読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

今注目の中華風ファンタジー15選

もともと個人的に期待の高かった白川紺子さんの「後宮の烏」(オレンジ文庫)は順調に重版を重ねているようで、中華風ファンタジー(特に後宮もの)人気を改めて実感しました。最近は富士見L文庫少女小説を中心にそのジャンルの作品はたくさん刊行されていて、もともと好きなジャンルということもあって自分もわりとチェックしている方だと思いますが、その中からオススメのタイトルを紹介したいと思います。 

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

 

 後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

 

 金椛帝国の皇帝崩御に伴い、「皇帝に外戚なし」の法のもとに皇后に選ばれた星皇后の一族は全て殉死を命じられ、胡娘の助けにより御曹司の遊圭がひとり生き延びる中華ファンタジー。追われる身だった遊圭が、以前助けた縁で匿ってくれた町娘の明々と一緒に密かに男の身で後宮に出仕するまさかの展開。病弱で世間知らずゆえか義憤に駆られて自らの身を危うくするような状況にはハラハラしましたが、宦官・玄月に正体を疑われながらも知恵を駆使して何とか乗り切った展開はなかなか面白かったです。後宮からの脱出を目指す遊圭たちの今後に期待ですね。現在4巻まで刊行。

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

 

 徐の王太子・寿白は革命の混乱のさなかに王の証・王玉を得たが庚に取って代わられ、十年後に飛牙と名乗って再び国を訪れる中華風ファンタジー。飛牙から玉を取り戻すべく現れた天令の那兪とともに訪れたかつての王都。天から見放され荒れる庚の治政と、寿白時代の飛牙を知る宦官・裏雲や王太后が抱えていた秘密。明かされた事情と混乱の最中で上手く立ち回り、どうにかこうにかうまく取りまとめてみせた飛牙が、裏雲を追って天下四国を旅しながら行く先々で活躍するシリーズです。全4巻。

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 (富士見L文庫)

 

 女性ながら不世出の軍人と評される将軍・関小玉33歳が、かつての相棒にして今は皇帝である文林の懇願を受けある日突然皇后となり、嫉妬と欲望が渦巻く後宮「紅霞宮」に入る物語。軍人らしいきっぱりさっぱりな性格の小玉と、皇帝として公人としての意識も持たざるをえなくなった文林。絆こそ感じられるもののお互い立場も変わり、変わってしまったところと変わらないところに戸惑い葛藤する展開でしたが、ついに覚悟を決めた小玉と、そんな彼女に複雑な想いを抱いたままに見える文林がどんな夫婦になっていくのかいろいろ気になるシリーズです。現在7巻+前日譚2巻刊行。

 花街の薬師だったのをさらわれて後宮で下働き中の娘・猫猫が、薬師としての能力を美形の宦官・壬氏に見込まれ、後宮の事件や噂を解決する物語。中華風の後宮にいるものの特に出世を目指すわけでもない猫猫はわりとさっぱりとした性格で、周囲が色めき立つ美貌の壬氏にも醒めた視線を向けるわけですが、そんな猫猫を壬氏が何となく気にかけている構図が面白いですね。陰謀渦巻く狭い世界で繰り広げられる事件に、薬と毒には並々ならぬ執着とこだわりを見せて謎解きに挑む猫猫、彼女を取り巻く登場人物たちも魅力的で、テンポの良いやりとりを楽しめるシリーズです。現在7巻まで刊行。

後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

 

 継母から冷遇され亡き母に教えられた能書の才さえも継母に奪われてしまった李淑葉に、皇帝の兄・夕遼との結婚の勅命が下る物語。実は夕遼が望んでいたのは淑葉の妹・香蝶との結婚で、いきなりしばらくしたら離婚と突きつけられる展開でしたが、真っ直ぐだけれど笑顔も能書の才能も奪われ、悲惨な境遇に自信を無くしていた淑葉が、書を好き過ぎという共通点から夕遼とも徐々に交流を深め、様々なものを取り戻していく展開は良かったです。繋がりのある登場人物を主人公に据え、シリーズとして複雑な気持ちになる後日談も語られたりしながら現在8巻まで刊行。

一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)

一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)

