読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

多彩なラインナップが魅力のオレンジ文庫39選

ライトノベルのレーベル別企画を2つほど企画しましたが、同時にライト文芸についてもレーベル別企画をやってみたいと考えていました。特にオレンジ文庫については現時点で刊行している218作品の2/3ほどを読んでいるレーベルで、やるなら第一弾としてオレンジ文庫をという構想はあったのですが、ちょうど11/12までBookWalkerでセールを開催中とのことなので急遽セレクトし企画記事を作りました。

セレクトと言いつつ39作品も選んでいるのはセレクト言えるのか?と言われそうですが、これくらい読んでいると本音を言えばもっとたくさん紹介したいくらいで、泣く泣くできるだけ削りましたがこれ以上は削れません(苦笑)セレクト記事というよりは作品ガイドとして購入検討の参考になれば幸いです。 

 

1.どこよりも遠い場所にいる君へ

どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)

どこよりも遠い場所にいる君へ (集英社オレンジ文庫)

 

訳ありの過去もあり友人の幹也と采岐島のシマ高に進学した月ヶ瀬和希。そんな彼が初夏に神隠しの入江で倒れていた少女・七緒を発見するボーイミーツガール青春小説。過去からやって来た七緒と少しずつやりとりを重ねてゆく日々。何気なく過ごせていた高校生活の突然の暗転。明かされる過去の真相と、変わらず向き合ってくれる友人たちの存在、そして覚悟を決めた七緒。甘酸っぱく初々しかった出会いの結末には切なくなりましたけど、繋がって行く過去と未来、そして意外な形で届けられた真摯な思いは、かけがえのないとても素敵なものに思えました。

2.また君と出会う未来のために

また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

 

 小学校三年生の頃、遠い未来に時間を超えたことがある仙台の大学生・支倉爽太。未来で出会った年上の五鈴を忘れられずアルバイトに明け暮れる爽太が、過去から来た人にあったことがあるという八宮和希と出会うもうひとつの物語。前作から数年後の世界で、忘れられない人との再会を渇望する爽太と和希の出会いあって、彼と向かった采岐島で再会した面々が懐かしくて。ふとしたきっかけからたどり着いた意外な真実に、それでも覚悟を決めて向き合う爽太のひたむきな想いには心打たれるものがあって、諦めなかった彼らの今後を応援したくなりました。

3.鎌倉香房メモリー

鎌倉香房メモリーズ (集英社オレンジ文庫)

鎌倉香房メモリーズ (集英社オレンジ文庫)

 

人の心の動きを香りで感じる高校生・香乃が、大学生・雪弥とともにゆるりと手伝う鎌倉にある祖母が営む香り専門店『花月香房』を舞台に、やってくるお客さんや身の回りの人たちの事件を解決する物語。ミステリーとしてはあっさりめですが、うっかりな香乃をしっかり者雪弥がフォローする二人の関係は、小さい頃からお互いを大切に思う気持ちをゆっくり着実に育んでいて好感。家族への複雑な思いを抱えながら、家族や親友を大切に思う人たちを救う二人の今後が楽しめるシリーズです。全5巻。

 

4.契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

 

椿屋敷で若くして隠居暮らしの柊一と契約結婚した香澄。町の相談役・柊一の元に近所から相談が持ち込まれるわけありな人々の物語。築六十年の椿屋敷という珍しい視点から綴られる穏やかで物事がよく見えるのになぜか人の機微には少し疎い柊一と、よく働き一緒に過ごすうちに柊一のことが気になってゆく可愛い香澄の関係。二人の穏やかな日常が周囲の関与により詮索しないはずの過去に触れ少しずつ変わってゆく展開は、二人が本当の夫婦に近づいてゆく過程をいろいろと楽しめそうですね。周りのキャラも魅力的でこれは続巻に期待大の新シリーズです。現在3巻まで刊行。

5.下鴨アンティー

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部 (集英社オレンジ文庫)

下鴨アンティーク 白鳥と紫式部 (集英社オレンジ文庫)

 

 京都下鴨を舞台に、両親を早くに亡くし古美術商を営む兄と下宿人の慧と三人で古びた洋館に住む高校生・鹿乃と、蔵にあるアンティーク着物をめぐる不思議な物語。亡くなったお祖母ちゃんの大事にしていた着物のコレクションにまつわるお話は、ミステリーというよりはどこかファンタジーな趣でしたが、旧華族である野々宮家を舞台としたどこかおっとりとした物語に垣間見える仄かな想いや、お祖母ちゃんとお祖父ちゃんの馴れ初め話がわりと素敵なお話でした。鹿乃と似た雰囲気を持つ春野の出現で波紋を呼びそうな、慧との関係も気になるところですね。全8巻。

6.後宮の烏

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

 

後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。


7.威風堂々惡女

威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

 

 その出自から瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛。皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われ命を失った彼女が、謀反を起こして虐げられる原因となった皇帝の愛妾・柳雪媛として目覚める中華幻想復讐譚。未来を変えるため柳雪媛として過去をやり直すことになった玉瑛と、その護衛役に任命された生真面目な若き武人・王青嘉の因縁の出会い。お互いの真意を知らずに反発し合っていたはずの二人がいつの間にか奇妙な縁で紡がれていって、二人だけにしか分からない何とも複雑な感情を育んでゆくこの主従の絆に期待したい新シリーズですね。

 

8.鍵屋甘味処改

鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常 (集英社オレンジ文庫)

鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常 (集英社オレンジ文庫)

 

冬休みに自分の出生の秘密を知って衝動的に家出した女子高生こずえが、鍵師・淀川と知り合い、年齢を偽り助手として彼の家へ居候することになる物語。居付いてしまったこずえをまるで野良猫のようなものと思っている無愛想で職人気質の淀川と、掃除やカメラ撮影といった淀川の苦手な部分を巧みにフォローして居場所を確保していくこずえの、確かに甘いとは言えない非日常。そんな野良猫に接するような二人の距離感がここからどう変わってゆくのかが楽しみなシリーズです。全5巻

9.鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ

鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)

鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)

 

高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいいライバル関係になりそうですね。現在2巻まで刊行。

 

10.宝石商リチャード氏の謎鑑定

宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)
 

酔っ払いに絡まれた美貌の敏腕宝石商・リチャードを助けた大学生中田正義が、その縁から密かに持っていた指輪の鑑別を依頼する連作短編集。リチャードの顧客や店を訪れる人々の宝石にまつわる問題を二人で解決するストーリーで、宝石を扱う仕事に誇りを持ち優れた観察眼を持つリチャードと、彼に人物を評価されてバイトに誘われ、宝石に興味を持つようになってゆく真っ直ぐな正義のコンビがとても良かったです。正義を気にかけるリチャードの想いと、正義が片思いする少し変わった谷本さんとの恋の行方がとても気になるので続編を期待しています。現在7巻まで刊行。

11.螺旋時空のラビリンス

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)

 

 時間遡行機が開発された近未来。過去の美術品を盗み出す泥棒のルフが、至宝とともに19世紀のパリに逃亡した幼馴染のフォースを連れ戻すために過去へ跳ぶ物語。取り戻すまでは簡単に未来に戻れないと知ったルフがループを繰り返す覚悟を決めて試行錯誤していくうちに、不治の病に侵されながらも気丈に振舞う彼女と献身的に向き合うようになっていく姿が印象的でした。彼女が秘めていた想い、そして膨大な時間を乗り越えた二人だからこそ、あのラストシーンを迎えられて良かったです。本作がデビュー作ということで次回作にも期待の作家さんですね。

12.マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

 

人工海上都市『キヴィタス』のアンドロイド管理局に勤める若きエリート技師エルが、仕事からの帰り道で登録情報のない野良アンドロイドの少年・ワンと出会い不思議な共同生活を始める物語。アンドロイドが貴重な労働力になっている世界で、不器用だけれどアンドロイドには真摯に向き合うエルに、訳ありなアンドロイドのワンは何だかんだ言いながらも振り回されっぱなしで、エルの事情も明らかになってゆく中、二人の関係性がワンの過去を巡る騒動と絡めつつとてもいい感じに描かれていたと思いました。もし続巻あるようならまた読んでみたいですね。


13.時をかける眼鏡

 医学生西條遊馬が母の故郷であるマーキス島に旅行した際にタイムスリップして過去の世界に飛ばされ、皇太子の父王殺害疑惑に挑む法医学ミステリー。牢に繋がれた抗弁しない皇太子、思わせぶりな態度が多い弟王子という構図の下、召喚された遊馬が医学生としての知識を活かして奔走するストーリーは、あっさりめですがテンポもよく分かりやすい展開で、長年の誤解も解消していい感じにまとまる読後感の良い物語でした。姫王子や法医学博物館も気になるところですが、現代には簡単に帰れなくなった遊馬の活躍が楽しみなシリーズです。現在7巻目まで刊行。


14.これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~

入社以来経理一筋、きっちりとした仕事ぶりで評価される森若沙名子27歳。過剰なものも足りないものもないことを理想とする生活を送る彼女が、社内外で次々と起こる経理絡みの問題に巻き込まれてゆく物語。特に噂好きでもなく、社内の複雑な人間関係からどこか一歩引いた位置にいる彼女。怖いと誤解されてしまうこともあるけれど、やや不器用なだけできちんと相手を気遣える優しさを持っていて、幸せになりたくないわけじゃないんですよね。実はみんなに慕われていて、そんな彼女がいいと言ってくれる同僚の存在に気づく結末はとても良かったです。現在4巻まで刊行。
関連シリーズ:風呂ソムリエ 天天コーポレーション入浴剤開発室

15.Bの戦場

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)

 

物心ついた頃からブスで、結婚式に憧れ自分は無理でもそれを演出する人になろうと、ウェディングプランナーになった北條香澄。そんな彼女が絶世のブスと絶賛されやり手で絶世の美男子・久世課長に求婚される物語。これでもかと香澄のブスっぷりを真正面から突きつけられる展開は少なからずグサグサ突き刺さりましたが、さらに突き抜けている久世課長の存在感(苦笑)そういう決断しちゃうのかーとは少し思いましたが、お仕事小説としても面白かったですし、仕事に真摯に向き合う香澄の姿勢や人柄に感化されて周囲の人たちも変わってゆく過程は興味深いです。現在5巻まで刊行。

16.ゆきうさぎのお品書き

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (集英社オレンジ文庫)

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (集英社オレンジ文庫)

 

 貧血で倒れた大学生の碧が、小料理屋「ゆきうさぎ」を営む青年大樹に助けられ、バイトとしてとして働くことになる物語。母を亡くして食が細くなっていた碧や大樹が女将から跡を継ぐ前は常連だった父、お向かいの洋菓子店の兄妹やお店の常連客など、周囲の身近な人たちとの相手を思いやるような交流だったり、美味しそうな料理とらしさを取り戻した大食漢・碧の食べっぷりとか、猫の武蔵も存在感があって、特に目新しさはなかったですけど、心温まるような雰囲気が読んでいてとてもいいなと思いました。現在6巻目まで刊行。

17.ブラック企業に勤めております。

ブラック企業に勤めております。 (集英社オレンジ文庫)

ブラック企業に勤めております。 (集英社オレンジ文庫)

 

イラストの仕事だけでは食べていけず、夢破れて生きるために親に内緒で地元タウン誌を発行する会社の事務員として採用された夏実。その個性的な面々が集うブラック企業ぶりを描くお仕事小説。周囲の同僚がだらしない人たちで振り回されたり、仕事をスムーズに動かすために始発で行って仕事とか考えるあたりが、すでにもう重症だなと思わなくもないですけど、それはそれとして社会人として仕事をしっかりこなす夏実だからこそ周囲から信頼されるのも納得ですね。大変なことに巻き込まれましたが、林さんとの今後が気になるので続刊に期待したいところ。現在3巻まで刊行。

18.エプロン男子

エプロン男子 1 (集英社オレンジ文庫)

エプロン男子 1 (集英社オレンジ文庫)

 

激務の仕事はうまくいかず、恋人にもフラれたデザイナーの夏芽。心身ともにボロボロの彼女がイケメンシェフが自宅に来て料理を作ってくれる「エデン」を紹介される物語。やって来た海斗の作る食事と優しさに触れ立ち直るきっかけを得た夏芽が、次々と出会うメンバーたち。エデンを立ち上げた相馬と参加する男たちが抱える事情と料理に賭ける想い。それぞれのやり方で求められた人たちのために真摯に向き合う彼らの料理には癒されそうで、でも接触禁止で恋愛禁止な契約という縛りがなかなか興味深かったです。現在2巻目まで刊行。

19.法律は嘘とお金の味方です。 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌

法律は嘘とお金の味方です。 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 (集英社オレンジ文庫)
 

敏腕だがお金に汚い弁護士・吾妻正義の孫つぐみは、嘘をついている人の顔が歪んで見える特殊能力を持つ女子高生。幼馴染の検察官・汐見草司もたびたび巻き込んで持ち込まれる案件を解決してゆく物語。相続放棄を迫られた後妻、詐欺師扱いされた投資コンサルタントDQNネームを改名したい女子高生、隣人から引っ越しを迫られる犯罪者の息子といった何とも複雑な事件に正義もまた濃い存在で、ワケありの過去を抱えた登場人物たちそれぞれの物語、そして複雑にこじれていたつぐみと草司の今後も気になりますし、またこの続きを読めたらいいですね。

20.要・調査事項です!

要・調査事項です!: ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

要・調査事項です!: ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

 

 顧客をクレーマー化させてしまったことを気に病み、辞職を考えていた入行一年目の小林髙。そんな彼が二年目の年度初めに支店から本部の監査部の個人取引担当―通称コトリ班へ異動するお仕事小説。外貨の偽札や通帳のトラブルといった要調査案件に、上司の矢岳に見守られつつ、きれいだが愛想のない多岐川千咲とコンビを組んで調査する構図で、関係なさそうだった事件が繋がっていって、高の着目や人間関係が事件解決のヒントになったり、少しずつ距離感も変わってきた多岐川千咲とのコンビがこれから面白くなりそうですね。これは続巻読みたいです。

21.千早あやかし派遣会社

千早あやかし派遣会社 (集英社オレンジ文庫)

千早あやかし派遣会社 (集英社オレンジ文庫)

 

 大学教授の父が研究にお金を費やすため超貧乏暮らしな女子大生の由莉が、好待遇過ぎる求人に飛びついてあやかしのための人材派遣会社で奮闘する物語。美しく金持ちだけどやや性格の悪い社長千早と、貧乏だけど真っ直ぐでたくましい庶民派な由莉。感覚が違い過ぎて最初は衝突していた二人が、お互いを知るうちに認め合うようになる関係がいいですね。弁天様が井の頭公園で「リア充なんて爆発すればいいのですわ」とか呪っているのはツボに入りました(苦笑)のんびりと和める雰囲気はとても良かったですし、二人の今後も気になりますね。現在3巻まで刊行

 

22.異人館画廊

異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女  (コバルト文庫)
 

 ※この作品は一巻目だけコバルト文庫から刊行ですが対象にはなっているようです。
英国で図像学を学び祖父の死を機に日本に戻ってきた千景。祖母が経営する画廊には一風変わった仲間たちが集い、そこに図像学の見識を見込まれ千景も巻き込まれてゆく物語。祖父が残した中途半端な遺言。再会した堅物な遠縁の京一と昔から気が合わないと感じている幼馴染の透磨、そして画廊に集まるちょっと胡散臭い仲間たち。依頼解決に巻き込まれてゆく千景が危機を救われたり失われた過去の記憶を少しだけ取り戻したりで、透磨を見る目や印象が変化してゆく描写がとても良かったですね。不器用な二人の今後がどうなってゆくのか続巻が楽しみです。現在4巻目まで刊行。

23.あなたの人生、交換します The Life Trade

あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)

あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)

 

