今回は6月MF文庫J・ダッシュエックス文庫・オーバーラップ文庫・メディアワークス文庫の新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jの新作1点、続巻2点、ダッシュエックス文庫の新作1点、続巻1点、オーバーラップ文庫の新作2点、続巻5点、メディアワークス文庫の新作1点の計13点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書 (MF文庫J)
人類と地球外から侵略する機械人形オートマタとの100年にも及ぶ戦争を終わらせるため、若き大魔法使い蘭崎理人が超スパルタ指導で限界突破する努力無双ファンタジー。魔法を一度極め飛び級で魔法学校の教師となり、後進育成にあたっていた理人。しかし今のやり方だけではあまりにも時間がかかりすぎる状況を憂いて、それを打開しようと圧倒的なパワーを身につけるため妹・六花のハードトレーニングで魔改造されていく展開で、同調圧力的な壁を乗り越えて、さらなる成長を促すために実施したライバル面接にやってきた謎の少女エマや、エリート魔法使いを嫌う詩音と出会い、騙され諦めかけていた被害者を最後まで諦めない、理人の熱い想いで心を揺さぶる展開とその結末はなかなか良かったです。
男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと8 百合の間に挟まる男として転生してしまいました (MF文庫J)
端桜 了/hai KADOKAWA 2025年06月25日
第四柱の魔人「万鏡の七椿」により、107年前の帝都へ飛ばされたヒイロ。三条緋路という少年に憑依したヒイロがロザリーと出会う第8弾。不治の病に侵されたロザリーが夢見る迫害される半人半魔と人間との融和、命が尽きる前に恋をしたいという願い。療養のためカルイザワに転居した彼女の仮初の恋人役を演じるヒイロ。魔導触媒器が使えず、まともに戦闘を行える味方はいないという状況でも、歴史から消された裏切者や魔導書強奪の大罪人、若き日の師匠、最凶の封印執行者、人命を弄ぶ魔人といった様々な思惑が絡むカルイザワ決戦に挑んだヒイロの熱い想いと最後まで諦めない覚悟があって、そんな中で相棒として存在感を見せたアリスハリアもいい感じに効いていました。
義妹生活14 (MF文庫J)
無事第一志望の大学に合格した悠太と沙季。同じく国立の最難関大学に合格した丸や奈良坂とともに大阪に卒業旅行に出かける第14弾。卒業旅行で満喫した大阪城やテーマパーク、お笑い、水族館。新たに始まったそれぞれの大学生活での新たな出会い、インターンシップに挑戦する沙季。そして母親からの相談。高校にはいなかったタイプの新たな出会いで感じたギャップだったり、違う大学に通い始めたことによる生活リズムの変化だったり、環境が変わっていくことに同じような不安を抱えていたわけですけど、そこで改めて話し合ってもう一度価値観をすり合わせることができるのが2人の関係なんですよね。新たに前に進む覚悟を決めた彼らの今後が楽しみです。
聖女聖戦 ―大罪勇者と思い出の魔女― (ダッシュエックス文庫)
凄惨な自死の後、勇者として異世界転生させられた倉敷斗真。しかし召喚主の誘いを蹴り、魔女として追われる聖女アデルの手を取るダークファンタジー。13人の聖女が1人になるまで殺し合う『聖女聖戦』が行われる世界で、真の聖女を名乗り一強状態の純白の乙女ミーシア。彼女に対抗するため狩られる側の聖女を集め、神より授けられた「十三人殺し」の異能を使い戦況を大きく揺るがしていく斗真。策謀を巡らせいかに出し抜くか駆け引きを繰り広げて、聖女や彼女たちを支える聖騎士のそれぞれの背景も浮き彫りにしていきながら、明らかにされてゆく壮絶な真相とその結末があって、だからこそ苦難を乗り越えていく中で育まれていく、お互いを支える2人の確かな絆には救われる思いでした。
