読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2017年9月に読んだ新作おすすめ本

 9月は刊行点数が多い分新作も多めですが、現時点でも読みたい本が多過ぎて追いかけるのも追いついてないので、どれを読むか読まないのか、その辺のバランスは考えないといけないところではあります。ラノベ文庫の青春ものは相変わらず突き抜けていますが、ほかのレーベルも少しずつらしい色がある青春小説を出してきていますし、この流れは今後も大事にしてほしいですね。

 

語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)

語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)

 

 バイト先で素敵な女性絵美瑠と運命的に出会い交際することになった拾い上げ作家の中村雄一。しかも彼女が新担当編集であることが発覚、デビューを目指す二人の前に悪魔のような編集長が立ちはだかる恋と戦いの物語。作家と担当という立場の違いが生まれ、複雑になってゆく二人の関係。お互い乗り越えるべき課題を抱え、編集長に厳しい指摘を突きつけられ選択に苦悩する想像以上にビターな展開でしたが、だからこそすれ違いかけた二人が向き合いぶつかりあったことで見えてきた光明と、初々しさの残る二人の恋の行方にはぐっと来るものがありました。 

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

 

 高校入学を機に「主役理論」を掲げ夢の一人暮らしを勝ち取った我喜屋未那。彼が隣に住むクラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も同じなのに真逆の「脇役哲学」を掲げる少女・友利叶と遭遇する青春小説。運命的出会いなのに相容れない天敵な二人が部屋の壁を壊してしまったことで始まる疑似同棲生活。脇役哲学がややしっくり来なかった感はありますけど、暑苦しくてやる気が空回る未那とやる気がないデキる女なのに振り回される叶が繰り広げる、いがみ合いながらも息の合ったやり取りが楽しかったです。接続章がどう今後に繋がるのか気になりますね。  

クラスの立ち位置を気にする真面目系クズの八卜が、性格の悪い黒内に絶対見られたくない場面を見られ、それをネタに八卜の潜在的クズを開花させるべく一緒にクズ活することを強要される青春小説。二人がクズ活を続ける過程で関わってゆく聖人君子のような白庭さんと、幼馴染なのに学校では交流が断絶しているトップカーストの鈴堂。黒内によって次々と本性が暴かれてゆく一方、相反する複雑な想いや距離感に戸惑う心理描写は繊細で、らしさを自覚してゆく八卜と彼女たちの関係が描かれた今回も期待を裏切らない著者さんらしい怪作でした(褒め言葉) 

 成績優秀だがクズを自認する浅井悠馬が偶然クラス演劇主役を演じることになり、幼馴染の明日香とともにクラスの中心に君臨する荒川唯のグループに巻き込まれてゆく青春ラブコメディ。行動をともにする機会が増えてゆく唯の見た目とは全然違う純真さとひたむきさ。少しずつ惹かれてゆく悠馬が知ってしまった唯のらしくない秘密。何ともほろ苦い気持ちを抱えながら、それでも彼女のために奮闘する悠馬の姿は心に響きましたが、だからといって頑張れば報われるとは限らないのが現実で、そんな迷える彼らの行く末を続巻でまた読んでみたいと思いました。 

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)

 

 覇権にこだわるオタクたちについていけず、リア充のやりとりもまた面倒くさいと感じてしまう中途半端な荒川亮太が、公園である事件に遭遇しいろいろ巻き込まれてゆく青春小説。いかにもリア充っぽいメグと、自らがかつて決別したオタ仲間の一人だと思っていた奈々子がそれぞれ抱える密かな想い。一見対極に思えるオタクとリア充を突き詰めてゆくと、避けられないのはそのどうにも面倒な窮屈さで、それでも居場所を大切にしたい彼女たちの切実な想いに応えてみせた亮太の解決法には苦笑いでしたが、こういうのもありかなと思えた興味深い物語でした。 

ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)

ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)

 

 ラノベ作家志望の高校生・冬野藍介は自分の作品が何者かに盗作され新人賞を受賞したことを知る。ショックを受ける藍介がクラスメイトの睡蓮から衝撃的な告白を受け二人で続編を書き始める青春小説。元天才子役かつ幼馴染で苦手な存在の睡蓮。そんな彼女から告げられた受賞作の真実から始まった二人の続巻執筆作業。もやもやを抱えたままでは上手くいかないのは当然で、けれど失ってから初めて分かる想いもあって。すれ違う展開がどうにももどかしかったですが、乗り越えた二人がこれからどんな物語を紡いでいくのかまた続きを読みたいと思いました。

嫌われエースの数奇な恋路 (電撃文庫)

嫌われエースの数奇な恋路 (電撃文庫)

 

 前年甲子園予選決勝まで残った結果、爆発的に増加した女子マネ志望者。決勝戦敗北のA級戦犯で今は男子マネとなった「嫌われエース」押井数奇と門前払いされる中で一人だけ残った強者・蓮尾凜が織りなす青春小説。難しい状況であえて男子マネとして部に残った数奇と、彼に因縁があるらしく何かと張り合う凜。少しずつ変わってゆく状況と諦めない不器用な数奇の頑張りがあるからこそ、ままならない現実にはもどかしい気持ちにもなりましたが、そこからの彼の頑張りと葛藤もまた青春の1ページで、これはこれで良かったのかなと思える青春物語でした。 

君との恋は、画面の中で (オーバーラップ文庫)

君との恋は、画面の中で (オーバーラップ文庫)

 

 過去のトラウマを抱える高校生・優弥がSNSだけで繋がりを持つ自称JKタカネさん。彼女とのやり取りを楽しみに日々生きていた優弥が、まさかのリアルで彼女と遭遇してしまう青春小説。コミュ障な優弥が友人の紹介で出会った可愛い高宮さん。タカネさんとリアルな高宮さんを同一視できず大混乱する優弥と、そんな彼相手に粘り強く頑張る高宮さんの間で育まれてゆく何とも複雑な関係。健気な高宮さんのエピソードが明らかになってゆくたびにもどかしさが募る展開でしたけど、遠回りしながらもあるべきところに落ち着いた結末にはホッとしました。  

さくらとともに舞う (講談社ラノベ文庫)

さくらとともに舞う (講談社ラノベ文庫)

 

 人々を殺め苦しめる荒人魂が出没する世界。荒人魂に母を殺された明石めぐるが剪定士をめざして鸞鳳学院に入学し、舞姫候補の桜みらいと10年振りの再会を果たす物語。舞姫が放つ「花力」を借りて荒人魂と戦う剪定士。学院で出会うやちよやゆらといった仲間たち、さくらと因縁がある吉野ととわこ。秘密を抱えるさくらのめぐる大好きっぷりが微笑ましかったですが、それぞれ舞姫や剪定士を目指す背景があり、騒動の元凶・黒胡蝶にも理由があって、そういう心情を丁寧に描きつつ苦しい戦いを力を合わせて乗り越えてゆく姿は心に響くものがありました。

 

 郡上踊りが終わるまでの死と生が入り混じる場所。なぜ死んだのかも忘れた高校生大和と、彼を生き返らせようとする幼馴染凛虎の不器用で真っ直ぐで凛としたひと夏の物語。二年前に死んだ凛虎の兄で親友の雪夜と、雪夜と凛虎の師匠である魔女の存在。理由を明かさないまま愚直に大和を生き返らせると告げる凛虎。終わりに向かう夏を二人で過ごす中で明らかになる事情は過去の謎に繋がっていて、譲らない頑固者の二人が散々ぶつかり合って出した諦めの悪い選択には、よくある切ない終わりの物語とはひと味違う彼ららしい後悔のない充足感がありました。 

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)

R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)

 

 東京五輪後、災厄により中京に暫定首都が移転した世界。急速に治安が悪化する中、テロ計画を未然に鎮圧すべく総理直轄・女性 6 名の特殊捜査班R.E.D.が警察庁に設立される警察小説。いかにも著者さんが好きそうな世界観で、敵も多い傑物な女総理の下、ケチな神代を指揮官に個性豊かな異能を持つ少女たちを従え、副総理と警視総監が絡む難しい政官業巨大疑獄を追う展開。一風変わった彼女たちと上司たちの使い使われる関係も気になるところですが、破格な彼女たちの活躍は圧倒的でした。登場人物たちもいろいろありそうで続巻が楽しみです。 

 可憐でドSな女子高生の女流探偵・穴井戸栄子とその下僕で助手の古野まほろが不思議な4つの事件を解決する天帝とセーラー服と黙示録シリーズのクロスオーバーかつホームズパスティーシュな連作短編集。事件を操作するドSな探偵と下僕な助手たちのテンポの良い掛け合い、Zガンダムネタやエヴァネタ満載の思い切り趣味に走った世界観は本格ミステリを楽しむというより著者さんの世界を堪能するようなテイストで、そういうものだと思って読む分にはなかなか面白かったです。どんどん迷走していく栄子の推理を次々にぶった切るまほろには笑いました。 

歯科女探偵 (実業之日本社文庫)

歯科女探偵 (実業之日本社文庫)

 

 スタッフ全員が女性の錦織デンタルオフィス。もの静かな美人歯科医・月城この葉が歯科衛生士の高橋彩女とともに周囲で起こる日常の謎や連続殺人事件に挑む歯科医療ミステリ。文中で歯科医療絡みの描写がやたら詳しいと思ったら、そういえば著者さん歯科医でしたよね。法歯科医だった父を持つこの葉が探偵役で彩女が助手、登場するキャラたちや舞台装置はわかりやすくて、発生する事件に奇想天外さはなかったですが、一見関係なさそうに見えるエピソードの数々が、最終的にはこの葉が追っていた過去の事件に繋がっていく展開は上手いなと思いました。 

捕食 (創元推理文庫)

捕食 (創元推理文庫)

 

 つらい過去があり男性が苦手な真尋と、彼女と知り合い急速に距離を縮めるいづみ。彼女と一緒なら自分は変われると信じていたはずの真尋に不審が芽生え、いづみの謎多き過去を追うサスペンスミステリ。過去を追う過程で明らかになってゆく、似た境遇だった彼女の選択とその周囲で姿を消してしまった人たち。何かあるたびにハナカマキリのように脱皮を繰り返してきた彼女がなり得たものは何だったのか。やや詰め込み過ぎた感もありましたが、ぐいぐい読ませる展開の末に迎えるいろいろ想像できてしまうエピローグは、この物語らしい結末に思えました。 

君を一人にしないための歌 (だいわ文庫 I)

君を一人にしないための歌 (だいわ文庫 I)

 

 中3の夏、吹奏楽コンクールの大失敗をきっかけにドラムをやめたモリソンが、高校入学後七海に強引に誘われ凛も加わりバンドを結成する青春ミステリ。ドラムはもうやらないはずがいつの間にか巻き込まれたモリソン。ただ最後のメンバーとして募集したギタリストが訳ありだらけで、なかなか演奏までいかずにもどかしかったですが、普段はおどおどしがちなモリソンが見せる意外な鋭さのギャップ、一方で過去に苦しい出来事があったのは彼だけでなく、彼女たちのヒミツが明らかになるたびに印象も変わり、絆が育まれてゆく展開は上手いなと思いました。 

 入社式当日に会社が倒産し路頭に迷った朝霧夕霞。失意の中で公園の掲示板にあった国交省臨時職員募集の貼紙を見つけ、特殊能力を買われて採用されるあやかしお仕事小説。夕霞が不可思議な採用試験を乗り越え採用された、国土開発の妨げになる地縛霊などを立ち退かせるのが仕事で実質的に「人」が夕霞しかいない謎の部署「幽冥推進課」。自殺したアイドルや事故死で家に帰れなくなった会社員、百五十年も橋を守り続けてきた少女など、真っ向から向き合い体当たりでその心残りを解消してゆく夕霞の奮闘ぶりはなかなか良かったです。シリーズ化も期待。

放課後、君はさくらのなかで (集英社オレンジ文庫)

放課後、君はさくらのなかで (集英社オレンジ文庫)

 

 通勤途中で事故に遭った市ノ瀬桜。目覚めると女子高生・円城咲良として生活する羽目になった桜は、担任の鹿山に事情を打ち明けて咲良の魂を探す青春小説。あまり報われない人生を送っていたはずの桜が直面するまさかの状況。そんな彼女が遭遇するかつての同級生で因縁もある鹿山の存在。難しい立場を自覚しつつも咲良のためにと一念発起して状況を変えてゆく彼女が、これまで知らなかった真実に直面して切なくもなりましたが、そんな彼女へ提示された少なからず複雑な想いも交じる未来は、やや意外でしたけど頑張って欲しいと応援したくなりました。 

家政婦ですがなにか? 蔵元・和泉家のお手伝い日誌 (集英社オレンジ文庫)

家政婦ですがなにか? 蔵元・和泉家のお手伝い日誌 (集英社オレンジ文庫)

 

 短大卒業後、母の遺言で彼女がかつて働いていた蔵元・和泉家で家政婦として働くことになったみやび。そこで泉家の四兄弟やその母と関わってゆく物語。クールで切実にお金を稼ぎたい事情を抱えるみやびが、和泉家で働きたいもう一つの目的。蔵元ネタ自体はほどほどでしたが、母君にコスプレじみたメイド姿にさせられたり、四兄弟に難癖をつけられたり、彼女役を依頼されたりと、忙しい日々の中でいろいろな出来事に遭遇しながら少しずつ和泉家に馴染んでいく展開はなかなか悪くなかったです。今後が気になる終わり方だったので、続刊期待しています。

魔法使いの願いごと (講談社タイガ)

魔法使いの願いごと (講談社タイガ)

 

目が見えない幼いヒカリに出会った魔法使い・ヒトがくれたのは、「綺麗なものだけが見える」不思議な目。しかし再び目の光を失いつつあった彼女が一人の少年と出会う物語。「綺麗なもの」も慣れるうちにどんどん見えなくなっていくヒカリ。そんな彼女とお手伝いの息子・セカイとの出会いから始まる変化の兆し。童話のような雰囲気があって、幼き日に「綺麗なものだけが見える」不思議な目がヒカリに与えられたのには理由に何とも切ない気持ちになったりしましたが、大切なものをきちんと見誤らなかったヒカリの想いとその後には救われる思いでした。 

八月十五日に吹く風 (講談社文庫)

八月十五日に吹く風 (講談社文庫)

 

 1943年、北の最果て・キスカ島であった忘れられた救出劇。多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書から、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が明らかになってゆく物語。劣勢に陥りつつあった第二世界大戦末期、北の最果てにあるアメリカから奪った日本の占領地。アッツ島が玉成したことでアメリカ軍に包囲され取り残されたキスカ島の軍人五千人。そんな絶望的ともいえる難しい状況の中で知恵を振り絞ってその救出に向かい、見事それを成し遂げた木村少将たちのありようはとても心に響くものがありました。 

 地球人類は国籍の区別なく商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落ちた未来世界。閉塞した日本から抜け出すため、アキラは募兵官の調理師パプキンの誘いで商連の惑星機動歩兵―通称ヤキトリに志願する近未来ファンタジー。国籍も違う癖の強いメンバー四人と実験ユニットK-321に配属され、火星に向かうアキラ。その過程で嫌というほど思い知らされるヤキトリの過酷な待遇。どれだけ屈辱的な扱いを受けたり凹まされても反骨心を失わないアキラたちには凄いなと感心しきりでしたが、だからこそ見出した活路が変革の兆しになるか続巻に期待ですね。

 

宝石鳥

宝石鳥

 

 神の遣いである宝石鳥の子孫が治めるシリーシャ島。新たな女王即位の儀式カーシェ・ルフが近づく中、不思議な力を持つ仮面の次期後継者候補と、百年前の因縁が複雑に絡み合う死と再生のファンタジー。肖像画のモデルである謎の女性を生涯追い続けた天才画家、飛行機事故で舞踏家の妻を亡くした音楽家、学術調査に出かけた島で行方不明になった婚約者を追う美大生。いくつもの因縁が儀式の下に繋がってゆくことで、止まったままだった過去が再び動き出して再生に繋がってゆく壮大な展開はとても読み応えがありました。これはもう次回作も期待ですね。

潮風エスケープ

潮風エスケープ

 

 実家との関係に悩む高校生の深冬が、思いを寄せる大学生の優弥とともに島の伝統「潮祭」が開かれる彼の故郷・潮見島へ向かい、様々な出会いや経験を経て成長してゆく青春小説。実家の農家を継ぐことに抵抗を覚え全寮制の高校に進学した深冬。想いを寄せる優弥の故郷で出会った祭の神女となる少女・柑奈。そして島に現れる優弥の想い人渚。廃れゆく伝統とどう向き合うのかという問題は形は違えどどこにでもあって、ぶつかり合って簡単に出ない答えに対して、きちんと自分で見出そうとするようになった彼女たちの成長がとても眩しい素敵な物語でした。

今日も君は、約束の旅に出る

今日も君は、約束の旅に出る

 

 女優を志し上京して10年。全てを賭けて臨んだオーディションでも落選し夢を諦めかけた国木アオ。一人自室で呆然とする中で突如地震が発生、目の前にかつての思い人・森久太郎が現れる物語。16年前に交わした久太郎とアオの約束。絶対に約束を破ることができない体質になり、約束を果たすべき時間が来るとその場所にワープしてしまう久太郎。出会いからアオと久太郎が再び積み重ねてゆく約束や、交わした約束を果たしてゆく久太郎の姿に人と人が繋がる大切さを実感する展開でしたが、約束があったからこそ迎えられた結末はとても心に響きました。

人魚に嘘はつけない

人魚に嘘はつけない

 

 漁師の親父が溺れている「何か」を助けて行方不明になったあの日、浜辺に打ち上げられ海に帰れなくなった人魚・ユーユ。彼女との出会いが海町に住む高校二年生のアサたちを変えてゆく青春小説。行方不明になった父に反発していたアサ、走れない陸上部の幼馴染・シオ、波にのれないサーファーの親友・ウミ。そして陸上での生活を満喫してはいるけれど、海に帰りたいと願うユーユ。彼女との出会いをきっかけに彼らが自らの悩みに向き合い答えを見出してゆく連作短編的な構成で、それぞれが選んだ未来でも彼らの確かな絆を感じられる素敵な物語でした。

