読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2018年5月に読んだ新作おすすめ本

 5月はラノベ各レーベルがそれぞれインパクトのある恋愛小説を出してきて、なかなか豊作の月でした。特に「三角の距離は限りないゼロ」や「スカートのひみつ」など電撃文庫はこういう作品も精力的に出すようになってきていますね。ファンタジー戦記ではGA文庫の「天才王子の赤字国家再生術」がなかなか面白かったです。ライト文芸では「完璧主義男に迫られています」(富士見L文庫)、一般文庫レーベルでは「年下のセンセイ」(幻冬舎文庫)、「次回作にご期待下さい」(角川文庫)、そしてやや難解なところもありますが「プラネタリウムの外側」(ハヤカワ文庫JA)を推しておきたいと思います。

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

 

 過去の苦い経験から「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季が、印象的な出会いを果たした物静かな転校生・水瀬秋玻に惹かれ、彼女ともうひとりの人格・春珂を支えるようになってゆく不思議な恋物語。しっかりものの秋玻と対照的な危なっかしい印象の春珂。状況的に春珂をフォローすることが多い四季と二人を見つめる秋玻の繊細な距離感がまた絶妙で、大切な存在なのにすれ違ってしまうやるせなさだったり、ごまかさずにきちんと想いをぶつけてゆく彼らの青春がとても良かったですね。終盤は挿絵の使い方も効いていて続巻が今から楽しみです。

スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)

 

 同級生の八坂幸喜真に触発された女装男子の天野翔が、彼のプロデュースで女装に目覚めたメアリーと共に女装アイドルを目指す青春小説。病院にいる「あの子」のために女装アイドルを目指すことになった天野翔視点と、丸井宴花との出会いから人生が変わってゆく広瀬怜視点の二つの物語が交錯する展開はぐいぐい読ませるだけの勢いがあって、物語を牽引する目をそらせない八坂の圧倒的な存在感と、「あの子」への献身的で不器用な熱い思いがその心を揺さぶって、伏線を回収して収束してゆく物語が見せてくれたその結末にはぐっと来るものがありました。

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)

 

 大手ラノベまとめサイト管理人の高校生・姫宮新。高校では浮いた存在の彼が、とある記事作りから《このラブコメがすごい!!》三位の作者が意中のクラスメイト・京月陽文だと知ってしまう青春ラブコメディ。マーケティングに精通し面白いことは重要ではないとすら考える新と、彼にラブコメの書き方を教わろうとする陽文。陽文への想いを自覚する不器用な新の困惑と迷走には頭を抱えましたが、そんな閉塞しかけた状況を見事ぶち壊してみせた陽文の真っ直ぐな想いが眩しくて、二人が取り戻した彼ららしいかけがえのない日常が印象に残る物語でした。

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

 

 ほぼ全ての人工衛星が落下した大流星群から三年。たった一人の犠牲者・天野河星乃を救うため、全てを諦めかけていた平野大地が希望を見出し運命に抗う物語。宇宙飛行士だった両親の夢を追いかけていた星乃。コスパ重視だった人生も彼女を失いやる気をなくしていた大地。希望を見出すものの思うようにうまく行かなくて、それでも大切なものを取り戻すという熱い決意を胸に、危機になりふり構わず奔走して、醒めていた大地自身もまた変わってゆく展開はテンポも良くて、変化したことがこれからどう影響していくのか、非常に楽しみな新シリーズですね。

 妹・映のラノベを理解したいという相談を受けて、文芸部に所属する兄の荒巻天太がちょっと変わった彼女・帆影歩たちと一緒にラノベを考えてゆくラブコメディ。なんだか二人の恋人らしくない雰囲気に本当に付き合っているのか疑問に思うブラコン気味の映と、ラノベの話をしているはずなのになぜか斜め上の生物学的小ネタをぶっこんでくる不思議少女・歩。噛み合っていなくても自分なりに頑張ろうとする歩はどこか可愛くて、そんな真意が見えてこなかった彼女がエピローグで淡々と語った天太への想いにはついニヤニヤしてしまいました。続巻に期待。

 桜の木から落ちてきた宮村花恋と運命的な出会いを果たした野田進。なのにそんな幸せを実感できない彼の前に、エキセントリックな孤高の天才児・西條理々が現れる青春小説。進を青春不感症と指摘し、楽園追放計画に誘う西條との恋心とは呼べない背徳的な関係。一方で真っ直ぐないい子だとは思うものの、なぜか心動かない花恋との関係。不器用にしか生きられない彼らの最低の選択が皮肉にもその心境に変化をもたらしたりで、これから三人の関係がどのように変わってゆくのか、読む人を選びそうな作品ですが自分はその結末を読んでみたいと思いました。

→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)

→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)

 

 他人との関わりを避け、ぼっち高校生活を送っていた軒嶺緋色のネット恋愛の恋人スモモ。引きこもりだったはずの彼女が突如緋色の高校に入学してきて、リアルの彼女になってしまう青春小説。緋色の高校生活を一変させたスモモの存在と思い描くほど上手くいかないリアルな日常、そしてふとしたきっかけから対応を誤り炎上してしまう二人の関係。不用意な面もあったとはいえコミュ障には厳しい展開でしたが、ここで黒歴史だったはずの元カノの存在がなかなか効いてましたね。わりといい感じにまとまっていただけに、続巻をどう進めるのか気になります。

 病床の国王に代わり摂政として弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で臣下からの信頼も厚い彼が、絶望的な状況から密かに売国を志す弱小国家運営譚。状況を正しく認識して先を見通せるからこそ絶望を感じるウェイン。上手く終わらせるための手を打つのに、それがなぜか効果的な一手に繋がる皮肉な状況の変化や展開の連続でしたけど、ウェインが彼なりに最善へ真摯に取り組んだ結果だからこそ納得感がありました。補佐官のニニムに対する想いも気になる彼にいつか心境の変化はあるのか、どこまでやれるのか続巻が楽しみですね。

 司書と王女の世界大戦 アイリス王国再興記 (Novel 0)

※なんかAmazonへのリンクがエラーになっています。

 かつて神器を操る七人の英雄が、大陸全土を支配せんとした巨大帝国征伐に多大な貢献をした「英雄戦争」。その裏で存在を消され全てを失った八人目の英雄・セナが、その智謀で歴史を塗り替えるファンタジー。小国の王女メアが拾ってきたぐうたら司書セナに振り回され、なぜか異例の出世を果たしてゆくメアの護衛女騎士クローネ。隣国・グイネットの侵攻から始まった全てを取り戻すための逆襲劇にはスピード感があって、ようやくスタートラインに立ったここからどう展開していくのか、ヒロインたちとの今後を含めて続巻に期待したい新シリーズです

悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

 

 黒い海を越え呪われた悪魔の島にやってきた死霊術師の孫・シュガーリア。そんな彼女が大罪人の男・ヨクサルと出会う愛など知らない男と愛しか知らない少女の物語。可愛がってくれた大切な人たちを失い復讐を志すシュガーリアと、無数の罪をその身に刻み『孤独を力にかえる』悪魔を背負うヨクサル。最初は滅びの運命に囚われ絶望しかなかった二人が、不器用なやり取りを積み重ねていくうちに育んでいった想い、そして相手の危機に命を賭けて飛び込んでいく勇気がもたらした結末には確かな救いがあって、著者さんらしい世界観を存分に堪能できました。

完璧主義男に迫られています (富士見L文庫)

完璧主義男に迫られています (富士見L文庫)

 

 イベント会社でバリバリ働く卯月陽菜に告白したのは、営業の堅物なイケメン完璧主義男・長谷川薫。キッパリ断った陽菜が、諦めない長谷川の誠実かつ隙のないアプローチに迫られてゆくラブコメディ。好きになったものの、理想からかけ離れている陽菜を自分好みの女性にしようとする長谷川。小言は多いけれどぞっこんで誠実な長谷川の積極性に、いろいろトラブルもフォローしてくて、きちんと向き合うようになってゆく陽菜の関係がいいですね。長谷川の独占欲も可愛くて、いつの間にか甘々なカップルになっていてごちそうさまという感じでした(苦笑)

魔女の魔法雑貨店 黒猫屋 猫が導く迷い客の一週間 (集英社オレンジ文庫)

魔女の魔法雑貨店 黒猫屋 猫が導く迷い客の一週間 (集英社オレンジ文庫)

 

 困りごと、迷い客の目の前にふと現れる「魔女の魔法雑貨店 黒猫屋」街で噂の魔女で黒猫屋の店主でもある淑子さんが迷い込んできたお客にささやかな奇跡を起こす連作短編集。おばあちゃんが庭で育てていた命の花の正体、コスメカウンターの新米魔女が悩んでいた勘違い、花屋の後輩に贈られた花の本当の意味、亡くなった兄から家族へのメッセージ。常連たちと不定期に魔女のお茶会を開く淑子さんが、最初は魔女の魔法に懐疑的だった彼女たちの誤解を解きほぐしつつ、肩の荷をそっと下ろしてあげる優しさがじんわり温かく感じられた素敵な物語でした。 

たとえば君が虚像の世界 (集英社オレンジ文庫)

たとえば君が虚像の世界 (集英社オレンジ文庫)

 

 幼馴染の杉崎颯河に密かに想いを寄せる星莉が自分の机の上で発見したノート。そこに書かれた未来の自分の予告が実現するのを目の当たりにした星莉は、颯河と距離を置くようにとの警告を信じて離れる決心をする物語。予告どおりに離れようと努力しているのに、なぜか逆に近づいていく颯河との距離。ところどころおかしい部分が散見される世界に気づいた星莉と、明らかになる二人がすれ違った悲劇の真相。テンポ良く進む展開の先に用意された結末にはやや唐突な感もありましたけど、一緒に乗り越えた二人がもう一度やり直す未来を信じたくなりました。 

ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)

ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)

 

 19世紀英国。父母を亡くし一族から疎まれ異母兄に北イングランドの神学校へ送られたオーランドが、この世の怪を蒐集する若き日のラフカディオ・ハーンと出会い様々な怪異と出会う奇譚集。生者を道連れに誘う幽霊列車、夜の寄宿舎を彷徨う砂男、哀切に歌う人魚の木乃伊の正体、そして墓場で見つけた人形を巡る物語と、著者さんらしい世界観の中で怪異好きなパトリックに振り回されがちなオーランドというコンビが、その真相を解き明かしながらお互いの信頼関係を積み重ねてゆく展開はなかなか良かったですね。続巻あるならまた読んでみたいです。  

語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)

 

 少女ノゾムが難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。そこで出会った奇妙な青年カタリから「Who」「Where」「How」など、事件を推理するためのレクチャーを受けて成長していく物語。ゲームクリアの条件は謎を解いて生き残ること。そこでクリアを目的としていないかのように見えるカタリの助けを得ながら、広大な半球密室、水に満たされた直方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体といった謎に挑んでいく展開は、淡々と綴られながらもおっと思うような仕掛けもあったりで、そんな物語が迎えた結末はなかなか良かったですね。

 

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)

 

 有機素子コンピュータによる会話プログラムの共同研究者を失い何も手につかなくなった南雲助教と、列車に轢かれて亡くなった元恋人の会話を再現しようとする学部生の佐伯衣理奈。そんな前に進めない二人が巡り合う連作短編集。会話プログラムとのやりとりを交えつつ繰り広げられる、共同研究者、契約社員、元恋人、そして南雲と衣理奈のエピソード。概念自体はやや難解でしたが、理系らしい合理思考と割り切れない情念のせめぎ合いの中で変化してゆく不器用な人間模様はとても優しくて、そんな彼らが迎えた結末はなかなか心に響くものがありました。

年下のセンセイ (幻冬舎文庫)

年下のセンセイ (幻冬舎文庫)

 

 予備校に勤める28歳の本山みのり。後輩に誘われ生け花教室に通い始め、助手を務める8歳下の透と出会う彼女が、元カレの結婚式の帰りにバーでバイトをする透に再会する恋愛小説。変化のない日々をこれでいいのかという思いと、変化を恐れる気持ちで揺れるみのりが出会った年下の透。惹かれるけれど臆病になってしまうみのりと、進学で地元を離れるのに真っ直ぐに思いをぶつけてくる透のやりとりがドキドキして、もやもやしたりどうしようもなく恋しくなったり、二人を繋いだ生け花を効果的に使いながら綴ってゆく、可愛くて甘い素敵な物語でした。

銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)

銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)

 

 写真部の部室整理で偶然見つけた銀塩写真に魅せられ、撮影した写真家の弘一に師事することになった陽太郎。そんな彼が偶然師の銀塩写真探偵という秘密を知ってしまう物語。ネガに写る過去に入りこんで弘一が探していた亡き友の大切な思い。弘一の姪・杏奈とともに彼を助けて過去を探る過程で明らかになってゆく意外な繋がりと、ようやく見つけ出した真実。苦い過去は変えられなくても踏み込んだことで気づけたこともたくさんあって、弘一から銀塩写真探偵を引き継ぐ二人がこれからどんな物語を紡いでいくのか、是非続きが読んでみたいと思いました。 

次回作にご期待下さい (角川文庫)

次回作にご期待下さい (角川文庫)

 

 仕事に追われる月刊漫画誌の若き編集長で苦労人の眞坂崇とトンデモ天才漫画編集者・蒔田が、漫画バカの編集者たちや漫画に命をかける漫画家たちとともに日常のお仕事に潜む謎を解き明かしてゆくお仕事小説。落とし物をきっかけに出会ったビルの夜間警備員・夏目の謎、打ち切りに悩む漫画家とのやりとりやヘッドハンティング、そして盗作疑惑の真相など、漫画雑誌はほんと大変な仕事なんだなと実感させる一方で、それでも登場人物たちが面白い漫画を作りたいという想いからぶつかり合うなかなか熱い作品でした。これは次回作も期待できますね(苦笑)

星降プラネタリウム (角川文庫)

星降プラネタリウム (角川文庫)

 

 観光地化された星空が素敵な島を捨てた渡久地昴が就職先で配属されたのはプラネタリウム事業課。複雑な思いを抱える彼が魔法使いのようにプラネタリウムの解説をする望月と出会う物語。観客を魅了する望月の手腕や、変わり者の同僚たちにも触発されて仕事に前向きになってゆく昴と、幼き日に約束を交わした天音の再会。いくつもの人間関係と星空への思いのバランスをうまく取りつつ描かれてゆくエピソードでしたが、様々な出会いから心境も少しずつ変わってゆく中、昴が担当することになった故郷の島での星空解説にはぐっと来るものがありました。

ドルフィン・デイズ! (角川文庫)

ドルフィン・デイズ! (角川文庫)

 

 大学卒業後もダイビング以外は興味を持てず、就職も決まらない蒼衣。そんな彼がドルフィントレーナー採用試験でイルカやトレーナーの凪たちと出会いのめり込んでゆくお仕事小説。そこそこ器用だけれどプライドが高い蒼衣が魅せられ、仲良くなった相棒イルカ・ビビと共に目指すショーデビュー。熱くなるとつい周りが見えなくなって失敗するその性格は、一方でまっすぐでひたむきな一面もあって、イルカには致命的な異変が見つかったビビやイルカを愛する仲間とともに、その危機を乗り越えるべく奮闘し成長してゆく姿にはぐっとくるものがありました。

おなじ世界のどこかで (角川文庫)

おなじ世界のどこかで (角川文庫)

 

 どこにいても、すぐ人や情報とつながれる気軽さと便利さがあるメールにSNS、インターネット検索。ネットとリアルの中で自分の居場所を探す人々の姿やつながりを描く連作短編集。思いがけず目にした戦地の動画に動揺する中学生とその友人、環境の変化に自分がどうすべきか悩む父親、顔が見えないファンの反応に一喜一憂するネットアイドル、娘の成長を逐一ブログにつづる母親、シリコンバレーの大富豪など、登場人物たちはそれぞれ何かで繋がっていて、目の前のことに惑わされ見失いかけていた大切なものを思い出す展開はなかなか良かったですね。

天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 (宝島社文庫)

天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 (宝島社文庫)

 

 かつて天才詐欺師として名を馳せた夏目。突然目の前に現れた自分の娘だという小春から依頼を受け、仲間とともに依頼者たちを救う父と娘の連作短編ミステリ。小春が生まれ育った修道院の危機、YouTuberと大人気ゲーム機の不正抽選の謎、結婚詐欺師へ仕掛けるペテンや老人を狙った霊感詐欺と、辛い思いをした依頼人たちのため仲間と仕掛ける夏目の用意周到な解決策は、相手を心理的に追い詰めていく過程が秀逸でその結末も効いていました。小春との親子関係の今後や因縁の橋爪との決着も残っていますし、続巻あったらまた読んでみたいですね。

キングレオの冒険 (文春文庫 ま 41-1)

キングレオの冒険 (文春文庫 ま 41-1)

 

 京都の街で相次いで起きるシャーロック・ホームズ譚を模した殺人事件。日本探偵公社の若きスター・天親獅子丸と、助手の大河がそれらの事件解決に挑むミステリ。探偵に存在感がある世界の京都を舞台に、唯我独尊な性格で騒動を引き起こす名探偵・獅子丸と、そんな彼の助手で探偵公社でスクリプトライターも務めながら密かに作家デビューを志す大河の複雑な関係。そして解決してゆく中で繋がってゆく事件と、裏で糸を引く存在との対決。テンポ良い展開の中で彼らの名コンビっぷりと周囲の人間模様、そして何より著者さんらしい謎解きを楽しめました。