 

 大帝国・崑国へ小国の和国から貢物として後宮入りした皇女・理美。他国の姫という理由で後宮の妃嬪たちから嫌がらせを受ける彼女が、皇帝不敬罪の窮地に食物博士の朱西に救われる物語。和国では姉皇女においしいものを捧げる役割を担っていた理美が、朱西の協力も得つつその料理の腕前と持ち前の明るさを活かして、ピンチを乗り越えるべく奮闘する展開はなかなか良かったですね。朱西とのコンビで料理研究もなかなか面白そうですけど、皇帝もまた理美が気になるようで、そんな三角関係の行方が混沌としてゆくシリーズです、現在6巻まで刊行。

皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫)

皇華走狗伝 星無き少年と宿命の覇王 (宝島社文庫)

 

 中華平原に名を馳せる強国・禍国。十八年前、「覇王」の宿星を持って生まれた皇子・戰と、人扱いされず書庫に引き篭もる少年・真が出会ったことで運命が変わってゆく中華ファンタジー。兵部尚書である父の側室腹として生まれたがゆえに戸籍を持たなかった真が、皇子・戰と出会ったことで得た転機。生い立ちが影響してか多くを望まず怠惰になりがちな真が、それでも戰のため、訳ありの幼き妻・薔姫のために智謀を活かして自らの奔走し窮地を打開していく展開は、登場人物たちもよく動いてテンポも良くなかなか面白かったです。続巻も期待しています。

榮国物語 春華とりかえ抄 (富士見L文庫)

榮国物語 春華とりかえ抄 (富士見L文庫)

 

 榮の貧乏官僚の家に生まれた双子、金勘定にシビアな姉・春蘭と刺繍を得意とする立派な淑女に育った弟の春雷。誤った噂は皇帝の耳にも届き春蘭の後宮入りと春雷も科挙受験が決まり、追い詰められた二人が入れ替わることを決意する中華ファンタジー。双子を利用しようとする野心家・天海宝が出世を目論む理由。妃嬪を避けるため双子が近づいた公主が知ってしまった陰謀。春蘭と口が悪い海宝の毎度いがみ合う関係からの変化や、そんな彼の意外な一面と窮地に双子たちも協力しての大逆転劇はなかなか面白かったです。6月に3巻目が刊行予定。

桜花妃料理帖 (富士見L文庫)

桜花妃料理帖 (富士見L文庫)

 

 偶然、迷子の国王・紫苑に料理を振る舞った宮廷料理人見習いの玉葉がお礼に差し出された桜の枝を受け取ってしまい、陰謀蠢く宮廷で期間限定の妃を務めることになる中華風ファンタジー。王から王妃に渡され一年間枯れぬことで絆が試される桜花国に伝わる桜・玲紀桜の枝。それを知らぬまま受け取った玉葉の料理バカっぷりと、男心が分からない鈍感さは突き抜けていましたが、でもそんな前向きな彼女のひたむきさが周囲を感化して流れを変えてゆく展開はなかなか良かったです。いい感じにまとまってはいましたが、続巻あるならまた読んでみたいですね。

翠玉姫演義 ―宝珠の海の花嫁― (富士見L文庫)

翠玉姫演義 ―宝珠の海の花嫁― (富士見L文庫)

 

 商才を秘めながらも豪商の事件を起こした側室の娘と疎まれ、取引先の当主(80歳)に売られたも同然の政略結婚を決められた香月が、輿入れの最中に海賊に攫われてそこに居場所を見出してゆく物語。人生をすっかり諦めていた香月と訳ありの海賊業をしていた烈英らとの運命の出会い。海賊のアバウトな運営を見逃せずにうっかり口を出してしまい、才能を発揮できる居場所を与えられ烈英の目標を実現することに生きがいを見出していく展開はなかなか面白いですね。現在2巻まで刊行。