100億人のヨリコさん

100億人のヨリコさん

 

 カネがない苦学生の小磯が入居することになったオンボロの学生寮。先輩やシングルーマザー母娘とともに暮らすうちに、天井に貼り付いた血まみれのヨリコさんに遭遇するようになる物語。著者さんのあとがきにたびたび登場していたヨリコさんが登場。個性の濃い寮生たちに、得体の知れないモノに囲まれた自給自足生活。そんな中、寮内のあちこちで見かけるようになるヨリコさん。そんなヨリコさんを真面目に考察していたと思ったらまさかの超展開で、ヨリコさんを止めるために奔走する寮生たちの逞しさと楽しい掛け合いがとても熱くて楽しかったです。

 

9月に読んだ本 #読書メーターより

9月はちょうど100冊(うちマンガが40冊ですが)。ようやくの俺ガイル12巻が刊行したり、マツリカシリーズ待望の続巻が出たり、シリーズものも楽しみな作品が多かった一方で新作も好みの青春小説多めで、積むスピードに読むスピードが追いついていないのが気がかりではありますけど、なかなか楽しい読書ができました。

 

9月の読書メーター
読んだ本の数:100
読んだページ数:25494
ナイス数:6104

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)感想
高校入学を機に「主役理論」を掲げ夢の一人暮らしを勝ち取った我喜屋未那。彼が隣に住むクラスメイトで、バイト先も趣味嗜好も同じなのに真逆の「脇役哲学」を掲げる少女・友利叶と遭遇する青春小説。運命的出会いなのに相容れない天敵な二人が部屋の壁を壊してしまったことで始まる疑似同棲生活。脇役哲学がややしっくり来なかった感はありますけど、暑苦しくてやる気が空回る未那とやる気がないデキる女なのに振り回される叶が繰り広げる、いがみ合いながらも息の合ったやり取りが楽しかったです。接続章がどう今後に繋がるのか気になりますね。 
読了日:09月30日 著者:涼暮 皐
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム-  5.可能性を繋ぐ者達 (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 5.可能性を繋ぐ者達 (HJ文庫)感想
レイたちの活躍によって鎮静化しつつあった王国へ仕掛けられたテロ。しかし勝つためには手段をえらばないフランクリンによる最後の切り札が発動し、大量のモンスターが王国へと進撃を開始する第五弾。絶望的な状況に陥る中、ネタキャラめいたお兄ちゃんの真の力がついに明らかになった巻でしたけど、第一部完となった後半の後日談ほかが意外と面白くて、レイはやはりどこか抜けているというか地味にダメ人間というか(苦笑)リアルではごく近いところに意外な人が生息していたりで、何か関わりが出てくるのかちょっと気になりました。第二部も期待。
読了日:09月30日 著者:海道左近
さくらとともに舞う (講談社ラノベ文庫)さくらとともに舞う (講談社ラノベ文庫)感想
人々を殺め苦しめる荒人魂が出没する世界。荒人魂に母を殺された明石めぐるが剪定士をめざして鸞鳳学院に入学し、舞姫候補の桜みらいと10年振りの再会を果たす物語。舞姫が放つ「花力」を借りて荒人魂と戦う剪定士。学院で出会うやちよやゆらといった仲間たち、さくらと因縁がある吉野ととわこ。秘密を抱えるさくらのめぐる大好きっぷりが微笑ましかったですが、それぞれ舞姫や剪定士を目指す背景があり、騒動の元凶・黒胡蝶にも理由があって、そういう心情を丁寧に描きつつ苦しい戦いを力を合わせて乗り越えてゆく姿は心に響くものがありました。
読了日:09月29日 著者:ひなた 華月
真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん #クズ活 (講談社ラノベ文庫)真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん #クズ活 (講談社ラノベ文庫)感想
クラスの立ち位置を気にする真面目系クズの八卜が、性格の悪い黒内に絶対見られたくない場面を見られ、それをネタに八卜の潜在的クズを開花させるべく一緒にクズ活することを強要される青春小説。二人がクズ活を続ける過程で関わってゆく聖人君子のような白庭さんと、幼馴染なのに学校では交流が断絶しているトップカーストの鈴堂。黒内によって次々と本性が暴かれてゆく一方、相反する複雑な想いや距離感に戸惑う心理描写は繊細で、らしさを自覚してゆく八卜と彼女たちの関係が描かれた今回も期待を裏切らない著者さんらしい怪作でした(褒め言葉)
読了日:09月29日 著者:持崎 湯葉
ナイツ&マジック 8 (ヒーロー文庫)ナイツ&マジック 8 (ヒーロー文庫)感想
飛空船団を再編成し森海に墜ちたエルとアデルを探しに来た銀鳳騎士団。一方、巨人族の最大氏族であるルーベル氏族が動き出し、エルたちは各氏族を糾合し諸氏族連合軍の立ち上げ立ち向かう第八弾。穢れの獣を頼みに動き出したルーベル氏族と、対抗するために各氏族を糾合して連合を立ち上げ銀鳳騎士団と合流したエルたち。穢れの獣を抑える鍵を握る小鬼族の思惑。仲間と合流したことで思わぬ合体技まで出てエルが大活躍するある意味いつも通りの展開でしたが、始まった巨人族との交流や逃れた小王の行方が今後にどう影響するのか、次巻が楽しみです。
読了日:09月28日 著者:天酒之瓢
語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)語り部は悪魔と本を編む (ファミ通文庫)感想
バイト先で素敵な女性絵美瑠と運命的に出会い交際することになった拾い上げ作家の中村雄一。しかも彼女が新担当編集であることが発覚、デビューを目指す二人の前に悪魔のような編集長が立ちはだかる恋と戦いの物語。作家と担当という立場の違いが生まれ、複雑になってゆく二人の関係。お互い乗り越えるべき課題を抱え、編集長に厳しい指摘を突きつけられ選択に苦悩する想像以上にビターな展開でしたが、だからこそすれ違いかけた二人が向き合いぶつかりあったことで見えてきた光明と、初々しさの残る二人の恋の行方にはぐっと来るものがありました。
読了日:09月28日 著者:川添枯美
捕食 (創元推理文庫)捕食 (創元推理文庫)感想
つらい過去があり男性が苦手な真尋と、彼女と知り合い急速に距離を縮めるいづみ。彼女と一緒なら自分は変われると信じていたはずの真尋に不審が芽生え、いづみの謎多き過去を追うサスペンスミステリ。過去を追う過程で明らかになってゆく、似た境遇だった彼女の選択とその周囲で姿を消してしまった人たち。何かあるたびにハナカマキリのように脱皮を繰り返してきた彼女がなり得たものは何だったのか。やや詰め込み過ぎた感もありましたが、ぐいぐい読ませる展開の末に迎えるいろいろ想像できてしまうエピローグは、この物語らしい結末に思えました。
読了日:09月28日 著者:美輪 和音
歯科女探偵 (実業之日本社文庫)歯科女探偵 (実業之日本社文庫)感想
スタッフ全員が女性の錦織デンタルオフィス。もの静かな美人歯科医・月城この葉が歯科衛生士の高橋彩女とともに周囲で起こる日常の謎や連続殺人事件に挑む歯科医療ミステリ。文中で歯科医療絡みの描写がやたら詳しいと思ったら、そういえば著者さん歯科医でしたよね。法歯科医だった父を持つこの葉が探偵役で彩女が助手、登場するキャラたちや舞台装置はわかりやすくて、発生する事件に奇想天外さはなかったですが、一見関係なさそうに見えるエピソードの数々が、最終的にはこの葉が追っていた過去の事件に繋がっていく展開は上手いなと思いました。
読了日:09月27日 著者:七尾 与史
オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3: 奥様と最後のダンス (新潮文庫nex)オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3: 奥様と最後のダンス (新潮文庫nex)感想
十九世紀英国式の生活。この特別な毎日にも終わりが近づく中、メイドのアイリーンが奥様が望む舞踏会の実現に奔走する第三弾。東川町の住人たちとも協力しながら準備が進む舞踏会。その最中にアイリーンがほのかに抱く想いの顛末、そして体調が思わしくない奥様のために皆で作り上げてゆく最後の本物の時間。切ない想いを抱えつつ奥様のためにそれぞれのやり方で奔走する人々たちの思いはとても真摯で、心揺れるアイリーンの複雑な想いの行方は一体どうなることかと思いましたが、いろいろあったけれど最後は良かったなと思えた素敵な物語でした。 
読了日:09月27日 著者:太田 紫織
キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~ (メディアワークス文庫)キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~ (メディアワークス文庫)感想
火事で家が燃え嗄井戸が住む銀塩荘の一階に引っ越し、嗄井戸の部屋に入り浸る日々を過ごしていた奈緒崎。引きこもりの秀才・嗄井戸が圧倒的な映画知識で不可解な事件を解決してみせる第二弾。同級生にかけられた窃盗容疑、実力派女優の家に残されたピンク色の足跡、中古ビデオ屋の査定リストに潜む謎など、絶対家からは出ないけど何だかんだで謎を解き明かしてみせる嗄井戸と奈緒崎の相変わらずに見えて少しずつ変わってゆく距離感がなかなか良かったですね。線引はキッチリに見えて意外といい子な女子高生・束ちゃんもいい感じに効いていました。 
読了日:09月26日 著者:斜線堂 有紀
今日も君は、約束の旅に出る今日も君は、約束の旅に出る感想
女優を志し上京して10年。全てを賭けて臨んだオーディションでも落選し夢を諦めかけた国木アオ。一人自室で呆然とする中で突如地震が発生、目の前にかつての思い人・森久太郎が現れる物語。16年前に交わした久太郎とアオの約束。絶対に約束を破ることができない体質になり、約束を果たすべき時間が来るとその場所にワープしてしまう久太郎。出会いからアオと久太郎が再び積み重ねてゆく約束や、交わした約束を果たしてゆく久太郎の姿に人と人が繋がる大切さを実感する展開でしたが、約束があったからこそ迎えられた結末はとても心に響きました。
読了日:09月26日 著者:瀬那 和章
後宮香妃物語 二人の皇太子と真実の想い (角川ビーンズ文庫)後宮香妃物語 二人の皇太子と真実の想い (角川ビーンズ文庫)感想
皇太子煌翔の麗華宮で開かれる美人会で四妃入りを目指す凛莉。そんなタイミングで隣国皇太子・聖雷が麗華宮を訪れ近づいてくる第二弾。凛莉に突きつけられる苦手な舞踏の課題。密かに狙われる凛莉の護衛に我嵐を付けつつ彼女を守るためあえてそっけない態度を取る煌翔。凛莉に近づく聖雷の思惑。後宮の守備がザルで凛莉のために取った煌翔の行動もことごとく裏目に出た感がありましたけど、凛莉の機転を効かせてうまく立ち回ったことでいい感じにまとまりましたかね。進むべき道が見えた凛莉はモテモテでも取り巻く状況は依然として不穏で心配です。
読了日:09月25日 著者:伊藤 たつき
花野に眠る (秋葉図書館の四季) (創元推理文庫)花野に眠る (秋葉図書館の四季) (創元推理文庫)感想
秋葉図書館でようやく仕事に慣れてきた新人司書の文子が任された保育園でのブックトーク。図書館を訪れる人たちは悩みを抱えていて、そんな謎を先輩司書たちの助けも借りて解決してゆく第二弾。両親がゴタゴタしている少年が昔読んだ本の話、小屋で見つかった白骨死体など一見関係なさそうに見えるひとつひとつのお話ですけど、それを繋げてゆくと意外な繋がりや思わぬ真実が見えてくる構成がうまいですね。同タイトルの訳者や挿絵違いなどは確かにあるあるで、切ないけれど人と人の繋がりを感じさせる結末は、著者さんらしくていいなと思えました。
読了日:09月25日 著者:森谷 明子
DOUBLES!! ―ダブルス―4th Set (メディアワークス文庫)DOUBLES!! ―ダブルス―4th Set (メディアワークス文庫)感想
先輩たちの引退試合となる都立戦での重い敗北を引きずったまま、夏を終えて代替わりした藤ヶ丘高校テニス部。下級生を引っ張る立場になった駆たちの苦悩が描かれる第四弾。部長の立場に悩む駆、エースとして勝つことにこだわる琢磨、自身の無力をかみしめる直也、空回りする三人にうまく言葉をかけられない涼。自分がどうにかしようとして空回りする苦悩を乗り越えるきっかけは、意外と些細なことだったりするんですよね。どうにか次の夏に向けていい兆しが見えかけてきていただけに、気になる最後の急展開がどうなったのか次巻が早く読みたいです。
読了日:09月24日 著者:天沢 夏月
……なんでそんな、ばかなこと聞くの? (角川文庫)……なんでそんな、ばかなこと聞くの? (角川文庫)感想
郡上踊りが終わるまでの死と生が入り混じる場所。なぜ死んだのかも忘れた高校生大和と、彼を生き返らせようとする幼馴染凛虎の不器用で真っ直ぐで凛としたひと夏の物語。二年前に死んだ凛虎の兄で親友の雪夜と、雪夜と凛虎の師匠である魔女の存在。理由を明かさないまま愚直に大和を生き返らせると告げる凛虎。終わりに向かう夏を二人で過ごす中で明らかになる事情は過去の謎に繋がっていて、譲らない頑固者の二人が散々ぶつかり合って出した諦めの悪い選択には、よくある切ない終わりの物語とはひと味違う彼ららしい後悔のない充足感がありました。
読了日:09月23日 著者:鈴木 大輔
わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁 (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん6 花の知らせと小鈴の落雁 (角川文庫)感想
高校2年生に進級して小春を取り巻く環境が少しずつ変化する中、京都では不穏な事件が続発。澪人が小春や朔也たちと対策チームを結成しかつて京都に張りめぐらされた護りの結界を補修しようと動く第六弾。ドキッとするような過去も判明しつつ過去のいろいろを乗り越えて結成された対策チーム。自らの前世にきちんと向き合った小春、ようやく本音でぶつかりあった澪人と和人の兄弟と停滞する状況からの変化があって、迷わなかった最後の彼女の返事が気になりますね(苦笑)いろいろいい方向に向かうといいなと思える展開に続巻が楽しみになりました。
読了日:09月23日 著者:望月 麻衣
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女V」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第三部「領主の養女V」感想
リュエルの実を採集することに成功し神官長と共に薬作りに励むローゼマインは、製紙業や口伝集め、神殿長として収穫祭の直轄地を回り、さらには初めての妹のために大奮闘する第十一弾。健康な女の子になれるということで大張り切りのマインでしたけど、彼女が張り切りすぎると何かあるのはいつも通りで、マイン不在となった二年間は周囲の人たちにとっても大変でしたけど、成長の時間だったりしたのですかね。悲喜こもごもだったいくつかの結婚絡みのエピソードはうーん...ままならないというかこれもまた仕方ないというか。第四部も楽しみです。
読了日:09月22日 著者:香月美夜
君との恋は、画面の中で (オーバーラップ文庫)君との恋は、画面の中で (オーバーラップ文庫)感想
過去のトラウマを抱える高校生・優弥がSNSだけで繋がりを持つ自称JKタカネさん。彼女とのやり取りを楽しみに日々生きていた優弥が、まさかのリアルで彼女と遭遇してしまう青春小説。コミュ障な優弥が友人の紹介で出会った可愛い高宮さん。タカネさんとリアルな高宮さんを同一視できず大混乱する優弥と、そんな彼相手に粘り強く頑張る高宮さんの間で育まれてゆく何とも複雑な関係。健気な高宮さんのエピソードが明らかになってゆくたびにもどかしさが募る展開でしたけど、遠回りしながらもあるべきところに落ち着いた結末にはホッとしました。 
読了日:09月22日 著者:半透めい
異世界迷宮の最深部を目指そう 9 (オーバーラップ文庫)異世界迷宮の最深部を目指そう 9 (オーバーラップ文庫)感想
ついにパリンクロンを倒したカナミが目覚めたのは迷宮・六十六層の裏。そこで守護者ロードと出会った彼がともに落ちたライナーと迷宮を脱出するべく地上を目指す第九弾。ロードによって語られる千年前の過去、そして地上を目指す過程で出会ったもう一人の守護者・ノスフィー。未練を残す二人の守護者と一刻も地上に戻りたい思いで揺れるカナミでしたけど、そんな優柔不断ぶりを見せたりしたら病んでるヒロインしか出てこないこの物語では当然泥沼まっしぐらですね・・・(苦笑)いやほんとにモテモテで困ってしまうカナミがどうするのか続巻に期待。
読了日:09月22日 著者:割内タリサ
最果てのパラディンIV 灯火の港の群像 (オーバーラップ文庫)最果てのパラディンIV 灯火の港の群像 (オーバーラップ文庫)感想
鉄錆山脈での死闘後のありふれた日常の日々。頼れる戦友・レイストフとの友誼と決闘や吟遊詩人ビィとの雪積もる魔法の森での冒険、無敵の巨人との戦いなどが描かれる第四弾。これまでの冒険と死闘の日々から一転して日常回となった今回、レイストフやビィといったウィルを取り巻く人物たちを絡めたエピソードでは彼らの背景も掘り下げられていて、巨人との対決もまたこの物語らしかったですが、うっかり?吐露されたウィル心の叫びには、ある意味彼らしいと思いつつもそっちか…と生温かい目で見守りたくなりました(遠い目)続巻も期待しています。
読了日:09月21日 著者:柳野かなた
七星のスバル 6 (ガガガ文庫 た 6-6)七星のスバル 6 (ガガガ文庫 た 6-6)感想
グノーシスによって連れ去られた旭姫。セトの圧倒的な力の前に為す術なく失意に沈む陽翔たちが、裏切った過去を乗り越えた希の決意の言葉をきっかけに再び立ち上がる第六弾。語られる謎の少女・エリシアの来歴と明らかになるセトの目的。ただ一人覚醒をなしえていないクライヴが目指したとある場所。最終決戦に向けた準備とさらなる力を求める彼らが出会った強敵の存在。今回は失われていたもの取り戻し、足りなかったピースを埋めてゆく準備回でしたけど、全体の構図も見えてきて最終決戦に近づいてきているのを感じました。次巻も期待しています。
読了日:09月21日 著者:田尾 典丈
セブンキャストのひきこもり魔術王5 (ファンタジア文庫)セブンキャストのひきこもり魔術王5 (ファンタジア文庫)感想
次期生徒会長候補にブランとアンジェが急浮上。スティーヴンによって意外な過去が明かされ、七十年前の大異変の全魔力を分身へと封じ込めるためブランが取り組んだ儀式が思わぬ事態に繋がってゆく第五弾。スティーブンによって語られるブランの父の過去や意外な繋がり。そして儀式によって生み出された最後の敵ワールド・エンド。最終決戦らしく主要キャラが勢揃いで戦っても苦戦する相手でしたけど、副会長も意外な活躍を見せたりでギリギリの中に活路を見出した決着と、それぞれが迎えた七詠唱らしい結末が印象的でした。次回作も期待しています。
読了日:09月21日 著者:岬 かつみ
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。12 (ガガガ文庫)感想
ついに雪乃の口から語られた彼女が抱える悔恨。これまでのねじれにねじれていた状況に向き合い、踏み出したことで再構築されてゆく彼らのありようは少しずつでも確実に変わったことがあって、かといってそんな簡単に全てが変われるものでもなくて。その過程で形を変えて繰り返し描写される問題の本質と対照的な選択。再び大きな依頼を受けて試行錯誤しながら進めた先で突きつけられたのは今まさに直面している問題の縮図で、うまい形に落とし込んだなと思いました。行き詰った不器用な彼らがここでどんな解を見出そうとするのか、続巻に期待ですね。
読了日:09月20日 著者:渡 航
放課後、君はさくらのなかで (オレンジ文庫)放課後、君はさくらのなかで (オレンジ文庫)感想
通勤途中で事故に遭った市ノ瀬桜。目覚めると女子高生・円城咲良として生活する羽目になった桜は、担任の鹿山に事情を打ち明けて咲良の魂を探す青春小説。あまり報われない人生を送っていたはずの桜が直面するまさかの状況。そんな彼女が遭遇するかつての同級生で因縁もある鹿山の存在。難しい立場を自覚しつつも咲良のためにと一念発起して状況を変えてゆく彼女が、これまで知らなかった真実に直面して切なくもなりましたが、そんな彼女へ提示された少なからず複雑な想いも交じる未来は、やや意外でしたけど頑張って欲しいと応援したくなりました。
読了日:09月20日 著者:竹岡 葉月
ゲーマーズ! DLC (ファンタジア文庫)ゲーマーズ! DLC (ファンタジア文庫)感想
動画再生数の伸び悩み解決のため、自分に足りない『可愛げ』を持った相方を捜す大学生ゲーム実況者・霧夜歩。下手の横好き高校生―雨野景太に遭遇した彼女が、バレないよう収録を繰り返すシリーズ外伝。本編と同じ時系列で進む(本人はそれと知らされないまま)密かに続けられたジライヤこと景太と歩のゲーム実況。彼との実況は楽しいけど何かがこぼれ落ちるたびに嘘を重ねる歩の後ろめたさは、バレたらいろいろどうなるかという緊張感にも繋がっていて、期せずして邂逅した彼女との出会いが何をもたらすのか、これはこれで続刊に期待の展開ですね。
読了日:09月20日 著者:葵 せきな
妹さえいればいい。 8 (ガガガ文庫)妹さえいればいい。 8 (ガガガ文庫)感想
年明けアニメ化発表が近づく中判明した事件。伊月や土岐がアニメに翻弄される一方で、春斗や京、新人作家たちにも大きな変化が訪れる第八弾。お漏らし事件は業界側にはいろいろダメージのある話なんだなと思いつつ、お約束の初詣や新人作家の初発売日イベントだったり、意外な組み合わせになった同居話を支援する編集部の思惑に苦笑いしたり、今回は春斗がいろいろ絡んでた感もありましたけど、各人の思惑が滲み出る恒例のゲームイベントもあって今回も楽しかったです。心境が変化しつつある千尋はそろそろ動きがありそうですね。次巻が楽しみです。
読了日:09月20日 著者:平坂 読
やがて恋するヴィヴィ・レイン 4 (ガガガ文庫)やがて恋するヴィヴィ・レイン 4 (ガガガ文庫)感想
王女ファニアとの約束を果たすため王国に戻ったルカ。一方の王政に身を捧げる覚悟を決め、彼に蜂起を思いとどまらせようとするファニアとはすれ違ったまま、王国はついに革命のときを迎える第四弾。立場を違えていてもお互い胸に秘める約束への想いと、燃え上がってゆく革命への流れ。かなり厳しい状況を乗り越えついに果たした五年ぶりの束の間の邂逅にはぐっと来ましたが、そうそう上手くは行かないですね。ミズキもアステルがそれぞれ思うところも気になる中、相変わらず厳しい立場のファニアですけど著者さんの言葉を信じてますよ?続巻も期待。
読了日:09月20日 著者:犬村 小六
八月十五日に吹く風 (講談社文庫)八月十五日に吹く風 (講談社文庫)感想
1943年、北の最果て・キスカ島であった忘れられた救出劇。多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書から、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が明らかになってゆく物語。劣勢に陥りつつあった第二世界大戦末期、北の最果てにあるアメリカから奪った日本の占領地。アッツ島が玉成したことでアメリカ軍に包囲され取り残されたキスカ島の軍人五千人。そんな絶望的ともいえる難しい状況の中で知恵を振り絞ってその救出に向かい、見事それを成し遂げた木村少将たちのありようはとても心に響くものがありました。
読了日:09月19日 著者:松岡 圭祐
君を一人にしないための歌 (だいわ文庫 I)君を一人にしないための歌 (だいわ文庫 I)感想
