読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

2017年上半期注目のオススメ新作ライトノベルファンタジー13+2選

 とりあえず前回のエントリーに引き続き第二弾、ライトノベルファンタジー編です。今回は13点に刊行自体は昨年だったのですが、年が明けてから読んだらとても良かった2点を特別にプラスした15点を紹介します。最近は自分好みのボーイミーツガール的な要素も絡めたファンタジーもたくさん出てきていて、続巻が楽しみなシリーズもあります。これからもこういう作品がたくさん出てきてくれるといいですね。

 

86―エイティシックス― (電撃文庫)

86―エイティシックス― (電撃文庫)

 

 【第23回電撃小説大賞<大賞>】
帝国の無人兵器レギオンによる侵略を受け、有色人種を差別し戦わせてしのいでいた共和国。そんな若者たちを率いる少年・シンと、後方から彼らの指揮を執るハンドラーとなった少女・レーナが出会う物語。人権を認められない有人の無人機として戦い続ける「エイティシックス」の若者たち。現状に疑問を持つもののその過酷さを本当の意味では分かっていなかったレーナ。次々と仲間が死んでゆく厳しい状況で彼らに突きつけられる指令には絶望的な気持ちになりましたが、因縁にもきちんと決着を付け迎えた意外な結末はとても良かったですね。7月に2巻目刊行予定。

賭博師は祈らない (電撃文庫)

賭博師は祈らない (電撃文庫)

 

 【第23回電撃小説大賞<金賞>】
十八世紀末ロンドン。うっかり大金を得た賭博師ラザルスが仕方なく購入させられたのは、喉を焼かれて声を失った奴隷の少女・リーラ。不器用な二人が戸惑いながらも心通わせてゆく物語。師の教え通り勝たない賭博師としてこれまで生きてきたラザルスの失敗。放り出すわけにもいかず感情に乏しいリーラを教育しながら一緒に生活するようになる日々。徐々に打ち解けてゆく二人の拙い関係の変化が繊細な積み重ねで描写されていて、強奪されたリーラを奪還するため冷静に計算して最後まで完遂してみせたラザルスのありようがとても見事で心に響きました。8月に2巻目刊行予定。

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

 

 万能の源エルが消失し陸地のほとんどが水没した世界。唯一の陸地リエスを治める聖王家を追われた少女サリューと、陸地を追われた人々の船団国家にも属さない船乗り・カーシュが出会う物語。サリューを救い依頼を手伝うことになった船長・カーシュたち。共に過ごすうちに絆が育まれ、彼女の抱える秘密を知ったことで彼らも巻き込まれてゆく王道展開でしたが、諦めずに船団国家相手の駆け引きで協力を引き出し、救出に向かう彼らの戦いはなかなか痛快でした。すっきりとした結末でしたけど、新天地に向かう旅の続編があるならまた読んでみたいですね。

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

白翼のポラリス (講談社ラノベ文庫)

 

 【第6回講談社ラノベ文庫新人賞<佳作>】
人々が陸地のほとんどを失い、いくつかの巨大な船に都市国家を作ってわずかな資源を争う世界。船国を行き来して荷物を運ぶスワローの少年・シエルが、無人島に流れ着いた謎の少女・ステラと巡り合うボーイミーツガール。空を飛ぶことにしか生きる意味を見出だせないシエル。理由を明かさないまま自分を荷物として運んで欲しいと依頼するステラ。その飛行は息苦しかった彼らにとって新鮮だけれど危険の連続でもあって、たびたび衝突しすれ違った彼らが力を合わせて乗り越えようと挑んだそのとても爽やかな結末はとても良かったです。

緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)

緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)

 

 かつての栄光を失い虚栄と退廃に堕ちた東ローマ帝国。国の危機を憂う生真面目な騎士ベリスが、型破りな書記官プロックスと運命的な出会いを果たす戦記ファンタジー。ブロックスとの邂逅によって窮地を脱し、次期皇帝と目されるユスティンの元で頭角を現してゆくベリス。シリアスな展開続きでも脇を固めるキャラたちがよく動いて、その力が高く評価されることになったベリスとブロックスが、一方で皇妃となったテオドラと相容れない確執もあったりで面白かったです。それがいろいろな形で影響しそうな複雑な関係も絡めた今後の展開に期待大ですね。

オリンポスの郵便ポスト (電撃文庫)

オリンポスの郵便ポスト (電撃文庫)

 

 【第23回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>】
度重なる災害と内乱が続いた火星で長距離郵便配達員として働く少女・エリスが、改造人類・クロを神様がどこへでも誰にでも届けてくれるというオリンポスの郵便ポストまで届ける仕事を依頼される物語。入植時代からの生き残りのクロと、両親を探して郵便配達員を続ける少女の二人による長い旅路。その過程で多くの人に出会い、いくつもの困難に遭遇することで絆が育まれてゆき、それぞれが秘密を抱え意外な縁もあった二人が想いを通わせてゆく物語は、その真実に近づいてゆくたびに切ない気持ちにもなりましたがとても良かったですね。7月に2巻目刊行予定。

豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい (ファンタジア文庫)

豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい (ファンタジア文庫)

 

 【第1回カクヨムWeb小説コンテスト<特別賞>】
大人気アニメの嫌われ豚公爵に転生した主人公が、身分を秘した亡国の王女で今は自分の従者・シャーロットに告白するため、熟知するバットエンドを回避するべく奮闘する物語。才能に溢れて将来を嘱望された存在だったはずの豚公爵が、それを投げ捨ててしまった密かな理由。どこか悪徳令嬢ものっぽい雰囲気がある展開でしたが、落ちぶれていた豚公爵の決意とひたむきな想いは素直に応援したいと思えましたし、その評価を覆す奮闘ぶりはとても良かったですね。途中からやや物語に置いて行かれた感もあったメインヒロインでしたけど、今後の活躍に期待。現在2巻まで刊行。

 永く続く帝国と魔女の国ネビュリス皇庁の戦場で帝国の最高戦力となった剣士イスカ、と皇庁最強とうたわれる氷の魔女姫アリスリーゼが出会う物語。戦場で戦うべき強敵として出会う二人の運命の出会いというわりとよくあるテーマで、待ち合わせもしてないのに中立都市で遭遇し過ぎな感はありましたけど、ベタな甘いラブロマンスを重ねつつ、宿敵の二人が一時的に共闘する展開はとても自分好みでした。両陣営とも首脳陣がアレなので二人の関係が今後どういう方向に向かうのか気になりますね。最後は上手くまとまると信じてますよ?7月に2巻目が刊行予定。

 不器用で口が悪く魔術師として人々に恐れられるザガン。そんなサガンが亡き魔王の闇オークションで白い奴隷エルフの少女ネフィに一目惚れして全財産をつぎ込み購入。不器用な二人の共同生活が始まる物語。コミュ障でどう接していいか分からずたびたび言葉選びを間違えるサガンと、最初は怯えながらも彼の不器用な優しさを知り徐々に心を開いて行くネフィ。これまで孤独な境遇を過ごしてきた二人が、戸惑いながらも危機的状況を乗り越えて絆を育んでいく物語は、わりとシンプルな構図でベタな展開ではありましたがなかなか良かったです。現在2巻目まで刊行。

縛りプレイ英雄記 奇跡の起きない聖女様 (角川スニーカー文庫)

縛りプレイ英雄記 奇跡の起きない聖女様 (角川スニーカー文庫)

 

 凶悪すぎる見た目の高校生・仁王院陣が、回復魔法の失われた異世界に転移し、回復魔法が使えない聖女と出会って先行き不安な旅をする物語。異世界に来てトラウマのある道具を召喚できるようになった陣と、お人好しで今の状況に責任を感じている聖女・マリー。見た目で誤解されがちですが、誤解されることを恐れずにマリーを気遣い、他人のために奔走する陣を彼女はきちんと見ていて、わりといいコンビな二人でしたね。召喚契約も結んで仲間も増えそうなドタバタの道中がこれからどのようなものになるのか、続巻が楽しみな新シリーズです。7月に2巻目が刊行予定。

アカシックリコード (Novel 0)

アカシックリコード (Novel 0)

 

 本好きの高校生・片倉彰文が突如友人の甲斐浩太郎と共に小説投稿サイトの中へ召喚され、物語を救うため記憶ごと失われた大切な存在を取り戻すため戦うビブリオン現代ファンタジー。管理する物語が紙魚に蝕まれつつある「悪魔の書」。それを阻止するため創造者として悪魔と契約し、作中の人物や仲間とともに戦う中で失われていた記憶を取り戻す彰文。囚われた幼馴染を取り戻す決断は、すれ違ってしまった彼女と想いを再び通わせるための戦いでもあって、読みやすくとてもいい感じにまとまっていましたけど、他のエピソードも是非読んでみたいですね。

 烙印の子として奴隷のように育った少年ヴィスとかつて世界を救った伝説の勇者グレン。そんな二人が魔族に奪われたヴィスの恩人を取り戻す旅に出るファンタジー。幼い頃からの虐待で様々なものが欠落したヴィスと彼に目をかけるグレン。そして彼に唯一の正義を教え聖女に選ばれた恩人に起きた事件。魔法使いの少女ニーニらと出会ってからのズレた噛み合わない会話が印象的でしたが、魔王復活を目指す魔族や皇国などの思惑が交錯する展開で、様々な出会いと別れを経て少しずつ変わり始めたヴィスの旅が今後どのようなものになるのか続巻が楽しみです。

まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)

まるで人だな、ルーシー (角川スニーカー文庫)

 

 【第21回秋スニーカー大賞<優秀賞>】
エキセントリックボックスに宿る少女・スクランブルの人身御供となった御剣乃音が願いを叶える代償は人の感情。人間らしさを失いつつも力を行使し人を救う乃音が、正反対の人身御供・氷室に出会う物語。壊れてゆく自覚から抱える矛盾に悩む乃音と、代償に感情を得てどんどん人間に近づいてゆくスクランブル。大切だったものを次々と切り捨ててしまう乃音の選択には絶望的な気分になりましたが、だからこそ彼が育んできたものをきっかけに、どうにか悪くないとも思えるところに落ち着いた結末には救われる思いでした。現在2巻目まで刊行。

 

※以下2点は昨年発売ですが紹介し損なっていた良作なので特別に紹介。

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

 

 連合王国より先に人類を宇宙へ到達させるべく、共和国の最高指導者はロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。実験体として選ばれた吸血鬼の少女・イリナと監視係に任じられた候補生レフの物語。蔑まれる境遇から自由を得るため実験体として志願したイリナ。そんな彼女に最初は戸惑いながらも、共に過ごし訓練するうちに大切な存在として思うようになってゆくレフ。あくまで実験体としてか扱われない彼女の境遇には厳しいものがありましたが、乗り越えて見せた彼女たちの未来が明るいものであることを信じたくなる素敵な物語でした。現在2巻まで刊行。

西暦二〇三〇年、突如上空に現れた正体不明の飛行物体「衛精」の無差別攻撃で人類が空を奪われた世界。低空飛行に特化させた飛行艇ULFを駆る運び屋タクロウと銀髪犬耳少女チェルシーの物語。チームを組まない訳ありげな青年タクロウと駄犬扱いの相棒チェルシー。彼らに託した想いのため危険と最速の限界を乗り越えようとする二人の物語は、明らかになってゆく彼らの過去や事情によってガラリと印象も変わりますが、メリハリの効いた展開やギリギリを攻め続ける飛行描写、二人を中心とする人間模様がとても良くてぜひ続刊を期待したい作品ですね。

 

以上です。【ライト文芸編】【一般文庫編】は未消化の新刊があるので、月末更新になると思います。よろしくお願いします。

 【関連記事】

yocchi.hatenablog.com

 

 

2017年上半期注目のオススメ新作ライトノベル恋愛・青春小説14選

 6月ももうすぐ終わりということで、一年の半分を過ぎます。ということで今年1~6月に刊行になった新作で自分が読んだ中から上半期のオススメを紹介したいと思います。現時点で予定しているのは【ライトノベル恋愛・青春小説】【ライトノベルファンタジー】【ライト文芸】【一般文庫】の4選。今回その第一弾としてライトノベル恋愛・青春小説を14作品紹介します。

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

 

 期待もない新学年のホームルーム。高校生・細野亮の前に愛してやまない物語の中にいた「トキコ」そのままの少女・柊時子が現れる出会うはずがなかった読者と主人公の物語。見れば見るほどそのままの時子との出会い。一緒に過ごしてゆくうちに想いが少しずつ積もってゆく一方で、自分の中で湧き上がってくる違和感。主人公の周辺を切り取ったようなクローズな世界観で、あまりにも不器用な二人の距離感にもどかしくもなりましたが、物語をきっかけに知り合った二人が物語で心を通わせて、これからの二人の世界の広がりを予感させる素敵な物語でした。 

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

リンドウにさよならを (ファミ通文庫)

 

 【第18回えんため大賞ファミ通文庫部門<優秀賞>】
想いを寄せていた少女・襟仁遥人と共に屋上から落下し死んでしまったらしい神田幸久。二年後地縛霊として目覚めた彼はクラスでいじめに遭う穂積美咲に存在を気づかれ彼女と友達になる青春小説。自分の存在に気づいてくれた少女・美咲の優しい一面を知って現状を変えようとアドバイスをし、美咲が勇気を持って踏み出した一歩から少しずつつ変わってゆくその境遇。繊細な描写を積み重ねて作り上げられた伏線を回収してゆくことで意外な事実も明らかになっていって、爽やかで納得感のある結末まで組み上げたその構成力は今後に期待の作家さんですね。 

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

 

【第1回カクヨムWeb小説コンテスト<特別賞>】
高校二年生の春、ひとり暮らしを始めるはずだった弓月恭嗣が、不動産屋の手違いでひとつ年下の帰国子女・佐伯貴理華と同居するはめになってしまう物語。無防備な距離感で接してきて家の中と外とでは印象が違う佐伯さんと、苦い過去を持つがゆえに家の外では一定の距離を置こうとささやかな抵抗を続ける弓月くん。表情豊かでキャラとしてもよく動いている佐伯さんとの同居生活が弓月くんを少しずつ変えていって、その変化がクールな弓月くんの元カノ宝龍さんや周囲の友人たちにもまた影響を及ぼしてゆく展開はとても良かったです。現在二巻まで刊行。

いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ (ファンタジア文庫)

追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ (ファンタジア文庫)

 

【第29回ファンタジア大賞<金賞+審査員特別賞>】
二学期初日。野球部を辞めた篠山マサキが教室で遭遇したのは、自分の記憶にだけ存在しない少女・風間ハルカ。手紙の送り間違いを知らせてくれた女の子との文通をきっかけにその世界が変わってゆくSF系青春小説。うっかり優等生と評判のハルカの意外な一面を知ってしまうマサキ。怪しい文通をやりとりするたびになぜか突如変わってゆくハルカとの関係性。不器用な二人の距離感が微笑ましくて突然の急展開には呆然としましたが、真相を知って彼女のために奔走したマサキの決意と顛末は、荒削りながらも今後に期待したくなる爽やかな読後感でした。現在二巻まで刊行。 

【第1回カクヨムWeb小説コンテスト<特別賞>】
好意を寄せるクラスメイト・愛原そよぎの悩み事は想像を遥かに超えるもの。本気とも冗談ともつかない相談に真剣にアドバイスを送る二人による非日常系お悩み相談日常ラブコメ。秘密のはずなのにバレバレな質問をする天然娘・そよぎと、彼女に惹かれ気づかないふりをして真摯に答えてあげる幸助。そよぎだけでなく彼女の友人や弟・雪弥にも振り回されるドタバタ展開で、けれどそよぎが抱える秘密と次々と明らかになってゆく切ない過去や複雑な事情は切なくて、それでも周囲の人たちがいたからこそ迎えられたほっとする結末はなかなか良かったです。 

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

 

訳あって親友以外の他人との接触を断ち、部員が自分だけのジャーナリズム研究会に属する高校2年生の啓介。しかしうっかり美人な先輩の白鳥真冬の抱える謎を解いたことをきっかけに様々な事件やトラブルに巻き込まれてゆく日常系ミステリ。真冬のジャナ研入部により少しずつ変化し広がってゆく啓介の世界。彼が親友の大地や良太郎の協力も得ながら解いてゆく謎の真相。当事者にとってはほろ苦い結末であることが多かった一方で、それが停滞から前に進むための転機にも繋がっていて、続巻が出るようならまた読んでみたいと思わせるものがありました。 

青春絶対つぶすマンな俺に救いはいらない。 (ガガガ文庫)
 

 勝ち組を呪う負け犬高校生の狭山明人と冷血美少女・小野寺薫。放課後に呼び出しを受けた二人が中等部の少女・藤崎小夜子の謎のボランティア活動に巻き込まれてゆく痛青春ラブコメ。藤崎の電波発言にドン引きしつつもいがみ合う二人が、やる気がないなりにメンヘラハンサムやヒキニートといった濃いキャラの相談者たちが抱える問題解決に動いて仲間が増えてゆく展開でしたが、負け犬を自負しひねくれた言動ばかりの狭山だからこそ誰も気づかなった真意に気づいてしまう皮肉な結末は、今後に期待したくなるポテンシャルを感じました。8月に2巻刊行予定。

しがないゲームディレクターで会社は倒産、企画も頓挫して実家に帰ることになった橋場恭也。輝かしいクリエイターの活躍を横目にふて寝して目覚めると、なぜか十年前の大学入学時に巻き戻っていた青春リメイクストーリー。落ちたはずの大学に受かっていて憧れの芸大ライフ、さらにはシェアハウスで男女四人の共同生活。とはいえ同居人はそれぞれキラリと光るものを持っているのが垣間見えてしまう厳しい現実。今回はこれまでの経験を活かして存在感を出せましたけど、まだまだ試される状況は続きそうで、気になる人間模様も含めて続巻が楽しみです。

自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)

自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)

 

 ある朝、同級生の雨宮翼が列車へ飛び込み自殺を図るのに関与してしまった永瀬。その自殺が忘れられない彼が友人の深井から過去に戻れるカプセルを手渡され、やり直すために過去へ遡る物語。最初は彼女に関わらないと決意したはずなのに、逆に雨宮に関わる機会が増えてしまう永瀬。そんな彼に改めて突きつけられる「蝶は羽ばたかない」という事実。それでも当事者の変えようとする意志によって変わることもあって、多くの人にとってはさほど変わらない、けれど確実に変わったその結末に、一抹のほろ苦さを感じながらもどこか救われる思いがしました。 

