読書する日々と備忘録

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10月に読んだ本 #読書メーターより

10月は週末のたびに忙しかったりでなかなか苦戦しましたが、電撃文庫の新作だったり、ファンタジア文庫の楽しみなシリーズだったり、ホーンテッド・キャンパスだったり読んだラインナップは充実していました。あとは発売日が集中しがちなので少し発売月分散してくれると良いなとか密かに思ったりしますが、そのへんはまあ思い通りにはいかないですね…(苦笑)

 

10月の読書メーター
読んだ本の数:96
読んだページ数:24986
ナイス数:5900


6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)感想
人間関係に焦燥を募らせる優等生香衣。サッカー部のエースで香衣が気になる隆生。香衣に一目惚れした不良・龍輝。付かず離れずの距離で香衣の友人を演じるセリカ。それぞれの視点から綴られる出会いと別れの物語。中学時代一緒に勉強して同じ高校に合格したのに、いつの間にか距離ができてしまった香衣と隆生。その関係を起点に描かれてゆく読んでいる方がもどかしくなるような青春群像劇は、前作とはまたガラリと違う読みやすさと繊細さが感じられて、こういう作品も書けるのかとビックリしました。こういう王道の青春小説をまた読んでみたいです。
読了日:10月31日 著者:大澤 めぐみ
ブラック企業に勤めております。 仁義なき営業対決 (集英社オレンジ文庫)ブラック企業に勤めております。 仁義なき営業対決 (集英社オレンジ文庫)感想
川原が去り、中杉支店長のもと新体制となったK支店。川原とは違うタイプの厄介者である中杉に振り回され、市制八十周年記念のシティガイド制作のために支店で営業プロジェクトが始まる第三弾。それにしてもこの会社残念な人が多過ぎて夏実はこんな環境でほんとよく続くよなあと感心してしまうレベル。桑原代理は言うまでもなく、相対的に支店レギュラーすらもまともないい人に思えてしまった(苦笑)そんな人たち相手に何とかフォローしてしまう夏実がほんとすごい。林さんとの関係も今後進展ありそうですかね。相手の上司が応援体制なのは心強い。
読了日:10月31日 著者:要 はる
百錬の覇王と聖約の戦乙女 14 (HJ文庫)百錬の覇王と聖約の戦乙女 14 (HJ文庫)感想
鋼討伐軍を打ち倒し、ハールバルズに心を囚われたリーファも無事助け出した勇斗。冬が近づく中兵の疲労も顧みずすぐさま軍を神都グラズヘイムへと進める第十四弾。ユグドラシル崩壊に対処するため、リーファと婚姻を結び神帝の地位を得ることを目指す勇斗。苦境に陥って自分も貢献しようとして空回りするリーファは微笑ましかったですが、諦めの悪いハールバルズとの決着は何とも切ない結末でしたね。意外な形で繋がった因縁も明らかになって物語としても結末が近づいて来ているのを感じますが、いよいよあの人と直接対決ですか。次巻も楽しみです。
読了日:10月30日 著者:鷹山誠一
マンガハウス! (光文社文庫)マンガハウス! (光文社文庫)感想
超人気漫画を突如休載した神野拓が指導する新人育成プロジェクト。そこにワケありの三人が集まってぶつかり合いながら切磋琢磨の共同生活を送るお仕事小説。再デビューを目指すが伸び悩む滝川あさひ、会社を辞めて漫画家を志す林一樹、絵は下手だが発想力は人一倍の星塚未来。そして指導役の神野が悩む親子関係と彼が突如休載した真相。それぞれが深い悩みや戸惑いを抱え、身近に競い合う存在がいるとどうしても避けられない嫉妬や悪魔の声に苛まれながら、それでも逃げずに向き合い自らの答えを出してゆく彼らの姿には共感できるものがありました。
読了日:10月30日 著者:桜井 美奈
ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)感想
1クールごとに組む相手を変え覇権を競うアニメ制作現場。伝説の天才監督・王子を口説いた有科、同じクールで勝負を挑む監督・斎藤瞳と行城のコンビ、そして原画に携わる和奈と地元のそれぞれの視点から語られるお仕事小説。人間関係にも苦労する不器用だけどアニメに賭ける想いは熱い登場人物たち。見えているもの思うところは違っても、けれどアニメのためならいくらでも頑張れるし、苦難を乗り越えてしまうパワーが感じられて楽しかったです。ちょっと今後が気になるコンビもあったけど、文庫版で追加された「執事とかぐや姫」も良かったですね。
読了日:10月29日 著者:辻村 深月
甦る殺人者: 天久鷹央の事件カルテ甦る殺人者: 天久鷹央の事件カルテ感想
都内近郊で若い女性が次々と首を絞められて惨殺される連続殺人事件。しかし現場に残された血痕で割り出された容疑者は四年前に死んだ男だったという第八弾。弟に酷似したDNA鑑定から割り出されたその容疑者はかつて鷹央が死亡診断を下した男で、死者を生き返らせることができるという新興宗教にハマっていたその母。果たしてシリアルキラーは誰なのか、どうにも後味が悪い結末は予想もしなかったもので驚きました。今回は鷹央の意外な心情も吐露されましたけど、傍らで支えてくれる小鳥先生がいればきっと大丈夫ですよね。続巻に期待しています。
読了日:10月29日 著者:知念 実希人
ショートストーリーズ 僕とキミの15センチ (ファミ通文庫)ショートストーリーズ 僕とキミの15センチ (ファミ通文庫)感想
「僕とキミの15センチ」をテーマに総勢20名の作家が参加して描かれたショートストーリー集。同じテーマで書いていても著者さんそれぞれで着目点が違ったり、作品にらしさがよく出ていてとても興味深かったですが、個人的には九曜さんや三田千恵さん、久遠侑さんあたりの青春小説は今後も期待したくなりましたね。そして何よりもう読めないと思っていた東雲侑子シリーズ文学少女のエピソードが読めたのは嬉しかったです。一つ一つの作品がもう少しボリュームあると良かったかなとは感じましたが、全体としてみれば十分満足できる一冊でした。 