満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫)

満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫)

 

 高校卒業時、調理師免許が取得できる食物調理科。和洋中スイーツ、舌がとろけるような絶品料理の調理を夢見る30名の調理師の卵たちが、奮闘し成長してゆく青春調理小説。ギロンを重ねて時にはぶつかり合って一致団結しながら、小梅先生のもとで調理師として大切なことを学んでいく30名の調理師の卵たち。最初は受け身で失敗ばかり重ねていた彼らが、いつの間にか自ら考えて先生に提案するようになって、それぞれが日々懸命に腕を磨いて試行錯誤を繰り返し、大切なものを見出してゆく先にあった彼らの成長と結末にはぐっと来るものがありました。

蕃東国年代記 (創元推理文庫)

蕃東国年代記 (創元推理文庫)

 

 唐と倭国の間に浮かぶ麗しき小国・蕃東。その知識や儀礼を司る貴族の家に生まれた青年・宇内と彼の従者・藍佐が出会った驚異や神秘を描く空想世界の御伽草子。中華と和風が入り混じったような世界観のどこかの怪異や不思議な話をまとめたような連作短編の構成で、雨竜を見物する話や舟に乗り合わせた4人を幻惑するあやかし、酒を酌み交わしながら不思議な物語を披露する話、美しい中将を愛した二人の物語など、淡々と綴られていくその雰囲気が良かったですね。個人的には一番最後の成り行きで求婚し幻の珠を探しに行く話の切ない結末が好きでした。

 

ぼくときみの半径にだけ届く魔法

ぼくときみの半径にだけ届く魔法

 

 売れない若手カメラマンの仁が偶然撮影した窓辺に立つ美しい少女・陽。難病で家から出られない彼女との出会いが二人の人生を奇跡のように変えてゆく物語。同級生の活躍に屈折した想いを抱いてしまっていた仁が、偶然出会った陽の依頼で様々な景色を撮って届けることになる運命の転機。それをきっかけに仁が活躍の場を広げてゆく一方で、難しい病に絶望を感じていた陽の逡巡にきちんと向き合おうとする育んできた二人の想いがあって。大変だった彼女の家族を思うとやや複雑な心情も残りますが、二人の出会いがもたらした奇跡には救われる思いでした。

放課後ひとり同盟

放課後ひとり同盟

 

 不幸だらけの状況に空から降ってくる不幸を蹴り続ける少女、気になる人を意識する高校生のままならない思い、再婚して違和感だらけになった家族と新たに加わった飼い犬、ストーカー気味な片想いの真実、少年が気づいた救ってくれた友人の真相。ままならない少年少女の不雑な心情を描いた青春連作短編集。登場人物たちはそれぞれゆるく繋がっている関係で、自分の努力では容易に解決しない問題を抱えていて、それゆえに辛い出来事にも遭遇しますが、ふとした転機からだいぶ救われた心境になってゆく、少しほろ苦いけれど悪くない読後感の物語でした。

海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと

海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと

 

 とある地方都市に蔓延した大人が死に至り子供に力が宿る病と侵略者たちとの戦い。海辺の病院を訪れる上原蒼が当時起こった出来事を思い出し語ってゆく物語。突然突きつけられた両親や町での多くの死と失われた平凡な日常、それをもたらした元凶・魔骸の存在。戦う手段を自覚し復讐しようとする蒼と、その過酷な戦いの過程で出会ったハルカたちとの間で育まれてゆく想い。徐々に明らかになってゆく大人の事情にも振り回されて、唐突にもたらされた終焉の結果はあまりにも理不尽で、だからこそ彼らの真摯な思いや心の叫びがとても印象的な物語でした。

5月に読んだ本 #読書メーターより

5月もまずまずの冊数読めました。続きものとしてはもう続巻が読めないのかと諦めかけていた「叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士」(電撃文庫)、「繰り巫女あやかし夜噺」(マイナビ出版ファン文庫)、「青雲を駆ける」(ヒーロー文庫)あたりが読めたのは良かったですね。ラノベはわりといいペースで新刊読めていますが、それ以外は読みたい本が多すぎて後追いで追いかけている状況が続いています。

 