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

 

学園祭が間近に迫る高2の秋。連日大事故に繋がりかねないトラブルに見舞われ続けながら、なぜか幼馴染の少女・久遠に助けられていた結羽太。そんな折り久遠が学園祭で誰かに告白するという噂を聞く青春小説。そばにいるのが当たり前な久遠の想い人に気づけない結羽太。彼を死から救うためにやり直し続けてきた久遠に突きつけられる絶望。序盤展開の分かりづらさはやや気になりましたが、最後まで諦めない久遠の過去を知り、結羽太が失われかけていたものを取り戻しに行く展開は、報われないことも多い幼馴染ものとしてぐっと来るものがありました。 

ありえない青と、終わらない春 (講談社ラノベ文庫)

ありえない青と、終わらない春 (講談社ラノベ文庫)

 

 選択しなかった運命を選択するために未来から戻ってきたという少女・前田きららと出会った石崎海。戸惑いながらも真っ直ぐな彼女に惹かれてゆく物語。令嬢としてすでに敷かれているレールを歩むだけのきららの人生。イケメンで優秀な婚約者の存在。一緒にいるうちに想いを自覚してゆく一方で、突きつけられる容易には叶わない現実。二人の想いに焦点を当てるシンプルな構図にしたことで、その分周囲の人物描写があっさりとしていた感はありましたが、逡巡を乗り越えて未来を一緒に切り開いた二人のこれからを応援したくなる爽やかな青春小説でした。

終わる世界の片隅で、また君に恋をする (電撃文庫)
 

 名前も周囲の人たちとの関係も、その存在すらも全てを忘れ去られてしまう忘却病。全ての人々の記憶が消えていくこの世界で、アキが桜良先輩と忘却病に罹った人の最後の望みを叶えてゆく物語。保健室登校の桜良先輩の発案で始まった『忘却病相談部』。同級生とデートしたり、後輩の家族として過ごしたり、親友を思い出したい先輩など、その願いに寄り添い手伝うアキ。忘れられてしまう、忘れてしまう残酷な現実に向き合うことで見え隠れする複雑な想いがとても切なかったですが、それでも大切な想いを取り戻したエピローグには少しだけ救われました。

モノクローム・サイダー あの日の君とレトロゲームへ

モノクローム・サイダー あの日の君とレトロゲームへ

 

カクヨム「エッセイ・実話・実用作品コンテスト」受賞作】 

高校最後の夏を迎えた平凡なゲームオタクの高校生・百式長之介が、昼休みの屋上でゲームをしている女の子・鯨武由美と出会い人生が動き出す自伝的小説。最初は彼女の前を通るくらいで精一杯だった彼が、勇気を出して声を掛けたことで始まった一緒にゲームをするようになる日々。なかなか思うようにいかないことばかりでしたけど、不器用でも諦めずにきちんと向き合おうと奮闘する百式くんと、共に過ごす日々を送るようになった鯨武さんが二人らしい形で積み重ねてきた関係がとても素敵だと思いました。続編もまた書籍で読めること期待しています。

 

以上です。予定している残り3選も6月の新作を消化次第随時アップしていく予定です。よろしくお願いします。


 

2017年5月に読んだ新作おすすめ本

 というわけで5月に読んだ新作おすすめです。今月は27点とやや多めの紹介ですが、オススメはライトノベルでは「漂海のレクキール」「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」「かりゆしブルー・ブルー」あたり。その他では「あざみ野高校女子送球部!」「京都西陣なごみ植物店」「契約結婚はじめました。」「カロリーは引いてください!」「時をめぐる少女」「あとは野となれ大和撫子」あたりですね。わりといい読後感で十分満足できるタイトルが多かったです。

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

漂海のレクキール (ガガガ文庫)

 

 万能の源エルが消失し陸地のほとんどが水没した世界。唯一の陸地リエスを治める聖王家を追われた少女サリューと、陸地を追われた人々の船団国家にも属さない船乗り・カーシュが出会う物語。サリューを救い依頼を手伝うことになった船長・カーシュたち。共に過ごすうちに絆が育まれ、彼女の抱える秘密を知ったことで彼らも巻き込まれてゆく王道展開でしたが、諦めずに船団国家相手の駆け引きで協力を引き出し、救出に向かう彼らの戦いはなかなか痛快でした。すっきりとした結末でしたけど、新天地に向かう旅の続編があるならまた読んでみたいですね。

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)

 

 訳あって親友以外の他人との接触を断ち、部員が自分だけのジャーナリズム研究会に属する高校2年生の啓介。しかしうっかり美人な先輩の白鳥真冬の抱える謎を解いたことをきっかけに様々な事件やトラブルに巻き込まれてゆく日常系ミステリ。真冬のジャナ研入部により少しずつ変化し広がってゆく啓介の世界。彼が親友の大地や良太郎の協力も得ながら解いてゆく謎の真相。当事者にとってはほろ苦い結末であることが多かった一方で、それが停滞から前に進むための転機にも繋がっていて、続巻が出るようならまた読んでみたいと思わせるものがありました。

 永く続く帝国と魔女の国ネビュリス皇庁の戦場で帝国の最高戦力となった剣士イスカ、と皇庁最強とうたわれる氷の魔女姫アリスリーゼが出会う物語。戦場で戦うべき強敵として出会う二人の運命の出会いというわりとよくあるテーマで、待ち合わせもしてないのに中立都市で遭遇し過ぎな感はありましたけど、ベタな甘いラブロマンスを重ねつつ、宿敵の二人が一時的に共闘する展開はとても自分好みでした。両陣営とも首脳陣がアレなので二人の関係が今後どういう方向に向かうのか気になりますね。続巻が楽しみですけど最後は上手くまとまると信じてますよ?

 いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)

 

 学園祭が間近に迫る高2の秋。連日大事故に繋がりかねないトラブルに見舞われ続けながら、なぜか幼馴染の少女・久遠に助けられていた結羽太。そんな折り久遠が学園祭で誰かに告白するという噂を聞く青春小説。そばにいるのが当たり前な久遠の想い人に気づけない結羽太。彼を死から救うためにやり直し続けてきた久遠に突きつけられる絶望。序盤展開の分かりづらさはやや気になりましたが、最後まで諦めない久遠の過去を知り、結羽太が失われかけていたものを取り戻しに行く展開は、報われないことも多い幼馴染ものとしてぐっと来るものがありました。

自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)

自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)

 

 ある朝、同級生の雨宮翼が列車へ飛び込み自殺を図るのに関与してしまった永瀬。その自殺が忘れられない彼が友人の深井から過去に戻れるカプセルを手渡され、やり直すために過去へ遡る物語。最初は彼女に関わらないと決意したはずなのに、逆に雨宮に関わる機会が増えてしまう永瀬。そんな彼に改めて突きつけられる「蝶は羽ばたかない」という事実。それでも当事者の変えようとする意志によって変わることもあって、多くの人にとってはさほど変わらない、けれど確実に変わったその結末に、一抹のほろ苦さを感じながらもどこか救われる思いがしました。

終わる世界の片隅で、また君に恋をする (電撃文庫)
 

 名前も周囲の人たちとの関係も、その存在すらも全てを忘れ去られてしまう忘却病。全ての人々の記憶が消えていくこの世界で、アキが桜良先輩と忘却病に罹った人の最後の望みを叶えてゆく物語。保健室登校の桜良先輩の発案で始まった『忘却病相談部』。同級生とデートしたり、後輩の家族として過ごしたり、親友を思い出したい先輩など、その願いに寄り添い手伝うアキ。忘れられてしまう、忘れてしまう残酷な現実に向き合うことで見え隠れする複雑な想いがとても切なかったですが、それでも大切な想いを取り戻したエピローグには少しだけ救われました。

 

(P[こ]4-6)あざみ野高校女子送球部! (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[こ]4-6)あざみ野高校女子送球部! (ポプラ文庫ピュアフル)

 

中学時代バスケ部での苦い経験から、もう二度とチーム競技はやらないと心に誓っていた端野凛。つい本気で臨んだ体力測定の記録からハンドボール部顧問成瀬にスカウトされる青春スポーツ小説。典型的なストイックアスリートの凛と凄まじいポテンシャルを持ちながら運動素人の智里。どんなにやられても凹まない絶望しない凛には苦笑いでしたが、好対照な二人を軸として、勝つために自らを追い込んでゆくハンドボール部のメンバーたちそれぞれの想いや葛藤も熱くて、スポーツ小説としてなかなか読み応えがありました。続編あるなら是非読みたいですね。

京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)

京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)

 

 ある母娘から質問を受けて戸惑う京都府立植物園の新米職員の神苗健。そんな彼を救った「植物探偵」を名乗るなごみ植物店の店員・実菜と植物にまつわる様々な謎を解いてゆく連作ミステリ。著者さんらしい情緒ある京都の風物詩を絡めつつ、植物絡みの謎に挑む探究心旺盛でちょっと変わった実菜と、彼女から探偵助手に任命された神苗の二人はお互いを補い合うなかなかいいコンビっぷりで、彼らの奔走ですれ違いかけた人の想いが繋がったり、周囲も温かく見守る二人の距離感も今後が気になったりで、とても良かったので続編がまた読みたいと思いました。

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)

 

 椿屋敷で若くして隠居暮らしの柊一と契約結婚した香澄。町の相談役・柊一の元に近所から相談が持ち込まれるわけありな人々の物語。築六十年の椿屋敷という珍しい視点から綴られる穏やかで物事がよく見えるのになぜか人の機微には少し疎い柊一と、よく働き一緒に過ごすうちに柊一のことが気になってゆく可愛い香澄の関係。二人の穏やかな日常が周囲の関与により詮索しないはずの過去に触れ少しずつ変わってゆく展開は、二人が本当の夫婦に近づいてゆく過程をいろいろと楽しめそうですね。周りのキャラも魅力的でこれは続巻に期待大の新シリーズです。

エプロン男子 今晩、出張シェフがうかがいます (集英社オレンジ文庫)

エプロン男子 今晩、出張シェフがうかがいます (集英社オレンジ文庫)

 

 激務の仕事はうまくいかず、恋人にもフラれたデザイナーの夏芽。心身ともにボロボロの彼女がイケメンシェフが自宅に来て料理を作ってくれる「エデン」を紹介される物語。やって来た海斗の作る食事と優しさに触れ立ち直るきっかけを得た夏芽が、次々と出会うメンバーたち。エデンを立ち上げた相馬と参加する男たちが抱える事情と料理に賭ける想い。それぞれのやり方で求められた人たちのために真摯に向き合う彼らの料理には癒されそうで、でも接触禁止で恋愛禁止な契約という縛りがなかなか興味深かったです。続巻あるならまた読んでみたいですね。

 大学の学食で働きながら、幼馴染・朝生くんと同じマンションに住んでご飯を作る契約をしている楓。体重を除けば完璧な朝生くんとのダイエットを巡る攻防と、身の回りで起こる謎を解くドタバタミステリ。痩せさせるべく日々工夫しながらご飯を作るのになかなか成果が出ない楓とたくさんご飯を食べたい朝生の探り合うような駆け引き、一方で身の回りで起こる謎に対して(デブだけど)無駄に多才な朝生が大活躍するギャップがなかなか面白かったです。そんな二人の何とも形容し難い関係も今後が気になったりで、続巻を是非期待したい新シリーズですね。

時をめぐる少女 (メディアワークス文庫)

時をめぐる少女 (メディアワークス文庫)

 

 未来や過去の自分に逢えるらしい並木道の奥にある小さな広場。九歳の葉子が恋人と婚約したばかりの将来の自分自身と出会う物語。離婚して一人葉子を育てる母親との衝突、繰り返す転校と親友との出会い、上手くいかない就活と大切な人との出会い、そして不安が押し寄せる結婚。自分の選択に自信を持てないがゆえに何かあるたびにこれでいいのか深く悩む葉子でしたけど、そこで一歩を踏み出すことでかけがえのない出会いがあって、それらが巡り巡って最初に背中を押してくれた未来の自分に繋がってゆく穏やかな結末は、とても素敵なものに思えました。

 突然の婚約破棄に昇進取り消し。順風満帆からまさかの人生のどん底に陥った大手通信会社営業・八乙女累が一念発起して書いた小説で小説新人賞を受賞し兼業作家デビューを果たすお仕事小説。ヤケを起こし迷走した果てに原点回帰して挑戦した小説新人賞。厳しいダメ出しをする鬼編集と組むことになり、仕事の方も大変なことばかりで厳しいと思いましたが、きちんと見据えて頑張ってみれば見えることもあるし助けてくれる人もいるんですよね。どうにか兼業作家のスタートラインに立てた今回、周囲との人間関係も気になりますし続巻を読んでみたいです。

明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)
 

 明治初期を舞台に書かれた記事が原因で友人が奉公先を追い出されたと新聞社に乗り込んできた少女・香澄が、妖怪にまつわる記事ばかり書く記者・久馬と友人・艶煙と共に人助けをするあやかし謎解き譚。新聞社に乗り込んだ香澄が知る記事が書かれた本当の事情。手伝いをするようになった香澄の心境の変化。普段はぐうたらな久馬がまっすぐなゆえに危なっかしいところもある香澄をきちんと助けたり、だんだんお互いを知ることで少しずつ変わってゆく二人の距離感がなかなか良かったですね。気になるコンビでしたし続きがあるならまた読んでみたいです。

かぜまち美術館の謎便り (新潮文庫nex)

かぜまち美術館の謎便り (新潮文庫nex)

 

 美術館の館長として香瀬町に引っ越してきたカリスマ学芸員・佐久間とその娘のかえで。18年前の事件と町民に残るわだかまりを絵画を通じて佐久間が解いてゆく絵画ミステリー。真相を示唆する絵画を佐久間が解釈して周囲の人々に強く残る過去のわだかまりの誤解を解き、それが18年前の事件の真相ともリンクして全てが繋がってゆく展開。癒やしとなる佐久間とかえで親子のほのぼのとしたやりとりや、救いを見いだせる各エピソードの余韻がとても良かったからこそ、思い出してゆく過去のほのかな想いの結末には少しばかり切ない気持ちになりました。

おまえのすべてが燃え上がる (新潮文庫nex)

おまえのすべてが燃え上がる (新潮文庫nex)

 

 愛人生活がバレてスポーツジムのアルバイトの給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って何とか暮らす信濃の元に、弟が元恋人を連れて訪ねてくる物語。冒頭から包丁を持った愛人の妻に殺されかけててギョッとしましたが、どん底信濃の生活っぷりや、同じようにどん底で過去に二度も絶交した因縁の相手・醍醐との気まずい再会、意味不明の意気投合から自己嫌悪する流れはうわあと思いつつもぐいぐい読ませますね。相変わらず波乱万丈な二人にそんなに簡単には変わらないよなと思いつつもその悪くないと思える結末には救いを感じました。

君に出会えた4%の奇跡 (双葉文庫)

君に出会えた4%の奇跡 (双葉文庫)

 

 大好きな彼にプロポーズされ、結婚を控えて数年ぶりに京都に帰ってきた灯里。自宅の物置で高校生の時に作った小さな提灯を見つけた彼女が、そこに薄らとコウと書かれた跡を見つける物語。幸せを感じつつも思い出せない何かにもどかしさをずっと感じていた日々。そして自らが忘れていた高校時代の記憶。著者さんの前作同様ブルームーンを鍵とするお話でしたが、構図を複雑にしないよう配慮しながら京都の情景を繊細に描いていて、ほのかな切なさも伴うエピソードをひとつの物語としてまとめ上げてゆく結末には、良かったと思える安心感がありました。

憧れの作家は人間じゃありませんでした (角川文庫)

憧れの作家は人間じゃありませんでした (角川文庫)

 

 紆余曲折の末に憧れの作家・御崎禅の担当となった文芸編集者2年目の瀬名あさひ。実は吸血鬼で人外の存在が起こした事件について警察に協力している御崎に原稿を書いてもらうため事件解決にも奮闘する物語。映画好きで意気投合した作家・御崎の意外な正体。最初は困惑するものの映画好きで意気投合しファンでもある御崎の事情を知ることになって、原稿を書いてもらうためにと奮闘するあさひの行動力が物語を引っ張っていた印象。読みやすい語り口でいい感じに物語を引き締めていた刑事の夏樹にも好感。もし続巻あるようならまた読んでみたいですね。

 カネなし男なし才能なしで崖っぷちな29歳のタロット占い師・柏木美月。ある日ずば抜けた推理力を持つ美少女・愛莉を助けたことをきっかけに、占いユニット「ミス・マーシュ」を結成し人々の悩みに秘められた謎に挑むミステリ。お人好しで困った人を放っておけないお節介な美月と、人と関わるのが苦手だけれど数々の謎を解いてみせるツンデレな愛莉。訪れる人々の謎を解きながら、テンポのいい二人の凸凹コンビぶりや遠慮していた距離感もだんだんいい感じになっていく過程が良かったですね。まだまだ続きも期待できそうですし続巻に期待します。

黄砂の籠城(上) (講談社文庫)

黄砂の籠城(上) (講談社文庫)

 

 外国人排斥を叫ぶ義和団勢力を増していた清朝末期の北京。暴徒化して教会を焼き討ち外国公使館区域を包囲する義和団を相手に、足並み揃わぬ列強11ヵ国を新任の駐在武官・柴五郎率いる日本が先導して壮絶な闘いに挑む物語。今回は実際にあった義和団の乱で活躍した日本人たちを主人公とした物語で、緊張が高まってゆく中でどのように事態が推移していったのか、そんなギリギリの状況で彼らがどう考え行動したのか。各人の思惑も入り乱れる困難な状況でしたけど、懸命に奔走して活路を見出そうとする姿には心に響くものがありました。後編も期待。

黄砂の籠城(下) (講談社文庫)

黄砂の籠城(下) (講談社文庫)

 