中3の夏、吹奏楽コンクールの大失敗をきっかけにドラムをやめたモリソンが、高校入学後七海に強引に誘われ凛も加わりバンドを結成する青春ミステリ。ドラムはもうやらないはずがいつの間にか巻き込まれたモリソン。ただ最後のメンバーとして募集したギタリストが訳ありだらけで、なかなか演奏までいかずにもどかしかったですが、普段はおどおどしがちなモリソンが見せる意外な鋭さのギャップ、一方で過去に苦しい出来事があったのは彼だけでなく、彼女たちのヒミツが明らかになるたびに印象も変わり、絆が育まれてゆく展開は上手いなと思いました。
読了日:09月19日 著者:佐藤 青南
金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫)感想
ある日、倉井に大学内で話しかけてきて一日だけ金曜堂を手伝うことになった二人の女子大生の微妙な距離感。倉井父と二茅さんのエピソード、すれちがっていた親子たちの本を巡る物語第三弾。これまですれ違ったままだった人たちが、本を通じてこれまで伝わらなかった想いを知り、再び心を通わせるようになってゆくお話が多かったですが、きちんと思いを相手に伝えるって大事ですよね。そんなエピソードの数々は倉井が家族を考えることにも繋がっていて、それがすぐにではないにしても、これから先彼がどんな決断をするのか少しばかり気になりました。
読了日:09月18日 著者:名取佐和子
人魚に嘘はつけない人魚に嘘はつけない感想
漁師の親父が溺れている「何か」を助けて行方不明になったあの日、浜辺に打ち上げられ海に帰れなくなった人魚・ユーユ。彼女との出会いが海町に住む高校二年生のアサたちを変えてゆく青春小説。行方不明になった父に反発していたアサ、走れない陸上部の幼馴染・シオ、波にのれないサーファーの親友・ウミ。そして陸上での生活を満喫してはいるけれど、海に帰りたいと願うユーユ。彼女との出会いをきっかけに彼らが自らの悩みに向き合い答えを見出してゆく連作短編的な構成で、それぞれが選んだ未来でも彼らの確かな絆を感じられる素敵な物語でした。
読了日:09月17日 著者:半田 畔
マツリカ・マトリョシカマツリカ・マトリョシカ感想
マツリカさんの命で学校の怪談を調査する柴山は、偶然出会った一年生・春日から第一美術室の怪談を耳にする。期せずして開くことになった開かずの扉の中で制服を着せられたトルソーが発見されるシリーズ第三弾。春日が真相を追う二年前の事件との繋がりと、犯人と決めつけられてしまう柴山。今回はこれまでできた友人たちに助けられながら推理を重ねてゆく柴山の姿に変化と成長を感じましたが、出番少なめながらも要所を締める妖艶なマツリカさんの存在感は相変わらず抜群で、からかわれひれ伏す二人の絆を堪能できました(苦笑)今後の展開も期待。
読了日:09月16日 著者:相沢 沙呼
今からあなたを脅迫します 透明な殺人者 (講談社タイガ)今からあなたを脅迫します 透明な殺人者 (講談社タイガ)感想
千川が姿を消して数カ月。怪しいナンパ師・スナオと出会った金坂澪が彼とともにいくつかの不可解な事件に遭遇するようになり、それが脅迫屋・千川の行方にも繋がってゆく第二弾。冒頭の不審死に公園の植え込みに突っ込まれた自転車、闇金業者との対決など、バラバラに思える事件が少しずつ繋がってゆくなかでようやく見つけた千川の過去と衝撃的な場面。明らかになってゆく巧妙に仕組まれていた事件の真相はどうにももやもやするというか後味が悪くて、そんな絶望的な状況にも諦めない千川の覚悟に澪がどう向き合うのか、10月の続巻が楽しみです。
読了日:09月15日 著者:藤石 波矢
紅霞後宮物語 第零幕 二、運命の胎動 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第零幕 二、運命の胎動 (富士見L文庫)感想
軍人として生きる覚悟を決めた小玉は男運に恵まれない一方、異例の速度で昇進。仲間や上官にも恵まれ、職務に邁進していた小玉のもとに新しい部下が配属される小玉と文林、出逢いの物語第二弾。着々と形成されてゆく軍人として邁進し始めた頃の小玉と部下となった文林の邂逅は、最初はいかにもそうなりそうだなあという距離感と、それが変わってゆくいくつかのきっかけがあって、つまるところ小玉は率直だし文林は意外と素直なんですよね。ここからさらにどんなことがあって二人の関係がどう変わっていくのか、続巻が楽しみになるエピソードでした。
読了日:09月15日 著者:雪村花菜
最弱無敗の神装機竜《バハムート》13 (GA文庫)最弱無敗の神装機竜《バハムート》13 (GA文庫)感想
大聖域攻略目前に世界連合を離反し宣戦布告した創造主。囚われた七竜騎聖を人質に各国代表たちを誘き寄せ、リーシャたちも救出のために廃都に駆けつける第十三弾。ルクスたち七竜騎聖に臣従を持ちかける一方、各国首脳陣を殲滅すべく何重も罠を張り巡らす創造主。大聖域攻略の協力者としてルクスを指名した第二皇女の真意。今回は騎士団の面々がそれぞれ成長したところを見せて苦しい局面を覆す大活躍で、序盤の緊張感からすると何とも締まらない結末だなとも思いましたけど、協定加入者はこれからまだまだ増えそうですね(苦笑)次巻も楽しみです。
読了日:09月14日 著者:明月 千里
29とJK3 ~社畜のいやしはJK~ (GA文庫)29とJK3 ~社畜のいやしはJK~ (GA文庫)感想
後輩の渡良瀬に交際中のJK・花恋と一緒にいるところを目撃された鋭二。妹とごまかしたことで始まる波乱の社内野球大会と、元カノで幼馴染の沙樹と昔の親友を巡るほろ苦い過去も明らかになってゆく第三弾。渡良瀬に妹を装う花恋、実妹に幼馴染まで大集合で、そのやり取りが気になって仕方ない社内野球大会での真剣勝負。そして沙樹と出席した同窓会で再び動き出す昔の親友との因縁。いろいろ交錯する展開でヒロインたちの心情も気になるところですが、過去に現在に会社の命運まで絡んできて真っ向勝負待ったなしですね。これは次巻が楽しみですよ。
読了日:09月14日 著者:裕時 悠示
ゴブリンスレイヤー6 (GA文庫)ゴブリンスレイヤー6 (GA文庫)感想
新たな冒険者希望者が集まる春。ゴブリン退治だけを希望する少年魔術師が受付嬢を困らせる一方、かつて住んでいた村があった場所に冒険者訓練場が建設される第六弾。昇級試験に合格できかった女神官に絡んだ、未熟な赤毛の少年魔術師が抱えている忸怩たる思い。ゴブスレたちと組んで臨んだ初めての冒険で容赦なく力不足を突きつけられる現実は過酷で、だからこそ再び陥る窮地に今の自分ができることをやりきった少年と女神官の成長にはグッと来るものがありました。いろいろ気になる彼を巡る人間関係もそろそろ変化というか進展があるといいですね。
読了日:09月13日 著者:蝸牛 くも
見習い鑑定士の奮闘-京都寺町三条のホームズ(8) (双葉文庫)見習い鑑定士の奮闘-京都寺町三条のホームズ(8) (双葉文庫)感想
無事合格し念願の京都府立大の大学生になった葵。一方大学院を卒業した清貴はオーナーに社会勉強のため京の街の外に修業に行くように命じられてしまう第八弾。美術館で働いたり秘書になったり、ニューヨークに行って視野を広げたり。秋人さんに絡まれたり清貴の過去エピソードも明かされつつならしさ満載の修行模様と、葵も呆れる清貴の彼女バカっぷり(苦笑)合間に葵に会いつつ探偵役もこなし、忙しいのに葵の家族相手にしっかり点数を稼いでゆくそのそつのなさにはビックリ。でも相変わらず円生とは仲悪いままで笑いましたw 続巻も期待です。 
読了日:09月13日 著者:望月 麻衣
宝石鳥宝石鳥感想
神の遣いである宝石鳥の子孫が治めるシリーシャ島。新たな女王即位の儀式カーシェ・ルフが近づく中、不思議な力を持つ仮面の次期後継者候補と、百年前の因縁が複雑に絡み合う死と再生のファンタジー。肖像画のモデルである謎の女性を生涯追い続けた天才画家、飛行機事故で舞踏家の妻を亡くした音楽家、学術調査に出かけた島で行方不明になった婚約者を追う美大生。いくつもの因縁が儀式の下に繋がってゆくことで、止まったままだった過去が再び動き出して再生に繋がってゆく壮大な展開はとても読み応えがありました。これはもう次回作も期待ですね。
読了日:09月13日 著者:鴇澤 亜妃子
R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 (新潮文庫nex)感想
東京五輪後、災厄により中京に暫定首都が移転した世界。急速に治安が悪化する中、テロ計画を未然に鎮圧すべく総理直轄・女性 6 名の特殊捜査班R.E.D.が警察庁に設立される警察小説。いかにも著者さんが好きそうな世界観で、敵も多い傑物な女総理の下、ケチな神代を指揮官に個性豊かな異能を持つ少女たちを従え、副総理と警視総監が絡む難しい政官業巨大疑獄を追う展開。一風変わった彼女たちと上司たちの使い使われる関係も気になるところですが、破格な彼女たちの活躍は圧倒的でした。登場人物たちもいろいろありそうで続巻が楽しみです。
読了日:09月12日 著者:古野 まほろ
ウォルテニア戦記VII (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記VII (HJ NOVELS)感想
御子柴亮真統治のもとで発展しつつあるウォルテニア半島。しかしエルネスグーラが新たな軍事行動を仕掛けたことにより、亮真はローゼリア王国のルピス女王から軍隊の派遣を命じられる第七弾。何ともグダグダ感が凄まじいローゼリアに巻き込まれる形で決まったザルーダへの援軍。内政の整備は道半ばでの派兵でしたけど、いろいろな思惑が渦巻く中でも冷静に現実的な対応をしてゆく亮真と、彼が率いる300名が今後台風の目になっていきそうな予感がする展開でしたね。ディルフィーナがこれからどういう立ち位置になってゆくのか気になるところです。
読了日:09月11日 著者:保利亮太
100億人のヨリコさん100億人のヨリコさん感想
カネがない苦学生の小磯が入居することになったオンボロの学生寮。先輩やシングルーマザー母娘とともに暮らすうちに、天井に貼り付いた血まみれのヨリコさんに遭遇するようになる物語。著者さんのあとがきにたびたび登場していたヨリコさんが登場。個性の濃い寮生たちに、得体の知れないモノに囲まれた自給自足生活。そんな中、寮内のあちこちで見かけるようになるヨリコさん。そんなヨリコさんを真面目に考察していたと思ったらまさかの超展開で、ヨリコさんを止めるために奔走する寮生たちの逞しさと楽しい掛け合いがとても熱くて楽しかったです。
読了日:09月11日 著者:似鳥 鶏
新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙III (電撃文庫)新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙III (電撃文庫)感想
海賊の島から出たコルとミューリは、嵐に巻き込まれウィンフィール王国の港町デザレフにたどり着く。教会が機能していないその町で、羊の化身でイレニアと名乗る商人の娘が現れる第三弾。町で救世主のような扱いを受けたりミューリとの関係も少しずつ変わる中、イレニアの計画や教会への徴税に巻き込まれていく二人。何事も誠実に対応しようとするコルですけど、一方で優れた洞察力から現実的な選択ができるのも良いところで、こういう緊迫感のある展開は面白いですね。いろいろ背景や重要なキーワードが出てきて、今後が楽しみになってきました。 
読了日:09月11日 著者:支倉 凍砂
わたしの魔術コンサルタント(2) 虹のはじまり (電撃文庫)わたしの魔術コンサルタント(2) 虹のはじまり (電撃文庫)感想
かつての師の娘・ヒナコとの衝撃的な出会いから四ヶ月。ヒナコは永聖魔術学院に入学を果たして新入生代表で学院を波紋を広げ、秀春は過去を知る逢夏と再会、そして再び秀春たちのもとに朝倉響示現れる第二弾。間が空いて前巻の記憶がやや怪しかったですが、魔術士名家の皇希遊とヒナコの邂逅と決闘から始まる彼女たちの成長と育まれゆく友情、明らかになってゆく秀春の過去の因縁と複雑な想いや事件の真相、様々なものを乗り超えた先にあった結末にはなかなかぐっと来るものがありました。いい感じにまとまってはいましたが続刊また読みたいですね。
読了日:09月09日 著者:羽場 楽人
ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)感想
ラノベ作家志望の高校生・冬野藍介は自分の作品が何者かに盗作され新人賞を受賞したことを知る。ショックを受ける藍介がクラスメイトの睡蓮から衝撃的な告白を受け二人で続編を書き始める青春小説。元天才子役かつ幼馴染で苦手な存在の睡蓮。そんな彼女から告げられた受賞作の真実から始まった二人の続巻執筆作業。もやもやを抱えたままでは上手くいかないのは当然で、けれど失ってから初めて分かる想いもあって。すれ違う展開がどうにももどかしかったですが、乗り越えた二人がこれからどんな物語を紡いでいくのかまた続きを読みたいと思いました。
読了日:09月08日 著者:嵯峨 伊緒
リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)リア充にもオタクにもなれない俺の青春 (電撃文庫)感想
覇権にこだわるオタクたちについていけず、リア充のやりとりもまた面倒くさいと感じてしまう中途半端な荒川亮太が、公園である事件に遭遇しいろいろ巻き込まれてゆく青春小説。いかにもリア充っぽいメグと、自らがかつて決別したオタ仲間の一人だと思っていた奈々子がそれぞれ抱える密かな想い。一見対極に思えるオタクとリア充を突き詰めてゆくと、避けられないのはそのどうにも面倒な窮屈さで、それでも居場所を大切にしたい彼女たちの切実な想いに応えてみせた亮太の解決法には苦笑いでしたが、こういうのもありかなと思えた興味深い物語でした。
読了日:09月08日 著者:弘前 龍
嫌われエースの数奇な恋路 (電撃文庫)嫌われエースの数奇な恋路 (電撃文庫)感想
前年甲子園予選決勝まで残った結果、爆発的に増加した女子マネ志望者。決勝戦敗北のA級戦犯で今は男子マネとなった「嫌われエース」押井数奇と門前払いされる中で一人だけ残った強者・蓮尾凜が織りなす青春小説。難しい状況であえて男子マネとして部に残った数奇と、彼に因縁があるらしく何かと張り合う凜。少しずつ変わってゆく状況と諦めない不器用な数奇の頑張りがあるからこそ、ままならない現実にはもどかしい気持ちにもなりましたが、そこからの彼の頑張りと葛藤もまた青春の1ページで、これはこれで良かったのかなと思える青春物語でした。
読了日:09月08日 著者:田辺 ユウ
潮風エスケープ潮風エスケープ感想
実家との関係に悩む高校生の深冬が、思いを寄せる大学生の優弥とともに島の伝統「潮祭」が開かれる彼の故郷・潮見島へ向かい、様々な出会いや経験を経て成長してゆく青春小説。実家の農家を継ぐことに抵抗を覚え全寮制の高校に進学した深冬。想いを寄せる優弥の故郷で出会った祭の神女となる少女・柑奈。そして島に現れる優弥の想い人渚。廃れゆく伝統とどう向き合うのかという問題は形は違えどどこにでもあって、ぶつかり合って簡単に出ない答えに対して、きちんと自分で見出そうとするようになった彼女たちの成長がとても眩しい素敵な物語でした。
読了日:09月07日 著者:額賀 澪
青の聖騎士伝説II LAMENTATION OF THE EVIL SORCERER (電撃文庫)青の聖騎士伝説II LAMENTATION OF THE EVIL SORCERER (電撃文庫)感想
シドの剣が生まれた経緯とシドの魔道士グラシェラの対決、若き日の魔法使いサヴァランを巻き込んだ策謀や魔道士グラシェラの秘された過去に触れる第二弾。今読むとわりと淡々とした文章かなと思わなくもないですが一方で読みやすさもあって、元凶である魔道士グラシェラとの対決や暗躍を描いた後に、そこでグラシェラ自身が堕ちるまでのエピソードを挿入した上でその結末を描くあたりが上手いですね。フォーチュン・クエスト以前にあった時代の物語ですが、これを読んでるとフォーチュン・クエストが懐かしくなるというか、また読みたくなりますね。
読了日:09月06日 著者:深沢 美潮
お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)お迎えに上がりました。 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)感想
入社式当日に会社が倒産し路頭に迷った朝霧夕霞。失意の中で公園の掲示板にあった国交省臨時職員募集の貼紙を見つけ、特殊能力を買われて採用されるあやかしお仕事小説。夕霞が不可思議な採用試験を乗り越え採用された、国土開発の妨げになる地縛霊などを立ち退かせるのが仕事で実質的に「人」が夕霞しかいない謎の部署「幽冥推進課」。自殺したアイドルや事故死で家に帰れなくなった会社員、百五十年も橋を守り続けてきた少女など、真っ向から向き合い体当たりでその心残りを解消してゆく夕霞の奮闘ぶりはなかなか良かったです。シリーズ化も期待。
読了日:09月06日 著者:竹林 七草
家政婦ですがなにか? 蔵元・和泉家のお手伝い日誌 (集英社オレンジ文庫)家政婦ですがなにか? 蔵元・和泉家のお手伝い日誌 (集英社オレンジ文庫)感想
短大卒業後、母の遺言で彼女がかつて働いていた蔵元・和泉家で家政婦として働くことになったみやび。そこで泉家の四兄弟やその母と関わってゆく物語。クールで切実にお金を稼ぎたい事情を抱えるみやびが、和泉家で働きたいもう一つの目的。蔵元ネタ自体はほどほどでしたが、母君にコスプレじみたメイド姿にさせられたり、四兄弟に難癖をつけられたり、彼女役を依頼されたりと、忙しい日々の中でいろいろな出来事に遭遇しながら少しずつ和泉家に馴染んでいく展開はなかなか悪くなかったです。今後が気になる終わり方だったので、続刊期待しています。
読了日:09月05日 著者:高山 ちあき
セーラー服とシャーロキエンヌ 穴井戸栄子の華麗なる事件簿 (角川文庫)セーラー服とシャーロキエンヌ 穴井戸栄子の華麗なる事件簿 (角川文庫)感想
可憐でドSな女子高生の女流探偵・穴井戸栄子とその下僕で助手の古野まほろが不思議な4つの事件を解決する天帝とセーラー服と黙示録シリーズのクロスオーバーかつホームズパスティーシュな連作短編集。事件を操作するドSな探偵と下僕な助手たちのテンポの良い掛け合い、Zガンダムネタやエヴァネタ満載の思い切り趣味に走った世界観は本格ミステリを楽しむというより著者さんの世界を堪能するようなテイストで、そういうものだと思って読む分にはなかなか面白かったです。どんどん迷走していく栄子の推理を次々にぶった切るまほろには笑いました。
読了日:09月05日 著者:古野 まほろ
宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット (オレンジ文庫)宝石商リチャード氏の謎鑑定 祝福のペリドット (オレンジ文庫)感想
リチャードが抱えていたトラブルも一段落し帰国した二人。大学三年生となりそろそろ就職活動が本格化し始める正義が、再びリチャードの過去を知ることになる第五弾。就活に向けて危機感をつのらせてゆく中で、スリランカ時代や子供時代など、期せずして恩師や家庭教師といった彼をよく知る人物から語られるリチャードの過去は実に重いですが、一方で良くも悪くもそれが今の彼に繋がってゆくものを形作っていったんだなと実感しました。谷本女史との今後ももちろんですが、少しずつ変わりつつあるリチャードとの関係も気になるところではありますね。
読了日:09月04日 著者:辻村 七子
巫女華伝 恋し君と永遠の契り (角川ビーンズ文庫)巫女華伝 恋し君と永遠の契り (角川ビーンズ文庫)感想
大倭の皇子・紫苑の突然の求婚に驚きながらも、その人柄に惹かれていく巫女・瑠璃。瑠璃の婚約者・翡翠と紫苑弓の一戦で神の誓約により結婚相手を決めようとする中、瑠璃が人質として攫われる第二弾。騒動での活躍で一定の評価は得たものの未だ前途多難な瑠璃と紫苑の結婚。攫われた瑠璃が目の当たりにする新たな可能性。中央との難しい駆け引きも依然として燻る中、瑠璃の無謀とも思える決断が流れを変えた面もあって、彼女を信じた紫苑と二人で生み出した流れが二人の関係だけでなく国のありようにも影響を及ぼしてゆく素敵な結末だと思いました。
読了日:09月03日 著者:岐川 新
魔法使いの願いごと (講談社タイガ)魔法使いの願いごと (講談社タイガ)感想
目が見えない幼いヒカリに出会った魔法使い・ヒトがくれたのは、「綺麗なものだけが見える」不思議な目。しかし再び目の光を失いつつあった彼女が一人の少年と出会う物語。「綺麗なもの」も慣れるうちにどんどん見えなくなっていくヒカリ。そんな彼女とお手伝いの息子・セカイとの出会いから始まる変化の兆し。童話のような雰囲気があって、幼き日に「綺麗なものだけが見える」不思議な目がヒカリに与えられたのには理由に何とも切ない気持ちになったりしましたが、大切なものをきちんと見誤らなかったヒカリの想いとその後には救われる思いでした。
読了日:09月03日 著者:友井 羊
ヤキトリ1 一銭五厘の軌道降下 (ハヤカワ文庫JA)ヤキトリ1 一銭五厘の軌道降下 (ハヤカワ文庫JA)感想
地球人類は国籍の区別なく商連と呼ばれる異星の民の隷属階級に落ちた未来世界。閉塞した日本から抜け出すため、アキラは募兵官の調理師パプキンの誘いで商連の惑星機動歩兵―通称ヤキトリに志願する近未来ファンタジー。国籍も違う癖の強いメンバー四人と実験ユニットK-321に配属され、火星に向かうアキラ。その過程で嫌というほど思い知らされるヤキトリの過酷な待遇。どれだけ屈辱的な扱いを受けたり凹まされても反骨心を失わないアキラたちには凄いなと感心しきりでしたが、だからこそ見出した活路が変革の兆しになるか続巻に期待ですね。 
読了日:09月02日 著者:カルロ・ゼン
霧ノ宮先輩は謎が解けない (講談社ラノベ文庫)霧ノ宮先輩は謎が解けない (講談社ラノベ文庫)感想
事件の匂いを嗅ぎつけて実家の財力もフル活用し現場に赴く霧ノ宮先輩。傍迷惑な彼女に助手とされた後輩の秀一が探偵として事件を解決する探偵小説。華麗に的外れな迷推理を披露してしまう残念な霧ノ宮先輩が持つ特異な能力。彼女に振り回されて殺人事件の捜査に関わるうちに起きる第二第三の事件。いわくありげな人間関係を設定をいくつも提示しながら物語へ上手く落とし込めず、消化不良気味なまま終わった感はありましたが、たびたび挿入される犯人の独白や伏線は事件解決へと繋がっていて、探偵役秀一はなかなかいい味を出していたと思いました。
読了日:09月01日 著者:御守 いちる
こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 (講談社ラノベ文庫)こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 (講談社ラノベ文庫)感想
成績優秀だがクズを自認する浅井悠馬が偶然クラス演劇主役を演じることになり、幼馴染の明日香とともにクラスの中心に君臨する荒川唯のグループに巻き込まれてゆく青春ラブコメディ。行動をともにする機会が増えてゆく唯の見た目とは全然違う純真さとひたむきさ。少しずつ惹かれてゆく悠馬が知ってしまった唯のらしくない秘密。何ともほろ苦い気持ちを抱えながら、それでも彼女のために奮闘する悠馬の姿は心に響きましたが、だからといって頑張れば報われるとは限らないのが現実で、そんな迷える彼らの行く末を続巻でまた読んでみたいと思いました。
読了日:09月01日 著者:清水 苺
緋色の玉座II (角川スニーカー文庫)緋色の玉座II (角川スニーカー文庫)感想
ペルシャとの国境・ダラスで司令官として軍を率いるベリスが対峙する女将軍のペーローズに苦戦、一方帝都でも変革を急ぎ過ぎて打倒ユスティンを掲げる反乱が発生して混乱に陥る第二弾。ペーローズ相手に一進一退の状況で起きた帝都の混乱と方針の違いによるプロックス離脱。難局を打開する様々なことまで見通した策には彼の存在感を改めて感じさせましたが、難しい立場にあるベリスの迷いのない決断が帝国の危機を救った意味もまた大きかったですね。ペーローズは再登場に期待ですが、ここから戦う相手も変わる新展開になりそうで続刊が楽しみです。
読了日:09月01日 著者:高橋 祐一

