読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

※弊サイト上の商品紹介にはプロモーションが使用されています。

2019年12月に読んだ本 #読書メーターより

2019年12月に読んだ本はだいぶマンガで冊数を稼いだような気はしないでもないですが、最終的にはそれなりの冊数に。シリーズものも新作もなかなかおもしろい本が多かったです。2019年としてもそこそこ読めましたが、いろいろ忙しくなってきたので2020年はもう少し冊数が減りそうですが、読みたい本は減らないのでできる範囲で貪欲に読んでいこうと思います(苦笑)

 

2019年の読書メーター
読んだ本の数:1104冊
読んだページ数:285373ページ
ナイス数:72154ナイス

https://bookmeter.com/users/385946/summary/yearly

 

12月の読書メーター
読んだ本の数:89
読んだページ数:22976
ナイス数:6157


科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
研修期間が延びた「科警研」の本郷分室の三人の研修生たち。相変わらず事件より大学の研究に夢中な様子の土屋に変化が訪れる第二弾。毒殺のトリックや溶解した白骨死体の謎、一酸化中毒死かどうかの究明、教祖の死の真相など、前回と同様に三人の研修生がそれぞれの得意分野を活かしつつ、協力して事件解決のためにアプローチしていく展開で、確かに土屋のアドバイスもありましたけど、教え子たちの成長を感じられたことがその心境の変化に繋がりましたかね…。研修生としては一区切りのようですけど、また新たな形で彼らの活躍を読んでみたいです。
読了日:12月01日 著者:喜多 喜久
天命の巫女は白雨に煙る 彩蓮景国記 (角川文庫)天命の巫女は白雨に煙る 彩蓮景国記 (角川文庫)感想
禁軍に勤める婚約者の皇甫珪と共に15年に1度行われる結界の張替えに駆り出されていた貞彩蓮。陵に祀られていた遺体が行方不明になったことからその捜索を公子・騎遼より依頼される第二弾。今回は彩蓮が陥れられた騎遼の窮地を救うために動いたり、前王と現王の因縁に繋がる陰謀に巻き込まれてゆく展開で、登場人物の構図がはっきりしたからなのか前巻よりだいぶ読みやすくなりましたかね。なかなか素直になれない彩蓮と、彼女と釣り合う男になれるよう頑張る皇甫珪の恋はなかなか前途多難で、二人で頑張って乗り越えてほしいですね。続巻も期待。
読了日:12月02日 著者:朝田小夏
日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術感想
5G/人工知能/AI検査/AR・VR/人間拡張/量子コンピューター/フィンテック/自己治療材料/曲がるディスプレー/木造超高層/生分解性プラスチック/水素発電/アクティブ消音システム/再生医療/人工脾臓/細胞医薬など、今話題になっている最新技術を100紹介した一冊。中には一般人が使うレベルに実用化できるのかなと思う技術もありましたが、使う側の倫理観が問われるようなものは法整備も必要ですね。五輪に向けて東京が暑さ対策にいろいろ整備を進めていた点は、話が出た時にもう少し言及されても良かったのではと感じました。
読了日:12月02日 著者: 
目を見て話せない目を見て話せない感想
入学早々友達づくりに乗り遅れて愕然とする房総大学の新入生・藤村京。教室に残された高級な傘に気づき持ち主を推理するコミュ障探偵ミステリ。傘を忘れた人は誰か、服屋で消えた同級生の謎、カラオケで酒を飲ませた犯人、祭りの中での盗難事件、元喫煙室で起きた冤罪事件の真相。いろいろ考え過ぎて話せなくなる/動けなくなる藤村だからこそ、その推理力には眼を見張るものがあって、少しずつ増えてゆくかけがえのない友人たちを助けるため、遭遇した謎を推理してゆく彼のありようはとても好ましかったです。続巻あるならまた読んでみたいですね。
読了日:12月03日 著者:似鳥 鶏
彼方のゴールド彼方のゴールド感想
出版社の営業にようやく慣れた頃、野球もサッカーも知らない明日香がスポーツ雑誌「Gold」に配属され、体当たりでぶつかってゆく出版社お仕事小説。昔とは役割も様変わりした野球のリリーフ投手へのインタビューに始まり、子供の頃のスイミングスクールと幼馴染との思い出、スキャンダルと密告の真相、社内カメラマンの思わぬ再会、サッカーコーチと15年前の因縁、そして再会したもうひとりの幼馴染。雑誌編集として分からないなりに一生懸命調べて考え、真摯に相手に向き合おうとする明日香の成長とその結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:12月03日 著者:大崎 梢
アンチ整理術アンチ整理術感想
シンプルな文体や洗練されたロジックが物語を彩る作風でも、実は主な活動場所は散らかり放題だという著者が整理術に関して自分の見解を語った一冊。「メモは取らない」「ほとんどのデータは保存しない」という著者は、ものを整理することそのものよりも、自分自身の頭の中を整理することの方が重要だと考えていて、結果に効率が伴わない整理など意味がないと語る著者がそこから仕事論まで展開していましたけど、確かにそうだよなと思える部分もあったりで、整理整頓することの意味/させることの意味を考えるきっかけをもらったような気がしました。
読了日:12月04日 著者:森 博嗣
今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私 (メディアワークス文庫)今日は心のおそうじ日和 素直じゃない小説家と自信がない私 (メディアワークス文庫)感想
突然終わった結婚生活。バツイチか―と嘆く余裕もないまま娘の美空とともに実家に戻った涼子に、妻と娘を亡くした作家相手の住み込み家政婦の仕事が舞い込む再生の物語。嘆くばかりだった涼子が実家で直面する現実はなかなか厳しいなと感じましたけど、家族を亡くてから作品を書けなくなっていた山丘と出会い、彼の家で家事に取り組むようになり、元夫にビシッと言えるまで自信を取り戻してゆく展開はなかなか良かったです。山丘の存在も大きかったですけど、娘の美空や要所でフォローする山丘の元に通う編集・川谷もいい感じに効いていましたね。
