22年2月電撃文庫・GA文庫・カドカワBOOKSの新刊感想まとめ

今回は22年2月電撃文庫・GA文庫・カドカワBOOKSのまとめです。

内訳は電撃文庫の新作が3点、シリーズ続巻が2点、GA文庫の新作1点、続巻が2点、カドカワBOOKSの続巻が1点の計9点です。

電撃文庫の新作では亡国再興を目指す姫騎士とヒモの関係を軸に描かれる第28回電撃小説大賞受賞作のファンタジー「姫騎士様のヒモ」、男女五人の友情と恋愛の葛藤を描く「友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。」、両親を失いバイトに明け暮れる主人公がお嬢様に助けられる「今日も生きててえらい!」をセレクト。続巻ではレギオンの突然の大攻勢で思ってもみなかった過酷な任務に直面する「86―エイティシックス―」、魔法科高校ならではの青春が繰り広げられる「新・魔法科高校の劣等生キグナスの乙女たち」がなかなか印象的でした。

GA文庫は羽場才人さんの新作「みんなのアイドルが俺にガチ恋するわけがない」に加えて、続刊の二人の学校生活が始まった「『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで」、三角関係で揺れ動く思いが決着する今回で完結だった「君は初恋の人、の娘」、またガドカワBOOKSの「サイレント・ウィッチ」もモニカの成長が伺えてなかなか良かったですね。

気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。

※各作品タイトルのリンクはBookWalkerページに飛びます。

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姫騎士様のヒモ (電撃文庫)

第28回電撃小説大賞

姫騎士様のヒモ（1）

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白金　透/マシマ　サキ KADOKAWA 2022年02月10日

数多のモンスターと財宝を孕むダンジョンに冒険者たちが挑む灰と混沌の迷宮都市『灰色の隣人』を舞台に、クズな元冒険者でヒモのマシューと、その飼い主で亡国の再興を目指す姫騎士アルウィンの生き様を描くファンタジー。仕事もせず喧嘩も弱い腰抜けで、小遣いを酒と博打で浪費するマシューと、掃き溜めに咲く汚れなき深紅の花で彼を大切な命綱と考える亡国の王女・アルウィン。彼らが巻き込まれるトラブルの中で徐々に明らかになってゆく、それぞれが抱える事情や二人の関係、二人を繋ぐかけがえのない絆。絶望に直面して迷い、葛藤しながらも、大切なもののために生きることを諦めない二人の矜持がなかなか印象的でしたけど、このクソッタレな世界で足掻き続ける二人がこの先いつか希望を見出せるのか、今後の展開が楽しみな新シリーズですね。

友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。 (電撃文庫)

友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。（1）

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真代屋　秀晃/みすみ KADOKAWA 2022年02月10日

トラウマから恋愛よりも友情を育む青春を目指す高校生・古賀純也。しかし仲良し男女五人グループ内の成嶋夜瑠が隠していた本音を知って巻き込まれてゆく青春群像恋愛劇。せめてもうしばらくは友情を大切にしたいと夏休みを満喫しようと計画を立てる純也たち。一方で一人暮らしをする彼の隣に引っ越してきて彼にだけは本音で話す夜瑠には、恋愛至上主義と密かに抱える過去があって、事あるごとに対立したりいがみ合ったりしていた二人にも確かに育まれていた絆があって、これまで知らなかったこそ自覚してしまった想いは意識せずにはいられないですね…彼女からの提案は成立しうるのか、そして仲良しグループは維持し続けることができるのか、それぞれの複雑な想いも絡み合う今後が楽しみなシリーズですね。

今日も生きててえらい! ~甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活~ (電撃文庫)

今日も生きててえらい！〜甘々完璧美少女と過ごす3LDK同棲生活〜（1）

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岸本　和葉/阿月　唯 KADOKAWA 2022年02月10日

両親を喪い生活費を稼ぐためのバイトで同級生の東条冬季を暴漢から救った騒ぎで歳がバレてクビになった高校生稲森春幸。彼女から一緒に住むことを提案される青春ラブコメ。東条グループ令嬢の東条冬季とお試し期間として一ヶ月間の契約同棲をすることになった春幸。彼女と一緒の生活を始めたことで、ようやく取り戻してゆく高校生らし日々。気になる彼と共に生きるためにとことん甘やかそうとしてくる冬季には時折ヤバい雰囲気を感じて苦笑いでしたけど、彼女にふさわしい存在になろうとする春幸の頑張りがあって、二人の立場の違いから巻き込まれるトラブルにも直面して、そんな状況に葛藤しながらも彼女としっかりと向き合おうとする春幸の姿勢がなかなか良かったですね。そんな二人を巡るこれからの物語をまた読んでみたいと思いました。

86―エイティシックス―Ep.11 ―ディエス・パシオニス― (電撃文庫)

86-エイティシックスーEp.11 -ディエス・パシオニスー（11）

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安里アサト/しらび KADOKAWA 2022年02月10日

これまでの成果を無にするレギオンの突然の攻勢に人類全てが後退を余儀なくされる中、シンとレーナたちに滅びゆく共和国での絶望的な撤退作戦が命じられる第十一弾。再び足を踏み入れた彼らが目にする、確実な滅びを前にしても変われない共和国の姿。そんな彼らの前に立ちはだかる復讐に燃える亡霊の群れ。動揺を隠せない状況でどうすべきなのか、ギリギリの選択を迫られる中、心無い言葉を投げかけられる彼らのことを思うと何ともやりきれない展開で、だからこそ彼らを思いやってくれる人たちの存在は救いでしたけど、依然として燻り続けそうな問題ですし、そんな状況で明らかになる最後のあれはちょっとキツイですね...。