自分の人生を交換するパーティーの招待状。その招待状を受け取った就職活動や婚活に失敗し続け、病気の母に苦労する山田尚子が、憧れていた国際的美人ピアニスト・桜庭響と人生を交換する物語。今の人生を生きる自分が不幸だと感じていた二人が、お試し期間の二週間付きの入れ替わりができると知って決断し、それぞれ経験してゆくもうひとつの人生。これまでと正反対の新鮮な生き方に刺激を受けたからこそ、見切りをつけようとしていたこれまでの人生で本当に大切だと感じていたことを自覚し、向き合っていこうとする展開はなかなか良かったですね。

24.京都伏見は水神さまのいたはるところ

京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

 

 東京のめまぐるしい生活に馴染めず祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越してきた女子高生のひろ。幼馴染で造り酒屋の息子・拓己にも再会した彼女に不思議な声が届くあやかし物語。拓己や以前彼女と約束を交わした白蛇「シロ」に見守られながら、少しずつ新しい生活に馴染んでゆくひろ。「水神の加護」「小野小町の恋」「桃亭の恋模様」「雷神の子」と様々なあやかし絡みの事件に関わってゆく展開に、それにひろと拓己の繊細な距離感だったり、ひろを気にかけるシロの存在もいい感じに絡んでいて、続刊あるようなら是非また読んでみたいですね。

25.ガーデン・オブ・フェアリーテイル

花や草木に触れると枯れてしまう呪われた手を持つ撫子。父の死後、19歳になった撫子は知らぬ間に自分が結婚していたことを知り、結婚相手・花織が住む新潟へ赴く幻想ミステリ。妖精に纏わる厄介事を解決している人嫌いの造園家の花織。粘り強く徐々に心を通わせてゆく中で直面する30歳になったら死ぬという花織の呪い。ふんわりとした雰囲気の中で呪いにどう向き合うかという葛藤が描かれますが、それでも真っ直ぐな撫子の想いが花織の孤独な心を揺り動かすようになってゆく展開と、そんな二人が迎えたその結末はなかなか良かったと思いました。

26.カスミとオボロ 大正百鬼夜行物語

カスミとオボロ 大正百鬼夜行物語 (集英社オレンジ文庫)

カスミとオボロ 大正百鬼夜行物語 (集英社オレンジ文庫)

 

大正時代。退屈な日常にうんざりしていた坂之上伯爵家の令嬢・香澄が、代々祀ってきた悪路王に朧という名を与えて主従関係を結んでしまい、二人で集に起こるあやかしがらみの事件を解決する物語。いいところの令嬢なはずの香澄がなかなかいい性格をしていて、そんな彼女と極悪な鬼であるはずの朧が主従関係を組むと、わりとまともに見えてしまう不思議(苦笑)確かに華族の人々を舞台にするといかにも作中の如く魑魅魍魎がうようよしてそうな感じではあります。香澄と朧の二人の関係にも複雑な因縁あるようで独特な雰囲気が魅力のシリーズです。現在2巻まで刊行。

27.とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー

とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)

とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)

 

青木祐子「レンタルフレンド」、阿部暁子「たぬきとキツネと恋のたい焼き」、久賀理世「明日のおもひでフレンチトースト」、小湊悠貴「悪友と誓いのアラモード」、椹野道流「おじさんと俺」とおやつをテーマにオレンジ文庫でもお馴染の5人の著者が綴る短編集。いずれも最近の著作は追いかけている作家さんたちですが、読んでみるとそれぞれの著者さんらしさがあって、でも久賀理世さんの現代ものは読んだのもしかして初めてでしたかね?父がいきなり脱サラしてたいやき屋を始めてしまった娘の悲哀と出会いを描いた「たぬきとキツネと恋のたい焼き」が個人的には好きでした。

28.きょうの日はさようなら

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

 

2025年の夏休み。双子の高校生・明日子と日々人は突然いとことの同居を父から告げられ、やって来た今日子が実は長い眠りから目覚めた三十年前の女子高生だったという物語。時代のギャップに戸惑いながら徐々に双子と打ち解けてゆく今日子の存在は、バラバラになっていた家族を繋ぐきっかけにもなって、過去との繋がりを感じるがゆえにもう取り戻せないことを痛感する彼女と、どうにもならない現実に直面した双子の対照的な選択、昔の想い人の回想がとても印象に残りました。懐かしい気持ちと切ない気持ちが入り混じる素敵なひと夏の物語ですね。

29.雪があたたかいなんていままで知らなかった

雪があたたかいなんていままで知らなかった (オレンジ文庫)

雪があたたかいなんていままで知らなかった (オレンジ文庫)

 

地元の名士の生まれながら、幽霊が見えることで周囲から孤立する澤村千尋の前に現れた赤いマフラーの幽霊少女。協力してくれたクラスメイトの岩木君やリンたちと共に、記憶を失っている彼女の過去を探し始める青春ミステリー。過去のトラウマから逡巡しながらも始まった身元捜索。それぞれ苦い過去が明らかになってゆく岩木とリン、そして本家の魔王的存在・従兄の義孝。その過程で少しずつ広がって変わってゆく周囲との関係と、いろいろ過去や事実が少しずつ繋がってゆく構成はとても上手くて、切ないけれどぐっと来るものがある素敵な物語でした。

30.少女手帖

少女手帖 (集英社オレンジ文庫)

少女手帖 (集英社オレンジ文庫)

 

周囲に迎合しグループ内で平穏に生きていくことに全力を傾けてきた女子高生の小野ひなた。ある日、憧れの同級生結城さんに誘われグループの約束をドタキャンしたことで周囲から孤立してしまう青春小説。これまで無難に生きることに心を砕いてきたはずが、偶然結城の秘密を知り興味を抱いたことで結果的に失った自分の居場所。息苦しい狭い世界でどう生きるのかというお話でしたけど、焦燥を募らせていた彼女が姉や師匠、結城さんなど、たくさんの人と話し合い悩みながらもこれまでの自分を省みて、大切なことを見出してゆく姿はとても印象的でした。

31.今夜、2つのテレフォンの前。

今夜、2つのテレフォンの前。 (集英社オレンジ文庫)

今夜、2つのテレフォンの前。 (集英社オレンジ文庫)

 

 幼馴染・想史に思いを寄せる女子高校生・志奈子と、初恋の女性の結婚が決まったと聞き動揺する高校教師の直江。不思議な縁で電話をするようになった二人が毎晩相談の電話を積み重ねてゆく物語。いつの間にか上手く行かなかった自分と幼馴染の関係を重ね合わせて、別の高校に通うようになって口を聞いてくれない想史と志奈子の恋を応援する直江。そんな繋がりをもたらしたきっかけには苦笑いでしたけど、きちんと向き合った志奈子だけでなく、自身もまた想いを燻らせていた直江が大切な人に想いを伝えようと奔走する姿には心に響くものがありました。

32.きみを忘れないための5つの思い出

きみを忘れないための5つの思い出 (集英社オレンジ文庫)

きみを忘れないための5つの思い出 (集英社オレンジ文庫)

 

他人の記憶に極端に残りにくい体質の少女、自分に恋する人の視力が下がってしまう少女、教室から出られなくなってしまった少女、事故で意識不明の恋人とメールでやり取りできるようになった少女と、少し変わった性質を持った少女たちと彼女に恋した少年たちの物語を描いた連作短編集。人と違う自分を意識することで周囲と距離を置いていた少女たち。そんな頑なになっていた彼女たちが築いた壁に挑む男の子たち、乗り越えようとしたヒロインには苦難や葛藤が伴いましたけど、それでも諦めずに乗り越え人生が変わってゆく展開はなかなか良かったです。

 

33.号泣

号泣 (集英社オレンジ文庫)

号泣 (集英社オレンジ文庫)

 

春休み、春日井奈々が校舎から転落死したことをきっかけに、筝曲部の春・夏・秋・冬を名前に持つ「四季の会」少女4人が事件に巻き込まれていく危うく儚い青春ミステリー。悪意を持った嫌がらせから始まったすれ違いがどうしようもないところまで積み重なった結果、生まれてしまった復讐劇。軽挙から密かに起きていた知られざる悲劇。文中に彼女たちの告白を挿入しながら進められていく物語は、ひとつの方向に向かうことを予感させますが、まさかの展開に見事に騙されました。少女たちの不安定に揺れる思いを、生々しい描写で描き切った圧巻の一冊。

34.僕は君を殺せない

僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)

僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)

 

クラスメイトの代わりにミステリーツアーに参加して、山中にある屋敷での惨劇から必死に逃げ出した『おれ』。クラスメートのレイちゃんと半同棲する『僕』。二人の視点から語られ明らかになってゆく復讐劇。視点が切り替わってゆくストーリーは時系列も前後しやや分かりづらかったですが、淡々と関係者が死んでゆく一方で微笑ましい二人に見えたレイちゃんとの関係には別の側面もあって、復讐を完遂するためにこれまで動いてきた僕が自分の大切なものを守ろうとしたその悩める決断にはどこか救われる思いでした。

同著者作品:どうか、天国に届きませんように」「七不思議のつくりかた

 

35.雲は湧き、光あふれて

最後の甲子園を前に故障した屈指のスラッガー専用代走に指名される話/新人スポーツ記者と強豪校と対戦する弱小校のピッチャーの出会い/戦火が拡大する中で甲子園を目指す少年たちの話と、高校野球を題材とする中編三編。今の自分に自信を持てない主人公たちが野球への熱い想いに感化され、今やるべきことに奮闘する姿には心を動かさずにはいられません。いずれも良かったですが、個人的には新人新聞記者と弱小校ピッチャーの出会いを描いた「甲子園への道」が特に好きでした。読むと高校野球につい思いを馳せてしまう是非オススメしたい一冊です。

36.マスカレード・オン・アイス

マスカレード・オン・アイス (集英社オレンジ文庫)

マスカレード・オン・アイス (集英社オレンジ文庫)

 

若手フィギュアスケーターとして将来を嘱望されながらも行き詰まっていた女子高生・白井愛が、ふとしたきっかけからかつて約束をした友人・ユーリに会いに行く物語。経済的な事情にも直面してスケートを続けることすら難しくなりつつある中、狭い世界から飛び出して初めて分かったこと、これまで知り得なかったユーリの複雑な事情。多くの出会いやユーリとの再会によってスケートへの想いを再確認し、多くの刺激を受け自分の良さに気づき、自信を取り戻していく展開はとても良かったですね。近い将来の再会を予感させるエピローグも自分好みでした。

37.ひっぱたけ! ~茨城県立利根南高校ソフトテニス部~

ひっぱたけ! ~茨城県立利根南高校ソフトテニス部~ (集英社オレンジ文庫)

ひっぱたけ! ~茨城県立利根南高校ソフトテニス部~ (集英社オレンジ文庫)

 

 部活漬けだったソフトテニスの強豪中学から、テニス部がない利根南高に進学した夏希と花綾。彼女たちが密かに存在する部員二人だけの女子ソフトテニス部と巡り合う青春小説。事情あってテニスを辞めた二人が、二人だけの部活を続けてきた先輩たちの想いを知り、新たなアプローチから再びテニスに向き合うようになってゆく物語で、よくあるテニスにガチで取り組むような展開ではなかったですが、人間関係の機微が丁寧に描かれていたり、ソフトテニス独特の制約も描かれていて意外と新鮮な気持ちで楽しめました。

38.バスケの神様 揉めない部活のはじめ方

バスケの神様 揉めない部活のはじめ方 (集英社オレンジ文庫)

バスケの神様 揉めない部活のはじめ方 (集英社オレンジ文庫)

 

中学のバスケ部で一生懸命だったがゆえに空回りし、孤立した苦い過去を持つ郁。バスケは続けないつもりで知り合いのいない高校に進学した彼が、中学時代の彼を知るバスケ部の部長に勧誘される物語。これまでなかった期待に戸惑いながらも、少しずつバスケ部に居場所を見出してゆく郁。因縁を抱えた以前の仲間との対戦があったり、バスケが大好きで熱血だと思っていた部長がバスケ部を立ち上げた理由が思わぬものだったりで、周囲を信じ切れずに心が揺れるものの、それを乗り越えて一丸となってゆく展開はベタながら清々しい青春小説だと思いました。

39.歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会

歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 (集英社オレンジ文庫)

歩のおそはや ふたりぼっちの将棋同好会 (集英社オレンジ文庫)

 

将棋を辞めて無気力な日々を送っていた元天才少女の歩が、将棋同好会を立ち上げたど素人の先輩・涼に感化され、将棋への情熱を取り戻していくガール・ミーツ・ガール。最初は真っ直ぐに自分のやりたいことに突き進もうとする涼に巻き込まれた形でしたが、将棋から離れると劣等感しかなかった歩にしてみれば、自分にとって大切なことを色々と思い出し、向き合うきっかけをくれた大きな出会いだったんですよね。登場人物たちのひたむきに将棋に取り組む姿勢がとても好ましくて、不器用なりに前に一歩踏み出そうと決意した歩の今後の頑張りに期待です。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。ほかのライト文芸レーベルも機会があったら紹介していきたいと思います。

真っ直ぐな想いが眩しい青春小説 角川スニーカー文庫16選

 先日かねてからやりたいと考えていた講談社ラノベ文庫企画を作りました。

思っていた以上に反応があったので、レーベル別企画第二弾として角川スニーカー文庫の青春小説を紹介したいと思います。近年はわりと過激な作品が刊行されていたりするスニーカー文庫ですが、一方で青春小説に関しても精力的に刊行を続けていて、そういう意味でも要注目のレーベルのひとつになっています。苦悩しながらも真っ直ぐな想いが描かれる作品も多く今後もこの路線に期待したいところです。今回はそんなスニーカー文庫で自分が読んだ作品の中から16作品を選びました。

 

1.6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

 

 人間関係に焦燥を募らせる優等生香衣。サッカー部のエースで香衣が気になる隆生。香衣に一目惚れした不良・龍輝。付かず離れずの距離で香衣の友人を演じるセリカ。それぞれの視点から綴られる出会いと別れの物語。中学時代一緒に勉強して同じ高校に合格したのに、いつの間にか距離ができてしまった香衣と隆生。その関係を起点に描かれてゆく読んでいる方がもどかしくなるような青春群像劇は、前作とはまたガラリと違う読みやすさと繊細さが感じられて、こういう作品も書けるのかとビックリしました。こういう王道の青春小説をまた読んでみたいです。

2.キミの忘れかたを教えて

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

 

 余命半年を宣告されて大学を中退し実家でニートと成り果てた松本修。昔からの悪友・トミさんの誘いで母校の中学校を訪れた修が、かつて突き放した因縁の幼馴染・桐山鞘音と再会する青春小説。人生に絶望して投げやりな日々を送る修の後悔と、シンガーソングライターとして不調に陥り戻ってきた鞘音の覚悟。トミさんを介して昔のような不器用な二人の交流が再開して、鞘音と最後の共演のために覚悟を決めて自らを追い込んでゆく修。その過程で取り戻してゆくお互いの大切な想いと、彼らの決意がもたらしたエピローグにはぐっと来るものがありました。

3.ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

 

 5年片想いした上司の後藤さんにバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道に路上で家出女子高生・沙優を発見し、なし崩し的に同居生活が始まる日常ラブコメディ。自分を大切にしないことを叱る吉田の優しさに戸惑う沙優と、彼女の存在が自分の中で少しずつ大きくなってゆくことを自覚する吉田。そんな何事にも真摯に向き合う彼の変化が気になる後藤さんと後輩の三島柚葉。周囲に振り回されてはいても根幹はブレない、相手を大切にしようとする吉田のありようが素敵で、何とも複雑な関係ですが今後の展開がとても楽しみなシリーズですね。現在二巻まで刊行。

