読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2019年8月に読んだ本 #読書メーターより

8月はコミックを除いても64冊と大型夏休みがあったわりにはわりと読めました。レーベル単位で読みたい本が集中していて、そこの消化がだいぶ苦労したのと積読が増えすぎていて、減らすのにだいぶ難儀しました。でも読んだ本は新作もシリーズ続巻も全体的に満足度高めで、読んでよかったと思える本が多かったです。

 

8月の読書メーター
読んだ本の数:93
読んだページ数:23893
ナイス数:6638

出身成分出身成分感想
平壌郊外の保安署員クム・アンサノが11年前の殺人・強姦事件の再捜査を命じられ、簡単だったはずの捜査を進めるうちに思ってもみなかった真実が明らかになってゆくミステリ。再認識する捜査の杜撰さと国家の横暴さ、そして思わぬ形で浮上する元医師だったアンサノの父の存在。脱北者の証言に基づいて描かれたという出身成分によって扱いが相当異なる北朝鮮の世界には愕然としましたが、こういう何を信じていいのか分からない心休まらない日常だったり、個人の尊厳が脅かされかねない社会で生きるということをしみじみと考えさせられる物語でした。
読了日:08月01日 著者:松岡 圭祐
京洛の森のアリス III 鏡の中に見えるもの (文春文庫)京洛の森のアリス III 鏡の中に見えるもの (文春文庫)感想
ナツメのカフェ経営の夢を叶えるために別々に暮らすことになるありすたち。新たな生活のはじまりに蓮はありすと幼い頃に交わした結婚の約束を白紙に戻すことを決める第三弾。確かに蓮のことを好きだけれど結婚するとなるとどこか逡巡してしまうありす。いったん一度距離を置いて、別々の場所で周囲の人たちの恋模様も絡めながらお互いに自分の大切なものだったり、相手への想いを見つめ直してゆく展開はいろいろ気づくことも多かったりで、ありすと蓮の成長のきっかけになったようですね。リスタートした二人のこれからの物語にまた期待したいです。
読了日:08月02日 著者:望月 麻衣
一華後宮料理帖 第九品 (角川ビーンズ文庫)一華後宮料理帖 第九品 (角川ビーンズ文庫)感想
理美誘拐の真相を巡り尋問が始まり、皇帝としての判断を求められる祥飛が考仁と対立することに。考仁は宰相の地位を退くと宣言、宮城を去る最悪の事態を迎えてしまう第九弾。郷里に引きこもってしまった考仁を翻意させるため、自ら祥飛に願い出て説得に向かう理美。国のためという考仁の目指すところはハッキリしていて、そんな彼の力が祥飛には必要で。朱西との関係も絡め考仁に様々ことを気づかせた理美も流石でしたけど、積み重ねてきた祥飛の成長も感じましたね。けれどいい感じにまとまるかと思いかけたところでの朱西の態度が気になります…。
読了日:08月02日 著者:三川 みり
これは学園ラブコメです。 (ガガガ文庫)これは学園ラブコメです。 (ガガガ文庫)感想
虚構を司る力が擬人化された存在・言及塔まどかによって学園ラブコメとされた世界。まどかに振り回されながら主人公・高城圭がラブコメの世界をSFやらファンタジーの浸食から守り抜く物語。そんな話なんだろうなと思いながら読んでましたが、ファンタジーやSFといった世界観の中で、典型的な3人のヒロインたちも立ち位置を変えながら物語に絡んでくるテンションの高い展開で、要はこの著者さんらしいこのカオスなのに分かりやすい構図を楽しめるかなんですよね…個人的にオモシロイとは思うけど、好みの方向性とはちょっと違うのかなと(苦笑)
読了日:08月03日 著者:草野 原々
少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫)少女は鳥籠で眠らない (講談社文庫)感想
法律事務所に務める新米弁護士木村と有能な先輩・高塚のコンビが挑む連作リーガル・ミステリ。15歳の少女に手を出したとして逮捕された元家庭教師、中退した元同期の覚悟、浮気され離婚を望む男が親権を望んだ理由、そして高名な芸術家と娘の関係の4話からなる構成で、最初は一見よくあるありふれた事件に思えますが、それが性格の違う弁護士コンビによる別視点からのアプローチによって、もうひとつの構図を浮かび上がらせてゆく構成となっていて、事件決着後に木村が垣間見るほろ苦くもなかなか味わいのある結末がとても印象的な物語でした。 
読了日:08月04日 著者:織守 きょうや
(P[ふ]4-7)この夏のこともどうせ忘れる (ポプラ文庫ピュアフル)(P[ふ]4-7)この夏のこともどうせ忘れる (ポプラ文庫ピュアフル)感想
塾の夏季合宿に参加した受験生・圭人が抱える秘密、友人の家に姉妹で招かれる夏休みの日々、打ち上げ花火と男の子たちの夏、恋多き女子高生・梨奈が出会った篠くんとの恋、海で出会ったアオと出会い思い出す父親へ想い。夏休みという長い非日常を舞台に、いつもと違う場所で出会い、交流を深めてゆく中で、登場人物たちにこれまでなかった新たな心境が芽生えていく様子が繊細な描写で描かれてゆく連作短編集で、戸惑いながらも向き合い受け止めるようになってゆく姿がとても印象的でした。個人的には「昆虫標本」と「生き残り」が良かったですね。 
読了日:08月05日 著者:深沢 仁
三体三体感想
物理学者の父を文化大革命で惨殺されて、人類に絶望した中国人女性科学者・葉文潔。その数十年後、ある会議に招集されたナノテク素材の研究者・汪淼が、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる中国SF小説。なぜそのような怪現象が起きているのか。父を殺されたその後の葉文潔が描かれて、VRゲーム『三体』が示唆するものは意味深で、明らかになった真相がまた壮大なスケールの物語でしたけど、それでいて要所で人間らしい生々しい感情がポイントになっていたのが印象的でした。三部作ということらしいので続編にも期待しています。
読了日:08月05日 著者:劉 慈欣
拝み屋カフェ 巡縁堂 (小学館文庫キャラブン!)拝み屋カフェ 巡縁堂 (小学館文庫キャラブン!)感想
結婚予定の恋人と天職だと思っていた仕事をいっぺんに失った、不運すぎるアラサー女子の藤堂朱音。傷心を抱えて地元・仙台へと戻ってきた彼女が、拝み屋カフェ「巡縁堂」を準備中の幼馴染・玲二を手伝う物語。昔お世話になった先生と亡くなった猫のエピソードだったり、新居で不審な出来事が続く友人の何ともほろ苦い結末だったり、玲二の洞察力で原因を解決してゆく展開でしたけど、傍から見たらバレバレなのに朱音が鈍いゆえになかなか気づいてもらえない玲二の頑張りを密かに応援したくなりました(苦笑)続巻あるならまた読んでみたいですね。 