読了日:10月27日 著者:井上 堅二,庵田 定夏,綾里 けいし,石川 博品,岡本 タクヤ,九曜,佐々原 史緒,更伊 俊介,三田 千恵,竹岡 葉月,羽根川 牧人,御影 瑛路,水城 水城,野村 美月,森橋 ビンゴ,田口 仙年堂,築地 俊彦,伊東 京一,久遠 侑,くさなぎ そうし
佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 3 (ファミ通文庫)佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 3 (ファミ通文庫)感想
桜井さん主導で佐伯さんや友人と一緒にプールに行ったり、夏休み明け二学期は学園祭準備も始まり、佐伯さんのご両親帰国で一緒に訪問することになる第三弾。弓月と佐伯さんに宝龍や桜井たちが絡んで広がるエピソードはお約束ですが、自身の実家帰省はあっさりなのに佐伯さんご両親の片付けを手伝ったり、マメな弓月の外堀は順調に埋まっていってる感。かと思えば諸事情あって相手に配慮していたら二人がすれ違うまさかの急展開には驚きましたが、傍にいないからこそ改めて分かった大切な想いをきちんと確認しあえて良かったです。続巻も期待ですね。
読了日:10月27日 著者:九曜
金木犀と彼女の時間 (ミステリ・フロンティア)金木犀と彼女の時間 (ミステリ・フロンティア)感想
同じ一時間を五回繰り返すタイムリープを過去に経験し、無難に生きることを選択した女子高生の菜月。そんな彼女が文化祭で同級生の拓未に告白され、繰り返すはずのループで墜死した拓未を目撃してしまう学園青春ミステリ。無難に周囲に合わせてきた高校生活のいきなりの暗転。拓未の墜死に動揺しやり直しで何とか救おうとするものの、毎回違う形で失敗し死なせてしまう絶望。親友とのすれ違いが周囲との人間関係も少しずつ変化して、誰も彼も疑わしく見える中で自分から勇気を出して一歩を踏み出し流れを変えてゆく展開はなかなか良かったですね。 
読了日:10月26日 著者:彩坂 美月
この世界に i をこめて (メディアワークス文庫)この世界に i をこめて (メディアワークス文庫)感想
屈折した高校生・染井浩平唯一の女友達で、半年前に死んでしまった天才作家・吉野紫苑。退屈な高校生活から逃避して届くはずのない彼女へメールを送り続ける染井の元に彼女のアドレスからメールが届き始める物語。不器用で人を好きになることを知らず、染井と多くの創作を語り合った吉野。そんな彼のもとに現れた転校生・真白。それぞれが抱く思いは複雑でも話の構図としてはわりとシンプルで、遺された吉野の最後の物語と言葉、そして彼女を介して繋がったうまく生きられない二人が少しずつ積み重ねてゆく不器用な関係は心に響くものがありました。
読了日:10月26日 著者:佐野 徹夜
おとなりの晴明さん ~陰陽師は左京区にいる~ (メディアワークス文庫)おとなりの晴明さん ~陰陽師は左京区にいる~ (メディアワークス文庫)感想
一家で京都に引っ越してきた女子高生・桃花。隣に住んでいたのは琥珀の髪と瞳をもつ青年・晴明さん。子どもの頃出会っていて不思議な術で桃花の猫を助けてくれた晴明さんと女子高生のあやかしファンタジー。二人の前に現れる優しい鬼や京都の街を守る平安京サル会議、美の御利益をもたらす女神様たち。勉強を教えてもらうはずがいつの間にか弟子みたいな扱いで関わっていた桃花でしたけど、浮世離れした晴明さんはこれまでの作品にも登場していたあのお人で、からくさ図書館の二人や茜さんなども登場したり世界観の広がりを感じる素敵な物語でした。
読了日:10月25日 著者:仲町 六絵
タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)感想
壊れつつある世界で印象的な出会いを果たした少女・八神リノと、偶然同じ家に同居することになった少年・七尾レキ。彼らが世界の崩壊を食い止めるため立ち上がる青春SF小説。不具合が顕在化した世界でカムナギという異常体質に蝕まれているレキたち。それでも親友のユウキやアザミに妹ミナたちも交えた青春な日々を過ごす中で起きた事件。初々しいやり取りが甘酸っぱい不器用な二人が直面する真実と運命はどこまでも残酷で、絶望的な状況でも諦めなかった彼らの強い思いがどのような結末に繋がってゆくのか、続きをまた読んでみたいと思いました。
読了日:10月25日 著者:午後12時の男
ホーンテッド・キャンパス 水無月のひとしずく (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 水無月のひとしずく (角川ホラー文庫)感想
ストーカー気味の男子学生がいて、こよみから突然恋人の振りをしてほしいと依頼された森司。二つ返事で彼氏役を引き受ける一方、オカ研の依頼は禍々しさを増してゆく第十二弾。オカ研に持ち込まれた依頼は事故現場の花束の怪や足を這い上る虫の感触、閉じ込められて消えた中学生など、相対的強者が立場を利用し弱者を支配しようとする構図はどこにでもある話で唸ってしまいました。こよみとの距離を縮めつつも毎回もどかしい森司ですけど、その真っ直ぐで真摯な彼だからこそ周囲の人たちに愛されているのかなと。でもそろそろ進展あるといいですねw
読了日:10月25日 著者:櫛木 理宇
華鬼2 (講談社文庫)華鬼2 (講談社文庫)感想
国一が刺され重体になったことで、その場にいた華鬼や神無に響の敵意が向かい、幾度も学園で命を狙われた神無は華鬼の生家で父の忠尚やその花嫁たちと出会う第二弾。どうにもならない苛立ちを持て余し気味の華鬼と不器用で言葉足らずな神無の距離感はなかなか縮まらなくて、忠尚や花嫁たちとの関係も一時はどうなるかと思いましたけど意外といい人たちでしたね。普段はあんな感じなのに負傷した華鬼が無意識のうちに神無に甘えててびっくりしましたが、その辺期待感は感じつつも変わりつつある神無に複雑な思いをいだき始めた桃子の今後が心配です。
読了日:10月24日 著者:梨沙
現実主義勇者の王国再建記V (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記V (オーバーラップ文庫)感想