君は僕の後悔 4 (ダッシュエックス文庫)
藍衣のもとに静かな嵐のように突然現れた姉・梢依。戸惑う藍衣に対して彼女が母親のもとへ帰れと告げる第4弾。かつて母親と軋轢があり、父親と共に家を出た藍衣。自由でいたいだけで、母親のもとへ帰るという選択肢はなかったはずの彼女の日々が、梢依が現れたことをきっかけに、なぜか次第に窮屈に感じられるようになっていく展開で、そんな悩める彼女の意思を尊重する結弦の言葉には個人的にはどうにももどかしい感もありましたけど、そこで改めてこれからどうすべきかを自分なりに考えて、しっかりと向き合った藍衣の成長が感じられましたし、不器用なやり方ではあっても藍衣に寄り添い、その背中を押してくれた薫の存在も効いていました。
ワイの本当の職業が【性騎士】とか言えない 1 (オーバーラップ文庫)
年寄りしかいない村で冒険を求める少年アルスが授かった職業【性騎士】。【聖騎士】と勘違いされた彼が聖女の護衛を任されてしまうファンタジー。職業を偽っていたことがバレれば即処刑という状況で、これまで積み重ねてきた剣の技術と性欲の量が強さになるスキル《性なる盾》で黒騎士メイや白騎士リースとともに聖女を護るアルス。タイプの違うヒロインたちもなかなか魅力的で、いろいろ妄想するもののそれを実行に移すだけの行動力はなくて、一方で強くなるために努力を怠らない一面も垣間見せるアルスが、ヒロインたちのために身体を張るカッコ良さを見せるのに、【性騎士】ゆえのオチがついてしまってどこか締まらない展開は微笑ましくて面白かったです。
洗脳スキルで異世界無双!? (オーバーラップ文庫)
KT/おやずり オーバーラップ 2025年06月23日
前世が社畜だった記憶を持つ貴族の少年ヒュー。今世は気ままに生きたい彼が誰でも支配できる洗脳スキルを授かるハーレムファンタジー。危険なスキルを隠蔽したまま学園の入学試験を受けることになったヒューが、破れかぶれで自身を〈洗脳〉してみたら己のスキルを変え放題という反則級な使い道に気づく展開で、早々に誘拐される男装の訳ありルームメイトのルーグや、同級生に言い寄られる庶民聖女レクティをスキルを使って救ったヒューが、ヒロインたちに慕われる一方で王位争いにも巻き込まれていく中、意に染まぬ結婚を迫られる侯爵令嬢リリィを救うため、計画に参加してスキルをうまく使い分けながら立ち向う熱い想いが感じられる展開はなかなか面白かったです。
異界掃滅のソルジャーメイド 2.嘘と秘密の七重奏曲 (オーバーラップ文庫)
河鍋鹿島/ちひろ綺華 オーバーラップ 2025年06月23日
互いに命を燃やした共闘の末に心を開いたアイリスと孤高の天才だったシオン。今度はウルリカ隊の救援のため特別遊撃隊としての出動任務が下る第2弾。フローレンスの計らいで同居を始めた2人への依頼にアイリスは張り切る一方、セレストの死の一因でもある裏切り者を暴く秘匿任務を命じられ、ウルリカ隊所属のメンバーの背景を探るシオン。そこからさらに犠牲者も出てしまう一方、隠し事をするシオンにモヤモヤするアイリスという構図もあったりで、戦いの中で成長していくウルリカ隊のメンバーとも共闘しながら、窮地に陥っても最後まで諦めずに戦い、それを乗り越えることでより絆を深めていった2人の距離感も良かったですし、暗雲立ち込める今後の展開も気になるところです…。
天下の大悪人に転生した少年、人たらしの大英雄になる 2 (オーバーラップ文庫)
千月さかき/もきゅ オーバーラップ 2025年06月23日
10年後に傾国の悪女となってしまうはずだった義妹を、無事闇堕ちルートから救うことができた天芳。更なる成長を求めて姉弟子・凰花の祖国・奏真国に到着する第2弾。更なる秘術を得るために新たな師を求める天芳が出会う、師匠・雷光の知己で武術の達人でもある訳ありの遍歴医・玄秋翼と娘の冬里。さらに力を身に着けてゆく中で突如襲来した因縁の敵を見事撃退する一方、現場に残された謎の暗号を解読する中で、国の命運を握る重大な危機が迫る展開で、今回は新たなヒロインも増えましたけど、天芳のために星怜もいろいろ頑張る姿を見せてくれて、転機となる新たな出会いをきっかけに確かな力を身に着け、それぞれがしっかりと向き合っていくことで歴史もまた確実に変わってきていますね…。