読了日:08月06日 著者:宇津田 晴
彼女は死んでも治らない (光文社文庫)彼女は死んでも治らない (光文社文庫)感想
いつも殺されがちな最高に可愛い幼馴染の沙紀。普通じゃないレベルで彼女のことが好きな女子高生・神野羊子が得意の推理を巡らせるハイテンションコージーミステリ。沙紀を殺した犯人を羊子が見つけ出すと、犯人を身代わりになぜか彼女が生き返る歪な関係、そんな羊子と一緒にいてサポートする昇の存在。のんびり屋なのに核心を突く乃亜や、正義感あふれる拝み屋女子高生・楓との出会いは羊子たちの関係に変化をもたらして、あの斜め上のカオスな展開から始まったこの物語を、伏線や真相を絡めつつすっきりとまとめ上げてみせた結末はお見事でした。
読了日:08月06日 著者:大澤 めぐみ
(P[そ]2-1)あの夏を、いつかの君と。 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[そ]2-1)あの夏を、いつかの君と。 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
入学早々、記憶にない過去の出会いを主張するイケメン男子・大澤祈につきまとわれる普通の女子高生・美弥緒。とある出来事で過去にタイムスリップした彼女が6歳の祈と出会い、彼の父親捜しを手伝う青春小説。タイムスリップによって繋がる九年前の出来事。育ての親を探すために家出した祈とミャオの父親探しの旅。小さな祈を巡る様々な人たちとの出会いがあって、二人の間に育まれてゆく確かな絆があって、話の筋としては分かりやすいストレートな展開ではありましたけど、不思議な経験が紡いだ二人の関係のリスタートがとても素敵な物語でした。
読了日:08月07日 著者:苑水 真茅
(P[す]1-2)秋葉原オーダーメイド漫画ラボ: 今日から「0課」担当します! (ポプラ文庫ピュアフル す 1-2)(P[す]1-2)秋葉原オーダーメイド漫画ラボ: 今日から「0課」担当します! (ポプラ文庫ピュアフル す 1-2)感想
連載を打ち切られて仕事を失った崖っぷちのアラサー漫画家の月高アユムが、秋葉原の町で漫画以外のあらゆるものを漫画にする会社のJK社長・クルミと出会うお仕事物語。気力を失い秋葉原の町を彷徨っていたアユムが出会った、会社の中でもマンガに関わる変わっていたり面倒な案件だけを担当する「0課」のお仕事。時には戸惑ったり空回りするものの、挫折を知るからこそ訪れた悩める客に寄り添い、きちんと向き合ってよりよい道を見出し喜びを分かち合う、そんな一生懸命で優しいアユムにいつの間にか周囲も感化されてゆくとても素敵な物語でした。
読了日:08月07日 著者:隙名 こと
アリア嬢の誰も知らない結婚 (集英社オレンジ文庫)アリア嬢の誰も知らない結婚 (集英社オレンジ文庫)感想
王立学士院魔法学科で落ちこぼれの少女・アリアと、エリート研究者兼教師を務める王族の青年・ラルシェの秘密。男女交際禁止の学士院でとある事情から夫婦になってしまった二人のマリッジラブコメディ。精霊を集めるのは得意だけれど魔法制御が致命的なドジっ子アリアを、密かに愛らしいと可愛がるラルシェ。周囲には内緒の相手の想いになかなか気づけないニブい二人によるもどかしくも甘いやりとりや、誤解からの迷走といった王道展開をベースとした物語で、周囲のいろいろ気になる関係も絡めながらのお約束のストーリーは安心して楽しめました。 
読了日:08月08日 著者:我鳥 彩子,明菜
鎌倉男子 そのひぐらし 材木座海岸で朝食を (集英社オレンジ文庫)鎌倉男子 そのひぐらし 材木座海岸で朝食を (集英社オレンジ文庫)感想
鎌倉材木座の早朝から開店している食堂「そのひぐらし」。そこで働く不器用な3人のバイトたちと訪れる常連客たちのやりとりを描く青春小説。偉大な兄を持つ迷走高校生・水澄と幼馴染の関係、何でもそつなく大学生・統一郎の初恋、コミュ力は高い悩み多きフリーター・流の閉塞感が描かれてゆく展開で、ほろ苦い恋やなかなかうまく行かない人生だったり、実際にはそうそう上手くいくことばかりでもない現実があって、不器用な悩める彼らが怠惰な店長や同僚、そして常連客たちのフォローも得ながら向き合い頑張ろうとする姿は応援したくなりました。 
読了日:08月08日 著者:相羽 鈴
りゅうおうのおしごと! 11 (GA文庫)りゅうおうのおしごと! 11 (GA文庫)感想
奨励会三段リーグで三連敗を喫して心が折れた銀子。銀子の懇願に八一が二人で旅に出かける第十一弾。なぜ八一は銀子を『姉弟子』と呼ぶようになったのか?銀子は女流タイトルを求めたのか?二人の出会いと将棋を指した修行の日々、銀子の生い立ちと支えてきた人まで、ここに至るまでの背景が明らかになっていった展開でしたが、八一も今回は頑張りました(やっぱり過去にいろいろやらかしてたけどw)。大切な絆を取り戻した銀子の諦めない強い気持ちに心揺さぶられました。しかしエピローグの二人との因縁は…執念深そうで業が深いですね(苦笑) 
読了日:08月08日 著者:白鳥士郎
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?4 ~好きの対義語は大好き~ (GA文庫)ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?4 ~好きの対義語は大好き~ (GA文庫)感想
妹・姫のところに転がり込んだバツイチの姉・妃。アラサー女子のお泊まり会に始まり、さらに初めてのカラオケ、初めての夏祭り、初めての浴衣姿と二人の夏が熱い第四弾。え、またもやあの制服姿…?からの怒涛の展開には思わず笑ってしまいましたが、親友の雪に妃も加わったダメ出しの連続に動揺して迷走&暴走する姫が残念すぎるというか何というか…でも桃田もやっぱり年頃の男の子だったんですね(苦笑)少しずつつ前進している二人はいいとして、前半の伏線が最後の最後で回収されて、さらにややこしいことになりそう?面白くなってきました。 
読了日:08月08日 著者:望公太
おいしいベランダ。 返事は7日後のランチで聞かせて (富士見L文庫)おいしいベランダ。 返事は7日後のランチで聞かせて (富士見L文庫)感想
就職活動の手がかりに、企業インターンシップに参加して自分がどう働きたいかを考え始めたまもり。一方、葉二は神戸への転職を言い出せないまま焦りを募らせる第七弾。まもりの弟・ユウキのエピソードはちょっと意外な展開でしたけど、まもりもいよいよ就職を意識していろいろ思うところが出てきて、友人たちを含めたそれぞれのスタンスが興味深かったですけど、ヘタレな葉二を見ていて二人の今後はどうなるのかと思ったら、まさかの急展開すぎてえええ?となりました。いやこれは次巻でどんな展開が待っているのか、俄然楽しみになってきましたね。