アドミニアを併合しフリードニア王国の新国王となったソーマ。教育番組の放送で国民の啓蒙を進めたり軍の極秘プロジェクトを披露するなど着々と国を整備する一方で、聖女が来訪したりドラゴンに招待される第五弾。将来を見据えた施策を整備する中で出てきたベタな教育番組には苦笑いでしたが、振り回されてばかりのカルラにはちょっと同情…そして強烈なテコ入れで婚約者たちとの関係もようやく一歩前進ですか。急成長し注目されて周辺国との対応もこれまでとまた違った難しさが出てきそうですが、まずはドラゴンとの対面ですね。続刊も楽しみです。
読了日:10月24日 著者:どぜう丸
木津音紅葉はあきらめない (集英社オレンジ文庫)木津音紅葉はあきらめない (集英社オレンジ文庫)感想
御印を持ち分家の娘ながら資産家の木津音本家に迎えられた紅葉。しかしその目的が神狐とつがい次代の巫女を産むためと知り、養父に対して反逆を企てる物語。傍若無人で嫌われものの養女・紅葉と、常に努力し周囲に愛されながら御印を持たない実娘・結花。モフモフ狐たちと紅葉の出会いをきっかけに、対照的な立ち位置だった二人がそれぞれ新たな一面を見せ始めたり、人間関係も変わってゆく構図は印象的で、今巻の騒動を経て彼女が目指す目標の具体的な形が見えてきましたね。真意が見えないお目付け役の思惑も気になる続巻に期待の新シリーズです。
読了日:10月23日 著者:梨沙
どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)感想
訳ありの過去もあり友人の幹也と采岐島のシマ高に進学した月ヶ瀬和希。そんな彼が初夏に神隠しの入江で倒れていた少女・七緒を発見するボーイミーツガール青春小説。過去からやって来た七緒と少しずつやりとりを重ねてゆく日々。何気なく過ごせていた高校生活の突然の暗転。明かされる過去の真相と、変わらず向き合ってくれる友人たちの存在、そして覚悟を決めた七緒。甘酸っぱく初々しかった出会いの結末には切なくなりましたけど、繋がって行く過去と未来、そして意外な形で届けられた真摯な思いは、かけがえのないとても素敵なものに思えました。
読了日:10月23日 著者:阿部 暁子
グランクレスト戦記 9 決戦の刻 (ファンタジア文庫)グランクレスト戦記 9 決戦の刻 (ファンタジア文庫)感想
愛するマリーネのためについに立ち上がったアレクシスの決意。海洋王を相手にあえて不利な海上での戦いを選択。条約、連合、同盟の三勢力が決戦の時が近づく第九弾。皇帝に近い男・海洋王エリークとの決戦であえて海上で戦うことを選んだアレクシスの奇策。交渉が決裂し決戦となった状況であえて条約のみで同盟に対峙しようと決意するテオの真意。一度はぶつからないと分かり合えなかった二人にとっては転機でしたけど、この決戦がもたらした結果と様々な急展開によって最終局面に向けた舞台が整ってゆく中で、最終巻でどうなるか今から楽しみです。
読了日:10月22日 著者:水野 良 
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 7 (MF文庫J)エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 7 (MF文庫J)感想
欧州経済と食糧の限界を受け決定された史上二回目の反攻作戦。デストブルムを含む4機のネイバーを同時投入し群生地を制圧する大規模作戦が実施される第七弾。エルイン亡き後、飛躍的に成長したセレンたち強力なネイバーを軸に絶対種キングに挑ませる展開は、国際連合首脳陣のクズっぷりが凝縮された構図。絶望的な状況に颯爽と現れる味方がいて、首脳陣も真っ青のこれまでの経緯も暴露されて。それでも苦しくなる一方の過酷な戦いを覆して希望をもたらした大逆転劇には、これまで溜まった鬱屈がある分凄まじいカタルシスがありました。続巻も期待。
読了日:10月21日 著者:東 龍乃助
デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師〈リヴェンジャー〉 (ファンタジア文庫)デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師〈リヴェンジャー〉 (ファンタジア文庫)感想
帝国に家族を殺されて黒天十二騎士団の座も追われ、今は反帝国派の希望・軍師アートルム卿として活動する少年シオン。辺境の王国騎士セレインとの出会いから、西方大陸の歴史を変える復讐の戦いが始まる戦記ファンタジー。帝国の対応を巡って王女派と宰相派に分かれるエルザイムを舞台に、王女派として旅の剣士シオンとアートルム卿の二役を演じつつ戦いを主導する展開。野心を胸に秘めた王女やツンデレなセレインといったヒロインたちを魅力的に描きつつ複雑な因縁も絡めてゆく構成は、戦記物として見るとこれからですけど期待の新シリーズですね。
読了日:10月21日 著者:大黒 尚人
アサシンズプライド7 暗殺教師と業火剣舞祭 (ファンタジア文庫)アサシンズプライド7 暗殺教師と業火剣舞祭 (ファンタジア文庫)感想
メリダの祖父モルドリュー卿から白夜騎兵団とクーファに下されたのは鋼鉄宮博覧会においてメリダを聖騎士と偽ったまま永遠に葬り去ること。クーファも指令を明かせないままメリダが舞台に向かう第七弾。密かにメリダのために特訓を施すクーファと暗殺指令を利用し襲撃を企む黎明戯兵団。複数の思いが交錯する舞台ではそれぞれの矜持を賭けた戦いがあって、自らの運命に向き合い公爵家令嬢たちと力を合わせ窮地を乗り越えてみせたメリダの成長と覚悟は、物語の大きな転機になりそうですね。まだまだ二人の茨の道は続きそうですけど次巻が楽しみです。
読了日:10月20日 著者:天城ケイ
冴えない彼女の育てかた13 (ファンタジア文庫)冴えない彼女の育てかた13 (ファンタジア文庫)感想
加藤恵への告白とゲーム完成に向けてのラストスパート。あの日、あの坂道での運命の出会いからすべては始まった一巻まるごとエピローグの第十三弾。何というかそこに落ち着いたのかというか、そういう理由だったのかというか。告白された加藤も相変わらず面倒な女の子で、倫也は一応ちゃんとケジメはつけつつも、結局加藤とずっとイチャイチャしてるだけのようにも見えて、そんな二人に周囲も呆れ気味の展開にはまあそうなるよね…というオチがきちんとついてて安心しました(違)本編は残念ながらこれで完結ですけど、番外編とかも期待してますよ。
