今回は11月電撃文庫の新刊感想まとめです。内訳は電撃文庫の新作3点、続巻6点の計9点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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聖女と暴食 (電撃文庫)
地球周回軌道上に浮かぶ巨大都市天環から、地上へと逃走してきた少女アナ。彼女と地上の閉鎖環境都市「学園」の生徒ハルが運命の出会いを果たす学園ファンタジー。地上を荒廃させた災厄・暴食の悪魔ベルゼブブと契約するアナに対する天人の追撃をからくも逃れたハルが、黒犬姿のゼブと彼女を所属する第七学区へと連れ帰り、危なっかしいアナの居場所を確保するために生徒会を辞めて一緒に「学食部」へと移籍する展開で、戦力の要だったハルの突然の生徒会離脱が学区内に思わぬ波紋を広げていく一方で、災厄やアナを狙う存在も現れて、災厄の謎や鈍感なハルにやきもきする魅力あるヒロインたちの複雑な乙女心も上手く絡めながら、テンポよく進むストーリーには安定感があって、ますます面白くなりそうな期待感がありました。
死神さん、やさしく殺してキスをして (電撃文庫)
松山 剛/つくぐ KADOKAWA 2025年11月08日
ロンドンに朝が来なくなって、8年と3ヶ月。人を殺せない心優しき死神のジャームスが、死にたがりな聖女メアリーと命をかけた契約を結ぶ物語。世界の寿命平衡を保つため人々の寿命を狩り、文字通り夜な夜な死神のノルマをこなすものの、性格とトラウマから人を殺すことができず、寿命を削るに留まっていたジェームス。そんな彼が削ったはずの寿命を回復させる本来相容れないはずのメアリーと出会い、彼女を殺すことを条件に彼の不治の病を抱える妹の寿命を延ばすために契約する展開で、同僚の生き様に見る死神の人生や、アンタッチャブルな存在だったメアリーと死神の対立も浮き彫りにしながら、ギリギリまであがく中でお互いにかけがえのない存在になっていって、その果てに迎える結末はなかなか粋で素敵な物語でした。
レイの世界 ―Re:I― 1 Another World Tour (電撃文庫)
時雨沢 恵一/黒星 紅白 KADOKAWA 2025年11月08日
有栖川芸能事務所に所属する15歳の女の子ユキノ・レイ。歌手と女優を目指し日々努力している彼女のために、マネージャーの因幡が次々と変わった仕事を取ってくる連作短編集。彼女にもたらされる仕事は、とある小さな町の広場にある特設ステージで歌う初仕事、思ってもみなかった歌合戦、領主との結婚を阻止する偽婚約者役を演じたり、初映画出演で求められた役割、10万人相手のコンサート、たったひとりのための舞台など、どこか怪しい因幡が取ってくる仕事はどれも並行世界や異世界が舞台だったり、依頼主が少し変わっていたりして、それでも一生懸命に向き合って全力でお仕事に励むレイの頑張る姿が良かったですし、短編ながらも伏線回収も巧みで構成が練られているそれぞれの結末がなかなか印象的でした。
あなた様の魔術【トリック】はすでに解けております2 (電撃文庫)
白金 透/天野 英 KADOKAWA 2025年11月08日
《黒魔術師》バーナビーの痕跡を辿り、魔都ジェズリール・タウンへ向かう2人。街の頂点に君臨するフォーベス家が関わる事件を追うなかで仇敵の影を見る第2弾。フォーベス家の後継者争いに介入する《黒魔術師》バーナビーに対抗するため、その後継者候補ジュエルの家庭教師だったヒューレット家当主を訪れ、そこで起きた当主の娘の死を巡る真相、そして後継者争いを巡る不審死などを2人が解き明かしていく展開で、重厚な構成の中に時折ユーモアも交えたストーリーはトリックの仕掛けも巧妙で、敵味方問わず造形が丁寧で信念や背景が感じられた登場人物たちが迎えるそれぞれの結末も印象的でした。比翼の探偵たちの旅路がどのような結末を迎えるのか今後の展開に期待です。
義妹5人いる2 (電撃文庫)