 先陣を切って漢人キリスト教徒を義和団から救出した日本。しかし西太后義和団に迎合して列強に宣戦布告を決断、援軍到着も見えないまま籠城戦を強いられる下巻。史実をベースとした20万人の義和団と清国軍を相手にした先の見えない難しい闘いでしたけど、そういう絶望的な状況でもできるだけ多くの人を救おうとする櫻井たちの奮闘が自分勝手な行動も多かった列強にも徐々に影響していって、あっさりめのエピローグはもう少しその後の描写があってもと感じましたものの、力を併せて籠城戦を最後までを戦い抜いたその様子はとても心に響きました。

運転、見合わせ中 (実業之日本社文庫)

運転、見合わせ中 (実業之日本社文庫)

 

 朝のラッシュ時に電車が緊急停止。その影響を受けた大学生、フリーター、デザイナー、OL、そして緊急停止に関わっていた人たちのそれぞれのエピソードが綴られる連作短編集。登場人物たちが電車に乗れなかったこと、乗ったことが停滞していた転機に繋がったり、そうだったんだと気付かされたり、逆に人生なんてそうそう変わらないんだなあと思うことがあったり。何となくうまくいかない状況に直面していた彼らでしたけど、この緊急停止から派生したエピソードがまた前を向いて一歩踏み出せるきっかけになればいいなと応援したくなる物語でした。

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

 

 ある日病院で一冊の文庫本「共病文庫」を拾った高校生の僕が、それを密かに綴っていた膵臓の病気により余命がいくばくもないクラスメイト・山内桜良と出会う物語。ぼっちな僕相手にずけずけと距離を縮めてくる彼女。困惑しつつも彼女と共に過ごす時間がどんどん増えていき、その影響を受けて変わっていく僕。何とも形容し難い二人の繊細な関係と距離感のとても甘酸っぱい恋愛未満な感じが良かったです。何をもって報われたとするのか難しい結末でしたが、二人にとって出会って共に過ごした濃密な時間は、素敵なものだったんだなと改めて思えました。

か「」く「」し「」ご「」と「

か「」く「」し「」ご「」と「

 

 みんなには隠している、ちょっとだけ特別なちから。なんの役にも立たないけれど、そのせいで最近気になって仕方ない。そんなクラスメイト5人のかくしごとがそれぞれの視点で描かれる連作短編集。それぞれ誰にも言えない秘密があって、抱えている想いがある。みんな頑張っているけど不器用だから勘違いして空回りして、傍から見てるともどかしいばかりなんですが、そこで思い切って一歩踏み出してみたらなあんだと思うようなことだったりで、そんな青春している5人が十年後どうなっているのかちょっと知りたくなるような、そんな素敵な物語でした。

あとは野となれ大和撫子

あとは野となれ大和撫子

 

 ソビエト時代末期に建国された中央アジアの小国アラルスタン。様々な理由で居場所を無くし後宮で高等教育を受けていた少女たちが、国の危機に居場所を守るため逃亡した男たちに代わり臨時政府を立ち上げ奮闘する物語。保護者だった大統領の暗殺で日本人少女のナツキも後宮の若い衆のリーダーであるアイシャや仲間たちとともに、反政府組織の侵攻や周辺国の干渉に立ち向かう展開は、ギリギリの連続でもそこまでの悲壮感はなくて、周囲も巻き込みながら若いパワーで最後まで駆け抜け最後は認めさせてしまう素敵な物語でした。なかなか面白かったです。

 監視カメラ情報とプロファイリングで連続放火事件を追う警視庁刑事部分析捜査三係の渡瀬敦子。記者復帰を狙う東都放送報道局・版権デスクの土方玲衣。中学校時代の同級生二人が事件を追う報道×警察小説。消極的理由から警察官僚の道を選んだ敦子。野心を持って成り上がると決めた玲衣。似たような境遇ながら正反対の性格だった二人を掘り下げつつ、時に協力しながら執念で犯人に迫る展開は、情報が多くリーダビリティにやや難はあるものの、明らかになってゆく真実と解決に向けて加速していく面白さがあり、著者さんらしさを十分に堪能できました。

 

5月に読んだ本 #読書メーターより

最近1ヶ月が早いですね…5月もそこそこ読めてはいましたが、書籍の方は先月ついに1日2冊ペースを切ってしまいましたorz とはいえシリーズ続巻も新作もわりと豊作だったのは確かで、面白い本を読めたという意味ではなかなか充実した1ヶ月だったといえそうです。例によってブログの文字数制限に余裕で引っかかるので、今月もコミックを除いた掲載です。いつかコミックも紹介する機会があったらいいなとは思っています。

 