読了日:10月20日 著者:丸戸 史明
後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む (コバルト文庫)後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む (コバルト文庫)感想
母が皇族殺しという大罪を犯し、自身も母に斬りつけられ心身に深い傷を負った高秀麒。ごくつぶしの六皇子として日陰を生きてきた彼のもとに皇太子の花嫁候補・念玉兎が嫁ぐことになる第七弾。本の刊行を続けたいがために秀麒に一目惚れしたと偽って皇太子妃候補を逃れ、彼のもとに元に嫁いできた玉兎。裏があるのではと疑い玉兎の本音を知ってしまう秀麒。最初が最初だけに変わってゆく想いになかなか素直に向き合えない展開でしたけど、二人の関係がようやく好転するようになってホッとした分、悲劇がもたらした顛末には切ない気持ちになりました。
読了日:10月19日 著者:はるおか りの
ジャナ研の憂鬱な事件簿 2 (ガガガ文庫)ジャナ研の憂鬱な事件簿 2 (ガガガ文庫)感想
先輩も卒業し真冬と啓介の二人になったジャナ研に再び身近な事件が持ち込まれ、同級生の妹により啓介の苦い過去が暴露される第二弾。軽音部の新たな歌姫を付け狙うストーカー、ユリの姉が受け取った奇妙な手紙の本当の意図、かつて中学時代に啓介が糾弾した脚本盗作事件の真実。今回もまた事件を解き明かしていった先には複雑な思いの吐露があって、ほろ苦いけれど今はそれを受け止めるしかなくて。真冬の夢や進路も明らかになってお互いのことを知るようになってはいても、周囲が思うほどは進展していない二人の今後が気になりますね。続巻に期待。
読了日:10月18日 著者:酒井田 寛太郎
スピンガール! 海浜千葉高校競技ポールダンス部 (メディアワークス文庫)スピンガール! 海浜千葉高校競技ポールダンス部 (メディアワークス文庫)感想
中学時代の苦い経験から人と関わることが苦手な女子高生・舞。競技ポールダンス部設立を目指す舞が周囲に猛反対され、部設立を認可する条件として大会入賞を言い渡されてしまう青春小説。マネージャー役を買って出た友人と一緒に立ち上げたポールダンスに加わることになる、わけありで廃部した元競技ダンス部の郁斗先輩と白谷先輩。周囲とのやりとりが拙く空回り気味だった主人公でしたが、友人や先輩たちもまた苦い過去を抱えていて、ぶつかり合いながら競技に挑んで喜びを見出してゆく様子は、展開的にベタではありましたがなかなか良かったです。
読了日:10月18日 著者:神戸遥真
明治あやかし新聞 二 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)明治あやかし新聞 二 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)感想
久馬たちの妖怪記事によって人助けをする裏稼業を手伝う事となった香澄。真実を知らない兄の主計がそれを快く思わず、同僚との見合いの席を設けてしまう第二弾。子を身籠った女を振った兄の同僚への復讐、道場の娘をかどわかす男への対応、間違って納本してしまった本をめぐる顛末。わかりやすい勧善懲悪に加えて、今回は兄との意見の対立が顕在化しましたけど、それは妹を心配するがゆえの想いであって、いろいろ頑張った久馬はどうやら兄に認められたような気がしないでもないですが、香澄自身はまだまだ自覚には遠そうですね(苦笑)続刊に期待。
読了日:10月17日 著者:さとみ桜
おせっかい屋のお鈴さん (角川文庫)おせっかい屋のお鈴さん (角川文庫)感想
仙台で暮らす村田カエデ27歳。ぽっちゃり体型の優しい彼氏がいて、地元の信金勤務の平凡な人生を送っていた彼女が、生き別れていた父のお墓で困った人を放っておけず騒動ばかり引き起こす幽霊のお鈴さんに振り回される物語。160年前に許嫁に駆け落ちされて無念から成仏できず、その子孫を探すようにカエデに命じるお鈴さん。子孫を見つけても簡単には成仏しない彼女や周囲の人たちに、彼氏のこんちゃん共々振り回されるいくつかのドタバタエピソードは、人間の生々しい本性を描きつつどこかほのぼのとした心温まる感じで悪くない読後感でした。
読了日:10月17日 著者:堀川 アサコ
Re:ゼロから始める異世界生活14 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活14 (MF文庫J)感想
墓所の試練で心の奥深くに封じた自分の過去と対面するエミリア。彼女の無事を信じて待つスバルたちにリューズの複製体の一人シーマもまた聖域の成り立ちを語り始める第十四弾。奇しくも同時に蘇ることになったエミリアと聖域の二つの過去。父母がいないなりに満ち足りた生活を送っていたエミリアの暗転と危機に陥ったリューズたちの決断。いろいろな関わりと過去が明らかになりましたが、ペテルギウスもまあ業が深いですね...これは。現時点ではまだまだ未熟でも、それぞれの大切なもののために戦う結末がどうなるのか、次巻に期待ということで。
読了日:10月16日 著者:長月 達平
アゲハの公約アゲハの公約感想
彼氏に二股を掛けられ仕事を辞めて郷里に帰ることにしたアゲハが、ふとしたきっかけから過疎化が進む故郷を復活させるため、26歳にして市長選に立候補することになる選挙小説。4つの町が合併して初の市長選挙。故郷の梅林を守るため、町長だった祖父や男中心の後援会の助けを得て立候補したアゲハ。ど田舎らしい公職選挙法違反やライバルたちのえげつない妨害はいかにもありそうな感じでしたけど、苦境にもめげずに街コンを公約に掲げて再選挙まで戦い抜いたアゲハの奮闘ぶりと、落ち着くべきところに落ち着いたその結末はなかなか良かったです。
読了日:10月15日 著者:三萩 せんや
妻を殺してもバレない確率 (宝島社文庫)妻を殺してもバレない確率 (宝島社文庫)感想