4.かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月

 いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。

5.それでも異能兵器はラブコメがしたい

 「異能兵器」が趨勢を左右する世界。転校した初恋の女の子・市ヶ谷すずに再会した辰巳千樫が、引っ込み思案な夢見る彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆくラブコメディ。テロに襲われすずの圧倒的な力を知る一方、瀕死の重傷から助けてもらった代償に交換条件を突きつけられた千樫。それでも中国やロシアの驚異的な異能兵器相手だろうが、すずは彼にとって守りたい女の子で、どこまでも献身的な奔走の先にあった噛みしめるような幕切れはあまりにも切なかったです。でもこれで終わりじゃないですよね?諦めない千樫たちの物語を最後まで読みたいです。

6.スーパーカブ

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ (角川スニーカー文庫)

 

 

父親を亡くし母親が失踪、友達も趣味も何もない日々を送っていた山梨の高校に通う女子高生・小熊。そんな彼女が中古のスーパーカブに出会い、それをきっかけに世界が広がってゆく物語。奨学金で高校に通う慎ましい生活を送る子熊視点で淡々と綴られる、同じカブに乗る同級生の礼子と知り合ったり、カブを巡る様々な出来事に遭遇したり、これまで目を向けてこなかったものに気づいてゆく展開。著者さんの深いカブ愛を感じつつ、子熊らしい慎重なペースで、けれど確実に世界が広がっていてゆく様子がとてもいいですね。現在三巻まで刊行。

7.裏方キャラの青木くんがラブコメを制すまで。

 担当がついたもののなかなかデビューできない高校生作家の青木。そんな彼を恋愛マスターと勘違いした演劇部所属の憧れの綾瀬マイから、劇の脚本執筆を依頼される青春ラブコメディ。魅力的な彼女にどんどん惹かれてゆくのに、自信がなくて一歩を踏み出せずドツボにハマってゆくジレンマ。理解者の親友や彼女にお似合いのイケメン主人公キャラ、二人を振り回す女友達を配する王道な展開でしたけど、行き詰まっていた状況を打破する疾走感には勢いがあって、なのに何となく締まらない残念な結末に主人公らしさを感じてしまうなかなか面白い一冊でした。

 

8.青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる

ぼっちで昼休みに勉強ばかりしているガリ勉の一条純が、いかにもギャル風で噂も多い橘かれんに勉強を教えてほしいと請われ、そこからいろいろ変わってゆく青春ラブコメディ。ぐいぐい来るかれんに何で自分がと思ううちに教室でも話しかけられるようになって、クラスでの立ち位置も変わってゆく一条。最初は戸惑いながらもちゃんと向き合うようになってゆく彼は面倒見のいいやつで、見た目があれなかれんもまた真っすぐで応援したくなる二人ですね。かれんを意識するようになってツンデレ気味だった一条が陥落する日も近い?ということで続刊に期待。

9.毒舌少女のために帰宅部辞めました

毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)

毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)

 

 帰宅部生活を謳歌していた高校生・榊木彗が、美人教師の赤草先生から問題児・日羽アリナの毒舌を更生しろと命じられて放課後一緒に過ごす日々が始まる青春小説。毒舌で周囲を寄せ付けないアリナとそれをさらっと受け流す彗が、放課後に二人で一緒に彼女のコミュ力向上のため部活動や生徒会を手伝う日々。第一印象は最悪だった二人のやりとりが少しずつ変わってゆく中、アリナが密かに抱えている事情が明らかになる転機もあったりで、まだまだこれからな彼らの距離感がこれからどう変わってゆくのか、これは続巻に期待したくなる新シリーズですね。

10.たま高社交ダンス部へようこそ

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

たま高社交ダンス部へようこそ (角川スニーカー文庫)

 

何をやっても三日坊主だった雪也がうっかり入部した社交ダンス部で、部の存続を賭けて競技大会に出場することになる物語。最初は望んで入ったわけでもなく、何事にも腰が引け気味の雪也でしたが、社交ダンスの楽しさを知ったり、部活の居心地の良さを感じたりするうちに、真摯に取り組む璃子や、部長の想いに応えようと前向きに取り組もうと決意し、パートナーになった璃子と心を通わせていく王道なストーリーがとても良かったです。とてもいい終わり方でしたが、まだまだ面白い話を続けられそうなポテンシャルはあるので、密かに個人的に続刊を期待している作品。

11.さよなら、サイキック

 最後の魔女という宿命を背負う少女・星降ロンドの運命を変えた、重力を操る能力を持つ以外は平凡な高校生・獅堂ログとの出会い。彼らにクラス一の美少女・木佐谷樹軍乃と関わりだしたことでさらに大きく動いてゆく物語。ログを振り回す軍乃が抱える秘密とその真意、闘病を乗り越えてこれから人生を満喫したいと願うロンド、彼女を支えるログが直面するロンドを取り巻く宿命との契約。何とも複雑なバランスの上に成り立っている三人の関係と、最後に軍乃から明かされたその想いと事実がどのように物語に影響してゆくのかが楽しみなシリーズです。全二巻。

12.俺の教室にハルヒはいない 

俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)

俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)

 

学園モノアレルギーな高校生の主人公ユウが、最近は疎遠だった声優を真剣に目指す幼馴染のカスガと再び話すようになったり、ふとしたきっかけで知り合ったアニメ脚本家マコトさんに、オタクな知り合いを紹介してもらったり、そんな日常からのちょっとした変化を描いていくお話ですね。アイドル声優アスカともマコトさんの紹介で出会うわけなんですが、淡々としたユウは、普通の女の子の部分もある、不器用な彼女ともお友達になりました。そんな何気ない積み重ねが、ひとつの話になっていく、この感じがとてもいいと思いました。全四巻。

13.されど僕らの幕は上がる。

されど僕らの幕は上がる。Scene.1 (角川スニーカー文庫)

されど僕らの幕は上がる。Scene.1 (角川スニーカー文庫)

 

 14.好きって言えない彼女じゃダメですか?

 妹・映のラノベを理解したいという相談を受けて、文芸部に所属する兄の荒巻天太がちょっと変わった彼女・帆影歩たちと一緒にラノベを考えてゆくラブコメディ。なんだか二人の恋人らしくない雰囲気に本当に付き合っているのか疑問に思うブラコン気味の映と、ラノベの話をしているはずなのになぜか斜め上の生物学的小ネタをぶっこんでくる不思議少女・歩。噛み合っていなくても自分なりに頑張ろうとする歩はどこか可愛くて、そんな真意が見えてこなかった彼女がエピローグで淡々と語った天太への想いにはついニヤニヤしてしまいました。続巻に期待。

15.如月さんカミングアウト

如月さんカミングアウト (角川スニーカー文庫)

如月さんカミングアウト (角川スニーカー文庫)

 

 「絶対零度の女帝」として君臨する生徒会長・如月キサキ。偶然彼女が隠れオタクだったことを知った日向和也が副会長として生徒会に引き込まれ、秘密のオタ友として一緒にオタク生活を満喫する青春小説。厳しい家の事情で放課後をオタクライフに費やす意外と積極的なキサキとの楽しい日々。訳あって集まった曲者揃いな生徒会メンバーの思惑は、なぜか(?)ことごとくキサキとの甘いハプニングに繋がっていて、つまるところ何もかもがキサキと和也のラブコメへ集約されてゆく展開にあまり意外性はなかったですが、これはこれで楽しめた一冊でした。

16.君と四度目の学園祭

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

 

学園祭が間近に迫る高2の秋。連日大事故に繋がりかねないトラブルに見舞われ続けながら、なぜか幼馴染の少女・久遠に助けられていた結羽太。そんな折り久遠が学園祭で誰かに告白するという噂を聞く青春小説。そばにいるのが当たり前な久遠の想い人に気づけない結羽太。彼を死から救うためにやり直し続けてきた久遠に突きつけられる絶望。序盤展開の分かりづらさはやや気になりましたが、最後まで諦めない久遠の過去を知り、結羽太が失われかけていたものを取り戻しに行く展開は、報われないことも多い幼馴染ものとしてぐっと来るものがありました。

 

以上です。気になる作品があったら是非読んでみて下さい。他のレーベルについても構想はあるので、状況を見ながら更新考えていきたいと思います。

2018年10月に読んだ新作おすすめ本

10月に読んだ新作おすすめ本です。先ほどのエントリーに続刊シリーズ中心とか書いていましたが、新作もわりと読んでましたね(あれ)ラノベ以外はわりと周回遅れな感でどんどん積み上がっているのが自分の首を締めている感もありますが、これだというものを厳選しているつもりなので頑張って読むしかないですね(苦笑)

 

今月の注目としては、これからの展開に期待できそうなスニーカー文庫「毒舌少女のために帰宅部辞めました」、単行本サイズの「女衒屋グエン」「遊牧少女を花嫁に」、阿部暁子さんの「どこよりも遠い場所にいる君へ」の姉妹作品「また君と出会う未来のために」、メディアワークス文庫「アオハル・ポイント」、瀬川コウさんの新シリーズ「君と放課後リスタート」単行本から「青少年のための小説入門」と「永遠についての証明」あたりですかね。気になる本があったら是非読んでみて下さい。

毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)

毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)

 

 帰宅部生活を謳歌していた高校生・榊木彗が、美人教師の赤草先生から問題児・日羽アリナの毒舌を更生しろと命じられて放課後一緒に過ごす日々が始まる青春小説。毒舌で周囲を寄せ付けないアリナとそれをさらっと受け流す彗が、放課後に二人で一緒に彼女のコミュ力向上のため部活動や生徒会を手伝う日々。第一印象は最悪だった二人のやりとりが少しずつ変わってゆく中、アリナが密かに抱えている事情が明らかになる転機もあったりで、まだまだこれからな彼らの距離感がこれからどう変わってゆくのか、これは続巻に期待したくなる新シリーズですね。

 辺境の貧乏領地を治める若き領主アルトが偶然召還した刻の精霊クロノ。彼女と半強制的に契約を結び未来を書きかえることのできる歴史書を手に入れたアルトが、楽に暮らしたいという夢を叶えるため動き出す歴史ファンタジー。歴史書には書いても実現不可能なことは消えてしまう制約がある中、思いとは裏腹に様々な試行錯誤が必要な状況で着実な手を打てる才幹がアルトにあって、緊張感のある展開に幼馴染エレナや王女といったヒロインを絡めてゆくストーリーは面白かったです。ここからどこまで盛り上げていけるか今後に期待大の新シリーズですね。

どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)

どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)

 

 コンクールで前代未聞の失敗を犯してしまい、失意の底で意識を失い異世界で目覚めた遊佐響也。そんな響也を助けたトランペットの演奏者の少女フィリーネのために、竜楽師試験に合格するために手助けをする異世界音楽ファンタジー。18世紀の神聖ローマ帝国っぽい、でもいろいろ細かいところが違う異世界。教会の妨害を受けながらも、才能に溢れるフィリーネとの出会いでお互い刺激し合い、支えてくれる少女たちもいたりで危機を乗り越え、自分らしさを取り戻してゆく展開はなかなか良かったですね。著者さんらしさ溢れる作品で続刊にも期待ですね。

俺はアリスを救わないことに決めた (講談社ラノベ文庫)

俺はアリスを救わないことに決めた (講談社ラノベ文庫)

 

 かつて孤独の淵で悪魔的魅力を持つ少女・有栖に救われ、遊び飽きたおもちゃのように捨てられた立川誠が、忘れられない彼女への複雑な想いに壊れてゆく物語。奔放で誠をいいように振り回し一方的に主導権を握る有栖との関係。彼女を憎み復讐を誓う一方で手に入らない彼女を渇望して壊れてゆく誠、そんな彼が出会った良くも悪くも正直で誠を諦めない少女・りる。どちらのヒロインもベクトルが違うだけで振り回されそうな予感しかしませんが、基本的にその三角関係が軸になりそうな展開の中、抗いがたい有栖との関係にどう決着をつけるのか続巻に期待。

理想の彼女と不健全なつきあい方 (ファミ通文庫)

理想の彼女と不健全なつきあい方 (ファミ通文庫)

 

 大学一年の春、幼馴染の春菜に誘われ郷土史研究会のコンパに参加した陸生。そこで出会った海音寺美優がネットで話題のコスプレイヤー「μ」であることに気付き、二人で秘密の契約を結ぶラブコメディ。趣味をひた隠す美優のためにサークル旅行中のイベント参加を陰ながらサポートしたり、活動に反対する彼女の姉を説得するべく奔走する中で育まれてゆく二人の信頼関係がいいですね。そんな二人の距離感にやきもきする春菜を絡めたラブコメ模様はメインではなかったのか、これからなのか気になるところですが、この続きをまた読みたいと思いました。 

女衒屋グエン (星海社FICTIONS)

女衒屋グエン (星海社FICTIONS)

 

 とある花街のとある一角。妓館『太白楼』を舞台に春をひさいで生きている妓女たちそれぞれの人生と、都から届いた一通の文が妓館の運命を揺るがしていく物語。ワケありの冴えない女買いの男・虞淵と下働きの醜い少女・翡を物語の軸に据えて、旦那に売られた女や、兄が科挙を受ける学費のために売られた少女たちのこれまでの人生と葛藤が描かれていて、たくましく生きてきた矜持を失わない彼女たちのありようと、これまでの流れを踏まえて虞淵と複雑な過去に繋がってゆく最後の展開にはぐっと来るものがありますね。一琳のその後の話も印象的でした。

遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)

遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)

 

 借金代わりに叔父に売られそうになっていた羊飼いの少女・アユを救った調停者一族ユルドゥスの青年・リュザール。ワケありな彼女を見かねて一族の遊牧地に連れ帰って始まる二人の新婚物語。故郷で虐げられ何もかも失い希望を見出せなかったアユと、周囲の勘違いをきっかけに彼女を意識するようになってゆくリュザール。風習の違う環境で気遣ってくれる彼や家族に彼女も美味しい料理を振る舞って、お互い少しずつ絆を育んで想いを積み重ね大切な存在へと変わってゆく展開がとてもいいですね。二人がこれからどんな夫婦になってゆくのか続巻にも期待。

 

また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)

 

 小学校三年生の頃、遠い未来に時間を超えたことがある仙台の大学生・支倉爽太。未来で出会った年上の五鈴を忘れられずアルバイトに明け暮れる爽太が、過去から来た人にあったことがあるという八宮和希と出会うもうひとつの物語。前作から数年後の世界で、忘れられない人との再会を渇望する爽太と和希の出会いあって、彼と向かった采岐島で再会した面々が懐かしくて。ふとしたきっかけからたどり着いた意外な真実に、それでも覚悟を決めて向き合う爽太のひたむきな想いには心打たれるものがあって、諦めなかった彼らの今後を応援したくなりました。 

アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)

アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)

 

 頭を殴られてその人を評価するポイントが頭上に見えるようになってしまった高校生・青木。それをひた隠して無難に生きてきた彼が、クラスで浮いている少女・春日と出会って変わってゆく青春小説。憧れの成瀬との関係に自信を持てずにいる一方で、好きな人と釣り合う存在になるべく変わってゆく春日に対する認識が少しずつ確実に変わってゆく青木。不安で空回りしてしまう彼らの行動は痛々しくて、それでも理不尽な目に遭う大切な人のために一生懸命で、遠回りしながらも素直に向き合えるようになった等身大な彼らのありようはとても心に響きました。

前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)

前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)

 

大学三年生になった自分の前に突然現れた、高校生のときに交通事故で死んだはずの片思いの少女・皇カノン。やり残したことがあるという彼女とともに過ごす数日の同棲生活を描く青春小説。ようやく死を受け入れたばかりのタイミングで現れた片思いだった彼女と再会し、共に過ごすうちに変わってゆく心境。藤二とカノンの二人に宏が加わって、三人で一緒に過ごすようになった高校時代、少しずつ変わっていったその関係。甘酸っぱくほろ苦い彼らの繊細な三角関係が巧みな構図で描かれていて、彼女の想いが未来へと繋げてゆくほんのり切ない物語でした。

威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)

 