 香を作る香士が貴ばれる神瑞国。調香の腕を買われた下町に住む凛莉が、亡き父の汚名をそそぐため太子・煌翔の後宮に入り伝説の秘宝香調合を目指す物語。香士として秘宝香の調合に失敗し、事故死したとされる父の死後生活に苦労した凛莉と母。彼女に調合を教え生活を支えた木蓮の推挙で後宮に入る凛莉。人に優しく正義感も強い一方、うっかりな言動も多い凛莉はトラブルに巻き込まれがちな一面もありましたが、彼女の失われた記憶には意外な縁や陰謀にも繋がっていて、すれ違ったいくつかの想いがどのような結末を迎えるのか気になるシリーズです。6月に3巻目が刊行予定。

珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~ (コバルト文庫)

珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~ (コバルト文庫)

 

 医師の父親亡きあと女性は医師免許がとれず、診療することができなかった珠里。そんな彼女のもとに皇帝の使者が現れ、皇太后の体調不良の原因を見つけるよう命じられる中華後宮物語。ヤブ医者の妻にと請われ進退窮まっていた珠里に訪れた転機。皇帝を育てるのに専念するため実の娘・公主を手放した皇太后の病の原因。公主と皇太后、そして育ての親を敬愛する皇帝の何とも複雑な関係でしたけど、それをドタバタしながらもいい感じに修復してみせた珠里の奮闘ぶりが光っていました。現在2巻まで刊行。

 五龍大陸で不良中年道士に拾われて師事する少女ユギが、追われている幼い少女をかくまったことから日常が変わり始める中華風ファンタジー。口ではいろいろ言いながらも育ててくれた師匠を慕うユギ。このまま変わらず続けばいいと思っていた師匠と兄弟子左慈の三人で過ごす日常が大きく変わっていく中、何とか師匠を助けたいと願うユギの想いと、ユギが無事でいて欲しいと願う師匠のやりとりはとても切なかったです。まだ物語としても始まったばかりでルーインを追うイルラックなど様々な因縁もあり、ユギの今後が気になりますね。現在3巻まで刊行。

(P[わ]2-1)文学少年と書を喰う少女 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[わ]2-1)文学少年と書を喰う少女 (ポプラ文庫ピュアフル)

 

 明・正徳帝の時代。泰山にあった禄命簿『玉策』が持ち出され不思議な力を持つ少女となり、本と物語が何より好きな少年・呉承恩とともに過ごす彼女がその力目当てで様々な人々に狙われる中華ファンタジー。博覧強記な書痴の少年・呉承恩と出会った本を食べる生意気な少女・玉策。実在した登場人物も織り交ぜつつ描かれる二人が運命的な出会いを果たして、共に笑い時には喧嘩もして絆を育んでいったその短かくも濃密な冒険の日々はとても印象的で、常坤や白華といった脇役もよく効いていて良かったと思いました。

 

以上です。全体からすると中華風ファンタジーの戦記ものや冒険ものは絶対数が多くなくて後宮ものが中心ですね。また正直、特に少女小説レーベルについてはカバーしきれていないので、他にも面白い作品が結構あると思います。この中から興味を持った作品があったら是非手にとって読んでみてください。

2018年4月に読んだ新作おすすめ本

 4月の新作は「ファイフステル・サーガ」(ファンタジア文庫)と「常敗将軍、また敗れる」(HJ文庫)とファンタジー戦記で素晴らしい作品が2つもあってびっくりしました。「復讐の聖女」(角川スニーカー文庫)も今後が気になるところですが、それ以外だと白川紺子さんの後宮ファンタジー「後宮の烏」、インパクトがあった「閻魔堂沙羅の推理奇譚」(講談社タイガ)「コンビニなしでは生きられない」(講談社ノベルス)あたりですかね。最近のオレンジ文庫講談社タイガはさりげなくおもしろい作品があったりするので、今後も注目していきたいレーベルです。

 

 古の魔王が再臨する絶望の未来を変えるため「アレンヘムの聖女」セシリアと婚約し、傭兵団「狂嗤の団」団長となる道を選んだカレル。聖女の加護を受け死の未来を回避する英雄として奮闘するファンタジー戦記。二年後の魔王再臨を限られた人しか知らない中で、代替わりした王国や戦争を仕掛けてきた自治領相手にどう立ち回るのか。腕が立って商才があり現実的な手段を積み重ねるカレルだけでなく、ヒロインのセシリアや仲間たち、王国の登場人物たちもまた魅力的なキャラが多くて、ここから物語がどう動くのか続巻がとても楽しみな新シリーズですね。