未来に起こる確率を調べる技術が確立した世界。自らが抱える苦しい思いをどうにかしたくて、確率をつい確認し続けてしまう人たちの物語を描く連作短編集。政略結婚や大怪我、路面電車での出会い、届かぬ思いや父と娘の関係、忘れられない運命の出会いなど、停滞する状況を抱える登場人物たち。それでも人との関わりの積み重ねから事態や心境も少しずつ変化して、それに向き合ったり素直になったり次に向けた一歩を踏み出してゆく7つのエピソードは、表題作でもあるタイトルイメージをいい意味で裏切る思いのほか爽やかな読後感の素敵な物語でした。
読了日:10月15日 著者:桜川 ヒロ
スーパーカブ (角川スニーカー文庫)スーパーカブ (角川スニーカー文庫)感想
父親を亡くし母親が失踪、友達も趣味も何もない日々を送っていた山梨の高校に通う女子高生・小熊。そんな彼女が中古のスーパーカブに出会い、それをきっかけに世界が広がってゆく物語。奨学金で高校に通う慎ましい生活を送る子熊視点で淡々と綴られる、同じカブに乗る同級生の礼子と知り合ったり、カブを巡る様々な出来事に遭遇したり、これまで目を向けてこなかったものに気づいてゆく展開。著者さんの深いカブ愛を感じつつ、子熊らしい慎重なペースで、けれど確実に世界が広がっていてゆく様子がとてもいいと思いました。これは続巻も期待ですね。
読了日:10月14日 著者:トネ・コーケン
すべての神様の十月 (PHP文芸文庫)すべての神様の十月 (PHP文芸文庫)感想
人生の大切なものを見失いかけた人たちの前に現れた様々な神様たちとのやりとりと、その優しさや切なさが描かれる連作短編集。バーで隣りあったこれまで幸せを感じたことがない死神が出会った喜び、貧乏神や疫病神が取り憑いていた理由、ひっそりと警備員として暮らす道祖神八咫烏が出会った母子、おばあちゃんの釜に取り憑いた付喪神、周囲の人ばかり幸せになるOLの正体など、どこか人間離れしている神様たちは、一方で関わる人たちを見守るような優しさがあって、彼らが果たしている役割とそのありようは読んでいて心温まるものがありました。
読了日:10月13日 著者:小路 幸也
桜のような僕の恋人 (集英社文庫)桜のような僕の恋人 (集英社文庫)感想
恋した美容師の美咲の叱咤激励もあって、諦めかけていたカメラマンになる夢を再び追いかけるようになった晴人。ようやく幸せを見出しかけた状況で美咲が人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまう物語。これからというところでの悲劇に、これは女性には残酷だな...と思いながら読んでいましたが、彼を思うがゆえの決別があまりにも切なくて、そんな彼女に変わらないものを教えてくれた彼の写真に込めた想いがあって、会いたいけど彼に姿は見せられない彼女の複雑な心境を象徴するかのような結末には、胸が締め付けられる思いがしました。
読了日:10月13日 著者:宇山 佳佑
翠玉姫演義 二 ‐戦場の天女‐ (富士見L文庫)翠玉姫演義 二 ‐戦場の天女‐ (富士見L文庫)感想
持ち前の商才と度胸で極南を烈英の領地として国に認めさせた香月。だが民に捨てられた辺境の地は得体のしれない宗教勢力と盗賊がひしめく無法地帯と化していた第二弾。国に認められていても実効支配できていない厳しい状況。立場が変わればそれぞれ思うところも変わり、自分が有用な人材でいられるか現状に焦燥を募らせてゆく香月。そんな彼女の採った即効性のある行動がそれで良かったのか判断が難しいところでしたけど、一方でそれによって極南が国として歩み始められたのも確かで、これから香月のありようがどう変わってゆくか続巻に期待ですね。
読了日:10月12日 著者:柊平 ハルモ
魔法使いにはさせませんよ! (GA文庫)魔法使いにはさせませんよ! (GA文庫)感想
異世界からの侵略獣に人類が脅かされ、30歳まで貞操を守らないと対抗する魔法使いになれない世界。候補生鞘波黒刃が通う女子禁制の育成学院に魔法少女白啾なしろが転校してくる物語。共通の敵がいるのに魔法少女貞操を脅かされる候補生の構図や残念エピソードの数々には苦笑いでしたけど、幼馴染との約束のために魔法使いを目指す黒刃の秘めた力が発動するバトル、貞操を脅かすなしろの魅力に翻弄され幼馴染も心穏やかではいられないラブコメ展開、最後には執念の大技も炸裂したりで、荒削りながらも十分魅力ある作品でしたし続巻に期待ですね。
読了日:10月12日 著者:朝日乃 ケイ
魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。 (GA文庫)魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。 (GA文庫)感想
魔王軍の紅蓮の騎士カズキ(人間)は魔王の娘で幼馴染のアストリッドのコミュ障を治すため、魔王の命で人間の田舎町に二人一緒に暮らすスローライフ幼馴染ラブコメ。魔王に間違いがあったら死罪と言われながら、その配慮でかいがいしく世話をするアストリッドにたびたび理性が崩壊寸前のカズキ。そんな彼らの前に現れる宿敵でバカップルな勇者アスマと女神官ミラ。安心安定の甘々な展開にカズキの秘密や魔王の思惑も絡めた展開は、ハッピーエンドのために立ち上がったアストリッドの決意もあって面白くなりそうですね。続巻に期待の新シリーズです。
読了日:10月12日 著者:手島 史詞
京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)感想
会社をリストラされ彼にも振られた木崎朋美が、レトロなBARで弁護士・城之内にスカウトされ、本業はお祓いの事務所で持ち込まれる奇妙な依頼を解決してゆく物語。イイ男なのに残念な京男子・ジョー先生や特別な霊能力を持つバイトの美少年高校生・海斗君と組み、3人で力を合わせ猫探しからストーカー退治、憑き物や呪い絡みの案件まで解決する展開で、お人好しだけど人情に厚くピンチの時ほど大活躍の規格外な朋美はこれまでとはまた一味違った魅力のあるヒロインでした。寺町三条のホームズさんたちも登場したりで、今後に期待の新リーズです。
読了日:10月11日 著者:望月 麻衣
きっと彼女は神様なんかじゃない (メディアワークス文庫)きっと彼女は神様なんかじゃない (メディアワークス文庫)感想