 その出自から瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛。皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われ命を失った彼女が、謀反を起こして虐げられる原因となった皇帝の愛妾・柳雪媛として目覚める中華幻想復讐譚。未来を変えるため柳雪媛として過去をやり直すことになった玉瑛と、その護衛役に任命された生真面目な若き武人・王青嘉の因縁の出会い。お互いの真意を知らずに反発し合っていたはずの二人がいつの間にか奇妙な縁で紡がれていって、二人だけにしか分からない何とも複雑な感情を育んでゆくこの主従の絆に期待したい新シリーズですね。

京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)

 

東京のめまぐるしい生活に馴染めず祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越してきた女子高生のひろ。幼馴染で造り酒屋の息子・拓己にも再会した彼女に不思議な声が届くあやかし物語。拓己や以前彼女と約束を交わした白蛇「シロ」に見守られながら、少しずつ新しい生活に馴染んでゆくひろ。「水神の加護」「小野小町の恋」「桃亭の恋模様」「雷神の子」と様々なあやかし絡みの事件に関わってゆく展開に、それにひろと拓己の繊細な距離感だったり、ひろを気にかけるシロの存在もいい感じに絡んでいて、続刊あるようなら是非また読んでみたいですね。

とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)

とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)

 

青木祐子「レンタルフレンド」、阿部暁子「たぬきとキツネと恋のたい焼き」、久賀理世「明日のおもひでフレンチトースト」、小湊悠貴「悪友と誓いのアラモード」、椹野道流「おじさんと俺」とおやつをテーマに5人の著者が綴る短編集。いずれも最近の著作は追いかけている作家さんたちですが、読んでみるとそれぞれの著者さんらしさがあって、でも久賀理世さんの現代ものは読んだのもしかして初めてでしたかね?父がいきなり脱サラしてたいやき屋を始めてしまった娘の悲哀と出会いを描いた「たぬきとキツネと恋のたい焼き」が個人的には好きでした。

農村ガール! (メディアワークス文庫)

農村ガール! (メディアワークス文庫)

 

営業として月見食品に就職した華の勤務先は秋田の山奥にある営業所。赴任初日に熊に襲われた華が偶然職場の上司に救われ、仕事では思ってもみなかった獣害駆除を任されるお仕事小説。農村ガールというより契約農家のお仕事もお手伝いしつつ害獣駆除をお仕事とする展開はちょっと新鮮でしたけど、実際に猟銃を撃つとなると実際に従事するまでの手続きはいろいろ煩雑なんですね。最悪の出会いから始まった上司との関係の変化や、体育会系思考の都会人・華が手痛い失敗をしながらもそれを乗り越えて成長してゆく姿が描かれていてなかなか良かったです。

猫と狸と恋する歌舞伎町(新潮文庫)

猫と狸と恋する歌舞伎町(新潮文庫)

 

男子大学生のふりをして気ままに生きるオスの三毛猫・谷中千歳は恋に落ちた。ドーナツ屋さんの女の子・愛宕椿に正体を明かせず悩む千歳が、実は彼女が歌舞伎町の任侠団体の組長の娘であることを知る青春小説。娘と別れさせた組長に衝撃的な事実を知らされて、嫌々ながらも仕事の依頼を引き受けた千歳が直面する何とも世知辛い現実。けれど複雑な思いを抱く千歳とは対照的に、椿は思っていたよりもずっと自分の幸せを追求することに貪欲でしたたかで、巻き込まれたけれどこれはこれで悪くないのかな?と思わなくもない結末に少し救われました(苦笑)

鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)

鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)

 

本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの「秘密」を解き明かす競作アンソロジー似鳥鶏、友井羊、彩瀬まる、芦沢央、島田荘司が同じお題で特色あるミステリを展開してゆく連作短編集で、ミステリ研に提示された密室盗難、大叔母が遺した密室の謎、突然別れを告げた春の正体、薄着の女の密室トリック、サンタクロースの密室トリックと、著者さんたちの遊び心が感じられたり、解明された過去の思い出や真摯な想いにぐっと来たりする作品ばかりで十分に楽しむことができました。

 

 

君と放課後リスタート (文春文庫)

君と放課後リスタート (文春文庫)

 

とある高校の「理想の三組」と呼ばれたクラスで、全員突然記憶喪失となる事態が発生。そんな状態で発生する謎に叉桜澄と九瀬永一の学級委員コンビが挑み解き明かしてゆく学園ミステリ。完全にリセットされた状態からスマホに残された情報などをもとに再構築されていく人間関係の機微があって、空気が読めない真っ直ぐな叉桜と彼女を危ういと感じつつも目が離せない九瀬の背景もまた複雑で、様々な人間模様を目の当たりにしてゆく二人の関係がどう変わってゆくか、そして未だ記憶喪失の原因も判明していなかったりで続刊が楽しみな新シリーズですね。

プリンセス刑事 (文春文庫)

プリンセス刑事 (文春文庫)

 

女王が国を統べる日本というパラレルワールドを舞台に、王位継承権を持つキャリアとして着任した王女・日奈子が新人刑事とコンビを組んで「ヴァンパイア」の連続殺人事件に挑む警察小説。最初は一般人としての感覚や刑事としての経験に乏しい日奈子とコンビを組むことになって振り回されていた所轄の若手刑事・直斗が、彼女の事件解決に対する強い意志に感化されて協力するようになってゆく展開で、日奈子の強い信念と彼女を応援する多くの人に支えられながらの事件解決でしたけど、このコンビが活躍する物語の続きをまた読んでみたいと思いました。

王とサーカス (創元推理文庫)

王とサーカス (創元推理文庫)

 

新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智が、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれて事前調査のためネパールに向かい、そこで国王をはじめとする王族殺害事件が勃発し巻き込まれてゆく物語。今回は取材先のネパールで非常事態に巻き込まれる状況で、混乱のさなかで関係者の死体に直面する万智。わりとスケールの大きな話になるのかと思ったら、同時期に起きた死を取り上げるか否か、というジャーナリズムの本質を迷える彼女自身が問われる展開で、ほろ苦い真実に対して自分なりに真摯に向き合おうとする彼女らしい決断がとても印象に残った結末でした。 

僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)

僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)

 

交通事故で一日ごとに記憶がリセットされ、新しいことを覚えられないという症状を抱えている小説家の岸本アキラ。そんな状況で不安と戦い葛藤しながら小説を書き進めるアキラの物語。毎朝自分が書いた引き継ぎを読みながら、試行錯誤して小説を書き続けるアキラとカフェで働く翼との出会い。サッパリした彼女とのやりとりが刺激になり書き上げていく小説に込められていった思い。まさかの急展開にはもどかしくなりましたけど、それでも諦めなかったアキラの挑戦と、失われていた間の出来事が次第に明らかになってゆく結末はとても良かったですね。

君の思い出が消えたとしても (宝島社文庫)

君の思い出が消えたとしても (宝島社文庫)

 

理解されづらい持病を抱え、仕事もうまく行かず自暴自棄になりかけていた遠藤が出会う思い出コーディネーターの月尾。彼女と過ごす一ヶ月間が描かれる物語。月尾から指摘されるあと一ヶ月の寿命と、思い出を寿命に変えられるという話。そんな遠藤が彼女と共に過去の思い出の悔いを解消していったり、楽しい日々を過ごしていゆくなかでの心境の変化。だからこそ分かりやすい存在に思わせて、意外と謎めいた部分も多い彼女の正体や、抱える秘密が焦点になってゆく展開でしたが、思わぬ真実にもあくまで可能性を信じた二人が迎えた結末は印象的でした。

三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

 

 原因不明のトラウマによって他者を否定できない大学生・関口藍が、ゼミの担当教授に前世の記憶を持つ中学一年生の伊藤杏寿を紹介され、彼女の記憶を巡る謎を追うミステリ。前世・前々世の記憶を持つ杏寿が、教授の紹介で藍と前世の木綿子の生家を訪れて直面した当主・昌一の毒殺事件。運命に導かれるように出会った彼らが疑問を解消しつつ真相に迫る展開は、昔殺された木綿子の事件の真相も追う関係上消去法寄りのアプローチになりましたが、意外な急展開によって過去から解き放たれて、事件を解き明かしてゆく杏寿らの推理はなかなか良かったです。

外資のオキテ (角川文庫)

外資のオキテ (角川文庫)

 

英語を使う仕事に憧れて一念発起して会社を辞め、語学留学を決行した貴美子。帰国後直面する現実と、悪戦苦闘の転職活動の末に何とか決まった米系企業で外資での一歩を歩み始めるリアルお仕事成長物語。帰国してみれば外資系企業では語学留学は留学と認められない現実。キャリアアップを目指し派遣社員として外資系企業で働き始めた貴美子が経験してゆく様々な仕事には充実感も翻弄されることもあって、外資系に対する周囲のイメージとのギャップもあったりで、外資系企業の勤務が長い著者の経験を活かしたリアルな描写がとても印象的な一冊でした。

真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)

真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)

 

 亡き父と同じ大工になった環奈がようやく就職した半間建築社。けれど建物に関する謎ばかりが持ち込まれ、建築士の半間とともに建物にまつわる謎を解き明かす建築ミステリ。謎の増改築を繰り返す老婦人、巨人の幽霊が出る旅館、古い公衆トイレを彼氏と言い張る女子高生、恩師の新居に込められた想いなど、欠陥案件というより建物絡みの謎といった印象で、最後で明らかになってゆく環奈父の過去と建築社設立の経緯を知って怠惰なだけに見えていた半間の印象は少し変わったものの、普段のぐうたら生活自体はこれからもあまり変わらなそうですね(苦笑)

ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)

ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)

 

セミプロの舞台役者だった神坂隆一が、姉・京子の紹介で来る人の望みを叶える魔法のような店『ビストロ三軒亭』でギャルソンとして働くことになるグルメミステリ。奇妙な客の荷物と残した料理の謎、仲違いを解決した七面鳥の栗詰め、チーズたっぷりな試食会にやってきた三人の大食い魔女の事情、シェフが作れないキッシュに隠された秘密。若きオーナーシェフ・伊勢が作る料理はとても美味しそうで、隆一をサポートしながら悩めるお客様に真摯に寄り添う個性豊かな先輩ギャルソンたちがいて、隆一の成長も最後の話のその後もまた読んでみたいですね。

マイ・フーリッシュ・ハート (河出文庫)
 

 パワハラ&激務のせいで仕事中に倒れた広告代理店で働く25歳の井川優子。超変わり者の精神科医・小畑に振り回されたりと散々な彼女が、日本人初のメジャーリーガー・マッシー村上を巡る摩訶不思議なエピソードと出会う物語。周囲からこれでいいのかという状況を押し付けられるストレスに苦しめられていた優子。人生のどん底と思えるような最悪の状況から、マッシー村上のエピソードを知るうちにその心境も変わっていって、前向きに一歩を踏み出してゆく展開はなかなか良かったですね。巻末の村上雅則氏のインタビューもなかなか興味深かったです。

マダラ: 死を呼ぶ悪魔のアプリ (集英社文庫)

マダラ: 死を呼ぶ悪魔のアプリ (集英社文庫)

 

三人の大学生が互いに殺し合う不可解な事件から始まり、世界中に急速に拡散してゆく不可解な殺人事件や自殺の数々。その原因となった殺人アプリ「マダラ」が作られた経緯と、それを追う人々のことを綴る近未来サスペンス。人を殺さずにはいられなくなるアプリを開いてしまった人たちが引き起こす凄惨な事件と、アプリの存在に気付き対策を講じようとする人たちの奮闘と悲劇が描かれる物語でしたが、そう簡単には止められないアプリによって世界がすっかり変容しても、少しずつでも希望を見いだせる可能性を提示した結末には救われる思いがしました。

 

青少年のための小説入門 (単行本)

青少年のための小説入門 (単行本)

 

中学2年だった一真が万引きを強要された現場でヤンキーの登と出会い、幼い頃から自由に読み書きができなかった彼と共に小説家を目指す青春小説。文字を読むのには苦労する登が一真に小説の朗読をしてもらって、彼が頭の中に湧き出すストーリーを一真が小説にする日々。そして一真が出会った少女・かすみとのほのかな恋。二人で多くの印象的な作品を読みながらコンビで小説家を目指すべく試行錯誤を続ける二人が、作家になってから少しずつ歯車が狂ってゆく展開はもどかしくて、けれどそんな彼らのままならない青春にはぐっと来るものがありました。

永遠についての証明

永遠についての証明

 

 特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた瞭司と熊沢、そして佐那。眩いばかりの数学的才能で周囲の人生を変えていった瞭司の運命の出会いと失意、彼の遺した研究ノートから熊沢がその想いに再び向き合う物語。仲間と得た成果に希望を見出す瞭司と、突出した成果がそれぞれが別の道を選ぶきっかけとなってしまう皮肉。瞭司と仲間たちのすれ違いは残念でしたが、彼が遺した研究ノートに見出した可能性が、形は変わっても失われていなかったそれぞれの想いを再び繋げていって、それが新たな希望を紡いでゆく展開にはぐっと来るものがありました。

友情だねって感動してよ

友情だねって感動してよ

 

 願いを叶えてくれる青木神社を軸に据えて三人の男女が紡ぐ崩壊と再生の軌跡を描く6つの連作短編集。三人の幼馴染の複雑な距離感、幼馴染の女の子が同級生をいじめる理由、巫女のバイトをする女子高生と友人を巡る三角関係、彼の言いなりだった彼女が惹かれた男、留年大学生と別れた彼女への思い、彼女と付き合い始めた彼が気になる同級生と、三角関係の優越感と卑屈な思いが入り交じる不安定な距離感が描かれていて、大切な存在を失いたくないという想いが生々しくて、切なくほろ苦いけれどそれだけでは終わらない読後感はなかなか良かったですね。

ペットシッターちいさなあしあと

ペットシッターちいさなあしあと

 

ペットの死の瞬間を正確に予知し、最期を看取る不思議なペットシッター「ちいさなあしあと」。岩手県盛岡市にあるこの特異な会社の社長・陽太の視点で描かれる「みとりし」のもうひとつの物語。動物の言葉が分かる薫と同様に、同じ事故に遭遇してにおいで生き物の死期が分かるようになってしまった陽太の難儀な人生。それはもう淡々としてしまうのも無理はないなと思いましたけど、そんな彼が天職を見出して、そこで薫と再会できたことでお互い救われる部分もいろいろあったんだろうなと感じられて、二人のその後がまた読んでみたいと思いました。 

 

2018年10月に読んだ本 #読書メーターより

 

10月はわりとコンスタントに読めて、コミックを除いても66冊とまずまずの冊数を読めましたが、それでもなぜか終わってみれば積読が増えていたとかいう謎の事態に頭を抱えています。新刊ない時期に積読消化しないとますます積み上がりそうです(いやほんと笑い事じゃないですね)

 

続巻を待っていたHJ文庫「常敗将軍、また敗れる」、ガガガ文庫「ピンポンラバー」、角川ホラー文庫の「ホーンテッド・キャンパス」など、どちらかというと追いかけている続巻が中心でしたが、今月もぐっとくる本が多くてなかなか充実していました。新作オススメはまた別途おすすめで紹介します。

 

