12月に入ってからいろいろと公私ともに忙しくなって、毎週やっていたスペースを一時中断していましたが、昨日サキイカスルメさん、わたーさんをスピーカーにお迎えして一ヶ月以上ぶりにスペースを開催できました。その間に出ていた作品をどどーんと紹介したので、気になる作品を全部は紹介できなかったわけですけど、いろいろ話せて楽しかったです。昨日聞いてくださった皆さんありがとうございました。これからもまたスペースでいろいろ本の紹介をしていければなと思っているので、改めてよろしくお願いします。
※各作品タイトルのリンクはBWページに飛びます。
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1.ルーン帝国中興記(GA文庫)
あわむら赤光/Noy SBクリエイティブ 2021年12月15日頃
お忍びの一つの酒席で運命の出会いを果たした斜陽の帝国に不満を抱える皇帝、将軍、商人。その場の売り言葉に買い言葉で帝室秘伝の魔法を使い、立場を入れ替えて適材適所に響き合うシャッフル戦記ファンタジー。商人セイは皇帝となって民のための善政を目指し、皇帝ユーリは将軍として膠着する北部戦線の打開、戦場に飽いた将軍グレンは平穏な日々を求めて一年間その立場を替える展開でしたけど、それぞれがままならない状況に直面しながらも、三者三様の才幹で局面を打破してみせるストーリーはなかなか痛快で、それぞれの持ち味が存分に発揮されてとても魅力的に描かれていました。激動の展開はまだまだ続きそうで、ここからどんな展開が待っているのか続巻に期待の新シリーズですね。
2.私のほうが先に好きだったので。 (GA文庫)
佐野しなの/あるみっく SBクリエイティブ 2021年12月15日頃
別れてから思いを自覚し、幼馴染で元カノの加二釜小麦を意識して引きずりまくっていた安芸玄。そんな小麦から玄を好きだという小麦の親友・鳩尾桜子を紹介されてショックを受ける青春泥沼三角関係物語。両片思いなのに拗らせて桜子に意識を向けようとする玄、親友を紹介してしまう小麦、さらに人気者で元カノを忘れさせる存在として自分をぐいぐいと玄に売り込む桜子。足掻けば足掻くほど自らの想いを自覚して、それではいけないと三者三様にドツボにハマってゆく展開はなかなかカオスで、タイミングの悪さや思い込みによる勘違いでますます迷走しそうなところに、さらなる火種になりそうな事実も明らかになって、これからどうなるのか今後が楽しみな新シリーズです。
3.魔獣医とわたし 灰の世界に緑の言ノ葉 (富士見L文庫)
三角 くるみ/切符 KADOKAWA 2021年12月15日頃
片田舎で親に捨てられ死にかけていた少女ニニの前に現れた美しい悪魔・ダンタリオン。救われる代わりに彼と契約し、魔界で使い魔になることを選ぶファンタジー。甘い物が好きで思慮深い魔獣専門の獣医ダンタリオンに思いがけず手厚く庇護されて、少しずつ心の凍った部分が溶け始めるニニ。そんな彼女が出会うカーバンクルのデオ、年老いたワイバーン、失態を犯したケルベロス、そしてフェニックスと探していた姉・ネリとの再会。彼のことを知って使い魔として過ごすうちに育まれてゆく温かい絆があって、そんな彼女の選択がとても素敵な物語でした。
4.ある魔女が死ぬまで－終わりの言葉と始まりの涙－(電撃の新文芸)
坂/コレフジ KADOKAWA 2021年12月17日頃