読了日:12月04日 著者:成田 名璃子
ウォルテニア戦記XIV (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記XIV (HJ NOVELS)感想
御子柴亮真の作戦で各地から流れ込んできた難民との衝突により、混乱のるつぼと化した城塞都市イピロス。亮真は自ら乗り込みザルツベルグ伯爵と決着をつける第十四弾。ここまで来るのにだいぶ時間がかかりましたけど、ようやく北部動乱編も決着ですか。無能な貴族というイメージもあったザルツベルグ伯爵はかなりの実力者で、そんな彼を失ってから王国として亮真の排除に動き始めるとか遅きに失するというか、無謀な予感しかしないですね…一方で実力者であることが明らかになってゆく浩一郎や、暗躍する須藤の動向も気になるところではあります。
読了日:12月04日 著者:保利亮太
ひとり旅日和ひとり旅日和感想
人見知りで要領の悪く、紹介されて就職した先でも叱られてばかりの日和。そんな時に社長から気晴らしに旅に出ることを勧められ、旅好きの同僚に後押しされ一人旅を始める物語。初めて日帰りで行った熱海を皮切りに、千葉の水郷佐原、仙台、金沢、福岡と、時には失敗しながら遠くへ足を延ばしてゆく日和の気ままなひとり旅は楽しそうでしたね。それをきっかけにいろいろ変化の兆しが見えはじめて、状況が好転してゆく展開は良かったですけど、意外なところで繋がっていた縁がこれからどうなるのか、彼女の様子をもう少し見守ってみたいと思いました。
読了日:12月05日 著者:秋川 滝美
スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 子ども食堂と家族のおみそ汁 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 子ども食堂と家族のおみそ汁 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
スープ屋「しずく」の評判を聞きつけ相談にやってきた青年・省吾。麻野のスープと頭脳に惚れ込んだ彼が、協力している子ども食堂への協力を依頼する第五弾。子ども食堂「はぐみ」にやってきた麻野と理恵が遭遇した事件と、事件を解決する麻野が指摘した省吾の真の目的。まさかのそこに繋がってゆくのかという意外な展開でしたけど、今回の子どもが絡む難しい問題を解決してゆく中で見えてきたひとつの事実は、麻野が過去を乗り越えるために必要な過程だったのかもしれないですね。もどかしい想いを抱く理恵さんがいつか報われる日が来てほしいです。
読了日:12月05日 著者:友井 羊
([ほ]4-5)活版印刷三日月堂 空色の冊子 (ポプラ文庫)([ほ]4-5)活版印刷三日月堂 空色の冊子 (ポプラ文庫)感想
本編では描かれなかった三日月堂と関わった人たちの過去が詰まった番外編。「我らの西部劇」に込められた片山さんたちの想い、弓子の父・修平と母・カナコさんのエピソード、弓子がおばあちゃんと一緒に作ったレターセット、カナコさんの親友・真子さんのエピソード、祖父が三日月堂を閉めるときの話、震災に遭遇して三日月堂でおじいちゃんと一緒に作った空色の冊子、川越に引っ越すエピソード。完結からもう一冊出るとは思わなかったですが、もう一度あの世界を堪能できて良かったとしみじみと感じました。来月もう一冊あるようなので楽しみです。
読了日:12月06日 著者:ほしお さなえ
魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)魔女の花嫁 seasons beside a witch (LINE文庫エッジ)感想
不治の病に罹った少年・桑折冬至が、迷い込んだはずれの森に住む変わり者の魔女・ミーズに出会い、願いを叶える代わりにその弟子となる物語。ハルと名付けられた死にたくないと願うシニカルな少年と、陽気で構いたがりでどこか子供っぽい一面も見せる魔女のミーズ。そんな二人の微笑ましいやりとりは良かったですけど時折ハルが知らないミーズの過去があって。巻き込まれた事件を通して明かされるミーズの真意がまた衝撃的でしたけど、二人で過ごした日々もまた偽りではなかったんですよね。彼らがどうなってゆくのかその後の話を読んでみたいです。
読了日:12月07日 著者:空伏空人
記憶屋0 (角川ホラー文庫)記憶屋0 (角川ホラー文庫)感想
つらい記憶を消してくれる都市伝説の怪人「記憶屋」。それに頼ることを選んだ彼らはどんな想いを胸に抱えていたのか前日譚的スピンオフ作品集。過去の交通事故の記憶に苦しむ依頼人・美月と出会った弁護士の高原が病院で受けた宣告。待ち続けた夫の真相を知り憔悴してしまった叔母を救いたいと願う亜沙子。そして遼一をデートに誘った真希の結末と、記憶屋のエピソードを追加しつつ、本編の前日譚的繋がりを描いていて、でもちょっと最後のはええっ?ちょっとだけ待ってと思ってしまいましたが、それによって二人がどうなったのか気になりますね。
読了日:12月07日 著者:織守きょうや
異世界温泉郷 あやかし湯屋の恋ごよみ (集英社オレンジ文庫)異世界温泉郷 あやかし湯屋の恋ごよみ (集英社オレンジ文庫)感想
京之介との婚姻関係も継続中のまま下働きを続ける凛子の元に、死んだ恋人の子を身ごもる人間の娘・七緒が預けられ、行方知れずだった京之介の弟の登場により、湯屋高天原に存続の危機が訪れる第三弾。京之介の過去が明かされてゆく中で、彼の弟・天月も絡む存続の危機。なかなか素直になれないなりに湯屋での暮らしに愛着持ち始めてきた凛子が微笑ましかったですけど、先代から続く因縁の相手・入道との対決もあって諸々の過去の精算も済んだ感じですかね。ようやく変化の兆しが見え始めて面白くなりそうな二人の今後をもう少し読んでみたいです。
読了日:12月08日 著者:高山 ちあき
終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#08 (角川スニーカー文庫)終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#08 (角川スニーカー文庫)感想