断罪された転生聖女は、悪役令嬢の道を行く!3 (オーバーラップ文庫)
再会したかつてのパーティーメンバー・ゼルにより『聖王国』の建国を宣言されてしまった聖女ルナ。合同夏合宿の提案があった神国聖女学院へ出向く第3弾。自分がかつて書いた黒歴史のポエムを回収するために合同合宿で赴いた神国では、聖女を殺そうとする魔族とそれに加担する人間が潜む一方、関わる人たちを守るため聖王国の発展を真剣に考え始めたルナが同盟国探しに乗り出し、因縁から長らく抗争が続くゴドバ武道国やカソルラ魔道国を視察する展開で、相変わらず脳筋で特に構想があるわけでもなく行き当たりばったりなのに、むしろ敵対勢力側が深読みしてその意図をいろいろと語り出す様子には苦笑いでしたけど、彼女が考えている以上にどんどん話が大きくなっていく今後が楽しみです。
悪役令嬢はしゃべりません 4.戦禍を舞う妖精姫と狩人の塔 (オーバーラップ文庫)
由畝 啓/ミユキルリア オーバーラップ 2025年06月23日
三大公爵家当主が相次いで逝去して、混乱に陥る王国中枢部。未だ先の読めない暗雲立ち込める状況下で、リリアナが遂に喋れない非力な公爵令嬢であることをやめる第4弾。顧問会議の顔ぶれも大きく変わり、リリアナも正式に婚約者となって、様々なところで変化の兆しが見える貴族の勢力図。彼女が最強の刺客オブシディアンも使いながら、亡き父エイブラムの企みが王国の存亡にかかわるものであることを突き止める一方、ケニス辺境伯領が皇国の領主軍に侵攻される展開で、北の移民問題や様々な背景も判明していろいろなことが見えてきたり、身近な人物の意外な正体が明らかになったりもしましたが、リリアナがこれまでいくつもの命を救ったりしたことで、いろいろゲームとは展開も変わってきていますね…。
攻撃力ゼロから始める剣聖譚 5 (オーバーラップ文庫)
大崎アイル/kodamazon オーバーラップ 2025年06月23日
天頂の塔で起きた異常事態を見事解決に導いたユージン。彼が属するリュケイオン魔法学園の英雄科に今度は蒼海連邦と聖国から依頼が舞い込む第5弾。帝国が大魔獣討伐したことで持ち上がった蒼海連邦と聖国にいる伝説の大魔獣の討伐要請への協力。サラやスミレと共に依頼を引き受けたユージンが聖国の死の鳥討伐、そして親友クロードも参加する蒼海連邦の暗黒竜討伐に参加する中、覚悟を決めたクロードと共闘する熱い展開もなかなか良かったですね。一方でスミレとサラを中心に、魔王エミリーや幼馴染アイリなども絡めたユージンを巡るヒロインたちとの駆け引きも、何とも微笑ましいというかいろいろ複雑なものがありますけど、新展開によってこのあたりもまた面白くなりそうです。
かくして魔法使いノイ・ガレネーは100年後、花嫁となったI (メディアワークス文庫)
六つ花 えいこ KADOKAWA 2025年06月25日頃
魔王を宿す少年カルディアの監視を命じられた国一番の魔法使いノイ。運命に翻弄されながらも孤独だった2人が希望を紡ぐいでいく物語。心を閉ざした彼に寄りそい、穏やかな日々を送っていたノイが、ついにカルディアの中の魔王が目覚めてしまった時のために編み出していた浄化魔法。そして100年後の世界で少女の姿で目覚め、青年の姿に成長したカルディアと再会したノイ。彼の弟子オルニスも絡めて関係を構築していきながら、彼の若き婚約者としてかけがえのない日々を過ごす一方、魔力を持たず自らの正体を秘したままのノイと、密かに自らの状況を危惧するカルディアが、これからどんな物語を紡いでいくのか。それが2人にとって幸せな未来であってほしいです。