現在に至るまで受け継がれた部族の教えがあるけど海を愛し、浮いた存在の集落で生贄とされて海の底に沈んだ一人ぼっちの少女が、自らを神と称した無知な少女・メイと出会うSF的ガール・ミーツ・ガールな物語。未開の地で疎まれていた少女と海底で眠っていた少女・メイの出会いが転機となり、原始的な環境で二人が拙いながらも交流してゆく展開でしたけど、冒頭の流れから何となく思い描いていたSF的展開よりはよほど現実的な顛末が待っていて、二人で選んだ決断にはやるせなさもありましたが、それだけでは終わらない何かがあったと思いました。
読了日:10月11日 著者:入間 人間
憧れの作家は人間じゃありませんでした2 (角川文庫)憧れの作家は人間じゃありませんでした2 (角川文庫)感想
死んだ人が化けて出ているという噂話に、門脇先生と首がなくなってしまった彼女の話、そしてあさひのドッペルゲンガーが現れる第二弾。今回あさひが関わることになった3つの事件はそれぞれ複雑な背景があっての話で、起こった事件をどう捉えるべきなのか、切ないけどいつか乗り越えないといけなかったり、どうするのか良かったのかとても難しい問題だったりしましたが、この世に生きている妖怪って孤独なんですよね。あさひに対する御崎禅の変化も気になるところですが、ルーナの視点から描かれた番外編もまた良かったです。また続巻が楽しみです。
読了日:10月11日 著者:澤村 御影
ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)ぬばたまおろち、しらたまおろち (創元推理文庫)感想
両親を亡くし角田村で叔父夫婦に育てられた綾乃。小さい頃からの秘密の親友・大蛇のアロウにプロポーズされた彼女が、別の大蛇に襲われる事件を経て母校ディアーヌ学園で学ぶことになるファンタジー。妖魅子女も通うディアーヌ学園で楽しい友人たちと出会い魔女の修行をする日々。そこから繋がる雪之丞との縁と過去の因縁もまた明らかになってゆく展開で、アロウとの約束に心揺れる綾乃と共に過ごすうちに絆を深めてゆく雪之丞が過去に飛んで、そこで果たした役割が現在に繋がってゆくその結末にはなるほどと唸らされた、とても素敵な物語でした。 
読了日:10月10日 著者:白鷺 あおい
櫻子さんの足下には死体が埋まっている ジュリエットの告白 (角川文庫)櫻子さんの足下には死体が埋まっている ジュリエットの告白 (角川文庫)感想
突然、東京の兄からきた連絡。櫻子さんからの提案で足寄と網走に三人で旅することになった顛末と、友人の鴻上百合子には、宿敵・花房の影が忍び寄る第十二弾。初登場の正太郎の兄は小難しい人物かと思ったら、ツンデレというか弟大好き過ぎて苦笑いでしたけど、兄の指摘で少なからず意識した正太郎に今後何か変化はあるんでしょうかね。そして何とも悲哀なエピソードの一方で花房の影を感じる失踪。鴻上さん好きなキャラだし幸せになって欲しいんですけどね...物語も終盤に近づいているのを感じる中で、その結末がとても気になる終わり方でした。
読了日:10月09日 著者:太田 紫織
崩れる脳を抱きしめて崩れる脳を抱きしめて感想
広島から神奈川の病院に実習に来て、脳腫瘍を患う女性・ユカリと出会い次第に心を通わせてゆく研修医の碓氷。実習を終え広島に帰った彼の元にユカリの死の知らせが届くが、その死に疑問を抱く青春ミステリ。過去に縛られていた碓氷が、解消してくれたユカリに惹かれるも果たせず終わった結末。その死に感じた違和感をそのままにできず、神奈川に飛びユカリの足跡を追う碓氷。ミステリとしての構図はさほど意外なものではなかったですけれど、読みやすくテンポよく進む展開と最後にたどり着いた結末は、その真摯な想いが報われた素敵な読後感でした。
読了日:10月08日 著者:知念 実希人
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.15 (電撃文庫)ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.15 (電撃文庫)感想
二年生組は修学旅行の時期。ルシアンが抱いた野望は「修学旅行でアコとファーストキスをしたい!」直前に期間限定の周回クエストと被っていることも判明して、関西での修学旅行が始まる第十五弾。まずこの学校の修学旅行はオーストラリアと関西に別れちゃうの?みたいな驚きもありましたが、居残り組のマスターにもミッションがあったりで、彼ららしい目的地への訪問ぶりと感想、忘れかけられてるクエストのノルマ、そしてなかなかファーストキスの雰囲気にならない二人と、いろいろ詰まった修学旅行をドタバタしながら満喫していて面白かったです。
読了日:10月08日 著者:聴猫 芝居
陰キャになりたい陽乃森さん Step1 (電撃文庫)陰キャになりたい陽乃森さん Step1 (電撃文庫)感想
圧倒的存在感で陽キャラの頂点に君臨する陽乃森さん。そんな彼女がとある事情から陰キャラの鹿家野たちに陰キャラになれるよう協力を依頼する青春ラブコメ。彼女の事情を知って意識や常識の違いに戸惑いつつも協力する鹿家野たちに突きつけられる、いい子だけど何をしても陽キャラ感がにじみ出てしまう陽乃森さんを変える無理ゲー感。それでも楽しそうなラブコメエピソードからの急展開には驚きましたけど、一緒に行動することでお互い大切なことを知り、そのために奔走する姿は良かったですね。最後まで破壊力あった陽乃森さんはやはり破格でしたw
読了日:10月07日 著者:岬 鷺宮
幼馴染の山吹さん (電撃文庫)幼馴染の山吹さん (電撃文庫)感想
幼い頃に約束を交わしながら疎遠になってしまった可愛い幼馴染の灯里。青春の呪いを掛けられた幼馴染を救うため平凡な喜一郎が一緒に数々の青春の試練に挑む青春ラブコメディ。くしゃみをすると一定期間ものに触れなくなる呪いを受けた灯里と、彼女のために気後れしていた経緯を乗り越え勇気を出した喜一郎。試練とはいってもやってることはただのバカップル体験で(苦笑)一緒に行動する中で積み重なってゆく想いと、過去の誤解と約束もうまく絡めていい感じに盛り上がってゆく展開はとても良かったです。最後の流れは続巻を期待していいですよね?