読書メーター

10月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

 というわけで最近忙しすぎて本当にギリギリになりつつある10月の購入検討&気になる本ほかピックアップです。今月はホーンテッド・キャンパスの新刊やらオレンジ文庫ファンタジア文庫など気になるタイトル目白押し、ファミ通文庫「佐伯さんと、ひとつ屋根の下」も3巻目が刊行もあったりでわりと楽しみなタイトルが多いです。

 

新作は試し読みなどを読まないと雰囲気がわからない部分もありますけど、現時点での気になるタイトルを挙げると、ラノベ文庫で毎回怪作をぶっ込んでくる持崎湯葉さんの新作、電撃文庫の二点、最近「京都寺町三条のホームズ」「わが家は祇園の拝み屋さん」シリーズが好調な望月麻衣さんの新作、あとはボーイ・ミーツ・ガールっぽい阿部暁子さんやダッシュエックス文庫の新刊、メディアワークス文庫の仲町六絵さん・佐野徹夜さんあたりの新刊は要注目かなと思っています。

陰キャになりたい陽乃森さん Step1 (電撃文庫)

陰キャになりたい陽乃森さん Step1 (電撃文庫)

 
幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

 
京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)

京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)

 
どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)

どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)

 
タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)

タイムシフト 君と見た海、君がいた空 (ダッシュエックス文庫)

 
おとなりの晴明さん ~陰陽師は左京区にいる~ (メディアワークス文庫)
 
この世界に i をこめて (メディアワークス文庫)
 

  

ラノベ文庫(9/29発売)  

・真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん #クズ活       持崎湯葉/いたち

・さくらとともに舞う       ひなた華月/堀泉インコ

             

講談社X文庫(9/29発売)            

後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む       はるおかりの/由利子

             

HJ文庫(9/30発売)       

・<Infinite Dendrogram>―インフィニット・デンドログラム― 5  海道左近/タイキ

             

スニーカー文庫(10/1発売)         

終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか? #05      枯野瑛/ue

             

ビーンズ文庫(10/1発売)            

・一華後宮料理帖 第五品  三川みり/凪かすみ

・竜宮輝夜記 時めきたるは、月の竜王         糸森環/青月まどか

             

宝島社文庫(10/5発売)  

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編  武田綾乃

・深煎りの魔女とカフェ・アルトの客人たち              天見ひつじ

・妻を殺してもバレない確率           桜川ヒロ

             

電撃文庫(10/7発売)     

ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.15       聴猫芝居/Hisasi

・陰キャになりたい陽乃森さん Step1          岬鷺宮/Bison倉鼠

・幼馴染の山吹さん           道草よもぎ/かにビーム

             

SKYHIGH文庫(10/10発売)      

・あやかし寝具店 あなたの夢解き、致します           空高志/ヤマウチシズ

             

祥伝社単行本(10/11発売)           

・他に好きな人がいるから              白河三兎

             

祥伝社文庫(10/12発売)

・のど自慢殺人事件           高木敦史

             

双葉文庫(10/12発売)   

・京都烏丸御池のお祓い本舗           望月麻衣

・京都の甘味処は神様専用です2    桑野和明

・3時のアッコちゃん        柚木麻子

             

KADOKAWA単行本(10/13発売)             

米澤穂信古典部           米澤穂信

             

産業編集センター(10/13発売)   

・みさと町立図書館分館    髙森美由紀

             

富士見L文庫(10/13発売)          

・翠玉姫演義 二 ―戦場の天女―  柊平ハルモ/雨壱絵穹

             

GA文庫(10/14発売)    

・魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。              手島史詞/玖条イチソ

落第騎士の英雄譚13      海空りく/をん

             

ガガガ文庫(10/18発売)

・ジャナ研の憂鬱な事件簿2           酒井田寛太郎/白身魚

             

講談社タイガ(10/18発売)          

・今からあなたを脅迫します 白と黒の交差点           藤石波矢/スカイエマ

             

ファンタジア文庫(10/20発売)   

アサシンズプライド7 暗殺教師と業火剣舞祭       天城ケイ/ニノモトニノ

グランクレスト戦記9 決戦の刻              水野良/深遊

冴えない彼女の育てかた13         丸戸史明/深崎暮人

・デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師       大黒尚人/ゆらん

             

集英社オレンジ文庫(10/20発売)

・これは経費で落ちません!3 ~経理部の森若さん~           青木祐子/uki

ブラック企業に勤めております。 仁義なき営業対決           要はる/藤ヶ咲

・おやつカフェでひとやすみ 死神とショコラタルト (仮)      瀬王みかる/しのとうこ

・どこよりも遠い場所にいるきみへ              阿部暁子/syo5

・木津音紅葉はあきらめない           梨沙/けーしん

             

ハヤカワ文庫JA(10/20発売)     

・チェインドッグ              櫛木理宇

・裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト              宮澤伊織

             

創元推理文庫(10/21発売)          

・その絆は対角線 (日曜は憧れの国)             円居挽

             

東京創元社単行本(10/21発売)   

・白い久遠           浅野 里沙子

             

MF文庫J(10/25発売) 

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~7           東龍乃助/みことあけみほか

             

ダッシュエックス文庫(10/25発売)          

タイムシフト 君と見た海、君がいた空    午後12時の男/植田亮

             

オーバーラップ文庫(10/25発売)

・現実主義勇者の王国再建記 5       どぜう丸/冬ゆき

             

メディアワークス文庫(10/25発売)          