5月の読書メーター
読んだ本の数:99
読んだページ数:24407
ナイス数:6521

君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)君と四度目の学園祭 (角川スニーカー文庫)感想
学園祭が間近に迫る高2の秋。連日大事故に繋がりかねないトラブルに見舞われ続けながら、なぜか幼馴染の少女・久遠に助けられていた結羽太。そんな折り久遠が学園祭で誰かに告白するという噂を聞く青春小説。そばにいるのが当たり前な久遠の想い人に気づけない結羽太。彼を死から救うためにやり直し続けてきた久遠に突きつけられる絶望。序盤展開の分かりづらさはやや気になりましたが、最後まで諦めない久遠の過去を知り、結羽太が失われかけていたものを取り戻しに行く展開は、報われないことも多い幼馴染ものとしてぐっと来るものがありました。
読了日:05月31日 著者:天音 マサキ
かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月 (角川スニーカー文庫)かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月 (角川スニーカー文庫)感想
いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。
読了日:05月31日 著者:カミツキレイニー
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 2 (HJ文庫)
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 2 (HJ文庫)感想
相変わらず不器用な共同生活を続けるザガンとネフィのもとに全身を鎧で覆った魔術師が襲撃してきたり、一方で伝説の聖騎士が赴任してきたことをきっかけに、聖騎士シャスティルに危機が訪れる第二弾。襲撃者だった竜の少女・フォルの悲しい過去。彼女を娘のような愛しい存在と思うようになっていく二人の、時折いい感じになりかけてはっと気づいて照れる甘い雰囲気。危うい立場だったシャスティルの危機も絡めつつ描かれたフォルと竜殺しの聖騎士の因縁の結末は、何かとてもこの作品らしい感じがしていいなと思えました。続巻もまた期待しています。
読了日:05月30日 著者:手島史詞
先生、原稿まだですか!  新米編集者、ベストセラーを作る (集英社オレンジ文庫)先生、原稿まだですか! 新米編集者、ベストセラーを作る (集英社オレンジ文庫)感想
念願かない百万書房に編集として入社した新入社員の平摘栞。大ヒットのデビュー作以降筆を止めていた憧れの作家や、ベテラン作家の新作を担当し編集業に奔走する物語。3年以内に100万部を超えるベストセラーを出せなければ、出版社を辞め見合いして結婚することを両親と約束して就職した栞。どうにか繋がりを持てた憧れの作家との意外な縁。「売れる本とは?」という難題。細部で首を傾げる箇所もありましたが、総じてテンポよく進むストーリーは読みやすく、奔走する栞の姿は素直に応援したいと思えました。続巻あるならまた読んでみたいです。
読了日:05月30日 著者:織川 制吾
ブラック企業に勤めております。 その線を越えてはならぬ (集英社オレンジ文庫)ブラック企業に勤めております。 その線を越えてはならぬ (集英社オレンジ文庫)感想
毎朝会う「青い自転車の君」林さんを心の支えにクセモノ社員ばかりのブラック企業・B社K支店で奮闘する日々を送る夏実。今回も支店内のトラブルに次々と巻き込まれる第二弾。次期支店長を巡る営業の争いや、契約のために彼女役をさせられたり、中途入社社員や支店長のトラブルに巻き込まれたりと今回もいろいろと大変でしたが、男性社員陣があまりにも残念な分だけ余計に夏実の責任感ある仕事ぶりが光りますね。入れ替わった支店長のダメっぷりは前途多難ですが、何だか期待感も出てきた林さんとの関係にもそろそろ進展を期待したいところです。
読了日:05月30日 著者:要 はる
(P[こ]4-6)あざみ野高校女子送球部! (ポプラ文庫ピュアフル)(P[こ]4-6)あざみ野高校女子送球部! (ポプラ文庫ピュアフル)感想
中学時代バスケ部での苦い経験から、もう二度とチーム競技はやらないと心に誓っていた端野凛。つい本気で臨んだ体力測定の記録からハンドボール部顧問成瀬にスカウトされる青春スポーツ小説。典型的なストイックアスリートの凛と凄まじいポテンシャルを持ちながら運動素人の智里。どんなにやられても凹まない絶望しない凛には苦笑いでしたが、好対照な二人を軸として、勝つために自らを追い込んでゆくハンドボール部のメンバーたちそれぞれの想いや葛藤も熱くて、スポーツ小説としてなかなか読み応えがありました。続編あるなら是非読みたいですね。
読了日:05月29日 著者:小瀬木 麻美
君に出会えた4%の奇跡 (双葉文庫)
君に出会えた4%の奇跡 (双葉文庫)感想
大好きな彼にプロポーズされ、結婚を控えて数年ぶりに京都に帰ってきた灯里。自宅の物置で高校生の時に作った小さな提灯を見つけた彼女が、そこに薄らとコウと書かれた跡を見つける物語。幸せを感じつつも思い出せない何かにもどかしさをずっと感じていた日々。そして自らが忘れていた高校時代の記憶。著者さんの前作同様ブルームーンを鍵とするお話でしたが、構図を複雑にしないよう配慮しながら京都の情景を繊細に描いていて、ほのかな切なさも伴うエピソードをひとつの物語としてまとめ上げてゆく結末には、良かったと思える安心感がありました。
読了日:05月29日 著者:広瀬 未衣
かぜまち美術館の謎便り (新潮文庫 も 40-1)かぜまち美術館の謎便り (新潮文庫 も 40-1)感想
美術館の館長として香瀬町に引っ越してきたカリスマ学芸員・佐久間とその娘のかえで。18年前の事件と町民に残るわだかまりを絵画を通じて佐久間が解いてゆく絵画ミステリー。真相を示唆する絵画を佐久間が解釈して周囲の人々に強く残る過去のわだかまりの誤解を解き、それが18年前の事件の真相ともリンクして全てが繋がってゆく展開。癒やしとなる佐久間とかえで親子のほのぼのとしたやりとりや、救いを見いだせる各エピソードの余韻がとても良かったからこそ、思い出してゆく過去のほのかな想いの結末には少しばかり切ない気持ちになりました。
読了日:05月29日 著者:森 晶麿
おまえのすべてが燃え上がる (新潮文庫 た 111-3 nex)おまえのすべてが燃え上がる (新潮文庫 た 111-3 nex)感想
愛人生活がバレてスポーツジムのアルバイトの給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って何とか暮らす信濃の元に、弟が元恋人を連れて訪ねてくる物語。冒頭から包丁を持った愛人の妻に殺されかけててギョッとしましたが、どん底信濃の生活っぷりや、同じようにどん底で過去に二度も絶交した因縁の相手・醍醐との気まずい再会、意味不明の意気投合から自己嫌悪する流れはうわあと思いつつもぐいぐい読ませますね。相変わらず波乱万丈な二人にそんなに簡単には変わらないよなと思いつつもその悪くないと思える結末には救いを感じました。
読了日:05月27日 著者:竹宮 ゆゆこ
佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 2 (ファミ通文庫)佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 2 (ファミ通文庫)感想
GWも明けて学校でも容赦なく距離を詰めてくる佐伯さんと、僕の動向に目を光らせる雀さんへの対応に追われる日々に変化が訪れる第二弾。一見相変わらずなようでいて、少しずつ変わってゆく二人の同棲性活。宝龍さんが佐伯さんを挑発しはじめたり、佐伯さんに言い寄る同級生、さらには佐伯さん父も登場したりと、次々と起こる出来事に巻き込まれてゆく二人の距離感やドタバタする様子がとても楽しかったです。クールでつれない弓月くんも大事な時にはビシっとカッコ良くて、一応ちゃんと考えてたんだなと納得(苦笑)続き出るならまた読みたいです。
読了日:05月26日 著者:九曜
兼業作家、八乙女累は充実している (メディアワークス文庫)兼業作家、八乙女累は充実している (メディアワークス文庫)感想
突然の婚約破棄に昇進取り消し。順風満帆からまさかの人生のどん底に陥った大手通信会社営業・八乙女累が一念発起して書いた小説で小説新人賞を受賞し兼業作家デビューを果たすお仕事小説。ヤケを起こし迷走した果てに原点回帰して挑戦した小説新人賞。厳しいダメ出しをする鬼編集と組むことになり、仕事の方も大変なことばかりで厳しいと思いましたが、きちんと見据えて頑張ってみれば見えることもあるし助けてくれる人もいるんですよね。どうにか兼業作家のスタートラインに立てた今回、周囲との人間関係も気になりますし続巻を読んでみたいです。
読了日:05月26日 著者:夏海 公司
時をめぐる少女 (メディアワークス文庫)時をめぐる少女 (メディアワークス文庫)感想
未来や過去の自分に逢えるらしい並木道の奥にある小さな広場。九歳の葉子が恋人と婚約したばかりの将来の自分自身と出会う物語。離婚して一人葉子を育てる母親との衝突、繰り返す転校と親友との出会い、上手くいかない就活と大切な人との出会い、そして不安が押し寄せる結婚。自分の選択に自信を持てないがゆえに何かあるたびにこれでいいのか深く悩む葉子でしたけど、そこで一歩を踏み出すことでかけがえのない出会いがあって、それらが巡り巡って最初に背中を押してくれた未来の自分に繋がってゆく穏やかな結末は、とても素敵なものに思えました。
読了日:05月26日 著者:天沢 夏月
クロニクル・レギオン 6 (ダッシュエックス文庫)クロニクル・レギオン 6 (ダッシュエックス文庫)感想
照姫と平将門の暴走で混乱を極める皇都東京。志緒理や征継たちも東京入りして決戦を控える中、遠征から突如出奔したローマ帝国の将軍・衛青が皇城を制圧、実権を握ってしまう第六弾。合間に節操なく真剣な様子で次々と女性陣を口説いき落としてゆく征継には苦笑いしましたけど、衛青が照姫と平将門たちを掌握してみせた転機と、新たな復活者お披露目のローマ帝国大英帝国の戦いも並行する熱い展開で、二転三転する中でそれぞれが見せた覚悟と、巧みに新展開に繋げてゆくあたりは流石ですね。次なる戦いがどのようなものになるか続巻が楽しみです。
読了日:05月25日 著者:丈月 城
わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢 (角川文庫)わが家は祇園の拝み屋さん5 桜月夜と梅花の夢 (角川文庫)感想
突如不思議な力を失って、澪人との関係もぎくしゃくしたままで落ち込む小春。そんな中モデルとして活躍する澪人の姉・杏奈のスキャンダル報道が流れ、澪人の兄の和人から賀茂家に招かれる第五弾。親しい存在だったからこそ余計にどうしていいか分からなくなる小春にとってなかなか厳しい展開でしたけど、明らかにされていく事実があって、誤解だったのかと感じることもあって、まだ絡んだ糸は解けていなくとも少し光明は見えてきたのかなと。もうひと波乱ありそうですが、それがいい方向に転じるきっかけになるといいですね。続巻も期待しています。
読了日:05月25日 著者:望月 麻衣
勇者のパーティで、僕だけ二軍!? (ファンタジア文庫)勇者のパーティで、僕だけ二軍!? (ファンタジア文庫)感想
魔王討伐のため勇者が率いる最強パーティに、炊事・洗濯さらには買い出しを極めた選ばれし雑用・ロキ。パーティで唯一の二軍である彼が一軍を夢見て奮闘する物語。勇者は圧倒的強さを持ってはいてもどうしようもなくクズで、ロキやメンバーは彼の気まぐれな決定に振り回される日々。一軍目指し奮闘するロキでしたけど、一方で苦境に陥るメンバーのことは放っておけなくて、勇者以外とのメンバーとは絆めいたものが生まれてゆくのかなと。メンバー間の不器用な距離感とか、こういうお話は個人的にわりと好きなんですけど難しいんでしょうね、うーん。
読了日:05月25日 著者:布施 瓢箪
世界の終わりの世界録<アンコール>10 再来の英勇 (MF文庫J)世界の終わりの世界録<アンコール>10 再来の英勇 (MF文庫J)感想
神性都市に突入したレンを待ち受けていた三起源との対決。そして自らが成すべき世界の災厄『真精』の打倒のために都市の中枢部に進む第十弾。分断されてしまった仲間たちがそれぞれ立ち向かう三起源との対決とその顛末。そして再集結した仲間たちと挑む世界の災厄『真精』との最終決戦。三大姫にとって相性が最悪な強敵を相手に、それでも彼女たち仲間と力を合わせての最後まで諦めないその戦いぶりとその決着、そしてエピローグにもまたこの作品らしさがよく出ていて爽やかな読後感の完結でした。いろいろ予定がある今後の作品にも期待しています。
読了日:05月24日 著者:細音 啓
小説 夜明け告げるルーのうた小説 夜明け告げるルーのうた感想
さびれた田舎町に住む内向的な少年・カイが人魚の少女ルーと出会い、自分の「好き」と向き合ってちいさな世界を変えていく映画のノベライズ。親の離婚によって東京から父の田舎に引っ越し狭い世界に馴染めずにいたカイ。彼が不思議な人魚の女の子・ルーと出会ったことをきっかけに、時には悩みながらも自分がどうしたいのか、うまくいっていなかった家族関係や友人関係にもきちんと向き合うようになってゆく王道展開でしたけど、皆で難局を乗り越えていい感じにまとまった爽やかな読後感でした。映画で見るとよく映える類のお話かもしれないですね。
読了日:05月24日 著者:三萩 せんや
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか12 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか12 (GA文庫)感想
再びベルがランクアップしたことでファミリアのランクも上がり、ギルドから義務としての強制任務として遠征の指令が下って、近い派閥連合で下層域に挑むことになる第十二弾。少し気になるエイナさんたちのベルに対する心境の変化。彼女らに否が応でも意識させてしまう具体的な目標を見出したベルの急成長。強化種の進化は気になる要素でしたが、一方でベルだけでなくファミリアの面々も今回の遠征で転機に繋がるような確実な成長を見せてくれて頼もしかったです。最後の意外な事件発覚が微かな不安を感じさせるものの、今後の展開が楽しみですね。
読了日:05月23日 著者:大森 藤ノ
時をかける眼鏡 華燭の典と妖精の涙 (集英社オレンジ文庫)時をかける眼鏡 華燭の典と妖精の涙 (集英社オレンジ文庫)感想
かつての宗主国アングレからジョアンとヴィクトリアの結婚を認めないとの通告が入り、アングレ特使から伝説の宝物「妖精の涙」を要求される第五弾。まあ対面丸つぶれのアングレ王からしたら何がしかの抗議は…という流れで、アスマも召喚されたマーキスでの生活について当初からいろいろ心境も変わってきたのかなと感じますね。しかし伝説の「妖精の涙」の正体にはちょっと苦笑いでしたけど、それもまた信心深い時代ならと納得。ただ後日談として描かれたロデリックが難局を乗り切ったハイライトはもっと描写があると良かったですかね。続巻に期待。
読了日:05月23日 著者:椹野 道流
憧れの作家は人間じゃありませんでした (角川文庫)憧れの作家は人間じゃありませんでした (角川文庫)感想
紆余曲折の末に憧れの作家・御崎禅の担当となった文芸編集者2年目の瀬名あさひ。実は吸血鬼で人外の存在が起こした事件について警察に協力している御崎に原稿を書いてもらうため事件解決にも奮闘する物語。映画好きで意気投合した作家・御崎の意外な正体。最初は困惑するものの映画好きで意気投合しファンでもある御崎の事情を知ることになって、原稿を書いてもらうためにと奮闘するあさひの行動力が物語を引っ張っていた印象。読みやすい語り口でいい感じに物語を引き締めていた刑事の夏樹にも好感。もし続巻あるようならまた読んでみたいですね。
読了日:05月22日 著者:澤村 御影
君の膵臓をたべたい (双葉文庫)君の膵臓をたべたい (双葉文庫)感想
ある日病院で一冊の文庫本「共病文庫」を拾った高校生の僕が、それを密かに綴っていた膵臓の病気により余命がいくばくもないクラスメイト・山内桜良と出会う物語。ぼっちな僕相手にずけずけと距離を縮めてくる彼女。困惑しつつも彼女と共に過ごす時間がどんどん増えていき、その影響を受けて変わっていく僕。何とも形容し難い二人の繊細な関係と距離感のとても甘酸っぱい恋愛未満な感じが良かったです。何をもって報われたとするのか難しい結末でしたが、二人にとって出会って共に過ごした濃密な時間は、素敵なものだったんだなと改めて思えました。
読了日:05月21日 著者:住野 よる
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 (ファンタジア文庫)感想
永く続く帝国と魔女の国ネビュリス皇庁の戦場で帝国の最高戦力となった剣士イスカ、と皇庁最強とうたわれる氷の魔女姫アリスリーゼが出会う物語。戦場で戦うべき強敵として出会う二人の運命の出会いというわりとよくあるテーマで、待ち合わせもしてないのに中立都市で遭遇し過ぎな感はありましたけど、ベタな甘いラブロマンスを重ねつつ、宿敵の二人が一時的に共闘する展開はとても自分好みでした。両陣営とも首脳陣がアレなので二人の関係が今後どういう方向に向かうのか気になりますね。続巻が楽しみですけど最後は上手くまとまると信じてますよ?
読了日:05月20日 著者:細音 啓
追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ2 (ファンタジア文庫)追伸 ソラゴトに微笑んだ君へ2 (ファンタジア文庫)感想
風間ハルカと再会できた篠山マサキ。平穏な時間を取り戻したと思ったら、今度は携帯に奇妙なメールが届き始める第二弾。きれいにまとまった前巻からどう続けるのか気になった二巻目でしたが、未来を予知するかのようなメールをアクセントに、マサキが知る彼女とは少し変わりつつも面倒可愛いハルカとの関係や、幼馴染ユミとリカのエピソードも絡めつつ、謎のメールをうまく活かし分岐点でうまくフォローして事態を収拾していくマサキの行動力が効いていて面白かったです。しかし最後の思わぬ展開が何をもたらすのか、続巻が楽しみになってきました。
読了日:05月20日 著者:田辺 屋敷
契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)契約結婚はじめました。 ~椿屋敷の偽夫婦~ (集英社オレンジ文庫)感想
椿屋敷で若くして隠居暮らしの柊一と契約結婚した香澄。町の相談役・柊一の元に近所から相談が持ち込まれるわけありな人々の物語。築六十年の椿屋敷という珍しい視点から綴られる穏やかで物事がよく見えるのになぜか人の機微には少し疎い柊一と、よく働き一緒に過ごすうちに柊一のことが気になってゆく可愛い香澄の関係。二人の穏やかな日常が周囲の関与により詮索しないはずの過去に触れ少しずつ変わってゆく展開は、二人が本当の夫婦に近づいてゆく過程をいろいろと楽しめそうですね。周りのキャラも魅力的でこれは続巻に期待大の新シリーズです。
読了日:05月20日 著者:白川 紺子
あとは野となれ大和撫子あとは野となれ大和撫子感想
ソビエト時代末期に建国された中央アジアの小国アラルスタン。様々な理由で居場所を無くし後宮で高等教育を受けていた少女たちが、国の危機に居場所を守るため逃亡した男たちに代わり臨時政府を立ち上げ奮闘する物語。保護者だった大統領の暗殺で日本人少女のナツキも後宮の若い衆のリーダーであるアイシャや仲間たちとともに、反政府組織の侵攻や周辺国の干渉に立ち向かう展開は、ギリギリの連続でもそこまでの悲壮感はなくて、周囲も巻き込みながら若いパワーで最後まで駆け抜け最後は認めさせてしまう素敵な物語でした。なかなか面白かったです。
読了日:05月19日 著者:宮内 悠介
ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)ジャナ研の憂鬱な事件簿 (ガガガ文庫)感想
訳あって親友以外の他人との接触を断ち、部員が自分だけのジャーナリズム研究会に属する高校2年生の啓介。しかしうっかり美人な先輩の白鳥真冬の抱える謎を解いたことをきっかけに様々な事件やトラブルに巻き込まれてゆく日常系ミステリ。真冬のジャナ研入部により少しずつ変化し広がってゆく啓介の世界。彼が親友の大地や良太郎の協力も得ながら解いてゆく謎の真相。当事者にとってはほろ苦い結末であることが多かった一方で、それが停滞から前に進むための転機にも繋がっていて、続巻が出るようならまた読んでみたいと思わせるものがありました。
読了日:05月19日 著者:酒井田 寛太郎
漂海のレクキール (ガガガ文庫)漂海のレクキール (ガガガ文庫)感想
万能の源エルが消失し陸地のほとんどが水没した世界。唯一の陸地リエスを治める聖王家を追われた少女サリューと、陸地を追われた人々の船団国家にも属さない船乗り・カーシュが出会う物語。サリューを救い依頼を手伝うことになった船長・カーシュたち。共に過ごすうちに絆が育まれ、彼女の抱える秘密を知ったことで彼らも巻き込まれてゆく王道展開でしたが、諦めずに船団国家相手の駆け引きで協力を引き出し、救出に向かう彼らの戦いはなかなか痛快でした。すっきりとした結末でしたけど、新天地に向かう旅の続編があるならまた読んでみたいですね。
読了日:05月18日 著者:秋目 人
妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫 ひ 4-7)妹さえいればいい。 7 (ガガガ文庫 ひ 4-7)感想
ついに付き合うことになった伊月と那由多。ますますリア充真っ盛りとなる2人の交際をきっかけに、千尋、京、春斗、何故か大野アシュリーにも心境の変化が訪れる第七弾。二人のお付き合いは初々しい距離感どころか突き抜けてて大丈夫なんですか?これ(苦笑)春斗や千尋あたりの動向も気になるところでしたけど、大野アシュリーと海津、そして関ヶ原幽を巡る切ないエピソードに、実際に読んでない人の悪意すら可視化されるようになった今は作家さんにはなかなか厳しい時代だなあとしんみり。みんな幸せになって欲しいものですね。続巻に期待です。
読了日:05月18日 著者:平坂 読
やがて恋するヴィヴィ・レイン 3 (ガガガ文庫)やがて恋するヴィヴィ・レイン 3 (ガガガ文庫)感想
