今回は12月電撃の新文芸・GA文庫・富士見L文庫の新刊感想まとめです。
内訳は電撃の新文芸の続巻1点・GA文庫続巻5点・新作1点・富士見L文庫の新作1点の計8点になります。どれも面白いので気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
※下記紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
Unnamed Memory -after the end-II (電撃の新文芸)
Unnamed Memory -after the end-II(8)
posted with ヨメレバ
古宮 九時/chibi KADOKAWA 2022年12月16日頃
世界外から来た呪具を破壊するため大陸中を旅するオスカーとティナーシャ。けれどその一方で、かつての祖国ファルサスに不穏な影が生まれる新章第二弾。突如、隣国を侵略したファルサス国王ディスラルが城都に来ていたティナーシャに求めた過去の清算。ファルサスでの凄惨な事件に直面した自分たちがどうあるべきかという覚悟。そこから大切なものを取り戻すまでのオスカーが積み重ねた日々は、読んでいて正直気が遠くなりましたけど、お互いに対する強い想いや、揺るぎない絆をひしひしと感じさせる二人の関係性の凄みが改めて浮き彫りになって、だからこそ二人にとって共にある日々を取り戻したその幸せが、何よりかけがえのないものに思えました。
りゅうおうのおしごと!17 (GA文庫)
りゅうおうのおしごと!17
posted with ヨメレバ
白鳥士郎/しらび SBクリエイティブ 2022年12月15日頃
女流名跡の就位式でプロ編入試験からプロ棋士を目指すことを宣言したあい。一方、八一は天衣が用意した世界最強のスーパーコンピューターが計算した百年後の将棋に向き合う第十七弾。女流枠で出場した公式戦でプロを相手に連勝を続けるものの、目指す道の厳しさを痛感するあい。天衣の用意したスパコン「淡路」で百年後の将棋や思わぬものを垣間見てしまった八一の覚悟。銀子の母から聞かされる久しぶりに再会した彼女が置かれている状況、八一兄も意外と存在感を見せて、そしてヤバさを垣間見せる創多などいろいろ見どころの多い今巻でしたけど、何より対照的な道を歩み始めたあいと天衣はこれからどこに向かうのか、八一もまた悲壮な決意を固めた今後の展開が気になるところではあります。
りゅうおうのおしごと!16.5~あねでしのおしごと!~【電子限定配信版】 (GA文庫)
竜王戦に挑戦する弟弟子の九頭竜八一を見守る、中学生にして女流二冠の空銀子視点で語られた、いろいろな意味での始まりが描かれる前日譚。『システム』を生み出した天才戦略家・碓氷竜王に挑む八一に同行した銀子と、初めて対局場となった温泉旅館の将棋を知らなかった娘・雛鶴あいの運命の邂逅。碓氷やあいの視点も織り交ぜながら綴られる物語は、八一と碓氷の勝負だけでなく、男鹿や万智に振り回される銀子も描かれていて、何より因縁ある碓氷を掘り下げるエピソードが今このタイミングで出てきたことで、本編をより印象的なものにしていました。
アストレア・レコード3 正邪決戦 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚 (GA文庫)
アストレア・レコード3 正邪決戦 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚
posted with ヨメレバ
大森藤ノ/かかげ SBクリエイティブ 2022年12月15日頃
迷宮から大最悪を喚び出しオラリオを破壊せんとする闇派閥と迎え撃つ冒険者達。暗黒期に繰り広げられた正邪の決戦が決着する第三弾。殺帝と盤面上で計略を競う勇者、因縁の相手と激闘を繰り広げる美神の眷属たち、最強の暴喰に再び挑む猛者、そして九魔姫や剣姫たちと共に静寂に挑む正義の眷族たち。ギリギリの局面が続く中で盤面上の読み合いに勝った勇者は流石でしたけど、何よりも絶望に直面しながらも覚悟を決めて、負けられない戦いに挑んだ冒険者たちそれぞれの戦いがなかなか熱かったですね。その結末で明らかになってゆく真相と印象に残る巻末のEXTRAもまた効いていました。