10月の読書メーター
読んだ本の数:97
読んだページ数:25606
ナイス数:5342

女衒屋グエン (星海社FICTIONS)女衒屋グエン (星海社FICTIONS)感想
とある花街のとある一角。妓館『太白楼』を舞台に春をひさいで生きている妓女たちそれぞれの人生と、都から届いた一通の文が妓館の運命を揺るがしていく物語。ワケありの冴えない女買いの男・虞淵と下働きの醜い少女・翡を物語の軸に据えて、旦那に売られた女や、兄が科挙を受ける学費のために売られた少女たちのこれまでの人生と葛藤が描かれていて、たくましく生きてきた矜持を失わない彼女たちのありようと、これまでの流れを踏まえて虞淵と複雑な過去に繋がってゆく最後の展開にはぐっと来るものがありますね。一琳のその後の話も印象的でした。
読了日:10月31日 著者:日向 夏
毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)毒舌少女のために帰宅部辞めました (角川スニーカー文庫)感想
帰宅部生活を謳歌していた高校生・榊木彗が、美人教師の赤草先生から問題児・日羽アリナの毒舌を更生しろと命じられて放課後一緒に過ごす日々が始まる青春小説。毒舌で周囲を寄せ付けないアリナとそれをさらっと受け流す彗が、放課後に二人で一緒に彼女のコミュ力向上のため部活動や生徒会を手伝う日々。第一印象は最悪だった二人のやりとりが少しずつ変わってゆく中、アリナが密かに抱えている事情が明らかになる転機もあったりで、まだまだこれからな彼らの距離感がこれからどう変わってゆくのか、これは続巻に期待したくなる新シリーズですね。 
読了日:10月31日 著者:水埜 アテルイ
猫と狸と恋する歌舞伎町 (新潮文庫nex)猫と狸と恋する歌舞伎町 (新潮文庫nex)感想
男子大学生のふりをして気ままに生きるオスの三毛猫・谷中千歳は恋に落ちた。ドーナツ屋さんの女の子・愛宕椿に正体を明かせず悩む千歳が、実は彼女が歌舞伎町の任侠団体の組長の娘であることを知る青春小説。娘と別れさせた組長に衝撃的な事実を知らされて、嫌々ながらも仕事の依頼を引き受けた千歳が直面する何とも世知辛い現実。けれど複雑な思いを抱く千歳とは対照的に、椿は思っていたよりもずっと自分の幸せを追求することに貪欲でしたたかで、巻き込まれたけれどこれはこれで悪くないのかな?と思わなくもない結末に少し救われました(苦笑)
読了日:10月31日 著者:額賀 澪
常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)感想
決して勝てなかった異母姉・リィスと再会したティナ。彼女やシャルナ、アイザッシュを付き従えて旅する常敗将軍ダーカスが、サウロン砦を巡るアイゼル王国の内紛に巻き込まれてゆく第二弾。未だ大きいリィスとの実力差に焦燥を募らせてゆくティナと、要衝サウロン砦防衛の傭兵として雇われたダーカスたち。今回はティナの因縁との決着もポイントでしたけど、思わぬ形で暗転するギリギリな状況の連続でも、最後まで諦めず最善を模索し続けるダーカスの戦いぶりには今回もぐっと来るものがあって、今度はどんな戦いが待っているのか次巻も楽しみです。
読了日:10月30日 著者:北条新九郎
ナイツ&マジック 9 (ヒーロー文庫)ナイツ&マジック 9 (ヒーロー文庫)感想
ボキューズ大森海での騒乱を終え、巨人族と共に王都に帰還した銀鳳騎士団。巨人族や第一次森伐遠征軍の末裔の存在によって王国も新たな時代へ踏み出してゆく第九弾。行方不明になったと思ったら、とんでもないものを持ち帰ってくるあたりエルのお騒がせっぷりは相変わらずですが、銀鳳騎士団が新体制に移行するのはなるべくしてなったというか、それにしてもあのエルがついに結婚しちゃいましたか。音沙汰なかったクシェペルカ組も新たな展開に向けていろいろ巻き込まれていたりで、これにエルが絡んだらまたひと騒動必至ですね(苦笑)続巻に期待。
読了日:10月30日 著者:天酒之瓢
レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)感想
個性豊かな新一年生を加えインターハイ出場を目指して新戦術を浸透させていく舞原世怜奈。高校三年生になった高槻優雅は一時的にコーチの任から外れ、二年振りの公式戦復活を目指す第四弾。ここから年度も変わって新章開始で、三年生が抜けて個性の強い一年生たちが加わって、チームのバランスや課題もだいぶ変わった波乱含みのスタートでしたけど、さらに大会直前で思わぬ試練が発生するのがレッドスワンですよね。実質ワンタッチで強烈なインパクトを残して美味しいところを持っていく優雅は、本人に自覚がないからタチが悪い(苦笑)続巻も期待。
読了日:10月29日 著者:綾崎 隼
農村ガール! (メディアワークス文庫)農村ガール! (メディアワークス文庫)感想
営業として月見食品に就職した華の勤務先は秋田の山奥にある営業所。赴任初日に熊に襲われた華が偶然職場の上司に救われ、仕事では思ってもみなかった獣害駆除を任されるお仕事小説。農村ガールというより契約農家のお仕事もお手伝いしつつ害獣駆除をお仕事とする展開はちょっと新鮮でしたけど、実際に猟銃を撃つとなると実際に従事するまでの手続きはいろいろ煩雑なんですね。最悪の出会いから始まった上司との関係の変化や、体育会系思考の都会人・華が手痛い失敗をしながらもそれを乗り越えて成長してゆく姿が描かれていてなかなか良かったです。
読了日:10月29日 著者:上野 遊
契約結婚ってありですか2 結婚式は誰のもの? (富士見L文庫)契約結婚ってありですか2 結婚式は誰のもの? (富士見L文庫)感想
真面目で誠実な玲司に徐々に惹かれつつあった咲が契約結婚をして早数か月。そんな二人に玲司の義父が早急に結婚式をするよう勧めてくる第二弾。今度は玲司サイドの物語ということで、お互い少しずつ惹かれてゆく二人が直面した、一方的に意に染まない盛大な披露宴を勧めてくる玲司の義父の存在。これまでの長年の経緯もあってさらにこじれてもおかしくなかった父子関係でしたが、咲の前向きな姿勢がいい感じに作用して義両親との関係も二人の関係もだいぶ前進しましたね。いい感じにまとまった結婚式でしたけど続編あるならまた読んでみたいですね。
読了日:10月28日 著者:紅原 香
プリンセス刑事 (文春文庫)プリンセス刑事 (文春文庫)感想
女王が国を統べる日本というパラレルワールドを舞台に、王位継承権を持つキャリアとして着任した王女・日奈子が新人刑事とコンビを組んで「ヴァンパイア」の連続殺人事件に挑む警察小説。最初は一般人としての感覚や刑事としての経験に乏しい日奈子とコンビを組むことになって振り回されていた所轄の若手刑事・直斗が、彼女の事件解決に対する強い意志に感化されて協力するようになってゆく展開で、日奈子の強い信念と彼女を応援する多くの人に支えられながらの事件解決でしたけど、このコンビが活躍する物語の続きをまた読んでみたいと思いました。
読了日:10月28日 著者:喜多 喜久
真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)真実は間取り図の中に 半間建築社の欠陥ファイル (角川文庫)感想
亡き父と同じ大工になった環奈がようやく就職した半間建築社。けれど建物に関する謎ばかりが持ち込まれ、建築士の半間とともに建物にまつわる謎を解き明かす建築ミステリ。謎の増改築を繰り返す老婦人、巨人の幽霊が出る旅館、古い公衆トイレを彼氏と言い張る女子高生、恩師の新居に込められた想いなど、欠陥案件というより建物絡みの謎といった印象で、最後で明らかになってゆく環奈父の過去と建築社設立の経緯を知って怠惰なだけに見えていた半間の印象は少し変わったものの、普段のぐうたら生活自体はこれからもあまり変わらなそうですね(苦笑)
読了日:10月27日 著者:皆藤 黒助
遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)遊牧少女を花嫁に (PASH! ブックス)感想
借金代わりに叔父に売られそうになっていた羊飼いの少女・アユを救った調停者一族ユルドゥスの青年・リュザール。ワケありな彼女を見かねて一族の遊牧地に連れ帰って始まる二人の新婚物語。故郷で虐げられ何もかも失い希望を見出せなかったアユと、周囲の勘違いをきっかけに彼女を意識するようになってゆくリュザール。風習の違う環境で気遣ってくれる彼や家族に彼女も美味しい料理を振る舞って、お互い少しずつ絆を育んで想いを積み重ね大切な存在へと変わってゆく展開がとてもいいですね。二人がこれからどんな夫婦になってゆくのか続巻にも期待。
読了日:10月26日 著者:江本 マシメサ
理想の彼女と不健全なつきあい方 (ファミ通文庫)理想の彼女と不健全なつきあい方 (ファミ通文庫)感想
大学一年の春、幼馴染の春菜に誘われ郷土史研究会のコンパに参加した陸生。そこで出会った海音寺美優がネットで話題のコスプレイヤー「μ」であることに気付き、二人で秘密の契約を結ぶラブコメディ。趣味をひた隠す美優のためにサークル旅行中のイベント参加を陰ながらサポートしたり、活動に反対する彼女の姉を説得するべく奔走する中で育まれてゆく二人の信頼関係がいいですね。そんな二人の距離感にやきもきする春菜を絡めたラブコメ模様はメインではなかったのか、これからなのか気になるところですが、この続きをまた読みたいと思いました。 
読了日:10月26日 著者:瑞智士記
外資のオキテ (角川文庫)外資のオキテ (角川文庫)感想
英語を使う仕事に憧れて一念発起して会社を辞め、語学留学を決行した貴美子。帰国後直面する現実と、悪戦苦闘の転職活動の末に何とか決まった米系企業で外資での一歩を歩み始めるリアルお仕事成長物語。帰国してみれば外資系企業では語学留学は留学と認められない現実。キャリアアップを目指し派遣社員として外資系企業で働き始めた貴美子が経験してゆく様々な仕事には充実感も翻弄されることもあって、外資系に対する周囲のイメージとのギャップもあったりで、外資系企業の勤務が長い著者の経験を活かしたリアルな描写がとても印象的な一冊でした。
読了日:10月26日 著者:泉 ハナ
前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)前略、初恋の彼女が生き返りました。 (メディアワークス文庫)感想
大学三年生になった自分の前に突然現れた、高校生のときに交通事故で死んだはずの片思いの少女・皇カノン。やり残したことがあるという彼女とともに過ごす数日の同棲生活を描く青春小説。ようやく死を受け入れたばかりのタイミングで現れた片思いだった彼女と再会し、共に過ごすうちに変わってゆく心境。藤二とカノンの二人に宏が加わって、三人で一緒に過ごすようになった高校時代、少しずつ変わっていったその関係。甘酸っぱくほろ苦い彼らの繊細な三角関係が巧みな構図で描かれていて、彼女の想いが未来へと繋げてゆくほんのり切ない物語でした。
読了日:10月25日 著者:天沢 夏月
アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)アオハル・ポイント (メディアワークス文庫)感想
頭を殴られてその人を評価するポイントが頭上に見えるようになってしまった高校生・青木。それをひた隠して無難に生きてきた彼が、クラスで浮いている少女・春日と出会って変わってゆく青春小説。憧れの成瀬との関係に自信を持てずにいる一方で、好きな人と釣り合う存在になるべく変わってゆく春日に対する認識が少しずつ確実に変わってゆく青木。不安で空回りしてしまう彼らの行動は痛々しくて、それでも理不尽な目に遭う大切な人のために一生懸命で、遠回りしながらも素直に向き合えるようになった等身大な彼らのありようはとても心に響きました。
読了日:10月25日 著者:佐野 徹夜
どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)感想
コンクールで前代未聞の失敗を犯してしまい、失意の底で意識を失い異世界で目覚めた遊佐響也。そんな響也を助けたトランペットの演奏者の少女フィリーネのために、竜楽師試験に合格するために手助けをする異世界音楽ファンタジー。18世紀の神聖ローマ帝国っぽい、でもいろいろ細かいところが違う異世界。教会の妨害を受けながらも、才能に溢れるフィリーネとの出会いでお互い刺激し合い、支えてくれる少女たちもいたりで危機を乗り越え、自分らしさを取り戻してゆく展開はなかなか良かったですね。著者さんらしさ溢れる作品で続刊にも期待ですね。
読了日:10月25日 著者:遊歩新夢
神話伝説の英雄の異世界譚 11 (オーバーラップ文庫)神話伝説の英雄の異世界譚 11 (オーバーラップ文庫)感想
統一王を喪った六ツ国でついに対峙したリズと比呂。一方、グランツ北方を守護する精霊壁を化物の軍勢が襲撃、南方では「名無し」こと媛巫女ストライアが暗躍する窮地に、長く行方が知れずにいた女傑・ヴァイス大将軍がついに参陣する第十一弾。六ツ国を掌握すべく動き出したルシア、北方を守護する精霊壁の崩壊、南方の媛巫女ストライア、そしてレベリング王国のクラウディアと、様々な過去が明らかになる中で帝国を巡る状況はなかなか厳しいですけど、目指す方向は同じでも行く道が異なるリズと比呂の今後や、ヴァイス大将軍の活躍にも期待ですね。
読了日:10月24日 著者:
ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語 (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語 (角川ホラー文庫)感想
こよみとベストカップルとして紹介された雑誌が話題になる中、森司が再会した苦い思い出を持つ中学時代の恩師。リア充なイベント花火大会でオカ研メンバーたちと百物語をする第十四弾。周囲も認めつつある絶好の機会なのに、挙動や妄想まで似た者同士な二人の何とももどかしい進展しそうでしない感w だけど百物語やミニチュア工作、能面などに絡む悪意の事件に巻き込まれる中、森司はきちんと筋を通したりピンチにはこよみをしっかり守るカッコよさがあって、今回の結末にも苦笑いなんですが、これはこれで二人らしい関係なのかなとも思えました。
読了日:10月24日 著者:櫛木 理宇
わが家は祇園の拝み屋さん9 星の導きと今昔の都 (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん9 星の導きと今昔の都 (角川文庫)感想
関東本部から助っ人に呼ばれた澪人と一緒に、夏休みの間だけ東京の実家へ帰ることにした小春。一方、チーム『OGM』は和人をリーダー代理に立てて、京都の結界の挨拶回りをすることになる第九弾。今回は澪人と小春が東京へ、二人抜きのOGM+和人チームが京都で活動することになりましたけど、倒れた師匠が営む和菓子屋に戻った宗次朗や、澪人と小春、和人を加えたOGMチームの面々も奮闘する過程で、それぞれにいろいろな転機へ繋がる印象的な出来事があったりで、次巻以降でそれらがどんな形に変わってゆくのか新たな楽しみが増えましたね。
読了日:10月24日 著者:望月 麻衣
現実主義勇者の王国再建記VIII (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記VIII (オーバーラップ文庫)感想
大量発生した魔物が押し寄せる魔浪により窮地に陥った東方諸国連合。帝国の女皇マリアから東方諸国連合への援軍派遣要請を受けたソーマが、かつて公国から放逐されたロロアの兄でもあるユリウスと再会する第八弾。過去の因縁を乗り越えて始まったラスタニア王国救援作戦。ソーマを翻弄するやりたい放題なエクセルには苦笑いでしたけど、心境もすっかり変わったユリウスとの距離感や、后候補たちや臣下たちとのソーマの関係や周囲に生まれつつある関係もなかなかいい感じで、また別の国に向かう新展開では新たな出会いもありそうですね。続巻に期待。
読了日:10月23日 著者:どぜう丸
鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)鍵のかかった部屋 5つの密室 (新潮文庫nex)感想
本来ネタバレ厳禁の作中トリックを先に公開してミステリを書くという難題に、5人の犯人が鍵をかけて隠した5つの「秘密」を解き明かす競作アンソロジー似鳥鶏、友井羊、彩瀬まる、芦沢央、島田荘司が同じお題で特色あるミステリを展開してゆく連作短編集で、ミステリ研に提示された密室盗難、大叔母が遺した密室の謎、突然別れを告げた春の正体、薄着の女の密室トリック、サンタクロースの密室トリックと、著者さんたちの遊び心が感じられたり、解明された過去の思い出や真摯な想いにぐっと来たりする作品ばかりで十分に楽しむことができました。
読了日:10月23日 著者:似鳥 鶏,友井 羊,彩瀬 まる,芦沢 央,島田 荘司
僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)僕は僕の書いた小説を知らない (双葉文庫)感想
交通事故で一日ごとに記憶がリセットされ、新しいことを覚えられないという症状を抱えている小説家の岸本アキラ。そんな状況で不安と戦い葛藤しながら小説を書き進めるアキラの物語。毎朝自分が書いた引き継ぎを読みながら、試行錯誤して小説を書き続けるアキラとカフェで働く翼との出会い。サッパリした彼女とのやりとりが刺激になり書き上げていく小説に込められていった思い。まさかの急展開にはもどかしくなりましたけど、それでも諦めなかったアキラの挑戦と、失われていた間の出来事が次第に明らかになってゆく結末はとても良かったですね。 
読了日:10月23日 著者:喜友名 トト
友情だねって感動してよ友情だねって感動してよ感想