パニバルたちが十一番目の獣を討ち、歓喜の騒乱にあった38番島。しかし水面下に隠されていた最後の危機を前に、護翼軍、貴翼帝国、そしてオデットが相対する第八弾。オデットが提示する滅びを避けられる手順と、幽遠から目覚めた入り混じっている青年の想い。なんかずいぶん大変なことになっている状況ですけど、相変わらずな彼と少女たちとのやりとりなどは印象的で、みんなの頑張りもあってこれが最初の方の最後とお話としては繋がったんですかね。まだまだ何かありそうですけど、ここからどう話をまとめ上げてゆくのか続巻に期待ということで。
読了日:12月09日 著者:枯野 瑛
異世界誕生 2007 (講談社ラノベ文庫)異世界誕生 2007 (講談社ラノベ文庫)感想
2007年夏。中学一年の嶋田チカは、幼馴染の藤岡キョウヤから頼まれ、長い入院生活から帰ってきた妹のハルナに作った話を聞かせる第二弾。ハルナを取り巻く残酷な現実と、巻き込まれてゆくチカがハルナのために作る物語、そして現実を直視できないニートの作家志望の青年・西藤リク。チカ自身もいろいろ難しい状況に追い込まれてゆく中、戸惑いながらもハルナと向き合おうとする彼女が知った新事実が混乱に拍車を掛けましたけど、それでも周囲の協力も得つつ頑張ったことでハルナも少しは報われたのかな…今回もまた時代感が懐かしかったですね。
読了日:12月09日 著者:伊藤 ヒロ
俺を好きなのはお前だけかよ(13) (電撃文庫)俺を好きなのはお前だけかよ(13) (電撃文庫)感想
とある冬の日、ジョーロ、ホース、フーちゃんを呼び出した、サンちゃん。そこから始める恋愛相談とジョーロとヒロインたちのエピソードが語られる第十三弾。男どもの恋愛相談に対して、参考に語られるジョーロとサザンカ、パンジー、ひまわり、コスモスとのそれぞれのエピソード。彼らの恋愛模様やジョーロとともに過ごした彼女たちの気になる素振りもあったのに、ジョーロの先輩を狙うお姉さんのジャスミンとかドジっ子ぶり大爆発のチェリーがインパクトありすぎて持っていかれた感w でもジョーロもついに一人を選んだんですね…誰だか気になる。
読了日:12月10日 著者:駱駝
娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)娘じゃなくて私が好きなの!? (電撃文庫)感想
就職したばかりなのに両親を亡くした幼馴染を引き取って育ててくれた綾子さん。そこから十年...幼馴染同士の恋を応援していた彼女が、大学生になった男の子・左沢巧にまさかの告白をされる恋愛ラブコメ。思ってもみなかった告白に動揺する綾子さんが可愛くて、障害だったはずの諸々もあっさりクリアされて外堀が埋まってゆく展開には苦笑いでしたが、何より十年間頑張ってきた一途な巧の想いが眩しかったですね。あとは自分次第という急展開についていけず、迷走したり暴走してしまう微笑ましい彼女と二人の恋を生温かく見守りたいと思いました。
読了日:12月10日 著者:望 公太
吸血鬼に天国はない(2) (電撃文庫)吸血鬼に天国はない(2) (電撃文庫)感想
吸血鬼ルーミーを因縁と陰謀の中から救い出し、日常へと回帰したシーモア。ぎこちなくも幸福な日々を送っていた二人がマフィアに追われていた双子のバーズアイ姉妹と出会う第二弾。姉妹とともに過ごすことで浮き彫りになってゆく二人の関係の危うさ、そしてシーモアと約束を交わしたことで直面するルーミーの葛藤と飢えの限界。相変わらず無自覚で言葉足らずで不器用な二人の関係がもどかしいですが、再び二人が交わした約束と新たな関係によって垣間見えた可能性と、今後に向けて張られた伏線がどう絡んでくるのか、これからの展開が楽しみです。
読了日:12月10日 著者:周藤 蓮
終わった恋、はじめました (講談社タイガ)終わった恋、はじめました (講談社タイガ)感想
意地を通して退職した拓斗にかかってきた妹・莉音からの一年ぶりの電話。妹と一緒に心残りだった高校時代の恋人・小夜の足跡を辿る旅に出る物語。妹に指摘されて未練が残る過去の恋に決着をつけることを決意した拓斗。遭遇する謎を気が利く賢い妹にフォローされつつ解きながら、小夜に繋がる手がかりを追ってゆく展開でしたけど、それは一方で妹もまた思い悩む自身の過去に向き合う過程に繋がっていて、これまで積み重ねてきた状況からつい小夜のその後を想像してしまいましたが、そんな結末をいい意味で見事裏切ってくれたとても素敵な物語でした。
読了日:12月11日 著者:小川 晴央
タスキメシ (小学館文庫)タスキメシ (小学館文庫)感想
長距離選手として将来を期待されながら大怪我を負った高校三年生の眞家早馬。そんな彼が料理研究部に入り浸るようになる中、それぞれの熱い思いが交錯する駅伝大会が始まる青春小説。料理研究部の井坂都との出会いと、複雑な想いを抱える早馬が新たに見出した夢。そんな彼を諦められない同級生の助川や弟・春馬。都への想いも絡めた早馬の真意はどこにあるのか、彼に抱く周囲の複雑な想いが何とももどかしかったですが、仲間たちが突きつける熱い想いが早馬の心を強く揺さぶる結末はなかなか良かったですね。都との関係はどうなったのか気になる…。
読了日:12月12日 著者:額賀 澪
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeフレイヤ (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeフレイヤ (GA文庫)感想
自らの伴侶を求める美神フレイヤ。頭を抱える眷族達を他所に、迷宮都市の外へ『運命探し』の一人旅へ出てしまった彼女が一人の少女と出会う外伝第二弾。最初はフレイヤの気まぐれに付き合う眷属たちも大変だなと苦笑いしながら読み始めましたけど、そんな一見気まぐれに見える彼女の判断には違った一面も垣間見えますね。ニリツさんの印象的なイラストがカッコいい八眷属との邂逅やその関係、豊饒の女主人・ミアの過去、娘と呼ぶシルとの出会いといった印象的なエピソードも書かれていて、かのファミリアに属する人々の印象がまた少し変わりました。
読了日:12月12日 著者:大森 藤ノ
タスキメシ 箱根タスキメシ 箱根感想