5月の読書メーター
読んだ本の数:98
読んだページ数:25690
ナイス数:5383

好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)感想
妹・映のラノベを理解したいという相談を受けて、文芸部に所属する兄の荒巻天太がちょっと変わった彼女・帆影歩たちと一緒にラノベを考えてゆくラブコメディ。なんだか二人の恋人らしくない雰囲気に本当に付き合っているのか疑問に思うブラコン気味の映と、ラノベの話をしているはずなのになぜか斜め上の生物学的小ネタをぶっこんでくる不思議少女・歩。噛み合っていなくても自分なりに頑張ろうとする歩はどこか可愛くて、そんな真意が見えてこなかった彼女がエピローグで淡々と語った天太への想いにはついニヤニヤしてしまいました。続巻に期待。 
読了日:05月31日 著者:玩具堂
ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2 (角川スニーカー文庫)ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2 (角川スニーカー文庫)感想
家出JK・沙優との微妙な距離感の同居生活にも慣れてきた頃、彼女から切り出されたバイトをしたいという願い。そんななか片想い相手の後藤さんからなぜか2人きりの夕食に誘われる第二弾。遠慮していた沙優が自分のやりたいことを教えてくれた変化を喜ぶ吉田。そして明らかになってゆく後藤さんの本当の想いや、吉田の周囲の変化に複雑な心情を隠せない三島といった繊細な人間関係があって、けれどぶれない吉田の真っ直ぐな想いがあって。危ない場面もありましたが、周囲も暖かく見守る二人の関係がどんな結末を迎えるのかまた続巻が楽しみです。 
読了日:05月31日 著者:しめさば
<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 7.奇跡の盾 (HJ文庫)<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 7.奇跡の盾 (HJ文庫)感想
リューイを送り届けたトルネ村で始まった風星祭。しかしその時、過去に封じられたと言われる怪物・コクテン様の封印が解ける第七弾。第三形態に進化したネメシスとともに古代伝説級のUBM【黒天空亡モノクローム】に挑むレイと、混乱に乗じてレイを倒そうとするPKと対峙したビースリーの秘めていた真の実力。その力を見せつけたバトルに、レイの周囲にほんと実力者が多過ぎるなと苦笑いでしたが、外伝ではルークが謎解きから超級エンブリオに挑む展開。まだまだ力不足な部分もありますけど、彼もまた物語の主人公の一人になってゆくんですかね。
読了日:05月31日 著者:海道左近
戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 8 (HJ文庫)戦うパン屋と機械じかけの看板娘〈オートマタンウェイトレス〉 8 (HJ文庫)感想
ある日トッカーブロートにスヴェンの父親を名乗る謎の男・マイッツァーが現れ、一方王都ではソフィアがヒルダたちと新大陸国家ノアから来た正体不明の将軍を出迎え騒動に巻き込まれてゆく第八弾。反乱鎮圧後に静かに進行してゆく世界の始まりの核心に迫る秘密を巡る様々な思惑。密かに探っていたダイアンとブリッツドナーが遭遇するその真実。スヴェンの父親を名乗るマイッツァーも謎めいていましたが、様々な表情を見せた機械仕掛けの彼女たちの謎も物語の核心に繋がっていきそうで、それぞれの物語がどのように繋がってゆくのか続巻に期待ですね。
読了日:05月30日 著者:SOW
春華杏林医治伝 ~気鋭の乙女は史乗を刻む~ (コバルト文庫)春華杏林医治伝 ~気鋭の乙女は史乗を刻む~ (コバルト文庫)感想
実家に居づらくなり女性医官になった春霞が街で少し変わった青年・犀阮陽と出会い、その姉で原因不明の皮膚疾患に悩む皇帝の妃の一人・犀徳妃の世話をすることになるシリーズ第二弾。前巻から十八年が経過し珠理や碧翔も登場しますが、なかなか治らない犀徳妃の症状を巡る展開に、お互い辛い過去を抱える春霞と阮陽の関係を絡めて描かれる展開で、変わらないひとつの強い絆だったり、二人の不器用なロマンスが描かれる一方で、必ずしもそこだけに比重を置かないあたりにこのシリーズらしさがあったりで、続刊あるならまた読んでみたいと思いました。
読了日:05月30日 著者:小田 菜摘
青雲を駆ける 4 (ヒーロー文庫)青雲を駆ける 4 (ヒーロー文庫)感想
シエナ村を恐怖に陥れる不作が襲い、新しい技術を導入したことが原因だと糾弾されるエイジ。新しい技術を歓迎する若者たちと、不作の原因を新技術に求める年寄り衆とに住民が割れてしまう第四弾。タニアまで脅かされたことで自身の無実を晴らし、騒動を収めるために立ち上がることを決めたエイジ。受け身なままではダメだと自ら交渉に赴いたり打開策を講じたりと、タニアや周囲の助けも借りながらなんとかしようとする展開は物語としてもひとつの転機でしたかね。最後はあれはあれでエイジらしいと思いましたけど、今度の続巻は早めにお願いします。
読了日:05月30日 著者:肥前 文俊
満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫 す 28-1)満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫 す 28-1)感想
高校卒業時、調理師免許が取得できる食物調理科。和洋中スイーツ、舌がとろけるような絶品料理の調理を夢見る30名の調理師の卵たちが、奮闘し成長してゆく青春調理小説。ギロンを重ねて時にはぶつかり合って一致団結しながら、小梅先生のもとで調理師として大切なことを学んでいく30名の調理師の卵たち。最初は受け身で失敗ばかり重ねていた彼らが、いつの間にか自ら考えて先生に提案するようになって、それぞれが日々懸命に腕を磨いて試行錯誤を繰り返し、大切なものを見出してゆく先にあった彼らの成長と結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:05月29日 著者:須藤 靖貴
ウォーター&ビスケットのテーマ2 夕陽が笑顔にみせただけ (角川スニーカー文庫)ウォーター&ビスケットのテーマ2 夕陽が笑顔にみせただけ (角川スニーカー文庫)感想
8月をループする街架見崎で最大手チームの2つ「平穏な国」と「PORT」の交戦を予見した香屋歩とトーマが、戦いを引き分けに持ち込むためにもうひとつの大手チーム「架見崎駅南改札前」へ向かう第二弾。それぞれが内に課題を抱える「平穏な国」と「PORT」の思惑と、できるだけ平穏に終わらせるべく手を打ってゆく香屋とトーマ。なかなか真意が見えてこない駆け引きの応酬にはもどかしいながらも緊張感があって、地歩を固めるトーマと各国の首脳陣に確実に名前を覚えられてゆく香屋、そして秋穂がどんなことをしでかすのか続巻が楽しみです。
読了日:05月29日 著者:河野 裕,河端 ジュン一
薬草令嬢ともふもふの旦那様 (コバルト文庫 え 3-1)薬草令嬢ともふもふの旦那様 (コバルト文庫 え 3-1)感想
月夜に狼に変身してしまう秘密を抱え、極度の恥ずかしがり屋で一見無愛想な田舎領主のレナルド。なかなか結婚相手が見つからない彼が、一縷の望みをかけて顔を出した王都の夜会でちょっと変わった貴族令嬢のメレディスと出会う物語。不器用で最初は狼の姿でしかメレディスと言葉を交わせないレナルドと、薬草に精通し田舎暮らしにも前向きなメレディス。ぎこちない二人のやりとりはもどかしくもなりましたが、彼女の危機に颯爽と立ち向かうレナルドと助けられる側に甘んじないメレディスはお似合いで、お幸せにと素直に祝える素敵なカップルでした。
読了日:05月28日 著者:江本 マシメサ
居酒屋ぼったくり〈2〉 (アルファポリス文庫)居酒屋ぼったくり〈2〉 (アルファポリス文庫)感想
少し変わったおいしい餃子の焼き方に、馨の代わりに哲のお弁当作り、哲の両親の昔ながらの喫茶店の立て直し策など、第二弾になっても美音たちの試行錯誤しながらもきめ細かな工夫と真摯に向き合おうとする姿勢や、ときにはお互いの相談にも乗ったりお客さんとの距離感も相変わらずいいですね。親の仕事を継ぐかどうかの難しさだったり、チェーン店が進出する現状でのお店のあり方だったり、これが正解ということはないんでしょうが、いろいろ考えさせてくれることの多い物語です。要さんとの関係もこれから変わってゆくのかちょっと気になりますね。
読了日:05月28日 著者:秋川 滝美
放課後ひとり同盟放課後ひとり同盟感想
不幸だらけの状況に空から降ってくる不幸を蹴り続ける少女、気になる人を意識する高校生のままならない思い、再婚して違和感だらけになった家族と新たに加わった飼い犬、ストーカー気味な片想いの真実、少年が気づいた救ってくれた友人の真相。ままならない少年少女の不雑な心情を描いた青春連作短編集。登場人物たちはそれぞれゆるく繋がっている関係で、自分の努力では容易に解決しない問題を抱えていて、それゆえに辛い出来事にも遭遇しますが、ふとした転機からだいぶ救われた心境になってゆく、少しほろ苦いけれど悪くない読後感の物語でした。
読了日:05月27日 著者:小嶋 陽太郎
次回作にご期待下さい (角川文庫)次回作にご期待下さい (角川文庫)感想
仕事に追われる月刊漫画誌の若き編集長で苦労人の眞坂崇とトンデモ天才漫画編集者・蒔田が、漫画バカの編集者たちや漫画に命をかける漫画家たちとともに日常のお仕事に潜む謎を解き明かしてゆくお仕事小説。落とし物をきっかけに出会ったビルの夜間警備員・夏目の謎、打ち切りに悩む漫画家とのやりとりやヘッドハンティング、そして盗作疑惑の真相など、漫画雑誌はほんと大変な仕事なんだなと実感させる一方で、それでも登場人物たちが面白い漫画を作りたいという想いからぶつかり合うなかなか熱い作品でした。これは次回作も期待できますね(苦笑)
読了日:05月27日 著者:問乃 みさき
星降プラネタリウム (角川文庫)星降プラネタリウム (角川文庫)感想
観光地化された星空が素敵な島を捨てた渡久地昴が就職先で配属されたのはプラネタリウム事業課。複雑な思いを抱える彼が魔法使いのようにプラネタリウムの解説をする望月と出会う物語。観客を魅了する望月の手腕や、変わり者の同僚たちにも触発されて仕事に前向きになってゆく昴と、幼き日に約束を交わした天音の再会。いくつもの人間関係と星空への思いのバランスをうまく取りつつ描かれてゆくエピソードでしたが、様々な出会いから心境も少しずつ変わってゆく中、昴が担当することになった故郷の島での星空解説にはぐっと来るものがありました。 
読了日:05月26日 著者:美奈川 護
おなじ世界のどこかで (角川文庫)おなじ世界のどこかで (角川文庫)感想
どこにいても、すぐ人や情報とつながれる気軽さと便利さがあるメールにSNS、インターネット検索。ネットとリアルの中で自分の居場所を探す人々の姿やつながりを描く連作短編集。思いがけず目にした戦地の動画に動揺する中学生とその友人、環境の変化に自分がどうすべきか悩む父親、顔が見えないファンの反応に一喜一憂するネットアイドル、娘の成長を逐一ブログにつづる母親、シリコンバレーの大富豪など、登場人物たちはそれぞれ何かで繋がっていて、目の前のことに惑わされ見失いかけていた大切なものを思い出す展開はなかなか良かったですね。
読了日:05月26日 著者:藤野 恵美
おとなりの晴明さん 第二集 ~陰陽師は初夏に縁を導く~ (メディアワークス文庫)おとなりの晴明さん 第二集 ~陰陽師は初夏に縁を導く~ (メディアワークス文庫)感想
お隣に住む晴明さんに現世の暮らしを教えるかわりに、陰陽道を教えてもらおうとする女子高生・桃花の二人が京都で紡ぐあやかしファンタジー第二弾。人知れず起こる逢坂の関の危機、動物の魂を導く冥官との出会い、とうふを愛するとうふ小僧の物語、七夕の神社で結ばれる人々の思い。飄々とした晴明さんと家族ぐるみの付き合いになっている素直な桃花を中心に、茜さんや山根家の双子なども登場したりで、篁のうちの時子様っぷりもあれでしたけど、晴明さんの桃花への構いっぷりも負けてない感じに(苦笑)また続巻で彼らのお話が読めるといいですね。
読了日:05月25日 著者:仲町 六絵
銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)感想
写真部の部室整理で偶然見つけた銀塩写真に魅せられ、撮影した写真家の弘一に師事することになった陽太郎。そんな彼が偶然師の銀塩写真探偵という秘密を知ってしまう物語。ネガに写る過去に入りこんで弘一が探していた亡き友の大切な思い。弘一の姪・杏奈とともに彼を助けて過去を探る過程で明らかになってゆく意外な繋がりと、ようやく見つけ出した真実。苦い過去は変えられなくても踏み込んだことで気づけたこともたくさんあって、弘一から銀塩写真探偵を引き継ぐ二人がこれからどんな物語を紡いでいくのか、是非続きが読んでみたいと思いました。
読了日:05月25日 著者:ほしお さなえ
わが家は祇園の拝み屋さん8 祭りの夜と青い春の秘めごと (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん8 祭りの夜と青い春の秘めごと (角川文庫)感想
澪人が作った対策チームの頑張りによって京都に平和が戻り、ミステリー研究会としての活動を再開した小春たち。交際宣言後した二人とそれぞれのその後が描かれる第八弾。みんなの前で交際宣言したのになぜかそっけない澪人と、彼の態度に不安を募らせてゆく小春。そんな二人に周囲もやきもきする展開でしたが、澪人も難しく考え過ぎというか、ただ明かされた思わぬ真相には確かに複雑な面持ちにもなりますか(苦笑)今後に向けていろいろと気になる変化の兆しも感じましたが、何よりもこれは宗次郎さんの動向に要注目ですね。続刊も期待しています。
読了日:05月24日 著者:望月 麻衣 
神話伝説の英雄の異世界譚 10 (オーバーラップ文庫)神話伝説の英雄の異世界譚 10 (オーバーラップ文庫)感想
激化する六ツ国との戦争の中、敵支配下にあるフェルゼンの新王都サンディナルに迫るリズ達。一方アングイスの女王ルシアと密かに接触した黒辰王が彼女と約定を交わす第十弾。グランツが主力を西に向けたことで動き出す諸国の動向。明らかになってゆく千年前の因縁と、新たな動きを見せてゆく具体的に動き始めた黒死郷。それぞれの思惑が絡む決着に向けて動き出した展開の中で、悲壮な決意をする黒辰王とリズが再び邂逅したわけですが、そろそろリズは黒辰王のことぶん殴って強引に振り向かせてもいいんじゃないですかね(苦笑)その辺も続刊に期待。
読了日:05月24日 著者:
俺もおまえもちょろすぎないか2 (MF文庫J)俺もおまえもちょろすぎないか2 (MF文庫J)感想
恋人として瞬く間に関係を深め、お互いの両親も公認の二年後の結婚を約束した功成とつぶら。そんな二人の前に功成が以前告白してフラれたギャルの先輩・青原稀が現れる第二弾。当面のイチャイチャを封印した二人の前に現れ、衝撃的な告白が忘れられず想いを伝えてきた稀先輩。その積極的な姿勢につい納得する二人のちょろさには苦笑いでしたけど、功成を信じていたつぶらも急展開の連続に冷静でいられなくなって、ドタバタしていく感じはなかなか良かったです。きちんと向き合った功成とつぶらでしたけど、まだまだ二人を巡る騒動は続きそうですね。
読了日:05月23日 著者:保住 圭
14歳とイラストレーター5 (MF文庫J)14歳とイラストレーター5 (MF文庫J)感想
白砂の提案を受け、気分転換で八丈島へ旅行に行くことになったユウトと女性陣。都心にはない自然やグルメを堪能する2泊3日の旅に向かう第五弾。二色脱落でユウト+女性陣のみになるのはお約束ですが、今回地元で張り切る白砂はもとより、二人きりで深夜に作品の打ち合わせをするマリィだったり、相変わらず難儀な状況に置かれているナスさんとの関係だったり、無防備で元気いっぱいの乃ノ香だったり、それぞれに見せ場があって良かったですね。そんな中でやや立ち位置が難しかった感もあった乃ノ香の新たな決意とこれからを応援したくなりました。
読了日:05月23日 著者:むらさき ゆきや
君死にたもう流星群 (MF文庫J)君死にたもう流星群 (MF文庫J)感想
ほぼ全ての人工衛星が落下した大流星群から三年。たった一人の犠牲者・天野河星乃を救うため、全てを諦めかけていた平野大地が希望を見出し運命に抗う物語。宇宙飛行士だった両親の夢を追いかけていた星乃。コスパ重視だった人生も彼女を失いやる気をなくしていた大地。希望を見出すものの思うようにうまく行かなくて、それでも大切なものを取り戻すという熱い決意を胸に、危機になりふり構わず奔走して、醒めていた大地自身もまた変わってゆく展開はテンポも良くて、変化したことがこれからどう影響していくのか、非常に楽しみな新シリーズですね。
読了日:05月23日 著者:松山 剛
明治あやかし新聞 三 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)明治あやかし新聞 三 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)感想
久馬・艶煙と三人で酉の市に出かけて、彼らの昔馴染の藤治郎に遭遇した香澄。それをきっかけに艶煙の過去の因縁が明らかになってゆく第三弾。妻の死を乗り越えられない店主、消えた姉と鬼火事件、そして縁談を断る女中の真意。昔馴染みとの出会いから明らかにされてゆく艶煙の過去と因縁。それぞれの事件は実は繋がっていて、現在にまで繋がっていた艶煙が今も探す男との因縁を決着させる展開でしたけど、久馬と香澄の縮まっているような、そうでもないような何ともいえない距離感がらしいというべきか、その辺の変化も含めて続巻に期待しています。
読了日:05月23日 著者:さとみ桜
落第騎士の英雄譚14 (GA文庫)落第騎士の英雄譚14 (GA文庫)感想
一輝やステラがそれぞれの戦いを優位に進める中、夜叉姫・西京寧音と砂漠の死神・ナジームという二人の魔人による戦い、傀儡王とその姉・黒騎士の戦いが描かれる第十四弾。人外めいた戦いになった寧音とナジームの戦いは、文字通りこれまでの積み重ねが勝敗を分けるなかなか良い決着でしたけど、傀儡王と黒騎士の戦いの意外な結末は一輝の見せ場作りな側面もありましたかね。そろそろ終りが見えてきたようにも思えるヴァーミリオン編がどんな決着を迎えるのかも気になりますが、彼らの強さの次元をこれからどう表現していくのかも気になりました。 
読了日:05月23日 著者:海空 りく
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?5 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?5 (ファンタジア文庫)感想
ゲーム世界の母親1位を決める天下一母道会に出場することになった真々子。優勝候補として真々子が注目を集める中、愛する息子のため色んな姿に変身しながら様々な種目で色んな種族の母親たちと戦う第五弾。お母さんたちからモテモテのお母さんキラー・真人に真々子がやきもちを焼くとかいう展開もありましたが、いろんな種族のお母さんたちがこれだけ集まると壮観ですね(苦笑)今回もやはり真々子の息子愛が炸裂してましたが、これからHAHAKOさんの再登場はあるのか、アンチ母親な秘密組織もまだまだ諦めていないようで、今後の展開に期待。
読了日:05月22日 著者:井中 だちま
繰り巫女あやかし夜噺 ~かごめかごめかごのとり~ (マイナビ出版ファン文庫)繰り巫女あやかし夜噺 ~かごめかごめかごのとり~ (マイナビ出版ファン文庫)感想
玉繭神社で機織りの巫女として働きつつ、大学で非常勤講師として機織も教える絹子。お馴染みの仲間たちに加え、大家の血縁である少女・ハジメなど新たな人物も登場する第二弾。女性の肩の不気味な腫物、長い髪の女性の髪を切る通り魔、突然神隠しに遭った男の子の行方。気持ちのいい食いっぷりを見せる絹子に大学生の友人が増えたり、彼女や大家たちの事情も明らかになったり、物語としてだいぶこなれてきましたね。人のおぞましさを思い知らされる各エピソードでしたけど、その先にある意外な結末に少し救われる思いでした。続刊も期待しています。
読了日:05月22日 著者:日向夏
完璧主義男に迫られています (富士見L文庫)完璧主義男に迫られています (富士見L文庫)感想
イベント会社でバリバリ働く卯月陽菜に告白したのは、営業の堅物なイケメン完璧主義男・長谷川薫。キッパリ断った陽菜が、諦めない長谷川の誠実かつ隙のないアプローチに迫られてゆくラブコメディ。好きになったものの、理想からかけ離れている陽菜を自分好みの女性にしようとする長谷川。小言は多いけれどぞっこんで誠実な長谷川の積極性に、いろいろトラブルもフォローしてくて、きちんと向き合うようになってゆく陽菜の関係がいいですね。長谷川の独占欲も可愛くて、いつの間にか甘々なカップルになっていてごちそうさまという感じでした(苦笑)
読了日:05月21日 著者:桜川 ヒロ
幻宮は漠野に誘う 金椛国春秋 (角川文庫)幻宮は漠野に誘う 金椛国春秋 (角川文庫)感想
外戚族滅法」廃止に成功し、晴れて男子として生きることになった星遊圭。しかし政略結婚のため遠国へ輿入れする公主・麗華の近侍女官として、ともに旅立つ新章第一弾。公主を支えながら同時に密かに金椛帝室を救うために、失われた日蝕周期表を探すことを命じられた遊圭。また女官姿に逆戻りかと思いましたが、立場も変わって玄月との関係も少し変化して、国のために女官だけでなく文官として、時には軍師や伝令として冷静に判断し、危険を顧みずに乗り越えようとする姿に遊圭の成長を感じましたね。元服してからどうなるのか続巻も楽しみです。
読了日:05月21日 著者:篠原 悠希
豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい5 (ファンタジア文庫)豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい5 (ファンタジア文庫)感想
スロウは帝国の侵攻を受ける迷宮都市へと辿りつき、そこで冒険者とともに戦うシューヤと再会。アニメで迷宮都市の悲劇を知るスロウがその回避のために奔走する第四弾。力不足を自覚しつつも足掻こうとするシューヤを認めつつ、それでも退避しない彼を救うために自ら裏方で奔走するスロウでしたけど、主人公だから当然裏方だけで終わるわけはないですよね(苦笑)アニメとは変わってしまった物語でこれからシューヤの立ち位置がどう変わってゆくのか、今回わりと大人しかったヒロインたちとの動向も気になるところですけど、新展開もまた楽しみです。
読了日:05月20日 著者:合田拍子
お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか2 (ファンタジア文庫)お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか2 (ファンタジア文庫)感想
もうひとりの魔光少女・街田好乃が転校生としてやって来て、またもやうっかりその正体を知ってしまった平地。窮地に陥った彼女のフォローにも奔走する第二弾。美人で無自覚モテ体質な新キャラ・好乃に存在感があって、彼女と急接近の平地にやきもきする真帆。相変わらずな平地の超人的フォローぶりと、真帆妹も加わって絶望的な勘違いから混迷が深まるカオスな展開でしたが、なぜか外堀だけはしっかり埋まってゆく真帆と平地の関係に諦めず宣戦布告した好乃がどう絡んでいくかですか。続巻では平地にもそろそろ自覚が少し欲しいところですね(苦笑)
読了日:05月20日 著者:はむばね
青春失格男と、ビタースイートキャット。 (ファンタジア文庫)青春失格男と、ビタースイートキャット。 (ファンタジア文庫)感想
桜の木から落ちてきた宮村花恋と運命的な出会いを果たした野田進。なのにそんな幸せを実感できない彼の前に、エキセントリックな孤高の天才児・西條理々が現れる青春小説。進を青春不感症と指摘し、楽園追放計画に誘う西條との恋心とは呼べない背徳的な関係。一方で真っ直ぐないい子だとは思うものの、なぜか心動かない花恋との関係。不器用にしか生きられない彼らの最低の選択が皮肉にもその心境に変化をもたらしたりで、これから三人の関係がどのように変わってゆくのか、読む人を選びそうな作品ですが自分はその結末を読んでみたいと思いました。
読了日:05月19日 著者:長友 一馬
ゲーマーズ!10 天道花憐と不意打ちアップデート (ファンタジア文庫)ゲーマーズ!10 天道花憐と不意打ちアップデート (ファンタジア文庫)感想
真音とのボスバトルをクリアし、自分に足りない恋愛観を自覚した雨野。そんな彼がバレンタインを迎え「去年とはチョコ『ゼロ』の重みが段違いすぎる!」と慄く第十弾。真音の知られざる一面も描きつつ、雨野の周囲のヒロインたちのバレンタインに向けた動きが描かれた今回。相変わらずポンコツぶり全開な花憐さんを始め、それぞれがらしさを出していたバレンタイン模様でしたけど、報われることが少ない心春には少しサービスがありましたかね。雨野がようやく覚悟を決めて動き出したかと思ったら急展開。そう簡単には終わりに向かいませんね(苦笑)
読了日:05月19日 著者:葵 せきな
《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)感想
大手ラノベまとめサイト管理人の高校生・姫宮新。高校では浮いた存在の彼が、とある記事作りから《このラブコメがすごい!!》三位の作者が意中のクラスメイト・京月陽文だと知ってしまう青春ラブコメディ。マーケティングに精通し面白いことは重要ではないとすら考える新と、彼にラブコメの書き方を教わろうとする陽文。陽文への想いを自覚する不器用な新の困惑と迷走には頭を抱えましたが、そんな閉塞しかけた状況を見事ぶち壊してみせた陽文の真っ直ぐな想いが眩しくて、二人が取り戻した彼ららしいかけがえのない日常が印象に残る物語でした。
読了日:05月18日 著者:飛田 雲之
弱キャラ友崎くん Lv.6 (ガガガ文庫)弱キャラ友崎くん Lv.6 (ガガガ文庫)感想
たまちゃんの問題が解決し、文化祭を目前に控え葵との会議を再開した文也。文化祭に積極的に関わりながら集団での立ち位置を確立していく第六弾。新たな課題とともに葵から問われたひとつの質問。葵の課題を消化しつつ文化祭に積極的に関わってゆき、そんな自身の行動が周囲にも変化をもたらしていく中で浮き彫りになる文也の本質的な問題。今回水沢の存在が要所で効いていて、自ら一歩を踏み出す勇気を見せた魅力溢れるヒロインたちとの関係の変化もまた印象的でしたが、きちんと向き合って前に進もうとする文也のこれからがとても楽しみですね。 
