今回は6月GA文庫・サーガフォレストの新刊感想まとめです。内訳はGA文庫がシリーズ続巻4点、新作3点、サーガフォレストの続巻2点、富士見L文庫続巻1点の計10点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
りゅうおうのおしごと!19 (GA文庫)
歩夢に敗れて初めての失冠を経験して、一つの想いを固めて自らの意思で銀子の元を訪れた八一。一方、天衣との激闘を何とか制したあいの苦悩が描かれる第19弾。覚悟を持って銀子の元を訪れて勝負を挑んだ八一の覚悟。一方、将棋を続けられることになったものの深刻なダメージから回復できず追い詰められるあい。多くの棋士たちのこれまでの生き様だったり、焚きつけられて立ち上がる不屈なヒロインたちの熱い思いも描かれる中で、物語がどこに向かうのか、タイトルの意味も含めて方向性が見えてきて、相手の将棋観をぶち壊すような将棋をする創多もまた八一が大好き過ぎて、やっぱり八一が大きなうねりの中心なんですよね(苦笑)今回も濃厚な1冊でしたけど次巻最終巻楽しみにしています。
嘘つきリップは恋で崩れる2 (GA文庫)
付き合いはじめて約2ヶ月。甘々おとなりさん生活を満喫する大学2回生になった相楽とハルコ。しかしハルコの誕生日で自信のなさから空回りした2人は、すれ違いを起こしてしまう第2弾。周囲と比べてもっと相楽と仲良くなりたいと意気込んだ結果空回りして、学業も疎かになってしまうハルコ。そんな彼女を心配する一方で、いまいち自分に自信を持てずに距離を縮められない相楽。経験不足もあってなかなか前に進めない状況に、相楽の義妹JK一花が現れたことで物語が動き出す展開で、お互いに考えすぎて空回りしたり、大切に思う気持ちを上手く伝えられないもどかしさが描かれる中で、何より周囲もつい応援したくなるような2人の関係性があって、絆を深めた2人ならいかにもそうなりそうだなと納得の結末は本当に良かったです。
毎晩ちゅーしてデレる吸血鬼のお姫様2 (GA文庫)
「今日もしろーの血、飲んでもいいですか……?」依存してしまうほど相性が良すぎて一時は暴走してしまうほど史郎を求めた吸血鬼の美少女テトラ。吸血鬼としての本能を抑えられない彼女を受け入れることで信頼を深めたふたりだったが「好き」という誤爆メッセージが原因で距離を縮められないジレンマに陥っていた。そんななか訪れたナイトプールでは史郎を水着で誘惑したり一緒にお風呂に入ったり。普段以上に積極的なテトラを見て史郎の気持ちも揺れ動く……。「その女の子と両思いだってわかったら……どう、しますか……?」毎晩ちゅーをせがむ吸血鬼のお姫様とのデレ甘ラブコメ、第2弾!
大学入学時から噂されていた美少女三姉妹、生き別れていた義妹だった。2 (GA文庫)
夏乃実/ポメ SBクリエイティブ 2024年06月15日頃
離れ離れになっていた義妹三姉妹と大学入学で再会した遊斗。すっかり美人になり独占欲を見せる三姉妹たちにぐいぐい迫られてゆく第2弾。再会したことが嬉しくて、もっと遊斗と一緒にいたいと思うようになっていく真白、美結、心々乃。さらに三姉妹の住む家にお泊まりすることが決まり、いつも以上に距離の近い三人からのアプローチだけでなく、しまいには便利だからという理由で同居を提案される遊斗。三姉妹はそれぞれに遊斗を慕い、彼も三姉妹を大切な存在だと感じられる微笑ましい展開でしたけど、一方で遊斗も自覚するようにこれ以上距離が近づいた時にこの関係がどう変わってゆくのか。彼女たちの思いが果たして兄妹愛なのか恋なのかは気になるところではありますね…。
やり込んでいたゲーム世界の悪役モブに転生しました (GA文庫)
夏乃実/しまぬん SBクリエイティブ 2024年06月15日頃
やり込んでいたRPG世界のモブ悪役奴隷商人に転生した主人公カイ。成り行きで捕われていたヒロインたちを助け出したことで誤解が広がっていく転生ハーレムファンタジー。シナリオ通り進めば破滅する運命を回避するため、公爵令嬢のカレンや聖々教の大司教令嬢ニーナ、大商人令嬢レミィといった子供たちを助け出して、転生前にため込んでいたアイテムを使いながら街に送り届けたカイ。親たちが誘拐された娘を救い高価な回復薬も惜しみなく使ったカイを探し始め、さらに意図しない思わせぶりな言動が絶妙にハマってさらに誤解が深まっていく展開には苦笑いでしたけど、彼にすっかり懐いた子供たちだけでなく、妙齢の姉たちもわりとぐいぐい来る勢いで、ここから物語がどう動いていくのか続巻が楽しみです。