ウルキオラ暴動から三年。ジェミニらと共に帝国最強の独立混成連隊として勇名を馳せていたルカがヴラドレン皇太子と出会い、皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれてゆく第三巻。共闘してきた二人にとって転機となったドル・ドラム戦役とヴラドレン皇太子との出会い。それぞれルカに言えない秘密を抱え、切ない嘘をつき続けるアステルとミズキ。ヴラドレンもまた面白いお人で、二人のありようからしたら不可避の結末だったとも思いますが、それが巡り巡って何とも皮肉な展開になってきましたね。またまた盛り上がってきましたし早く続きが読みたいです。
読了日:05月18日 著者:犬村 小六
神様は少々私に手厳しい 2 (プライムノベルス)神様は少々私に手厳しい 2 (プライムノベルス)感想
十年ぶりに降り立った異世界で敵国に飛ばされながら、何とかルーナと再開できたカズキ。けれど黒曜という肩書の為に命を狙われてしまい陰謀に巻き込まれてゆく第二弾。優しさゆえに囮となって囚われの身になってしまうカズキでしたけど、丁重に扱おうとしてるのに何度も空回りして傷を増やしてゆくカズキと、彼女のためならいくらでも無茶してくるルーナはやっぱりお似合いな気がしてきました(振り回される周囲はいろいろ大変そうですがw)近いのに依然として遠い現状がどうなってゆくのか、また大きな騒動に繋がりそうで続巻に期待ということで。
読了日:05月17日 著者:守野 伊音
重版未定重版未定感想
弱小出版社に勤務する編集者が主人公のリアルすぎる出版業界マンガ。ウェブの人気連載の単行本化とのことですが、刊行点数がたくさんある大きなところだけが出版社というわけではないわけで、毎回ギリギリの編集業務やついでにこなす書店営業、世知辛い販促企画や取次対応など、小さい出版社だとリアルでもいかにもそういうこともあるんだろうなとか容易に想像できてしまう、そんな出版社あるあるがたくさんつまっていました。専門用語や俗語にも適宜解説が付いていて読みやすかったですし、続刊決まっているようなので出たらまた読んでみたいです。
読了日:05月17日 著者:川崎昌平
黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です (角川文庫)黒猫王子の喫茶店 お客様は猫様です (角川文庫)感想
小江戸川越を舞台にリストラされて崖っぷち女子の胡桃が、猫を助けた縁から西欧風の喫茶店で働くことになる物語。出版社の派遣をリストラされ就職活動も連敗続きの胡桃。そんな胡桃が助けた人の姿になれる猫・ポウと一緒に始めることになった喫茶店。コーヒーが美味いとか以前に猫を相手にする喫茶店で経営大丈夫なのかと心配したりもしましたが、お人好しな胡桃が様々な事件に首を突っ込むたびに周囲に猫が増えて、落ち着くべきところに落ち着いたんですかね。続きもありそうな雰囲気でしたが、これから物語がどこに向かうのか気になるところです。
読了日:05月16日 著者:高橋 由太
続・ヒーローズ(株)!!! (メディアワークス文庫)続・ヒーローズ(株)!!! (メディアワークス文庫)感想
周りの社員に比べて普通であることに悩みつつも、ヒーローズ(株)で仕事に奮闘する毎日を送る修司や、同僚たちのエピソードも綴られてゆく第二弾。今回は家族との関係にテーマを当てつつ、関係者たちの背景やエピソードも盛り込まれたお話が多かったですが、彼らにもまたそれぞれに物語があっていろいろと考えてるんだなあとか、この会社に出会えたことが転機になった一方で、ほんの少しのすれ違いから生まれた切ない結末を挽回しようと頑張ったり、人の縁や繋がりを大事にするお話は読んでいて心に響きますね。続巻あったらまた読んでみたいです。
読了日:05月16日 著者:北川 恵海
窓がない部屋のミス・マーシュ 占いユニットで謎解きを (角川文庫)窓がない部屋のミス・マーシュ 占いユニットで謎解きを (角川文庫)感想
カネなし男なし才能なしで崖っぷちな29歳のタロット占い師・柏木美月。ある日ずば抜けた推理力を持つ美少女・愛莉を助けたことをきっかけに、占いユニット「ミス・マーシュ」を結成し人々の悩みに秘められた謎に挑むミステリ。お人好しで困った人を放っておけないお節介な美月と、人と関わるのが苦手だけれど数々の謎を解いてみせるツンデレな愛莉。訪れる人々の謎を解きながら、テンポのいい二人の凸凹コンビぶりや遠慮していた距離感もだんだんいい感じになっていく過程が良かったですね。まだまだ続きも期待できそうですし続巻に期待します。
読了日:05月15日 著者:斎藤 千輪
カロリーは引いてください! ~学食ガールと満腹男子~ (富士見L文庫)カロリーは引いてください! ~学食ガールと満腹男子~ (富士見L文庫)感想
大学の学食で働きながら、幼馴染・朝生くんと同じマンションに住んでご飯を作る契約をしている楓。体重を除けば完璧な朝生くんとのダイエットを巡る攻防と、身の回りで起こる謎を解くドタバタミステリ。痩せさせるべく日々工夫しながらご飯を作るのになかなか成果が出ない楓とたくさんご飯を食べたい朝生の探り合うような駆け引き、一方で身の回りで起こる謎に対して(デブだけど)無駄に多才な朝生が大活躍するギャップがなかなか面白かったです。そんな二人の何とも形容し難い関係も今後が気になったりで、続巻を是非期待したい新シリーズですね。
読了日:05月15日 著者:日向夏
浅草鬼嫁日記 二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。 (富士見L文庫)浅草鬼嫁日記 二 あやかし夫婦は青春を謳歌する。 (富士見L文庫)感想
浅草あやかしの関わったり悩みを聞きながら、花火大会に学園祭にと、再び巡り合ったやり直し人生を謳歌する真紀たち。しかし彼女を狙う影や彼女の前世を知った陰陽局の面々も現れる第二弾。前世がバレた影響はあるものの、貧乏高校生活を満喫しまくりな彼女たちの信頼関係がとてもいいですね。パワフルでイベント満載な楽しい学園祭のハイライトは何か大切なものを失った由理子さん(苦笑)でもあまりにも幸せだからこそ一抹の不安を感じたりもするわけで、因縁の存在も登場しましたけど二人には今度こそ添い遂げて欲しいところ。次巻も楽しみです。
読了日:05月14日 著者:友麻碧
かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。 (富士見L文庫)かくりよの宿飯 六 あやかしお宿に新米入ります。 (富士見L文庫)感想
南の地の呪いを晴らし凱旋した葵。天神屋の多忙な日々を過ごす中で新しいおみやげを考えたり秋祭りの準備をしたり、大旦那様から果物狩りのお誘いを受ける第六弾。相変わらず美味しいもの描写だらけの本作でしたけど、変わってゆく折尾屋との関係や同僚・春日の意外な発表、そして様々なところで実感する葵の天神屋内における評価と大旦那様への意識。これまでの積み重ねもあって、いろいろなことが変わってきたことを自覚しつつある葵の心境の変化には感慨深いものがありましたけど、だからこその急展開が気になります。続きが早く読みたいですね。
読了日:05月13日 著者:友麻碧
ゴブリンスレイヤー5 (GA文庫)ゴブリンスレイヤー5 (GA文庫)感想
剣の乙女よりゴブリン退治から消息を絶った令嬢剣士の捜索依頼を受け、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤー一行。何者かに統率されたゴブリンの巣くう古代の砦に挑む第五弾。令嬢剣士の一行は運が悪かったというか、いろいろ決断を誤ったというか...油断には情け容赦のない現実を突きつけるらしい展開で、ゴブリン側も知恵のある強者が現れたり状況も厳しくなってきていますが、一方で厳しい状況で仲間と信頼関係あっての作戦を立てたり、そんな変わりつつある自分を悪くないと思う彼と仲間、帰りを待つ彼女たちの今後がこれからも楽しみです。
読了日:05月12日 著者:蝸牛 くも
小説 寄宿学校のジュリエット (KCデラックス ラノベ文庫)小説 寄宿学校のジュリエット (KCデラックス ラノベ文庫)感想
対立する二つの国の生徒が集うダリア学園の寄宿学校。犬塚とペルシアが出会う東和国の少女・佳南と、ウェスト公国の少年・セルカが主人公のスピンオフ小説。密会の行動を疑われてしまい、それぞれ中等部の生徒と行動を共にすることになった犬塚とペルシア。そのやりとりの中で少しずつ明らかになってゆく佳南とセルカの出会いのエピソードとそれぞれの想い。犬塚とペルシアと同様に難しい立ち位置の二人でしたけど、それでもその想いは真っ直ぐで、本編にもこれから是非出てきてほしいキャラたちだと思いました。これはこれでなかなか良かったです。
読了日:05月12日 著者:望月 唯一
ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二 (富士見L文庫)ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二 (富士見L文庫)感想
怪奇事件がぼんくら陰陽師・北御門皇臥と契約結婚した女子大生の野崎芹。姑から、結婚のお披露目を迫られ、さらに友人からは悪霊に憑かれたという相談事が舞い込む第二弾。芹が尻を叩いて励ますような皇臥との関係も徐々にいい感じになってきたなーとか、お姑さんとの仁義なき戦いに苦笑いしましたが、少しずつ芹の居場所になりつつあるのを感じたところでの今回の事件。人の形も取れるような式神たちのありようにも個性があって、長い時を共に過ごしていたらそれは愛着も湧きますよね。まだまだこれからの夫婦関係も式神たちとの今後も楽しみです。
読了日:05月12日 著者:秋田 みやび
男爵の密偵 帝都宮内省秘録 (朝日文庫)男爵の密偵 帝都宮内省秘録 (朝日文庫)感想
華族たちのあらゆる醜聞が世間をさわがせていた昭和初期。表向きは料亭給仕で宮内省幹部・御園尾男爵の密偵という裏の顔を持つ藤巻虎弥太が、華族絡みの怪事件に巻き込まれてゆく帝都・昭和ロマンサスペンス。変わり者の蕗伯爵家にもぐりこみ若き次期当主を調べることになった虎弥太。あまり馴染みのない時代背景がわりと新鮮で、中国かぶれだけれど意外に物事がよく見えているひらひら若様と虎弥太の組み合わせは意外と面白く、二人でコンビを組んでも面白いかもと思いました。続編ありそうな感じなので、続きが出るようならまた読んでみたいです。
読了日:05月11日 著者:真堂 樹
終わる世界の片隅で、また君に恋をする (電撃文庫)終わる世界の片隅で、また君に恋をする (電撃文庫)感想
名前も周囲の人たちとの関係も、その存在すらも全てを忘れ去られてしまう忘却病。全ての人々の記憶が消えていくこの世界で、アキが桜良先輩と忘却病に罹った人の最後の望みを叶えてゆく物語。保健室登校の桜良先輩の発案で始まった『忘却病相談部』。同級生とデートしたり、後輩の家族として過ごしたり、親友を思い出したい先輩など、その願いに寄り添い手伝うアキ。忘れられてしまう、忘れてしまう残酷な現実に向き合うことで見え隠れする複雑な想いがとても切なかったですが、それでも大切な想いを取り戻したエピローグには少しだけ救われました。
読了日:05月11日 著者:五十嵐 雄策
はたらく魔王さま!17 (電撃文庫)はたらく魔王さま!17 (電撃文庫)感想
正社員登用試験に落ちてしまい、日本にやってきて以来ずっと掲げていた目標を失って落ち込む真奥。さらには最後の大魔王の遺産「アストラル・ジェム」の行方など問題も山積みの第十七弾。店長の木崎に異動命令が出たり、代々木周辺でワニのような悪魔と遭遇したりとかなりカオスな展開でしたけど、そんな中でも今回はこれまでの経緯を思うとなかなか感慨深い心境の変化が垣間見えたり、なるようになるもんだなあとしみじみ思いながら読んでたんですが、さすがにそんな感じのままでは終わらなかったですねー。急展開でどうなるか次巻が楽しみです。
読了日:05月10日 著者:和ヶ原 聡司
狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)感想
コルとミューリが旅に出たことで湯屋が慢性的な人手不足に陥り、スヴェルネルの騒動で出会ったセリムを新たに雇う旅の続きの物語第二弾。雑誌掲載の短編3本に書き下ろし中編『狼と香辛料の記憶』を収録した短編集で、これまで二人が築いてきた少し何かあったくらいでは揺るがない信頼関係と以心伝心の距離感、幸せで満たされているがゆえにホロに忍び寄る不安。生きる時間の違いという避けて通れない問題に直面する難しさはありますが、きちんと向き合って考えようとする二人の想いが感慨深いですね。続編でどこまで書かれるのかも気になるところ。
読了日:05月10日 著者:支倉 凍砂
黄砂の籠城(下) (講談社文庫)黄砂の籠城(下) (講談社文庫)感想
先陣を切って漢人キリスト教徒を義和団から救出した日本。しかし西太后義和団に迎合して列強に宣戦布告を決断、援軍到着も見えないまま籠城戦を強いられる下巻。史実をベースとした20万人の義和団と清国軍を相手にした先の見えない難しい闘いでしたけど、そういう絶望的な状況でもできるだけ多くの人を救おうとする櫻井たちの奮闘が自分勝手な行動も多かった列強にも徐々に影響していって、あっさりめのエピローグはもう少しその後の描写があってもと感じましたものの、力を併せて籠城戦を最後までを戦い抜いたその様子はとても心に響きました。
読了日:05月09日 著者:松岡 圭祐
黄砂の籠城(上) (講談社文庫)黄砂の籠城(上) (講談社文庫)感想
外国人排斥を叫ぶ義和団勢力を増していた清朝末期の北京。暴徒化して教会を焼き討ち外国公使館区域を包囲する義和団を相手に、足並み揃わぬ列強11ヵ国を新任の駐在武官・柴五郎率いる日本が先導して壮絶な闘いに挑む物語。今回は実際にあった義和団の乱で活躍した日本人たちを主人公とした物語で、緊張が高まってゆく中でどのように事態が推移していったのか、そんなギリギリの状況で彼らがどう考え行動したのか。各人の思惑も入り乱れる困難な状況でしたけど、懸命に奔走して活路を見出そうとする姿には心に響くものがありました。後編も期待。
読了日:05月09日 著者:松岡 圭祐
([む]2-3)ショダチ! (ポプラ文庫)([む]2-3)ショダチ! (ポプラ文庫)感想
パズルが好きな貧弱高校生・慧一が、隻腕の剣士・龍心に連れていかれ「でこぼこ剣士会」なる剣道同好会に加入し、本当の強さに向き合っていく青春小説。好きだったのに弱くて周囲に迷惑をかけたくないという思いから剣道を辞めていた慧一。同好会のメンバーはひとくせあるメンバーばかりで、著者さんらしい切り口でそれぞれのエピソードを絡めつつ、悩みながらも逃げずにきちんと向き合い乗り越えようと奮闘する姿勢は好印象。その後登場人物たちがどうなったのか少し気になりましたが、成長して認められてゆく結末はなかなか悪くない読後感でした。
読了日:05月08日 著者:向井 湘吾
運転、見合わせ中 (実業之日本社文庫)運転、見合わせ中 (実業之日本社文庫)感想
朝のラッシュ時に電車が緊急停止。その影響を受けた大学生、フリーター、デザイナー、OL、そして緊急停止に関わっていた人たちのそれぞれのエピソードが綴られる連作短編集。登場人物たちが電車に乗れなかったこと、乗ったことが停滞していた転機に繋がったり、そうだったんだと気付かされたり、逆に人生なんてそうそう変わらないんだなあと思うことがあったり。何となくうまくいかない状況に直面していた彼らでしたけど、この緊急停止から派生したエピソードがまた前を向いて一歩踏み出せるきっかけになればいいなと応援したくなる物語でした。
読了日:05月06日 著者:畑野 智美
本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録感想
リブロで店長などを歴任した著者が、これまでの仕事と「自分の店」の物件探し、店舗デザイン、カフェメニュー、イベント、ウェブ、棚づくりなどをどんな風に考えたのか記した一冊。独立して自分のお店持つのは確かに憧れではありますけど、ゼロからいろいろ考えてお店を形にしてゆくこと、そしてそれを続けていくのはなかなか大変だなと。やっぱりこういうお店を持つ人には積み重ねがあって自分が何をしたいのかをハッキリ持っていますね。誠光社店主の堀部さんとの対談などなるほどと思うところがありました。機会があったら一度行ってみたいです。
読了日:05月05日 著者:辻山 良雄
ダークナンバー (ハヤカワ・ミステリワールド)ダークナンバー (ハヤカワ・ミステリワールド)感想
監視カメラ情報とプロファイリングで連続放火事件を追う警視庁刑事部分析捜査三係の渡瀬敦子。記者復帰を狙う東都放送報道局・版権デスクの土方玲衣。中学校時代の同級生二人が事件を追う報道×警察小説。消極的理由から警察官僚の道を選んだ敦子。野心を持って成り上がると決めた玲衣。似たような境遇ながら正反対の性格だった二人を掘り下げつつ、時に協力しながら執念で犯人に迫る展開は、情報が多くリーダビリティにやや難はあるものの、明らかになってゆく真実と解決に向けて加速していく面白さがあり、著者さんらしさを十分に堪能できました。
読了日:05月05日 著者:長沢樹
エプロン男子 今晩、出張シェフがうかがいます (集英社オレンジ文庫)エプロン男子 今晩、出張シェフがうかがいます (集英社オレンジ文庫)感想
激務の仕事はうまくいかず、恋人にもフラれたデザイナーの夏芽。心身ともにボロボロの彼女がイケメンシェフが自宅に来て料理を作ってくれる「エデン」を紹介される物語。やって来た海斗の作る食事と優しさに触れ立ち直るきっかけを得た夏芽が、次々と出会うメンバーたち。エデンを立ち上げた相馬と参加する男たちが抱える事情と料理に賭ける想い。それぞれのやり方で求められた人たちのために真摯に向き合う彼らの料理には癒されそうで、でも接触禁止で恋愛禁止な契約という縛りがなかなか興味深かったです。続巻あるならまた読んでみたいですね。
読了日:05月04日 著者:山本 瑤
自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)自殺するには向かない季節 (講談社ラノベ文庫)感想
ある朝、同級生の雨宮翼が列車へ飛び込み自殺を図るのに関与してしまった永瀬。その自殺が忘れられない彼が友人の深井から過去に戻れるカプセルを手渡され、やり直すために過去へ遡る物語。最初は彼女に関わらないと決意したはずなのに、逆に雨宮に関わる機会が増えてしまう永瀬。そんな彼に改めて突きつけられる「蝶は羽ばたかない」という事実。それでも当事者の変えようとする意志によって変わることもあって、多くの人にとってはさほど変わらない、けれど確実に変わったその結末に、一抹のほろ苦さを感じながらもどこか救われる思いがしました。
読了日:05月03日 著者:海老名 龍人
これは経費で落ちません! 2 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)これは経費で落ちません! 2 ~経理部の森若さん~ (集英社オレンジ文庫)感想
周囲に与えた分以上のことは期待せずされず、イーブンでいたい経理部の森若沙名子が、周囲の人間関係を巡るトラブルに巻き込まれてゆく第二弾。営業部の太陽と外で会うようになったり、社内での人間関係に巻き込まれままならなくなってゆく沙名子の変化が描かれていた今回。難しい状況を自分なりに折り合いを付けるようになったり、ダメなものはダメとキッパリとダメ出したり、沙名子は少しずつではあってもいい意味で変わりつつある途上で、焦らない太陽だからこそ彼女といい関係を築けつつあるのかなと納得感。上手くいくといいなあと続巻に期待。
読了日:05月02日 著者:青木 祐子
京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)京都西陣なごみ植物店 (PHP文芸文庫)感想
ある母娘から質問を受けて戸惑う京都府立植物園の新米職員の神苗健。そんな彼を救った「植物探偵」を名乗るなごみ植物店の店員・実菜と植物にまつわる様々な謎を解いてゆく連作ミステリ。著者さんらしい情緒ある京都の風物詩を絡めつつ、植物絡みの謎に挑む探究心旺盛でちょっと変わった実菜と、彼女から探偵助手に任命された神苗の二人はお互いを補い合うなかなかいいコンビっぷりで、彼らの奔走ですれ違いかけた人の想いが繋がったり、周囲も温かく見守る二人の距離感も今後が気になったりで、とても良かったので続編がまた読みたいと思いました。
読了日:05月02日 著者:仲町 六絵
明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業 (メディアワークス文庫)感想
明治初期を舞台に書かれた記事が原因で友人が奉公先を追い出されたと新聞社に乗り込んできた少女・香澄が、妖怪にまつわる記事ばかり書く記者・久馬と友人・艶煙と共に人助けをするあやかし謎解き譚。新聞社に乗り込んだ香澄が知る記事が書かれた本当の事情。手伝いをするようになった香澄の心境の変化。普段はぐうたらな久馬がまっすぐなゆえに危なっかしいところもある香澄をきちんと助けたり、だんだんお互いを知ることで少しずつ変わってゆく二人の距離感がなかなか良かったですね。気になるコンビでしたし続きがあるならまた読んでみたいです。
読了日:05月02日 著者:さとみ桜
か「」く「」し「」ご「」と「か「」く「」し「」ご「」と「感想
みんなには隠している、ちょっとだけ特別なちから。なんの役にも立たないけれど、そのせいで最近気になって仕方ない。そんなクラスメイト5人のかくしごとがそれぞれの視点で描かれる連作短編集。それぞれ誰にも言えない秘密があって、抱えている想いがある。みんな頑張っているけど不器用だから勘違いして空回りして、傍から見てるともどかしいばかりなんですが、そこで思い切って一歩踏み出してみたらなあんだと思うようなことだったりで、そんな青春している5人が十年後どうなっているのかちょっと知りたくなるような、そんな素敵な物語でした。
読了日:05月01日 著者:住野 よる
世界、それはすべて君のせい (集英社オレンジ文庫)世界、それはすべて君のせい (集英社オレンジ文庫)感想
大学の映画サークルで監督を担当する貴希。ある日サークルに同じ語学クラスで性格が最悪の村瀬真葉が入部を希望し、彼女が書いた脚本で映画を撮ることになる青春小説。遺恨のある彼女が持ち込んだ認めるしかないその脚本と、一週間休んだ後に急変したかのように素直な彼女の態度に戸惑う貴希。これまでの経緯からだんだん距離が近づいてゆく彼女の存在も、どんどん惹かれてゆく自らの気持ちも素直に認められない貴希の不器用さがとても微笑ましくて、だからこそその結末をもう少し上手く描けたらとも感じましたけど、なかなか悪くない読後感でした。
読了日:05月01日 著者:くらゆい あゆ