読了日:08月08日 著者:竹岡 葉月
かくりよの宿飯 十 あやかしお宿に帰りましょう。 (富士見L文庫)かくりよの宿飯 十 あやかしお宿に帰りましょう。 (富士見L文庫)感想
ついに始まる八葉夜行会。大旦那の“真実”と自分の気持ちに向き合った葵が、彼を救う協力者を得るため妖都を奔走する第十弾。大旦那を助けるため、かつて葵の料理を否定した大湖串製菓の八葉・ザクロと勝負したり、暁とお涼コンビで天狗の松葉を説得したり、葵自身が大旦那を探しに行ったり、仲間と協力しながら逆転を目指す総力戦的展開でしたけど、これまで積み重ねてきた様々な縁や、挑戦を忘れない葵の心意気が大きなポイントになってゆく展開にはぐっと来るものがありましたね。今巻で完結はしましたけど、後日談エピソードも期待しています。
読了日:08月09日 著者:友麻碧
蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)蟲愛づる姫君の婚姻 (小学館文庫キャラブン!)感想
蠱毒をこよなく愛し周囲から「毒の姫」とあだ名される斎帝国の第十七皇女・李玲琳。そんな彼女が最愛の姉である斎国の女帝・彩蘭の指示で魁国の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐ物語。華やかな衣裳や宝石より蟲が大好きな著者さんらしい強烈なキャラクターですけど、嫁ぎ先もまた鍠牙が命を狙われたりいろいろ物騒なところで、彼女の特技を活かしてその存在を認められてゆく展開はいいですね。姉に劣らず鍠牙も少しばかり執着気味なのはアレですが、結果から見れば水が合ったと言うかいい居場所を見つけられたのかな。続巻あったらまた読んでみたいです。 
読了日:08月09日 著者:宮野 美嘉
俺の妹がこんなに可愛いわけがない(13) あやせif 上 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない(13) あやせif 上 (電撃文庫)感想
個人的に最終巻の京介の選択にえええ...とぶん投げてからもうこんなに時間が経ってましたか。高校3年の6月、桐乃のことで相談をするあやせと京介のifルート上巻。あいかわらずあやせにだけは変態な京介と、誤解であったことは薄々感づいていたあやせが、アキバデートをしたり一緒に妹ゲーをプレイしたり、夏コミに参加したりといろいろ積み上げてゆく展開でしたけど、この流れで決定的に何かがあったというよりは、ここまでの積み重ねがあっての今回の結末ということですかね。ここからどう関係性が変わってゆくのか続巻に期待ということで。
読了日:08月10日 著者:伏見 つかさ
あの日、神様に願ったことはII girls in the gold light (電撃文庫)あの日、神様に願ったことはII girls in the gold light (電撃文庫)感想
試練を無事に乗り越えた燈華の奇跡を見届けた叶羽。しかし、ようやく訪れた穏やかな日常を過ごす彼の前に、とある小説を手に告白してきた黄金井月泪の登場で事態は一変する第二弾。同じように神様から試練を与えられた月泪。未だ胸に後悔を抱き続けている叶羽と、友達をうまく作れない不器用な月泪に、すっかり正妻感が出てきた燈華先輩やAzureの二人たちも絡めての展開はとても眩しい青春でしたけど、もちろんそのままで終わるはずもなくて、けれどみんなに支えられながら信じて乗り越えた先に待っていた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:08月10日 著者:葉月 文
吸血鬼に天国はない (電撃文庫)吸血鬼に天国はない (電撃文庫)感想
大戦と禁酒法で旧来の道徳が崩れ去った時代。非合法の運び屋シーモアのもとに、運んで欲しい荷物として正真正銘の吸血鬼の少女・ルーミーが持ち込まれる歴史ファンタジー。仕事上のトラブルから始まったルーミーとの同居生活。吸血鬼らしさを見せないルーミーと共に過ごすうちにシーモアの心境が変化してゆく中で、ふと気づいてしまったひとつの事実。確かに変わってしまった何かがあって、それでも二人の間には確かに育まれていたものがあって、ぶつかりあった本音の先にあった結末がとても自分好みでした。これは続巻に期待大の新シリーズですね。
読了日:08月11日 著者:周藤 蓮
榮国物語 春華とりかえ抄 五 (富士見L文庫)榮国物語 春華とりかえ抄 五 (富士見L文庫)感想
海宝はようやく宰相となったものの、政敵・白水は財政機関を司る三司という地位を利用してさらに妨害を仕掛け、春蘭は皇帝の勅旨をもって妨害を躱そうと画策する第五弾。結果に独裁へ繋がるのではという懸念が強まり、春蘭が何者かに攫われてしまい、莉珠が春雷の言動に不信感を募らせてゆく展開。今回はやや改革を急ぎすぎたことに対する貴族側の反動が出た感もありましたけど、貴族側も歪んだ使命感があったり保守的だったり面倒そうですね。とりあえず莉珠と春雷の方は何とか関係を修復できたようですが、春蘭と海宝の方ももう少し進展を期待。 
読了日:08月11日 著者:一石月下
さようならまでの3分間 (メゾン文庫)さようならまでの3分間 (メゾン文庫)感想
マンションの屋上から転落し事故死した女子高生の花村幸。自分の未練に気づけない彼女がAと名乗る謎の女性から『交通整理人』になるよう告げられる物語。後悔があってあの世へ行けない人に過去をやり直すための3分間を与える役割を担う彼女が出会った、すれ違ったままの婚約者、初恋の人と再会できなかった老婦人、勝てないまま死んだプロボクサー、自身の死に関わった幼馴染…。過去は変えられない中でいかに未練を解消するか、それぞれのやり方で向き合った人たちの真摯な選択は印象的でしたし、誤解が解けた二人の結末には救われる思いでした。
読了日:08月11日 著者:桜井 美奈
仕事ごっこ ~その“あたりまえ"、いまどき必要ですか?仕事ごっこ ~その“あたりまえ"、いまどき必要ですか?感想
「郵送」「印刷して配布」「とりあえず打ち合わせ」「手書き」「メールを送ったら電話で確認」「押印」「メール添付で圧縮してパスワードは別送」「ひたすらテレアポ」「とにかく相見積り、コンペ」「年末年始の挨拶や表敬訪問」「スーツ&ネクタイ」等々、仕事のスピードを遅くし、時間をムダにしている「仕事ごっこ」を挙げた一冊。確かにその通りだと思うしやってみたら問題ないことも多そうな気がするけど、この無駄をなくすためには正論をぶつけてもダメで、うまく根回しして感情的なものを懐柔していかないと上手く行かないんですよね(苦笑)