・この世界に i をこめて   佐野徹夜

・おとなりの晴明さん ~陰陽師左京区にいる~    仲町六絵

・いつかきみに七月の雪を見せてあげる       五十嵐雄策

             

角川文庫(10/25発売)   

・黒猫王子の喫茶店 渡る世間は猫ばかり    高橋由太

・恋虫    白土夏海

櫻子さんの足下には死体が埋まっている わたしのおうちはどこですか           太田紫織/鉄雄

・弁当屋さんのおもてなし 海薫るホッケフライと思い出ソース           喜多みどり/イナコ

・丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。           竹村優希

             

角川ホラー文庫(10/25発売)       

ホーンテッド・キャンパス 水無月ひとしずく    櫛木理宇/ヤマウチシズ

・ハラサキ           野城 亮

             

KADOKAWA単行本(10/26発売)             

・さよなら僕らのスツールハウス    岡崎琢磨

             

新潮文庫nex(10/28発売)           

・甦る殺人者 ―天久鷹央の事件カルテ―    知念実希人

・彼女を愛した遺伝子       松尾佑一

             

ファミ通文庫(10/30発売)          

・佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 3 九曜/フライ

今後に期待したい!ファミ通文庫・HJ文庫・ラノベ文庫・スニーカー文庫の青春小説21選

青春小説や恋愛小説が大好きで、毎月目を皿のようにして自分好みの新作を探していますが、最近は月末・月初辺りは特に注目しています。ファミ通文庫・HJ文庫・スニーカー文庫ラノベ文庫あたりで気になる新作がコンスタントに刊行されるようになっているからです。この流れは大切にしたいし、これからもっと盛り上がって欲しいと思っています。なので今回はそんな中から21作品を紹介したいと思います。

 

ファミ通文庫

ここは以前から野村美月さん・森橋ビンゴさんなど青春小説のイメージがありましたが、昨年「近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係」を刊行した辺りから、まだ点数は少ないものの注目の青春小説を刊行するようになっています。今一番の注目は「キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った」ですね。

 小学校時代の多重人格ごっこという二人だけの秘密を共有する一色華の実と高校で再会した、三人の人格を抱えて生きる市川櫻介。秘密を唯一知る彼女との再会が二人を変えてゆく青春小説。別人のように人気者になっていた彼女から再び持ちかけられた多重人格ごっこ。急速に距離を縮めていく二人のやりとりがとても甘酸っぱくて幸せそうなのに、時折垣間見えてしまう彼女の想い。再会した彼女が乗り越えてきたこれまでとその宿命には切なくなりましたが、だからこそ櫻介と彼女が幸せになってゆくこれからを読みたいと思いました。続巻期待しています。

 母と二人で暮らす家で、同い年の遠い親戚の女の子和泉里奈と同居することになった高校生の坂本健一。彼女の出現によって様々な変化がもたらされてゆく物語。兄にコンプレックスを抱き他人との距離に悩む健一と、控えめながら女子校育ちで無防備な里奈。近過ぎるのにどこか遠い彼女を意識し友人たちに知られたくないと感じる健一に気づき、心穏やかではいられない幼馴染・由梨子。最近希少のオーソドックスな構成ですが、波紋が広がってゆく著者らしい繊細な心理描写は素晴らしいですね。全2巻。

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

 

 想いを寄せていた少女・襟仁遥人と共に屋上から落下し死んでしまったらしい神田幸久。二年後地縛霊として目覚めた彼はクラスでいじめに遭う穂積美咲に存在を気づかれ彼女と友達になる青春小説。自分の存在に気づいてくれた少女・美咲の優しい一面を知って現状を変えようとアドバイスをし、美咲が勇気を持って踏み出した一歩から少しずつつ変わってゆくその境遇。繊細な描写を積み重ねて作り上げられた伏線を回収してゆくことで意外な事実も明らかになっていって、爽やかで納得感のある結末まで組み上げたその構成力は今後に期待の作家さんですね。

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 2 (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 2 (ファミ通文庫)

 

 高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった弓月恭嗣が、不動産屋の手違いでひとつ年下の帰国子女・佐伯貴理華と同居するはめになってしまう物語。無防備な距離感で接してきて家の中と外とでは印象が違う佐伯さんと、苦い過去を持つがゆえに家の外では一定の距離を置こうとささやかな抵抗を続ける弓月くん。表情豊かでキャラとしてもよく動いている佐伯さんとの同居生活が弓月くんを少しずつ変えていって、その変化がクールな弓月くんの元カノ宝龍さんや周囲の友人たちにもまた影響を及ぼしてゆく展開はとても良かったです。10月に3巻刊行予定。

 好意を寄せるクラスメイト・愛原そよぎの悩み事は想像を遥かに超えるもの。本気とも冗談ともつかない相談に真剣にアドバイスを送る二人による非日常系お悩み相談日常ラブコメ。秘密のはずなのにバレバレな質問をする天然娘・そよぎと、彼女に惹かれ気づかないふりをして真摯に答えてあげる幸助。そよぎだけでなく彼女の友人や弟・雪弥にも振り回されるドタバタ展開で、けれどそよぎが抱える秘密と次々と明らかになってゆく切ない過去や複雑な事情は切なくて、それでも周囲の人たちがいたからこそ迎えられたほっとする結末はなかなか良かったです。

 高三の夏に突如消失した片想いの相手・茉莉。辛い現実を受け止められないまま二十歳の誕生日を迎えた崇希が、消失を回避すべく二人が出会った二年前の春からやり直すタイムリープ青春小説。近くで眺めるだけだった過去を反省し、積極的に茉莉と距離を縮め真相に近づこうとする崇希。幸せな日々に時折訪れる不安な兆候の一方で、明らかになってゆく意外な過去。不安に揺れる二人の初々しい距離感はもどかしくて、容易には覆らない未来に難しさも感じましたけど、再会して絆を育んでいった今の二人ならきっとそれを乗り越えてくれると信じたいですね。

 

 【HJ文庫

点数は多くはないものの、最近挑戦的な作品を意欲的に発表しているのHJ文庫です。桜色のレプリカもいろいろ賛否あった作品でしたが、内堀優一さんの新作もまた今後に期待の一冊です。

 高校入学から数ヶ月。長らく片思いをしていた幼馴染の杉崎小春に告白して見事玉砕した大貫悟郎。両思いなのに付き合えない、一途過ぎる少年と本当は彼のことが大好きな少女の青春大暴走ラブコメ。自宅に帰るといつもいて、一緒に過ごす時間も長いのになぜか告白を断り、あまつさえ彼女を作れとまで無茶振りする小春。いい感じにしか思えないのに付き合えない二人が再会した、もう一人の幼馴染という転機。大好きであるがゆえにすれ違ってしまった二人の想いが切な過ぎて、これはもう最後まで見届けるしかないじゃないですか。早めの続刊待ってます。

桜色のレプリカ 1 (HJ文庫)

桜色のレプリカ 1 (HJ文庫)

 
桜色のレプリカ 2 (HJ文庫)

桜色のレプリカ 2 (HJ文庫)

 

 「学校」の文学教師を務めている六方カザネが、ある日理事長の二階堂イツキに呼び出されて奇妙な依頼を受ける物語。同じ教師を務める彼女・メグミがいて、淫乱ピンクの三十刈アイラ、アニメ的お約束好きの四十田ユキ、委員長タイプの五十嵐ヒビキや、無口で小説好きの百合原ハルカといった女生徒たちに振り回される日々。けれどそれも緊急時には全く別の一面があって、急展開の中で明かされてゆく事実はこの物語そのものの意味合いもガラリと変えてしまいましたけど、そこからさらに驚愕の事実を突きつけられるカザネという構図には驚かされました。恋愛小説という枠で捉えるよりは、先入観を捨ててフラットな気持ちで読んだ方が楽しめそうな作品です。全2巻。

 

 

 【ラノベ文庫】

なにげに以前からコンスタントに青春小説を刊行しているのがラノベ文庫。クセのある作品も多いですが、他ならたぶん出ないだろうという作品もあったりで、意外と懐の深さを感じるレーベルだったりもします。ここもまた違う意味で期待のレーベルです。

 成績優秀だがクズを自認する浅井悠馬が偶然クラス演劇主役を演じることになり、幼馴染の明日香とともにクラスの中心に君臨する荒川唯のグループに巻き込まれてゆく青春ラブコメディ。行動をともにする機会が増えてゆく唯の見た目とは全然違う純真さとひたむきさ。少しずつ惹かれてゆく悠馬が知ってしまった唯のらしくない秘密。何ともほろ苦い気持ちを抱えながら、それでも彼女のために奮闘する悠馬の姿は心に響きましたが、だからといって頑張れば報われるとは限らないのが現実で、そんな迷える彼らの行く末を続巻でまた読んでみたいと思いました。

ありえない青と、終わらない春 (講談社ラノベ文庫)

ありえない青と、終わらない春 (講談社ラノベ文庫)

 

 選択しなかった運命を選択するために未来から戻ってきたという少女・前田きららと出会った石崎海。戸惑いながらも真っ直ぐな彼女に惹かれてゆく物語。令嬢としてすでに敷かれているレールを歩むだけのきららの人生。イケメンで優秀な婚約者の存在。一緒にいるうちに想いを自覚してゆく一方で、突きつけられる容易には叶わない現実。二人の想いに焦点を当てるシンプルな構図にしたことで、その分周囲の人物描写があっさりとしていた感はありましたが、逡巡を乗り越えて未来を一緒に切り開いた二人のこれからを応援したくなる爽やかな青春小説でした。

双子喫茶と悪魔の料理書 (講談社ラノベ文庫)

双子喫茶と悪魔の料理書 (講談社ラノベ文庫)

 

 幼馴染の葉月に告白できないまま、彼女やその双子の妹・水希と彼女たちの実家の喫茶店でバイトしている篝。ある日、水希が持ち出した古本から出てきた妖精キキに願いを勘違いされ、葉月ではなく水希の方と縁を結ばれてしまう物語。篝と水希が付き合っていると周囲に認識されている世界。最初は状況を解消しようと焦る篝でしたけど、水希が支えたからこそ乗り越えられた過去があって、弱音を吐けない彼女のために奔走する一面もあったりで、積み重ねによって少しずつ変化してゆく距離感や繊細な描写がとても良かったです。これは続巻も期待ですね。

友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

友達いらない同盟 (講談社ラノベ文庫)

 
暇人同盟 友達いらない同盟2 (講談社ラノベ文庫)

暇人同盟 友達いらない同盟2 (講談社ラノベ文庫)

 

 妙なこだわりで高校で友達ができない新藤大輔に、存在感のないクラスメイト澄田が持ちかけてきた困ったときに助け合う「友達いらない同盟」そんな同盟から始まる二人の物語。それぞれが複雑な家庭事情を抱えてはいるけれど、一見同じようでいてまるで対照的な新藤と澄田。グループから浮いた城ヶ崎も加わって三人で楽しそうに見えたのに、なぜか澄田が距離を置くようになってゆく危機的状況でしたが、本音で引き留めようとする新藤の提案はかなり無茶苦茶でしたね(苦笑)このレーベルでたまに出てくる不思議な魅力のある物語。全2巻。

自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)

自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)

 

 ある朝、同級生の雨宮翼が列車へ飛び込み自殺を図るのに関与してしまった永瀬。その自殺が忘れられない彼が友人の深井から過去に戻れるカプセルを手渡され、やり直すために過去へ遡る物語。最初は彼女に関わらないと決意したはずなのに、逆に雨宮に関わる機会が増えてしまう永瀬。そんな彼に改めて突きつけられる「蝶は羽ばたかない」という事実。それでも当事者の変えようとする意志によって変わることもあって、多くの人にとってはさほど変わらない、けれど確実に変わったその結末に、一抹のほろ苦さを感じながらもどこか救われる思いがしました。

 入学した高校でスクールカースト最下層に身を置く白根与一が、担任から廃部にハンストで抵抗する美少女・黒羽瑞穂の監視役として図書部に入るよう命じられる物語。序盤は既視感を感じる設定やキャラ造形ですが、そこから明らかになってゆく少し学べば何でも人並み以上にこなしてしまう天才少女・瑞穂の境遇や、幼馴染である中禅寺さくらとの複雑な関係。一見こじらせた言動ばかりに思える瑞穂のありようは、それでいて白根も目をそらせないほど真っ直ぐでとても印象的でした。全2巻。

君に謝りたくて俺は (講談社ラノベ文庫)
 

 高校入学した今井健人が、小学校の頃素直になれずにいじめてしまった苦い過去を持つ相手で記憶障害を持つ明日葉待夢にまさかの再会を果たす物語。いじめていた健人を覚えておらず、周囲から浮きがちな待夢を助けるうちに惹かれ合ってゆく二人。だからこそ過去を隠していることに苦悩する健人。ふとしたきっかけで気づいた過去には動揺もありましたけど、一方で彼女をたくさん救ってきた今があって、「過去は変えられないけど未来を変えられる」と待夢の記憶障害の原因を突き止め、二人で乗り越えようと奔走する姿が心に響くとても素敵な物語でした。

彼方なる君の笑顔は鏡の向こう (講談社ラノベ文庫)

彼方なる君の笑顔は鏡の向こう (講談社ラノベ文庫)

 

幼馴染の詩歌だけにはダメな一面も見せる美少女の彼方。そんな彼女が神社での事故から3人の付喪神の女の子を生み出してしまい、その3人と一人暮らしの詩歌が同居生活を始める物語。「詩歌への想い」「記憶」「食欲」の強い想いを失い、どこかよそよそしくなってしまった彼方。欲望に忠実な3人に振り回される詩歌。以前の駄彼方に戻って欲しいと思う一方で、彼方も加えて共に過ごし家族のような関係と感じるようになってゆく彼らは難しい決断を迫られましたが、彼らの強い絆を信じて応援したくなったちょっぴり切ない幼馴染たちの恋の物語でした。

 

 【スニーカー文庫

昨今インパクトの強い作品がたくさん刊行されているスニーカー文庫ですが、このジャンルにおいてもレーベルらしい突き抜けた濃いタイトルが多いです。そんな中でもカミツキレイニーさんの作品は著者さんらしさがいい感じに出ている魅力的な作品ですね。

 いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

 

 学園祭が間近に迫る高2の秋。連日大事故に繋がりかねないトラブルに見舞われ続けながら、なぜか幼馴染の少女・久遠に助けられていた結羽太。そんな折り久遠が学園祭で誰かに告白するという噂を聞く青春小説。そばにいるのが当たり前な久遠の想い人に気づけない結羽太。彼を死から救うためにやり直し続けてきた久遠に突きつけられる絶望。序盤展開の分かりづらさはやや気になりましたが、最後まで諦めない久遠の過去を知り、結羽太が失われかけていたものを取り戻しに行く展開は、報われないことも多い幼馴染ものとしてぐっと来るものがありました。

 最後の魔女という宿命を背負う少女・星降ロンドの運命を変えた、重力を操る能力を持つ以外は平凡な高校生・獅堂ログとの出会い。彼らにクラス一の美少女・木佐谷樹軍乃と関わりだしたことでさらに大きく動いてゆく物語。ログを振り回す軍乃が抱える秘密とその真意、闘病を乗り越えてこれから人生を満喫したいと願うロンド、彼女を支えるログが直面するロンドを取り巻く宿命との契約。何とも複雑なバランスの上に成り立っている揺れ動く三人の関係に注目の青春小説です。全2巻。

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)

おにぎりスタッバー (角川スニーカー文庫)

 
ひとくいマンイーター (角川スニーカー文庫)

ひとくいマンイーター (角川スニーカー文庫)

 

 見た目も成績も地味なのに「なんか援交だかをやっているらしい」という噂によって、クラス全員に避けられている中萱梓。愛称アズ。いきなり始まるアズの思考だだ漏れな地の文のみっちり感には面食らいましたが、最初は友人の自称・魔法少女サワメグや窮地を助けてくれた穂高先輩たちとぼっち少女の青春ものと思って読んでいたら、え?そっちなの?とどんどん思わぬ方向に向かってゆく展開は奇想天外で、なのにしっかりと青春もしていて、何かじわじわと来る独特な世界観を持つ突き抜けた物語です。全2巻。

まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)

まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)

 
まるで人だな、ルーシー2 (角川スニーカー文庫)

まるで人だな、ルーシー2 (角川スニーカー文庫)

 

 エキセントリックボックスに宿る少女・スクランブルの人身御供となった御剣乃音が願いを叶える代償は人の感情。人間らしさを失いつつも力を行使し人を救う乃音が、正反対の人身御供・氷室に出会う物語。壊れてゆく自覚から抱える矛盾に悩む乃音と、代償に感情を得てどんどん人間に近づいてゆくスクランブル。大切だったものを次々と切り捨ててしまう乃音の選択には絶望的な気分になりましたが、だからこそ彼が育んできたものをきっかけに、どうにか悪くないとも思えるところに落ち着いた結末には救われる思いでした。2巻まで刊行。

 

 

今回この企画を作ろうと思ったのは見てもらえれば分かるように巻数を重ねている作品は少なく、また続刊の刊行も売り上げ次第という作品もあって、そんな続きを読みたいシリーズの刊行を後押ししたいという思いがあったからです。現時点では正直に言えば万人向けの作品ばかりではなくて、読む人を選ぶ作品も結構あったりまだまだ玉石混交です。ですがそれを積み重ねていくことで作品自体のクオリティも上がっていくと思いますし、選択肢も増えてくると信じています。紹介した作品の中で気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。

 

2017年8月に読んだ新作おすすめ本

8月に読んだ新作オススメ本はラノベが3点、ライト文芸・一般文庫が10点、単行本9点の計22点です。ラノベは読みたいシリーズの続巻が多過ぎて新作にあまり手を出せなかったですが、ライト文芸・一般文庫はいろいろ発見のあった月でした。単行本の方も興味深い作品があったので、気になる本は是非手にとってみて下さい。

 