大学卒業後、管理栄養士として病院で働いていた早馬が、紫峰大学駅伝部のコーチアシスタント兼栄養管理として部員たちと箱根駅伝初出場を目指す第二弾。大学で栄養士を目指しながら箱根を目指した早馬が、数々の挫折を経験した者として部員たちに寄り添い、食の大切さや目標達成の楽しさを伝えようと奮闘する展開で、助川に遠慮してしまう早馬には正直イラッとしましたし、箱根駅伝本戦もまたいい思い出になるばかりではないんだなとも痛感しましたが、部員たちやかつての仲間たちを励まして全力でサポートする早馬の姿は心に響くものがありました。
読了日:12月13日 著者:額賀 澪
地名崩壊 (角川新書)地名崩壊 (角川新書)感想
ブランド地名の拡大、忌避される地名の消滅、市町村合併でのひらがな化、カタカナ地名の急増。安易な地名変更の成立を憂いてその変貌を追い、あるべき姿を考える一冊。地名の成り立ちと由来から始まって、土地の特徴や地形、道に関する地名の説明、駅名と地名の関係やJRや私鉄の駅命名意識の違い、キラキラ地名や土地の安全性で忌避される地名、震災や合併といった地名を大きく変えた経緯などが説明されていて、もう少し旧地名を残しても良かったのではと感じる地域は確かにあるので、旧地名を復活させようという動きには期待したいと思いました。
読了日:12月14日 著者:今尾 恵介
本と踊れば恋をする (角川文庫)本と踊れば恋をする (角川文庫)感想
母子家庭で高校がバイト禁止ため、父の遺した蔵書で「セドリ」を始めた十屋龍之介。多摩川沿いの古書店を訪ねた彼が、朝香が作製した贋作本探しを手伝うことになるビブリオ・ミステリ。店主。朝香の依頼で本の探偵・吟子とともに贋作本探しを始めた龍之介が遭遇する、彼の父親がいない理由、ネットで出品された贋作本の真相、謎の句読点の落書き。この手の本にしてはあっさりとした読みやすさがやや意外でしたが、残された本を通じて見えてくる何とも複雑な心情と、抱えているものがありそうな登場人物たちのその後をまた読んでみたいと思いました。
読了日:12月14日 著者:石川 智健
お迎えに上がりました。 4 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)お迎えに上がりました。 4 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)感想
自分以外は全員妖怪、という環境のなか、臨時採用職員として日々奮闘中の夕霞。バイパス候補地に現れる地縛霊の説得に赴くことになる第四弾。東名バイパス工事予定地にある所有者不明土地や、青木ヶ原樹海付近でカーナビから聞こえる不気味な声、三年坂の呪いにまつわる真相といった、頑張りが報われたような展開もあれば、何とも複雑な気持ちが残る結末もありましたけど、辻神課長がわざわざ国土交通省まで出向いていたのはそういう理由でしたか…夕霞は頑張っていると思いますけど、幽冥推進課がどうなってしまうのか気になるところではあります。
読了日:12月15日 著者:竹林 七草
青い灯の百物語 (集英社オレンジ文庫)青い灯の百物語 (集英社オレンジ文庫)感想
昔から続く怪異と関わる真魚寺の家に生まれた千歳。幼い頃に青行灯と契約を交わした彼女が、家業を継いだ兄や彼女を守る青行灯とともに様々な家の怪異にまつわる事件を解決してゆく物語。持ち主の元に帰りたかった本、残されたゲドと小さな子との絆、悩める同級生の決断や、神隠しにあった娘といった悲喜こもごものエピソードを重ねていった先に浮き彫りになる、千歳と青行灯の何とも複雑で特殊な関係があって、育んできた絆を大切に思う(けれどなかなか素直になれない)二人の関係が、もうしばらく続けばいいなと願わずにはいられませんでした。
読了日:12月16日 著者:椎名 鳴葉
二丁目のガンスミス二丁目のガンスミス感想
一緒に立てこもり事件に巻き込まれて偶然京介が知ってしまった美夜の秘密。一見地味な黒縁眼鏡なのに超人的な射撃能力を持つガンスミスな彼女との同居物語。偽装する絵本店「ひまわり堂」にやってくる訳ありの客たち。結婚式を偽装した救出劇、山の民と火縄銃、VRで再現される悲劇、遺品からなくなった銃。ガンマニアな解説や依頼の中で美夜の複雑な過去も明らかになっていきましたけど、表情乏しい塩対応から始まった二人の関係が、ともにありたい京介の餌付けや秘密特訓といった努力で変化の兆しを見せ始めて、面白くなるのはこれからですかね。
読了日:12月16日 著者:柊サナカ
地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)地獄に祈れ。天に堕ちろ。 (電撃文庫)感想
世界規模の幽界現象と呼ばれる大災厄によって、死者が現世に戻ってきてしまうようになった末世・東凶。聖職者が大嫌いな亡者の死神ミソギと、死者が嫌いな聖職者アッシュが縁あって手を組み立ち向かうダークヒーローアクション。相性最悪な二人の邂逅と、そんな彼らに振り回されるシスターのフィリス。魅力的なキャラたちそれぞれの複雑な事情を絡めながら、東凶中を巻き込んだ麻薬騒動から始まる世界崩壊の危機を吹っ切れたシスコン二人が大暴れして解決に導く展開は痛快でした。いい感じにオチもついた結末でしたけど続巻に期待できそうですね。
読了日:12月17日 著者:九岡 望
塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い (ガガガ文庫)感想
高嶺の花で誰に対しても塩対応な佐藤こはると、誰に対しても優しい押尾颯太。初々しくてもどかしい高校生二人の初恋物語。告白されても話しかけられても実はコミュ障で塩対応のこはる。そんな不器用な彼女が想い人に近づきたい一心で頑張って颯太だけに見せる様々な可愛い表情があって、彼女をフォローしようと頑張る颯太もいちいちカッコ良くて、そんなじれじれ初恋両片想いな二人の破壊力がスゴイですね。勘違いからすれ違いかけたり大きな壁が立ちはだかったりしても、勇気を出して前に一歩踏み出した二人の今後がとても楽しみな新シリーズです。
読了日:12月17日 著者:猿渡 かざみ