読了日:08月12日 著者:沢渡 あまね
Re:ゼロから始める異世界生活20 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活20 (MF文庫J)感想
『強欲』と『憤怒』の大罪司教が陥落し、なおも戦いの続く水門都市。冴えた銀の月に見守られながら、各地の仲間たちの奮戦が火花を散らす第二十弾。思わぬ形で果たされた剣鬼の過去の因縁の決着は、 アストレア家家にとっていろんな意味で何ともほろ苦いというか、ヴェルヘルム的には伝えるべきことは伝えられたというべきか...それ以外も決着こそついたものの謎多きプリシラ陣営の不気味さだったり、ユリウスやアナスタシアのことだったり懸念すべきことはたくさんあって、これから挑む新章がどういう展開を迎えるのか続巻に期待ということで。
読了日:08月12日 著者:長月 達平
「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書)「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実 (光文社新書)感想
家族の経済学を専門とする著者が、経済学の観点から見た人々の意思決定、行動を分析した最新の統計を元に定量的に分析した一冊。結婚するための出会いと見合いの減少・インターネットの登場による変化、保育園がもたらす効能、育休の年数、母乳育児の是非や日本の低出生体重児の増加、離婚の状況まで、各国の数字とも比較しながら日本の家族の現状をとても分かりやすく書かれていて説得力がありました。離婚の各国事情や離婚率上昇のからくりも興味深かったですが、子供の幸せを考えると共同親権の導入は日本でも今後検討すべきかもしれないですね。
読了日:08月13日 著者:山口 慎太郎
ホームレス・ホームズの優雅な0円推理 (富士見L文庫)ホームレス・ホームズの優雅な0円推理 (富士見L文庫)感想
自己採点ではバッチリ合格圏内と自信満々だったのに、医学部合格発表では不合格だった岩藤すず。納得行かず答案用紙の保管部屋に忍び込んだ彼女が、血まみれの巨大な犬の足跡と副学長の死体を発見するミステリ。「ワトスン」として生きることを信条とする岩藤すずの前に現れた低コストに生きるホームズ。連続殺人事件に二人が挑むわりとテンション高めな展開でしたけど、真実は何とも苦笑いな結末だったというか…エピローグで明かされたホームズの過去を読んでそれまでの展開を見る目が少し変わりました。続巻あるなら続きをまた読んでみたいです。
読了日:08月14日 著者:森 晶麿
四月になれば彼女は (文春文庫)四月になれば彼女は (文春文庫)感想
恋人・弥生と1年後に結婚式をすることを決めた精神科医の藤代。そんな彼のもとに初めての恋人・ハルから手紙が届く、失った恋に翻弄される12ヶ月の物語。醒めた同棲生活を送る藤代の元に届いた、大学時代の恋人・ハルからの手紙。永遠に続くものだと信じていたかつての恋があったからこそ、つい今の穏やかな想いと対比して不安を生じさせてしまうわけですが、不器用な登場人物たちがそれぞれのやり方で、心残りだった苦い過去にしっかりと決着をつけて今の自らの想いに真摯に向き合い、葛藤を乗り越えようとする姿は心に響くものがありました。 
読了日:08月14日 著者:川村 元気
偽りの私達 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)偽りの私達 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
都市伝説として囁かれる【まほうつかい】。七月十七日から八日に時間が巻き戻った高校生・土井修治が、十七日に階段から落ちて死ぬ美少女・渡辺百香を救うため、彼女の死の原因を探り始めるミステリ。修治の大切な幼馴染・七瀬の彼氏と浮気したのが渡辺百香?そんな噂を聞いて調べ始めた修治が気づくスクールカーストを巡る不穏で狡猾な罠。読んでいくうちに浮かぶ先入観がたびたび裏切られ、新たな事実が明らかになるたびにガラリと構図を変えていって、荒削りではあるものの伏線を巧みに使いつつ、思わぬところに着地してみせた結末は見事でした。
読了日:08月14日 著者:日部 星花
忘却城 鬼帝女の涙 (創元推理文庫)忘却城 鬼帝女の涙 (創元推理文庫)感想
死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。名付け師が居を構える霊昇山に、死者の代弁機関、夢無鵡予言院からの使者が訪れ、二十四大鬼の一体に不穏な動きがあり退魔を要請する第二弾。剥州に現れた大鬼・鬼帝女に絡む様々な思惑と、北砂の民に起きた悲劇。予言院の夢無鵡・氾潤虎が暗躍する中で、舞蒐や北砂の民、鬼帝女などいくつものエピソードを絡めた物語が、鬼帝女討伐に向かう曇龍・魘神の決着によって収束していく展開は良かったです。前巻より読みすくなりましたがまだまだ重厚な世界観で、いろいろと気になる点も残っているので続巻に期待。 
読了日:08月15日 著者:鈴森 琴
ぬるくゆるやかに流れる黒い川ぬるくゆるやかに流れる黒い川感想
六年前ともに家族を無差別殺人でなくした同級生小雪と再会した大学生香那。犯人武内譲が拘置所で自殺し犯行動機等が不明なままだった事件の背景を、二人で改めて調べ始める物語。調べいくうちに明らかになってゆく追い詰められていった譲の心境と、世代を越えて女性嫌悪に取り憑かれた武内家の男たち。譲を虐待していた祖父と殺された祖父の弟。「からゆきさん」を絡めた武内家の呪いや、香那と小雪の壊れてしまった家族のエピソードは厳しかったですが、それでもきちんと向き合った二人の新たな一歩へと繋がる結末には救われるものがありました。 
読了日:08月16日 著者:櫛木 理宇
宝石吐きのおんなのこ9~少女への祈り~ (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)宝石吐きのおんなのこ9~少女への祈り~ (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ)感想
これまでの経緯と真実を知るスプートニク、ナツ、ソアラン、イラージャ。そんな彼らのもとにクリューが行方不明になったとの知らせが入る第九弾。魔法使いファンションにまつわる真実とか、少女クリューがスプートニクのもとに来ることになった経緯が明らかになって、ユキさん昔から計算高いとかやっぱりこの人怒らせたら怖いとか意外な一面もありましたけど、総力戦となったクリュー奪還では彼女のために奮闘するスプートニクの真意もいろいろ垣間見えて微笑ましい気分になりました。でもそれでそのまま終わらない…(苦笑)早く続巻出して下さいw
