先日作ったこの企画。
あちらはラブコメメインの作品で選んだので、今回はそれ以外がメインの作品を15作品セレクトしました。最近ラブコメの刊行が多すぎてそちらに読む比重が傾いてしまっており、点数的にラブコメほどではないですがなかなか粒が揃っていると思います。
1.魔女と猟犬 (ガガガ文庫)
魔術師を多数擁する王国アメリアに脅かされる小国キャンパスフェロー。領主バドは王国に対抗すべく大陸全土の凶悪な魔女たちを集める起死回生の奇策に出るダークファンタジー。隣国にて惨劇を引き起こした魔女を引き受けるべく、レーヴェに向かったバド一行。彼や娘の護衛として同行した黒犬と呼ばれる少年・ロロたちが巻き込まれるレーヴェの謀略や、アメリアの魔術師たちとの激突もあって、未だ先の見えない混沌とした状況で魔女集めはどうなるのか、今回生まれたいくつもの因縁がこれからどう活きてくるのか、いろいろ楽しみな新シリーズですね。
2.プロペラオペラ (ガガガ文庫)
追い詰められた極東の島国・日之雄。悲壮な決意で駆逐艦「井吹」の艦長として戦いに挑む皇家第一王女イザヤのもとに、かつて最低の事件を起こして皇籍剥奪された幼馴染・クロトが部下として乗り込む空戦ファンタジー。敵国ガメリア合衆国で投資家として成功していたクロトが日之雄に戻ってきた理由。苦戦必至の状況の中、超傲慢で頭が切れてバカがつく努力家クロトが、アホな部下たちと共にイザヤを支えて大逆転に導く熱い展開で、異国で台頭しつつある因縁のライバルの魔の手から彼女を守りきれるのか、これは今後がとても楽しみなシリーズですね。20年12月3巻目刊行予定。
3.天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)
天才王子の赤字国家再生術〜そうだ、売国しよう〜
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鳥羽 徹/ファルまろ SBクリエイティブ 2018年05月14日頃
病床の国王に代わり摂政として弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で臣下からの信頼も厚い彼が、絶望的な状況から密かに売国を志す弱小国家運営譚。状況を正しく認識して先を見通せるからこそ絶望を感じるウェイン。上手く終わらせるための手を打つのに、それがなぜか効果的な一手に繋がる皮肉な状況の変化や展開の連続でしたけど、ウェインが彼なりに最善へ真摯に取り組んだ結果だからこそ納得感がありました。補佐官のニニムに対する想いも気になる彼にいつか心境の変化はあるのか、どこまでやれるのか続巻が楽しみですね。20年11月に8巻目刊行。
4.竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から― (GA文庫)
師の遺言により少女ユーイの杖を修理することになった、半人前の魔法杖職人・イクス。姉弟子たちの助けも借りてどうにか破損していた芯材を特定した彼が、1000年以上前に絶滅した竜の心臓を求めて旅する物語。夏の終わりまでを期限とした竜の伝承を求めての探索、ユーイが抱える過去と杖が壊れた理由、明らかになってゆく竜が絶滅した真相。戦えない二人が主人公であるがために、派手な展開とは無縁でインパクトには欠けますが、しっかりとした世界観の中で動く登場人物の描写は繊細で、明かされた真実とその結末は心に響くものがありました。20年9月に3巻目刊行。
5.ドラキュラやきん! (電撃文庫)
清く正しく現代に生きる吸血鬼で夜勤限定のコンビニで働く虎木由良。ある日、酔っ払いに襲われていた吸血鬼退治を生業とするシスター・アイリスを助けてしまうドラキュラ日常ファンタジー。太陽の光を浴びると灰になる吸血鬼・由良のアパートに転がり込んだ男性恐怖症でポンコツの天敵シスター・アイリス。その依頼にもなし崩し的に巻き込まれるうちに意外な繋がりも見えてきて、アイリスと様々な意味で対照的なヒロインの未晴も絡めつつ、宿敵の吸血鬼と対峙する構図は因縁が深そうですね…ここからどう盛り上げてくれるのか期待の新シリーズです。
