今回はサキイカスルメさん、リュウさんをスピーカーにお迎えして、Twitterのスペースでおすすめ一冊完結作品スペースで3人で1人3冊ずつ計9作品の紹介でした。思わぬハプニングもありましたが(苦笑)、初めて招待したリュウさんも交えてなかなか楽しくお話ができました。今回簡単にではありますが紹介作品をまとめています。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。
開催スペースのアーカイブはこちら↓
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※紹介している各作品タイトルのリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
【よっちさんのセレクト】
ヴァンパイア・サマータイム(ファミ通文庫)
ヴァンパイア・サマータイム
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石川 博品 KADOKAWA 2013年07月29日頃
人と吸血鬼が昼と夜を分け合う世界。両親が営むコンビニを手伝う高校生・山森頼雅と夕方を迎えると毎日、紅茶を買っていく自分と同じ蓮大付属に通う吸血鬼の少女・冴原と出会う青春小説。日常の積み重ねから育まれる不器用でまっすぐな思い。吸血鬼もまた普通の高校生で、けれど容易には越えられない壁もあって、それでも惹かれ合う二人の思いにとても切ない気持ちになりました。そんな思い悩む吸血鬼の冴原も、厳しい指導でバレー部の後輩から「オニハラ」とか呼ばれてしまう存在。ファンタジーな設定が日常に溶け込んでいるステキな世界観でした。
下読み男子と投稿女子(ファミ通文庫)
どんな作品も面白いと感じるラノベ新人賞の下読み高校生アルバイト・青と、厳しい祖母との生活や投稿作への酷評から自信をなくしかけていた同級生の美少女・氷ノ宮氷雪。本来出会うはずのない二人が出会い、二人で協力しながら投稿作品を作り上げていく二ヶ月間。周囲とうまく付き合うことのできなかった氷雪と、孤高の彼女に自分は釣り合わないと思う青。お互いに影響を受けて強く惹かれていきながらも、そこからあと一歩を踏み出す勇気を持てないもどかしい二人の迷いや、それを乗り越えようとする真摯な想いが心に響く素敵な青春創作物語でした。
リンドウにさよならを(ファミ通文庫)
リンドウにさよならを
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三田 千恵/DANGMILL KADOKAWA 2017年01月30日頃
想いを寄せていた少女・襟仁遥人と共に屋上から落下し死んでしまったらしい神田幸久。二年後地縛霊として目覚めた彼はクラスでいじめに遭う穂積美咲に存在を気づかれて彼女と友達になる青春小説。自分の存在に気づいてくれた少女・美咲の優しい一面を知って、悩める現状を変えようとアドバイスをし、美咲が勇気を持って踏み出した一歩から少しずつつ変わってゆくその境遇。繊細な描写を積み重ねて作り上げられた展開と、伏線を回収してゆくことで意外な事実も明らかになっていって、爽やかで納得感のある結末まで組み上げたその構成力は流石の一言でした。
【リュウさんのセレクト】
三日間の幸福(メディアワークス文庫)
人生に絶望しつつあったクスノキが、ふとしたきっかけで査定価格一年一万円で三ヶ月分を残して寿命を売り払ってしまい、その余生を監視員ミヤギと共に過ごすというお話。人間関係はこれまでの積み重ねで、いくら余命が短かくともそれが簡単に覆るわけでもなく、いくつもの厳しい現実に直面しました。ただ、こういう時に傍らにいてくれた存在は大きいですよね。残念な結末には変わりない話を良かったと表現するのは、微妙に抵抗もあるのですが、それでもお互い悔いのないような決断をした二人は、きっと幸せだったのではないかと思えた作品でした。
雨の日のアイリス(電撃文庫)
大好きな博士と一緒に幸せに暮らしていたアイリスが、博士の突然の死をきっかけに、いきなりモノとして扱われ、あっさりと廃棄処分が決まり、自分が廃棄処分場のロボットとして生まれ変わったことに気づいた残酷な流れは、読んでいてとても辛かったです。ただそこでリリスやボルコフに出会えて、自分のことを考えるきっかけを得たことは、最終的に自立して生きていくためにはきっと必要な過程で、辛いこともたくさんあったけれど、生まれ変われたアイリスが、仲間と前向きに生きていけそうな予感も感じられて、良かったなと思える終わり方でした。
森の魔獣に花束を(ガガガ文庫)
ひとりぼっちの魔獣の少女に恋をした。とある村の近くに、人を喰う魔物が棲むという禁断の森があった。家の跡継ぎになるための試練として稀少な青い薔薇を探す旅に出た少年クレヲは、同行者の裏切りに遭い、その森にひとり取り残される。そこでクレヲが出会ったのは半獣半人の魔獣の少女。なんとか魔獣の少女の気を惹いて、食べられることを免れたクレヲだったが、その代わりに彼女のペットにされてしまった……。そして、始まる奇妙な共同生活。純真な心を持つクレヲと一緒に暮らすうち、ずっとひとりぼっちだった魔獣の少女の心にやがて変化が現れる。だが、二人の日々はそう長くは続かなかった……。人間と魔獣の恋を描いた心温まる異色のファンタジー小説。
【サキイカスルメさんのセレクト】
マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話。(MF文庫J)
マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話。
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からて KADOKAWA 2013年08月23日頃
「そんなわけで、千年生きるにはどうしたらいいの?」マカロン大好きなメルヘン少女が千年生き続けるお話や、コンクリートとお話ができる女の子のお話、不思議な宇宙人ぱらぽろぷるん君の恋のお話、そしてセミ王国からやってきたセミ子のお話……。幸せで、切なくて、愛しい。そんな、ちょっと不思議な物語。
氷の国のアマリリス (電撃文庫)
氷河期を冷凍睡眠施設で乗り切ろうとするご主人様たちを、献身的に守りながら暮らすロボットたちのお話。人と同じように喜び悲しむロボットたちが、ご主人様の真実を知って、人類は滅亡させるべきだという案と、このまま維持していくべきだという案に揺れて苦悩するのは、無理もない話だったと思います。それでもアマリリスを中心に、難しい決断もありましたが、最後まで諦めずに最善の道を探ろうとする気持ちは、尊いものだと感じました。アマリリスのように、苦しい時こそ「半分こ」しようと思える気持ちを忘れないことは大事なことですよね。
恋になるまで、あと1センチ(宝島社文庫)
階段から天使のように落ちてきた篠先輩を助けた高校1年生の楢崎颯太。それからなぜか颯太は篠先輩に懐かれるようになり、彼女に振り回されながら心惹かれていく青春小説。助けてもらったことをきっかけに、ぐいぐいアプローチしてくる篠先輩。いつの間にか心の距離が近づき、互いが想い合うようになってゆく二人の関係が丁寧に描かれていて、さりげなく外堀を埋めてゆく抜け目なさはあるのに、どこか危なっかしい篠先輩がとても可愛くて、そんな彼女が気になって放っておけない颯太とのもどかしくてとても甘い関係にはぐっと来るものがありました。