 小学校時代の多重人格ごっこという二人だけの秘密を共有する一色華の実と高校で再会した、三人の人格を抱えて生きる市川櫻介。秘密を唯一知る彼女との再会が二人を変えてゆく青春小説。別人のように人気者になっていた彼女から再び持ちかけられた多重人格ごっこ。急速に距離を縮めていく二人のやりとりがとても甘酸っぱくて幸せそうなのに、時折垣間見えてしまう彼女の想い。再会した彼女が乗り越えてきたこれまでとその宿命には切なくなりましたが、だからこそ櫻介と彼女が幸せになってゆくこれからを読みたいと思いました。続巻期待しています。 

 高校入学から数ヶ月。長らく片思いをしていた幼馴染の杉崎小春に告白して見事玉砕した大貫悟郎。両思いなのに付き合えない、一途過ぎる少年と本当は彼のことが大好きな少女の青春大暴走ラブコメ。自宅に帰るといつもいて、一緒に過ごす時間も長いのになぜか告白を断り、あまつさえ彼女を作れとまで無茶振りする小春。いい感じにしか思えないのに付き合えない二人が再会した、もう一人の幼馴染という転機。大好きであるがゆえにすれ違ってしまった二人の想いが切な過ぎて、これはもう最後まで見届けるしかないじゃないですか。早めの続刊待ってます。

赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)

赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)

 

 マラークに抗う唯一の武器・プレロマを突如授けられ、思わぬ形で護法枢機卿となったアルゾラ。初陣を何とか切り抜けた彼女が、仲間と輿入れの最中に行方不明となった法王の妹君救出の密命を受けるファンタジーアクション。訓練も不十分で覚悟も定まらないままに戦場へ放り込まれたアルゾラが出会った、黒の巡礼者と呼ばれ戦うことしか知らない最強の枢機卿キュリアロス。いきなりギリギリの状況が続く中で各人の思惑がせめぎ合う展開でしたが、緻密な世界観とキャラたちの掛け合いには著者さんらしさがよく出ていて、今後に期待の新シリーズですね。

 

 

 大学を留年しネット小銭を稼ぐ生活を送る葉山理久央が、新曲の作詞を依頼してきた破天荒な天才作曲家・蓮見律子と出会い、いろいろと巻き込まれてゆく音楽ミステリ。気まぐれな律子に振り回される葉山が大学の授業で出会った美沙、そして弟で若き音楽家本城湊人との邂逅。複雑な関係の姉弟との交流からの予想もしなかった急展開は物語の雰囲気をガラリと変えて、探偵役として律子が葉山と解き明かしてみせた謎と事件の真相、ほろ苦く切ないだけでは終わらない結末には著者さんらしさがよく出ていると思いました。シリーズ化を是非期待したいですね。

 大学に入学した新入生・秋太郎が選んだサークルは、人嫌いの来見行が専有する謎の仮面応用研究会。入部を願い出るも断固拒否された秋太郎が、直後にサークル棟で墜落死体を発見する物語。お互いが深刻な事情を抱える秋太郎とコウの邂逅。やや過剰に心配症で正義感が強い秋太郎に寄り添う彼女・ハゴロモ。そして謎めいたコウの兄・ショウの存在。オカルトめいた事件に心理学や哲学を絡めたストーリー、登場人物たちのテンポのよいやりとりは久しぶりに著者らしさを楽しめました。謎を提示するショウが今後もポイントになりそうですね。続巻も期待。

夏の祈りは (新潮文庫)

夏の祈りは (新潮文庫)

 

 県立北園高校を舞台に長年の悲願である甲子園出場に向けて、先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの熱い夏が描かれる青春小説。過去の伝統の呪縛に苛まれ力を発揮しきれなかったチーム、二人のエースで戦った夏、女子マネたちの存在が光った世代、そして谷間として期待されていなかったハズレ世代の奮闘。それぞれが精一杯戦って最初は否定的だった引き継がれる思いの意味を知り、それをまた後の世代に伝えてゆく。戦ったメンバーたちが卒業後も様々な形でチームを支えて、積み重ねてきた重みの先にあった結末にはぐっと来るものがありました。

天盆 (中公文庫)

天盆 (中公文庫)

 

 小国「蓋」を動かすのは、国民的盤戯「天盆」を勝ち抜いた者。 貧しい13人兄弟の末っ子・凡天は10歳ながらも天盆にのめり込んでいき、異様な強さで難敵を倒していくファンタジー。将棋のような天盆が軸に据えられた世界観で、のめり込んでいく凡天が行く先々で引き起こす事件と、権力者に睨まれて少しずつ追い詰められてゆくその家族。困難に際しての様々な葛藤はあっても血の繋がらない父母や兄弟たちとの揺るぎない絆は確かにあって、頂点を目指す天盆を巡る戦いはどんどん熱くなっていって、劣勢を覆し上り詰めてゆく戦いぶりは痛快でした。

きみのために青く光る (角川文庫)

きみのために青く光る (角川文庫)

 

 心の不安に根ざして発症し、力が発動すると身体が青く光って様々な異能力が発現する病「青藍病」。それに振り回される4人の男女が織りなす切なく愛おしい連作短編集。青藍病によって動物から攻撃されたり、念じるだけで生き物を殺せたり、人の年収や死期を知ってしまったり。青藍病によって引き起こされる異能に戸惑うことも多くて、それによって様々な事件に巻き込まれたりもしますが、困難に直面した恋する相手のために何とかしようと奔走したり、終わってみれば何となくいい感じにまとまってゆく展開は著者さんらしくてとても素敵な物語でした。

初恋は坂道の先へ (角川文庫)

初恋は坂道の先へ (角川文庫)

 

 結婚に対して煮え切らない教師・研介の恋人品子が、謎の男から届いた一冊の本をきっかけに失踪し連絡不通に。並行して中学生しなこと海人出会いが描かれるふたつの物語。彼女とのやりとりを思い出したり、告白された同僚の問題に巻き込まれながら、改めて品子への想いを自覚してゆく研介。一方でしなこと海人の初々しいやりとりや、品子の運命の出会いという言葉に不安を煽られますが、失いたくない大切なものにはやっぱり行動起こさないとですよね。意外な展開にやられたなと思いましたが、爽やかな読後感の物語でした。巻末の短編も良かったです。

恋を積分すると愛 (角川文庫)

恋を積分すると愛 (角川文庫)

 

 鳥人間コンテストに挑む青春小説『トリガール! (角川文庫)』のサイドエピソードや後日談、スピンオフ短編、「映画公開記念 中村航×土屋太鳳 特別対談」などをまとめた文庫オリジナルの短編集。坂場センパイからゆきなへのインパクトあり過ぎる告白エピソードを軸に、和美やペラ夫さんのほのかな想いやマイメロを巡る男たちの哀しい(?)エピソードなど、気になっていた後日談が読めてとても良かったです。あの三人の関係はこれからどうなっていくのかな。木戸の恋愛相談はそれなりにでしたけど、はぐれホタルは東京ホタルの方も読んでみたいと思いました。

思い出の品、売ります買います 九十九古物商店 (角川文庫)

思い出の品、売ります買います 九十九古物商店 (角川文庫)

 

 子どもの頃神隠しにあった際に得た不思議な力を密かに使い、百貨店でセールを伸ばしていた縁之介。ふとしたきっかけで不思議な九十九古物商店と浮世離れした店主・小町と出会ってその思いを変えてゆく物語。お客様が望むとおりに商品を勧めてきた縁之介が出会った付喪神たちと小町の関係。そして店を訪れるお客たちとのやり取りや思いに徐々に感化されていった縁之介の決断。一緒にいて変わってゆくのは彼だけではなくて、なのに素直になれない姿に切なくもなりましたが、何とか乗り越えた二人のこれからをいろいろ想像したくなる素敵な物語でした。

 母を癌で亡くした大学生の白木恭介は、遺言に従い母が30年前に佐伯義春という友人から貰った宝石を返すため北海道を訪れ、集落の因縁に巻き込まれてゆくひと夏の物語。秘境駅羽帯を訪れた恭介が知る三十年前に東羽帯の集落で起こった凄惨な事件。同時期に訪れた鉄道マニア吉井が知る根室本線に眠る裏金の噂。調べてゆくうちにふとした縁で出会った二人が集落の過去を知って因縁に巻き込まてゆく展開でしたが、情緒溢れる秘境駅近辺の描写を交えながら過去が丁寧に語られ、精算されてゆく結末は読み終わってみるとなかなか趣深いものがありました。

図書館は、いつも静かに騒がしい (SKYHIGH文庫)

図書館は、いつも静かに騒がしい (SKYHIGH文庫)

 

 就職活動で挫折し半年間ひきこもっていた23歳の菅原麻衣が偶然見つけた区立詩島図書館の求人に応募し、契約社員として働くうちに楽しみを見出していくお仕事小説。勤務先の図書館が業務委託されて館長以外は委託先所属、職員構成的に若いスタッフが多いあたりがちょっと今風で、未経験の初心者が勤務したらこんな感じなんだろうなと思いつつ、いろいろ関わって仕事のやりがい感じていくのは確かに嬉しいですよね。文章は読みやすくてよくも悪くもさらっとした感じですが、返却された館の所蔵となる所在館方式は見たことなくてちょっと新鮮でした。

 

 

病弱探偵 謎は彼女の特効薬

病弱探偵 謎は彼女の特効薬

 

 超病弱で学校は欠席続きの高校生・貫地谷マイ。幼馴染の同級生・山名井ゲンキがマイのために、学校で起こった不思議な事件を送り届ける寝台探偵ミステリ。消えた万引や持ち去られた短冊、着替えられた浴衣といった身近な謎をマイが寝台探偵よろしく謎解きする構図で、あまり学校に行けず友達も少ないがゆえにその推理には限界があるものの、いがみ合いながらもお互いをフォローして解決してゆく展開は良かったですね。甘え下手なマイの悪戯に毎回騙される学習しないゲンキには苦笑いでしたが、随分遠回りした二人の結末はなかなか素敵なものでした。

月夜に溺れる

月夜に溺れる

 

 バツ2で二児の母親でありながら、横浜、川崎の歓楽街で起こる色と欲にまみれた犯罪者を取り締まる神奈川県警生活安全部のエース・真下霧生。捜査能力と推理力(と美貌)を駆使し真犯人を追いつめる推理警察小説。神奈川県警本部の将来を担う二人の警察官が前夫、それぞれの子供がいて扱いに困る存在という魅力的で異色の主人公でしたけど、脇が甘く惚れた相手が被疑者になったり「またお前か!」と首を突っ込んだ案件が大きな事件に繋がってゆく中、その冷静で鋭い着眼点と人情味溢れる熱い想いで事件を解決してゆく展開はなかなか面白かったです。

悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)

悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)

 

 幼い頃からヒエラルキーの頂点に君臨し、今もかつての同級生三人と同時に付き合い貢がせている光岡めぐみ。しかし小学生時代の同級生への仕打ちをなぞるかのように次々と襲われ、婚活パーティーで知り合った大学教授の山本と犯人を絞り込んでゆくミステリ。共に犯人を追いかける中で暴かれ、明らかになってゆく周囲の人物たちの本当の思い。これまでやりたいように生きてきたことを思えば、因果応報とも思える結末でしたけど、そんな彼女が提示された二回目の人生をこれからどう生きるのか少しだけ気になる、決して悪いばかりではない読後感でした。

嘘をつく器 死の曜変天目(ようへんてんもく)

嘘をつく器 死の曜変天目(ようへんてんもく)

 

 次期人間国宝候補の陶芸家・西村世外の弟子として働く早瀬町子。その心を大きく揺さぶった焼き物を見た翌日に世外が殺され、大学で保存科学の研究をする先輩の馬酔木と共に不思議な器の謎と犯人を追うミステリ。後を継ぎたいが折り合いが良くない息子の久作、訳ありの過去があり長く仕える源田、あまり想いが見えない妻・静江という背景。そして世外が生み出した曜変天目の謎。今回も著者さんらしい陶芸界隈事情の解説は流石で、ミステリとして見ると紆余曲折の先にある結末はわりと平凡な構図でしたが、それを補って余りある読み応えがありました。

南風(みなみ)吹く

南風(みなみ)吹く

 

 廃校寸前の瀬戸内海の五木島分校。怪我で最後の大会に出場できないまま引退した航太がクラスメイトの日向子に巻き込まれ、仲間を集めて最初で最後の俳句甲子園出場を目指す青春小説。強引でまっすぐな日向子や事情を抱えた後輩の京、豊富な人脈のある和彦や親友の恵一といった仲間たちに触発され、俳句にのめり込んでゆく航太。それぞれが抱える複雑な事情や人が減っていく島の厳しい現実があって、それでも彼らが迷いながらも向き合い、進むべき道を見出してゆく姿は心に響きました。藤女子高の話ともしっかり繋がっていて今後の展開が楽しみです。

たとえあなたが骨になっても (JUMP j BOOKS単行本)

たとえあなたが骨になっても (JUMP j BOOKS単行本)

 

 警察も手を焼く難事件を解決していた敬愛する美貌の凛々花先輩。何者かに殺害され白骨化した彼女と話ができる高校生の朝戸雄一が因縁の事件を解き明かすホラーミステリ。死んでも謎への執着と推理力は失わない頭蓋骨の凛々花先輩と助手として忠実な雄一。二人と犯人しか知らない秘密を抱えつつ、持ち込まれた事件を解決する過程で明らかになってゆく周辺事情。ロジカルに謎を解き明かすのに裁かれない展開はやや好みが分かれそうですが、一連の事件を繋ぐ鍵は思わぬところにあって、補完されることで見えてくる二人のありようがとても印象的でした。

少女は夜を綴らない

少女は夜を綴らない

 

 小学6年生の時の同級生・加奈子の死から加害恐怖症に囚われる中学生山根理子。ある秘密を握っていた加奈子の弟・悠人に脅され、悠人の父親を殺す計画を手伝うことになる物語。リハビリの一環で書いた秘密の日記通りに起きるホームレス殺人。クラスでも微妙な立ち位置で挙動不審な兄や殺人計画もあり追い詰められてゆく理子。生々しく描かれる疑心暗鬼に陥った逃げ場がない状況であがく理子でしたけど、中学生ができる事には限界がありますよね。だからこそ手を差し伸べてくれる存在や偶然もあったりで何とか落ち着いた結末には救われる思いでした。

パドルの子

パドルの子

 

 唯一の親友・三輪の転校にうまく別れられず、昼休みを一人で屋上下の階段で過ごす中学生・水野。そんな彼が屋上の大きな水たまりとそこで泳ぐ隣のクラスの少女・水原に気づき巻き込まれてゆく青春SF小説。その水たまりに潜って強く願うと世界をひとつだけ変えられる「パドル」。夏休みまでの8日間、とある願いのためにパドルを繰り返す水原に付き合うようになる水野。過ごした日々で少しずつ積もってゆく想いの先に知った水原の理由と真相は切なくほろ苦かったですが、それでも水野が彼女のために最後に作り出した結末は清々しい読後感でした。 

お隣さんは小さな魔法使い

お隣さんは小さな魔法使い

 

 無気力な生活を続ける大学生・優一の隣室に引っ越してきた、魔法使い見習いの少女・シャルロット。そんな彼女が魔法使いになるための試練を手伝うことになる物語。困っている人の手助けをすることで3つの銀色のリボンを集める試練。おばあちゃんの庭の手入れ、先輩が気になる同級生の手助けや主を失った猫など、気ままな彼女の言動に振り回される中で少しずつ変化してゆく優一のありようと、明らかになってゆく彼が無気力だった理由。背中を押してくれた魔法使いのこれまでの積み重ねはきちんと効いていて、少し不思議で心温まる素敵な物語でした。

8月に読んだ本 #読書メーターより

8月は中旬がまるまる夏休みということもあって、休日の方がむしろ読めないとかいうありがちな事情もあり、ここ数ヶ月よりだいぶ失速(程度問題ですが)。読んだ本自体はいろいろ新たな発見もあったりで充実感はあったものの、だいたい書籍月60冊くらい読めればという気持ちではいるので、月54冊しか読めなかったということでどこか不完全燃焼感はありました。今月もいつも通り書籍のみの表示です。

 