落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)17 (GA文庫)落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)17 (GA文庫)感想
刀華の魂に輝きを見出した天童は九州全土を巻き込む災害級の伐刀絶技を発動。一方、首都東京では海の向こうから迫る新たな脅威を察知。これに対応すべく騎士連盟は戦力の総動員を開始する第十七弾。今回は主人公不在で同時に起きた災厄に残った戦力で挑む苦しい展開で、一輝たちがどこまでも強くなっていく中、その限界を突破するということは誰にでもできるわけじゃないんだな…という当たり前のことを思い出しましたけど、それでも成長した仲間たちが力を合わせて難敵を打ち破ってみせる展開は、ベタではあるんですがそれがまた良かったですね。
読了日:12月17日 著者:海空りく
君が今夜もごはんを食べますように (集英社オレンジ文庫)君が今夜もごはんを食べますように (集英社オレンジ文庫)感想
金沢にある家具工房「ときわ」の職人・楡崎の作るテーブルに一目惚れをし、飛び込みで弟子入り修行に励んでいた倉木相馬と純平の「エプロン男子」の前日譚的物語。今回のエピソードで明らかになっていったかつての相馬や純平の境遇でしたけど、当時相馬が付き合っていた恋人・沙希との何とも複雑な関係や、その後のエデン設立にいたるきっかけとなった出来事など、登場人物たちのままならないほろ苦さが残る結末の中で垣間見える優しさに著者さんらしさを感じました。小梅のその後は気になるので、またどこかで登場してくれるといいなと思いました。
読了日:12月18日 著者:山本 瑤
異人館画廊 透明な絵と堕天使の誘惑 (集英社オレンジ文庫)異人館画廊 透明な絵と堕天使の誘惑 (集英社オレンジ文庫)感想
千景に脅迫めいた手紙が届き、早速調査に乗り出すキューブのメンバーたち。プラチナミューズの矢神が関わる可能性も浮上し、謎は更に深まる第六弾。消えた図像術の研究者、有名な心霊スポット「切山荘」、四つの絵など、ひとつひとつのピースが千景の過去に繋がってゆく中で、因縁の過去に繋がる新たな人物の登場を契機に、記憶に向き合おうとする彼女とそれを案じる透磨。過去を思い出すたびに二人の距離感にどうなるのがハラハラしながら読んでいましたけど、千景の決意と透磨の変わらない想いが紡いでいく今後の関係が楽しみになってきましたね。
読了日:12月18日 著者:谷 瑞恵
リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 ― 綺羅星の覚悟 ― (集英社オレンジ文庫)リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 ― 綺羅星の覚悟 ― (集英社オレンジ文庫)感想
弓の才能を見出され、リーリエ国騎士団の団員となったニナ。団が年に一度の祭典・西方地域杯へ参加することになり、そこで怪我の後遺症に苦しみながらも戦い続けようとする女騎士と出会う第二弾。秘密を抱える女騎士・フォルビナとの出会いと。初戦で露呈したリーリエ国騎士団内でのリーリエを巡る問題。ニナ相手だとリヒトとの仲もなかなか進展しないだろうな…と苦笑いしながら読んでましたけど、次戦ではそんなリーリエがこのままではいけないと覚悟を決める場面もあったりで、二人で成長する彼女たちのこれからが楽しみになるシリーズですね。
読了日:12月19日 著者:瑚池 ことり,六七質
ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 2 (集英社オレンジ文庫)ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 2 (集英社オレンジ文庫)感想
パン職人の紗良が横浜山手のホテル・猫番館で勤めて早3か月。長逗留して新作執筆中の人気小説家がパンは食べないと言い出す第二弾。今回は人気小説家が抱える苦悩、ベルスタッフの小夏が就職したきっかけ、特別ディナーをリクエストした女性実業家と誠の過去、ウェディングパーティーのサプライズ演出といったエピソードに絡めて、猫番館で働く人たちの新たな一面が垣間見える展開で、彼ら彼女らの過去の回想がメインということもあって全体的には穏やかな展開で、要と紗良あたりの関係もこれをきっかけに少し進展を期待したいところではあります。
読了日:12月19日 著者:小湊 悠貴
谷中びんづめカフェ竹善 2 春と桜のエトセトラ (集英社オレンジ文庫)谷中びんづめカフェ竹善 2 春と桜のエトセトラ (集英社オレンジ文庫)感想
営む英国人セドリックと知り合い、彼の義理の息子・武流の家庭教師として店に出入りする女子大生の紬。ある日商店街で観光客に人気の猫の置物が盗まれ、同じ頃、武流の飼い猫がいなくなる第二弾。猫探しから始まった外国人の奥様にごちそうになった甘い麦茶探し、紬の風邪から始まった意外な結末、呼び出されたセドリックが密かに会っていた人物の正体。紬とセドリックの関係って実際どうなんですかね…と思いながら読んでいたらここで思わぬ展開が待っていて正直ビックリしましたよ(苦笑)なかなか面白い状況になってきて今後に期待ということで。
読了日:12月19日 著者:竹岡 葉月,勝田 文
最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある (ダッシュエックス文庫)最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある (ダッシュエックス文庫)感想
孤高のゲーマー・古霧坂里央。学校一の完璧美少女、真理峰桜。現実世界では何の関わりもない2人が、VRゲーム「MEO」で最強コンビとして名を馳せる物語。妹の同級生以外は何の接点もない、学校では違う意味で有名人の2人。そんな2人がVRMMOのゲームの中では同棲して、お化け屋敷気分の廃墟探索や混浴イベント、他プレイヤーと協力して超大型ボスと阿吽の呼吸で戦いながら周囲も呆れるいちゃいちゃっぷりで、だけどこの二人付き合ってないんですよ…?(苦笑)こういう関係は邪魔者が出現してこそさらに燃え上がりそうなので次巻に期待。
読了日:12月19日 著者:紙城 境介,きただ りょうま