突然できた5人の義妹たちとの生活にも慣れ、少しずつ家族に近づいてきた5月。文化祭目前に控えて、四女・風香からアイドルになりたい夢を打ち明けられる第2弾。他の家族にはアイドルを目指していることは秘密、という状況はこのままだとトラブル必至。そこで頑張る風香のマネージャーを務めながら、家族の間を取り持つために奮闘する陸都。地夏の変化もあって義妹たちとも少しずつ仲を深めていく中、掴み所がない火鈴や陰ながら応援する水緒もなかなか印象で、悩める風香に寄り添った陸都だけでなく、義妹や両親たちもそれを応援してくれて、緊張しながらもライブをやり遂げてみせた風香のこれからに期待したいところですし、他の姉妹回が楽しみですね。
年下の女性教官に今日も叱っていただけた2 (電撃文庫)
岩波零/TwinBox KADOKAWA 2025年11月08日
ドラゴンを一撃で倒せるのに女性に弱すぎるレオン。自分のせいで逃亡したスライムのモン娘を追うため、教官のリリアを含む3人の女子と一緒に出航する第2弾。出航して目的地に向かう途上でクラーケンに襲われて船が難破してしまい、女尊男卑思想な16歳の美少女エヴェンジェシカが統治する圧倒的女性優位な島に流れ着く4人。男性が奴隷として使役される環境で、頑ななリリアたちが反乱分子と見なされてしまう一方、理想郷で見出ししまうチョロいレオンが心揺れる姿や、覚えていてはいけないことは記憶消去されていく展開には笑ってしまいましたが、操り人形扱いのリリアに赤ちゃん扱いのシエナ、彼ピ(仮)扱いのフィオナに御主人様候補まで登場して、ますますカオスなことになりそうです(苦笑)
エルフの渡辺3 (電撃文庫)
行人の告白に一度はOKを出した風花。いろいろあって仕切り直しとなっていた煮え切らない2人に痺れを切らした小滝泉美が、一緒にお出かけをする作戦を提案する第3弾。全国大会行きが決まったバレー部に何とか同行できないか考えあぐねていた行人と、一向に進まない大木との関係に悩む風花の初ランチデート。焚き付けた泉美もびっくりの急展開でしたけど、重くてヤキモチ焼きな一面を見せる風花がなかなか可愛いかったですね。紆余曲折の末に泉美も含めて3人で福井に行ったエピソードは思わぬ展開に繋がっていきましたけど、これまで積み重ねてきた今いる場所を大切に思えるからこそ、惑わされない彼女たちのありようがあって、コンクールの結果含めて微笑ましくてとても素敵な結末でした。
陰キャの俺が席替えでS級美少女に囲まれたら秘密の関係が始まった。3 (電撃文庫)
星野 星野/黒兎 ゆう KADOKAWA 2025年11月08日
完璧を追求する黒木瑠衣に心を動かされ、彼女を支えるために生徒会副会長になる覚悟を決めた泉谷諒太。そんな彼に密かにラブレターが届く第3弾。優里亜の家に招かれてコスプレを堪能したり、3人の美少女ヒロインたちそれぞれのとらしい距離のやり取りを積み重ねていく中で、誤解されかねない写真をネタに諒太の弱みを握った後輩の姫咲希望が見せる意外な一面。田中も負けじと思わぬ存在感を見せる中、お互いに秘密にしながら諒太にアプローチするヒロインたちも魅力的したね。予想もしなかった立候補もあって白熱していく生徒会選挙で、彼女たちのために奔走する諒太の熱い想いはなかなか良かったですし、普段はアレな彼が慕われるのも分かるような気がしました。これからどんな板挟みが待っているのかますます盛り上がりそうな続巻に期待です。
男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 12. それでも、ずっとずぅ~っと一緒にいようねっ! (電撃文庫)
七菜 なな/Parum KADOKAWA 2025年11月08日
悠宇に資金援助するに足る実力があるかを見るために紅葉が課した試験で、悠宇とゆめ、日葵と準が組んで『フォトグラフ』勝負をする第12弾。一見、日葵がわざと負ければいいだけの簡単な試験のようでいて、後日天馬の一言によって紅葉の真意が判明し全ての前提が覆る展開で、現段階で精一杯でぶつかりあった勝負もなかなか良かったですけど、咲姉さんの意外な事実も判明したりして微笑ましかったですね。高校を卒業した悠宇・日葵・凛音のそれぞれの選択があって、箱庭を出てそれぞれのやり方で成長すべく努力することを決めた、運命共同体2人の関係が最終的にどういった形に落ち着くのか、現段階ではまだまだわからないですけど、あとがきを読む限りでは構想がありそうな大学生編にも期待しています。