読了日:08月16日 著者:なみあと
時をかける眼鏡 魔術師の金言と眼鏡の決意 (集英社オレンジ文庫)時をかける眼鏡 魔術師の金言と眼鏡の決意 (集英社オレンジ文庫)感想
嵐直撃の災害復興に必要な労働力確保として囚人の起用や、資金集めのため「観光資源」の有効活用をロデリック王に進言する遊馬。与えられた初めての休日で魔術師ジャヴィードから「南からの風の備えよ」という伝言を受け取る第八弾。周囲の人たちのために奔走していた遊馬の人の葛藤があって、伝言をきっかけに南に向かった遊馬たちが直面した思わぬ事態。今回は医学の知識を活かして窮地を救う展開でしたけど、そこに至るまでの展開が今後に向けたポイントだったんでしょうね。最後で美味しいところを持っていったフランシスさんは流石です(苦笑)
読了日:08月18日 著者:椹野 道流
一生夢で食わせていきますが、なにか。 (富士見L文庫)一生夢で食わせていきますが、なにか。 (富士見L文庫)感想
高校時代の先輩でプロのマンガ家を目指す啓汰先輩と再会したあすみ。マネージャーとして交渉役や雑務を引き受けた彼女が次々と直面するトラブルとその奮闘を描くお仕事小説。マンガ家の夢を反対したあすみをマネージャーに据えて、周囲の反対を押し切りマンガ家業を軌道に乗せてみせた啓汰先輩。職場で起きるトラブルに対処していくあすみに対する啓汰先輩の信頼は厚くて、外堀も着実に埋まって周囲もすっかり公認状態なのに、それに全然気づかないあすみを見てると啓汰先輩がちょっと可哀想になりますね(苦笑)二人の今後がまた読んでみたいです。
読了日:08月18日 著者:黒崎 蒼
透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)透明なきみの後悔を見抜けない (講談社タイガ)感想
子供の頃から人助けが趣味だという柔らかな雰囲気の大学生・開登。そんな彼が出会った人々の手助けをして後悔を解消してゆく恋愛ミステリ。不登校の生徒を気にかける教師、ダンス仲間と仲違いしてしまった女の子、自らの後悔がわからない女子大生と、仕事に明け暮れるうちに大切なものを見失ってしまったネイリスト。出会った人々に寄り添いその後悔に一緒に向き合ってゆく開登という構図から、これまでのエピソードが次々と繋がってゆく中で見えてくるもう一つの真実があって、人のために奔走する優しい開登にもたらされた結末が素敵な物語でした。
読了日:08月19日 著者:望月 拓海
威風堂々惡女 2 (集英社オレンジ文庫)威風堂々惡女 2 (集英社オレンジ文庫)感想
毎日微量の毒を皇帝に盛り続けつつ煎じた薬を与えて、着実に名声を高め皇帝を依存させてゆく雪媛。そんな彼女と碧成の娘を産み後宮の女達を掌握していた寵姫・芙蓉が対立を深めてゆく第二弾。対立の激化を目の当たりにしても動かない皇后の過去。傍目には傲岸不遜に振る舞いながらも、身代わりの侍女を庇ったり、叶わなかったはずの悲恋を成就させてせみる雪媛と、彼女の傍らに寄り添い続ける青嘉の何とも複雑な距離感がいいですね。義姉との関係も気になるところですが、やはり冒頭の悲劇が意外な形で報われた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:08月19日 著者:白洲 梓
店長がバカすぎて店長がバカすぎて感想
とにかく本が好きで〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員として働く谷原京子、28歳。独身。「非」敏腕店長・山本の下で、文芸書の担当として次から次へとトラブルに遭いながら働くお仕事小説。日々入ってこない注文を嘆いたり、尊敬する先輩が辞めたりする中で、問題客や増長した作家、ワンマン書店経営者といったトラブルに対処しながら、意外な繋がりがあったりガリバー出版社に新卒で入社した元後輩の奮闘を知ったり、斜め上にバカすぎる店長にイライラしながら文句だらけの書店員に愛着を持っている主人公が迎えた結末はなかなか良かったです。
読了日:08月20日 著者:早見和真
ロクでなし魔術講師と禁忌教典15 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と禁忌教典15 (ファンタジア文庫)感想
いよいよ迫る魔術祭典で総監督を務めることになったグレン。自由都市ミラーノを訪れた帝国代表の教え子たちと共にかつてない大舞台で各国代表に挑む第十五弾。王国と帝国の和平交渉もある中で行われる魔術祭典で暗躍する王国過激派の暗躍。グレンが舞台裏で奔走する大会は、絶体絶命の窮地を覆してみせるメイン・ウィザードのシスティーナが大活躍でしたけど、心境の変化があったルミアもまた大きな役割を果たしそうですね。いろいろな思惑が渦巻く中で影で操る面倒な黒幕も登場したりで、波乱必至の状況をどう収めるのか続巻に期待ということで。 
読了日:08月20日 著者:羊太郎
ラストラウンド・アーサーズ4 最弱の騎士と最も優れた騎士 (ファンタジア文庫)ラストラウンド・アーサーズ4 最弱の騎士と最も優れた騎士 (ファンタジア文庫)感想
魔人の力を引き出し覚醒したことで、心地よい日常を取り戻した凛太朗。その代償として世界から消失してしまった那雪を救うため聖杯の探索に挑む第四弾。相変わらずな瑠奈のクズさと部下をこき使うブラック企業っぷりには苦笑いでしたけど、凛太朗と瑠奈の主従関係だけでなく、これまでひたすら振り回され役だった最弱の騎士ケイ卿的にもひとつのターニングポイントになった聖杯探しでは、圧倒的正ヒロイン感がある那雪にも簡単には負けない瑠奈の成長を感じました。他の聖遺物を巡る動向や我道をゆく彼の行方も気になりますし今後の展開に期待です。
読了日:08月20日 著者:羊太郎
撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろIII ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろIII ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)感想
再編成された結果、西の第二世代エクセリアが猛威を振るう凄惨な戦場へと変わり果てた世界。レインたちは戸惑いながらも亡霊の鍵を握る者カイセイの手掛かりを調べ始め、アスリーもまた悪魔の弾丸に思い悩む第三弾。重要人物を消して結果的により悪化した戦況。キーマンを調べるレインとエアの行動に疑念を抱くアスリー。目の前で悲劇を目撃したがゆえに悪魔の弾丸をなかなか許容できなくて、レインとエアに対する複雑な想いも相まって、仕方なかったと感じつつもこういう構図になるしかなかったんですかね…どういう決着を迎えるのか続巻に期待。 