願いを叶えてくれる青木神社を軸に据えて三人の男女が紡ぐ崩壊と再生の軌跡を描く6つの連作短編集。三人の幼馴染の複雑な距離感、幼馴染の女の子が同級生をいじめる理由、巫女のバイトをする女子高生と友人を巡る三角関係、彼の言いなりだった彼女が惹かれた男、留年大学生と別れた彼女への思い、彼女と付き合い始めた彼が気になる同級生と、三角関係の優越感と卑屈な思いが入り交じる不安定な距離感が描かれていて、大切な存在を失いたくないという想いが生々しくて、切なくほろ苦いけれどそれだけでは終わらない読後感はなかなか良かったですね。
読了日:10月22日 著者:小嶋 陽太郎
はたらく魔王さま!19 (電撃文庫)はたらく魔王さま!19 (電撃文庫)感想
マグロナルドを辞め受験に専念する千穂のもとに掛かってきた鈴乃からの電話。異世界の危機に何も関与できない魔王はこのままでいいのか自問自答し、アシエスに謎の体調不良が発生する第十九弾。受験に手中できず悩む千穂でしたけど、切迫した状況がそれを許さなかったようで(苦笑)鈴乃の行動が真奥のヘタレっぷりを露呈させることになって、どうにもならない状況を打開すべく協力者を増やす策がこれまた斜め上で(あれで皆よく納得してくれましたよね…)、大一番に向けて一気に話が動いてきましたけど、千穂の存在感がまた大きくなりそうですね。
読了日:10月21日 著者:和ヶ原 聡司
デート・ア・ライブ アンコール8 (ファンタジア文庫)デート・ア・ライブ アンコール8 (ファンタジア文庫)感想
七罪との教師生活、圧政をしく黒十香との対決、編集長琴里と精霊作家たちとの校了作業、六喰との芸者遊び……ありえたかもしれない精霊の少女たちの可能性を描く外伝第八弾。今回はこうきたか的な変則的なシチュエーションで精霊たちに振り回される士道が描かれていましたが、いじられる七罪や暴走役の美九・折紙・二亜たちをうまくアクセントに使いつつの展開で、禁断の精霊<ドッペルシドー>士織まで再臨させるとは(苦笑)六喰や真那、狂三の可愛い一面もあったりで、こういう趣向のコメディ展開も精霊たちの魅力が活きてほんと楽しいですよね。
読了日:10月21日 著者:橘 公司
ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド (ファンタジア文庫)ゲーマーズ!11 ゲーマーズと初恋マルチエンド (ファンタジア文庫)感想
まさかの強奪で頭が真っ白になってしまった三人。そこからの花憐、千秋、景太それぞれの葛藤と決心が描かれる第十一弾。決まりかけていた流れをいったんぶっ壊した千秋の決断でしたけど、そこから暴走して周囲も巻き込んで斜め上の決断に向かっていくあたりが花憐さんらしいというか、千秋も千秋でらしい見せ場があって、ラスボス役・真音さんの存在感をいろんな意味でうまく使いながら終わりに向かってゆく展開の中、ひとつひとつの想いの決着を丁寧に描いてゆきながら迎えた告白にはぐっと来るものがありました。次巻最高のラスト期待しています。
読了日:10月20日 著者:葵 せきな
威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)威風堂々惡女 (集英社オレンジ文庫)感想
その出自から瑞燕国で虐げられる尹族の少女・玉瑛。皇帝が発した「尹族国外追放」の勅命により屋敷を追われ命を失った彼女が、謀反を起こして虐げられる原因となった皇帝の愛妾・柳雪媛として目覚める中華幻想復讐譚。未来を変えるため柳雪媛として過去をやり直すことになった玉瑛と、その護衛役に任命された生真面目な若き武人・王青嘉の因縁の出会い。お互いの真意を知らずに反発し合っていたはずの二人がいつの間にか奇妙な縁で紡がれていって、二人だけにしか分からない何とも複雑な感情を育んでゆくこの主従の絆に期待したい新シリーズですね。
読了日:10月19日 著者:白洲 梓
また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)また君と出会う未来のために (集英社オレンジ文庫)感想
小学校三年生の頃、遠い未来に時間を超えたことがある仙台の大学生・支倉爽太。未来で出会った年上の五鈴を忘れられずアルバイトに明け暮れる爽太が、過去から来た人にあったことがあるという八宮和希と出会うもうひとつの物語。前作から数年後の世界で、忘れられない人との再会を渇望する爽太と和希の出会いあって、彼と向かった采岐島で再会した面々が懐かしくて。ふとしたきっかけからたどり着いた意外な真実に、それでも覚悟を決めて向き合う爽太のひたむきな想いには心打たれるものがあって、諦めなかった彼らの今後を応援したくなりました。 
読了日:10月19日 著者:阿部 暁子
黒川さんに悪役は似合わない (ガガガ文庫)黒川さんに悪役は似合わない (ガガガ文庫)感想
規律か自由か。生徒会長候補2人の校則戦争になぜか巻き込まれた新入生・倫太郎。劣勢の黒川さんに状況を覆すべく悪役としてマッチポンプ役を依頼される学園ラブコメディ。うっかり悪役となることを承諾させられた倫太郎の奮闘と、なのにアドリブに弱くてマッチポンプが空振りに終わる黒川さん。そんな状況に倫太郎を心配する葉月や勘違いした赤峰たちを絡めてゆく展開で、真面目な倫太郎に悪役を演じさせる無理筋感が生徒会長選の行方やラブコメ的にもあまり報われていなくて、それを物語の軸に据えた難しさが最後まで響いてしまった印象でした。 
読了日:10月18日 著者:ハマ カズシ
ピンポンラバー (2) (ガガガ文庫)ピンポンラバー (2) (ガガガ文庫)感想
卓越学園ランキング一位の男・獅子堂煉が海外遠征から凱旋。その練習パートナーとしてなぜか沙月が選ばれ、複雑な想いを抱く瑠璃と翔星が卓球カフェで中国卓球界の新星「夢幻の天女」メイリンと出会う第二弾。弱くなったと強者から自分のありようを否定されて揺らいでしまった瑠璃の選択。メイリンたちによって仕組まれた対決に果たしてこれでいいのかと悩む翔星。今回も強敵を相手にボロボロになりながら、大切なもののために熱く戦う展開にはぐっと来るものがあって、そんないがみ合い認め合う二人の物語は今回も面白かったです。また続巻に期待。
読了日:10月18日 著者:谷山 走太
弱キャラ友崎くん Lv.6.5 (ガガガ文庫)弱キャラ友崎くん Lv.6.5 (ガガガ文庫)感想
中学時代の葵や菊池さんのエピソード、優鈴の恋バナとその後、そして周囲の変化を目の当たりにして自らを振り返るみみみの複雑な想いが綴られてゆく短編集第6.5弾。中学時代でもあんなんだったのかと驚かされる葵のエピや友崎との買い物テスト、菊池さんの中学時代にあった変化の兆し、優鈴のエピに加えてやや多めにページが割かれたみみみの変わってゆく意識と、いろいろ深い短編エピソードだなあと思って読んでいたら、破壊力あるラストで最後にキュンキュンさせられました(苦笑)先に繋がる短編の数々に否が応でも続巻の期待が高まります。 
読了日:10月17日 著者:屋久 ユウキ
Bの戦場 5 さいたま新都心ブライダル課の変革 (集英社オレンジ文庫)Bの戦場 5 さいたま新都心ブライダル課の変革 (集英社オレンジ文庫)感想
半分騙されたような形で、ついに久世課長と付き合うことになってしまった香澄。絶好調で距離を詰めてくる久世課長は戸惑う状況で、職場の状況ががどんどん変わってゆく第五弾。相変わらずな久世課長との関係は少しずつ前進する一方で、仕事は久世課長が奮闘したこともあって新たなチャレンジが次々と増えてゆくなかなか大変な展開でしたけど、状況が変わっても今の仕事の本質を見失わなかった香澄の奮闘ぶりが光りましたね。看病エピソードなどもあって戸惑ってはいても少しずつ課長とも向き合うようになって、変わってゆく二人の関係も楽しみです。
読了日:10月17日 著者:ゆきた 志旗
ウォルテニア戦記X (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記X (HJ NOVELS)感想
御子柴亮真の働きによって、オルトメアと三王国連合軍との戦いは終結に向かい、亮真はザルーダ国王・ユリアヌス1世と有力なパイプを作りつつ、しばらくぶりにウォルテニア半島へと帰還を果たしたその後が描かれる第十弾。亮真の扱いに思い悩むローゼリア王国首脳陣だったり、浩一郎により明らかになってゆく組織の内幕だったりが明らかになった状況解説回でしたけど、ユリアヌスに示唆されて亮真もようやく組織の存在を認識したことが、今後の方針に少なからず影響していきそうですかね。飛鳥は全然登場していなかったですけど無事なんでしょうか。
読了日:10月17日 著者:保利亮太
櫻子さんの足下には死体が埋まっている キムンカムイの花嫁 (角川文庫)櫻子さんの足下には死体が埋まっている キムンカムイの花嫁 (角川文庫)感想
正太郎と櫻子さんたちはばあやさんの故郷であるぬかびら源泉郷に旅行に行くことに。しかし湖の近くで若い女性の遺体を見つけてしまう第十四弾。相変わらず出かけた先でお約束のように死体に遭遇してしまう二人には苦笑いですけど、その死の真相を追いながら、自分の将来を見据えてゆく中で彼女の存在の大きさを実感したりで、櫻子さんという特異な存在の危うさと、正太郎がいろいろこじらせている状況が改めて浮き彫りになった感がありますね。お互いの今後を気にかけてはいるものの、ここからどういう方向に向かうのか気になるところではあります。
読了日:10月17日 著者:太田 紫織
ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)ビストロ三軒亭の謎めく晩餐 (角川文庫)感想
セミプロの舞台役者だった神坂隆一が、姉・京子の紹介で来る人の望みを叶える魔法のような店『ビストロ三軒亭』でギャルソンとして働くことになるグルメミステリ。奇妙な客の荷物と残した料理の謎、仲違いを解決した七面鳥の栗詰め、チーズたっぷりな試食会にやってきた三人の大食い魔女の事情、シェフが作れないキッシュに隠された秘密。若きオーナーシェフ・伊勢が作る料理はとても美味しそうで、隆一をサポートしながら悩めるお客様に真摯に寄り添う個性豊かな先輩ギャルソンたちがいて、隆一の成長も最後の話のその後もまた読んでみたいですね。
読了日:10月17日 著者:斎藤 千輪
さくら花店 毒物図鑑 夏の悪夢 (小学館文庫キャラブン!)さくら花店 毒物図鑑 夏の悪夢 (小学館文庫キャラブン!)感想
雪乃と同じ能力を持つ住み込みのバイト・ヒロも加わり、花たちの願いを受けて人助けをしている雪乃と、人嫌いでぶっきらぼう樹木医の将吾郎が植物にまつわる事件と心の闇を解き明かす第二弾。ストーカーじみた雪乃に根負けした将吾郎さんの過去エピソード、店員・茜さんのその後どうなったのかいろいろ想像してしまう意味深な過去話や、幼馴染を巡る姉妹のすれ違いがなかなか興味深い描写だったりもしましたが、周囲の変な大人たちに振り回されたり、不器用なのに無鉄砲に突っ込むヒロにはこれからもめげずに強く生きて欲しいと思いました(苦笑)
読了日:10月16日 著者:宮野 美嘉
マダラ: 死を呼ぶ悪魔のアプリ (集英社文庫)マダラ: 死を呼ぶ悪魔のアプリ (集英社文庫)感想
三人の大学生が互いに殺し合う不可解な事件から始まり、世界中に急速に拡散してゆく不可解な殺人事件や自殺の数々。その原因となった殺人アプリ「マダラ」が作られた経緯と、それを追う人々のことを綴る近未来サスペンス。人を殺さずにはいられなくなるアプリを開いてしまった人たちが引き起こす凄惨な事件と、アプリの存在に気付き対策を講じようとする人たちの奮闘と悲劇が描かれる物語でしたが、そう簡単には止められないアプリによって世界がすっかり変容しても、少しずつでも希望を見いだせる可能性を提示した結末には救われる思いがしました。
読了日:10月16日 著者:喜多 喜久
三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)三度目の少女 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)感想
原因不明のトラウマによって他者を否定できない大学生・関口藍が、ゼミの担当教授に前世の記憶を持つ中学一年生の伊藤杏寿を紹介され、彼女の記憶を巡る謎を追うミステリ。前世・前々世の記憶を持つ杏寿が、教授の紹介で藍と前世の木綿子の生家を訪れて直面した当主・昌一の毒殺事件。運命に導かれるように出会った彼らが疑問を解消しつつ真相に迫る展開は、昔殺された木綿子の事件の真相も追う関係上消去法寄りのアプローチになりましたが、意外な急展開によって過去から解き放たれて、事件を解き明かしてゆく杏寿らの推理はなかなか良かったです。
読了日:10月15日 著者:宮ヶ瀬 水
ペットシッターちいさなあしあとペットシッターちいさなあしあと感想
ペットの死の瞬間を正確に予知し、最期を看取る不思議なペットシッター「ちいさなあしあと」。岩手県盛岡市にあるこの特異な会社の社長・陽太の視点で描かれる「みとりし」のもうひとつの物語。動物の言葉が分かる薫と同様に、同じ事故に遭遇してにおいで生き物の死期が分かるようになってしまった陽太の難儀な人生。それはもう淡々としてしまうのも無理はないなと思いましたけど、そんな彼が天職を見出して、そこで薫と再会できたことでお互い救われる部分もいろいろあったんだろうなと感じられて、二人のその後がまた読んでみたいと思いました。 
読了日:10月15日 著者:髙森 美由紀
永遠についての証明永遠についての証明感想
特別推薦生として協和大学の数学科にやってきた瞭司と熊沢、そして佐那。眩いばかりの数学的才能で周囲の人生を変えていった瞭司の運命の出会いと失意、彼の遺した研究ノートから熊沢がその想いに再び向き合う物語。仲間と得た成果に希望を見出す瞭司と、突出した成果がそれぞれが別の道を選ぶきっかけとなってしまう皮肉。瞭司と仲間たちのすれ違いは残念でしたが、彼が遺した研究ノートに見出した可能性が、形は変わっても失われていなかったそれぞれの想いを再び繋げていって、それが新たな希望を紡いでゆく展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:10月14日 著者:岩井 圭也
紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第零幕 三、二人の過誤 (富士見L文庫)感想
異動、昇進、出征と目まぐるしく変化していく小玉の環境。さらに兄の死、初恋の人との再会もある中で、良好な関係になりつつあった小玉と文林に予想外の事故が起こる第零幕第三弾。帝姫の妥当な護衛役がいなかったとかでどんどん多忙になってゆく小玉と、上司と部下としてはいい関係になりつつあった文林の事故。タイミングが悪かったというか、当時の二人の性格からしてどうにもならなかったようにも思いますが、そもそも左遷の経緯からしてあれで文林からしたらますます拗らせちゃうよなあと納得のエピソードでした。小玉さんが男前すぎる(苦笑)
読了日:10月13日 著者:雪村花菜
かくりよの宿飯 九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。 (富士見L文庫)かくりよの宿飯 九 あやかしお宿のお弁当をあなたに。 (富士見L文庫)感想
黄金童子に導かれ文門の地へ辿り着いた葵とついに再会した大旦那。二人が八葉夜行会までの束の間の時を共に過ごす間、大旦那が葵に過去を語ってゆく第九弾。葵にお弁当と引き換えに真実を一つずつ語ることを提案した大旦那。最後の戦いを前に大旦那と葵のらしい関係も垣間見えるほっと一息ついた雰囲気の中、反之介と羽多子との関係も絡めて描かれるエピソード。大旦那の生い立ちに加えて二人の過去も明かされたりで、見えかけていた答えを大旦那に伝えられない葵がもどかしかったですけど、だからこそ二人で何とか苦難を乗り越えてほしいですね。
読了日:10月12日 著者:友麻碧
京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)京都伏見は水神さまのいたはるところ (集英社オレンジ文庫)感想
東京のめまぐるしい生活に馴染めず祖母の暮らす京都・伏見の蓮見神社に引っ越してきた女子高生のひろ。幼馴染で造り酒屋の息子・拓己にも再会した彼女に不思議な声が届くあやかし物語。拓己や以前彼女と約束を交わした白蛇「シロ」に見守られながら、少しずつ新しい生活に馴染んでゆくひろ。「水神の加護」「小野小町の恋」「桃亭の恋模様」「雷神の子」と様々なあやかし絡みの事件に関わってゆく展開に、それにひろと拓己の繊細な距離感だったり、ひろを気にかけるシロの存在もいい感じに絡んでいて、続刊あるようなら是非また読んでみたいですね。
読了日:10月12日 著者:相川 真
ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2~たまらなく愛おしく、とにかく尊い~ (GA文庫)ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?2~たまらなく愛おしく、とにかく尊い~ (GA文庫)感想
喧嘩したりドキドキしたりと12歳差というギャップにも負けず絆を深めていくモモと織原さん。そんなモモに隣のクラスの同級生・咲が告白する第二弾。初々しい学生みたいな二人の距離感とか、27歳とはとても思えないド天然ぶりが炸裂する姫爆弾に、新キャラ姫の姉・妃さんとか周囲がたびたび巻き込まれる展開にはもうニヤニヤしまくりですが、この組み合わせでは咲の告白みたいなのがあると年上彼女はいろいろ考えてしまうわけで、難しいあれこれにいろんな意味できちんと向き合うモモがカッコ良かったです。友人たちの恋模様も気になりますね。 
読了日:10月12日 著者:望 公太
辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる ~イリスガルド興国記~ (GA文庫)辺境貴族、未来の歴史書で成り上がる ~イリスガルド興国記~ (GA文庫)感想