読書メーター

6月の購入検討&気になるラノベほかピックアップ

最近忙しくて毎月更新がギリギリになってきていますが、6月の購入検討&気になる本です。現時点で把握しているものなので、実際にはもっと増えていくと思います。6月は新作だとスニーカー文庫の2点とラノベ文庫の「ありえない青と、終わらない春」、メディアワークス文庫鷺宮さんの新作がちょっと気になるところですね。続刊でもいろいろ気になるタイトルが発売されるのでので楽しみです。なお角川文庫は毎年のことですが夏の文庫と展開を揃えるため発売日が1週間前倒しになっているのでご注意を。

 

新潮社単行本(5/31発売)
新任刑事 古野まほろ

HJ文庫(6/1発売)
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?2 手島史詞/COMTA

角川スニーカー文庫(6/1発売)
かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月 カミツキレイニー/白狼
君と四度目の学園祭 天音マサキ/やすも

コバルト文庫(6/1発売)
後宮樂華伝 血染めの花嫁は妙なる謎を奏でる はるおかりの/由利子

ラノベ文庫(6/2発売)
銃皇無尽のファフニール XIV レインボウ・ピース ツカサ/梱枝りこ
暇人同盟 友達いらない同盟2 園生凪/天三月
ありえない青と、終わらない春 清水苺/えいひ

アイリスNEO(6/2発売)
伯爵家の悪妻 江本マシメサ/なま

宝島社文庫(6/6発売)
筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 ~鎌倉の花は、秘密を抱く~ 谷春慶/カズアキ

文春文庫(6/8発売)
空棺の烏 阿部智里

電撃文庫(6/9発売)
魔法科高校の劣等生 (22) 動乱の序章編 〈下〉 佐島勤/石田可奈
エロマンガ先生 (9) 紗霧の新婚生活 伏見つかさ/かんざきひろ
ストライク・ザ・ブラッド17 折れた聖槍 三雲岳斗/マニャ子
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.14 聴猫芝居/Hisasi
弘前龍さんの「リア充にもオタクにもなれない俺の青春」は延期のようですね。 

TOブックス単行本(6/10発売)
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部 「領主の養女 IV」 香月美夜/椎名優

ポプラ文庫(6/14発売)
真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 大沼紀子

講談社単行本(6/14発売)
横濱エトランゼ 大崎梢

GA文庫(6/15発売)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア大森藤ノ/はいむらきよたか
中古でも恋がしたい!10 田尾典丈/ReDrop
たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語2 サトウとシオ/和狸ナオ
聖剣使いの禁呪詠唱20 あわむら赤光/refeia

富士見L文庫(6/15発売)
紅霞後宮物語 第六幕 雪村花菜/桐矢隆
おいしいベランダ。 3月の桜を待つテーブル 竹岡葉月/おかざきおか

星海社FICTIONS(6/15発売)
マージナル・オペレーション改02 芝村裕吏/しずまよしのり

ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ(6/17発売)
宝石吐きのおんなのこ6 ~旅立ちを告げる手紙~ なみあと/景

角川文庫(6/17発売)
小説 星を追う子ども あきさかあさひ
白球ガールズ 赤澤竜也

JUMP j-BOOKS(6/19発売)
たとえあなたが骨になっても 菱川さかく/清原紘
舌の上の君 ヰ坂暁/しおん

ガガガ文庫(6/20発売)
弱キャラ友崎くん Lv.4 屋久ユウキ/フライ
スクールジャック=ガンスモーク 坂下谺/巖本英利
[第11回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>]

ファンタジア文庫(6/20発売)
冴えない彼女の育てかた Girls Side 3 丸戸史明/深崎暮人
アサシンズプライド6 暗殺教師と夜界航路 天城ケイ/ニノモトニノ
死霊術教師と異界召喚 降次飛行/ヤッペン
[第29回ファンタジア大賞<入選>]
放課後は、異世界喫茶でコーヒーを 風見鶏/u介
[第1回カクヨムWeb小説コンテスト<特別賞>]

集英社オレンジ文庫(6/22発売)
下鴨アンティーク 暁の恋 白川紺子/井上のきあ
Bの戦場2 さいたま新都心ブライダル課の機略 ゆきた志旗/伊東フミ

中公文庫(6/22発売)
化学探偵Mr.キュリー6 喜多喜久

ハヤカワ文庫JA(6/23発売)
御社のデータが流出しています。 一田和樹

MF文庫J(6/25発売)
Re:ゼロから始める異世界生活13 長月達平/大塚真一郎

オーバーラップ文庫(6/25発売)
現実主義勇者の王国再建記 IV どぜう丸/冬ゆき

メディアワークス文庫(6/25発売)
僕らが明日に踏み出す方法 岬鷺宮
奈良町ひとり陰陽師 仲町六絵
雨あがりの印刷所 (仮) 夏川鳴海

2017年4月に読んだ新作おすすめ本

 というわけで4月に読んだ新作おすすめです。今回は20点紹介します。「緋色の玉座」は最近では珍しい史実をベースに魅力的な物語にしてみせた注目の戦記ファンタジー。著者さんらしさの詰まった「読者と主人公と二人のこれから」、奇想天外のテロリスト青春小説「屋上のテロリスト」、浅葉なつさんの新作「カカノムモノ」、似鳥さんが描く恋愛小説「彼女の色に届くまで」など、魅力的な作品が多かったです。

 

緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)

緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)

 