カノジョの姉は……変わってしまった初恋の人 (GA文庫)
カノジョの姉は……変わってしまった初恋の人(1)
posted with ヨメレバ
機村械人/ハム SBクリエイティブ 2022年12月15日頃
初めてのカノジョができた高校生・大嶋鷗。初心で内気で清楚な同級生、宍戸向日葵との幸せな日々が始まると思った矢先に、かつて憧れ恋焦がれた初恋の人と再会してしまう青春小説。親同士が再婚して向日葵と義姉妹になっていた梅雨と数年ぶりの再会。明るく快活だった昔の面影がすっかり失われ、退廃的で荒んだ雰囲気を漂わせる彼女を目の当たりにして戸惑いながら放っておけない鷗。タイミングが悪かったといえばそれまでですが、何とも複雑な構図の三角関係になりそうですね…。でもここまで来るともうヒロインたちが想いを寄せる主人公の覚悟次第なのかなと感じました。どう転んでも波乱は必至の続巻が気になる期待の新シリーズです。
『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで3 (GA文庫)
『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで3
posted with ヨメレバ
岩柄イズカ/maruma(まるま) SBクリエイティブ 2022年12月15日頃
お泊まりでのキス事件からぎくしゃくした空気が続くゆいと優真。お互いの気持ちに気づきながら、最後の一歩を踏み出せない二人が林間学校に参加する第三弾。お互い意識する中で相合傘から風邪を引いてお互いの相手の家へお見舞い訪問、友人たちとのお勉強会だったり、デートの際に優真の姉ネネにいろいろな服を着せられたりと、周囲に生温かく見守られながら、相手に好かれていることを自覚する二人のイチャイチャっぷりは何とも甘かったですね…。自分なりに頑張れるようになったゆいと、そんな彼女が愛しい優真はお似合いの二人の結末を最後まで読めて良かったです。次回作も期待しています。
冷たい孤高の転校生は放課後、合鍵回して甘デレる。2 (GA文庫)
冷たい孤高の転校生は放課後、合鍵回して甘デレる。2
posted with ヨメレバ
千羽十訊/ミュシャ SBクリエイティブ 2022年12月15日頃
過干渉しないことを条件に付き合っていた空也とファティマ。人付き合いが苦手な二人だが、一緒に生活する中で互いを深く知り、交流も広がってゆく第二弾。保護者である小縁に婚約の許可を求める二人。一方、空也と正式に恋人として付き合い始めたファティマが、テストの勉強会に球技大会などを通じて打ち解けてゆく空也の友人・紅葉、彼の幼馴染・蛍花とその友人の晴花。空也以外の人との関わり増えたことで垣間見せるファティマの表情はなかなか新鮮で、その心境の確実な変化を感じさせてくれましたけど、空也の過去を改めて知ったりもして、それでも二人だけの時間はやっぱり特別な彼らのこれからをまた読んでみたいと思いました。
獣姫の最後の恋 (富士見L文庫)
悲惨な歴史を経て一族を守る力を手にした代わりに、代償として子を産むと死ぬ伽羅族の当主。新当主レイラがある日、森で諜報活動をする他国の青年ソウに一目で恋に落ちるファンタジー。今までそこまで惹かれる相手もおらず、宿命に実感もなかったレイラが突然落ちた運命の恋。他国で仕える身ゆえ共にあることはできないというソウ、己の過酷な運命を知りつつ彼の子を身籠るレイラ。けれど子供が産まれるまで一緒に危機に立ち向かってくれたソウとの間には育まれた確かな絆があって、けれどレイラを思うがゆえの彼が提示した宿命から逃れる仮説は、彼女にとってみればなかなか過酷な選択で、果たしてそれにどう向き合ったのか、相反した複雑な願いを抱いてしまうその結末がなかなか印象的な物語でした。