辺境の貧乏領地を治める若き領主アルトが偶然召還した刻の精霊クロノ。彼女と半強制的に契約を結び未来を書きかえることのできる歴史書を手に入れたアルトが、楽に暮らしたいという夢を叶えるため動き出す歴史ファンタジー。歴史書には書いても実現不可能なことは消えてしまう制約がある中、思いとは裏腹に様々な試行錯誤が必要な状況で着実な手を打てる才幹がアルトにあって、緊張感のある展開に幼馴染エレナや王女といったヒロインを絡めてゆくストーリーは面白かったです。ここからどこまで盛り上げていけるか今後に期待大の新シリーズですね。 
読了日:10月11日 著者:三門 鉄狼
ゴブリンスレイヤー8 (GA文庫)ゴブリンスレイヤー8 (GA文庫)感想
辺境の街のギルドにやってきた大司教・剣の乙女がゴブリンスレイヤーたち一党に王都までの護衛を依頼。一方、王都では霊峰に天より火石が落ちてきたことで、災厄の兆しが囁かれる第八弾。ゴブスレさんに会えてすっかりウキウキしている剣の乙女の姿が微笑ましかったですが、王妹の出来心から発生した事件は様々な想いや思惑が複雑に絡み合っていて、えらく大変な思いをしたはずなのにそれをゴブリン退治で終わらせてしまうゴブスレさんの大切に思っていることが垣間見えたり、女神官もまた思うところがあったりしたなかなか興味深いエピードでした。
読了日:10月11日 著者:蝸牛 くも
ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2 (電撃文庫)ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌2 (電撃文庫)感想
ビブリアファイトを戦い抜いて部室廃止は免れ、新学年へと進級した響平とこぐち。新部員の早紀も加わるも相変わらずの日々を送る彼らが、聖桜女学園のお嬢様・天塚のどかたちとビブリアファイト三番勝負をすることになる第二弾。他校と対決という形で再び発生するビブリオファイト。いろいろな関わりが増えてゆく中ですれ違う不器用な二人をもどかしく感じたりもしましたが、試行錯誤しながらビブリオファイトで魅力的な本を紹介しつつ、熱い想いをぶつける響平の姿に青春だなあとしみじみ思いました(苦笑)篠川姉妹もいい感じに効いてましたね。
読了日:10月11日 著者:峰守 ひろかず
86―エイティシックス―Ep.5 ―死よ、驕るなかれ― (電撃文庫)86―エイティシックス―Ep.5 ―死よ、驕るなかれ― (電撃文庫)感想
シンが聴いた〈レギオン〉開発者・ゼレーネと思しき呼び声。レーナたち『第86機動打撃群』は白い斥候型が目撃されたというロア=グレキア連合王国へと向かい共闘する第五弾。連合王国もまた王族・ヴィーカ指揮の下なかなかアレな方法で戦っていて、それがエイティシックスたちのありようを彼らに突きつけることになる皮肉な展開でしたけど、そんな中でもヴィーカとレルヒェの関係には少しばかり救いを感じなくもなかったというか。周囲にはもはや公認状態な迷えるレーナさんの新装備には作家さんの熱い想いが感じられました(苦笑)続巻に期待。
読了日:10月10日 著者:安里 アサト
魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(1) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生 司波達也暗殺計画(1) (電撃文庫)感想
西暦二〇九四年の春。暗殺を生業とする少女・榛有希は、その現場を中学生・司波達也に目撃されてしまい、目撃者の彼を消そうと動き出すスピンオフ小説。よりよって見られたのが司波達也というのも相手が悪かったというか(苦笑)苦悩しながらも筋を通すことを諦めない有希と、そんな彼女の立ちはだかった達也を信奉するヤミこと黒羽文哉。裏の世界に生きる二人の邂逅と躍動感ある戦いの一方で、それぞれが垣間見せる年相応な一面もあって。だからこそ二人の対決が迎えた結末にはほっとさせられましたが、ここからどんな展開になるのか続巻も期待。 
読了日:10月10日 著者:佐島 勤
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない (電撃文庫)感想
三月に入って、三学期も残り1ヶ月。いよいよ迎えた麻衣の卒業式当日。七里ヶ浜の海岸で麻衣を待っていた咲太の目の前に、子役時代の麻衣にそっくりな小学生が現れる第二部第二弾。翔子さんとのことを乗り越えて、ついに花楓と向き合うことを決心した母親との感動の再会。そんな中で咲太が気づいてしまった残酷な現実と再び直面する思春期症候群。咲太に優しい理想の世界を提示されても、支えてくれる麻衣さんの存在があって、きちんと現実に向き合おうとする咲太がカッコ良かったです。それにしても大学生編に突入する次巻の展開が気になりますね。
読了日:10月10日 著者:鴨志田 一
茉莉花官吏伝 四 良禽、茘枝を択んで棲む (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 四 良禽、茘枝を択んで棲む (ビーズログ文庫)感想
暁月の無理難題に見事応え宰相候補の海成との結婚という引き抜き計画に巻き込まれる茉莉花。戦を回避したい彼女は意見書を提出するものの、それに満足しない暁月に破り捨てられてしまう第四弾。内乱をいかに皆が納得する形で終わらせるかが問われた今回。迷いさえ払拭すれば実効性の高い策を次々と打ち、貪欲に最善の形で終結させてしまう彼女の活躍は確かに突き抜けていましたね。今回赤奏国編もいい感じにまとまりましたけど、相変わらず珀陽は茉莉花に思わせぶりなセリフすら言うのに、それでいてまたもや難題を突きつけますか。また続巻に期待。
読了日:10月09日 著者:石田 リンネ
茉莉花官吏伝 三 月下賢人、堂に垂せず (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 三 月下賢人、堂に垂せず (ビーズログ文庫)感想
皇帝・珀陽に文官の高みを目指す宣言をした茉莉花。その決意を受け、珀陽が皇帝位を巡る内乱の危険性をいまだに残す赤奏国に赴任を命じる第三弾。茉莉花への期待の表れとはいえこれまた無茶振りするなあと思った今回の展開でしたけど、国が二分されて様々なものが足りない状況にある赤奏国で、今の彼女に足りないものが何なのか問われる中、結果オーライとはいえ随分とまた我が身を省みない無茶をしましたね(苦笑)海成とはなかなかいいコンビでしたけど、これだけ実力を見せれば暁月も手放したくなくなるのは当然で、ここからどうなるのかですね。
読了日:10月09日 著者:石田 リンネ
青少年のための小説入門 (単行本)青少年のための小説入門 (単行本)感想
中学2年だった一真が万引きを強要された現場でヤンキーの登と出会い、幼い頃から自由に読み書きができなかった彼と共に小説家を目指す青春小説。文字を読むのには苦労する登が一真に小説の朗読をしてもらって、彼が頭の中に湧き出すストーリーを一真が小説にする日々。そして一真が出会った少女・かすみとのほのかな恋。二人で多くの印象的な作品を読みながらコンビで小説家を目指すべく試行錯誤を続ける二人が、作家になってから少しずつ歯車が狂ってゆく展開はもどかしくて、けれどそんな彼らのままならない青春にはぐっと来るものがありました。
読了日:10月08日 著者:久保寺 健彦
とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)とっておきのおやつ。: 5つのおやつアンソロジー (集英社オレンジ文庫)感想
青木祐子「レンタルフレンド」、阿部暁子「たぬきとキツネと恋のたい焼き」、久賀理世「明日のおもひでフレンチトースト」、小湊悠貴「悪友と誓いのアラモード」、椹野道流「おじさんと俺」とおやつをテーマに5人の著者が綴る短編集。いずれも最近の著作は追いかけている作家さんたちですが、読んでみるとそれぞれの著者さんらしさがあって、でも久賀理世さんの現代ものは読んだのもしかして初めてでしたかね?父がいきなり脱サラしてたいやき屋を始めてしまった娘の悲哀と出会いを描いた「たぬきとキツネと恋のたい焼き」が個人的には好きでした。
読了日:10月08日 著者:青木 祐子,阿部 暁子,久賀 理世,小湊 悠貴,椹野 道流
マイ・フーリッシュ・ハート (河出文庫)マイ・フーリッシュ・ハート (河出文庫)感想
パワハラ&激務のせいで仕事中に倒れた広告代理店で働く25歳の井川優子。超変わり者の精神科医・小畑に振り回されたりと散々な彼女が、日本人初のメジャーリーガー・マッシー村上を巡る摩訶不思議なエピソードと出会う物語。周囲からこれでいいのかという状況を押し付けられるストレスに苦しめられていた優子。人生のどん底と思えるような最悪の状況から、マッシー村上のエピソードを知るうちにその心境も変わっていって、前向きに一歩を踏み出してゆく展開はなかなか良かったですね。巻末の村上雅則氏のインタビューもなかなか興味深かったです。
読了日:10月08日 著者:秦 建日子
桜花妃料理帖 二 (富士見L文庫)桜花妃料理帖 二 (富士見L文庫)感想
玉葉が宮廷料理人見習いとの二足の草鞋生活にも慣れてきた頃、宮廷の食料庫が荒らされる事件が発生。そこで国王・紫苑にそっくりな杜鵑に遭遇する第二弾。料理のために料理長の兄に師事したり鈍感な玉葉は相変わらず料理バカな感じでしたけど、一方で周囲の人たちを守ろうとしたり、有力豪族の藤従事官に保護されていた弟・杜鵑の存在に心揺れる紫苑のために頑張る姿もあって、そんな彼女に支えられて紫苑もまた国王らしい毅然とした姿を見せるようになったりで、なかなかいい感じになってきましたね。次で最終巻とのことですが楽しみにしています。
読了日:10月07日 著者:佐藤 三
氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)感想
氷室冴子さんが亡くなられてから10年。過去インタビューや彼女の関係者たちの寄稿文などから様々な視点で明かされる氷室冴子特集。「なんて素敵にジャパネスク」や「海がきこえる」など、読書傾向に間違いなく多大な影響を与えた作品を書かれてきた氷室冴子さんは自分の中では間違いなく大きな存在で、皆さんの語られる彼女はわりと豪快で周囲に慕われる存在だったんですね。実際には著作数自体わりと少ないんだなというのはやや意外な感もありましたが、読んでいて何となくじんわりと来るものがあって、彼女の作品をまた読んでみたくなりました。
読了日:10月06日 著者:氷室冴子,新井素子,飯田晴子,伊藤亜由美,榎木洋子,榎村寛之,荻原規子,菊地秀行,木村朗子,久美沙織,近藤勝也,嵯峨景子,須賀しのぶ,菅原弘文,高殿円,田中二郎,俵万智,辻村深月,ひかわ玲子,藤田和子,堀井さや夏,三浦佑之,三村美衣,群ようこ,山内直実,柚木麻子,夢枕獏
君と放課後リスタート (文春文庫 せ 13-1)君と放課後リスタート (文春文庫 せ 13-1)感想
とある高校の「理想の三組」と呼ばれたクラスで、全員突然記憶喪失となる事態が発生。そんな状態で発生する謎に叉桜澄と九瀬永一の学級委員コンビが挑み解き明かしてゆく学園ミステリ。完全にリセットされた状態からスマホに残された情報などをもとに再構築されていく人間関係の機微があって、空気が読めない真っ直ぐな叉桜と彼女を危ういと感じつつも目が離せない九瀬の背景もまた複雑で、様々な人間模様を目の当たりにしてゆく二人の関係がどう変わってゆくか、そして未だ記憶喪失の原因も判明していなかったりで続刊が楽しみな新シリーズですね。
読了日:10月06日 著者:瀬川 コウ
お節介な放課後 (御出学園帰宅部の献身) (創元推理文庫)お節介な放課後 (御出学園帰宅部の献身) (創元推理文庫)感想
通学路で奉仕活動をするのが決まりになっている御出学園の帰宅部員。お人好しで周囲の人たちを助けて結束を強めてゆくB班の活躍に、帰宅部員・相川タツヤの視点も加わる第二弾。B班それぞれの個性もよりくっきり出てきて、周囲で起こる不思議なネットオークションやバレンタインイベントに甘くないチョコレート事件。仲間内にも友情や恋に絡めた複雑な想いがあって、事件を解明してゆくうちにほろ苦い事実が判明してもそれだけでは終わらなくて、また今回第三者的視点が入って二巻目にしてより面白くなってきたように感じました。続巻にも期待。 
読了日:10月05日 著者:阿藤 玲
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?6 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?6 (ファンタジア文庫)感想
ゴブリン討伐クエストではゴブリンに料理を、学園では、臨時教師としてお母さんの素晴らしさを教える頼れるお母さん・大好真々子が親子の悩みを解決する「お母さん屋」を開く第六弾。何というかお母さん愛で種族を問わず籠絡していく真々子さんの存在感に、ヒロイン役になるはずの女の子たちが霞んでしまう展開にはもはや苦笑いですが、ついにはNPCに恋するプレイヤーの結婚まで認められたり、真人に恋するNPCが出てきたり、その辺が今後の展開にどう影響してくるかですね。というか冒険を続けていて現実世界の方は問題出てこないんですかね。
読了日:10月04日 著者:井中 だちま
君の思い出が消えたとしても (宝島社文庫)君の思い出が消えたとしても (宝島社文庫)感想
理解されづらい持病を抱え、仕事もうまく行かず自暴自棄になりかけていた遠藤が出会う思い出コーディネーターの月尾。彼女と過ごす一ヶ月間が描かれる物語。月尾から指摘されるあと一ヶ月の寿命と、思い出を寿命に変えられるという話。そんな遠藤が彼女と共に過去の思い出の悔いを解消していったり、楽しい日々を過ごしていゆくなかでの心境の変化。だからこそ分かりやすい存在に思わせて、意外と謎めいた部分も多い彼女の正体や、抱える秘密が焦点になってゆく展開でしたが、思わぬ真実にもあくまで可能性を信じた二人が迎えた結末は印象的でした。
読了日:10月03日 著者:才羽 楽
太秦荘ダイアリー (双葉文庫)太秦荘ダイアリー (双葉文庫)感想
京都の高校に通う太秦萌、小野ミサ、松賀咲の3人の元に一通のハガキが届き、運命の再会を果たした3人が10年前に『太秦荘』で起きた"事件"の秘密に迫るミステリ。京都市交通局のキャラクターを小説化したもののようですが、お話としては十年ぶりに再会した彼女たちが、記憶を失うきっかけとなった太秦荘の離れの火事の真相を解き明かす展開で、今回は登場人物たちの魅力を描きながら紹介し、関係者たちそれぞれとの邂逅や、今後の展開に向けた布石がメインというところですかね。続巻も決まっているようなのでまた読んでみたいと思いました。 
読了日:10月03日 著者:望月 麻衣
俺はアリスを救わないことに決めた (講談社ラノベ文庫)俺はアリスを救わないことに決めた (講談社ラノベ文庫)感想
かつて孤独の淵で悪魔的魅力を持つ少女・有栖に救われ、遊び飽きたおもちゃのように捨てられた立川誠が、忘れられない彼女への複雑な想いに壊れてゆく物語。奔放で誠をいいように振り回し一方的に主導権を握る有栖との関係。彼女を憎み復讐を誓う一方で手に入らない彼女を渇望して壊れてゆく誠、そんな彼が出会った良くも悪くも正直で誠を諦めない少女・りる。どちらのヒロインもベクトルが違うだけで振り回されそうな予感しかしませんが、基本的にその三角関係が軸になりそうな展開の中、抗いがたい有栖との関係にどう決着をつけるのか続巻に期待。
読了日:10月02日 著者:清水 苺
白翼のポラリス2 (講談社ラノベ文庫)白翼のポラリス2 (講談社ラノベ文庫)感想
ヴェセル・バトー会戦終結の立役者となったスワローのシエルと王女のステラ。会戦時に垣間見た自走する船とボレアスの情報を集めるべく奔走する二人の元に、ボレアス軍人と名乗るシエルの父・アカーシャから依頼が届く第二弾。父の依頼に同行する整備士の幼馴染・ジニーに、父から託されたボレアスの王女・シュリ。ヴェセルも無関係ではいられないボアレスの政変に巻き込まれてゆく展開でしたが、つかの間の四人の交流がもたらしたそれぞれの想いと、自分の役割を自覚し難局をどうにか打開すべく立ち向かう彼らの姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:10月02日 著者:阿部 藍樹
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術11 (講談社ラノベ文庫)異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術11 (講談社ラノベ文庫)感想
とうとうリフェリア王と面会したディアヴロたち。南方を脅かす魔物退治を依頼され、獣人族と知り合いになったり、レムの故郷で彼女の叔母に出会ったりする第十一弾。何とも後ろめたい思いで指輪をすりかえるべく二人と再会したディアブロでしたけど、叔母さんとの一件もいろんな意味で危うかったりで、因果応報というかなるべくしてなった結末というか(苦笑)意外な才能を見せたレムの複雑な想いに、相変わらずコミュ障対応で向き合ったディアブロはそろそろ何とかしないと感もありますが、今回の対応で王国側との関係がやや難しくなりそうですね。
読了日:10月01日 著者:むらさき ゆきや
王とサーカス (創元推理文庫)王とサーカス (創元推理文庫)感想
新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智が、編集者から海外旅行特集の協力を頼まれて事前調査のためネパールに向かい、そこで国王をはじめとする王族殺害事件が勃発し巻き込まれてゆく物語。今回は取材先のネパールで非常事態に巻き込まれる状況で、混乱のさなかで関係者の死体に直面する万智。わりとスケールの大きな話になるのかと思ったら、同時期に起きた死を取り上げるか否か、というジャーナリズムの本質を迷える彼女自身が問われる展開で、ほろ苦い真実に対して自分なりに真摯に向き合おうとする彼女らしい決断がとても印象に残った結末でした。 
読了日:10月01日 著者:米澤 穂信