 かつての栄光を失い虚栄と退廃に堕ちた東ローマ帝国。国の危機を憂う生真面目な騎士ベリスが、型破りな書記官プロックスと運命的な出会いを果たす戦記ファンタジー。ブロックスとの邂逅によって窮地を脱し、次期皇帝と目されるユスティンの元で頭角を現してゆくベリス。シリアスな展開続きでも脇を固めるキャラたちがよく動いて、その力が高く評価されることになったベリスとブロックスが、一方で皇妃となったテオドラと相容れない確執もあったりで面白かったです。それがいろいろな形で影響しそうな複雑な関係も絡めた今後の展開に期待大ですね。

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

 

 期待もない新学年のホームルーム。高校生・細野亮の前に愛してやまない物語の中にいた「トキコ」そのままの少女・柊時子が現れる出会うはずがなかった読者と主人公の物語。見れば見るほどそのままの時子との出会い。一緒に過ごしてゆくうちに想いが少しずつ積もってゆく一方で、自分の中で湧き上がってくる違和感。主人公の周辺を切り取ったようなクローズな世界観で、あまりにも不器用な二人の距離感にもどかしくもなりましたが、物語をきっかけに知り合った二人が物語で心を通わせて、これからの二人の世界の広がりを予感させる素敵な物語でした。

トリア・ルーセントが人間になるまで (ファミ通文庫)

トリア・ルーセントが人間になるまで (ファミ通文庫)

 

 病の父王を治す秘薬を手に入れるため、兄の特命でサルバドールを訪れた第二王子のランス。自らを薬と名乗る美少女トリアと護衛ロサと共に王都マキシムを目指すファンタジー。浮世離れしたトリアに戸惑いながらも共に旅するうちに惹かれてゆくランス。徐々に明らかになってゆく「ルーセント」の特異性と過酷な運命。宿命と自覚してゆく人間らしい想いに心揺れるトリアと、何とか救おうと奔走するランスに王家を巡る秘密も絡む展開にはハラハラさせられましたが、紆余曲折の末に迎えた二人のこれからを予感させる初々しい結末はなかなか良かったです。

ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記 (オーバーラップ文庫)

ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記 (オーバーラップ文庫)

 

 ローマ好きの高校生・糸原聖也が月の女神・ディアナに古代ローマそっくりの異世界へと転送され、ユリアという名の異世界のカエサルを支える異世界ファンタジー。カエサルクラッススキケロも女の子という近似ローマ世界で、女の子だからこその展開もあったりするわけですが、ユリアが女好きなのは変わらないんですね(苦笑)幼馴染も特異な存在だけど主人公自身にもいろいろ因縁がありそうで、今回は登場した主要人物や近似古代ローマの世界観説明もあったりしてテンポにはやや難がありましたけど、これから動きも多くなるでしょうし今後に期待。

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

 

 徐の王太子・寿白は革命の混乱のさなかに王の証・王玉を得たが庚に取って代わられ、十年後に飛牙と名乗って再び国を訪れる中華風ファンタジー。飛牙から玉を取り戻すべく現れた天令の那兪とともに訪れたかつての王都。天から見放され荒れる庚の治政と、寿白時代の飛牙を知る宦官・裏雲や王太后が抱えていた秘密。明かされた事情と混乱の最中で上手く立ち回った飛牙が、どうにかこうにかうまく取りまとめたなあと思えた結末でしたけど、裏雲との今後も気になりますし、この感じだと天下四国を旅する感じになるんですかね。続巻も楽しみにしています。

 

 

屋上のテロリスト (光文社文庫)

屋上のテロリスト (光文社文庫)

 

 ポツダム宣言を受諾せず東西に分断された日本。七十数年後、高校の屋上で出会った不思議な少女・沙希からアルバイトに誘われた彰人が、彼女の壮大なテロ計画に巻き込まれてゆく物語。両親も亡くなって目的もなく死に魅入られていた彰人。彼に協力を求めた沙希が、思惑ある権力者たちをも巻き込んで邁進する真の目的。緊張が高まってゆく状況で大人たちの間を動き回り、ギリギリの駆け引きが続きながらも切り抜ける覚悟を見せた沙希と、彼女と一緒に最後まで走り抜けた彰人が最後に迎えた結末はとても素敵なものだったと思いました。面白かったです。

カカノムモノ (新潮文庫nex)

カカノムモノ (新潮文庫nex)

 

 悪夢を見続けるOL、穢れを内に抱える大学生、兄夫婦の子供を預かる花屋。「カカノムモノ」謎の美貌の青年・浪崎碧が、時に人を追い詰めてまで心の闇を暴き解決してゆく物語。昏い想いが育つことで生み出される大禍津日神と、一族の事情から人として生きてゆくためにそれを食らわねばならない碧の宿命。訳ありそうなカメラマン・桐島とともに闇を抱えた人を探し出して穢れを払うシリアスな過程には、ごくありふれたままらない日常の積み重ねがあって、宿業を抱えた碧を取り巻く事情がどのように変わってゆくのか続刊に期待したい新シリーズですね。

長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)

長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)

 

 長崎の女子大学に入学した東京出身の日高乙女。バイトで不採用続きの乙女がオランダ坂の外れに不思議な洋館カフェを見つけ、そこで不機嫌顔のオーナーと一緒にバイトとして働くようになる物語。東京っぽさがないとある作家の熱烈大ファンな天然の乙女と、本業が不明で雨降る夜にしか開店しない無愛想で謎めいたカフェ・オーナーの向井。長崎の美味しいものがたくさん紹介されつつ、それと少しずつ増えてゆくお客さんとのエピソードや積み重なってゆく向井への想いがとてもいい感じに組み合わさって、不器用な二人を見守りたくなる素敵な物語でした。

キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)

キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)

 

 留年の危機に瀕するダメ学生・奈緒崎が教授から救済措置として提示された難題は「休学中の嗄井戸を大学に連れ戻せ」。引きこもりの嗄井戸と奈緒崎が謎を解決する連作短編ミステリ。映画鑑賞に没頭して家から出ない嗄井戸が安楽椅子探偵よろしく事件を見通してみせる役割で、腐れ縁で彼の家を訪れるようになった奈緒崎が動くコンビ。二人を中心とする物語は一方で彼ら二人の不器用な友情の物語でもあり、キッパリサッパリなヒロイン・束ちゃんもいい感じに効いてテンポも良く、なかなか面白かったと思います。続編あるならまた読んでみたいですね。

 青森での田舎生活を厭いクリエイター職に憧れ上京した哲太。しかしブラック企業で限界を迎えて脱落し、人生に行き詰った彼が憧れだったクリエイティブ・ディレクターを捜し始める物語。好きな人も仕事も生きがいも一度に失った哲太が、中目黒のシェアオフィスで出会った仲間と協力し、顧客が始めたいカフェのプロデュースに挑戦する展開。一度は挫折した哲太もこれまでいろんなことに挑戦してきたことが無駄になっていなくて、仲間や顧客ときちんと向き合って頑張ろうと奔走するその思いは熱く心に響きました。続巻あるなら仲間の掘り下げも期待。

シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)

シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)

 

 生活を立て直すため大阪・堺市にある夫の実家「島市古道具商」へ引越し、義父と同居をすることになった透子一家。古い町家で紡がれるモノと想いの人情物語。両親を早くに亡くして社会経験にも乏しく、家族を取り巻く現状がこのままでいいのか思い悩む透子。お店を通じて義父やお客と一緒に古道具や人間関係に関わるようになったり、子供たちや夫ともなかなか上手くいかない状況になりかけたりな彼女は色々と大変でしたけど、多くの人に見守られていたことに気付いた彼女が、本当に大切なもののために周囲と協力して奔走する姿は強く心に響きました。

あした世界が、 (小学館文庫)

あした世界が、 (小学館文庫)

 

 音楽会社に勤める吉山朗美と、社長に契約解除され怒り狂う同級生のスーパースター・絹川空哉。十年前の高校時代にタイムスリップした朗美が当時の心残りをやり直す物語。極度のあがり症を抱える冴えない女子高生だった朗美。空哉と蓮に急接近していく一方で、すれ違い続けていた父との関係。無難に生きるしかなかった高校時代の人間関係も十年後の自分には大したことには思えなくて、だからといってままならないこともたくさんあって。それでも逃げずに困難に向き合った朗美の決断が、当時も今も変えてゆく結末は清々しい読後感で面白かったです。

ゲームセットにはまだ早い (幻冬舎文庫)

ゲームセットにはまだ早い (幻冬舎文庫)

 

 様々な事情で集まってきたはみ出し者のメンバーたちが、ど田舎のスーパーなどで働きながら、一緒にクラブチームの野球で社会人全国制覇を目指す物語。かつての過去の栄光だったり、自分の夢と家族との間の葛藤だったり、なかなかうまく行かずに拗らせてしまっている想いにどう向き合って、難しい環境の中でも好きなことをやり抜くのか。社会人野球を扱ったという点でも興味深く、分かりやすくプロを目指すことだけが野球をやる理由ではなくて、不器用にぶつかり合いながらチームとして一つにまとまってゆく彼らの奮闘は心に響くものがありました。

終電の神様 (実業之日本社文庫)

終電の神様 (実業之日本社文庫)

 

 父危篤の報せに病院へ急ぐ会社員、納期が迫ったエンジニア、背後から痴漢の手が忍び寄る美人...。それぞれの場所へ向かう人々を乗せた夜の満員電車が事故で運転を見合わせて、それが転機に繋がってゆく物語。たまたま深夜の満員電車に居合わせたことで同じ時間を共有した人々のエピソードが綴られる連作短編集で、積み重ねられていった思いだったり、秘密にしていた意外な一面だったり、決断を胸に秘めての乗車だったり、それぞれが抱えていたほろ苦い思いやその決断が良かったと思える結末に繋がっていて、なかなか素敵な物語になっていました。

 

 

彼女の色に届くまで

彼女の色に届くまで

 

 画廊の息子で幼い頃から才能を過信し画家を目指している緑川礼。しかしいつの間にか冴えない高校生活を送っていた礼が、無口で謎めいた同学年の美少女・千坂桜と出会うアートミステリ。礼が衝撃を受けた原石のような彼女の絵の才能。その推理で礼の窮地を救ってみせる桜の意外な一面と、共に過ごすようになってゆく日々。圧倒的な才能を前に平凡な自分を突きつけられる葛藤と少しの打算、生活力皆無な桜が気になって飼育係として世話を焼いてしまう礼の複雑な想いが悩ましいですが、それでも不器用な二人らしい結末はとても素敵なものに思えました。

禁じられたジュリエット

禁じられたジュリエット

 

 ミステリ小説が退廃文学として禁書扱いな世界観の日本で、それに触れてしまった女子高生6人が囚人として収監され、看守役2名を加えた8名で更正プログラムに参加させられる本格ミステリ。プログラムを早く切り上げられるよう協力するはずだった友人8人。役割に徹するうちに急速に対立を深めてゆく描写はあまりにも過酷で、二転三転してゆく展開には驚かされ、追い詰められた参加者たちの叫びは痛切で心に響くものがありましたが、終わってみるとなぜか清々しさすら感じてしまったその読後感に著者さんの深い本格ミステリ愛を見る思いがしました。

ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん

 

 今まですれ違い続けてきた父が癌で胃を全摘出したことをきっかけに、もう一度やり直したいと考えた息子がオンラインゲームのファイナルファンタジーXIVに父を誘い、正体を隠して父と共に冒険に出るブログ連載の書籍化。齢60を超えるお父さんの光の戦士計画。仲間の協力も得ながら密かにゲームの中での父の成長を見守る展開は、天然の父らしい姿やこれまで知らなかった一面を知ってゆく息子の反応が興味深ったですね。思わぬ展開やほのぼのした場面と、一緒にミッションを乗り越える緊迫感のあるチャレンジもメリハリが効いていて楽しめました。

江の島ねこもり食堂

江の島ねこもり食堂

 

 島の猫の世話をするとある江ノ島の食堂<半分亭>の隠れた仕事。代々「ねこもりさん」と呼ばれる女たちの生きたそれぞれの人生と、新しい命を結び未来を繋いでいく百年物語。猫とお客さんに助けられて続いてきたねこもりさんの半分亭。ひいおばあちゃんのすみゑ、祖母・筆、母・溶子、そして麻布。時代背景も半分亭を取り巻く事情も様々ながら、江ノ島やねこもりさんという仕事への思いや多くの人に支えられ人生を精一杯生きてゆく姿、紆余曲折はあってもそれが受け継がれ、百年前の約束が果たされてゆくその結末には強く心に響くものがありました。

密偵手嶋眞十郎 幻視ロマネスク

密偵手嶋眞十郎 幻視ロマネスク

 

第一次世界大戦後、極秘で設置された保安局六課でスパイとして国内の防諜活動を行っていた手嶋。ある事件をきっかけに目を付けた陸軍の武器密売疑惑の潜入捜査でカフェで働く落ちぶれた華族の令嬢・悠木志枝と出会うスパイアクション・サスペンス。手嶋が追う武器密売疑惑の鍵を握る少女・志枝が持つ特殊な力。そして手嶋の前に立ちはだかる旧知の陸軍士官・高柳。関東大震災直前の二転三転する状況で陰謀の核心がどこにあるのか駆け引きしつつ、その阻止と彼女を救うために奔走する展開はテンポも良く、余韻の残る結末がとても印象的な物語でした。

麻布ハレー

麻布ハレー

 

 76年ごとに地球へ接近するハレー彗星。1910年に天文台で出会った不思議で美しい女性・晴海と、売れない小説家志望の国善。ハレー彗星の出現とともに恋が始まる物語。どんどん天文にのめり込んでゆく国善の下宿先の子供・栄。一方で国善の作家としてのありように葛藤する姿や、彼への想いは感じるのに晴海との縮まりそうで縮まらないもどかしい距離感はとても切なくて、ハレー彗星と共に明かされる真実と交わされた約束がプロローグに繋がり果たされる結末は、振り返ると出版社や著者さんらしさを感じられる切なくも素敵な物語だと思えました。

4月に読んだ本 #読書メーターより

4月も額面上の数字は91冊となっていますが、今回もコミックが多分に含まれていて書籍は57冊ということで平常運転な感じの一ヶ月でした。例によってコミックも含めると余裕でブログの文字数制限を超えてしまうので書籍のみの表示です。新作も続刊も収穫が多くて読んでいて楽しい作品が多かった一ヶ月でした。