6.七人の魔剣姫とゼロの騎士団 (MF文庫J)
大陸中を魔物が跋扈し、騎士団が過去の遺産が眠る飛島を巡る世界。キールモール魔術学園に突如現れた赤毛の転入生・ナハトが、七人の魔剣姫が支配する学園に挑む魔剣の学園ファンタジー。転校早々七つの魔剣全てを手に入れて伝説の騎士団を蘇らせることを目標に掲げ、周囲を敵に回すナハト。力を示すバトルが日常の学園で、案内役だった魔剣姫の一人・シャーロットを相棒に、騎士団を結成した彼が挑むヒロインの魔剣姫たちや飛島探検という構図は王道で面白くなりそうですね。今回で飛島の謎や学園の裏側も垣間見えて今後が楽しみな新シリーズです。
7.スパイ教室 (ファンタジア文庫)
各国スパイが「影の戦争」を繰り広げる世界。落ちこぼれのメンバーばかり7人が集められ、凄腕スパイ・クラウスの指導の下、死亡率九割を超える『不可能任務』に挑むスパイファンタジー。凄腕だけど説明できない教えベタの教師役相手に、騙しあいで打ち勝つ実地訓練に挑む不器用な少女たち。チームとして挑んだ過酷なスパイ任務にも最後まで諦めない少女たちの想いに、ともに戦ったクラウスも少なからず感化されていって、普段の日常からスパイらしい仕掛けを感じさせる展開と、そんな絆を育んでいった彼らの物語をまた読んでみたいと思いました。20年12月に4巻目刊行予定。
8.Babel I 少女は言葉の旅に出る (電撃の新文芸)
現代日本から突如異世界に迷い込んだ女子大生の水瀬雫。異世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女が、魔法文字を研究する風変わりな魔法士・エリクと出会うファンタジー。雫が日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。二人の言語を巡るやりとりや考察はとても興味深くて、傭兵ターキスとの出会いという転機から、ネビス湖での出会いやノイ家の塔の呪い、カンデラの街で次々と事件に巻き込まれ、困った人を放っておけない雫の奔走が周囲の人々や事態を動かし、状況を打開してゆく結末がなかなか印象的でした。20年12月に3巻目刊行予定。
9.魔王学院の不適合者 (電撃文庫)
魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜(1)
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秋/しずま よしのり KADOKAWA 2018年03月10日頃
平和な世の中を夢見て転生した暴虐の魔王アノス。しかし二千年後、転生した彼は平和に慣れて弱くなりすぎた子孫たちと魔法に直面するファンタジー。魔法を使って生後一ヶ月で学院に入学する急展開には苦笑いでしたけど、圧倒的な力の差があるのに周囲がそれを認識できない劣等生評価の中、アノス愛溢れるぶっ飛んだ両親との関係だったり、双子ヒロインの危機を颯爽と救うカッコよさだったり、テンポ良く進んでいく中でコメディとシリアスのバランスも絶妙で、運命を切り開いていく展開は楽しかったです。暗躍する存在も出てきそうで続巻にも期待。20年10月に9巻目刊行。
10.探偵はもう、死んでいる。 (MF文庫J)
完全無欠に巻き込まれ体質で天使のように美しい探偵・シエスタの助手だった君塚君彦。その探偵と死に別れ高校生になり、日常というぬるま湯に浸っていた彼が一人の少女と出会う物語。ひとを探してほしいという依頼を持ってきた同級生・夏川渚、三十億のサファイアが盗まれるのを防いで欲しいというアイドル・斎川唯、そして探偵のかつての弟子・シャーロット。彼女たちと出会いが探偵の死によって止まっていた君彦の時間を動かし始めて、この一冊自体がまるごとプロローグでしたけど、彼らがこれからどんな活躍を見せてくれるのか今後に期待ですね。20年11月4巻目刊行。