十七歳の誕生日。師匠から呪いで一年の余命宣告を受けた見習い魔女メグ。呪いを解く方法は人の嬉し涙を千粒集めて『命の種』を生み出すことだけ。メグは閉じていた自分の世界を広げ、たくさんの人と関わっていく物語。親友フィーネの大切な時計、死神に魅入られてしまったおばあちゃん、メグにかけがえのないものを感じてくれた英知の魔女や祝福の魔女との出会い、そして嬉し涙を集めようとするあまりに忘れかけていた大切なこと。ポジティブで優しくて、時には迷いながらもそれでも人のために頑張ってしまう、だからこそ周囲の人たちに愛されているメグが、これからどんな人たちと出会って成長してゆくのか、彼女が頑張る温かい物語をまた読んでみたいと思いました。
5.パパ活JKの弱みを握ったので、犬の散歩をお願いしてみた。2(ガガガ文庫)
持崎 湯葉/れい亜 小学館 2021年12月17日
お疲れサラリーマン梶野の家にすっかり入り浸る匂いフェチなギャルJK乃亜。そんな彼女が慕い恋のライバルでもある日菜子の過去が明かされる第二弾。夏休みに突入した乃亜たちと温水プール、梶野を巡る女たちの女子会、梶野と日菜子たちの博多出張で明らかになった意外な事実、ヒナミチと呼ばれていた日菜子の過去。日菜子にもそんな時代があったんだ…と思わせる今の姿からはあまり想像がつかない過去がなかなか印象的ではありましたけど、今回もまた乃亜やえみりたち女性陣のやりとりがじわじわ来る感じで、梶野を巡るライバル関係の彼女たちではありますけど、読んでいて微笑ましい気分になるタクトも含めたゆかいな仲間たちのやりとりをいつまでも眺めていられたらいいなと思いました。
6.美少女とぶらり旅 (ファンタジア文庫)
窮屈な日常に嫌気がさして旅に出ることを決意した東京に住む高校生・高橋翔。駅のホームで思い詰めた様子の同級生・七瀬涼帆を見つけて、彼女を心配して一緒に旅に出ようと提案する旅青春小説。最初は不信感たっぷりだった七瀬と向かう熱海での出会い、浜松からまさかの現実逃避行、そして何でもできる一見完璧クーデレな美少女が思い詰めていた理由。足湯にほっこりしたり、さわやかに行ったり、まさかの水着回もあったりとゆく先々で積み重ねられてゆく二人の思いがあって、彼女のために精一杯向き合おうとした翔の奔走が、涼帆の心を揺さぶったのも納得してしまう素敵な物語でした。
7.好きな人がバレたら死ぬラブコメ 俺を好きじゃないはずの彼女が全力で惚れさせようとしてくる (ファンタジア文庫)
玖城 ナギ/みすみ KADOKAWA 2021年12月18日
幼い頃の忘れられない大切な想いを胸に秘めて、天才の養成機関・覇王学園で再会した青山夏海と桜雨春香。そんな彼らの前に学園の必須項目となった＜恋愛学＞が立ちはだかる学園ラブコメディ。恋愛学で一位になれば好きな異性と付き合えるが、好きな人がバレたら即退学。実は両片思いなのになぜか自分以外の好きな人がいると勘違いした二人に、夏海と中学時代を共に過ごしてきた八矢、財閥令嬢の冬坂といったヒロインたち、そして恋愛学のルールを絡めた駆け引きはなかなか面白くて、追い詰められながらもルールを見極めた逆転劇は見事で、けれど彼らしいとても不器用で優しい結末にはぐっと来るものがありました。夏海もヒロインの春香もなかなかいい感じに拗らせていて、今後に期待したい新シリーズです。
8.義妹生活4 (MF文庫J)
悠太が初めて沙季に「兄さん」と呼ばれて以来、互いに秘めた想いのせいもあって、どこかぎこちない二人の関係。悩める彼らが意地の悪い命題に直面して、再び自分自身の感情と向き合う第四弾。三者面談のスケジュール調整、沙季がオープンキャンパスで出会った教授の「距離の近い異性が偶然ひとりしかいなかったから、好きになっただけかもしれない」という示唆、そして別行動する二人の新たな出会い。お互い意識しているのに距離ができてしまった二人の関係がこれからどうなってしまうのか、ドキドキしながら読みましたけど、二人が異なるアプローチから様々な人と出会い、同じ結論に辿り着いてくれた期待通りの結末は、これしかないと思っていた形に上手く落とし込まれていて、控えめにいって最高でした。これは続巻も楽しみです。