読了日:05月17日 著者:屋久 ユウキ
ヤキトリ2 Broken Toy Soldier (ハヤカワ文庫JA)ヤキトリ2 Broken Toy Soldier (ハヤカワ文庫JA)感想
訓練を終えた新米ヤキトリであるアキラたちが配属されたのは属州惑星バルカにおける儀仗任務。安心安全だったはずの任務で反乱勢力の一斉蜂起に直面する第二弾。行ってみたら聞いていた話とだいぶ違う現地の状況。四面楚歌の中、たまたま持たされていた装備を駆使しつつ生き残るために戦うアキラらたちK321ユニットと、戦後に召喚された軍事裁判という窮地。追い込まれてばかりのアキラの心の叫びが今回も炸裂していましたが、おおごとになったわりには解決方法が何ともアレな感じで、次巻は次巻でまたトラブルに巻き込まれそうですね(苦笑) 
読了日:05月17日 著者:カルロ・ゼン
ドルフィン・デイズ! (角川文庫)ドルフィン・デイズ! (角川文庫)感想
大学卒業後もダイビング以外は興味を持てず、就職も決まらない蒼衣。そんな彼がドルフィントレーナー採用試験でイルカやトレーナーの凪たちと出会いのめり込んでゆくお仕事小説。そこそこ器用だけれどプライドが高い蒼衣が魅せられ、仲良くなった相棒イルカ・ビビと共に目指すショーデビュー。熱くなるとつい周りが見えなくなって失敗するその性格は、一方でまっすぐでひたむきな一面もあって、イルカには致命的な異変が見つかったビビやイルカを愛する仲間とともに、その危機を乗り越えるべく奮闘し成長してゆく姿にはぐっとくるものがありました。
読了日:05月16日 著者:旭 晴人
カカノムモノ2: 思い出を奪った男 (新潮文庫nex)カカノムモノ2: 思い出を奪った男 (新潮文庫nex)感想
濁り人の死という予期せぬ事態に立ち会ってしまい、心のバランスを崩した浪崎碧。穢れを呑むのに必要な銅鏡もひび割れたまま荒んだ生活を送る碧の前に、一番信頼を置く従兄・涼が現れる第二弾。碧をサポートする涼の言動にどこか違和感を抱き、鏡を直すべく碧を連れて鏡師の日名暁溪を訪ねる桐島。明らかになってゆく涼と碧が嫌でも意識せざるをえない浪崎家の因縁と、そんな彼らと関わる桐島を巡る複雑な想いも絡めながら今後どのような展開になってゆくのか気になるところで、不穏な物語を明るくしてくれる水琴の存在には今後も期待したいですね。
読了日:05月16日 著者:浅葉 なつ
プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)プラネタリウムの外側 (ハヤカワ文庫JA)感想
有機素子コンピュータによる会話プログラムの共同研究者を失い何も手につかなくなった南雲助教と、列車に轢かれて亡くなった元恋人の会話を再現しようとする学部生の佐伯衣理奈。そんな前に進めない二人が巡り合う連作短編集。会話プログラムとのやりとりを交えつつ繰り広げられる、共同研究者、契約社員、元恋人、そして南雲と衣理奈のエピソード。概念自体はやや難解でしたが、理系らしい合理思考と割り切れない情念のせめぎ合いの中で変化してゆく不器用な人間模様はとても優しくて、そんな彼らが迎えた結末はなかなか心に響くものがありました。
読了日:05月16日 著者:早瀬 耕
スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)スカートのなかのひみつ。 (電撃文庫)感想
同級生の八坂幸喜真に触発された女装男子の天野翔が、彼のプロデュースで女装に目覚めたメアリーと共に女装アイドルを目指す青春小説。病院にいる「あの子」のために女装アイドルを目指すことになった天野翔視点と、丸井宴花との出会いから人生が変わってゆく広瀬怜視点の二つの物語が交錯する展開はぐいぐい読ませるだけの勢いがあって、物語を牽引する目をそらせない八坂の圧倒的な存在感と、「あの子」への献身的で不器用な熱い思いがその心を揺さぶって、伏線を回収して収束してゆく物語が見せてくれたその結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:05月15日 著者:宮入 裕昂
司書と王女の世界大戦 アイリス王国再興記 (Novel 0)司書と王女の世界大戦 アイリス王国再興記 (Novel 0)感想
かつて神器を操る七人の英雄が、大陸全土を支配せんとした巨大帝国征伐に多大な貢献をした「英雄戦争」。その裏で存在を消され全てを失った八人目の英雄・セナが、その智謀で歴史を塗り替えるファンタジー。小国の王女メアが拾ってきたぐうたら司書セナに振り回され、なぜか異例の出世を果たしてゆくメアの護衛女騎士クローネ。隣国・グイネットの侵攻から始まった全てを取り戻すための逆襲劇にはスピード感があって、ようやくスタートラインに立ったここからどう展開していくのか、ヒロインたちとの今後を含めて続巻に期待したい新シリーズですね。
読了日:05月14日 著者:津田 彷徨
玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫)玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫)感想
かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れた高校生の志帆。村の事情に無理矢理巻き込まれた志帆が、生贄を必要とする山神と邂逅する第五弾。いきなり現代を舞台にした物語が始まって面食らいましたが、連れてこられて荒ぶる山神を育てる母の役割を期待される志帆と、彼女と関わるようになって少しずつ変わってゆく山神、そしてすれ違いが生んだ悲劇からの結末が、八咫烏シリーズの「山内」の今に繋がるんですね…これまでの物語との細かい整合性はちょっとだけ気になりましたが、ここから次にどう繋げていくのか続巻に期待ということで。
読了日:05月14日 著者:阿部 智里
最弱無敗の神装機竜《バハムート》15 (GA文庫)最弱無敗の神装機竜《バハムート》15 (GA文庫)感想
世界連合とともに『大聖域』を巡る最終決戦に勝利したルクスが新王国へ戻り早二週間。少女たちの「協定」が終わりを迎え新たな闘争が幕を開ける第十五弾。催された王都の戦勝パレードの最中に封じ込めていた恋心を自覚し、ついに告白するルクス。どこか首を傾げながら読んでいった展開の先にあった告白に正直驚かされましたけど、やはり感じていた違和感には理由があったりで、今回はバトル描写がやや冗長だった感は否めませんでしたが、思ってもみなかった急展開に恋の決着も自分のありようにもルクスは難しい選択を迫られることになりそうですね。
読了日:05月13日 著者:明月 千里
可愛い女の子に攻略されるのは好きですか?2 (GA文庫)可愛い女の子に攻略されるのは好きですか?2 (GA文庫)感想
実は両想いなのに人生を賭けて恋愛ゲームをしている帝と姫沙。ゲームを通じて距離を縮める二人の関係を危ぶみ、許嫁・凜花が同じ学校に転校してきて、姫沙の妹・美月も本格的に参戦する第二弾。したたかな妹キャラの美月と健気な許婚・凜花まで本格参戦して、帝がさらに振り回される展開でしたけど、頭脳明晰なのに帝相手だと恋するポンコツ乙女になってしまう姫沙は破壊力あって、帝がたびたびハートを撃ち抜かれるのも仕方ないというか、追い詰められてあんな行動に出るとは思いませんでした(苦笑)最後の急展開で事態がどう動くのか続巻に期待。
読了日:05月12日 著者:天乃 聖樹
天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)感想
病床の国王に代わり摂政として弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で臣下からの信頼も厚い彼が、絶望的な状況から密かに売国を志す弱小国家運営譚。状況を正しく認識して先を見通せるからこそ絶望を感じるウェイン。上手く終わらせるための手を打つのに、それがなぜか効果的な一手に繋がる皮肉な状況の変化や展開の連続でしたけど、ウェインが彼なりに最善へ真摯に取り組んだ結果だからこそ納得感がありました。補佐官のニニムに対する想いも気になる彼にいつか心境の変化はあるのか、どこまでやれるのか続巻が楽しみですね。
読了日:05月12日 著者:鳥羽 徹
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10 (GA文庫)感想
人造迷宮の鍵を探し求めるロキ・ファミリアが直面した武装モンスターの出現と、ベルのありえない行動による波紋が彼らを揺さぶる外伝第十弾。これまで英雄たらんとして行動してきたフィンが直面する葛藤、本来のベルを知るロキ・ファミリアの面々が抱く複雑な想い、そんなベルを認められない剣姫との対決。認められていたベルの神意をも乗り越える復活と、ベルに触発され変わってゆく彼らの熱いエピソードでしたが、一方で葛藤の末に自らの生々しい想いを自覚したアイズがこれからどう変わってゆくのか、変わってしまうのかとても気になりますね…。
読了日:05月11日 著者:大森 藤ノ
叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士2 (電撃文庫)叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士2 (電撃文庫)感想
敗戦国となった邪神王国・ランドールの荒廃ぶりを見かねてつい手助けをしてしまったギュネイ。そんな中、邪神降臨を目論んだ大司教の娘・ロゥラを旗頭とする一団が決起する第二弾。かつての敵国に味方してしまって、さらにはコンラット率いる邪神教団、第三国まで介入してくる混沌とした状況で、それぞれの正義がぶつかり合い、その心境も変化してゆく熱い展開は面白かったですが、最後にそういう形で伏線を回収してくるとは思わなくてビックリしました。想いを託されたギュネイがこれからどうするのか、続きがあるならまた是非読んでみたいですね。
読了日:05月11日 著者:杉原 智則
悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)感想
黒い海を越え呪われた悪魔の島にやってきた死霊術師の孫・シュガーリア。そんな彼女が大罪人の男・ヨクサルと出会う愛など知らない男と愛しか知らない少女の物語。可愛がってくれた大切な人たちを失い復讐を志すシュガーリアと、無数の罪をその身に刻み『孤独を力にかえる』悪魔を背負うヨクサル。最初は滅びの運命に囚われ絶望しかなかった二人が、不器用なやり取りを積み重ねていくうちに育んでいった想い、そして相手の危機に命を賭けて飛び込んでいく勇気がもたらした結末には確かな救いがあって、著者さんらしい世界観を存分に堪能できました。
読了日:05月11日 著者:紅玉 いづき
三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)感想
過去の苦い経験から「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季が、印象的な出会いを果たした物静かな転校生・水瀬秋玻に惹かれ、彼女ともうひとりの人格・春珂を支えるようになってゆく不思議な恋物語。しっかりものの秋玻と対照的な危なっかしい印象の春珂。状況的に春珂をフォローすることが多い四季と二人を見つめる秋玻の繊細な距離感がまた絶妙で、大切な存在なのにすれ違ってしまうやるせなさだったり、ごまかさずにきちんと想いをぶつけてゆく彼らの青春がとても良かったですね。終盤は挿絵の使い方も効いていて続巻が今から楽しみです。
読了日:05月10日 著者:岬 鷺宮
86―エイティシックス―Ep.4 ―アンダー・プレッシャー― (電撃文庫)86―エイティシックス―Ep.4 ―アンダー・プレッシャー― (電撃文庫)感想
ついに運命の再会を果たしたシンとレーナ。レーナを作戦司令とする第八六独立機動打撃軍の初任務として共和国85区内北部、旧地下鉄ターミナルの拠点攻略を命じられる第四弾。どちらも自覚の薄いシンとレーナの周囲の方がやきもきするようなやりとりとか、シンとの過去にわだかまりを抱える幼馴染とか前半はなかなか萌える展開続きでしたけど、後半は共和国国民の闇の深さだったり、レギオンの新兵器投入でやはりギリギリの激闘でしたね。物語の核心に迫りそうな存在も登場しそうですが、何より不器用過ぎる二人の今後が気になって仕方ありません。
読了日:05月10日 著者:安里 アサト
ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 (講談社タイガ)感想
19世紀英国。父母を亡くし一族から疎まれ異母兄に北イングランドの神学校へ送られたオーランドが、この世の怪を蒐集する若き日のラフカディオ・ハーンと出会い様々な怪異と出会う奇譚集。生者を道連れに誘う幽霊列車、夜の寄宿舎を彷徨う砂男、哀切に歌う人魚の木乃伊の正体、そして墓場で見つけた人形を巡る物語と、著者さんらしい世界観の中で怪異好きなパトリックに振り回されがちなオーランドというコンビが、その真相を解き明かしながらお互いの信頼関係を積み重ねてゆく展開はなかなか良かったですね。続巻あるならまた読んでみたいです。 
読了日:05月10日 著者:久賀 理世
雪の王 光の剣 (講談社X文庫)雪の王 光の剣 (講談社X文庫)感想
裏雲を追い最北の駕国へ足を踏み入れた飛牙。鎖国状態を貫き宰相・汀柳簡が権勢を誇る駕で、宰相に目をつけられた寿白も国難に巻き込まれてゆく第四弾。国王夫妻を傀儡とし天令を捕らえた宰相の正体とその野望。生き延びる方法を模索する裏雲と、国王や天令を救い出そうとする寿白、そして駕国に訪れる危機。最後はこの物語の諸悪の権現ともいうべき強敵で、それこそあれこれ奔走して総力戦?で乗り切った結末はやや駆け足な感もありましたけど、なかなかいい感じにまとまってくれたと思いました。外伝などをもし読めるならまた読んでみたいですね。
読了日:05月09日 著者:中村 ふみ,六七質
キングレオの冒険 (文春文庫 ま 41-1)キングレオの冒険 (文春文庫 ま 41-1)感想
京都の街で相次いで起きるシャーロック・ホームズ譚を模した殺人事件。日本探偵公社の若きスター・天親獅子丸と、助手の大河がそれらの事件解決に挑むミステリ。探偵に存在感がある世界の京都を舞台に、唯我独尊な性格で騒動を引き起こす名探偵・獅子丸と、そんな彼の助手で探偵公社でスクリプトライターも務めながら密かに作家デビューを志す大河の複雑な関係。そして解決してゆく中で繋がってゆく事件と、裏で糸を引く存在との対決。テンポ良い展開の中で彼らの名コンビっぷりと周囲の人間模様、そして何より著者さんらしい謎解きを楽しめました。
読了日:05月08日 著者:円居 挽
水上博物館アケローンの夜水上博物館アケローンの夜感想
将来を見失っていた大学生の出流が、立ち寄った閉館間際の東京国立博物館で湧き上がった大量の水に飲み込まれ、美青年の渡し守・朧と出会う物語。自分の悲しみが作り出す冥界の狭間にある「嘆きの川」で溺れた出流と助けてくれた朧との交流。そしてその流れの中で関わってゆく広報の二階堂や犬の埴輪・ケルベロス、そして自らの記憶を失っていた朧自身のエピソード。著者さんらしい幻想的な世界観に、その出会いを通じて心境が変化してゆく登場人物たちが繊細に描かれていて、読みやすく一冊にすっきりとまった結末はなかなか良かったと思いました。
読了日:05月08日 著者:蒼月 海里
魔女の魔法雑貨店 黒猫屋 猫が導く迷い客の一週間 (集英社オレンジ文庫)魔女の魔法雑貨店 黒猫屋 猫が導く迷い客の一週間 (集英社オレンジ文庫)感想
困りごと、迷い客の目の前にふと現れる「魔女の魔法雑貨店 黒猫屋」街で噂の魔女で黒猫屋の店主でもある淑子さんが迷い込んできたお客にささやかな奇跡を起こす連作短編集。おばあちゃんが庭で育てていた命の花の正体、コスメカウンターの新米魔女が悩んでいた勘違い、花屋の後輩に贈られた花の本当の意味、亡くなった兄から家族へのメッセージ。常連たちと不定期に魔女のお茶会を開く淑子さんが、最初は魔女の魔法に懐疑的だった彼女たちの誤解を解きほぐしつつ、肩の荷をそっと下ろしてあげる優しさがじんわり温かく感じられた素敵な物語でした。
読了日:05月07日 著者:せひら あやみ
Re:ゼロから始める異世界生活16 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活16 (MF文庫J)感想
『聖域』での戦いから一年。陣営も一致団結して充実した日々を送るスバルたちのもとに、王選候補者の一人・アナスタシアから水門都市プリステラへの招待状が届く第十六弾。一年でだいぶ変わった周囲との関係性と、水の都におけるアナスタシアを始めとした懐かしい顔ぶれたちとの再会。スバルも周囲にだいぶ認められるレベルまで成長したんだなと改めて実感した今回でしたけど、明らかになってゆくラインハルトの複雑なお家事情と突如登場したプリシラ、そしてまた最後に強烈なインパクトもあったりで、次巻からまた物語も大きく動き出しそうですね。
読了日:05月07日 著者:長月 達平
天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 (宝島社文庫)天才詐欺師・夏目恭輔の善行日和 (宝島社文庫)感想
かつて天才詐欺師として名を馳せた夏目。突然目の前に現れた自分の娘だという小春から依頼を受け、仲間とともに依頼者たちを救う父と娘の連作短編ミステリ。小春が生まれ育った修道院の危機、YouTuberと大人気ゲーム機の不正抽選の謎、結婚詐欺師へ仕掛けるペテンや老人を狙った霊感詐欺と、辛い思いをした依頼人たちのため仲間と仕掛ける夏目の用意周到な解決策は、相手を心理的に追い詰めていく過程が秀逸でその結末も効いていました。小春との親子関係の今後や因縁の橋爪との決着も残っていますし、続巻あったらまた読んでみたいですね。
読了日:05月06日 著者:里見 蘭
語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)語り屋カタリの推理講戯 (講談社タイガ)感想
少女ノゾムが難病の治療法を見つけるために参加したデスゲーム。そこで出会った奇妙な青年カタリから「Who」「Where」「How」など、事件を推理するためのレクチャーを受けて成長していく物語。ゲームクリアの条件は謎を解いて生き残ること。そこでクリアを目的としていないかのように見えるカタリの助けを得ながら、広大な半球密室、水に満たされた直方体、ひしめく監視カメラ、燃え上がる死体といった謎に挑んでいく展開は、淡々と綴られながらもおっと思うような仕掛けもあったりで、そんな物語が迎えた結末はなかなか良かったですね。
読了日:05月05日 著者:円居 挽
ウォルテニア戦記 IX (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記 IX (HJ NOVELS)感想
オルトメア帝国軍と三王国軍の争いが熾烈を極める中、じりじりと劣勢に陥っていく局面を打開するため、御子柴亮真はオルトメア領内にある最重要拠点であるノティス砦の攻略を提案する第九弾。亮真以外の誰もが不可能と考えた敵国内に深くもぐり込む作戦。作戦自体は何とか成功させて個人的に名は挙げたものの、最後はうまく外交で丸め込まれて詰めきれなかったのは仕方ないところですかね。一方で浩一郎の方も以前所属していた組織に接触したりでいろいろなことが明らかになって、厄介な場所に保護されたままの飛鳥はいつか再会できるんでしょうか。
読了日:05月04日 著者:保利亮太
年下のセンセイ (幻冬舎文庫)年下のセンセイ (幻冬舎文庫)感想
予備校に勤める28歳の本山みのり。後輩に誘われ生け花教室に通い始め、助手を務める8歳下の透と出会う彼女が、元カレの結婚式の帰りにバーでバイトをする透に再会する恋愛小説。変化のない日々をこれでいいのかという思いと、変化を恐れる気持ちで揺れるみのりが出会った年下の透。惹かれるけれど臆病になってしまうみのりと、進学で地元を離れるのに真っ直ぐに思いをぶつけてくる透のやりとりがドキドキして、もやもやしたりどうしようもなく恋しくなったり、二人を繋いだ生け花を効果的に使いながら綴ってゆく、可愛くて甘い素敵な物語でした。
読了日:05月04日 著者:中村 航
たとえば君が虚像の世界 (集英社オレンジ文庫)たとえば君が虚像の世界 (集英社オレンジ文庫)感想
幼馴染の杉崎颯河に密かに想いを寄せる星莉が自分の机の上で発見したノート。そこに書かれた未来の自分の予告が実現するのを目の当たりにした星莉は、颯河と距離を置くようにとの警告を信じて離れる決心をする物語。予告どおりに離れようと努力しているのに、なぜか逆に近づいていく颯河との距離。ところどころおかしい部分が散見される世界に気づいた星莉と、明らかになる二人がすれ違った悲劇の真相。テンポ良く進む展開の先に用意された結末にはやや唐突な感もありましたけど、一緒に乗り越えた二人がもう一度やり直す未来を信じたくなりました。
読了日:05月03日 著者:くらゆい あゆ
こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 2 (講談社ラノベ文庫)こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。 2 (講談社ラノベ文庫)感想
バレンタインデーで親友のメイと明人をくっつけようと企むお節介な唯に巻き込まれる悠馬。しかしそこからなぜか悠馬以外には興味がないはずの幼馴染・明日香と明人が急接近する第二弾。明日香に対しての複雑な想いを自覚する悠馬が密かに抱えていた過去の悔恨と、好きな人に想いが通じるわけないと諦めている唯に対するもどかしい思い。登場人物の誰もがそうそう上手くいかない、報われない想いを抱える複雑な人間模様で、けれど彼らは周囲に助けられながら真摯に向き合おうとしていて、そんな彼らのほろ苦い青春がとても良かったです。続巻に期待。
読了日:05月02日 著者:清水 苺
→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)感想
他人との関わりを避け、ぼっち高校生活を送っていた軒嶺緋色のネット恋愛の恋人スモモ。引きこもりだったはずの彼女が突如緋色の高校に入学してきて、リアルの彼女になってしまう青春小説。緋色の高校生活を一変させたスモモの存在と思い描くほど上手くいかないリアルな日常、そしてふとしたきっかけから対応を誤り炎上してしまう二人の関係。不用意な面もあったとはいえコミュ障には厳しい展開でしたが、ここで黒歴史だったはずの元カノの存在がなかなか効いてましたね。わりといい感じにまとまっていただけに、続巻をどう進めるのか気になります。
読了日:05月02日 著者:悠寐 ナギ
海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと感想
とある地方都市に蔓延した大人が死に至り子供に力が宿る病と侵略者たちとの戦い。海辺の病院を訪れる上原蒼が当時起こった出来事を思い出し語ってゆく物語。突然突きつけられた両親や町での多くの死と失われた平凡な日常、それをもたらした元凶・魔骸の存在。戦う手段を自覚し復讐しようとする蒼と、その過酷な戦いの過程で出会ったハルカたちとの間で育まれてゆく想い。徐々に明らかになってゆく大人の事情にも振り回されて、唐突にもたらされた終焉の結果はあまりにも理不尽で、だからこそ彼らの真摯な思いや心の叫びがとても印象的な物語でした。
読了日:05月02日 著者:石川 博品
ぼくときみの半径にだけ届く魔法ぼくときみの半径にだけ届く魔法感想
売れない若手カメラマンの仁が偶然撮影した窓辺に立つ美しい少女・陽。難病で家から出られない彼女との出会いが二人の人生を奇跡のように変えてゆく物語。同級生の活躍に屈折した想いを抱いてしまっていた仁が、偶然出会った陽の依頼で様々な景色を撮って届けることになる運命の転機。それをきっかけに仁が活躍の場を広げてゆく一方で、難しい病に絶望を感じていた陽の逡巡にきちんと向き合おうとする育んできた二人の想いがあって。大変だった彼女の家族を思うとやや複雑な心情も残りますが、二人の出会いがもたらした奇跡には救われる思いでした。
読了日:05月02日 著者:七月 隆文
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫)最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫)感想
少年時代に入退院を繰り返して、ただ生きるだけの日々を過ごしていた桐子を変えた一人の末期癌患者との出会い。 複雑な因縁が絡み合う桐子と福原が「ある医者」との闘病に挑み涙の真実が明らかになる下巻。福原が複雑な想いを抱え認知症で倒れたとされる院長である父の主治医に任命された桐子。真摯に寄り添ううちに明らかになってゆく過去の誤解と、諦めなかった桐子が見出した可能性。葛藤を乗り越えた福原が桐子と一緒に望んだ手術の結果は残念でしたけど、そんな二人がこれからいい関係になっていけるといいなと願わずにいられませんでした。 
読了日:05月01日 著者:二宮敦人
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) (TO文庫)最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) (TO文庫)感想
大病院を辞め小さな診療所を始めた医者・桐子と神宮寺。一方、大病院で閑職に追いやられても患者の「延命」を諦めないかつての同僚・福原。別々の道を歩む二人が、ある難病の恋人同士を前に再会を果たす「最後の医者は桜を見上げて君を想う」の続編。先の見えない小さな診療所生活の中で出会った一人の青年の結末。同じ病を患いながらその決断によって対照的な結末を辿った元恋人の2人という構図が印象的でしたが、桐子の子供の頃に病室で出会った病に前向きに向き合う絵莉さんの母親としての複雑な心情が伺えるエピソードがどう繋がるのか下巻へ。
読了日:05月01日 著者:二宮敦人
蕃東国年代記 (創元推理文庫)蕃東国年代記 (創元推理文庫)感想
唐と倭国の間に浮かぶ麗しき小国・蕃東。その知識や儀礼を司る貴族の家に生まれた青年・宇内と彼の従者・藍佐が出会った驚異や神秘を描く空想世界の御伽草子。中華と和風が入り混じったような世界観のどこかの怪異や不思議な話をまとめたような連作短編の構成で、雨竜を見物する話や舟に乗り合わせた4人を幻惑するあやかし、酒を酌み交わしながら不思議な物語を披露する話、美しい中将を愛した二人の物語など、淡々と綴られていくその雰囲気が良かったですね。個人的には一番最後の成り行きで求婚し幻の珠を探しに行く話の切ない結末が好きでした。
読了日:05月01日 著者:西崎 憲