新・魔法科高校の劣等生キグナスの乙女たち3 (電撃文庫)

新・魔法科高校の劣等生キグナスの乙女たち(3)

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佐島　勤/石田　可奈 KADOKAWA 2022年02月10日

九校戦を目前に控え熱気に包まれる第一高校。アリサはクラウド・ボールの代表候補に選ばれ、茉莉花が入部したマーシャル・マジック・アーツ部も定例の三高との交流試合に挑む第三弾。自身の他人と競い合うことが苦手なことへの克服のきっかけになるのではないかと前向きに受け止めるアリサ。一方、女子マジック・アーツ界の超新星とも言われる一条茜に挑む茉莉花。自分を変えようとするアリサ、強敵に立ち向かおうと奮闘する茉莉花を軸に進む展開は、この世界ならではの考え方やかけがえのない彼女たちの青春が描かれていてなかなか面白かったですけど、その生い立ち故にどうしても難しい立場にならざるをえないアリサやレイラに忍び寄る魔の手も気になるところではあります。

みんなのアイドルが俺にガチ恋するわけがない（ＧＡ文庫）

みんなのアイドルが俺にガチ恋するわけがない（1）

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羽場楽人 SBクリエイティブ 2022年02月15日頃

夜に虹がかかる不思議な夜虹島で虹に降られた者は自分のレプリカが勝手に歩き出すという伝承。ある夜、瀬武継陽はレプリカを追う元人気アイドル・恵麻久良羽と出会うギャップラブコメ。自らもレプリカに遭遇した経験からアドバイスしようとする継陽を警戒する久良羽と、対象的に継陽への好意を隠そうともしないクラウ(レプリカ)。訳アリとはいえ久良羽や同級生の悠帆・アイラといったヒロインたちをたびたび勘違いさせる継陽の愛すべき鈍感野郎っぷりには苦笑いでしたけど、彼女の力になろうとする継陽の真摯な思いに触れて、久良羽がレプリカや自らの思いに向き合ってゆく展開にはぐっと来るものがありました。今回の決着から次巻もまた波乱の展開に繋がりそうで、今後も楽しみな新シリーズですね。

『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで2 (GA文庫)

『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで2

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岩柄イズカ SBクリエイティブ 2022年02月15日頃

春から同じ高校に入学した優真とゆい。優真の手助けもあって順調にクラスメイトと仲良くなっていく一方、友達としての関係との狭間で二人の想いが揺れ動く第二弾。懸念していたゆいの友達問題を解消してくれた優真の中学時代の同級生・飛鳥恵と名護の存在。一方で家族にあっさりとバレてしまう二人でお泊りした過去。周囲の人たちに見守られながら、お互い大切な存在として意識してゆくからこそ、それを失う怖さから逆に次の一歩を踏み出せなくなってしまう何とももどかしい展開でしたけど、意外な形でその思いがしっかりと伝わってしまうその結末は微笑ましかったですね。迷っていても相手を思う気持ちはぶれない、そんな二人の今後の展開に期待。

君は初恋の人、の娘3 (GA文庫)

君は初恋の人、の娘3

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機村械人/いちかわはる SBクリエイティブ 2022年02月15日頃

思ってもみなかった和奏の告白を受けて戸惑う一悟。その現場を目の当たりにして激しく心揺さぶられるルナ。和奏の告白をきっかけに一悟とルナを取り巻く状況が大きく変化してしまう第三弾。ルナ、和奏との間に生まれた三角関係の狭間で一悟は心が大きく揺れ動いてしまう一方で、自身が一悟の傍にいていいのか、和奏こそが本当に一悟に相応しい女性なのではないかと懊悩を抱くルナ。社会の常識や、倫理的な問題、直面する現実など、向き合うべき様々な問題に直面しながらも、それぞれの思いに真摯に向き合ったことで見出した一悟の偽らざる思いがあって、いろいろ難しいところもありましたけど、とてもこの物語らしい結末だったと思いました。

サイレント・ウィッチ III 沈黙の魔女の隠しごと (カドカワBOOKS)

サイレント・ウィッチ III 沈黙の魔女の隠しごと（3）

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依空　まつり/藤実　なんな KADOKAWA 2022年02月10日頃

王子暗殺を目論んでいた意外な犯人にショックを受けるモニカ。しかし三大名門校が覇を競うチェス大会の代表選手に選ばれてしまい、母校ミネルヴァの旧友と再会する第三弾。トラウマの原因となった因縁ある旧友との再会を恐れ精一杯の変装を試みるモニカが、すぐに見抜かれてその旧友とチェスで対決することになったり、王子の意外な一面を垣間見たりする展開で、なかなか意思表示できずに周囲のトラブルに巻き込まれがちなのは相変わらずでも、一方でトラウマだった過去に向き合って乗り越えてみせたり、その素直なありようを認めてくれる人もいて、周囲もまた彼女に感化されて変わってゆく様子に成長を感じました。

※今回はスケジュールの問題で後回しにしてしまいましたが、以下の電撃文庫3作品は近いうちに読みたいと思います。

幼なじみが絶対に負けないラブコメ9 (電撃文庫)