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

 

 大国ザルツボルクの侵攻を受けたヘイミナル王国が存亡の危機を救う切り札として起用された傭兵・『常敗将軍』のドゥ・ダーカス。王弟や王の娘など様々な思惑が入り乱れる中、圧倒的不利な状況に立ち向かうファンタジー戦記。全幅の信頼を得られず思うように動けない中、要所要所の危機で最悪の状況を回避すべく動くダーカスの奮闘ぶりと、彼が見出そうとした決着の落とし所とその結末。テンポ良い展開に彼を見極めようとするティナや姫将軍・シャルナといった魅力的なキャラクターたちもよく動いて、これは続巻が楽しみな期待大の新シリーズです

復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)

復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)

 

 自分を陥れた者たちに復讐するため蘇ったジャンヌ・ダルク。そんな彼女に【真実を語らせる力】を見込まれた書記官のギョームが一緒に敗北へ導いた裏切り者を探す旅に出るダークファンタジー。不死身な一方でどこか抜けている食いしん坊なジャンヌと、従者オーヴィエットを交えた三人で旅する中で彼女を見極めようとするギョーム、明らかになってゆく復讐を誓うジャンヌの真の目的。恩人へ冷徹になりきれず苦境に陥る展開に彼女の複雑な心情が垣間見えますが、彼女を導いたものの正体も気になりますし、この旅の行方を最後まで読みたいと思いました。

15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)

15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)

 

 突然初対面の少女・君坂アリサに求婚され、うっかり承諾した大手出版取次に勤める火野坂賢一。実は中学生だったアリサとその実家を巡る騒動に巻き込まれてゆくラブコメディ。物語としてはやや構図を単純化し過ぎた感はありましたが、彼女と実家の書店をものにするためには手段を選ばない大手通販のゲスと対峙し、嫌がらせや中学生との婚約暴露という逆風に悩みながらも、これまで頑張ってきた仲間たちともに彼女や彼女が好きな書店を守ろうと奮闘し、愛の共同作戦wで劣勢を見事ひっくり返してみせた逆転劇はスカッとさせてくれるものがありました。

 坂井九太郎が所属するアニ研の部員は、世迷言を乱発する部長をリーダーに九太郎と部長の幼馴染の3人のみ。生徒会に目をつけられている部員不足の彼らが、アニメにまつわる事件に巻き込まれつつ部員を増やし、廃部危機を乗り越えるべく奮闘する青春小説。アニ研廃部を巡る会長や理事長の強引な手法には少しばかり残念な印象もありましたが、ベタな部長や幼馴染の関係、寡黙な美少女やマイペースな田中など主人公を振り回す分かりやすい魅力的なキャラを配しつつ、遭遇する事件に絡めてアニメの多様な側面を語ってゆく展開はなかなか面白かったです。

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)

 

 後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。

鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)

鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)

 

 高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいいライバル関係になりそうで、この続きをまた読みたいです

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)

 

 現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘・沙羅。彼女がそんな彼らに願いに応じてある持ちかける生と死を賭けた霊界推理ゲーム。登場人物たちが直面する突然の暗転と、沙羅によって提示される究極の選択。読みやすいテンポよく進む展開の中にヒントを織り交ぜつつ提示されてゆく謎解き。被害者たちに容赦のない現実を突きつけながら解決する可能性も提示して、彼らにしっかり考えさせてそれぞれのエピソードを良かったなと思える結末に導いてゆく沙羅の不思議な魅力が効いていましたね。続刊も決まっているようなので楽しみにしています。

そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)

そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)

 

 優等生の「着ぐるみ」をかぶって生活する高校生・宗也。帰宅の遅い幼馴染を捜しに出かけ事故に遭った宗也は断片的な幻覚に襲われるようになり、クラスで孤立する志緒と謎を追う青春ミステリ。不可思議な幻覚を共有した志緒と関わり、事件の真相を追ううちに少しずつ変わってゆく宗也の日常や心境。誰もが複雑な思いを抱える登場人物たちの心理描写は繊細で、幻覚を頼りに迫った事件の意外な真相は明示されないまま推測するに留まりましたが、それでもぐいぐい読ませる緊張感のある展開と、彼らが迎えた悪くない結末には充実した読後感がありました。

あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)

あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)

 

 自分の人生を交換するパーティーの招待状。その招待状を受け取った就職活動や婚活に失敗し続け、病気の母に苦労する山田尚子が、憧れていた国際的美人ピアニスト・桜庭響と人生を交換する物語。今の人生を生きる自分が不幸だと感じていた二人が、お試し期間の二週間付きの入れ替わりができると知って決断し、それぞれ経験してゆくもうひとつの人生。これまでと正反対の新鮮な生き方に刺激を受けたからこそ、見切りをつけようとしていたこれまでの人生で本当に大切だと感じていたことを自覚し、向き合っていこうとする展開はなかなか良かったですね。

 何か縁を切りたいものがあることが入居条件のシェアハウスえのき荘。その管理人に雇われた芽衣が、訳ありなシェアメイトと交友を深めてその卒業を見届ける物語。過剰なダイエットをするOLの理由、アニオタを隠すホスト、医者家系の期待を背負った4浪中の浪人生、そして口は悪いけれど優しい二代目大家。住人たちのエピソードから掘り下げられてゆくそれぞれの事情と大家とともに見届ける結末、そして管理人である彼女自身もまた実家の悪縁に縛られていて、彼らの心地よい距離感と優しさが心に沁みる物語でした。続刊あるならまた読みたいですね。

七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)

七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)

 

 人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀。ある日クラスメイト飯山直佳が落としたUSBメモリを拾い、中身の遺書を見てしまったことから奇妙な交流が始まる青春小説。彼女が進行性の記憶障害を患って自殺したがっていると知り、関わりたくなかったのに気になって仕方ないと自覚した秀が交わしたひとつの約束。秘密と約束を共有するようになった二人に訪れた転機と、やがて明らかになってゆく秀の苦い過去があって、その全てが繋がってゆく急展開には驚かされもしましたが、決着をつけた二人のその後のありようにはしっくり来るものがありました。

真実の10メートル手前 (創元推理文庫)
 

 表題作のほか高校生の心中事件「恋累心中」や「正義漢」、「名を刻む死」や「綱渡りの成功例」など、記者・太刀洗万智が遭遇する事件に隠された謎を解き明かしてゆく連作短編集。一見わかりやすい事件に見出した違和感から、鋭い着眼点と積み上げた取材で事件の核心に迫ってゆく万智。その真相にはやりきれないことも多かったですけど、それがそのまま読後感に繋がらなかったのは、真相を知ること向き合うことを恐れずに真摯にアプローチしていく万智の誠実さによるところが大きかったのかもしれないですね。「王とサーカス」の文庫化も楽しみです。

プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)

プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)

 

 聴覚過敏症に起因する苦い過去を抱え、就職活動に苦戦していた雛子。ようやく受かった何でもありのマーケティング会社「プランナーズ」で依頼を成功させるべく奮闘するお仕事小説。不運も重なった苦い過去の失敗からすっかり自信喪失していた雛子。けれど蔵元の立て直しに奔走したり、息子の代わりに旅行に連れて行ったり、なかなかうまく行かなくても諦めずに真摯に向き合う気持ちだったり、そんな彼女を支えてくれる先輩たちの協力で乗り越えてゆく展開は良かったですね。気になる関係もいくつかあったりで、続きがあるならまた読んでみたいです。

宮廷神官物語 一 (角川文庫)

宮廷神官物語 一 (角川文庫)

 

 聖なる白虎の伝説が残る麗虎国。美貌の宮廷神官・鶏冠が王命を受け、次の大神官を決めるために必要な慧眼を持つ奇蹟の少年・天青と出会う物語。屈強な青年・曹鉄や鶏冠と共に都を目指す過程で育まれてゆく絆といくつかの出会い、山奥育ちだった天青が知る世界の広さの一端と厳しい現実。そして否応なく巻き込まれてゆく次の大神官を巡る争い。物語としてはまだ序盤といった感じですが、やんちゃな天青や意外な一面も見せる美貌の神官の鶏冠など、登場人物たちがよく動いてテンポも良く、ここからどんな展開になってゆくのか今後に期待したいですね。