読了日:08月20日 著者:上川 景
豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい8 (ファンタジア文庫)豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい8 (ファンタジア文庫)感想
紆余曲折の末シャーロットと念願叶い恋仲になったスロウ。幸せな気分の日々を過ごす中、ドストル帝国から王子ネオンと従者・スズが学園にやって来る第七弾。ネオン主従に振り回されながらも妙な親近感を覚えたスロウ。スロウが他の女の子からモテないようにいっぱい食べさせるシャーロットが微笑ましいですが、複雑な事情を抱えるネオンとスズの間にもまた確かな絆が感じられて良かったですね。シューヤは今回もまた空回りに終わったな…とか思ってたら、最後に思わぬ急展開が待っていてびっくりしました。本人の想いも気になるところで続刊に期待。
読了日:08月20日 著者:合田拍子
月とライカと吸血姫 (5) (ガガガ文庫)月とライカと吸血姫 (5) (ガガガ文庫)感想
共和国の宇宙開発が停滞するなか、資金力と組織力を武器に目覚ましい成果を上げてゆく連合王国。焦りを募らせる共和国政府上層部の無理難題と教官となったレフたちの苦悩が描かれる第五弾。今回は舞台を再び共和国に移しての物語でしたけど、予算も自由にも乏しい共和国側の劣勢と、何とか挽回しようと無理を重ねる状況で起きたやりきれない悲劇。共和国にも逆風が吹き荒れるまでは史実の宇宙開発史に近い展開でしたけど、勇気を持って立ち上がったレフとイリナが作り出した転機を、何とか希望ある未来へと繋いでゆく展開を期待したいところです。 
読了日:08月20日 著者:牧野 圭祐
後宮の烏 3 (集英社オレンジ文庫)後宮の烏 3 (集英社オレンジ文庫)感想
「梟」が残した羽根に自らの行く末を重ねる寿雪。それぞれの過去が少しずつ明らかになり、幾多の謎が繋がってゆく第三弾。泊鶴宮で起きた怪異に、賀州における烏漣娘娘への信仰を脅かす八真教の台頭、そして中書令の雲永徳が密かに探りをいれていた理由。思わぬ形で偶然判明した寿雪の意外な繋がり。高峻は烏妃を「烏」から解放する一筋の光明を見出し、寿雪の頼れる部下や彼女を慕う貴妃や女官も増えて、取り巻く状況は少しずつ確実に好転しているからこそ、今後寿雪自身がどうあるべきか問われてゆくのかもしれないですね。続巻に期待しています。
読了日:08月21日 著者:白川 紺子
下北沢インディーズ下北沢インディーズ感想
音楽雑誌でインディーズバンドの発掘コラム連載を任された新人編集者の音無多摩子。下北沢のライブハウスのマスター・五味淵の紹介でバンドマンたちを取材する多摩子が、思いがけない事件に遭遇するミステリ。壊されたデジタルティレイ、元カレの彼女の浮気疑惑、スタジオから盗まれたベース、ライブ中にドラマーが怒り出した理由、アカウントを乗っ取られたバンドの解散危機など、デビュー前のバンド事情に絡めた謎に遭遇する多摩子と、それを解決する探偵役の五味淵という役回りで、少し視点を変えると見えてくる真相と構図が印象的な物語でした。
読了日:08月22日 著者:岡崎 琢磨
日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)感想
学歴と年功が評価されてきた日本社会。「大企業型」「地元型」「残余型」に分類し、それがどのような過程で成立していったのか、雇用を軸に職務重視のアメリカやドイツなどとも比較しつつ解説した一冊。経済成長が続く時には増える正社員枠も頭打ちで、社会全体で高校進学率や大学進学率が上がってゆくと、誰もが期待するような職につけなくなるのは確かに必然なのかなとも感じました。雇用改革が叫ばれて久しいですが、これまでの経緯を読むとそう単純なものでもなくて、何かを変えれば良くなるという簡単なものではないことがよくわかる一冊です。
読了日:08月23日 著者:小熊 英二
本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない! (ダッシュエックス文庫)本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない! (ダッシュエックス文庫)感想
「一生本を読んで暮らしたい!」本を愛してやまない青年・アシタが、その想いとは裏腹に彼の知識を欲する顔馴染みの女冒険者エルシィにダンジョンへ連れて行かれるドタバタファンタジーコメディ。貴重本欲しさにダンジョンに潜ってみればゴブリン相手も厳しい貧弱っぷりで、エルシィやその仲間に頼りっぱなしのアシタでしたけど、強力なゴーレムを相手にするという絶低絶命の窮地に、彼の知識と仲間の力をあわせて打開してゆく展開はなかなか面白かったです。エルシィとの関係も気になりますが、一緒に潜った仲間たちもワケありのようで続巻に期待。
読了日:08月23日 著者:しめさば,切符
ぼくたちのリメイク Ver.β (MF文庫J)ぼくたちのリメイク Ver.β (MF文庫J)感想
会社が倒産した橋場恭也が偶然河瀬川と出会い、サクシードソフトのお荷物部署・第13開発部に拾われるもう一つの物語。どういう展開になっても恭也に絡んでくる河瀬川の使い勝手の良さというか、ヒロイン力みたいなものを感じる展開でしたが、雑務ばかりの第13開発部を業務改善して時間を作り出し、同僚理都子の企画アイデアを活かしながら仲間のやる気に火をつけ、企画を何とか成立させるべく奔走する恭也の場所を選ばない有能ぶりと、諦めない想いが熱いルートでした。しかし立ちはだかる常務もなかなか強敵で、これはこれで今後が楽しみです。
読了日:08月23日 著者:木緒 なち
わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)わたしの知らない、先輩の100コのこと1 (MF文庫J)感想
最寄り駅が同じ以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』という約束を交わす青春ラブコメディ。大部分の生徒と違う二人だけが通う通学電車で、話すことはなくても存在を意識していた二人。ふとしたきっかけから一つずつ質問を積み重ねていって、話すことや会うことが増えいくことで少しずつ二人の距離感も変わっていって、ミステリアスな小悪魔・後輩ちゃんの言動に先輩が振り回される二人の関係がこれからどうなってゆくのか続巻に期待したいシリーズですね。 