1LDK、そして2JK。 ~26歳サラリーマン、女子高生二人と同居始めました~ (ファンタジア文庫)1LDK、そして2JK。 ~26歳サラリーマン、女子高生二人と同居始めました~ (ファンタジア文庫)感想
父の頼みで疎遠だったギャルJKの従妹・奏音を預かることになった独身サラリーマン・駒村。そんな帰りに痴漢から助けた家出JK・ひまりも転がり込んでくる同居物語。母親が失踪して行き場をなくした奏音と、夢を諦めたくない一心で家出したひまり。タイプの違う二人にもそれぞれ抱く複雑な想いがあって、それを戸惑いながらも同居を始めた駒村が真摯に支えたいと思う姿がいいですよね。そんな状況で現れた駒村の幼馴染という強力な伏兵出現は物語の重要なポイントになりそうですけど、ここからどう展開していくのか今後が楽しみなシリーズです。
読了日:12月20日 著者:福山 陽士
帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)帝剣のパラベラム (ダッシュエックス文庫)感想
己の力で名声を得るため、仲間たちとともに遊歴の騎士として旅をする皇帝の妾腹の子・アルヴェールが、帝国を滅ぼそうと企む陰謀に巻き込まれてゆくファンタジー。神敵には大鎌を振るい隙あらば夜這いをかけてくるシルファ、大食いで名言好きなセイランと旅を続けていたアルが抱く皇帝への複雑な想い。けれど巨大な魔物「地底樹」出現を放っておけない彼が、シルファも絡んだ因縁のエルフとその魔物に挑む展開は熱かったですし、その過程で挟まれるアルの過去エピソードが、仲間に慕われる彼のこれまでの成長を物語っていてなかなか効いていました。
読了日:12月20日 著者:川口 士,kakao
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦8 (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦8 (ファンタジア文庫)感想
魔女狩りの夜で甚大な被害を受けた皇庁では女王が帝国軍襲撃事件の責任を問われ、女王の負傷により女王代理となったアリスは、黒幕を暴く鍵となるシスベルの救出をイスカたちに託す第八弾。黒幕の思惑通りな展開を覆すべく、ヒュドラ家の星霊工学研究所に潜入するイスカたち。新登場の王女・ミゼルヒビィは確かに強敵でしたが、それよりもミラを傷つけられて怒るサリンジャーや、イスカが絡むとポンコツになるお疲れ気味なアリスの方がインパクトありました(仕方ない)。いつの間にか帝国潜入任務で星庁の命運を託されてた燐…責任重大だな(苦笑)
読了日:12月20日 著者:細音 啓
アサシンズプライドSecret Garden2 (ファンタジア文庫)アサシンズプライドSecret Garden2 (ファンタジア文庫)感想
マナを持つ令嬢たちの研鑽を見守る暗殺教師のクーファ。レッスン以外の日々も騒々しい彼の教師生活が描かれる外伝第二弾。メリダの成長具合を確かめるため、絵のモデルと称して服を脱がせたり、ハプニングで下着姿のエリーゼと修行することになったり、サラシャとミュールのメイド力を審査したり、そんなつもりはなくともちょっと残念な暗殺教師になってて苦笑いでしたが、マディアとの泥棒探しエピや、公爵令嬢たちと力を合わせて開催したパーティーなど、恥じらいながらもクーファたちを慕う令嬢たちが可愛くて、らしいエピソードを楽しめました。
読了日:12月20日 著者:天城ケイ
北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし ~契約夫婦がめぐる四季~ (PASH!ブックス)北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし ~契約夫婦がめぐる四季~ (PASH!ブックス)感想
極寒の地を治める陽気な貧乏貴族・リツハルドと男顔負けな元軍人・ジークリンデ。とある夜会で出会いリツハルドの一目惚れから始まった、1年間の「お試し婚」での四季の暮らしを綴る書き下ろし短編集。コミック読者への配慮か、出会いのエピソードなどを補完しつつ、リンゴのコンポートにパンケーキ作りをしたり、薬草採取に出かけたり、村の子供たちと復活祭を楽しんだり、領主としての責任を果たしたりと、一緒にのびのびと生活した四季を過ごすことで、不器用な二人がお互いのことを理解し、距離感を縮めてゆくのも納得できる素敵な物語でした。
読了日:12月21日 著者:江本 マシメサ
一乗寺探偵事務所の広辞くんと千世子さん (メゾン文庫)一乗寺探偵事務所の広辞くんと千世子さん (メゾン文庫)感想
浮気調査に人捜し、その他どんな不思議な依頼でも承り中の一乗寺探偵事務所。所長不在の中でも、依頼解決のために仲良し夫婦が奮闘する日常ミステリ。広辞苑仕込みの知識を披露する広辞くんと、食いしん坊の千世子さんが調査する浮気調査の真相、いなくなった金魚、そして二人の出会いと後輩の父親探しの顛末。時系列やところどころでうん?と思うような何か少し違和感があると思ったら意外な事実が明らかになって、そこからの真相に言われてみればと思い当たりましたけど、強い絆と注意深い観察がもたらした優しく幸せな結末に救われる思いでした。
読了日:12月22日 著者:山咲 黒
破滅の刑死者2 内閣情報調査室CIRO-S第四班 (メディアワークス文庫)破滅の刑死者2 内閣情報調査室CIRO-S第四班 (メディアワークス文庫)感想
国家機密ファイルを巡る命懸けの捜査線から無事生還し、その功績から揃って捜査官として仮採用された雙ヶ岡珠子と戻橋トウヤ。次の任務として彼らがある大学の「連続不審死事件」の潜入捜査に挑む第二弾。彼らに提示された事件は不可解な死因、物証もゼロで、接点のない三人の被害者という謎に潜む能力者の存在。二人に接触してくるいかにも怪しい教授と謎の少女がいて、ややこしい展開のわりにはギリギリだった勝負の中から見えてきた黒幕は分かりやすかったですけど、一方でいいところで顔を出したまゆみさんも今後焦点になってきそうですね…。
読了日:12月23日 著者:吹井 賢
訳ありブランドで働いています。 ~王様が仕立てる特別な一着~ (メディアワークス文庫)訳ありブランドで働いています。 ~王様が仕立てる特別な一着~ (メディアワークス文庫)感想