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)

 

 世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける人生を生きることになった坂知稀。人生を“積み重ね"られない彼女がこれからの「幸せ」の意味を問う物語。資本主義が行き詰まった近未来を舞台に、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間も不明な彼女にもたらされた、様々な立ち位置や思いを抱いた人たちとの出会いと別れ。繰り返される跳躍から始まる数多くのエピソードはやや断片的な印象もありましたが、そんな彼女に提示される未来の可能性とそれに対する回答は、積み重ねていった末に見出されたひとつの真理に思えました。

死なせない屋 (朝日文庫)

死なせない屋 (朝日文庫)

 

 医師免許国家試験で4浪決定した良太が、謎の美女・神楽からあらゆる手段で依頼人の命を守る『死なせない屋』のアルバイトにスカウトされ、その仕事を手伝うことになるミステリ。4浪決定で「ヨンロー」とか名付けてしまうネーミングセンスには苦笑いでしたが、拷問で死にかけた人を救ったり、都市伝説の殺し屋から狙われる人、自分の小説に登場する殺人鬼に狙われるミステリ作家からの依頼もあったり、著者さんらしい少し変わったテイストのミステリで面白かったです。続編出るならまた読んでみたいですけど主人公の名前変わるんでしょうか(苦笑)

([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)

([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)

 

 小学生の男の子の交通事故死。車で轢いてしまった美里と同乗していた夫・健二、その不倫相手・千恵子、男の子の母・吉乃のその後が描かれる連作短編集。どうすればよかったと思ってももう取り返しがつかない、その交通事故死によって一変してしまった状況と、それでも生きていかねばならない現実。置かれた立場の違いや温度差もあるそれぞれの人物描写と心情がきめ細やかに描かれていて、最後はやや唐突な感もありましたが、時間が経過して日常的には徐々に薄れていくことはあっても、ふとした時に思い出さずにいられないそんな描写が印象的でした。

居酒屋ぼったくり〈1〉 (アルファポリス文庫)

居酒屋ぼったくり〈1〉 (アルファポリス文庫)

 

 東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。亡くなった両親の跡を継いだ娘の美音と妹の馨が、旨い酒と美味しい料理を提供しつつ人々とのふれあいも大切にしてゆく連作短編小説。両親の味を守りつつも時には新しいチャレンジをしてたり、客の思いをかなえたり心配事を解消するべくいろいろ試行錯誤してみたり。妹の恋を応援したり拾ってきた子猫のために懸命になる美音のことはお客さんだって応援したくなりますよね。そんな真っ直ぐな美音と印象的な出会いを果たし、常連客になった何やら訳ありっぽい要さんとの今後もちょっと気になります。

コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)

コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)

 

 大学生活に馴染めず中退した19歳の白秋が、バイト先のコンビニに研修でやってきた女子高校生の黒葉深咲と次々と起きる謎を解く青春ミステリ。店から逃げ出さない強盗、繰り返しレジに並ぶ客、売り場から消えた少女といった事件が起きるたび、彼女の暴走に翻弄されつつ謎を解き明かす白秋。やや強引な謎もありましたがテンポの良い二人の謎解きは楽しくて、伏線を回収して見事に繋がってゆくほろ苦い背景と、それを乗り越えて迎える結末にはぐっと来るものがあって、何より著者さんの深いコンビニ愛が感じられた作品でした。次回作期待してます。 

拝啓、本が売れません

拝啓、本が売れません

 

 15 年に『松本清張賞』『小学館文庫小説賞』をダブル受賞してデビューした自称「平成生まれのゆとり作家」額賀澪さんが、担当編集といかに自分の本を売るのかあちこち取材していくお話。ダブル受賞デビューした作家さんのリアルな現在地と危機感が綴られていて、三木さんやさわや書店の松本さんといった様々な人を取材して引き出した話もまたなかなか面白くて、タイトルの印象ほどネガティブでもなく、前向きに何とかしようと頑張っている著者さんの姿勢に好感を持ちました。著者さんの作風好きなので今書いている新刊も楽しみに待っています。 