読書メーター

6月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

6月の購入検討&気になる本ほかピックアップです。読んでいるシリーズものが増えてくると、どうしても新作との兼ね合いが難しくなってきますが、とりあえず注目の新作としては期待の青春小説ということでラノベ文庫「星空の下、君の声だけを抱きしめる」ファミ通文庫「銀月の夜、さよならを言う」あたり、辻堂ゆめさんの文庫書き下ろし、ガガガ文庫の「平浦ファミリズム」の人の新刊「ハル遠カラジ」とライトノベル大賞優秀賞の「ピンポンラバー」、そして16年の「まいごなぼくらの旅ごはん」以来の新刊となるマサト真希さんあたりに期待したいと思います。

星空の下、君の声だけを抱きしめる (講談社ラノベ文庫)

星空の下、君の声だけを抱きしめる (講談社ラノベ文庫)

 
片想い探偵 追掛日菜子 (幻冬舎文庫)

片想い探偵 追掛日菜子 (幻冬舎文庫)

 
ハル遠カラジ (ガガガ文庫)

ハル遠カラジ (ガガガ文庫)

 
ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

 
銀月の夜、さよならを言う (ファミ通文庫)

銀月の夜、さよならを言う (ファミ通文庫)

 

 

ヒーロー文庫(5/31発売)
・青雲を駆ける4 肥前文俊/3

HJ文庫(6/1発売)
・<Infinite Dendrogram>―インフィニット・デンドログラム― 7.奇跡の盾 海道左近/タイキ
戦うパン屋と機械じかけの看板娘8 SOW/ザザ

スニーカー文庫(6/1発売)
・終末なにしてますか?もう一度だけ、会えますか? #06 枯野瑛/ue
・ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2 しめさば/ぶーた
・【新】好きって言えない彼女じゃダメですか? 玩具堂/ヤスタカ

講談社ラノベ文庫(6/1発売)
・【新】星空の下、君の声だけを抱きしめる 高橋びすい/美和野らぐ

コバルト文庫(6/1発売)
後宮瑞華伝 戦戦恐恐たる花嫁の謎まとう吉祥文様 はるおかりの/由利子

角川ビーンズ文庫(6/1発売)
後宮香妃物語 偽りの花嫁と秘めたる心 伊藤たつき/カスカベアキラ

実業之日本社(6/1発売)
・名探偵誕生 似鳥鶏

実業之日本社文庫(6/6発売)
・リアルフェイス 知念実希人

幻冬舎単行本(6/7発売)
・世界の終わりと始まりの不完全な処遇 織守きょうや

文春文庫(6/8発売)
・【文】さよならクリームソーダ 額賀澪

幻冬舎文庫(6/8発売)
・片想い探偵 追掛日菜子 辻堂ゆめ

小学館文庫キャラブン!(6/6発売)
・海と月の喫茶店 櫻いいよ/わみず
・死神憑きの浮世堂 中村ふみ

宝島社文庫(6/6発売)
・【文】静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 上 筏田かつら
・【文】静かの海 その切ない恋心を、月だけが見ていた 下 筏田かつら

電撃文庫(6/9発売)
はたらく魔王さま!SP 和ヶ原聡司//029
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.17 聴猫芝居/Hisasi
ガーリー・エアフォース IX 夏海公司/遠坂あさぎ
・賭博師は祈らない (4) 周藤蓮/ニリツ
・恋してるひまがあるならガチャ回せ!2 杉井光/橘由宇

TOブックス(6/9発売)
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部 「貴族院の自称図書委員 III」 香月美夜/椎名優

双葉文庫(6/14発売)
・彗星乙女後宮伝 江本マシメサ

講談社文庫(6/14発売)
・綺羅の皇女 宮乃崎桜子

GA文庫(6/15発売)
・中古でも恋がしたい!12 田尾典丈/ReDrop

富士見L文庫(6/15発売)
・榮国物語 春華とりかえ抄 三 一石月下/ノクシ
・紅霞後宮物語 第八幕 雪村花菜/桐矢隆
・農業男子とマドモアゼル 新たな出逢いはスイカと共に 甘沢林檎/なま子
・【新】八雲京語り 宮廷に鈴の音ひびく 羽根川牧人/serori

ノベルゼロ(6/15発売)
・アンゴルモア 異本元寇合戦記 銅大 原作:たかぎ七彦/たかぎ七彦

角川文庫(6/15発売)
未来のミライ 細田守
・小説 雲のむこう、約束の場所 加納新太 原作:細田守

祥伝社単行本(6/16発売)
・17×63 鷹代航は覚えている 水生大海

ガガガ文庫(6/19発売)
・七星のスバル0 田尾典丈/ぶーた
・【新】ハル遠カラジ 遍柳一/白味噌
・【新】ピンポンラバー 谷山走太/みっつばー
[第12回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>]

ファンタジア文庫(6/20発売)
・【新】忘却のカナタ 探偵は忘れた頃にやってくる 新井輝/ヤスダスズヒト

講談社タイガ(6/20発売)
・死神医師 七尾与史

一迅社文庫アイリス(6/20発売)
・異種婚姻譚 糸森環/凪かすみ

オレンジ文庫(6/21発売)
・これは経費で落ちません!4 ~経理部の森若さん~ 青木 祐子/uki
契約結婚はじめました。3 ~椿屋敷の偽夫婦~ 白川紺子/わみず
・ゆきうさぎのお品書き あじさい揚げと金平糖 小湊悠貴/イシヤマアズサ
・宝石商リチャード氏の謎鑑定 紅宝石の女王と裏切りの海 辻村七子/雪広うたこ

メディアワークス文庫(6/23発売)
・【文】レッドスワンの絶命 赤羽高校サッカー綾崎隼/ワカマツカオリ
・永遠の庭で、終わらない恋をする マサト真希

MF文庫J(6/25発売)
・あまのじゃくな氷室さん3 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた 広ノ祥人/うなさか
・なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?4 神罰の獣 細音啓/neco
・【新】オタギャルの相原さんは誰にでも優しい 葉村哲/あゆま紗由
Re:ゼロから始める異世界生活Ex3 剣鬼恋譚 長月達平/大塚真一郎

オーバーラップ文庫(6/25発売)
灰と幻想のグリムガル Level.13 十文字青/白井鋭利
・現実主義勇者の王国再建記 VII どぜう丸/冬ゆき

KADOKAWA単行本(6/29発売)
・星空の16進数 逸木裕

ファミ通文庫(6/30発売)
・【新】銀月の夜、さよならを言う 樫田レオ/とろっち

今注目の中華風ファンタジー15選

もともと個人的に期待の高かった白川紺子さんの「後宮の烏」(オレンジ文庫)は順調に重版を重ねているようで、中華風ファンタジー(特に後宮もの)人気を改めて実感しました。最近は富士見L文庫少女小説を中心にそのジャンルの作品はたくさん刊行されていて、もともと好きなジャンルということもあって自分もわりとチェックしている方だと思いますが、その中からオススメのタイトルを紹介したいと思います。 

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

 

 後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

 

 金椛帝国の皇帝崩御に伴い、「皇帝に外戚なし」の法のもとに皇后に選ばれた星皇后の一族は全て殉死を命じられ、胡娘の助けにより御曹司の遊圭がひとり生き延びる中華ファンタジー。追われる身だった遊圭が、以前助けた縁で匿ってくれた町娘の明々と一緒に密かに男の身で後宮に出仕するまさかの展開。病弱で世間知らずゆえか義憤に駆られて自らの身を危うくするような状況にはハラハラしましたが、宦官・玄月に正体を疑われながらも知恵を駆使して何とか乗り切った展開はなかなか面白かったです。後宮からの脱出を目指す遊圭たちの今後に期待ですね。現在4巻まで刊行。

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

 

 徐の王太子・寿白は革命の混乱のさなかに王の証・王玉を得たが庚に取って代わられ、十年後に飛牙と名乗って再び国を訪れる中華風ファンタジー。飛牙から玉を取り戻すべく現れた天令の那兪とともに訪れたかつての王都。天から見放され荒れる庚の治政と、寿白時代の飛牙を知る宦官・裏雲や王太后が抱えていた秘密。明かされた事情と混乱の最中で上手く立ち回り、どうにかこうにかうまく取りまとめてみせた飛牙が、裏雲を追って天下四国を旅しながら行く先々で活躍するシリーズです。全4巻。

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

 

 女性ながら不世出の軍人と評される将軍・関小玉33歳が、かつての相棒にして今は皇帝である文林の懇願を受けある日突然皇后となり、嫉妬と欲望が渦巻く後宮「紅霞宮」に入る物語。軍人らしいきっぱりさっぱりな性格の小玉と、皇帝として公人としての意識も持たざるをえなくなった文林。絆こそ感じられるもののお互い立場も変わり、変わってしまったところと変わらないところに戸惑い葛藤する展開でしたが、ついに覚悟を決めた小玉と、そんな彼女に複雑な想いを抱いたままに見える文林がどんな夫婦になっていくのかいろいろ気になるシリーズです。現在7巻+前日譚2巻刊行。

 花街の薬師だったのをさらわれて後宮で下働き中の娘・猫猫が、薬師としての能力を美形の宦官・壬氏に見込まれ、後宮の事件や噂を解決する物語。中華風の後宮にいるものの特に出世を目指すわけでもない猫猫はわりとさっぱりとした性格で、周囲が色めき立つ美貌の壬氏にも醒めた視線を向けるわけですが、そんな猫猫を壬氏が何となく気にかけている構図が面白いですね。陰謀渦巻く狭い世界で繰り広げられる事件に、薬と毒には並々ならぬ執着とこだわりを見せて謎解きに挑む猫猫、彼女を取り巻く登場人物たちも魅力的で、テンポの良いやりとりを楽しめるシリーズです。現在7巻まで刊行。

後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

 

 継母から冷遇され亡き母に教えられた能書の才さえも継母に奪われてしまった李淑葉に、皇帝の兄・夕遼との結婚の勅命が下る物語。実は夕遼が望んでいたのは淑葉の妹・香蝶との結婚で、いきなりしばらくしたら離婚と突きつけられる展開でしたが、真っ直ぐだけれど笑顔も能書の才能も奪われ、悲惨な境遇に自信を無くしていた淑葉が、書を好き過ぎという共通点から夕遼とも徐々に交流を深め、様々なものを取り戻していく展開は良かったです。繋がりのある登場人物を主人公に据え、シリーズとして複雑な気持ちになる後日談も語られたりしながら現在8巻まで刊行。

一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)

一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)

 

 大帝国・崑国へ小国の和国から貢物として後宮入りした皇女・理美。他国の姫という理由で後宮の妃嬪たちから嫌がらせを受ける彼女が、皇帝不敬罪の窮地に食物博士の朱西に救われる物語。和国では姉皇女においしいものを捧げる役割を担っていた理美が、朱西の協力も得つつその料理の腕前と持ち前の明るさを活かして、ピンチを乗り越えるべく奮闘する展開はなかなか良かったですね。朱西とのコンビで料理研究もなかなか面白そうですけど、皇帝もまた理美が気になるようで、そんな三角関係の行方が混沌としてゆくシリーズです、現在6巻まで刊行。

皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫)

皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫)

 

 中華平原に名を馳せる強国・禍国。十八年前、「覇王」の宿星を持って生まれた皇子・戰と、人扱いされず書庫に引き篭もる少年・真が出会ったことで運命が変わってゆく中華ファンタジー。兵部尚書である父の側室腹として生まれたがゆえに戸籍を持たなかった真が、皇子・戰と出会ったことで得た転機。生い立ちが影響してか多くを望まず怠惰になりがちな真が、それでも戰のため、訳ありの幼き妻・薔姫のために智謀を活かして自らの奔走し窮地を打開していく展開は、登場人物たちもよく動いてテンポも良くなかなか面白かったです。続巻も期待しています。

榮国物語 春華とりかえ抄 (富士見L文庫)

榮国物語 春華とりかえ抄 (富士見L文庫)

 

 榮の貧乏官僚の家に生まれた双子、金勘定にシビアな姉・春蘭と刺繍を得意とする立派な淑女に育った弟の春雷。誤った噂は皇帝の耳にも届き春蘭の後宮入りと春雷も科挙受験が決まり、追い詰められた二人が入れ替わることを決意する中華ファンタジー。双子を利用しようとする野心家・天海宝が出世を目論む理由。妃嬪を避けるため双子が近づいた公主が知ってしまった陰謀。春蘭と口が悪い海宝の毎度いがみ合う関係からの変化や、そんな彼の意外な一面と窮地に双子たちも協力しての大逆転劇はなかなか面白かったです。6月に3巻目が刊行予定。

桜花妃料理帖 (富士見L文庫)

桜花妃料理帖 (富士見L文庫)

 

 偶然、迷子の国王・紫苑に料理を振る舞った宮廷料理人見習いの玉葉がお礼に差し出された桜の枝を受け取ってしまい、陰謀蠢く宮廷で期間限定の妃を務めることになる中華風ファンタジー。王から王妃に渡され一年間枯れぬことで絆が試される桜花国に伝わる桜・玲紀桜の枝。それを知らぬまま受け取った玉葉の料理バカっぷりと、男心が分からない鈍感さは突き抜けていましたが、でもそんな前向きな彼女のひたむきさが周囲を感化して流れを変えてゆく展開はなかなか良かったです。いい感じにまとまってはいましたが、続巻あるならまた読んでみたいですね。