社長が失踪し会社は倒産、アパートは火事で焼失。全てを失ったカナが、紹介されたシェアハウスの大家・前園に巻き込まれ洋服知識ゼロなのに個人経営の小さなアパレルブランドで働きはじめる物語。騙して実質タダ働きさせるとかブラックだなあと苦笑いしましたが、カナを長年無自覚に貶める存在だった男友達と決別できたのは良かったですし、コスパキング前園や引きこもりデザイナー・アリス、ワケありモデルのミキなどと関わるうちに、自ら積極的に関わるようになったり、互いにいい影響を及ぼすようになってゆく姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:12月23日 著者:神戸遥真
トラットリア代官山 (ハルキ文庫)トラットリア代官山 (ハルキ文庫)感想
亡き父から受け継いだ店を気丈に守り続ける男装の女支配人・大須薫と天涯孤独の年下敏腕シェフ・安東怜が、訪れたお客の問題を解決に導くグルメ小説。結婚して代官山で暮らす友人に抱く独身アラサー女子の複雑な思い、転落事故で記憶を失った父親と愛犬の失踪の真相、若きネイリストが抱いた彼への疑念の顛末といった事件をお客様と一緒に解決する展開で、そんな積み重ねが最後に繋がりましたね。美味しそうな料理との描写も合わせて著者さんらしい物語でした。薫と怜の関係も気になるところですけど、そのあたりも続刊で読めることを期待してます。
読了日:12月24日 著者:斎藤千輪
ぼくたちのリメイク7 ものをつくるということ (MF文庫J)ぼくたちのリメイク7 ものをつくるということ (MF文庫J)感想
九路田組で驚異的な成長を遂げていくシノアキ。最後のピースを取り戻して盤石の体制になったチームきたやま△も対決に向けて一丸となり制作を進めていく第七弾。圧倒的なクオリティを誇る九路田組の作品に評価で超える為、橋場が打ち出した秘策。学園祭では意外な存在感を発揮した河瀬川が微笑ましかったですが、力量が飛び抜けているシノアキたち強敵相手の決着は、全く違う方向からのアプローチで面白かったですね。悩める仲間たちを見事未来へと導いた橋場の本番はこれからで、もっとたくさんの人に読んでもらいたい期待感のあるシリーズです。
読了日:12月24日 著者:木緒 なち
君死にたもう流星群5 (MF文庫J)君死にたもう流星群5 (MF文庫J)感想
高校時代にタイムリープを果たし、多くの友人たちの『夢』を手助けしたがゆえに、自分自身に夢がないことに劣等感を抱くようになっていく大地。謎の後輩『犂紫苑』が現れて意外な正体を明かす第五弾。星乃が宇宙飛行士という夢に着々と近づく中、それを素直に喜べない大地に起きた異変。タイムリープの背景が明らかになってゆく中で、目をそらしていた根本的な問題が顕在化する絶望的な展開で、それでもこれまでの積み重ねがあったからこそ挽回の機会もあって、だいぶ変わってきた大地の姿にはぐっと来るものがありましたけど、最後の展開は...。
読了日:12月24日 著者:松山 剛
朝比奈若葉と○○な彼氏2 (MF文庫J)朝比奈若葉と○○な彼氏2 (MF文庫J)感想
「罰ゲーム」で告白し晴斗の優しさにだんだんと心惹かれていく若葉。けれどその嘘が晴斗の親友・備前亮一にバレてしまい絶望する第二弾。晴斗の優しさに希望を見出しかけていたからこその、嘘がバレてしまう恐怖を突きつけられた若葉の絶望。そりゃ動揺するのも仕方ないよな…と思いながら読んでましたけど、若葉の嘘を密かに知ってしまってからの晴斗の周囲を巻き込んでの獅子奮迅ぶりが凄まじくて、見事若葉を救ってハッピーエンドに導いた展開はぐっと来るものがありました。晴斗の友人たちの話も面白そうだし機会があるなら読んでみたいですね。
読了日:12月25日 著者:間 孝史
朝比奈うさぎは報・恋・想で推理する (新潮文庫nex)朝比奈うさぎは報・恋・想で推理する (新潮文庫nex)感想
超絶可愛い女子大生ストーカー朝比奈うさぎの重すぎる愛に悩まされ続ける探偵の迅人。そんな二人の前に№1キャバ嬢になっていた迅人の元同級生で初恋の相手・揚羽沢が現れる第二弾。キャバクラ、バッティングセンター、高校時代の林間学校、ビラ配り時など、相変わらず殺人事件に巻き込まれ体質な迅人は昔からそうだったんだなと苦笑いでしたけど、恋のライバルでもあるノリのいい揚羽沢が加わったことで賑やかになり、なぜか真相にたどり着いてしまううさぎの妄想推理を絡めたカオスっぷりがなかなか面白かったので、揚羽沢のレギュラー化に期待。
読了日:12月26日 著者:柾木 政宗
天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)天才少女Aと告白するノベルゲーム (ファミ通文庫)感想
大好きなフリーゲーム制作者Aに会うため、桜山学園ゲーム制作部に入った水谷湊。しかしAと思しき部長の菖蒲は不登校で、彼女が学校に来るよう部員たちから託される青春小説。仲が良さげなゲーム部員が抱える苦い過去、そして湊のもとに送られてきたひとつのノベルゲームが示唆する過去。部員それぞれの事情が明らかになってゆくたびに彼らの印象も変化して、構図が二転三転した末の決着は新たな違和感に繋がって、確執が残る母とも向き合いつつバットエンドに隠されていた真相を見出して、大切な笑顔を取り戻してみせた結末がとても印象的でした。
読了日:12月26日 著者:三田 千恵
蟲愛づる姫君の寵愛 (キャラブン!小学館文庫)蟲愛づる姫君の寵愛 (キャラブン!小学館文庫)感想
夫の意向などものともしない新婚生活を送る玲琳。蟲師の彼女から世継ぎの王子や姫が生まれることを危ぶんだ姜大臣が鍠牙に側室を進める第二弾。相変わらずな二人には苦笑いでしたけど、何とも複雑な背景をお持ちの姜大臣が送り込んだ側室は元婚約者の妹…。どうにも捻くれた二人の関係だからこそ、ふとしたきっかけでボタンの掛け違いが起こるわけですけど、しかし鍠牙の母・夕蓮の化物っぷりというか、周囲への悪影響が半端ないですね。玲琳の心境にも変化が起こりつつあるようですが、今後彼女や鍠牙との関係がこれからどう変わるのか楽しみです。
読了日:12月26日 著者:宮野 美嘉