祈りのカルテ

祈りのカルテ

 

 初期臨床研修で様々な科を回る研修医・諏訪野良太が、行く先々で持ち前の観察力で患者たちが抱える秘密に迫り、その解き明かしてゆく医療ミステリ。大量服薬を繰り返し装う女性、自らの身体にメスを入れさせた老人、自ら火傷を負う女性、薬を棄てていた少女、そして世間を欺いて多くの患者を救おうとした女性。奇異な行動をする患者たちにはそうするだけ理由があって、思い悩む彼らの真意に気づいて寄り添いながらその最適解を提示する一方、思い悩んでいた自らの進路にも答えを出してゆく主人公のありようがとても良かったですね。シリーズ化期待。

青春のジョーカー

青春のジョーカー

 

 スクールカースト最底辺に所属し、上位女子グループの咲が気になっていた中三の基哉。閉塞感の漂う毎日を送っていた彼が、兄を通じて知り合った年上の二葉との出会いからジョーカーを得て少しずつ変わってゆく青春小説。いじられる存在で好きな子との会話すらままならない基哉の窮屈な生活と、ちょっとしたことで景色が全く違って見えたり、些細な噂で置かれる状況が一変することへの戸惑い。狭い世界の中での優越感やつまらない意地で失って大切な存在を自覚したり、甘酸っぱくほろ苦い青春と不器用な彼らの成長にはぐっと来るものがありました。 

青くて痛くて脆い

青くて痛くて脆い

 

 大学1年の春に秋好寿乃に出会い、二人で秘密結社「モアイ」を結成した楓。将来の夢を語り合った秋好はいなくなり、すっかり変わってしまったモアイを取り戻すべく楓が動き出す青春小説。周囲から浮いていて誰よりも純粋だった秋吉と、彼女の理想と情熱に感化されつつ徐々にすれ違うようになった楓。明らかになってゆく楓のモアイへの複雑な思いと不穏な構図、そしてやりきれない結末には流石に頭を抱えたくなりました。どこかで軌道修正できなかったのかいろいろ考えてしまいましたが、こういう自己陶酔的な青臭さや痛さもまた青春なんですよね…。

みとりし

みとりし

 

 派遣切りで職を失った薫が、幼い頃に一緒に事故に遭った陽太と偶然再会し、彼が社長を務めるペットの看取りをするペットシッターに再就職する物語。幼くして両親を失い伯母夫婦に育てられ、いい子を演じ続けるうちに自分が分からなくなってしまっていた薫。なかなか難しい人生を送ってきたことで、なかなか自分からアクションを起こせない不器用な彼女が、仕事を通じて飼い主やペット、そして関係者と関わっていくうちに様々な思いに触れ、陽太たちにも支えられながらきっかけを積み重ね、少しずつ変わってゆく展開はなかなか良かったと思いました。

4月に読んだ本 #読書メーターより

4月は娘の小学校入学で少し生活リズムが変わって、序盤全然読めない時期が続きましたが、結果的にはそれなりの冊数に。読みたい本が多過ぎてラノベ以外は周回遅れが常態化しつつありますが、新作も続刊も全体的に良かったなと思える本が多かったですね。