翠玉姫演義 ―宝珠の海の花嫁― (富士見L文庫)

翠玉姫演義 ―宝珠の海の花嫁― (富士見L文庫)

 

 商才を秘めながらも豪商の事件を起こした側室の娘と疎まれ、取引先の当主(80歳)に売られたも同然の政略結婚を決められた香月が、輿入れの最中に海賊に攫われてそこに居場所を見出してゆく物語。人生をすっかり諦めていた香月と訳ありの海賊業をしていた烈英らとの運命の出会い。海賊のアバウトな運営を見逃せずにうっかり口を出してしまい、才能を発揮できる居場所を与えられ烈英の目標を実現することに生きがいを見出していく展開はなかなか面白いですね。現在2巻まで刊行。

 香を作る香士が貴ばれる神瑞国。調香の腕を買われた下町に住む凛莉が、亡き父の汚名をそそぐため太子・煌翔の後宮に入り伝説の秘宝香調合を目指す物語。香士として秘宝香の調合に失敗し、事故死したとされる父の死後生活に苦労した凛莉と母。彼女に調合を教え生活を支えた木蓮の推挙で後宮に入る凛莉。人に優しく正義感も強い一方、うっかりな言動も多い凛莉はトラブルに巻き込まれがちな一面もありましたが、彼女の失われた記憶には意外な縁や陰謀にも繋がっていて、すれ違ったいくつかの想いがどのような結末を迎えるのか気になるシリーズです。6月に3巻目が刊行予定。

珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~ (コバルト文庫)

珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~ (コバルト文庫)

 

 医師の父親亡きあと女性は医師免許がとれず、診療することができなかった珠里。そんな彼女のもとに皇帝の使者が現れ、皇太后の体調不良の原因を見つけるよう命じられる中華後宮物語。ヤブ医者の妻にと請われ進退窮まっていた珠里に訪れた転機。皇帝を育てるのに専念するため実の娘・公主を手放した皇太后の病の原因。公主と皇太后、そして育ての親を敬愛する皇帝の何とも複雑な関係でしたけど、それをドタバタしながらもいい感じに修復してみせた珠里の奮闘ぶりが光っていました。現在2巻まで刊行。

 五龍大陸で不良中年道士に拾われて師事する少女ユギが、追われている幼い少女をかくまったことから日常が変わり始める中華風ファンタジー。口ではいろいろ言いながらも育ててくれた師匠を慕うユギ。このまま変わらず続けばいいと思っていた師匠と兄弟子左慈の三人で過ごす日常が大きく変わっていく中、何とか師匠を助けたいと願うユギの想いと、ユギが無事でいて欲しいと願う師匠のやりとりはとても切なかったです。まだ物語としても始まったばかりでルーインを追うイルラックなど様々な因縁もあり、ユギの今後が気になりますね。現在3巻まで刊行。

(P[わ]2-1)文学少年と書を喰う少女 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[わ]2-1)文学少年と書を喰う少女 (ポプラ文庫ピュアフル)

 

 明・正徳帝の時代。泰山にあった禄命簿『玉策』が持ち出され不思議な力を持つ少女となり、本と物語が何より好きな少年・呉承恩とともに過ごす彼女がその力目当てで様々な人々に狙われる中華ファンタジー。博覧強記な書痴の少年・呉承恩と出会った本を食べる生意気な少女・玉策。実在した登場人物も織り交ぜつつ描かれる二人が運命的な出会いを果たして、共に笑い時には喧嘩もして絆を育んでいったその短かくも濃密な冒険の日々はとても印象的で、常坤や白華といった脇役もよく効いていて良かったと思いました。

 

以上です。全体からすると中華風ファンタジーの戦記ものや冒険ものは絶対数が多くなくて後宮ものが中心ですね。また正直、特に少女小説レーベルについてはカバーしきれていないので、他にも面白い作品が結構あると思います。この中から興味を持った作品があったら是非手にとって読んでみてください。

2018年4月に読んだ新作おすすめ本

 4月の新作は「ファイフステル・サーガ」(ファンタジア文庫)と「常敗将軍、また敗れる」(HJ文庫)とファンタジー戦記で素晴らしい作品が2つもあってびっくりしました。「復讐の聖女」(角川スニーカー文庫)も今後が気になるところですが、それ以外だと白川紺子さんの後宮ファンタジー「後宮の烏」、インパクトがあった「閻魔堂沙羅の推理奇譚」(講談社タイガ)「コンビニなしでは生きられない」(講談社ノベルス)あたりですかね。最近のオレンジ文庫講談社タイガはさりげなくおもしろい作品があったりするので、今後も注目していきたいレーベルです。

 

 古の魔王が再臨する絶望の未来を変えるため「アレンヘムの聖女」セシリアと婚約し、傭兵団「狂嗤の団」団長となる道を選んだカレル。聖女の加護を受け死の未来を回避する英雄として奮闘するファンタジー戦記。二年後の魔王再臨を限られた人しか知らない中で、代替わりした王国や戦争を仕掛けてきた自治領相手にどう立ち回るのか。腕が立って商才があり現実的な手段を積み重ねるカレルだけでなく、ヒロインのセシリアや仲間たち、王国の登場人物たちもまた魅力的なキャラが多くて、ここから物語がどう動くのか続巻がとても楽しみな新シリーズですね。

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

 

 大国ザルツボルクの侵攻を受けたヘイミナル王国が存亡の危機を救う切り札として起用された傭兵・『常敗将軍』のドゥ・ダーカス。王弟や王の娘など様々な思惑が入り乱れる中、圧倒的不利な状況に立ち向かうファンタジー戦記。全幅の信頼を得られず思うように動けない中、要所要所の危機で最悪の状況を回避すべく動くダーカスの奮闘ぶりと、彼が見出そうとした決着の落とし所とその結末。テンポ良い展開に彼を見極めようとするティナや姫将軍・シャルナといった魅力的なキャラクターたちもよく動いて、これは続巻が楽しみな期待大の新シリーズです

復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)

復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)

 

 自分を陥れた者たちに復讐するため蘇ったジャンヌ・ダルク。そんな彼女に【真実を語らせる力】を見込まれた書記官のギョームが一緒に敗北へ導いた裏切り者を探す旅に出るダークファンタジー。不死身な一方でどこか抜けている食いしん坊なジャンヌと、従者オーヴィエットを交えた三人で旅する中で彼女を見極めようとするギョーム、明らかになってゆく復讐を誓うジャンヌの真の目的。恩人へ冷徹になりきれず苦境に陥る展開に彼女の複雑な心情が垣間見えますが、彼女を導いたものの正体も気になりますし、この旅の行方を最後まで読みたいと思いました。

15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)

15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)

 

 突然初対面の少女・君坂アリサに求婚され、うっかり承諾した大手出版取次に勤める火野坂賢一。実は中学生だったアリサとその実家を巡る騒動に巻き込まれてゆくラブコメディ。物語としてはやや構図を単純化し過ぎた感はありましたが、彼女と実家の書店をものにするためには手段を選ばない大手通販のゲスと対峙し、嫌がらせや中学生との婚約暴露という逆風に悩みながらも、これまで頑張ってきた仲間たちともに彼女や彼女が好きな書店を守ろうと奮闘し、愛の共同作戦wで劣勢を見事ひっくり返してみせた逆転劇はスカッとさせてくれるものがありました。

 坂井九太郎が所属するアニ研の部員は、世迷言を乱発する部長をリーダーに九太郎と部長の幼馴染の3人のみ。生徒会に目をつけられている部員不足の彼らが、アニメにまつわる事件に巻き込まれつつ部員を増やし、廃部危機を乗り越えるべく奮闘する青春小説。アニ研廃部を巡る会長や理事長の強引な手法には少しばかり残念な印象もありましたが、ベタな部長や幼馴染の関係、寡黙な美少女やマイペースな田中など主人公を振り回す分かりやすい魅力的なキャラを配しつつ、遭遇する事件に絡めてアニメの多様な側面を語ってゆく展開はなかなか面白かったです。

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

 

 後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。

鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)

鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)

 

 高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいいライバル関係になりそうで、この続きをまた読みたいです

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

 

 現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘・沙羅。彼女がそんな彼らに願いに応じてある持ちかける生と死を賭けた霊界推理ゲーム。登場人物たちが直面する突然の暗転と、沙羅によって提示される究極の選択。読みやすいテンポよく進む展開の中にヒントを織り交ぜつつ提示されてゆく謎解き。被害者たちに容赦のない現実を突きつけながら解決する可能性も提示して、彼らにしっかり考えさせてそれぞれのエピソードを良かったなと思える結末に導いてゆく沙羅の不思議な魅力が効いていましたね。続刊も決まっているようなので楽しみにしています。

そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)

そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)

 

 優等生の「着ぐるみ」をかぶって生活する高校生・宗也。帰宅の遅い幼馴染を捜しに出かけ事故に遭った宗也は断片的な幻覚に襲われるようになり、クラスで孤立する志緒と謎を追う青春ミステリ。不可思議な幻覚を共有した志緒と関わり、事件の真相を追ううちに少しずつ変わってゆく宗也の日常や心境。誰もが複雑な思いを抱える登場人物たちの心理描写は繊細で、幻覚を頼りに迫った事件の意外な真相は明示されないまま推測するに留まりましたが、それでもぐいぐい読ませる緊張感のある展開と、彼らが迎えた悪くない結末には充実した読後感がありました。

あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)

あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)

 

 自分の人生を交換するパーティーの招待状。その招待状を受け取った就職活動や婚活に失敗し続け、病気の母に苦労する山田尚子が、憧れていた国際的美人ピアニスト・桜庭響と人生を交換する物語。今の人生を生きる自分が不幸だと感じていた二人が、お試し期間の二週間付きの入れ替わりができると知って決断し、それぞれ経験してゆくもうひとつの人生。これまでと正反対の新鮮な生き方に刺激を受けたからこそ、見切りをつけようとしていたこれまでの人生で本当に大切だと感じていたことを自覚し、向き合っていこうとする展開はなかなか良かったですね。

 何か縁を切りたいものがあることが入居条件のシェアハウスえのき荘。その管理人に雇われた芽衣が、訳ありなシェアメイトと交友を深めてその卒業を見届ける物語。過剰なダイエットをするOLの理由、アニオタを隠すホスト、医者家系の期待を背負った4浪中の浪人生、そして口は悪いけれど優しい二代目大家。住人たちのエピソードから掘り下げられてゆくそれぞれの事情と大家とともに見届ける結末、そして管理人である彼女自身もまた実家の悪縁に縛られていて、彼らの心地よい距離感と優しさが心に沁みる物語でした。続刊あるならまた読みたいですね。

七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)

七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)

 

 人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀。ある日クラスメイト飯山直佳が落としたUSBメモリを拾い、中身の遺書を見てしまったことから奇妙な交流が始まる青春小説。彼女が進行性の記憶障害を患って自殺したがっていると知り、関わりたくなかったのに気になって仕方ないと自覚した秀が交わしたひとつの約束。秘密と約束を共有するようになった二人に訪れた転機と、やがて明らかになってゆく秀の苦い過去があって、その全てが繋がってゆく急展開には驚かされもしましたが、決着をつけた二人のその後のありようにはしっくり来るものがありました。

真実の10メートル手前 (創元推理文庫)
 

 表題作のほか高校生の心中事件「恋累心中」や「正義漢」、「名を刻む死」や「綱渡りの成功例」など、記者・太刀洗万智が遭遇する事件に隠された謎を解き明かしてゆく連作短編集。一見わかりやすい事件に見出した違和感から、鋭い着眼点と積み上げた取材で事件の核心に迫ってゆく万智。その真相にはやりきれないことも多かったですけど、それがそのまま読後感に繋がらなかったのは、真相を知ること向き合うことを恐れずに真摯にアプローチしていく万智の誠実さによるところが大きかったのかもしれないですね。「王とサーカス」の文庫化も楽しみです。

プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)

プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)

 

 聴覚過敏症に起因する苦い過去を抱え、就職活動に苦戦していた雛子。ようやく受かった何でもありのマーケティング会社「プランナーズ」で依頼を成功させるべく奮闘するお仕事小説。不運も重なった苦い過去の失敗からすっかり自信喪失していた雛子。けれど蔵元の立て直しに奔走したり、息子の代わりに旅行に連れて行ったり、なかなかうまく行かなくても諦めずに真摯に向き合う気持ちだったり、そんな彼女を支えてくれる先輩たちの協力で乗り越えてゆく展開は良かったですね。気になる関係もいくつかあったりで、続きがあるならまた読んでみたいです。

宮廷神官物語 一 (角川文庫)

宮廷神官物語 一 (角川文庫)

 

 聖なる白虎の伝説が残る麗虎国。美貌の宮廷神官・鶏冠が王命を受け、次の大神官を決めるために必要な慧眼を持つ奇蹟の少年・天青と出会う物語。屈強な青年・曹鉄や鶏冠と共に都を目指す過程で育まれてゆく絆といくつかの出会い、山奥育ちだった天青が知る世界の広さの一端と厳しい現実。そして否応なく巻き込まれてゆく次の大神官を巡る争い。物語としてはまだ序盤といった感じですが、やんちゃな天青や意外な一面も見せる美貌の神官の鶏冠など、登場人物たちがよく動いてテンポも良く、ここからどんな展開になってゆくのか今後に期待したいですね。

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)

 

 世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける人生を生きることになった坂知稀。人生を“積み重ね"られない彼女がこれからの「幸せ」の意味を問う物語。資本主義が行き詰まった近未来を舞台に、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間も不明な彼女にもたらされた、様々な立ち位置や思いを抱いた人たちとの出会いと別れ。繰り返される跳躍から始まる数多くのエピソードはやや断片的な印象もありましたが、そんな彼女に提示される未来の可能性とそれに対する回答は、積み重ねていった末に見出されたひとつの真理に思えました。

死なせない屋 (朝日文庫)

死なせない屋 (朝日文庫)

 

 医師免許国家試験で4浪決定した良太が、謎の美女・神楽からあらゆる手段で依頼人の命を守る『死なせない屋』のアルバイトにスカウトされ、その仕事を手伝うことになるミステリ。4浪決定で「ヨンロー」とか名付けてしまうネーミングセンスには苦笑いでしたが、拷問で死にかけた人を救ったり、都市伝説の殺し屋から狙われる人、自分の小説に登場する殺人鬼に狙われるミステリ作家からの依頼もあったり、著者さんらしい少し変わったテイストのミステリで面白かったです。続編出るならまた読んでみたいですけど主人公の名前変わるんでしょうか(苦笑)

([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)

([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)

 

 小学生の男の子の交通事故死。車で轢いてしまった美里と同乗していた夫・健二、その不倫相手・千恵子、男の子の母・吉乃のその後が描かれる連作短編集。どうすればよかったと思ってももう取り返しがつかない、その交通事故死によって一変してしまった状況と、それでも生きていかねばならない現実。置かれた立場の違いや温度差もあるそれぞれの人物描写と心情がきめ細やかに描かれていて、最後はやや唐突な感もありましたが、時間が経過して日常的には徐々に薄れていくことはあっても、ふとした時に思い出さずにいられないそんな描写が印象的でした。

居酒屋ぼったくり〈1〉 (アルファポリス文庫)

居酒屋ぼったくり〈1〉 (アルファポリス文庫)

 

 東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。亡くなった両親の跡を継いだ娘の美音と妹の馨が、旨い酒と美味しい料理を提供しつつ人々とのふれあいも大切にしてゆく連作短編小説。両親の味を守りつつも時には新しいチャレンジをしてたり、客の思いをかなえたり心配事を解消するべくいろいろ試行錯誤してみたり。妹の恋を応援したり拾ってきた子猫のために懸命になる美音のことはお客さんだって応援したくなりますよね。そんな真っ直ぐな美音と印象的な出会いを果たし、常連客になった何やら訳ありっぽい要さんとの今後もちょっと気になります。

コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)

コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)

 

 大学生活に馴染めず中退した19歳の白秋が、バイト先のコンビニに研修でやってきた女子高校生の黒葉深咲と次々と起きる謎を解く青春ミステリ。店から逃げ出さない強盗、繰り返しレジに並ぶ客、売り場から消えた少女といった事件が起きるたび、彼女の暴走に翻弄されつつ謎を解き明かす白秋。やや強引な謎もありましたがテンポの良い二人の謎解きは楽しくて、伏線を回収して見事に繋がってゆくほろ苦い背景と、それを乗り越えて迎える結末にはぐっと来るものがあって、何より著者さんの深いコンビニ愛が感じられた作品でした。次回作期待してます。 

拝啓、本が売れません

拝啓、本が売れません

 

 15 年に『松本清張賞』『小学館文庫小説賞』をダブル受賞してデビューした自称「平成生まれのゆとり作家」額賀澪さんが、担当編集といかに自分の本を売るのかあちこち取材していくお話。ダブル受賞デビューした作家さんのリアルな現在地と危機感が綴られていて、三木さんやさわや書店の松本さんといった様々な人を取材して引き出した話もまたなかなか面白くて、タイトルの印象ほどネガティブでもなく、前向きに何とかしようと頑張っている著者さんの姿勢に好感を持ちました。著者さんの作風好きなので今書いている新刊も楽しみに待っています。 