【参考】公共図書館はどんなライトノベル(文庫)を購入しているのか2018

 

前回、中学校の学校図書館ライトノベルの選書傾向について記事を書きました。

では公共図書館ではどうなのかということで、一緒に集計しましたのでこちらについても書いてみたいと思います。集計方法・期間などは前エントリーと同じです。前提として基本的に購入するかどうかは図書館それぞれのスタンスにもよりますし、総じて購入全体としての割合から見ればさほど大きなものではなく、優先順位としてもさほど高くないのだろうとは推測しますが、それでも市場規模としては公共図書館の方が中学校の学校図書館よりも大きいので、こちらは上位30シリーズまで抽出しています。

 

集計対象:2017年10月-2018年9月に刊行されたライトノベルレーベルの文庫

集計対象:レーベル:スニーカー文庫HJ文庫講談社ラノベ文庫電撃文庫GA文庫、ノベルゼロ、ぽにきゃんBOOKSガガガ文庫富士見ファンタジア文庫MF文庫Jダッシュエックス文庫オーバーラップ文庫ファミ通文庫ヒーロー文庫モンスター文庫、KCG文庫

※紹介タイトルの多様性を確保するため、集計期間内に複数冊刊行になっているシリーズについては売上の多かった巻数を掲載しています。

 

全体の傾向は中学校の学校図書館とそう変わりません。やはりここでも上位に食い込む「カゲロウデイズ」のほか何冊か目を引くタイトルもありますが、定番タイトルが中心のラインナップになっています。刊行点数の増加に伴いライトノベルも多様化が進んでいますが、そんな中でオーソドックスなタイトルが選書されているということですね。「新フォーチュン・クエスト」や「大伝説の勇者の伝説」などもありますが、これは既刊からの継続性を重視してのセレクトなのではないかと思われます。

 公共図書館で受注の多かったライトノベル(文庫)】

1.キノの旅 21(時雨沢恵一/電撃文庫

2.ソードアート・オンラインプログレッシブ 5(川原礫/電撃文庫

3.カゲロウデイズ 8(じん/KCG文庫)

カゲロウデイズVIII -summer time reload- (KCG文庫)

カゲロウデイズVIII -summer time reload- (KCG文庫)

 

 4.魔法科高校の劣等生 24(佐島勤/電撃文庫

 5.新約とある魔術の禁書目録 19(鎌池和馬/電撃文庫 

6.狼と香辛料 20(支倉凍砂/電撃文庫

狼と香辛料XX Spring LogIII (電撃文庫)
 

 7.ソードアート・オンラインオルタナティブガンゲイル・オンライン 7(時雨沢恵一/電撃文庫

 8.アクセル・ワールド 22(川原礫/電撃文庫

アクセル・ワールド22 -絶焔の太陽神- (電撃文庫)
 

 9.はたらく魔王さま! 18(和ケ原聡司/電撃文庫

はたらく魔王さま!18 (電撃文庫)

はたらく魔王さま!18 (電撃文庫)

 

 10.りゅうおうのおしごと! 8(白鳥士郎/GA文庫

りゅうおうのおしごと! 8 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 8 (GA文庫)

 

 11.ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 13(大森藤ノ/GA文庫

 12.Re:ゼロから始める異世界生活 15(長月達平/MF文庫J

 13.ソードアート・オンラインオルタナティブ クローバーズ・リグレット 2(渡瀬草一郎/電撃文庫

 14.6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。(大澤めぐみ/スニーカー文庫

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

 

15.86-エイティシックス- Ep.3(安里アサト/電撃文庫

 16.スーパーカブ 2(トネ・コーケン/スニーカー文庫

スーパーカブ2 (角川スニーカー文庫)

スーパーカブ2 (角川スニーカー文庫)

 

 17.ノーゲーム・ノーライフ 10(榎宮祐/MF文庫J

18.ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝10(大森藤ノ/GA文庫

19.この素晴らしい世界に祝福を! 13(暁なつめ/スニーカー文庫

 20.ストライク・ザ・ブラッド 18(三雲岳斗/電撃文庫

21.ピンポンラバー 1(谷山走太/ガガガ文庫

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

 

 22.薬屋のひとりごと 7(日向夏/ヒーロー文庫

薬屋のひとりごと 7 (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと 7 (ヒーロー文庫)

 

23.新フォーチュン・クエスト Ⅱ9(深沢美潮/電撃文庫

24.緋弾のアリア 27(赤松中学/MF文庫J

25.大伝説の勇者の伝説 17(鏡貴也/富士見ファンタジア文庫

大伝説の勇者の伝説17 団子娘の出す答え (ファンタジア文庫)

大伝説の勇者の伝説17 団子娘の出す答え (ファンタジア文庫)

 

26.未来のミライ細田守/スニーカー文庫

未来のミライ (角川スニーカー文庫)

未来のミライ (角川スニーカー文庫)

 

27.生徒会の周年(葵せきな/富士見ファンタジア文庫

28.天鏡のアルデラミン 13(宇野朴人/電撃文庫

29.悪魔の孤独と水銀糖の少女(紅玉いづき/電撃文庫

悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

 

30.デート・ア・ライブ 18(富士見ファンタジア文庫

 スニーカー文庫の「スーパーカブ」なども健闘していますが、学校図書館に続きこちらでもランクインしているのが「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」(スニーカー文庫)と「ピンポンラバー 1」(ガガガ文庫)の2タイトル。どちらも安心してオススメできるいい作品ですし、比較的青春小説系のタイトルは相性がよく購入しやすい傾向はありますが、それにしてもここまで食い込むとは正直驚きました。何かで紹介されることがあったりしたのか、気になるところではあります。

 

【追記】コメントで上記の作品が伸びたのはここに紹介されていたからではないかと教えていただきました。ありがとうございます。指標のようなものがないとなかなか手を出しにくいとは思うので、こういうところで紹介されると大きいのかもしれないですね。


【参考】中学校の学校図書館はどんなライトノベル(文庫)を購入しているのか2018

以前にライトノベル学校図書館の取扱いに絡めて以下の記事を書きました。

 

あれからだいたい2年が経過して全体としては予算規模の変化による優先順位によるものなのか、選書傾向の変化によるものなのか、全体のレーベル傾向に関しては前回とさほど大きな変化はありませんが、もともと大きくなかった市場規模自体は確実に縮小傾向にあります。それを踏まえて変遷を見るべく17年10月-18年9月までに刊行されたライトノベル文庫のうち上位20位に来たアイテムを紹介したいと思います。全ての学校図書館を対象としたデータではありませんが、ある程度トレンドとしては見えてくるものがあると思います。

 

集計対象:2017年10月-2018年9月に刊行されたライトノベルレーベルの文庫

集計対象:レーベル:スニーカー文庫HJ文庫講談社ラノベ文庫電撃文庫GA文庫、ノベルゼロ、ぽにきゃんBOOKSガガガ文庫富士見ファンタジア文庫MF文庫Jダッシュエックス文庫オーバーラップ文庫ファミ通文庫ヒーロー文庫モンスター文庫、KCG文庫

※紹介タイトルの多様性を確保するため、集計期間内に複数冊刊行になっているシリーズについては売上の多かった巻数を掲載しています。

 

【中学校の学校図書館で受注の多かったライトノベル(文庫)】

1.カゲロウデイズ 8(じん/KCG文庫)

カゲロウデイズVIII -summer time reload- (KCG文庫)

カゲロウデイズVIII -summer time reload- (KCG文庫)

 

 2.キノの旅 21(時雨沢恵一/電撃文庫

 3.ソードアート・オンラインプログレッシブ 5(川原礫/電撃文庫

 4.Re:ゼロから始める異世界生活 16(長月達平/MF文庫J

5.ソードアート・オンラインオルタナティブガンゲイル・オンライン 7(時雨沢恵一/電撃文庫

 6.未来のミライ細田守/スニーカー文庫

未来のミライ (角川スニーカー文庫)

未来のミライ (角川スニーカー文庫)

 

 7.魔法科高校の劣等生 24(佐島勤/電撃文庫

魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編<上> (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編<上> (電撃文庫)

 

8.新約とある魔術の禁書目録19(鎌池和馬/電撃文庫

9.この素晴らしい世界に祝福を! 13(暁なつめ/スニーカー文庫

10.アクセル・ワールド 22(川原礫/電撃文庫

アクセル・ワールド22 -絶焔の太陽神- (電撃文庫)
 

11.86-エイティシックス- Ep.3(安里アサト/電撃文庫

12.ソードアート・オンラインオルタナティブ クローバーズ・リグレット 2(川原礫 渡瀬草一郎/電撃文庫

13.ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 13(大森藤ノ/GA文庫

14.ノーゲーム・ノーライフ 10(榎宮祐/MF文庫J

15.りゅうおうのおしごと! 7(白鳥士郎 西遊棋/GA文庫

りゅうおうのおしごと! 7 (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 7 (GA文庫)

 

16.はたらく魔王さま! 18(和ケ原聡司/電撃文庫

はたらく魔王さま!18 (電撃文庫)

はたらく魔王さま!18 (電撃文庫)

 

17.ピンポンラバー 1(谷山走太/ガガガ文庫

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

 

18.6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。(大澤めぐみ/スニーカー文庫

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)

 

19.ようこそ実力至上主義の教室へ 7(衣笠彰梧/MF文庫J

20.薬屋のひとりごと 7(日向夏/ヒーロー文庫

薬屋のひとりごと 7 (ヒーロー文庫)

薬屋のひとりごと 7 (ヒーロー文庫)

 

 以上です。今回20位までとしたのは集計が煩雑だったのもありますが、上位タイトルに受注が集中してそれ以下は実質的にほとんどどんぐりの背比べ状態になっているからでもあります。前回集計同様、もはやレーベルとしては唯一の刊行タイトルとなっている「カゲロウデイズ」が1位に来ていますが、あとは納得の定番ラインナップが並ぶ中、ガガガ文庫の「ピンポンラバー」とスニーカー文庫の「6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。」がランクインしているのは大健闘といえるでしょう(個人的にも安心しておすすめできるタイトルです)。公共図書館編についても別途機会を改めて紹介したいと思います。

 

ブログにテーマ別カテゴリー設定しました

もともと当ブログはそもそもの経緯として2013年11月、発作的に記事をひとつ書くためだけに誕生した自身8つめのブログで、1年以上放置した後の2015年3月あたりから読んだ本の記録用に再開したブログになります。

当初は月別のまとめとして保存するくらいの意図で始めたこともあり、特にカテゴリ設定をしていなかったのですが、読んだ本をもとにいろいろまとめ紹介記事も作るようになり、気がついたら187記事まで増えていました。

 

よくよく考えてみたら、おすすめ記事を作っているのに探しづらいというのは本末転倒なので、ざっくりとではありますが本に関する記事をカテゴリ分けしました。


・月別読んだ本 (42)
・月別新作おすすめ本 (40)
・購入検討&気になる本 (39)
ライトノベル企画記事 (20)
・半期別おすすめライトノベル (11)
・半期別おすすめライト文芸 (6)
・好きラノ投票 (6)
・本の探し方・買い方 (5)
・このキャラ文芸がすごい (4)
・半期別おすすめ一般文庫 (4)
・一般文庫・ライト文芸企画記事 (4)
・年別おすすめ本 (2)
・半期別おすすめ単行本 (1)

 

若干今更感もありますが、これで少しでも使い勝手が向上すれば幸いです。