読了日:08月23日 著者:兎谷 あおい
本業はオタクです。-シュミも楽しむあの人の仕事術 (単行本)本業はオタクです。-シュミも楽しむあの人の仕事術 (単行本)感想
銀行員・看護師・証券会社・戦略コンサルタント・メーカー海外営業・ITエンジニア・マンガ編集者・建築会社/着付け師・芸能マネージャー・アニメ制作進行…10人のオタク女子たちがどう仕事に向き合い、趣味に勤しんでいるのか、「仕事とオタ活の両立」の工夫や、知られざる「オタ活に向いた仕事」も徹底取材した一冊。 彼女たちはみんな自分の人生にアグレッシブで、オタで得た経験や知識も上手く活用しながら仕事も趣味も満喫している姿が印象的でした。オタク女子が幸せになるためのキャリア相談も興味深く、いろいろ刺激を受ける一冊です。
読了日:08月23日 著者:劇団雌猫
鎌倉御朱印ガール (集英社オレンジ文庫)鎌倉御朱印ガール (集英社オレンジ文庫)感想
いつの間にか友人たちに彼氏ができてひとり呆然とした女子高生・羽美が、衝動的に向かって江ノ島の弁財橋で御朱印帖を拾い、それをきっかけに持ち主の男子高校生・将と会う青春小説。同い年の将と出会った先でなぜか弁財天と毘沙門天のケンカに巻き込まれて、二神の代理として将と鎌倉七福神御朱印集めで勝負をすることになってしまった羽美。困惑しながらも手探りで始まった不器用な二人の七福神巡りは初々しくて、困難にきちんと向き合い成長してゆく二人のその後をもう少し読んでみたかった気もしますが、読みやすくなかなか素敵な物語でした。
読了日:08月24日 著者:後白河 安寿
初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)感想
普通の高校生・相葉孝司に突然起こった「自分以外の時が1時間だけ止まる」不思議な現象。好奇心を抑えられず学校の外に繰り出した彼が、そこで自分以外にも動ける女の子・篠宮時音と出会う青春小説。最初は篠宮に警戒されながらも、時が止まった世界「ロスタイム」の中で一緒に楽しい時間を過ごすうちに、少しずつ確実に彼女に心惹かれてゆく孝司。けれど彼らにとってかけがえのない貴重な時間には原因があって、高校生ではままならない残酷な現実があって、それでも諦めなかった孝司の覚悟と、その引き寄せた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:08月24日 著者:仁科 裕貴
初恋ロスタイム -Advanced Time- (メディアワークス文庫)初恋ロスタイム -Advanced Time- (メディアワークス文庫)感想
高校入学と共に幼馴染・比良坂未緒に告白をし、見事玉砕した桐原綾人。気まずさで互いに言葉を交わす事もなくなったある日、突然「自分以外の時が止まる」という不思議な現象を彼女と共有するもうひとつの物語。日常では相変わらずな二人の関係と、昔のように接することが出来る時が止まった世界。「ロスタイム」で未緒と綾人が時間を共有することになった理由。思ってもみなかった急展開を打破してみせたのは二人がこれまで地道に積み重ねてきた成果で、最後の最後で明かされる破壊力抜群な結末には自分もものの見事にやられたと思いました(苦笑)
読了日:08月24日 著者:仁科 裕貴
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員VII」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員VII」感想
本好きのお茶会で昏倒しエーレンフェストに強制送還されたたローゼマイン。神殿での読書三昧の日々を過ごせるのかと思いきや、聖典から謎の言葉と魔法陣が浮かび引き籠もり生活が一変する第四部第七弾。立場が変わっても本質は変わらず、知らなくてもいいことをつい知ってしまって、面倒ごとに巻き込まれてゆく展開は相変わらずですね(苦笑)それで彼女を擁するエーレンフェストの特異性が中央でも浮き彫りになってきている感。個人的にはお似合いなハルトムートとクラリッサだったり、コルネリウスとレオノーレのエピソードだったりが好みでした。
読了日:08月25日 著者:香月美夜
手のひらの楽園手のひらの楽園感想
天真爛漫な夕陽ノ丘高校「エステ科」2年園部友麻の波乱な日々。全寮制の「仕事を学ぶための高校」で疲れたお母さんを癒やすためにエステティシャンを目指す青春小説。離島に育ち父親がおらず家は貧乏で、奨学金を借りての高校入学後に母親も行方知れずになった友麻。わりと悲惨な境遇でも楽観的で、素の自分のままでぶつかっていく彼女が突然告白されたり同級生の諸事情に巻き込まれたり、実は生きていた父親や初めて恋を知ったり、周囲の人たちに支えられながらひとつひとつ向き合って、ちょっぴり大人になってゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:08月26日 著者:宮木 あや子
いのち短し、踊れよ男子いのち短し、踊れよ男子感想
一目惚れした清香に誘われ舞い上がり、興味のなかった日本舞踊の発表会を見た大学生の駿介。そこで華やかな舞台で堂々と踊る吉樹と出会い、日本舞踊に魅せられてゆく青春小説。清香に「踊りの上手い人が好き」と言われて下心たっぷりの稽古通いを始めた駿介に、容赦なく欠点を指摘する師匠の息子・吉樹。踊りの上手さは認めざるを得ない吉樹にも日舞への複雑な想いがあって、一緒に踊ることになった二人が抱える葛藤と、真摯に向き合おうとする気持ちに向き合いながら、お互い刺激し合えるいい関係になってゆく展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:08月27日 著者:安倍 雄太郎
魔弾の射手: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫 ち 7-35 nex)魔弾の射手: 天久鷹央の事件カルテ (新潮文庫 ち 7-35 nex)感想
廃病院で相次ぐ転落死。一人の看護師の転落死も自殺が有力視される中、頑なに否定する娘の想いに応え鷹央と小鳥たちが謎を解くことを決意する新章第三弾。ネットで噂される廃病院での幽霊騒ぎの正体と、痕跡が残らない魔弾によって新たに起きる転落死。要所で効いていた鴻ノ池を絡めた三人の息の合ったやりとりの数々には微笑ましい気持ちになりましたけど、今回の真相はちょっとマニアックというか、医療知識ないとなかなか難しかったですね(苦笑)スポット的な登場かと思っていた新キャラがまさかのレギュラー化なるか、続巻に期待ということで。
