないようにしていた根深い遺恨がある母が倒れ、その母と突然同居することになってしまう物語。これまで散々母に甘えながらも、いざとなると妹の麻有子に押し付けようとする姉・鈴子。すれ違いばかりだった過去のわだかまりはあまりも重くて、そう簡単には解消できないよなあと感じましたが、それでも母に様々なことを思い起こさせる自分と娘の関係の積み重ねがあって、不器用なりにお互い少しずつ向き合えるようになってゆく結末には救われる思いがしました。
27.涙雨の季節に蒐集家は、(角川文庫)
涙雨の季節に蒐集家は、(1)
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太田 紫織 KADOKAWA 2021年06月15日
大学を休学し故郷の札幌で自分探し中の雨宮青音。旭川に住む伯父の訃報が届き、その葬送の際に遺品整理士の望春と運命の出会いを果たすミステリ。幼い頃、悪魔のような美貌の人物の殺人らしき現場を見たトラウマの町・旭川。伯父の遺品整理の末に遺品整理士見習いとなった青音が遭遇する、羊の茶碗の持つ意味、自死した息子の遺品整理の先にあった葛藤。遺品整理を巡るあれこれや登場人物たちの複雑な心理描写も興味深かったですが、謎めいた遺品整理士の望春、涙コレクター紫苑の双子姉弟、そして青音自身の過去と成長も気になるシリーズですね。
28.後宮の検屍女官 (角川文庫)
小野はるか KADOKAWA 2021年04月23日
大光帝国の後宮が大騒ぎになった「死王」騒動。皇后の命を受け、騒動の沈静化に乗り出した美貌の宦官・延明が、幽鬼騒ぎにも動じずに居眠りしてばかりの侍女・桃花と事件解決に乗り出す中華後宮検屍ミステリ。謀殺されたと噂される妃嬪の棺の中で見つかった赤子の遺体、宦官殺害の冤罪、自害したとされる侍女の死因、一連の事件の真相。ものぐさで野心もないぐうたら侍女なのに検屍となると覚醒する桃花、どこか嘘くさく腹黒い延明のコンビが事件を解決する展開でしたけど、ああみえて意外と仲間思いだったりする桃花の意外な一面が効いていました。
29.王妃さまのご衣裳係 路傍の花は後宮に咲く (角川文庫)
王妃さまのご衣裳係 路傍の花は後宮に咲く(1)
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結城 かおる KADOKAWA 2021年08月24日
涼国の没落貴族の娘で、女官として後宮に入り家門再興に燃える鄭鈴玉。しかし反抗的・落ちこぼれの烙印を押されてしまった彼女が、地味で権勢もない王妃の女官となる中華風ファンタジー。ある一冊の小説と友人たちとの出会いにより次第に服飾の才能を開花させたことで、鈴玉もまた陰謀渦巻く後宮の争いに巻き込まれてゆく展開でしたけど、最初は危なっかしい生意気な女官という印象だった彼女が、大切な人たちのために気概を見せるようになってゆく成長があって、自分にとって本当に大切なものを見出してゆくその姿はなかなか印象的でした。
30.ウは宇宙ヤバイのウ!〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)
下校途中、いきなり巨大隕石が地球に直撃して全人類滅亡に直面した高校生・久遠空々梨。再び迫る隕石、襲い来る異星人の艦隊に直面して人類が大ピンチに陥る宇宙がヤバイ大活劇。目を覚ますとそこは隕石衝突の三日前で混乱する空々梨に、彼女は星間諜報組織〈偵察局〉のエージェントだったが、世界線混淆機の起動により記憶を失い日本の女子高生になってしまったことを告げる従姉妹の非数値无香。たくさんの登場人物たちを絡めてパロディやオマージュを詰め込んだ展開はほんのり百合を感じさせつつも何ともカオスで、勢いで読ませて駆け抜けた感もありましたが、これはこれでなかなか楽しめました。
【Kindle最大70%オフ】KADOKAWA カドカワ祭りニューイヤー2024 (1/11まで)