今回は12月ガガガ文庫・富士見ファンタジア文庫・GCN文庫の新刊感想まとめです。 内訳はガガガ文庫の新作2点・続巻3点・富士見ファンタジア文庫の続刊3点・新作2点・GCN文庫の続刊1点の計11点になります。どれも面白いので気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
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たかが従姉妹との恋。 (ガガガ文庫)
小学六年生の時、四つ年上の従姉・中堂絢音と初めてキスをした幹隆。ずっと彼女を忘れられずにいた彼が、高校生になって都内で一人暮らしを始める青春小説。高校に入学してちょっと変わった女の子・御武凪夏と仲良くなりかけていた幹隆が、転校生として突如再会した懐かしい従妹の双子姉妹・真辺伊緒&眞耶。そして大学生になった絢音との再会。全体として見ると双子姉妹との成長してから取り戻してゆく関係性が絢音以上に強烈なインパクトがあって、途中消えていた凪夏も最後に存在感を見せてくれて面白くなりましたね。従姉妹たちに「監護会」とかLINEグループを作られてしまう幹隆と、タイプの違うヒロインたちとの関係には期待感しかありません。
星美くんのプロデュース: 陰キャでも可愛くなれますか? vol.1 (ガガガ文庫)
可愛い女装姿であちこち出没していた高校生・星美次郎。偶然隣の席の陰キャ女子・心寧四夜にバレてしまい、彼女をプロデュースすることになる青春ラブコメ。女装をバラさない交換条件として、彼女にメイクを教えたり、女装姿で一緒に服を選びに行ったり、スイーツ店で映える写真を撮ったり、心寧にその心得を手取り足取り指南する次郎。たびたび顔を見せる卑屈な心寧の陰キャムーブが面倒くせえなと苦笑いでしたけど、それでも彼女は少しずつ変わっていって、明らかになる彼女がそうなってしまった過去が意外な展開に繫がりましたけど、次郎と心寧がプロデュースを通じて育んできた絆もなかなか良かったですし、この続きを読んでみたくなるシリーズです。
変人のサラダボウル4 (ガガガ文庫)
リヴィアたちと立ち上げたバンドが瞬く間に人気を博しながら、そのメジャーデビュー直前に起きた皆神望愛の逮捕。弁護士の愛崎ブレンダはそんな彼女の弁護を引き受けることになる第四弾。ンサイダー取引で逮捕されてしまい、警察の取り調べで逆に篭絡し重要な情報を引き出す望愛の複雑な思い。再び居場所を失ってしまったものの、また新たな寄生先と巡り逢った元女騎士のリヴィア。中学生になってようやく友奈と再会したサラ。なぜかいきなり法廷ものになってしまう展開だったり、相変わらずダメ人間なのに妙に引きが強いリヴィアには苦笑いでしたけど、その面白さは相変わらずで、最後の急展開からどんな展開が待っているのか続巻に期待ですね。
ミモザの告白3 (ガガガ文庫)
文化祭を終えてからすっかり周囲に受け入れられつつある汐。そう思った矢先に、かつて汐が所属していた男子陸上部の能井風助が訪れる第三弾。長距離走者として汐のライバル的存在だった能井が諦めきれずに汐に挑んだ勝負。そして変わりつつある状況を相変わらず認められない西園を、わざわざ挑発してくる世良の真意。誰もがみんな変化を認められるわけでもなくて、上手くいかず流れが悪くなった時に軌道修正するのはなかなか難しいですよね。一歩間違えば危ういとも思えた解決方法が結果的に功を奏しましたけど、周囲がいろいろと気にかけるわりには、当事者の汐がわりと淡々としていたのが印象的で、その結末にはいつの間にか起きていた変化と、なるほどそういうことだったのかという納得感がありました。
霊能探偵・藤咲藤花は人の惨劇を嗤わない3 (ガガガ文庫)
永瀬の地獄から逃げ出した朔と藤花。「神がかりの山査子」に保護されたものの、朔の異能を強めるその特異な眼を狙われる第三弾。滅びの力をもつ神をその身に下ろそうとする山査子の冬夜と、それを邪魔せんとする妹・春日の間の複雑な関係、そして眼球潰し、死者の手首といった地獄めぐり。死をいざなう蝶が二人を導いてゆく陰惨でシリアスな展開で、それでも隙あらばイチャイチャを繰り広げようとして周囲を呆れさせる藤花と朔のラブラブっぷりは強い!と思いながら読んでいましたが、身を寄せた先が次々と崩壊してしまう彼らに、果たして安息の地はあるんでしょうか…。
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦14 (ファンタジア文庫)
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦14
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細音 啓/猫鍋蒼 KADOKAWA 2022年12月20日