11.聖剣学院の魔剣使い (MF文庫J)
来たるべき決戦に備え自らを封印した魔王レオニス。しかし1000年の時を超えて目覚めた時には10歳の少年の姿で、聖剣学院に所属する少女・リーセリアに保護される学園ソードファンタジー。魔族も魔術もなく、聖剣を武器に未知なる敵・ヴォイドと戦う1000年後の世界。聖剣を発現できなかったりと訳ありなお姉さんたちの部隊に所属し、彼女たちのありように少しずつ感化されて、ヴォイドとの戦いに身を投じてゆく展開には安定感があって面白かったです。ヒロインたちとの関係に1000年前の因縁もあって、今後に期待のシリーズ。20年9月に5巻目刊行。
12.吸血鬼に天国はない (電撃文庫)
大戦と禁酒法で旧来の道徳が崩れ去った時代。非合法の運び屋シーモアのもとに、運んで欲しい荷物として正真正銘の吸血鬼の少女・ルーミーが持ち込まれる歴史ファンタジー。仕事上のトラブルから始まったルーミーとの同居生活。吸血鬼らしさを見せないルーミーと共に過ごすうちにシーモアの心境が変化してゆく中で、ふと気づいてしまったひとつの事実。確かに変わってしまった何かがあって、それでも二人の間には確かに育まれていたものがあって、ぶつかりあった本音の先にあった結末がとても自分好みで、続巻に期待のシリーズですね。20年11月に4巻目刊行予定。
13.やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい (MF文庫J)
人類が圧倒的な銃の力でファンタジー種族を滅ぼしてゆく時代。エルフの村で育った人間の少年・ガーディが村の掟を破ったことで追放され、金貨姫フローリンが治めるイントラシア領に身を寄せるファンタジー戦記。剣も槍もロクに扱えず秘められし権能も「究極のお人好し」な主人公カーディが、エルフの村でバカにされながら培った知恵と経験、時代遅れになりつつある弓や妖精たちを駆使して戦い、未来の大軍師に向けた第一歩を踏み出す姿はなかなか印象的でした。ちょっと異色でここからの展開が楽しみなシリーズです。20年9月に3巻目刊行。
14.ダークエルフの森となれ -現代転生戦争- (電撃文庫)
輝獣と呼ばれる自然脅威に脅かされる近未来。駆動鉄騎RVで戦う騎士候補生として学園生活を過ごす朝倉練介が、異世界から転生してきた黒ギャル女子高生風のダークエルフ・シーナと巡り合うファンタジー。内心満ち足りない日々を送っていた練介が魅力的なシーナに眷属として見初められ、巻き込まれていく魔術種たちのバトルロイヤル。最初に遭遇した相手・スライムと戦う中でバトルの独特なルールも明らかになっていって、突き付けられた残酷な現実と葛藤を乗り越え、シーナと生きる覚悟を決めた練介のこれからが楽しみな期待のシリーズですね。22年1月に2巻目刊行予定。
15.我が魔道書は此処に在り 没落貴族と魔道学院 (ファンタジア文庫)
七年前に陰惨な闇討ちを受け、大切な魔道書を失う最悪の形で壊滅した名門ロレーヌ公爵家。残された幼き令嬢ルネと騎士アルトが、宿敵への報仇と家門の再興を誓ってベルン帝立魔道学院の門を叩くバトルファンタジー。帝国随一の荘厳な学び舎に入学した彼らが、否が応にも巻き込まれていく七年前の謀略に潜む黒幕との戦い。切磋琢磨するライバルがいて、支えてくれる姉のような存在がいて、明らかになってきた七年前の因縁と、なかなか強大な仇敵相手にどのように戦っていくのか、物語をどこまで広げていけるのか、今後に期待したい新シリーズですね。以上です。
気になる本があったら読んでみてください。