9.お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について3 (角川スニーカー文庫)
桜木桜/clear KADOKAWA 2021年12月24日
告白のタイミングを考え始めた由弦が、自分の気持に気づいてほしい愛理沙から風邪をひいたと連絡を受け、看病のため彼女の自宅に向かう第三弾。由弦の介抱のおかげで快方に向かった愛理沙の思ってもみなかった懇願。お互いもうこの人しかいないと思い定めて、おそらく両思いだろうとは思っていて、でもその告白のタイミングはいつなのか。愛理沙の大胆なアプローチもあったりで、相手の様子を探り合う甘い展開はなかなか微笑ましかったですけど、やはりここぞという時の由弦は流石でしたね。愛理沙には思わぬ展開も待っていましたが、そこで自分の想いをきちんと言えたことで家族問題も一区切りかなと。紆余曲折ありましたけど、新たな一歩を踏み出した二人のこれからが楽しみです。
10.クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった (角川スニーカー文庫)
たかた/長部 トム KADOKAWA 2021年12月24日
失敗したはずの自己紹介をきっかけに、ぼっちの前原真樹に初めてできた友だちの朝凪海。金曜日の放課後だけ、こっそり彼女が真樹の家に遊びに来るようになるお友達ラブコメ。『クラスで2番目に可愛い』と噂される朝凪の意外な一面。映画にゲーム、漫画の趣味も合う彼女との楽しいひとときから始まった秘密の関係と、抜群の存在感がある彼女の親友・天海の存在。文化祭の実行委員となってしまった真樹自身の奮闘、同時に朝凪が抱える複雑な想いも明らかになっていって、時にはすれ違いながらも天海と向き合おうとする彼女を応援して、いつの間にか互いにかけがえのない存在になっていることを自覚してゆく二人の距離感が良かったです。彼らがこれからどういう関係になってゆくのか、続巻にも期待したいと思います。
11.天使は炭酸しか飲まない(電撃文庫)
恋に悩める人たちをちょっと特殊な力を使って密かに救ってきた久世高の天使・明石伊緒。ようやく探していた天使を見つけ出した久世高の三大美女の一人・柚月湊が、伊緒に深刻な悩みを打ち明ける青春小説。柚月湊の異常な惚れ癖を直すため、そのささやかな秘密の力を使いながらその原因を探るために試行錯誤を進めてゆく伊緒と湊。その過程で二人が抱える切ない過去や、伊緒が炭酸しか飲まない理由も明らかになっていって、そんな彼らを見守る第三者だからこそ気付くこともあって、真摯に向き合ってきたからこそ気づけなかったすれ違い、そして窮地に陥ってしまった湊を救う圧巻の展開は控えめにいって最高でした。不器用な二人のこれからがとても楽しみな期待の新シリーズですね。
12.魔女学園最強のボクが、実は男だと思うまい (電撃文庫)
男だけが騎士になれて、女だけが魔女になれる世界。騎士と魔女が対立する状況で、騎士ユートは騎士団長の兄から、女装して魔女学園に潜入するミッションを与えられてしまう学園ファンタジー。兄の無茶ぶりを断ることができずに男子禁制の魔女学園に転入したユートが出会う、ルームメイトで学級委員長のメイファ、大商会令嬢フラウ、ユートに敵意むき出しのシリカたち。今回過去が明らかになったメイファを始め、ヒロインたちはそれぞれ訳ありそうで、学園には世界を変える魔法の謎があって、それ以外にもまだまだ明らかになっていない設定がいろいろありそうですね。それを彼女たちと一緒に向き合って乗り越える展開には、これからもっと面白くなりそうな期待感がありました。続巻が楽しみな期待の新シリーズです。