読了日:08月27日 著者:知念 実希人
最後のページをめくるまで最後のページをめくるまで感想
使い勝手のいい女が隠していたもの、詐欺に手を染めた大学生のわずかばかりの犠牲、死体が火葬されるまで落ち着かなかった理由、夫の浮気発覚から始まった意外な結末、ひき逃げされた息子の復讐を誓う母の顛末の5つのエピソードから構成される連作短編集。緊迫感ある展開の先にあった意外な結末だったり、手に染めた過去の因果応報だったりで、作中で主人公の心境が変わっていったとしても、だからといってそうそういい感じに終わらせたりしないあたりがむしろ新鮮で印象的な物語でした。個人的には冒頭の「使い勝手のいい女」が良かったですね。 
読了日:08月28日 著者:水生 大海
夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 (講談社ラノベ文庫)感想
友人・カッツンの家に居候させてもらいだらけた日々を送る23歳、職歴半年のニートの天木颯。そんな彼が夢をコントロールする方法を記載したブログを見つける物語。颯が抱える10年前に交通事故で死んだ初恋の女の子・霧崎紗耶香に対する3つの後悔。リアルでは相変わらずな日々を送りながら、夢の世界で紗耶香と会うことにのめり込んでいく颯。著者さんらしどこか気怠そうな世界観で、夢の世界で背中を押してくれた紗耶香や、ダメンズな彼を見守るマキたちに出会い、積み重ねた思いを胸に新たな一歩を踏み出す展開はなかなか良かったですね。
読了日:08月28日 著者:園生 凪
世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫)感想
幼馴染で文芸部に所属し、ささやかな特殊な力を持つ壇上貫地と石野美香、阿久津吾郎。その力を使って世界征服を目指す彼らが、目的を叶えるために求めていた能力を持つ後輩・開田環子と出会う青春小説。それぞれが抱える人に言えない密かな想いを叶えるため世界征服を目指していた三人と、その危うくも均衡していた彼らの関係に波紋を投げかけた環子の能力。世界征服のお題目はやや消化不良でしたけど、葛藤しながらも決着をつけてゆく三者三様の決断はどこまでも自らの想いに真摯で、彼らのその後が描かれたエピローグがとても印象的な物語でした。
読了日:08月28日 著者:海老名 龍人
空飛ぶ卵の右舷砲 (3) (ガガガ文庫)空飛ぶ卵の右舷砲 (3) (ガガガ文庫)感想
大阪にタワー級の樹竜が出現したとの情報を聞き、新たな稼ぎを求めて向かうヤブサメとモズ。その泥炭を身に纏うタワー級が突如北上を始め、最悪クラスの災禍を前にヤブサメとモズがタワー級へと立ち向かう第三弾。愛着のある場所への想いを知ってしまったからこそ、より対応が難しい大崩壊以後最悪の樹竜がもたらす災禍。その対応で足並みが揃わない人類側。様々な思いが錯綜する中で、それを乗り越えて立ち向かうハヤブサたちの熱い戦いや、女王号を整備して祈ることしかできないツバメの想い、彼を取り巻く人間関係の機微が要所で効いていました。
読了日:08月29日 著者:喜多川 信
常敗将軍、また敗れる 3 (HJ文庫)常敗将軍、また敗れる 3 (HJ文庫)感想
後継問題でシャルナの叔母ライミリアが主導するアラストラ派とザルツボルグが介入するネビル派に割れるサラマド公国。傷を癒すために滞在するダーカスが調停役を務めることになる第三弾。今回は直接の戦争ではなく、後継者問題をどう収めるのかという調停役で、心情的に叔母を支持したいシャルナ、両派と交流を重ねてゆきライミリアの心情を見抜いたダーカス、ザルツボルグ側の思惑も絡みあって二転三転する状況で、シャルナやティナの成長も促しつつ、大局的な視点から見事な落としどころを見出すダーカスの手腕が光りました。続巻も期待してます。
読了日:08月29日 著者:北条新九郎
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 9魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 9感想
<魔王>シアカーンの情報を得るため、そして黒花の治療で不安を抱くネフィを元気づけるため、ネフィとオリアスを引き合わせる決心をするザガン。しかし当のオリアスはメッセージを残して姿を消し二人は聖都へ向かう第九弾。新婚旅行(仮)で二人っきりになると途端にどうしていいかわからなくなる初々しい感じが萌える展開でしたが、聖都では聖騎士にビブロンスたちも集結して、いわくありげな伝承や因縁やらも明らかになって、相変わらず分厚いのにいろいろありすぎて、楽しいけれどすっきり終わらないのも仕方ない(苦笑)続巻も期待してます。 
読了日:08月30日 著者:手島史詞
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました5 (角川スニーカー文庫)真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました5 (角川スニーカー文庫)感想
賢者アレスの強襲を退け平穏な日々を取り戻したレッド。リットへ最高の宝石を贈ろうと決意したレッドは「世界の果ての壁」に向かい、道中で意外な仲間と再会する第五弾。レッドを気にかけ探していた、かつての仲間でハイエルフのヤランドララ。彼女と合流して向かった宝石を巡る冒険は美味しい食事や温泉といったのんびりな出来事だけでなく、望むものをえるための難しい戦いもありましたけど、その過程で今のレッドが得た幸せをヤランドララも感じてくれましたかね。気ままで幸せなスローライフ、気になるところも出てきましたが続巻が楽しみです。
読了日:08月30日 著者:ざっぽん
獣の巫女は祈らない (講談社X文庫)獣の巫女は祈らない (講談社X文庫)感想
獣を祀り獣の耳と強靭な肉体をもつ一族が暮らす奥見島。その強さを認められ「獣の宮の巫女」に選ばれた奥見族の娘・なぎが流刑に処された明日何の姫と出会う和風ファンタジー。父が皇帝の後継者争いに敗れ、「姫」ということで奥見島に流された迅と、思いもよらなかった形でその正体を知ってしまうなぎ。そこに島の火山が胎動を始めて、都の異変も相まって巻き込まれてゆく二人が、運命に立ち向かい自らの手で切り開いてゆく展開は今後に期待してもいいんですかね。運命に翻弄された琉貴姫も結構幸せだったように思えた結末には救われる思いでした。
読了日:08月31日 著者:中村 ふみ,THORES 柴本

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