最悪の形で終わったヒュドラ家当主タリスマンと魔女イリーティアの衝突。力と復讐を求める王女ミゼルヒビィは、帝国の破壊を目論むシャノロッテと動き出す第十四弾。狂科学者の研究成果を求めて研究所を襲うシャノロッテと迎え撃つアリスとキッシング。そしてミスミス隊長がシャノロッテに伝えなければいけなかった想い。タリスマンもまた打倒イリーティアのために力を得ようとしましたけど、突き詰めるべき強さはそれではないということなんでしょうね…またここでひとつの因縁に決着がついて、物語も終盤で舞台や役者もだんだんと整いつつありますけど、次回はサリンジャーの過去エピソードですか。
両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。5 (ファンタジア文庫)
両親の借金を肩代わりしてもらう条件は日本一可愛い女子高生と一緒に暮らすことでした。5
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雨音 恵/kakao KADOKAWA 2022年12月20日
勇也に楓が告げたこれからも一緒にいるための決意。そんな彼らが高校生活最後の一大イベント・修学旅行に向かう第五弾。移動中も京都でも気がつくとイチャイチャしている勇也と楓に呆れ気味の二階堂たち、京都に現れた大人のお姉さん千空寺さんが告げた真摯な想い。そして楓が海外の大学へ進学を決めたことを知って、複雑な気持ちを抱く二階堂が仕掛けた勝負。どうするのが一番いいのかはなかなか難しいと思いましたけど、それもぶつかり合ってきちんと向き合えばきっと乗り越えられるんですよね。成長した彼らの結末を最後まで読めて良かったです。
うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。2 もう俺はダメかもしれない。 (ファンタジア文庫)
うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。2 もう俺はダメかもしれない。
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陸奥 こはる/緋月 ひぐれ KADOKAWA 2022年12月20日
ぼっちだった三代が、うしろの席の同級生ぎゃる・結崎志乃と付き合って初めての冬を迎える第二弾。三代との冬休みを満喫するために補習回避を目指す志乃と一緒の勉強、クリスマスデートでの三代のアレなプレゼントと覚悟を決める志乃、結崎家への訪問と彼女の家族への挨拶、そしてご褒美の2人きりの温泉旅行。志乃の妹・美希も一緒の初詣もあって、バイト先を訪問したりとやや重めな志乃でしたけど、それもまた三代のことが大好きだからで、お互いを大切に想っている二人の関係を丁寧に描いてゆく今回のエピソードはなかなか良かったですね。
師匠に借金を押し付けられた俺、美人令嬢たちと魔術学園で無双します。 (ファンタジア文庫)
師匠に借金を押し付けられた俺、美人令嬢たちと魔術学園で無双します。(1)
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雨音 恵/夕薙 KADOKAWA 2022年12月20日
失踪した親代わりの師匠に借金を押し付けられたルクス。四大貴族令嬢で妹弟子でもあるティアリスとともに魔術学園に通うことになる学園ファンタジー。実力を認められて特例で学園に入学したルクスに対する貴族たちの偏見。それでもルクスの友人となってくれたレオや、ティアをライバル視するルヴィといった仲間ができて、ティアを好きでライバル視する貴族との決闘もあって、終焉教団の襲撃に立ち向かう中で彼の宿命も明らかになっていきましたけど、大切なもののために立ち上がり、強敵と熱い戦いを繰り広げる王道の展開はなかなか良かったですね。今後の展開も期待の新シリーズです。
貴族令嬢。俺にだけなつく (ファンタジア文庫)
社畜だった前世で交通事故に遭い、異世界で貴族として生まれ変わったベレト。以前は裕福で傲慢だったはずの彼が、現代人の感覚で謙虚に優しく振る舞うようになってゆくファンタジー。当たり散らすだけだった専属侍女シアに優しく振る舞ったり、その変貌ぶりに驚く貴族令嬢エレナの反応から、以前のベレトのあまりの酷さに愕然とするベレト。そんな彼が図書館登校の貴族令嬢ルーナと仲良くなる展開で、誘われても断っていた彼女とのデートがまた二人らしい展開で、今後はとりあえずルーナがメインヒロインなのかなという印象でしたけど、ヒロインたちに慕われる主人公の周辺がこれからどう変わるのか続巻が楽しみですね。
霜月さんはモブが好き4(GCN文庫)
しほに告白したものの保留された幸太郎。3学期を迎えたクラスに季節外れの転校生・胡桃沢くるりがやってくる第四弾。ピンク色のツインテールに不機嫌そうな表情をしている、幸太郎が男だと思って仲良くしていた幼馴染との再会。二人の曖昧な関係を訝しんでキツめな態度を取ってくるのに、くるみにはなぜかしほの人見知りが発生しない理由。今度は典型的な幼馴染が登場したりと、モブだった幸太郎の印象がだいぶ変わってきていますが、くるみと彼女が大切にしていているおじいちゃんのために一生懸命考える一面もあって、しほもまた想いに応えて勇気を持って前に踏み出すその結末はなかなか良かったですね。