美少女生徒会長の十神さんは今日もポンコツで放っておけない (GA文庫)
相崎壁際/森神 SBクリエイティブ 2024年06月15日頃
私立麗秀高校で知らない者はいない完璧美少女で一年生にもかかわらず生徒会長に就任した十神撫子。しかし実は彼女が取り繕っているだけのぼっちでポンコツであることが露呈していく生徒会青春小説。入学直後に不運でつまづき、留年の危機を回避するために半強制的に生徒会役員にさせられた郡上貴樹が、実は十神が不器用なポンコツキャラであることを偶然知ってしまい、とんでもないドジっ子っぷりを炸裂させたり料理ができない彼女の背景を知り彼女をフォローしたり、彼を気に掛ける幼馴染の愛梨澄や意外と武闘派な鳳来先輩といった生徒会役員たちと、もたらされた問題を解決して絆を深めていく展開はなかなか良かったです。信頼を深める十神やバレバレな幼馴染たちとの恋愛要素はまだまだこれからでしたけど、そのあたりも続巻に期待。
シャンティ (GA文庫)
1920年代、合衆国屈指の大都市ブローケナークを舞台に、大切な妹を失い自暴自棄となった少年サンガが、真紅と名乗るマフィアの男と出会うダーティーファンタジー。禁酒法が定着し違法薬シャンティが流通する街で、貧乏ながらも身の丈に合った日々を送っていたサンガを襲ったごくありふれた悲劇。妹の復讐に燃えるサンガをなだめてマフィア白蛇堂の一員とした真紅。けれど気がつくと平穏な日々に馴染んでいくことや、お前には殺せないと評される現実に葛藤を抱えて、どんどん不安定になっていったサンガの結末はむしろあっけなかったですけど、そんな彼と共に過ごし淡々として一見掴みどころのなかった真紅がどう感じていたのか。垣間見える心情が伺える終盤の展開はなかなか印象的でした。
オルクセン王国史~野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフの国を焼き払うに至ったか~(サーガフォレスト)
愛する牡との充実した幸福感に包まれる日々を送り、水面下でじわじわと準備を進め牙を研いでいたオルクセンが、ついにエルフィンドに宣戦布告する第2弾。グスタフとの関係を深めていく黒エルフの氏族長ディネルースが見せた矜持。仮想敵として定めてから長らく水面下で準備を進めてきたオルクセンが、ついに手に入れたまたとない好機。様々な種族の視点から語られてゆく彼の国に対する複雑な思いだったり、妥協を是としないこれまでの試行錯誤がこれでもかとばかりに描かれていましたが、120年のひたすら積み重ねてきた先にある開戦だと思うと、感無量な気持ちになるのも分かりますね…どんな戦いっぷりを見せてくれるのか、続巻が今から楽しみです。
カノンレディ~砲兵令嬢戦記~2 (サーガフォレスト)
砲兵部隊へと紛れ込んで戦果も挙げたエリザベス。しかし人間の命が無残に散っていく戦場の真の怖さを目の当たりにして、衝撃を受けた彼女の成長を描く第2弾。砲兵士官となり、自分を救うために散っていった兵たちの多くは名前も知らず、彼らにも残された家族がいることに動揺するエリザベス。一方、部隊を再編しつつ必要なものの調達に動く中で描かれる、有翼騎兵フッサリアの故国ヴラジド大公国のことや、義妹エレンと実家で出会い姉妹になるまでの経緯。葛藤に向き合って乗り越えたエリザベスの覚悟や、新たに部下となった女性兵士リサの奮闘も印象的でしたが、いくつもの視点からそれぞれの思惑が語られ、今後に向けた様々な布石が打たれていて、ここからどう物語が動くのか続巻が楽しみです。
青薔薇アンティークの小公女4 (富士見L文庫)
『彼の想いは偽物だ』というロビンの言葉に揺れるローザ。そんな折、セオドアの母フレヤが青薔薇骨董店に押しかけ、ローザとセオドアが恋仲だと勘違いする第4弾。無事に誤解は解けたものの、複雑な想いを改めて自覚するローザとアルヴィン。時を同じくしてアルヴィンの生家グレイ領周辺で子供が次々に失踪する事件が起こり、妖精の輪に隠されたアルヴィンの幼少期の謎を調べる中で明らかにされてゆく、彼と一緒に失踪して行方不明なままのエインのことや、両親がすれ違ってしまった原因があって、お互いに支え合ってこの危機を乗り越えた2人の関係もようやく変化の兆しを見せていただけに、そこからの思わぬ急展開でどうなってしまうのか、続きが早く読みたくなりました…。