科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました (文春文庫)感想
自社の非科学的な商品にダメ出しをしたばかりに、最も行きたくなかった商品企画部に島流しになった大手電器メーカーに勤める科学マニア羽嶋賢児。その真っすぐすぎる科学愛が騒動を巻き起こすお仕事小説。苦い経験をさせられたり振り回された過去から、似非科学を否定し空気を読まずに正論を言って衝突する賢児。正しければいいというものでもないという現実と、科学好きを拗らせてしまう要因となった複雑な事情…こんな人が周囲にいたら疲れそうですが、科学研究を巡る厳しい事情も語られていたりで、理想と現実のバランスを取るのは難しいですね。
読了日:12月27日 著者:朱野 帰子
僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)僕が僕をやめる日 (メディアワークス文庫)感想
困窮し生きることに絶望した立井潤貴。そんな彼を救った高木健介の代わりに大学に通うようになった二年後、高木が突如失踪するミステリ。作家でもある高木との充実した共同生活、そして失踪から始まる突然の暗転。残された数少ない手掛かりと作品をもとに高木の過去を知る人に会い、その行方を追う立井が知ってゆく意外な繋がりと高木の壮絶な過去。彼らが置かれた環境の過酷さと、何度も絶望感を突き付けられる彼らの生々しい感情描写はインパクトがあって、繋がってゆく複雑な因縁とその結末に至るまでを描く著者の熱い想いで読ませる物語でした。
読了日:12月28日 著者:松村 涼哉
(P[た]2-1)執筆中につき後宮ではお静かに: 愛書妃の朱国宮廷抄 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[た]2-1)執筆中につき後宮ではお静かに: 愛書妃の朱国宮廷抄 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
自室に引きこもれるという理由で後宮入りし、日々執筆にいそしむ娘・青楓。謎の襲撃者たちに襲われたところを皇帝に救われ、愛憎渦巻く後宮の陰謀に巻き込まれてゆく中華風ファンタジー。皇帝から後宮の不審死事件の真相を掴むべく協力を命じられた青楓は意外と才色兼備なのに価値観がズレていて、自分を雑に扱う彼女を新鮮に感じる皇帝との距離感はこれからな感じでしたけど、個性的な上級妃嬪たちにも振り回され、複雑な想いを抱えながら事件を解決に導く青楓のありようがなかなか印象的で面白かったです。これは続巻を読んでみたいと思いました。
読了日:12月28日 著者:田井 ノエル
卒業タイムリミット卒業タイムリミット感想
欅台高校の女教師・水口理紗子が突如監禁され、犯人が72時間後に始末するとネット動画で予告。卒業間近の3年生・黒川のもとに犯人から挑戦状が届き、同じ挑戦状が届いた同級生三人と事件解決に挑むタイムリミットミステリ。監禁された水口の人間関係を探るうちに浮上する三人の教師たち。挿入される生徒たちの意味深な告白や散りばめられた伏線が意外なところで繋がっていて、思っていた以上に根が深いと感じた事件の真相はやや意外でしたが、最後の三日間の挑戦を乗り越え一回り成長した彼らが迎えた卒業式にはぐっと来るものがありました。
読了日:12月29日 著者:辻堂 ゆめ
本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)本を愛した彼女と、彼女の本の物語 (メディアワークス文庫)感想
生まれた時から意識があった文庫本『ホテル・カロン』。なかなか売れなかった文庫本と、ある一人の少女が出会い、ともに過ごしたかけがえのない日々の物語。病弱な女の子・銀河に勇気をもたらした『ホテル・カロン』との出会い。そんな密かに彼が見守る銀河の成長と、親友・睦月との邂逅、運命の相手・輝星とのと出会い。見守ることしかできない本の視点というのがもどかしくて、けれどそんな想いはかけがえのない彼女にもしっかり伝わってたんでしょうね...最後まで寄り添い続けた姿がとても印象的で、受け継がれてゆく想いを感じる物語でした。
読了日:12月29日 著者:上野 遊
スワンスワン感想
巨大ショッピングモール「スワン」で起きた前代未聞のテロ事件。生き残った五人の関係者に招待状が届き、事件の中の一つの死の真相を明らかにするために集まるミステリ。自暴自棄なテロリストによる襲撃という極限状況において、それぞれがどんな行動を取ったのか。同じ被害者でも各々が置かれた立場は違って、思惑を秘めて参加したお茶会で暴かれる当日の行動。その場で最善を取るのは容易ではなくて、終わってからもどうすればという後悔は消えなくて、そんな中でどんなに追い詰められても大切なものを手放さなかったいずみの決意が印象的でした。
読了日:12月30日 著者:呉 勝浩
ムゲンのi(上)ムゲンのi(上)感想
眠りから醒めない謎の病気・イレスという難病の患者を3人も同時に抱える女医・識名愛衣。霊能力者である祖母の助言により、患者を目醒めさせるために魂の救済〈マブイグミ〉に挑むミステリ。父と一緒に乗った飛行機で視力を失いパイロットの夢を絶たれた娘、無実と信じて無罪を勝ち取った被告が殺人を犯した現実を突き付けられた弁護士を夢幻の中で救ってゆく展開で、珍しいファンタジーっぽい要素がある展開でしたけど、解決するたびに新たな謎が増えてゆく中でこの物語をどうまとめあがるのか、現実世界とのリンクも気になるところではあります。
読了日:12月31日 著者:知念 実希人
ムゲンのi(下)ムゲンのi(下)感想
次々とマブイグミを成功させた識名愛衣。次第に患者のトラウマが都内西部で頻発する猟奇殺人と関係があり、しかも23年前の少年Xによる通り魔殺人とも繋がっていたことに気付き難事件の真相究明に立ち向かう下巻。イレスの繋がりが見えてきた中で救急搬送されてきた虐待された形跡のある少年、そして愛衣自身が記憶から消していた現実。繋がってゆく様々な出来事や事実の中で、ようやく置かれた現状を理解した愛衣も辛かったとは思いますが、そんな過去を乗り越えて大切な人たちの温かい想いに見守られていたことを知る結末がとても印象的でした。
読了日:12月31日 著者:知念 実希人

読書メーター