祈りのカルテ

祈りのカルテ

 

 初期臨床研修で様々な科を回る研修医・諏訪野良太が、行く先々で持ち前の観察力で患者たちが抱える秘密に迫り、その解き明かしてゆく医療ミステリ。大量服薬を繰り返し装う女性、自らの身体にメスを入れさせた老人、自ら火傷を負う女性、薬を棄てていた少女、そして世間を欺いて多くの患者を救おうとした女性。奇異な行動をする患者たちにはそうするだけ理由があって、思い悩む彼らの真意に気づいて寄り添いながらその最適解を提示する一方、思い悩んでいた自らの進路にも答えを出してゆく主人公のありようがとても良かったですね。シリーズ化期待。

青春のジョーカー

青春のジョーカー

 

 スクールカースト最底辺に所属し、上位女子グループの咲が気になっていた中三の基哉。閉塞感の漂う毎日を送っていた彼が、兄を通じて知り合った年上の二葉との出会いからジョーカーを得て少しずつ変わってゆく青春小説。いじられる存在で好きな子との会話すらままならない基哉の窮屈な生活と、ちょっとしたことで景色が全く違って見えたり、些細な噂で置かれる状況が一変することへの戸惑い。狭い世界の中での優越感やつまらない意地で失って大切な存在を自覚したり、甘酸っぱくほろ苦い青春と不器用な彼らの成長にはぐっと来るものがありました。 

青くて痛くて脆い

青くて痛くて脆い

 

 大学1年の春に秋好寿乃に出会い、二人で秘密結社「モアイ」を結成した楓。将来の夢を語り合った秋好はいなくなり、すっかり変わってしまったモアイを取り戻すべく楓が動き出す青春小説。周囲から浮いていて誰よりも純粋だった秋吉と、彼女の理想と情熱に感化されつつ徐々にすれ違うようになった楓。明らかになってゆく楓のモアイへの複雑な思いと不穏な構図、そしてやりきれない結末には流石に頭を抱えたくなりました。どこかで軌道修正できなかったのかいろいろ考えてしまいましたが、こういう自己陶酔的な青臭さや痛さもまた青春なんですよね…。

みとりし

みとりし

 

 派遣切りで職を失った薫が、幼い頃に一緒に事故に遭った陽太と偶然再会し、彼が社長を務めるペットの看取りをするペットシッターに再就職する物語。幼くして両親を失い伯母夫婦に育てられ、いい子を演じ続けるうちに自分が分からなくなってしまっていた薫。なかなか難しい人生を送ってきたことで、なかなか自分からアクションを起こせない不器用な彼女が、仕事を通じて飼い主やペット、そして関係者と関わっていくうちに様々な思いに触れ、陽太たちにも支えられながらきっかけを積み重ね、少しずつ変わってゆく展開はなかなか良かったと思いました。

4月に読んだ本 #読書メーターより

4月は娘の小学校入学で少し生活リズムが変わって、序盤全然読めない時期が続きましたが、結果的にはそれなりの冊数に。読みたい本が多過ぎてラノベ以外は周回遅れが常態化しつつありますが、新作も続刊も全体的に良かったなと思える本が多かったですね。