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:91
読んだページ数:23834
ナイス数:6017

まるで人だな、ルーシー2 (角川スニーカー文庫)まるで人だな、ルーシー2 (角川スニーカー文庫)感想
スクランブルの力を使わないと決めた乃音が出会った美術部員・鶴見凛。世間から評価されない彼女の絵に欠落したはずの感情を想起したことで、彼女に興味を持つようになってゆく第二弾。感情が欠落しているがゆえに無自覚な美少女ハンターと化した乃音が重ねる不幸な誤解と、危うい均衡の上に成立していたそれらが迎えた必然の結末には何とも切ない気持ちになりましたが、一方で複雑な想いが錯綜しながらもそれだけでは終わらない辺りに本作らしさが滲み出ていると思いました。この物語が果たしてどこに向かうのか、続刊出たらまた読んでみたいです。
読了日:04月30日 著者:零真似
緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)緋色の玉座 (角川スニーカー文庫)感想
かつての栄光を失い虚栄と退廃に堕ちた東ローマ帝国。国の危機を憂う生真面目な騎士ベリスが、型破りな書記官プロックスと運命的な出会いを果たす戦記ファンタジー。ブロックスとの邂逅によって窮地を脱し、次期皇帝と目されるユスティンの元で頭角を現してゆくベリス。シリアスな展開続きでも脇を固めるキャラたちがよく動いて、その力が高く評価されることになったベリスとブロックスが、一方で皇妃となったテオドラと相容れない確執もあったりで面白かったです。それがいろいろな形で影響しそうな複雑な関係も絡めた今後の展開に期待大ですね。
読了日:04月29日 著者:高橋 祐一
この素晴らしい世界に祝福を!11 大魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫)この素晴らしい世界に祝福を!11 大魔法使いの妹 (角川スニーカー文庫)感想
無事アイリスの護衛任務をやり遂げ、王宮でぐだぐだし始めたカズマ。見かねた王女の側近に追い出されて屋敷に戻ってみると、めぐみんの妹・こめっこが訪ねてくる第十一弾。相変わらずのクズっぷりをダグネスの説得で改心しかかったと思ったら、あっさり前言を翻すカズマさん。しかも戻ってきてからのカズマとアクアたちのやりとりが相変わらず過ぎて苦笑い。ちゃっかりこめっこも恐ろしい子ですが、紅魔族の黒歴史が次々と明らかになってゆきますねw 魔王の娘も関わってきそうですが、ダクネスもそろそろ何か動きありそうかな。続巻も楽しみです。
読了日:04月28日 著者:暁 なつめ
カカノムモノ (新潮文庫)カカノムモノ (新潮文庫)感想
悪夢を見続けるOL、穢れを内に抱える大学生、兄夫婦の子供を預かる花屋。「カカノムモノ」謎の美貌の青年・浪崎碧が、時に人を追い詰めてまで心の闇を暴き解決してゆく物語。昏い想いが育つことで生み出される大禍津日神と、一族の事情から人として生きてゆくためにそれを食らわねばならない碧の宿命。訳ありそうなカメラマン・桐島とともに闇を抱えた人を探し出して穢れを払うシリアスな過程には、ごくありふれたままらない日常の積み重ねがあって、宿業を抱えた碧を取り巻く事情がどのように変わってゆくのか続刊に期待したい新シリーズですね。
読了日:04月28日 著者:浅葉 なつ
最強魔法師の隠遁計画2 (HJ文庫)最強魔法師の隠遁計画2 (HJ文庫)感想
軍部の思惑で外界の課外授業で魔物を狩ることになった魔法学院の生徒たち。アルスがそのフォローに奔走し事態を収集する一方で、テスフィアの親友・アリスの過去も明らかになってゆく第二弾。学内の順位とはまた別物の外界での課外授業。そこで暴走するのがフォローすべき上級生たちだったのが何ともアレですが、それも予想済で実力者のアルスとロキが控えていてしっかり救う万全の体制w でもフィアもアリスも教師と生徒の関係になっていて人間関係的にはなかなか進展しないですね(苦笑)まずはアリスの因縁ということで、変化のきっかけを期待。
読了日:04月27日 著者:イズシロ
あした世界が、 (小学館文庫)あした世界が、 (小学館文庫)感想
音楽会社に勤める吉山朗美と、社長に契約解除され怒り狂う同級生のスーパースター・絹川空哉。十年前の高校時代にタイムスリップした朗美が当時の心残りをやり直す物語。極度のあがり症を抱える冴えない女子高生だった朗美。空哉と蓮に急接近していく一方で、すれ違い続けていた父との関係。無難に生きるしかなかった高校時代の人間関係も十年後の自分には大したことには思えなくて、だからといってままならないこともたくさんあって。それでも逃げずに困難に向き合った朗美の決断が、当時も今も変えてゆく結末は清々しい読後感で面白かったです。
読了日:04月27日 著者:柴崎 竜人
トリア・ルーセントが人間になるまで (ファミ通文庫)トリア・ルーセントが人間になるまで (ファミ通文庫)感想
病の父王を治す秘薬を手に入れるため、兄の特命でサルバドールを訪れた第二王子のランス。自らを薬と名乗る美少女トリアと護衛ロサと共に王都マキシムを目指すファンタジー。浮世離れしたトリアに戸惑いながらも共に旅するうちに惹かれてゆくランス。徐々に明らかになってゆく「ルーセント」の特異性と過酷な運命。宿命と自覚してゆく人間らしい想いに心揺れるトリアと、何とか救おうと奔走するランスに王家を巡る秘密も絡む展開にはハラハラさせられましたが、紆余曲折の末に迎えた二人のこれからを予感させる初々しい結末はなかなか良かったです。
読了日:04月27日 著者:三田 千恵
覇剣の皇姫アルティーナXII (ファミ通文庫)覇剣の皇姫アルティーナXII (ファミ通文庫)感想
ラトレイユによる謀殺を逃れ帝都で暗躍していたレジスが、戦死通知に激怒して軍を率いて帝都に現れたアルティーナとついに再会。新皇帝に即位したラトレイユにより南方戦線へと派兵される第十二弾。レジスの機転によって内戦勃発の危機をからくも切り抜けたアルティーナに下された意外な辞令。方針を転換せざるを得なくなり、戦術の変革期で先を見据えた駆け引きが繰り広げられる難しい状況。そんな中でも修羅場をくぐり抜けてきたレジスの卓越した見識が凄まじいですね。体制の再構築も始まって、今後どのように変わってゆくのか続巻が楽しみです。
読了日:04月26日 著者:むらさき ゆきや
Re:ゼロから始める異世界生活12 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活12 (MF文庫J)感想
四度目の機会を得た『聖域』で『嫉妬の魔女』との邂逅を果たしたスバル。希望に裏切られて真実に絶望しながらも諦められないスバルが魔女との再会を求めて墓所へ挑む第十二弾。リューズさんにまつわる話やロズワールの真実を知っているかのような発言、ペアトリスの過去など、短期間にループを繰り返した上にいろいろあり過ぎて、何を信じたらいいのかわからなくなってゆく展開でしたけど、やっぱり魔女なんだなあと思わされたエキドナの持ちかけた契約に加えて魔女たちの集結もあったりで、続巻でいろいろな話がもう少し整理されることも期待です。
読了日:04月26日 著者:長月 達平
ちどり亭にようこそ2 ~夏の終わりのおくりもの~ (メディアワークス文庫)ちどり亭にようこそ2 ~夏の終わりのおくりもの~ (メディアワークス文庫)感想
花柚が風邪で寝込んでしまって店に手伝いが来ることになり、再び結婚に向け動き出した花柚と永谷の関係もどうも一筋縄にはいかない第二弾。結婚の準備を進める二人にはお互いの家の事情があり、花柚が風邪で寝込んだことで明らかになった「ちどり亭」の不透明な今後。総一郎と花柚も言葉足らずですれ違ったり、周囲の人間関係も少しずつ変わってゆきますが、そのあるべき形に収まった結末に意外性はなかったものの、作中に出てくる美味しそうな料理の描写や、登場人物らしさがよく出た繊細な心理描写の積み重ねがとても自分好みで素敵な物語でした。
読了日:04月25日 著者:十三 湊
終電の神様 (実業之日本社文庫)終電の神様 (実業之日本社文庫)感想
父危篤の報せに病院へ急ぐ会社員、納期が迫ったエンジニア、背後から痴漢の手が忍び寄る美人...。それぞれの場所へ向かう人々を乗せた夜の満員電車が事故で運転を見合わせて、それが転機に繋がってゆく物語。たまたま深夜の満員電車に居合わせたことで同じ時間を共有した人々のエピソードが綴られる連作短編集で、積み重ねられていった思いだったり、秘密にしていた意外な一面だったり、決断を胸に秘めての乗車だったり、それぞれが抱えていたほろ苦い思いやその決断が良かったと思える結末に繋がっていて、なかなか素敵な物語になっていました。
読了日:04月25日 著者:阿川大樹
彼女の色に届くまで彼女の色に届くまで感想
画廊の息子で幼い頃から才能を過信し画家を目指している緑川礼。しかしいつの間にか冴えない高校生活を送っていた礼が、無口で謎めいた同学年の美少女・千坂桜と出会うアートミステリ。礼が衝撃を受けた原石のような彼女の絵の才能。その推理で礼の窮地を救ってみせる桜の意外な一面と、共に過ごすようになってゆく日々。圧倒的な才能を前に平凡な自分を突きつけられる葛藤と少しの打算、生活力皆無な桜が気になって飼育係として世話を焼いてしまう礼の複雑な想いが悩ましいですが、それでも不器用な二人らしい結末はとても素敵なものに思えました。
読了日:04月24日 著者:似鳥 鶏
放課後図書室 (スターツ出版文庫)放課後図書室 (スターツ出版文庫)感想
高2になり掴みどころのない早瀬と一緒に図書委員になった真面目でおとなしい果歩。二人きりの放課後の図書室で再び動き始める恋の物語。実は中学時代に付き合いかけたものの、言葉すら交わしたことがないまま自然消滅してしまった二人。気になりながらも不器用なやりとりしかできなかったり第三者の言動が気になったり、自分の思うことを伝えられない自信のなさがとてももどかしかったですが、実際には意外とこうなりがちですよね。そんな二人が改めてお互い勇気を出して一歩を踏み出し積み重ねられてゆく想いが、繊細に丁寧に描かれていました。
読了日:04月24日 著者:麻沢奏
だいじな本のみつけ方 (光文社文庫)だいじな本のみつけ方 (光文社文庫)感想
中学生の野々香が放課後の校舎でまだ売られていないはずの大好きな作家の新刊をみつけ、同級生たちとともにその持ち主を探し始めるライトミステリ。読みやすい平易な文章で書いてあって、基本的には若い子向けの小説なのかなと思いましたが、スタンスは違うけれど本好きな同級生たちと時折衝突したりもしながら協力して身の回りの本絡みの謎や問題に挑む展開は、好きな本のことに積極的に関わってゆく姿勢が垣間見えて読んでいてとても気持ち良かったです。何となく本を好きになること、本を読むことについて改めていろいろ感じることがありました。
読了日:04月23日 著者:大崎 梢
ウォルテニア戦記VI (HJ NOVELS)ウォルテニア戦記VI (HJ NOVELS)感想
男爵としてウォルテニア半島を与えられた御子柴亮真が横領するザルツベルグ伯爵の腹を探りつつ、魔物だらけで海賊も根城にする半島の掌握に動き出す第六巻。購入した奴隷の少年少女たちを鍛えつつ、法術を学ばせて土木工事に応用するあたりは人手不足解消に繋げてますね(苦笑)伯爵との関係や他国の動きも気になりますが、海賊の始末も終わってここから半島を発展させるためにも、もう少し内政任せられる人材が欲しいところですかね。だんだん面白くなってきていますが、黒エルフの処遇と別行動してる飛鳥も気になるので早めに次巻読みたいです。
読了日:04月23日 著者:保利亮太
ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記 (オーバーラップ文庫)ユリア・カエサルの決断 1 ガリア戦記 (オーバーラップ文庫)感想
ローマ好きの高校生・糸原聖也が月の女神・ディアナに古代ローマそっくりの異世界へと転送され、ユリアという名の異世界のカエサルを支える異世界ファンタジー。カエサルクラッススキケロも女の子という近似ローマ世界で、女の子だからこその展開もあったりするわけですが、ユリアが女好きなのは変わらないんですね(苦笑)幼馴染も特異な存在だけど主人公自身にもいろいろ因縁がありそうで、今回は登場した主要人物や近似古代ローマの世界観説明もあったりしてテンポにはやや難がありましたけど、これから動きも多くなるでしょうし今後に期待。
読了日:04月22日 著者:遠藤遼
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 6 (MF文庫J)エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 6 (MF文庫J)感想
雷鳥失脚で氷室義塾は実質的に解体、規格外十番は世界列強に売られ散り散りに。ジンがクイーンを狩り各国と同盟を結ぶ一方で、ヘキサの実験施設や非合法武装組織を潰して回る謎のテロリストが出現する第六弾。何というか状況の激変でヘキサの非人道的扱いが加速していて、規格外十番もまたそれぞれ過酷な状況に置かれていたわけですけど、二つの新しい軸が生まれつつある転機を迎えて、絶望的な状況から再集結する仲間たちという熱い展開があって、前巻の絶望感があるからこそ今後に期待しちゃいますよ、これは。ここから始まる第二部に期待大です。
読了日:04月21日 著者:東 龍乃助
セブンキャストのひきこもり魔術王4 (ファンタジア文庫)セブンキャストのひきこもり魔術王4 (ファンタジア文庫)感想
デュセルが毎日遊びに来て風前の灯火となったブランの快適ひきこもり生活。『七詠唱』を乗っ取ったデュセルが、思いがけずブランの幼馴染・副会長の知られざる秘密と十年前の魔術実験の真相に近づいてしまう第四弾。ぼっちが長過ぎて適度な距離感が分かってない感じのデュセルには苦笑いでしたけど、これまでブランに執拗に絡んでいた幼馴染・副会長の思わぬ事情には驚かされましたね。十年前の実験にも繋がっていた一連の騒動は一気に解決とはいかなかったものの、笑顔で終わることができた今回の結末は良かったなと思えるものでした。続巻も期待。
読了日:04月21日 著者:岬 かつみ
豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい2 (ファンタジア文庫)豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい2 (ファンタジア文庫)感想
傭兵捕縛によって悪評からうって変わり一目置かれはじめたスロウ。王室から守護騎士選定試練の参加要請があり、アリシアと共に選定試練へ向かうことになる第二弾。今回は元婚約者のアリシア回。チャンスを伺いつつもスロウと話す機会を活かせなくてイライラする彼女でしたけど、何だかんだでスロウも気にかけているし、そんな彼に二度もピンチを救われたら自覚もしちゃいますよね(苦笑)スロウが知っている展開といろいろと変わりつつあるようですけど、出番が少ないなりにいろいろ重要な役割があったシャーロットメインの展開も今後期待してます。
読了日:04月20日 著者:合田拍子
ロクでなし魔術講師と追想日誌2 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と追想日誌2 (ファンタジア文庫)感想
教授の実験に付き合わされたり、システィが罠で記憶喪失に陥ったり、アルベルトがグレンの裏切り疑惑を調査したり、グレンの過去話な短編集第二弾。この学院の教師陣は名門校のはずなのにこんなのしかいないの?と思ってしまうような濃いメンツで、バイトに初挑戦のリィエルとか儚げな雰囲気で男子生徒に人気急上昇したりなシスティとか、いろいろ面白かったですがやはりオチは相変わらずでした(苦笑)幼き日のグレンによる「愚者の世界」誕生秘話と、そこでの運命的な出会いが今に繋がっていて、彼女は是非本編にも登場を期待したいところですね。
読了日:04月20日 著者:羊太郎
ファイナルファンタジーXIV 光のお父さんファイナルファンタジーXIV 光のお父さん感想
今まですれ違い続けてきた父が癌で胃を全摘出したことをきっかけに、もう一度やり直したいと考えた息子がオンラインゲームのファイナルファンタジーXIVに父を誘い、正体を隠して父と共に冒険に出るブログ連載の書籍化。齢60を超えるお父さんの光の戦士計画。仲間の協力も得ながら密かにゲームの中での父の成長を見守る展開は、天然の父らしい姿やこれまで知らなかった一面を知ってゆく息子の反応が興味深ったですね。思わぬ展開やほのぼのした場面と、一緒にミッションを乗り越える緊迫感のあるチャレンジもメリハリが効いていて楽しめました。
読了日:04月19日 著者:マイディー
青春絶対つぶすマンな俺に救いはいらない。 (ガガガ文庫)青春絶対つぶすマンな俺に救いはいらない。 (ガガガ文庫)感想
勝ち組を呪う負け犬高校生の狭山明人と冷血美少女・小野寺薫。放課後に呼び出しを受けた二人が中等部の少女・藤崎小夜子の謎のボランティア活動に巻き込まれてゆく痛青春ラブコメ。藤崎の電波発言にドン引きしつつもいがみ合う二人が、やる気がないなりにメンヘラハンサムやヒキニートといった濃いキャラの相談者たちが抱える問題解決に動いて仲間が増えてゆく展開でしたが、負け犬を自負しひねくれた言動ばかりの狭山だからこそ、誰も気づかなった真意に気づいてしまう皮肉な結末は、続巻があったらまた読んでみたいと思わせるものがありました。
読了日:04月19日 著者:境田 吉孝
月とライカと吸血姫 2 (ガガガ文庫)月とライカと吸血姫 2 (ガガガ文庫)感想
吸血鬼の少女イリナの帰還後、晴れて念願の宇宙飛行士候補生に復帰したレフ。彼女を監視する任務から解かれその様子を気にかけつつも「人類史上初」を賭けた宇宙飛行士選抜試験に挑む第二弾。過酷な選抜試験でもらしさを失わないままのレフと、すれ違いが続くイリナの周囲に漂う不穏な空気。自分の気持ちに素直になれない不器用な二人の想いは切なくて、消化しきれない複雑な葛藤もままならなくて、だからこそ違和感だらけの土壇場で革命を起こしてみせた勇気と、それがもたらした奇跡がとても素敵なものに思えました。続刊また読めたらいいですね。
読了日:04月18日 著者:牧野 圭祐
天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)感想
徐の王太子・寿白は革命の混乱のさなかに王の証・王玉を得たが庚に取って代わられ、十年後に飛牙と名乗って再び国を訪れる中華風ファンタジー。飛牙から玉を取り戻すべく現れた天令の那兪とともに訪れたかつての王都。天から見放され荒れる庚の治政と、寿白時代の飛牙を知る宦官・裏雲や王太后が抱えていた秘密。明かされた事情と混乱の最中で上手く立ち回った飛牙が、どうにかこうにかうまく取りまとめたなあと思えた結末でしたけど、裏雲との今後も気になりますし、この感じだと天下四国を旅する感じになるんですかね。続巻も楽しみにしています。
読了日:04月18日 著者:中村 ふみ,六七質
ゲームセットにはまだ早い (幻冬舎文庫)ゲームセットにはまだ早い (幻冬舎文庫)感想
様々な事情で集まってきたはみ出し者のメンバーたちが、ど田舎のスーパーなどで働きながら、一緒にクラブチームの野球で社会人全国制覇を目指す物語。かつての過去の栄光だったり、自分の夢と家族との間の葛藤だったり、なかなかうまく行かずに拗らせてしまっている想いにどう向き合って、難しい環境の中でも好きなことをやり抜くのか。社会人野球を扱ったという点でも興味深く、分かりやすくプロを目指すことだけが野球をやる理由ではなくて、不器用にぶつかり合いながらチームとして一つにまとまってゆく彼らの奮闘は心に響くものがありました。
読了日:04月17日 著者:須賀 しのぶ
図書室のピーナッツ図書室のピーナッツ感想
資格を持たない“なんちゃって司書”として直原高校の図書室で働く詩織。契約更新してもらえるのか不安に思いながらも、生徒たちから難問珍問が次々と持ちこまれる第二弾。学校司書さんの不安定な雇用形態や待遇の問題などは最近話題にもなりましたが、それはそれとして周囲に相談しながら、生徒と一緒に前向きに取り組んでいこうとする詩織さんの姿勢は好感。仕事で毎日大量の書誌情報を検索しているので、作中の調べ方の記述には深く頷くところがありました。変わりつつある詩織さんと図書室、素敵な問いかけがあった恋の予感が今後も楽しみです。
読了日:04月16日 著者:竹内 真
霊感検定 春にして君を離れ (講談社文庫)霊感検定 春にして君を離れ (講談社文庫)感想
最愛の兄を突然失い悲嘆に暮れる弟の携帯に届く兄からのあり得ない着信。霊が視えないのに心霊相談を持ち込む母親の苦悩など、人知れず霊に悩む者を心霊現象研究会が救う第三弾。馬渡先生は相変わらずでしたけど、さりげなく人を助けようとする夏目や空だけでなく、登場人物たちの相手を思いやるさりげない優しさが物語のベースになっているのがとてもいいですよね。修司と臣の空をめぐる葛藤とギリギリの攻防にはついニヤニヤしてしまいました。夏目の容赦ない突っ込みも(苦笑)挿入されていた短編もとても良かったですし、続巻も期待しています。
読了日:04月15日 著者:織守 きょうや
落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)12 (GA文庫)落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)12 (GA文庫)感想
ルナアイズの宣言によってクレーデルラントとの戦争は、代表戦によって雌雄を決することに。代表メンバーに選ばれたものの自分の力不足を痛感するステラが、自らの限界を超えるべく世界最強の剣士《比翼》のエーデルワイスに挑戦する第十二弾。力不足だからと言っていきなり最強に挑むとか発想が極端過ぎるだろとか思ったら、エーデルワイスの意外なギャップにビックリしました(苦笑)もはや職人芸的な手法で強さを極めてゆく一輝と対照的なステラの限界突破でしたけど、さりげなく出場メンバーも因縁も明らかになったりで、代表戦が楽しみですね。
読了日:04月15日 著者:海空 りく
最弱無敗の神装機竜《バハムート》12 (GA文庫)最弱無敗の神装機竜《バハムート》12 (GA文庫)感想
ソフィスの離反によって難局を迎えた遺跡攻略。束の間の待機を余儀なくされ、七日後に迫る学園の聖夜祭準備に盛り上がるルクスたち。一方で残された遺跡『月』に現れた不穏な影が策動する第十二弾。一般学生には危機が知らされぬまま、聖夜祭の準備で絆を深めるルクスと少女たち。一方でなかなか埋められないソフィスとの距離。ひとつひとつのエピソードに終盤に向けて物語が整理され、ひとつの方向に向かってゆくのを改めて感じた今回でしたが、ルクスに思いを寄せる少女たちに対する答えがどのようなものになるのかもまたちょっと気になりました。
読了日:04月14日 著者:明月 千里
レーゼンシア帝国繁栄紀 ~通りすがりの賢帝~ (GA文庫)レーゼンシア帝国繁栄紀 ~通りすがりの賢帝~ (GA文庫)感想
謎のアルバイト試験に合格し少女ユーリスと秘密の契約を交わした苦学生シュウが、まさかのレーゼンシア神聖帝国の皇帝に祭り上げられてしまう国家掌握ファンタジー。破格報酬のアルバイトは皇女の身代わりとしての皇帝就任。メイド姿のユーリスに振り回されるシュウの前に現れるお后候補たち。今回は一冊まるごと物語のプロローグといった趣でしたけど、国の難題を次々と解決するシュウの見事な采配や謎めいたユーリスの思惑、エピソードを積み重ねながら深めてゆく魅力的なヒロインたちとの関係が今後楽しみな新シリーズですね。これは続巻に期待。
読了日:04月14日 著者:七条 剛
我が驍勇にふるえよ天地4 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)我が驍勇にふるえよ天地4 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)感想
宿敵アドモフ帝国の軍勢を退けたレオナートたちのもとに吸血皇子の「伝説伝承」に魅せられてさらに人材が集い、ついに故郷・アレクシス州リント奪還作戦が始動する第四弾。いかにもらしい感じだったレオナートの筋金入りの朴念仁ぶりには苦笑いしましたが、ベタだなあとは思いつつ人材が集まってひとつの流れになり機が熟してゆく展開がいいですね。決戦では天才的な頭脳で意外な人物が戦局をリードしましたが、お互いの献策が激突するギリギリの駆け引きが連続した結果、思ってもみなかった形で迎えた新展開が今後どうなるのか、次巻が楽しみです。
読了日:04月14日 著者:あわむら 赤光
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア8 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア8 (GA文庫)感想
人造迷宮撤退での仲間の死にさえ嘲笑を向け派閥から孤立してしまうベート。しかし突如アマゾネスの少女レナとなし崩し的に同居生活が始まってしまい、己の過去と向き合うことになる第八弾。不器用な物言いしかできずに仲間からも誤解され、一時的にファミリアを離脱するベート。そんな彼の過去を思い出させる少女・レナとの出会い。巻き込まれてゆく暗躍する死神との眷属との闘争の中で爆発した本当の力は凄まじいものでしたが、積み重ねられたエピソードに垣間見えるその本性と、思ってもみなかったまさかの結末にはどこか救われる思いでした。
読了日:04月13日 著者:大森 藤ノ
贋作師と声なき依頼-京都寺町三条のホームズ(7) (双葉文庫)贋作師と声なき依頼-京都寺町三条のホームズ(7) (双葉文庫)感想
高校3年生になり大学受験も意識しだした葵。不器用ながらもゆっくりとお互いの距離を縮めていく葵と清貴の前に敵対視する贋作師・円生が再び現れる第七弾。関係が変わっても地に足付いた頑張り屋さんの葵と彼女にベタ惚れの清貴。いろいろあっても着実に関係を育んでいた二人の関係が思わぬ事態を迎えた時は愕然としましたが、周囲に温かく見守られつつそれを乗り越えた二人が一緒に対峙したからこそ、あの結末を迎えられたんですよね。あまりにもキレイにまとまっていて一瞬心配しましたが、ちゃんと第二部もあるそうなので楽しみに待っています。
読了日:04月13日 著者:望月 麻衣
ホームズと歩く京都-京都寺町三条のホームズ(6.5 ) (双葉文庫)ホームズと歩く京都-京都寺町三条のホームズ(6.5 ) (双葉文庫)感想
ヤマウチシズさんのイラスト付きの登場人物紹介&相関図、清貴による舞台案内、葵の誕生日パーティーなど描き下ろし中編や清貴の掌編、4コマや質問コーナーまである公式読本。中編や掌編で葵にベタ惚れ全開状態を隠さない清貴と、それを目の当たりにする周囲の反応には苦笑いでしたが、清貴視点で作中シーンを振り返りがらの舞台案内でもこんなこと思ってたんだとか正直過ぎる解説コメントが楽しかったです。これを読んでいると舞台となった場所を思いながら巡ってみたくなりますね。7巻も同時刊行ですが、これは巻数通りに読んだ方がよさげです。
読了日:04月12日 著者:望月 麻衣
カブキブ! 6 (角川文庫)カブキブ! 6 (角川文庫)感想
文化祭の公演を「毛抜」に選定したカブキ部一同。いよいよ本格的な練習を始めるものの、因縁の演劇部と再び公演場所を奪い合う勝負に発展する第六弾。芳先輩のこともあって未だ遺恨が残る演劇部との関係。不慮の事態から演劇部と観客動員数で勝負する事態に、クロとトンボの信頼関係ゆえのすれ違いもあったりでなかなか大変な状況でしたけど、助けてくれる周囲の人たちの存在もあって光明も見えかけていたのに、最後の事件には不安しかないですね...でもいろいろ頑張っていた遠見先生と生島さんコンビがいい味出していました。早めの続巻を期待。
読了日:04月12日 著者:榎田 ユウリ
東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて (光文社文庫)東京すみっこごはん 親子丼に愛を込めて (光文社文庫)感想
恋愛や結婚をコスパが悪いと考えるOLや誰にも言えぬ想いを抱える高校生、結婚した相手の娘との関係に悩むキャリアウーマンがすみっこごはんを訪れ、柿本と楓親子の出会いも綴られる第三弾。いつの間にか御利益がある存在になっているすみっこごはんですが、訪れた人たちが一緒に料理したり常連さんたちにお話を聞いたりしてもらううちに、自分なりに答えを見出してゆくお話はいいですね。常連さんたちの人間関係も少しずつ変わってきていますし、何より楓親子に出会った若き日の柿本の不器用な感じがとても良かったです。また続巻に期待してます。
読了日:04月12日 著者:成田 名璃子
屋上のテロリスト (光文社文庫)屋上のテロリスト (光文社文庫)感想
ポツダム宣言を受諾せず東西に分断された日本。七十数年後、高校の屋上で出会った不思議な少女・沙希からアルバイトに誘われた彰人が、彼女の壮大なテロ計画に巻き込まれてゆく物語。両親も亡くなって目的もなく死に魅入られていた彰人。彼に協力を求めた沙希が、思惑ある権力者たちをも巻き込んで邁進する真の目的。緊張が高まってゆく状況で大人たちの間を動き回り、ギリギリの駆け引きが続きながらも切り抜ける覚悟を見せた沙希と、彼女と一緒に最後まで走り抜けた彰人が最後に迎えた結末はとても素敵なものだったと思いました。面白かったです。
読了日:04月11日 著者:知念 実希人
横浜元町コレクターズ・カフェ (角川文庫)横浜元町コレクターズ・カフェ (角川文庫)感想
将来の夢が絵本作家ということ以外は平凡な大学生の大崎結人。就職活動を前に夢を諦めるため生まれ育った横浜元町で思い出の場所にあった喫茶店「ブラックバード」を訪れる物語。絵本の充実したレストランの場所にあった喫茶店のミステリアスな店主・佳野。どうにも立ち位置が難しかった結人のありようや佳野が抱えている悩みと、お店の客が抱える謎を住野が説いてゆく展開をどうやって絡めてゆくのかという意味では、設定をうまく活かしきれなかったかなと感じましたが、最後の謎を解き明かしたことでたどり着いた結末は悪くなかったと思いました。
読了日:04月11日 著者:柳瀬 みちる
大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)大正箱娘 怪人カシオペイヤ (講談社タイガ)感想
万病に効くとされる「箱薬」が巷で流行り、新米新聞記者の英田紺は箱娘・うららと調査に乗り出す一方、病に冒された伯爵の館には怪人・カシオペイヤから予告状が届く第二弾。潜入しようとした新薬を披露する伯爵家のパーティーで再会する時村燕也。何かしら事件があるたびに遭遇する、意外と友情に厚い一面を見せた彼と紺の奇妙な関係もまた今後のポイントになりそうですね。帝都のありように大きく関わっていそうな、依然として謎めいたままのうららの一端が垣間見えましたが、それでいて紺を気にかけるそのアンバランスなありようが良かったです。
読了日:04月11日 著者:紅玉 いづき
シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)感想
生活を立て直すため大阪・堺市にある夫の実家「島市古道具商」へ引越し、義父と同居をすることになった透子一家。古い町家で紡がれるモノと想いの人情物語。両親を早くに亡くして社会経験にも乏しく、家族を取り巻く現状がこのままでいいのか思い悩む透子。お店を通じて義父やお客と一緒に古道具や人間関係に関わるようになったり、子供たちや夫ともなかなか上手くいかない状況になりかけたりな彼女は色々と大変でしたけど、多くの人に見守られていたことに気付いた彼女が、本当に大切なもののために周囲と協力して奔走する姿は強く心に響きました。
読了日:04月10日 著者:蓮見 恭子
いでおろーぐ!6 (電撃文庫)いでおろーぐ!6 (電撃文庫)感想
領家の呼びかけによりGWの遊園地に乗り込んだ反恋愛主義青年同盟部の面々。高砂による女児の観察日記だったり、女児の策略により高砂は未来を見せられ、異世界転生の物語まで書き出す短編集第六弾。トラウマな黒歴史を抱えていたり、怪しい挙動も散見される部員たちでしたけど、宮前会長の鋭いツッコミが全てですね(苦笑)高砂視点は客観性を欠いて実態はあんなだし、某特殊研究家とか業が深過ぎて心配になりましたw 部員が欲望のままに書いたリレー小説をうまくまとめたはずの高砂は報われなかったけど、女児も呆れる二人の今後も楽しみです。
読了日:04月09日 著者:椎田 十三
ゼロから始める魔法の書IX -ゼロの傭兵〈上〉- (電撃文庫)ゼロから始める魔法の書IX -ゼロの傭兵〈上〉- (電撃文庫)感想
北のノックス大聖堂へとたどり着いたゼロと教会騎士団一行たちが知る驚愕の真実。ゼロたちを快く思わない近衛騎士隊長のオルルクスが不穏な動きを見せる中、魔女であることを思い悩むゼロがひとつの決断をする第七弾。驚愕の真実に目的を見失う教会騎士団一行。神父たちがゼロたちの元に合流する状況に、ゼロと傭兵に突きつけられる非情な選択。共通の敵あってこその今の立ち位置はよくよく自覚しているところで、でも二人はうまくやっていけると思い込んでただけに、その決断はわかるけどちょっとなあ...傭兵の諦めの悪さに期待ですね、これは。
読了日:04月09日 著者:虎走 かける
読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)感想
期待もない新学年のホームルーム。高校生・細野亮の前に愛してやまない物語の中にいた「トキコ」そのままの少女・柊時子が現れる出会うはずがなかった読者と主人公の物語。見れば見るほどそのままの時子との出会い。一緒に過ごしてゆくうちに想いが少しずつ積もってゆく一方で、自分の中で湧き上がってくる違和感。主人公の周辺を切り取ったようなクローズな世界観で、あまりにも不器用な二人の距離感にもどかしくもなりましたが、物語をきっかけに知り合った二人が物語で心を通わせて、これからの二人の世界の広がりを予感させる素敵な物語でした。
読了日:04月08日 著者:岬 鷺宮
俺を好きなのはお前だけかよ(5) (電撃文庫)俺を好きなのはお前だけかよ(5) (電撃文庫)感想
因縁のあの場所・高校野球地区大会決勝戦へと移り、ジョーロとホースが決選投票という名のパンジー争奪戦に挑む第五弾。当て馬にしか見えないホースとの勝負自体は困難を極めても結末は残当というか。むしろ一見うまくいってないようにも思えるプロセスの積み重ねをひとつの形にまとめ上げてゆく手腕が素晴らしいですね。最後にそういう回収の仕方してくるかみたいな。どんだけ好きなんだよ(苦笑)ジョーロはやり方が不器用だけれど、それをみんなは分かってるしだからこそ愛される。デビュー作とは思えないクオリティですね。第二部も楽しみです。
読了日:04月08日 著者:駱駝
本を守ろうとする猫の話本を守ろうとする猫の話感想
二人で暮らしていた古書店を営む祖父が突然亡くなり、実感が湧かないままの高校生・夏木林太郎。そんな彼の元に人間の言葉を話すトラネコが現れ本を守るために力を貸して欲しいと頼まれる物語。最初はトラネコと一緒に、そして学級委員長の沙夜も加えて立ち向かう本を救うための冒険。それぞれのエピソードはわりとシンプルな構成を取りつつも、今の本を取り巻くとても難しい状況の本質に鋭く切り込んだなかなか奥が深い内容で、戸惑いながらもきちんと向き合うようになってゆく林太郎の熱い想いに自分も少なからず感化されてしまった一冊でした。
読了日:04月07日 著者:夏川 草介
禁じられたジュリエット禁じられたジュリエット感想
ミステリ小説が退廃文学として禁書扱いな世界観の日本で、それに触れてしまった女子高生6人が囚人として収監され、看守役2名を加えた8名で更正プログラムに参加させられる本格ミステリ。プログラムを早く切り上げられるよう協力するはずだった友人8人。役割に徹するうちに急速に対立を深めてゆく描写はあまりにも過酷で、二転三転してゆく展開には驚かされ、追い詰められた参加者たちの叫びは痛切で心に響くものがありましたが、終わってみるとなぜか清々しさすら感じてしまったその読後感に著者さんの深い本格ミステリ愛を見る思いがしました。
読了日:04月07日 著者:古野 まほろ
長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)長崎・オランダ坂の洋館カフェ シュガーロードと秘密の本 (宝島社文庫)感想
長崎の女子大学に入学した東京出身の日高乙女。バイトで不採用続きの乙女がオランダ坂の外れに不思議な洋館カフェを見つけ、そこで不機嫌顔のオーナーと一緒にバイトとして働くようになる物語。東京っぽさがないとある作家の熱烈大ファンな天然の乙女と、本業が不明で雨降る夜にしか開店しない無愛想で謎めいたカフェ・オーナーの向井。長崎の美味しいものがたくさん紹介されつつ、それと少しずつ増えてゆくお客さんとのエピソードや積み重なってゆく向井への想いがとてもいい感じに組み合わさって、不器用な二人を見守りたくなる素敵な物語でした。
読了日:04月06日 著者:江本 マシメサ
キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)キネマ探偵カレイドミステリー (メディアワークス文庫)感想
留年の危機に瀕するダメ学生・奈緒崎が教授から救済措置として提示された難題は「休学中の嗄井戸を大学に連れ戻せ」。引きこもりの嗄井戸と奈緒崎が謎を解決する連作短編ミステリ。映画鑑賞に没頭して家から出ない嗄井戸が安楽椅子探偵よろしく事件を見通してみせる役割で、腐れ縁で彼の家を訪れるようになった奈緒崎が動くコンビ。二人を中心とする物語は一方で彼ら二人の不器用な友情の物語でもあり、キッパリサッパリなヒロイン・束ちゃんもいい感じに効いてテンポも良く、なかなか面白かったと思います。続編あるならまた読んでみたいですね。
読了日:04月06日 著者:斜線堂 有紀
中目黒リバーエッジハウス ワケありだらけのシェアオフィス はじまりの春 (集英社オレンジ文庫)中目黒リバーエッジハウス ワケありだらけのシェアオフィス はじまりの春 (集英社オレンジ文庫)感想
青森での田舎生活を厭いクリエイター職に憧れ上京した哲太。しかしブラック企業で限界を迎えて脱落し、人生に行き詰った彼が憧れだったクリエイティブ・ディレクターを捜し始める物語。好きな人も仕事も生きがいも一度に失った哲太が、中目黒のシェアオフィスで出会った仲間と協力し、顧客が始めたいカフェのプロデュースに挑戦する展開。一度は挫折した哲太もこれまでいろんなことに挑戦してきたことが無駄になっていなくて、仲間や顧客ときちんと向き合って頑張ろうと奔走するその思いは熱く心に響きました。続巻あるなら仲間の掘り下げも期待。
読了日:04月05日 著者:岩本 薫
おやつカフェでひとやすみ しあわせの座敷わらし (集英社オレンジ文庫)おやつカフェでひとやすみ しあわせの座敷わらし (集英社オレンジ文庫)感想
鎌倉近くの丘の上の住宅街にひっそり建つ歳の離れた三兄弟が営む古民家カフェ。「そのカフェで座敷わらしを見ると、幸せになれる」噂につられて人生で迷った人びとがお店を訪れる物語。イケメンなお兄さんたちが美味しそうなおやつを提供してくれる訳ありの古民家カフェ。祖父母の借金を返すために意に染まぬ結婚を控えていたり、辛い秘密を抱えての別居状態、リストラされて家族に打ち明けられなかったりと厳しい事情を抱える訪問客たちが、お店の座敷わらしに出会い転機を迎えてゆく優しく温かいお話でした。続巻あるようなら読んでみたいですね。
読了日:04月05日 著者:瀬王 みかる
密偵手嶋眞十郎 幻視ロマネスク密偵手嶋眞十郎 幻視ロマネスク感想
第一次世界大戦後、極秘で設置された保安局六課でスパイとして国内の防諜活動を行っていた手嶋。ある事件をきっかけに目を付けた陸軍の武器密売疑惑の潜入捜査でカフェで働く落ちぶれた華族の令嬢・悠木志枝と出会うスパイアクション・サスペンス。手嶋が追う武器密売疑惑の鍵を握る少女・志枝が持つ特殊な力。そして手嶋の前に立ちはだかる旧知の陸軍士官・高柳。関東大震災直前の二転三転する状況で陰謀の核心がどこにあるのか駆け引きしつつ、その阻止と彼女を救うために奔走する展開はテンポも良く、余韻の残る結末がとても印象的な物語でした。