8月の読書メーター
読んだ本の数:92
読んだページ数:22924
ナイス数:6212

戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉7 (HJ文庫)戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉7 (HJ文庫)感想
強盗犯の立てこもり事件に遭遇したトッカーブロート。事件自体は無事解決も犯人を巡って善意の市民団体による抗議活動で客は減少し、証人として出頭した裁判所ではルートが戦時中に行った作戦が槍玉に上げられる第七弾。不運な偶然も重なり、死んだと思いこんでいたマリーにまで否定できない過去を追求される絶対絶命の危機。否定できないルートを必死に弁護するスヴェンでしたけど、局面を打開したのはルートの変わらない想いで、そんな彼にスヴェンもいろいろ影響されてるんだなと思えたエピソードでしたが、最後の展開から今後が気になりますね。
読了日:08月31日 著者:SOW
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3 (HJ文庫)魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3 (HJ文庫)感想
執事と娘が増え賑やかになったザガンの居城。突然ネフィが町で肌の色の違う良く似た少女に襲われ、ザガン宛てに魔王の一人から船上での夜会への招待状が届く第三弾。新メンバーたちも違和感なく馴染んでいる感もある中、相変わらず不器用ながらも距離を縮めるザガンとネフィ。そんな彼らを招待した魔王ビフロンスともう一人の褐色のエルフ・ネフテロスの因縁。すっかりポンコツ要員と化したシャスティルは少しばかり不憫でしたが、ネフィティの想いに応えようと頑張ってしまうサガンの気の利いたお礼もあったりで、改めて続巻が楽しみになりました。
読了日:08月31日 著者:手島史詞
あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! (HJ文庫)あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! (HJ文庫)感想
高校入学から数ヶ月。長らく片思いをしていた幼馴染の杉崎小春に告白して見事玉砕した大貫悟郎。両思いなのに付き合えない、一途過ぎる少年と本当は彼のことが大好きな少女の青春大暴走ラブコメ。自宅に帰るといつもいて、一緒に過ごす時間も長いのになぜか告白を断り、あまつさえ彼女を作れとまで無茶振りする小春。いい感じにしか思えないのに付き合えない二人が再会した、もう一人の幼馴染という転機。大好きであるがゆえにすれ違ってしまった二人の想いが切な過ぎて、これはもう最後まで見届けるしかないじゃないですか。早めの続刊待ってます。
読了日:08月31日 著者:内堀優一
精霊幻想記 8.追憶の彼方 (HJ文庫)精霊幻想記 8.追憶の彼方 (HJ文庫)感想
宿敵と死闘を繰り広げることとなった大都市アマンドで美春たちが捜す人物のひとり皇沙月の情報を入手したリオ。それを踏まえて今後に向けた布石を打ちつつ、美春たちの待つ精霊の里へと帰還を果たす第八弾。沙月が出席する夜会への参加が認められて、帰還したリオが美春たちに提示した選択肢に対する決断。それがまさかのヒロイン大集合に繋がるとは思いませんでしたが(苦笑)ここでリーゼロットの秘密も明かされ、迷いがあった美春もまた大きな転機を迎えましたね。Web版と展開もだいぶ分岐しましたけど、今後の展開が楽しみになってきました。
読了日:08月30日 著者:北山結莉
悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)悪女の品格 (ミステリ・フロンティア)感想
幼い頃からヒエラルキーの頂点に君臨し、今もかつての同級生三人と同時に付き合い貢がせている光岡めぐみ。しかし小学生時代の同級生への仕打ちをなぞるかのように次々と襲われ、婚活パーティーで知り合った大学教授の山本と犯人を絞り込んでゆくミステリ。共に犯人を追いかける中で暴かれ、明らかになってゆく周囲の人物たちの本当の思い。これまでやりたいように生きてきたことを思えば、因果応報とも思える結末でしたけど、そんな彼女が提示された二回目の人生をこれからどう生きるのか少しだけ気になる、決して悪いばかりではない読後感でした。
読了日:08月30日 著者:辻堂 ゆめ
遺跡発掘師は笑わない 元寇船の紡ぐ夢 (角川文庫)遺跡発掘師は笑わない 元寇船の紡ぐ夢 (角川文庫)感想
鷹島沖の海底遺跡で黄金の剣を発見するが、何者かに奪われてしまった無量。黒木と共に探し始めた犯人とおぼしき男は死亡し、背後の国際窃盗団・コルドの暗躍を知る第七弾。毎回発掘する歴史的なロマンを感じさせる内容が楽しみなんですが、今回も元寇から倭寇朝鮮出兵まで絡めた展開と、過去の因縁に囚われた関係者たちにもそれぞれドラマがあって、そして無量や萌絵、忍に無量の父も登場してまた新たにいろいろ見えてくるものがありましたね。でも無量も目をつけられて、忍もまたいろいろ身動きが取れなくなってきてる感…大丈夫なんでしょうか。
読了日:08月30日 著者:桑原 水菜
キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った (ファミ通文庫)キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った (ファミ通文庫)感想
小学校時代の多重人格ごっこという二人だけの秘密を共有する一色華の実と高校で再会した、三人の人格を抱えて生きる市川櫻介。秘密を唯一知る彼女との再会が二人を変えてゆく青春小説。別人のように人気者になっていた彼女から再び持ちかけられた多重人格ごっこ。急速に距離を縮めていく二人のやりとりがとても甘酸っぱくて幸せそうなのに、時折垣間見えてしまう彼女の想い。再会した彼女が乗り越えてきたこれまでとその宿命には切なくなりましたが、だからこそ櫻介と彼女が幸せになってゆくこれからを読みたいと思いました。続巻期待しています。 
読了日:08月29日 著者:比嘉智康
赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)赫光の護法枢機卿 (ファミ通文庫)感想
マラークに抗う唯一の武器・プレロマを突如授けられ、思わぬ形で護法枢機卿となったアルゾラ。初陣を何とか切り抜けた彼女が、仲間と輿入れの最中に行方不明となった法王の妹君救出の密命を受けるファンタジーアクション。訓練も不十分で覚悟も定まらないままに戦場へ放り込まれたアルゾラが出会った、黒の巡礼者と呼ばれ戦うことしか知らない最強の枢機卿キュリアロス。いきなりギリギリの状況が続く中で各人の思惑がせめぎ合う展開でしたが、緻密な世界観とキャラたちの掛け合いには著者さんらしさがよく出ていて、今後に期待の新シリーズですね。
読了日:08月28日 著者:嬉野 秋彦
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前編 (宝島社文庫)感想
新年度を迎えた北宇治高校吹奏楽部。大量に新入生も入って大所帯となり、二年生となった久美子は一年生の指導係に任命される第六弾。昨年の躍進から入ってきた低音パートの新入生はいずれも一筋縄ではいかない曲者ぞろい。最終学年の三年生たちにはそれぞれのありようや想いもあり、一年生は一年生で新入生らしい悩みがそれぞれあって、すれ違いから時には衝突にも繋がってしまいましたけど、良くも悪くも率直な久美子がいい感じに間に入ったりで、メンバーたちの一年での変化と成長を感じましたね。いろいろ乗り越えた部員たちの今後が楽しみです。
読了日:08月28日 著者:武田 綾乃
月夜に溺れる月夜に溺れる感想
バツ2で二児の母親でありながら、横浜、川崎の歓楽街で起こる色と欲にまみれた犯罪者を取り締まる神奈川県警生活安全部のエース・真下霧生。捜査能力と推理力(と美貌)を駆使し真犯人を追いつめる推理警察小説。神奈川県警本部の将来を担う二人の警察官が前夫、それぞれの子供がいて扱いに困る存在という魅力的で異色の主人公でしたけど、脇が甘く惚れた相手が被疑者になったり「またお前か!」と首を突っ込んだ案件が大きな事件に繋がってゆく中、その冷静で鋭い着眼点と人情味溢れる熱い想いで事件を解決してゆく展開はなかなか面白かったです。
読了日:08月25日 著者:長沢 樹
神様の御用人7 (メディアワークス文庫)神様の御用人7 (メディアワークス文庫)感想
朝を迎えるごとに記憶を失ってしまう月読命に自分を支えてくれる実弟須佐之男命への贈り物を探して欲しいと依頼される良彦。しかしそれが予期せぬ方向へ向かってゆく第七弾。黄金は今回の御用に協力せず、明らかになってゆく記録に伝えられることなく葬られた過去の真実。なかなか難しい状況でしたが、諦めずに何とかしたい良彦は大国主命たちも助けたくなっちゃいますよね。自分から一歩踏み出すようになった穂乃香もいい感じに変わっていってるなと思いつつ、お兄さんはこれまたいいタイミングで登場して苦笑いしましたが、次巻も楽しみです。 
読了日:08月25日 著者:浅葉 なつ
異世界魔法は遅れてる! 8 (オーバーラップ文庫)異世界魔法は遅れてる! 8 (オーバーラップ文庫)感想
因縁の敵との邂逅を経た水明は親友の遮那黎二に現代魔術師であることを打ち明け、帝都に戻り英気を養った水明がハドリアス公爵邸で消息を絶った勇者エリオットの救出へ向かう第八弾。唐突にも思えたプール回は朴念仁の水明がヒロインたちに振り回されるテコ入れのお約束な展開に見せてかけて、いちおう今後の転機に繋がる重要な意味もあったんですね(苦笑)黎二もパワーアップして一区切り着いたところでの次巻は舞台も変えてだいぶ趣も変わりそうで、水明と一緒に向かうメンバーがどんな反応するのかとても楽しみなので、早めの続刊お願いします。
読了日:08月24日 著者:樋辻臥命
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。6 (HJ NOVELS)うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。6 (HJ NOVELS)感想
魔王たちとの激しい死闘を経て、遂に愛しいラティナの奪還に成功したデイル。一の魔王フリソスとも無事(?)和解に至り、二人はケニスたちの待つクロイツへと帰還する第六弾。可愛いラティナを守る存在として認め共闘もできるのに、彼女を独占するデイルにいろいろ物申したい義姉との関係には苦笑いでしたが、ラティナの両親の出会いから姉妹とともに仲良く暮らす過去エピソードが、ああいう形に繋がるとは思いませんでしたw 帰還後までのほっとする後日談からお話としてはもう少し続くようで、続巻でも甘々で幸せなエピソードを期待しています。
読了日:08月24日 著者:CHIROLU
カスミとオボロ 春宵に鬼は妖しく微笑む (集英社オレンジ文庫)カスミとオボロ 春宵に鬼は妖しく微笑む (集英社オレンジ文庫)感想
女学校の友人や自らにちらほらと結婚話が出てくる香澄。同級生の初江に誘われてチャリネを見に行った香澄と朧が不思議な術を使う男・花月と出会う第二弾。自らの結婚話を厭い、いつか自分が結婚した時に朧との関係をどうするのかが見えてこない香澄。ところどころでほのぼの展開も挿入されていましたが、そんな状況で起こった騒動の顛末はいろいろ考えさせられたでしょうし、彼女の婚約者の身に起こったことやそこから派生した事件が持つ意味と、最後に明かされた朧が密かに抱え続ける執着が今後の展開にどう繋がってゆくのか、続巻が楽しみですね。
読了日:08月23日 著者:丸木 文華
たとえあなたが骨になっても (JUMP j BOOKS単行本)たとえあなたが骨になっても (JUMP j BOOKS単行本)感想
警察も手を焼く難事件を解決していた敬愛する美貌の凛々花先輩。何者かに殺害され白骨化した彼女と話ができる高校生の朝戸雄一が因縁の事件を解き明かすホラーミステリ。死んでも謎への執着と推理力は失わない頭蓋骨の凛々花先輩と助手として忠実な雄一。二人と犯人しか知らない秘密を抱えつつ、持ち込まれた事件を解決する過程で明らかになってゆく周辺事情。ロジカルに謎を解き明かすのに裁かれない展開はやや好みが分かれそうですが、一連の事件を繋ぐ鍵は思わぬところにあって、補完されることで見えてくる二人のありようがとても印象的でした。
読了日:08月23日 著者:菱川 さかく
夏の祈りは (新潮文庫)夏の祈りは (新潮文庫)感想
県立北園高校を舞台に長年の悲願である甲子園出場に向けて、先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの熱い夏が描かれる青春小説。過去の伝統の呪縛に苛まれ力を発揮しきれなかったチーム、二人のエースで戦った夏、女子マネたちの存在が光った世代、そして谷間として期待されていなかったハズレ世代の奮闘。それぞれが精一杯戦って最初は否定的だった引き継がれる思いの意味を知り、それをまた後の世代に伝えてゆく。戦ったメンバーたちが卒業後も様々な形でチームを支えて、積み重ねてきた重みの先にあった結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:08月22日 著者:須賀 しのぶ
蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ (講談社タイガ)蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ (講談社タイガ)感想
大学を留年しネット小銭を稼ぐ生活を送る葉山理久央が、新曲の作詞を依頼してきた破天荒な天才作曲家・蓮見律子と出会い、いろいろと巻き込まれてゆく音楽ミステリ。気まぐれな律子に振り回される葉山が大学の授業で出会った美沙、そして弟で若き音楽家本城湊人との邂逅。複雑な関係の姉弟との交流からの予想もしなかった急展開は物語の雰囲気をガラリと変えて、探偵役として律子が葉山と解き明かしてみせた謎と事件の真相、ほろ苦く切ないだけでは終わらない結末には著者さんらしさがよく出ていると思いました。シリーズ化を是非期待したいですね。
読了日:08月21日 著者:杉井 光
嘘をつく器 死の曜変天目(ようへんてんもく)嘘をつく器 死の曜変天目(ようへんてんもく)感想
次期人間国宝候補の陶芸家・西村世外の弟子として働く早瀬町子。その心を大きく揺さぶった焼き物を見た翌日に世外が殺され、大学で保存科学の研究をする先輩の馬酔木と共に不思議な器の謎と犯人を追うミステリ。後を継ぎたいが折り合いが良くない息子の久作、訳ありの過去があり長く仕える源田、あまり想いが見えない妻・静江という背景。そして世外が生み出した曜変天目の謎。今回も著者さんらしい陶芸界隈事情の解説は流石で、ミステリとして見ると紆余曲折の先にある結末はわりと平凡な構図でしたが、それを補って余りある読み応えがありました。
読了日:08月21日 著者:一色 さゆり 
豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい3 (ファンタジア文庫)豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい3 (ファンタジア文庫)感想
ダリス次期女王カリーナ来訪に学園が沸く中その世話役を引き受けたスロウ。学園にきた本当の理由を明かしたカリーナ姫と迷宮探索に向かう一方、スロウのいない学園に伝説の黒龍セクメトが襲来する第三弾。外面は良いものの引きこもりで奔放なカリーナに振り回されるスロウ。その裏で魔法を使えるようになろうと密かに懸命に練習するシャーロット。またもや新ヒロインと着々とフラグを立てる展開なのかと思いきや、ついに二人でシャーロットの秘密と向き合う急展開にはなかなか盛り上がりました。物語としても大きく動く転機になりそうで続巻に期待。
読了日:08月20日 著者:合田拍子
デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク (ファンタジア文庫)デート・ア・ライブ17 狂三ラグナロク (ファンタジア文庫)感想
士道を死の運命から救うため幾度も世界をやり直す狂三の本当の想いに触れた士道が精霊たちに告げた真実。アイクはDEMの総力を結集させ士道を殺すために動き出す第十七弾。アイクやエリオットたちの始まりや士道の過去も明かされつつ突入した全面戦争。圧倒的戦力を相手に策をもって挑む精霊たちにも見せ場はありましたけど、疑似精霊のニベルコル対策相手にまさかの士道大活躍は予想外でした(苦笑)この物語らしいシリアスとコミカルを織り交ぜた展開は今回も楽しくて、全体像も見えて終盤に向かいつつあるようですが、これは続巻が楽しみです。
読了日:08月19日 著者:橘 公司
ロクでなし魔術講師と禁忌教典9 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と禁忌教典9 (ファンタジア文庫)感想
行方をくらましていた宿敵ジャティスの策略でルミアは誘拐され、さらにはフェジテ市庁舎爆破テロの容疑者として指名手配を受けたグレンはシスティの助力のもと、フェジテの街を駆け回る第九弾。ルミア誘拐を背景にジャスティスに追い詰められ奔走することになるグレンたち。一方で暗躍する天の知恵研究会の動きや相変わらずなイヴの迷走もあるなかで、まだまだ変われないシスティでしたけど彼女が見せてくれた成長が印象的でした。様々な思惑が絡む陰謀を乗り越えたと思った先にあった真の絶体絶命に仲間たちと共にどう挑むのか、続刊に期待ですね。
読了日:08月19日 著者:羊太郎
鹿の王 4 (角川文庫)鹿の王 4 (角川文庫)感想
ヴァンとついに対面したホッサルは、投げかけられた問いに答えようとする中で黒狼熱の秘密に気づく。その頃仲間を失った火馬の民オーファンは、故郷をとり戻すべく最後の勝負を仕掛ける第四弾。黒狼熱の秘密に気付く一方で、様々な思惑が入り乱れる中で動き出すオーファンの企てを阻止すべく動くヴァンたち。それだけで終わらず最後にもうひと展開ありましたが、逆境の中でも何とか生きていこうとする人たちのそれぞれの葛藤や、徐々に変わっていったヴァンに寄り添うユマやサエや支えてくれる仲間たちの存在がとても心に響く素晴らしい物語でした。
読了日:08月18日 著者:上橋 菜穂子
鹿の王 3 (角川文庫)鹿の王 3 (角川文庫)感想
攫われたユナを追い火馬の民の集落へ辿り着いたヴァン。東乎瑠の侵攻によって故郷を追われた彼らの族長のオーファンから岩塩鉱を襲った犬の秘密と、自身の身体に起こった異変の真相を明かされる第三弾。危機的状況からヴァンに協力を求めるオーファンによって明かされる真相。一方で王幡領の山地氏族に捕らえられてしまうホッサル一行。苦境をどう乗り切るべきかそれぞれの思うところや動きが明らかになっていって、ついにこれまで出会うことのなかったヴァンとホッサルの二人が邂逅したことでどうなるのか、最終巻に向けて盛り上がる展開ですね。 
読了日:08月18日 著者:上橋 菜穂子
恋を積分すると愛 (角川文庫)恋を積分すると愛 (角川文庫)感想