読了日:10月07日 著者:道草よもぎ
滑らかな虹〈下〉 (ミステリ・フロンティア)滑らかな虹〈下〉 (ミステリ・フロンティア)感想
「ニンテイゲーム」を続ける五年三組で密かに起こった変化。その結果起こった事件、クラスメイトのその後や柿埼先生とあやめ先生の思いの行方が描かれた下巻。バンパイアチームによって徐々に取り込まれてゆくクラスメイト。取り込まれて元気をなくしていく親友を心配するけれど上手くいかない構図は難しいなとも思いましたけど、それ以上に決死の思いから起こした事件とその顛末に何とも言えない気分になりました。切ないけれど穏やかな結末かと思ったら、最後に思わぬことに気付かされてビックリ...でもいつか二人が仲直りできるといいですね。
読了日:10月07日 著者:十市 社
少女手帖 (集英社オレンジ文庫)少女手帖 (集英社オレンジ文庫)感想
周囲に迎合しグループ内で平穏に生きていくことに全力を傾けてきた女子高生の小野ひなた。ある日、憧れの同級生結城さんに誘われグループの約束をドタキャンしたことで周囲から孤立してしまう青春小説。これまで無難に生きることに心を砕いてきたはずが、偶然結城の秘密を知り興味を抱いたことで結果的に失った自分の居場所。息苦しい狭い世界でどう生きるのかというお話でしたけど、焦燥を募らせていた彼女が姉や師匠、結城さんなど、たくさんの人と話し合い悩みながらもこれまでの自分を省みて、大切なことを見出してゆく姿はとても印象的でした。
読了日:10月06日 著者:紙上 ユキ
滑らかな虹〈上〉 (ミステリ・フロンティア)滑らかな虹〈上〉 (ミステリ・フロンティア)感想
中学3年になる春、山坂百音は3年半前に起きたできごとについて5年3組の担任教師だった柿埼に向けて手紙という形で思い出を綴ってゆくミステリ。当時の思い出を百音と小学校の元教員・田児あやめの2人の視点から描いていく展開で、普通だったらまず実現しないのでは?とも感じる柿埼が生徒たちに提案した「ニンテイ」というゲーム。生徒たちの思惑も複雑に絡む不穏な雰囲気の中で当然起こりうる事態と、それが意外な形で転機を迎えてゆくあたりなかなか興味深かったです。田児先生の複雑な想いも気になるところですが、下巻でどうなるのか期待。
読了日:10月06日 著者:十市 社
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編 (宝島社文庫)感想
一年生部員たちもようやく部活に慣れ、コンクールに向けた練習もいよいよ本格的になってきた北宇治高校吹奏楽部。大会へ向けてのあれこれと、悩める部員たちの葛藤が描かれる後編。オーボエのみぞれの出来に不満を感じる麗奈と、ソロを務めるみぞれと希美の関係。新体制で臨んだこと変化を感じつつ、ぶつかりあいながらも実力を高めてゆく久美子たちの姿が眩しかったですが、力を出し切ってもそれで勝てるとは限らないんですよね...難しい。三年生が引退しての新体制はなるほどなと思う布陣でしたけど、最後の夏に向けた新章が今から楽しみです。
読了日:10月05日 著者:武田 綾乃
お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) (創元推理文庫)お人好しの放課後 (御出学園帰宅部の冒険) (創元推理文庫)感想
部活必須の御出学園で通学地域で社会奉仕を義務付けられた独特の帰宅部。そこに所属する佐々木幸弘が地域で起こる謎や事件を仲間とともに解いていく青春ミステリ。夜な夜な動くという噂のベニヤ製の人形の謎やたたかうにんじん、双子を巡る複雑な想い、商店街文化祭のお姫様コンテストにまつわるあれこれ。やや若干登場人物が多いかなという印象はありましたけど、繊細な人間関係の機微にも配慮しながら解き明かしてゆく謎解きは主人公らしくて、彼がようやく意識し始めた幼馴染との関係が今後どうなってゆくのか、続きが読んでみたいと思いました。
読了日:10月05日 著者:阿藤 玲
真夜中の本屋戦争2 (ホワイトブックス)真夜中の本屋戦争2 (ホワイトブックス)感想
年度末の返品作業に追われる書店アルバイトの渡鍋渉と竹河紫野。本のゴーストたちで毎日ドタバタ続きの書店に、今度はいかにも怪しげな店長が着任する第二弾。まさかの二巻目刊行には驚きましたけど、狐の新任妖怪店長・玉緒の挙動に振り回されたり、方向性が見えてこない渉の就職活動に頭を悩ませつつな今回。ポイントを押さえたゆるい雰囲気の中でサイン会やビブリオバトルといったイベント開催もあり、付き合い始めたばかりの渉と紫音の初々しい距離感もまたいい感じで、物語の雰囲気と素敵なフカヒレさんのイラストもよくマッチしていました。
読了日:10月04日 著者:藤春 都
サイメシスの迷宮 完璧な死体 (講談社タイガ)サイメシスの迷宮 完璧な死体 (講談社タイガ)感想