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:93
読んだページ数:24022
ナイス数:5592

華鬼3 (講談社文庫)華鬼3 (講談社文庫)感想
女子寮の外で神無をいきなり抱きしめキスしたと思ったら、突然高校から姿を消した華鬼。文化祭・ハロウィンとイベントが続く中で友人の桃子に振り回され、花嫁の座を狙う四季子に脅かされる第三弾。相変わらず何も言わない華鬼が何を考えているか分かりづらいですが、桃子の悪意ある行動や四季子に脅かされたりする中でも神無の想うところはブレなくて、粘り強く接するうちにいつの間にか華鬼の心境を変えさせているあたり意外と芯が強いですね(苦笑)殺意すら感じた四季子の結末はやや拍子抜けでしたが、ようやく少しは流れも変わるんでしょうか。
読了日:04月30日 著者:梨沙
銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド (講談社ラノベ文庫)銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド (講談社ラノベ文庫)感想
前巻で完結した物語の店舗特典として用意されたSSや同人・円盤特典に用意された短編、そしてこの物語が始まる前の少女たちの出会いを描いた前日譚、書き下ろしのクリスマス短編を加えた短編集。前半分は店舗特SSで描かれた少女たちの日常の風景で、深月のブラコンぶりやフィリルの読書家&ゲーマーっぷりに周囲が振り回されるのんびりした感じが良かったですね。そして前日譚におけるそれぞれの出会いだったり、こういう時はやはりフィリルが先導するんだなと思った一騒動も読めてらしさを楽しめました。完結は残念ですが次回作も期待してます。
読了日:04月30日 著者:ツカサ
コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)感想
大学生活に馴染めず中退した19歳の白秋が、バイト先のコンビニに研修でやってきた女子高校生の黒葉深咲と次々と起きる謎を解く青春ミステリ。店から逃げ出さない強盗、繰り返しレジに並ぶ客、売り場から消えた少女といった事件が起きるたび、彼女の暴走に翻弄されつつ謎を解き明かす白秋。やや強引な謎もありましたがテンポの良い二人の謎解きは楽しくて、伏線を回収して見事に繋がってゆくほろ苦い背景と、それを乗り越えて迎える結末にはぐっと来るものがあって、何より著者さんの深いコンビニ愛が感じられた作品でした。次回作期待してます。 
読了日:04月29日 著者:秋保 水菓
雪崎光は俺にラブコメを教えたい (角川スニーカー文庫)雪崎光は俺にラブコメを教えたい (角川スニーカー文庫)感想
バトル一辺倒で新人賞に投稿しても万年一次選考落ちだった漫画家志望の高校生・千秋。そんな彼が実は売れっ子漫画家だった同級生の美少女・雪崎光のアシスタントを始める青春ラブコメディ。作品でもリアルでもラブコメに疎かった千秋が、光に呆れられながらも実体験したりで少しずつ変わっていったり、ブラコン気味で一足先に漫画家デビューした妹・萌音に振り回される展開で、ラブコメとしてはチャンスはあるのに詰めが甘い展開がもどかしかったですが、それでも光や妹の苦境に寄り添って支え、成長していく千秋の姿には心に響くものがありました。
読了日:04月28日 著者:和見俊樹
復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)感想
自分を陥れた者たちに復讐するため蘇ったジャンヌ・ダルク。そんな彼女に【真実を語らせる力】を見込まれた書記官のギョームが一緒に敗北へ導いた裏切り者を探す旅に出るダークファンタジー。不死身な一方でどこか抜けている食いしん坊なジャンヌと、従者オーヴィエットを交えた三人で旅する中で彼女を見極めようとするギョーム、明らかになってゆく復讐を誓うジャンヌの真の目的。恩人へ冷徹になりきれず苦境に陥る展開に彼女の複雑な心情が垣間見えますが、彼女を導いたものの正体も気になりますし、この旅の行方を最後まで読みたいと思いました。
読了日:04月28日 著者:高橋 祐一
([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)感想
小学生の男の子の交通事故死。車で轢いてしまった美里と同乗していた夫・健二、その不倫相手・千恵子、男の子の母・吉乃のその後が描かれる連作短編集。どうすればよかったと思ってももう取り返しがつかない、その交通事故死によって一変してしまった状況と、それでも生きていかねばならない現実。置かれた立場の違いや温度差もあるそれぞれの人物描写と心情がきめ細やかに描かれていて、最後はやや唐突な感もありましたが、時間が経過して日常的には徐々に薄れていくことはあっても、ふとした時に思い出さずにいられないそんな描写が印象的でした。
読了日:04月27日 著者:砂田 麻美
(P[あ]6-4)幸せを呼ぶ物語、つづります。: 水沢文具店 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[あ]6-4)幸せを呼ぶ物語、つづります。: 水沢文具店 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
教員試験を控えた栞と付き合い始め、想いを伝えあいゆっくりと変化していく二人の関係。一方、龍臣は商店街の秋祭りで出し物をすることになる第二弾。引きこもりの弟を案じる姉やおばあちゃん遺した言葉に悩む少女、気になる子のために悩む少年や、自分のありように悩む薬局局長など、龍臣が書く物語の噂を聞きつけて訪れる人たちのために寄り添い、ひとつひとつ向き合おうとするその姿は真摯で優しさに溢れていましたね。もどかしい不器用な二人の関係にもお互いを思う気持ちが感じられて、そんな彼らの今後をまた続巻で読んでみたいと思いました。
読了日:04月27日 著者:安澄 加奈
最強魔法師の隠遁計画 6 (HJ文庫)最強魔法師の隠遁計画 6 (HJ文庫)感想
親善魔法大会の本戦が進行する中で人知れず迫る人類存亡の危機。元首らが災厄の再来に怯える状況でアルスとレティが任務に赴くことになり、新たな闇も蠢き始める第六弾。バルメスが隠蔽していた高レートの魔物討伐失敗。後手に回る状況で犯罪組織・クラマも介入する困難な状況。大会の方はテスフィアとアリスの親友同士の対決、そしてロキとフィリリックの因縁の対決と死力を尽くした激闘にその成長を感じましたが、一方でクラマ幹部・イリイスには何やらアルファと因縁がありそうで、アルスとの邂逅で物語もまた大きく動きそうですね。続巻に期待。
読了日:04月26日 著者:イズシロ
常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)感想
大国ザルツボルクの侵攻を受けたヘイミナル王国が存亡の危機を救う切り札として起用された傭兵・『常敗将軍』のドゥ・ダーカス。王弟や王の娘など様々な思惑が入り乱れる中、圧倒的不利な状況に立ち向かうファンタジー戦記。全幅の信頼を得られず思うように動けない中、要所要所の危機で最悪の状況を回避すべく動くダーカスの奮闘ぶりと、彼が見出そうとした決着の落とし所とその結末。テンポ良い展開に彼を見極めようとするティナや姫将軍・シャルナといった魅力的なキャラクターたちもよく動いて、これは続巻が楽しみな期待大の新シリーズですね。
読了日:04月26日 著者:北条新九郎
青くて痛くて脆い青くて痛くて脆い感想
大学1年の春に秋好寿乃に出会い、二人で秘密結社「モアイ」を結成した楓。将来の夢を語り合った秋好はいなくなり、すっかり変わってしまったモアイを取り戻すべく楓が動き出す青春小説。周囲から浮いていて誰よりも純粋だった秋吉と、彼女の理想と情熱に感化されつつ徐々にすれ違うようになった楓。明らかになってゆく楓のモアイへの複雑な思いと不穏な構図、そしてやりきれない結末には流石に頭を抱えたくなりました。どこかで軌道修正できなかったのかいろいろ考えてしまいましたが、こういう自己陶酔的な青臭さや痛さもまた青春なんですよね…。
読了日:04月26日 著者:住野 よる
商人令嬢と猫かぶり王子 結婚? 興味ありません (コバルト文庫)商人令嬢と猫かぶり王子 結婚? 興味ありません (コバルト文庫)感想
貴族の生まれで有能な商人でもある令嬢ミレイア。許嫁に婚約を破棄された彼女が街の市場で第二王子イグナシオに出会う物語。許嫁に婚約破棄されてもめげないミレイアがイグナシオと交わした期間限定の婚約。真っ直ぐで商才に長けたミレイアと腹黒猫かぶり王子のコンビが隣国の陰謀を探るうちに、何となくミレイアが絆される感じになりましたが、腹黒王子らしいそつのない詰めとそれでもいいコンビだなと思える二人が迎えた結末はなかなか良かったですね。うっかり既刊をすっ飛ばして読んでしまいましたが、機会があったら読んでみたいと思います。 
読了日:04月25日 著者:秋杜 フユ
京都伏見のあやかし甘味帖 花散る、恋散る、鬼探し (宝島社文庫)京都伏見のあやかし甘味帖 花散る、恋散る、鬼探し (宝島社文庫)感想
人生計画が木っ端微塵な状況で京都の地に降り立ち早一ヶ月。東京とは違うゆるやかな時間の中で自分を取り戻しかけていたれんげにまたもや子狐がらみの妖しい難問が。そのうえ元彼も現れる第二弾。一ヶ月経って少しは冷静になったところで元カレと突然の再会。直接の原因はあれでしたけど振り返ればお互い後ろめたい気持ちもあって、あやかし絡みの事件も絡んでいろいろ面倒なことになっちゃいましたが、れんげがケジメをつけて前に進むためには必要でしたかね。幕間に紹介される甘味・お酒エピソードは相変わらず美味しそうで続巻の新展開に期待。 
読了日:04月25日 著者:柏てん
真実の10メートル手前 (創元推理文庫)真実の10メートル手前 (創元推理文庫)感想
表題作のほか高校生の心中事件「恋累心中」や「正義漢」、「名を刻む死」や「綱渡りの成功例」など、記者・太刀洗万智が遭遇する事件に隠された謎を解き明かしてゆく連作短編集。一見わかりやすい事件に見出した違和感から、鋭い着眼点と積み上げた取材で事件の核心に迫ってゆく万智。その真相にはやりきれないことも多かったですけど、それがそのまま読後感に繋がらなかったのは、真相を知ること向き合うことを恐れずに真摯にアプローチしていく万智の誠実さによるところが大きかったのかもしれないですね。「王とサーカス」の文庫化も楽しみです。
読了日:04月24日 著者:米澤 穂信
七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)感想
人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀。ある日クラスメイト飯山直佳が落としたUSBメモリを拾い、中身の遺書を見てしまったことから奇妙な交流が始まる青春小説。彼女が進行性の記憶障害を患って自殺したがっていると知り、関わりたくなかったのに気になって仕方ないと自覚した秀が交わしたひとつの約束。秘密と約束を共有するようになった二人に訪れた転機と、やがて明らかになってゆく秀の苦い過去があって、その全てが繋がってゆく急展開には驚かされもしましたが、決着をつけた二人のその後のありようにはしっくり来るものがありました。
読了日:04月24日 著者:天沢 夏月
バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)感想
代々バスカビル王家に仕えてきた名門フォーマルハウト侯爵家。その次男で将来を有望視されながらもニートになっていたワイスが、親の七光りで第二王女アメリアの近衛騎士に任命され彼女に仕える物語。ハイスペックイケメンが何度も王女の危機を救えば惚れられるのも当然なんですが、本人は自己評価が低いコミュ障(問答集でごまかしているw)だったりで、現時点ではなかなか甘い雰囲気にはなりにくいですね(苦笑)兄や親友も王女の姉妹とそれぞれフラグが立っていたりで、その辺の恋愛模様が熟成されていけば面白くなりそうな予感も。続巻に期待。
読了日:04月23日 著者:糸宮むぎ
キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~ (メディアワークス文庫)キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~ (メディアワークス文庫)感想
嗄井戸の部屋からスナッフフィルムを見つけた奈緒崎。束が抱く複雑な想いも知って、過去の事件を解決すべくフィルムアーキビストの菱崖小鳩に協力を依頼する第三弾。奈緒崎の元カノが遭遇した消失事件を巡る想い、殺人事件の容疑者に仕立て上げられた奈緒崎、そして嗄井戸が引きこもるきっかけとなった事件の真相。何ともやりきれない事件でしたけど、作中で語られる薀蓄と嗄井戸の味方でいることを選んだ奈緒崎の奮闘と友情、現実を超える虚構という形で映画の可能性を提示してみせた結末には心に響くものがありました。次回作も期待しています。 
読了日:04月23日 著者:斜線堂 有紀
憧れの作家は人間じゃありませんでした3 (角川文庫)憧れの作家は人間じゃありませんでした3 (角川文庫)感想
ついに長編の執筆を始めた御崎禅。しかし人外の存在が絡んだ事件が相変わらず持ち込まれる中、御崎と因縁がある人狼が現れて新作完成目前のあさひ達に危険が迫る第三弾。小人の借り暮らしな生き方に対する少女の苦悩と、預言者菫さんが引き受けた異常者との対峙、そして御崎を探る人狼の存在。香苗とあさひの間で育まれてゆく友情や、変わりそうで変わらないあさひと御崎の関係とか、危険な事件に巻き込まれて発揮するあさひの編集者魂とか、いろいろその関係が難しいことを痛感しつつも、もうしばらく彼らの物語を見守りたいなと改めて思いました。
読了日:04月23日 著者:澤村 御影
ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」 (MF文庫J)ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」 (MF文庫J)感想
貫之が大学を去ったことで、自分の行動が誰かの進むべき道を捻じ曲げたと痛感した橋場恭也。そして今度は十一年の時を飛び、再び元の年齢へと強制的に戻される第四弾。作り直した人生ではシノアキが娘とともに傍らにあって、同僚の河瀬川や仲間たちと毎日のように起きるトラブルを解決する日々。それなりに充実した日々と感じる一方で過酷な現実にも直面する中、河瀬川の言葉には救われるものがありましたね。積み重ね成し遂げたことがその後の人生の変化に繋がるようで、心境が変化した彼が再び過去に戻ってどう模索していくのか続巻に期待ですね。
読了日:04月22日 著者:木緒 なち
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 8 (MF文庫J)エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 8 (MF文庫J)感想
人類の悲願だったマリス群生地攻略に成功したエイルンコード。そんな彼らのにヘキサの刻印を除去し人に戻す研究を進めるスイスから研究終了までの護衛という極秘依頼が届く第八弾。警護に向かったスマトラで束の間の休息を満喫するエルインたち。その研究を禁忌として阻止すべく総勢7体のネイバーを率いて強襲するサクラノツルギ。互いの熱い想いがぶつかる激闘でしたけど、その先にあるのがまた上げて落とすのが大好きなんですか?と突っ込みたくなるような絶望と逆境で、それでも彼らはまた跳ね返してくれるんですよね…ということで続刊に期待。
読了日:04月21日 著者:東 龍乃助
15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)感想
突然初対面の少女・君坂アリサに求婚され、うっかり承諾した大手出版取次に勤める火野坂賢一。実は中学生だったアリサとその実家を巡る騒動に巻き込まれてゆくラブコメディ。物語としてはやや構図を単純化し過ぎた感はありましたが、彼女と実家の書店をものにするためには手段を選ばない大手通販のゲスと対峙し、嫌がらせや中学生との婚約暴露という逆風に悩みながらも、これまで頑張ってきた仲間たちともに彼女や彼女が好きな書店を守ろうと奮闘し、愛の共同作戦wで劣勢を見事ひっくり返してみせた逆転劇はスカッとさせてくれるものがありました。
読了日:04月21日 著者:庵田 定夏
ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団 (ファンタジア文庫)ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団 (ファンタジア文庫)感想
古の魔王が再臨する絶望の未来を変えるため「アレンヘムの聖女」セシリアと婚約し、傭兵団「狂嗤の団」団長となる道を選んだカレル。聖女の加護を受け死の未来を回避する英雄として奮闘するファンタジー戦記。二年後の魔王再臨を限られた人しか知らない中で、代替わりした王国や戦争を仕掛けてきた自治領相手にどう立ち回るのか。腕が立って商才があり現実的な手段を積み重ねるカレルだけでなく、ヒロインのセシリアや仲間たち、王国の登場人物たちもまた魅力的なキャラが多くて、ここから物語がどう動くのか続巻がとても楽しみな新シリーズですね。
読了日:04月20日 著者:師走 トオル
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦4 (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦4 (ファンタジア文庫)感想
危険任務の手当として休暇を与えられ、リゾートへやってきたイスカたち。しかしそこでかつてイスカが救った魔女、皇庁第3王女シスベルと再会する第四弾。魔女化した隊長の今後も気になるところですが、イスカに接触するシスベルを取り巻く複雑な現状と暗躍する姉・イリーティアの存在、妹を追って砂漠のオアシスに向かうアリス。トラブルに巻き込まれながらも邂逅を果たしたイスカと姉妹でしたけど、それぞれの因縁が絡まり過ぎてイスカを巡る姉妹争奪戦が勃発しそうな予感も?これは(イスカは大変そうだけどw)次巻が楽しみになってきましたね。
読了日:04月20日 著者:細音 啓
鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)感想
高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいいライバル関係になりそうで、この続きをまた読みたいです。
読了日:04月19日 著者:梨沙
後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)感想
後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。
読了日:04月19日 著者:白川 紺子
青春のジョーカー青春のジョーカー感想
スクールカースト最底辺に所属し、上位女子グループの咲が気になっていた中三の基哉。閉塞感の漂う毎日を送っていた彼が、兄を通じて知り合った年上の二葉との出会いからジョーカーを得て少しずつ変わってゆく青春小説。いじられる存在で好きな子との会話すらままならない基哉の窮屈な生活と、ちょっとしたことで景色が全く違って見えたり、些細な噂で置かれる状況が一変することへの戸惑い。狭い世界の中での優越感やつまらない意地で失って大切な存在を自覚したり、甘酸っぱくほろ苦い青春と不器用な彼らの成長にはぐっと来るものがありました。 
読了日:04月19日 著者:奥田 亜希子
祈りのカルテ祈りのカルテ感想
初期臨床研修で様々な科を回る研修医・諏訪野良太が、行く先々で持ち前の観察力で患者たちが抱える秘密に迫り、その解き明かしてゆく医療ミステリ。大量服薬を繰り返し装う女性、自らの身体にメスを入れさせた老人、自ら火傷を負う女性、薬を棄てていた少女、そして世間を欺いて多くの患者を救おうとした女性。奇異な行動をする患者たちにはそうするだけ理由があって、思い悩む彼らの真意に気づいて寄り添いながらその最適解を提示する一方、思い悩んでいた自らの進路にも答えを出してゆく主人公のありようがとても良かったですね。シリーズ化期待。
読了日:04月19日 著者:知念 実希人
桜花妃料理帖 (富士見L文庫)桜花妃料理帖 (富士見L文庫)感想
偶然、迷子の国王・紫苑に料理を振る舞った宮廷料理人見習いの玉葉がお礼に差し出された桜の枝を受け取ってしまい、陰謀蠢く宮廷で期間限定の妃を務めることになる中華風ファンタジー。王から王妃に渡され一年間枯れぬことで絆が試される桜花国に伝わる桜・玲紀桜の枝。それを知らぬまま受け取った玉葉の料理バカっぷりと、男心が分からない鈍感さは突き抜けていましたが、でもそんな前向きな彼女のひたむきさが周囲を感化して流れを変えてゆく展開はなかなか良かったです。いい感じにまとまってはいましたが、続巻あるならまた読んでみたいですね。
読了日:04月18日 著者:佐藤 三
マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)感想
世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける人生を生きることになった坂知稀。人生を“積み重ね"られない彼女がこれからの「幸せ」の意味を問う物語。資本主義が行き詰まった近未来を舞台に、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間も不明な彼女にもたらされた、様々な立ち位置や思いを抱いた人たちとの出会いと別れ。繰り返される跳躍から始まる数多くのエピソードはやや断片的な印象もありましたが、そんな彼女に提示される未来の可能性とそれに対する回答は、積み重ねていった末に見出されたひとつの真理に思えました。
読了日:04月18日 著者:王城 夕紀
R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTII (新潮文庫nex)R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTII (新潮文庫nex)感想
新首都郊外の難民地区で多発する若い女性の行方不明事件。特殊捜査班「R.E.D.」が、困窮した少女たちを餌食にする暴力団と巨大外資企業、さらには児童福祉行政が一体となった国際人身売買ネットワークの影を捉える第二弾。相変わらずアクの強い世界観で躍動するサッチョウローズの少女たちに加えて希海もレギュラー化ですか。彼女らが巨悪を追い詰めてゆく分かりやすくテンポの良い展開は健在で、ただ彼女たちも組織に属する人間としていろいろなしがらみも出てくる中で決着は次巻に持ち越し。続巻では舞台も変わりそうで楽しみにしています。
読了日:04月17日 著者:古野 まほろ
お迎えに上がりました。 2 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)お迎えに上がりました。 2 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)感想
幽冥推進課の地縛霊を説得して成仏させるという業務にも慣れてきた夕霞。地縛霊の噂が観光名所の集客の妨げになっているので何とかしてほしいと依頼を受ける第二弾。相変わらず夕霞は臨時雇いで国民年金未納問題にも悩まされたりもしますが、奇想天外な解決方法を提示したかと思えば休日返上で地縛霊に寄り添って辛い結末に直面したり、神様と素直になれない娘の切ない関係解消のために奔走したり、まだまだ未熟で試行錯誤も多い彼女でしたけど少しずつ成長していますね。しかしそれにしても気になるエピローグで火車先輩は…続巻が気になります。 
読了日:04月16日 著者:竹林 七草
閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)感想
現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘・沙羅。彼女がそんな彼らに願いに応じてある持ちかける生と死を賭けた霊界推理ゲーム。登場人物たちが直面する突然の暗転と、沙羅によって提示される究極の選択。読みやすいテンポよく進む展開の中にヒントを織り交ぜつつ提示されてゆく謎解き。被害者たちに容赦のない現実を突きつけながら解決する可能性も提示して、彼らにしっかり考えさせてそれぞれのエピソードを良かったなと思える結末に導いてゆく沙羅の不思議な魅力が効いていましたね。続刊も決まっているようなので楽しみにしています。
読了日:04月16日 著者:木元 哉多
プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)感想
聴覚過敏症に起因する苦い過去を抱え、就職活動に苦戦していた雛子。ようやく受かった何でもありのマーケティング会社「プランナーズ」で依頼を成功させるべく奮闘するお仕事小説。不運も重なった苦い過去の失敗からすっかり自信喪失していた雛子。けれど蔵元の立て直しに奔走したり、息子の代わりに旅行に連れて行ったり、なかなかうまく行かなくても諦めずに真摯に向き合う気持ちだったり、そんな彼女を支えてくれる先輩たちの協力で乗り越えてゆく展開は良かったですね。気になる関係もいくつかあったりで、続きがあるならまた読んでみたいです。
読了日:04月16日 著者:梨沙
死なせない屋 (朝日文庫)死なせない屋 (朝日文庫)感想
医師免許国家試験で4浪決定した良太が、謎の美女・神楽からあらゆる手段で依頼人の命を守る『死なせない屋』のアルバイトにスカウトされ、その仕事を手伝うことになるミステリ。4浪決定で「ヨンロー」とか名付けてしまうネーミングセンスには苦笑いでしたが、拷問で死にかけた人を救ったり、都市伝説の殺し屋から狙われる人、自分の小説に登場する殺人鬼に狙われるミステリ作家からの依頼もあったり、著者さんらしい少し変わったテイストのミステリで面白かったです。続編出るならまた読んでみたいですけど主人公の名前変わるんでしょうか(苦笑)
読了日:04月15日 著者:七尾与史
なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?3 神々の道 (MF文庫J)なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?3 神々の道 (MF文庫J)感想
イオ連邦にひと時の休戦をもたらして、聖霊族が支配するユールン連邦への案内役としてエルフの巫女レーレーンを加えた一行が、導かれるようにオルビア預言神の祠へと辿り着く第三弾。そんなにラブコメっぽい展開ではない感じながらも、いつの間にか増えていくヒロインたちとカイの距離感も気になるところですが、シドに予言を与えた神の存在に一歩先ゆくラースイーエの意味深な一言、そして新たにシドの名前を持つ者たちの存在と、何かがひとつ明らかになるたびに新たな謎がどんどん増えていって、これからどうなるのか楽しみですね。続巻に期待。 
読了日:04月14日 著者:細音 啓
拝啓、本が売れません拝啓、本が売れません感想
15 年に『松本清張賞』『小学館文庫小説賞』をダブル受賞してデビューした自称「平成生まれのゆとり作家」額賀澪さんが、担当編集といかに自分の本を売るのかあちこち取材していくお話。ダブル受賞デビューした作家さんのリアルな現在地と危機感が綴られていて、三木さんやさわや書店の松本さんといった様々な人を取材して引き出した話もまたなかなか面白くて、タイトルの印象ほどネガティブでもなく、前向きに何とかしようと頑張っている著者さんの姿勢に好感を持ちました。著者さんの作風好きなので今書いている新刊も楽しみに待っています。 
読了日:04月13日 著者:額賀 澪
あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)感想
自分の人生を交換するパーティーの招待状。その招待状を受け取った就職活動や婚活に失敗し続け、病気の母に苦労する山田尚子が、憧れていた国際的美人ピアニスト・桜庭響と人生を交換する物語。今の人生を生きる自分が不幸だと感じていた二人が、お試し期間の二週間付きの入れ替わりができると知って決断し、それぞれ経験してゆくもうひとつの人生。これまでと正反対の新鮮な生き方に刺激を受けたからこそ、見切りをつけようとしていたこれまでの人生で本当に大切だと感じていたことを自覚し、向き合っていこうとする展開はなかなか良かったですね。
読了日:04月13日 著者:一原 みう
魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate 2 (GA文庫)魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate 2 (GA文庫)感想
次なる魔人の少女リーモットを救うために新大陸へと渡ったウィズとアローン。しかしアローンが謎の病に倒れ、ウィズが一人でリーモットに会いに行く第二弾。辛い現実に人が信じられなくなりかけていたリーモットと出会い、それでも諦めずにアローンを救ってくれるよう依頼するウィズ。彼らは魔人に選ばれた少女たちを救いたいだけなのに、それを受け入れられない英雄パーティーとの対峙は暗い影を落とすような悲劇にしか繋がらなくて、何が正しく間違っているのか分からなくなってきますが、いつかまたわかり合える日が来るといいんですけどね…。 
読了日:04月13日 著者:西乃 リョウ
我が驍勇にふるえよ天地7 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)我が驍勇にふるえよ天地7 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)感想
アドモフ帝都を目指し進軍を続けるレオナート。しかし東より草原最強の騎馬軍団クンタイト・ダラウチ氏族が襲来し、さらに若き皇帝ウィランがただひとり友と呼ぶ男、眠れる獅子ダノールが国家防衛のために立ちはだかる第七弾。騎馬軍団との対決は思わぬ結果に繋がりましたけど、何より今回は帝国軍最強のダノールとの激闘でしたね。帝国軍的にはどうもタイミングが悪かったというか、相手が悪かったというべきか迷いますが、それぞれのひとつの結末を提示したエピローグにはぐっと来るものがありました。ここからどう展開するのか続巻に期待ですね。
読了日:04月12日 著者:あわむら 赤光
かくりよの宿飯 八 あやかしお宿が町おこしします。 (富士見L文庫)かくりよの宿飯 八 あやかしお宿が町おこしします。 (富士見L文庫)感想
白夜の語った大旦那様の過去を胸に妖都から脱出し、北の地を治める八葉のもとへ向かうた葵。美しくも閉ざされた雪国で春日と再会した彼女が、天神屋で培ったおもてなし力で雪国の復興を託される第八弾。跡目争いの影響による治安の悪化で打撃を受けた北の地の観光業。立て直そうと奔走するキヨを助けたいのにすれ違う嫁の春日。そんな切ない状況をお節介で危なっかしい葵の奔走と、美味しい料理が切り拓いていく展開は相変わらずですね(苦笑)着実に仲間を増やしていく葵が垣間見せた大旦那様への想い。早く二人で笑い合える日が来るといいですね。
読了日:04月12日 著者:友麻碧
続・京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)続・京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)感想
1月の仕事始めの日『城之内相談事務所』に前世を知りたいという少女・梓が現れ、それを探るうちにバイトの海斗の前世にも繋がってゆく第二弾。思ってもみなかったいきなりの急展開にええっ?と驚きましたが、今回のメインは依頼に絡めて明らかになってゆく海斗の前世の因縁と、導かれるようにそれと対峙することになる海斗。相変わらず規格外の不思議なパワーを炸裂させるトモに笑って、狭い京都ならではのゲスト出演にはおおっとも思いましたけど、何より驚かされたのは海斗の過去の因縁の真相でした(苦笑)また続刊読めることを期待しています。
読了日:04月11日 著者:望月 麻衣
ぼくたちの青春は覇権を取れない。 ‐昇陽高校アニメーション研究部・活動録‐ (電撃文庫)ぼくたちの青春は覇権を取れない。 ‐昇陽高校アニメーション研究部・活動録‐ (電撃文庫)感想
坂井九太郎が所属するアニ研の部員は、世迷言を乱発する部長をリーダーに九太郎と部長の幼馴染の3人のみ。生徒会に目をつけられている部員不足の彼らが、アニメにまつわる事件に巻き込まれつつ部員を増やし、廃部危機を乗り越えるべく奮闘する青春小説。アニ研廃部を巡る会長や理事長の強引な手法には少しばかり残念な印象もありましたが、ベタな部長や幼馴染の関係、寡黙な美少女やマイペースな田中など主人公を振り回す分かりやすい魅力的なキャラを配しつつ、遭遇する事件に絡めてアニメの多様な側面を語ってゆく展開はなかなか面白かったです。
読了日:04月11日 著者:有象利路
滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉 (電撃文庫)滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉 (電撃文庫)感想
天子の襲来からスラガヤを護り抜いた末、力を使い果たした二人。貪食の君は深き眠りに就き、取り残されたクロアは朽ち滅びた地下街エルラムで謎の集団に囚われてしまう下巻。貪欲の君の代わりに目覚めたガファルによって明かされる過去の記憶と、人と大獣を巡る負の連鎖。それを断ち切ろうと立ち上がるクロアといくつもの想いが交錯する展開は、著者の思い描く異質な世界を表現する難しさも感じましたが、一方で弱さを乗り越えたそれぞれの想いの積み重ねがもたらした力と、それが幸せな結末へと繋がってゆく丁寧な描写は心に響くものがありました。
読了日:04月11日 著者:新 八角
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)感想
高校二年生の3学期を迎える咲太。麻衣と高校で一緒にいられる学生生活も残り僅かとなったなか、咲太の妹・花楓が誰にも明かしたことのない胸の内を打ち明ける第二部開幕。引きこもり状態から保健室登校をするようになっていた花楓が密かに抱えていた想い。あえて極めて難しい選択をする彼女の背中を押す咲太。周囲の人たちの力も借りて花楓の揺れる思いと向き合いながら、いろいろなことに少しずつ方向性が見えて来たなあとわりと穏やかな気持ちで読んでいたので、終わっていなかった思春期症候群にはっとさせられました。続刊早く読みたいですね。
読了日:04月10日 著者:鴨志田 一
ストライク・ザ・ブラッド APPEND2 彩昂祭の昼と夜 (電撃文庫)ストライク・ザ・ブラッド APPEND2 彩昂祭の昼と夜 (電撃文庫)感想