鳥人間コンテストに挑む青春小説『トリガール!』のサイドエピソードや後日談、スピンオフ短編、「映画公開記念 中村航×土屋太鳳 特別対談」などをまとめた文庫オリジナルの短編集。坂場センパイからゆきなへのインパクトあり過ぎる告白エピソードを軸に、和美やペラ夫さんのほのかな想いやマイメロを巡る男たちの哀しい(?)エピソードなど、気になっていた後日談が読めてとても良かったです。あの三人の関係はこれからどうなっていくのかな。木戸の恋愛相談はそれなりにでしたけど、はぐれホタルは東京ホタルの方も読んでみたいと思いました。
読了日:08月17日 著者:中村 航
脳の老化を99%遅らせる方法 疲れを脳にため込まない37の新習慣脳の老化を99%遅らせる方法 疲れを脳にため込まない37の新習慣感想
最近ふとした時に名前が出てこないが続いて気になって手に取ってみた一冊。物忘れやうっかりミスの多発は脳の疲労から来ていて、睡眠不足や同時並行していろいろやったり、詰め込み過ぎてぼんやりしている時に活発になるはずの脳回路・デフォルトモード・ネットワークが機能不全になっていって物忘れなどの形で顕在化する、それがうつ病認知症などにも繋がってゆくという指摘にはいろいろと思いあたるフシがありました。年齢別の考えた方やどう脳を活性化させるための処方箋には参考になる部分もあったので、改めて気をつけてみようと思いました。
読了日:08月16日 著者:奥村 歩
小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)小さいそれがいるところ 根室本線・狩勝の事件録 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
母を癌で亡くした大学生の白木恭介は、遺言に従い母が30年前に佐伯義春という友人から貰った宝石を返すため北海道を訪れ、集落の因縁に巻き込まれてゆくひと夏の物語。秘境駅羽帯を訪れた恭介が知る三十年前に東羽帯の集落で起こった凄惨な事件。同時期に訪れた鉄道マニア吉井が知る根室本線に眠る裏金の噂。調べてゆくうちにふとした縁で出会った二人が集落の過去を知って因縁に巻き込まてゆく展開でしたが、情緒溢れる秘境駅近辺の描写を交えながら過去が丁寧に語られ、精算されてゆく結末は読み終わってみるとなかなか趣深いものがありました。
読了日:08月16日 著者:綾見 洋介
水族館ガール4 (実業之日本社文庫)水族館ガール4 (実業之日本社文庫)感想
アクアパークの官民共同事業化に向け作業を進めていた梶は大詰めの会議で計画が一転白紙撤回の危機に。担当の吉崎に代わり急遽ペンギンの世話をすることになった嶋由香にも次々と困難が降りかかる第四弾。今回はイルカやペンギンの生態や水族館のあれこれだけでなく、作り上げてきた世代や知る世代・知らない世代との世代間の意識の差や、企画を成功させるためにどうやって周囲の協力を仰いでいくのかなど、いろいろ示唆に富んでいたテーマでした。しかし梶と由香の関係は進展しないなーと思ってたらここで急展開?いやこれは次巻が気になりますね。
読了日:08月14日 著者:木宮 条太郎
図書館は、いつも静かに騒がしい (SKYHIGH文庫)図書館は、いつも静かに騒がしい (SKYHIGH文庫)感想
就職活動で挫折し半年間ひきこもっていた23歳の菅原麻衣が偶然見つけた区立詩島図書館の求人に応募し、契約社員として働くうちに楽しみを見出していくお仕事小説。勤務先の図書館が業務委託されて館長以外は委託先所属、職員構成的に若いスタッフが多いあたりがちょっと今風で、未経験の初心者が勤務したらこんな感じなんだろうなと思いつつ、いろいろ関わって仕事のやりがい感じていくのは確かに嬉しいですよね。文章は読みやすくてよくも悪くもさらっとした感じですが、返却された館の所蔵となる所在館方式は見たことなくてちょっと新鮮でした。
読了日:08月13日 著者:端島 凛
一華後宮料理帖 第四品 (角川ビーンズ文庫)一華後宮料理帖 第四品 (角川ビーンズ文庫)感想
互いへの想いを封じた理美と朱西。さらに皇帝・祥飛に皇后に望まれ落ち着かない日々を過ごす理美。元気がない五龍のために旧都・氾因に滞在する理美たちが奇妙な現象に巻き込まれてゆく第四弾。見つけた鏡に起因する怪現象や臥せってしまう皇帝・祥飛。そして理美と朱西が知ってしまう秘密。いろいろ巡り合わせが悪かったとしか言い様のない状況ですが、秘めた三角関係に対する理美の決断は危うい不安定な状況の中で大きな波紋を呼びそうな気配ですね。まあどちらを選んでも難しい状況になったような気もしますが...今後の展開が気になりますね。
読了日:08月12日 著者:三川 みり
賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)賭博師は祈らない(2) (電撃文庫)感想
賭場を負かし奴隷の少女リーラの救出劇の代償として賭場に出向くこともできなくなり、帝都を旅立つことを決めたラザルス。道中立ち寄った村でラザルスは地主の娘エディスから突然の求婚を受ける第二弾。偶然出会った地主の娘・エディスの窮地と、ついうっかり関わったことで巻き込まれてゆくラザルス。リーラの感情が未成熟なこともあって、波紋があるたびに揺れる不器用な二人の距離感がもどかしかったですが、思わぬ形で繋がった消えない因縁をぶちのめすために勝負する二人の覚悟には盛り上がりました。旅の仲間も増えてこれは続巻も期待ですね。
読了日:08月11日 著者:周藤 蓮
俺を好きなのはお前だけかよ(6) (電撃文庫)俺を好きなのはお前だけかよ(6) (電撃文庫)感想
校内屈指の美少女であるひまわり、コスモス、あすなろ、そしてパンジーの四人からの愛の告白に残念な回答をしたジョーロ。それでも美少女たちに囲まれて夏休み満喫イベント満載の第六弾。衝撃的な逆読みから始まった今回は、怒涛の展開が続いていたこれまでから一転ベタな夏休みイベントの連続で、真っ直ぐで不器用なヒロインたちの魅力がこれでもかと詰まっていて、傍らから見たらハーレムルートにしか思えないのに意外とブレてなくて、だからこそラストの予想外の急展開には愕然としました。どうしてこうなったということで続きが気になりますね。
読了日:08月11日 著者:駱駝
なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門 (電撃文庫)なれる!SE16 2年目でわかる?SE入門 (電撃文庫)感想
立華、藤崎との対決となった総合商社二社のインフラ統合案件。暗躍するスピリッティアの貝塚の介入もあり、業界全体を巻き込む事態に国内の主要なIT企業を押さえられ、案件を進める術を失った工兵が決断を迫られる第十六弾。普通だったら諦めてしまいそうな絶望的な状況でも、立華との決着を後悔のないものにしようと諦めない工兵。成長を実感する彼が直面したキャリアの分岐点での決断は現実的な落とし所だったのかもですが、せめて人間関係の方はもう少し具体的な形で決着の方向性を提示できると良かったのかなと。ともあれ完結お疲れ様でした。
読了日:08月10日 著者:夏海 公司
ゼロから始める魔法の書X -ゼロの傭兵〈下〉- (電撃文庫)ゼロから始める魔法の書X -ゼロの傭兵〈下〉- (電撃文庫)感想
ゼロとの離別により心身共に傷を負った傭兵。自由の利かない身体に苦しむ姿に仲間達は手を差し伸べるが傭兵は拒絶し、ゼロを追いかけるべく一人町を飛び出してしまう第十巻。予想もしなかった急展開に戸惑う傭兵。彼の決意の強さを見てゼロの元に送り出す仲間たち。泥闇の魔女との最終対決で明らかになってゆく協会の真相があり、ゼロと十三番の生い立ちの秘密も明らかになっていきますが、改めて確認する傭兵とゼロの絆は揺るぎなくて、少しずつ変わりつつある新しい世界でも二人のありようが彼ららしくていいなと思いました。第二部も期待ですね。
読了日:08月10日 著者:虎走 かける
魔法科高校の劣等生(23) 孤立編 (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(23) 孤立編 (電撃文庫)感想
戦略級魔法使用で魔法師への逆風が強まる中、魔法の平和的利用として提案された『ディオーネー計画』でトーラス・シルバーに参加要請がなされる第二十三弾。達也の開発した魔法が戦争で使用された波紋にプロジェクトへの参加要請、さらに暴走する情報部。達也自体の力は圧倒的でもここまで厳しい状況が重なってゆくと、立ち回りがいろいろ難しいですね。重要な役割を果たした深雪や助力してくれた仲間たちの協力が今後のポイントになりそうで、逆転への伏線も少しだけありましたけどここからどう覆すのか。劇場版にも繋がるようで続巻が楽しみです。
読了日:08月10日 著者:佐島 勤
レーゼンシア帝国繁栄紀2~人形姫に微笑みを~ (GA文庫)レーゼンシア帝国繁栄紀2~人形姫に微笑みを~ (GA文庫)感想
相変わらず仕事を押し付けられ多忙な皇帝の影武者・シュウ。イーシア王国が何か不穏な動きがある中、婚約者候補ファムと二人きりで城下町へ遊びに出かける第二弾。預言者から不吉な存在とされて婚約者候補とされるまで城の外に出ることがなく、何かに興味を持つことがなかったファムとのお出かけ回。ニアミスやトラブル続きながらもファム主従にとってはかけがえのない経験や気付きがあって、ファム父の意外な一面には苦笑いでしたが、ユーリの思惑やシュウと婚約者候補たちとの関係の変化、新展開によって物語がどこに向かうのか続巻が楽しみです。
読了日:08月09日 著者:七条 剛
我が驍勇にふるえよ天地5 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)我が驍勇にふるえよ天地5 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)感想
優勢だったはずがレイヴァーンの策により壊滅間際まで追い詰められたアレクシス軍。だがレオナートは奪還した故郷リントを早くも発ち、戦況を打破する豪胆な一手へ向けて走りだす第五弾。予想もしなかった策によって思わぬ大敗と絶望的な撤退戦を強いられたアレクシス軍。そういう中でも抜け目ない動きをする存在があって、長い時間を掛けた準備や多少の劣勢など覆すレオナートの驍勇も絡めた反抗劇は、詰みかけた圧倒的劣勢からどうやって覆していったのか、その積み重ねがなかなか興味深かったですね。思わぬ幕切れでしたけど次巻も楽しみです。 
読了日:08月09日 著者:あわむら 赤光
天盆 (中公文庫)天盆 (中公文庫)感想
小国「蓋」を動かすのは、国民的盤戯「天盆」を勝ち抜いた者。 貧しい13人兄弟の末っ子・凡天は10歳ながらも天盆にのめり込んでいき、異様な強さで難敵を倒していくファンタジー。将棋のような天盆が軸に据えられた世界観で、のめり込んでいく凡天が行く先々で引き起こす事件と、権力者に睨まれて少しずつ追い詰められてゆくその家族。困難に際しての様々な葛藤はあっても血の繋がらない父母や兄弟たちとの揺るぎない絆は確かにあって、頂点を目指す天盆を巡る戦いはどんどん熱くなっていって、劣勢を覆し上り詰めてゆく戦いぶりは痛快でした。
読了日:08月09日 著者:王城 夕紀
永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか? (講談社タイガ)永劫回帰ステルス 九十九号室にワトスンはいるのか? (講談社タイガ)感想
大学に入学した新入生・秋太郎が選んだサークルは、人嫌いの来見行が専有する謎の仮面応用研究会。入部を願い出るも断固拒否された秋太郎が、直後にサークル棟で墜落死体を発見する物語。お互いが深刻な事情を抱える秋太郎とコウの邂逅。やや過剰に心配症で正義感が強い秋太郎に寄り添う彼女・ハゴロモ。そして謎めいたコウの兄・ショウの存在。オカルトめいた事件に心理学や哲学を絡めたストーリー、登場人物たちのテンポのよいやりとりは久しぶりに著者らしさを楽しめました。謎を提示するショウが今後もポイントになりそうですね。続巻も期待。 
読了日:08月09日 著者:若木 未生
お隣さんは小さな魔法使いお隣さんは小さな魔法使い感想
無気力な生活を続ける大学生・優一の隣室に引っ越してきた、魔法使い見習いの少女・シャルロット。そんな彼女が魔法使いになるための試練を手伝うことになる物語。困っている人の手助けをすることで3つの銀色のリボンを集める試練。おばあちゃんの庭の手入れ、先輩が気になる同級生の手助けや主を失った猫など、気ままな彼女の言動に振り回される中で少しずつ変化してゆく優一のありようと、明らかになってゆく彼が無気力だった理由。背中を押してくれた魔法使いのこれまでの積み重ねはきちんと効いていて、少し不思議で心温まる素敵な物語でした。
読了日:08月08日 著者:有間 カオル
夜と会う。: 放課後の僕と廃墟の死神 (新潮文庫nex)夜と会う。: 放課後の僕と廃墟の死神 (新潮文庫nex)感想
親に抑圧されて育った無気力な高校生・有森澪音。迷い込んだ《夜》と呼ばれるトラウマが具現化した世界で謎の少年・イザヨイと出会い、なりゆきから喫茶カグヤのマスター・小野寺豪らとともに異形退治をすることになってゆく青春異界奇譚。親とも自分が思い描く将来の夢もきちんと話し合えないまま鬱屈を抱えていた澪音が、静寂な夜のような世界に巻き込まれ、イザヨイや悩みを抱える同級生など様々な出会いを経験していく中で成長してゆく展開で、物語のテーマが若干ぼんやりしていた感もありましたが、悪くない読後感で素敵な雰囲気の物語でした。
読了日:08月08日 著者:蒼月 海里
思い出の品、売ります買います 九十九古物商店 (角川文庫)思い出の品、売ります買います 九十九古物商店 (角川文庫)感想
子どもの頃神隠しにあった際に得た不思議な力を密かに使い、百貨店でセールを伸ばしていた縁之介。ふとしたきっかけで不思議な九十九古物商店と浮世離れした店主・小町と出会ってその思いを変えてゆく物語。お客様が望むとおりに商品を勧めてきた縁之介が出会った付喪神たちと小町の関係。そして店を訪れるお客たちとのやり取りや思いに徐々に感化されていった縁之介の決断。一緒にいて変わってゆくのは彼だけではなくて、なのに素直になれない姿に切なくもなりましたが、何とか乗り越えた二人のこれからをいろいろ想像したくなる素敵な物語でした。
読了日:08月07日 著者:皆藤 黒助
書店員X - 「常識」に殺されない生き方 (中公新書ラクレ)書店員X - 「常識」に殺されない生き方 (中公新書ラクレ)感想
16年に盛岡のさわや書店が仕掛けた「文庫X」。全国650以上の書店を巻き込み30万部を超えるヒットを記録。マスコミにも大きく取り上げられたこの企画の仕掛け人が、ヒットに至るまでの道のりとアイデアの秘訣を分析し、自身の半生を踏まえて生き抜く力について語った一冊。これだと思った本に対する本人の熱い思いはもちろんですが、奇想天外な試みを否定せずに支えてくれた多くの人々がいたのも大きかったですよね。これまでもいろいろ話題になることも多かったユニークな書店さんですが、今後の展開をまた改めて注目したいと思いました。 
読了日:08月07日 著者:長江 貴士
南風(みなみ)吹く南風(みなみ)吹く感想
廃校寸前の瀬戸内海の五木島分校。怪我で最後の大会に出場できないまま引退した航太がクラスメイトの日向子に巻き込まれ、仲間を集めて最初で最後の俳句甲子園出場を目指す青春小説。強引でまっすぐな日向子や事情を抱えた後輩の京、豊富な人脈のある和彦や親友の恵一といった仲間たちに触発され、俳句にのめり込んでゆく航太。それぞれが抱える複雑な事情や人が減っていく島の厳しい現実があって、それでも彼らが迷いながらも向き合い、進むべき道を見出してゆく姿は心に響きました。藤女子高の話ともしっかり繋がっていて今後の展開が楽しみです。
読了日:08月06日 著者:森谷 明子
病弱探偵 謎は彼女の特効薬病弱探偵 謎は彼女の特効薬感想
超病弱で学校は欠席続きの高校生・貫地谷マイ。幼馴染の同級生・山名井ゲンキがマイのために、学校で起こった不思議な事件を送り届ける寝台探偵ミステリ。消えた万引や持ち去られた短冊、着替えられた浴衣といった身近な謎をマイが寝台探偵よろしく謎解きする構図で、あまり学校に行けず友達も少ないがゆえにその推理には限界があるものの、いがみ合いながらもお互いをフォローして解決してゆく展開は良かったですね。甘え下手なマイの悪戯に毎回騙される学習しないゲンキには苦笑いでしたが、随分遠回りした二人の結末はなかなか素敵なものでした。
読了日:08月05日 著者:岡崎 琢磨
少女は夜を綴らない少女は夜を綴らない感想
小学6年生の時の同級生・加奈子の死から加害恐怖症に囚われる中学生山根理子。ある秘密を握っていた加奈子の弟・悠人に脅され、悠人の父親を殺す計画を手伝うことになる物語。リハビリの一環で書いた秘密の日記通りに起きるホームレス殺人。クラスでも微妙な立ち位置で挙動不審な兄や殺人計画もあり追い詰められてゆく理子。生々しく描かれる疑心暗鬼に陥った逃げ場がない状況であがく理子でしたけど、中学生ができる事には限界がありますよね。だからこそ手を差し伸べてくれる存在や偶然もあったりで何とか落ち着いた結末には救われる思いでした。
読了日:08月05日 著者:逸木 裕
パドルの子パドルの子感想
唯一の親友・三輪の転校にうまく別れられず、昼休みを一人で屋上下の階段で過ごす中学生・水野。そんな彼が屋上の大きな水たまりとそこで泳ぐ隣のクラスの少女・水原に気づき巻き込まれてゆく青春SF小説。その水たまりに潜って強く願うと世界をひとつだけ変えられる「パドル」。夏休みまでの8日間、とある願いのためにパドルを繰り返す水原に付き合うようになる水野。過ごした日々で少しずつ積もってゆく想いの先に知った水原の理由と真相は切なくほろ苦かったですが、それでも水野が彼女のために最後に作り出した結末は清々しい読後感でした。 
読了日:08月05日 著者:虻川 枕
きみのために青く光る (角川文庫)きみのために青く光る (角川文庫)感想
心の不安に根ざして発症し、力が発動すると身体が青く光って様々な異能力が発現する病「青藍病」。それに振り回される4人の男女が織りなす切なく愛おしい連作短編集。青藍病によって動物から攻撃されたり、念じるだけで生き物を殺せたり、人の年収や死期を知ってしまったり。青藍病によって引き起こされる異能に戸惑うことも多くて、それによって様々な事件に巻き込まれたりもしますが、困難に直面した恋する相手のために何とかしようと奔走したり、終わってみれば何となくいい感じにまとまってゆく展開は著者さんらしくてとても素敵な物語でした。
読了日:08月04日 著者:似鳥 鶏
初恋は坂道の先へ (角川文庫)初恋は坂道の先へ (角川文庫)感想
結婚に対して煮え切らない教師・研介の恋人品子が、謎の男から届いた一冊の本をきっかけに失踪し連絡不通に。並行して中学生しなこと海人出会いが描かれるふたつの物語。彼女とのやりとりを思い出したり、告白された同僚の問題に巻き込まれながら、改めて品子への想いを自覚してゆく研介。一方でしなこと海人の初々しいやりとりや、品子の運命の出会いという言葉に不安を煽られますが、失いたくない大切なものにはやっぱり行動起こさないとですよね。意外な展開にやられたなと思いましたが、爽やかな読後感の物語でした。巻末の短編も良かったです。
読了日:08月03日 著者:藤石 波矢
マージナル・オペレーション改 02 (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション改 02 (星海社FICTIONS)