13.わたし、二番目の彼女でいいから2 (電撃文庫)
「私、二番目の彼女でいいから」その言葉に甘え、みんなに隠れていまも悪いことを重ねる司郎。大胆になってゆく好意の果てで、落としどころを見つけられない彼らの危うい関係が崩壊してゆく第二弾。100%の彼女を目指して形から入ろうとする危うい雰囲気の早坂、互いに言い訳をしながら競うように司郎との距離を縮めていこうとする橘。このままがいつまでも続くわけがない、甘美で嫉妬にまみれた綱渡りな恋の果てにあった文化祭は、まさにこの物語の縮図ともいうべき展開のように思えましたけど、想いを隠せなくなる中で最後の提案は機能するのか続巻に期待したいところです。三人がどこまでも堕ちてゆく展開の中で、そんな彼らにドン引きしていた後輩・浜波がなかなかいいキャラで、対照的な吉見とのピュアなカップルにも注目していきたいですね。
14.恋は双子で割り切れない3 (電撃文庫)
自分の本音を隠しきれなくなり、純や気の合う仲間たちと密かに新たに部活を立ち上げる準備を始めた那織。一方で琉実は純の友人でもあるバスケ部の男友達に突然告白されてしまう第三弾。自らの想いに耐えきれなくなってきた那織の決意。想いは微塵もブレないのに、でもつい純に止めて欲しいと願ってしまう琉実。そしてめんどくさい双子への想いを自覚しながらも、決断にはもう少し時間が欲しい純。何だかんだで琉実には甘い那織という構図で、でも着実に距離を詰める抜け目なさもあって、そんな三人に振り回される周囲からしたら、お前ら何やってんだよって言いたくなる展開ではありますね（苦笑）けれど純の思うようには待っていてくれない急展開で、これからどうなるのか楽しみです。
15.わたし以外とのラブコメは許さないんだからね5 (電撃文庫)
羽場 楽人/イコモチ KADOKAWA 2022年01月08日
夏も過ぎ二学期へと突入して、ついに近づいてきた文化祭。文化祭実行委員になっている希墨と共に二人で成長することを決意したヨルカは、文化祭で自らもクラス代表に立候補する第五弾。文化祭実行委員会やクラスの出し物の準備、さらには初心者ながらギターで叶ミメイのバンド参加して仲間たちと一緒に合宿したりと、多忙を極めてヨルカとなかなかデートもままならない希墨が密かに抱える焦燥。それでも誰かのために頑張ってしまう彼だから思わぬ事態にも直面しましたけど、そんな希墨のことを信じてくれる人たちがいて、彼女たちに支えられながら見事やりきってみせた文化祭はとても熱い展開でした。希墨は時々斜め上のことをやらかすけどほんと一途で、彼女見てるとほんとお似合いの二人だなとしみじみ思いました（苦笑）次巻最終巻ということで楽しみにしています。
16.ひだまりで彼女はたまに笑う2 (電撃文庫)
なくした猫のストラップを一緒に探して見つけたことをきっかけに、パパラッチ扱いだった伊織に笑顔を向けてくれるようになった楓。少しずつ表情豊かになってきた少女と過ごす淡くて甘い夏を描く第二弾。もっと楓の笑顔を見たい、あわよくば恋仲になりたいと思う伊織が楓たちと一緒にする勉強会、二人での湊と美鈴の追跡デート、そして四人での夏祭り。湊と美鈴の変化を横目で見ながら、少しずつ、確実に変わってゆく楓の様子がとても可愛くて、気遣いながらも距離が近くなることに抵抗感がなくなって、お互い意識するようになってゆく丁寧な二人の描写の積み重ねにはぐっと来るものがありましたね。妹ちゃんやコタローの存在もいい感じに効いていて、これは続巻も楽しみです。