警視庁特異犯罪分析班に異動した神尾文孝が、協調性ゼロだが優秀なプロファイラー羽吹允とコンビを組み、連続猟奇殺人の謎に挑む警察ミステリ。マイペースな言動で神尾を振り回す羽吹が抱える過去と、経験したもの全てを忘れることができない超記憶症候群。銀色の繭に包まれた美しいともいえる異常な死体を残す連続殺人事件。その記憶を活かして事件に繋がる鍵を探す過程で、噛み合わなかった二人が徐々にコンビになってゆくのがいい感じで、まだまだ終わらないことを予感させる結末に続巻をまた読みたくなりました。今後に期待の新シリーズですね。
読了日:10月04日 著者:アイダ サキ
旧暦屋、始めました (ハヤカワ文庫JA)旧暦屋、始めました (ハヤカワ文庫JA)感想
奈良で再会した大学生になった八重と、その近くで着物の店・旧暦屋を開いた天才和裁士琥珀。バイトを引き受けた八重と和の知識豊富な琥珀の元に次々と着物を巡る事件が持ち込まれる第二弾。人形に隠されたメッセージや模様柄が語る恋の罠、そして八重に出された「旧暦屋にない密」の謎。着物やいろいろな背景になるほどなあと思ったり、なかなか伝わらない粋な琥珀の八重への想いにどかしいとも感じつつ、見通すかのように琥珀が解き明かした謎解きには裏があって、琥珀が八重にこだわる理由も垣間見えたりで今後の展開が改めて楽しみになりました。
読了日:10月03日 著者:春坂 咲月
ババチャリの神様 (双葉文庫)ババチャリの神様 (双葉文庫)感想
父親の失業で東京から父の故郷である島根の四葉島に移り住んだ高校生鳥羽心一。都会への未練を捨て切れない心一が、ある日蔵で死んだばあちゃんが宿っていた古いババチャリを見つける青春小説。真剣に祈れば望むところへ連れて行ってくれるというババチャリに取り憑いたおばあちゃんの霊。島で出会った女の子に一目惚れしたり、仲間たちと島での生活を満喫したり、みんなでババチャリで東京に行ったりとだんだん島の生活に馴染んでいった心一が、苦い過去も乗り越えて大切な人の窮地にババチャリに乗って奮闘する涙あり笑いありの素敵な物語でした。
読了日:10月03日 著者:皆藤 黒助
平浦ファミリズム (ガガガ文庫)平浦ファミリズム (ガガガ文庫)感想
五年前にベンチャー企業社長である母を亡くした平浦一慶。残されたトランスジェンダーの姉、オタクで引き籠りの妹、コミュ障でフリーターの父とともに過ごす日々が描かれる青春小説。何でも自分でできてしまうがゆえに高校にもろくに通わず、アプリ開発に精を出す日々を送る一慶。過去の苦い経験から周囲に無関心でしたけど、誤解されて窮地に陥った時でも彼のことを気にかけてくれる人たちがいて、不器用な交流の中にもたくさん気づけたことがあって、彼だけでなく周囲もまたその影響を受けて成長してゆく展開は、とても心に響くものがありました。
読了日:10月02日 著者:遍 柳一
また、同じ夢を見ていたまた、同じ夢を見ていた感想
周りよりちょっと賢いけれど、周囲から浮き気味の小学生なっちゃん。彼女がリストカットを繰り返す女子高生、アバズレと呼ばれる女、一人静かに余生を送る老婆たちと関わり合いながら幸せとは何かを考えてゆく物語。同級生よりちょっとだけいろんなものが見えてしまうがゆえに、周囲とうまくやれずにいるなっちゃんが放課後に出会う不可思議な大人たちとの宝物のようなやりとり。読んでいていろいろもどかしい気持ちにもなりましたが、分からないなりに一生懸命考えて自分なりの答えを出してゆくなっちゃんの未来を応援したくなる素敵な物語でした。
読了日:10月02日 著者:住野 よる
華鬼 (講談社文庫)華鬼 (講談社文庫)感想
鬼の花嫁の刻印を持つ少女・朝霧神無は、十六歳の誕生日に鬼の末裔、木藤華鬼のもとに嫁ぐべく連れさられ、多くの鬼とその花嫁たちが通う全寮制私立高校で華鬼と出会う学園ファンタジー。鬼の花嫁の刻印の影響でこれまで過酷な人生を送ってきた神無。彼女に冷たい華鬼と彼女を守ろうとする三翼たち。置かれた場は過酷なのに、積み重ねた過去のせいで自信がなく人を頼れず自分を大切にできない神無の行動が不用意過ぎて、守ってくれる人がいるからまだいいですけど華鬼がここからどう変わっていくのか。番外編の邂逅を見る限り期待してもいいのかな。
読了日:10月01日 著者:梨沙
終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#05 (角川スニーカー文庫)終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#05 (角川スニーカー文庫)感想
遺跡兵装モウルネンの真実を知るべく、護翼軍司令本部に忍び込んだ元四位武官フェオドール。そんな彼の前にかつての妖精兵ノフトが立ちはだかる第五弾。浮遊大陸が置かれている厳しい現状が明らかになり、いろいろ懐かしい人物も登場したりする中で、一番後悔する道を選択し続けるフェオドール姉が辛い現実を突きつけ誘導してゆく流れに、各々が決断し動き出すことがどういう結末をもたらすのか。切迫した状況の中で、何とかしようとあがく健気な彼女たちや素直になれない彼の想いがいつか報われるといいなと思わずにいられません。続巻に期待です。
読了日:10月01日 著者:枯野 瑛

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