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:93
読んだページ数:24022
ナイス数:5592

華鬼3 (講談社文庫)華鬼3 (講談社文庫)感想
女子寮の外で神無をいきなり抱きしめキスしたと思ったら、突然高校から姿を消した華鬼。文化祭・ハロウィンとイベントが続く中で友人の桃子に振り回され、花嫁の座を狙う四季子に脅かされる第三弾。相変わらず何も言わない華鬼が何を考えているか分かりづらいですが、桃子の悪意ある行動や四季子に脅かされたりする中でも神無の想うところはブレなくて、粘り強く接するうちにいつの間にか華鬼の心境を変えさせているあたり意外と芯が強いですね(苦笑)殺意すら感じた四季子の結末はやや拍子抜けでしたが、ようやく少しは流れも変わるんでしょうか。
読了日:04月30日 著者:梨沙
銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド (講談社ラノベ文庫)銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド (講談社ラノベ文庫)感想
前巻で完結した物語の店舗特典として用意されたSSや同人・円盤特典に用意された短編、そしてこの物語が始まる前の少女たちの出会いを描いた前日譚、書き下ろしのクリスマス短編を加えた短編集。前半分は店舗特SSで描かれた少女たちの日常の風景で、深月のブラコンぶりやフィリルの読書家&ゲーマーっぷりに周囲が振り回されるのんびりした感じが良かったですね。そして前日譚におけるそれぞれの出会いだったり、こういう時はやはりフィリルが先導するんだなと思った一騒動も読めてらしさを楽しめました。完結は残念ですが次回作も期待してます。
読了日:04月30日 著者:ツカサ
コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)感想
大学生活に馴染めず中退した19歳の白秋が、バイト先のコンビニに研修でやってきた女子高校生の黒葉深咲と次々と起きる謎を解く青春ミステリ。店から逃げ出さない強盗、繰り返しレジに並ぶ客、売り場から消えた少女といった事件が起きるたび、彼女の暴走に翻弄されつつ謎を解き明かす白秋。やや強引な謎もありましたがテンポの良い二人の謎解きは楽しくて、伏線を回収して見事に繋がってゆくほろ苦い背景と、それを乗り越えて迎える結末にはぐっと来るものがあって、何より著者さんの深いコンビニ愛が感じられた作品でした。次回作期待してます。 
読了日:04月29日 著者:秋保 水菓
雪崎光は俺にラブコメを教えたい (角川スニーカー文庫)雪崎光は俺にラブコメを教えたい (角川スニーカー文庫)感想
バトル一辺倒で新人賞に投稿しても万年一次選考落ちだった漫画家志望の高校生・千秋。そんな彼が実は売れっ子漫画家だった同級生の美少女・雪崎光のアシスタントを始める青春ラブコメディ。作品でもリアルでもラブコメに疎かった千秋が、光に呆れられながらも実体験したりで少しずつ変わっていったり、ブラコン気味で一足先に漫画家デビューした妹・萌音に振り回される展開で、ラブコメとしてはチャンスはあるのに詰めが甘い展開がもどかしかったですが、それでも光や妹の苦境に寄り添って支え、成長していく千秋の姿には心に響くものがありました。
読了日:04月28日 著者:和見俊樹
復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)感想
自分を陥れた者たちに復讐するため蘇ったジャンヌ・ダルク。そんな彼女に【真実を語らせる力】を見込まれた書記官のギョームが一緒に敗北へ導いた裏切り者を探す旅に出るダークファンタジー。不死身な一方でどこか抜けている食いしん坊なジャンヌと、従者オーヴィエットを交えた三人で旅する中で彼女を見極めようとするギョーム、明らかになってゆく復讐を誓うジャンヌの真の目的。恩人へ冷徹になりきれず苦境に陥る展開に彼女の複雑な心情が垣間見えますが、彼女を導いたものの正体も気になりますし、この旅の行方を最後まで読みたいと思いました。
読了日:04月28日 著者:高橋 祐一
([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)([す]1-1)一瞬の雲の切れ間に (ポプラ文庫)感想
小学生の男の子の交通事故死。車で轢いてしまった美里と同乗していた夫・健二、その不倫相手・千恵子、男の子の母・吉乃のその後が描かれる連作短編集。どうすればよかったと思ってももう取り返しがつかない、その交通事故死によって一変してしまった状況と、それでも生きていかねばならない現実。置かれた立場の違いや温度差もあるそれぞれの人物描写と心情がきめ細やかに描かれていて、最後はやや唐突な感もありましたが、時間が経過して日常的には徐々に薄れていくことはあっても、ふとした時に思い出さずにいられないそんな描写が印象的でした。
読了日:04月27日 著者:砂田 麻美
(P[あ]6-4)幸せを呼ぶ物語、つづります。: 水沢文具店 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[あ]6-4)幸せを呼ぶ物語、つづります。: 水沢文具店 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
教員試験を控えた栞と付き合い始め、想いを伝えあいゆっくりと変化していく二人の関係。一方、龍臣は商店街の秋祭りで出し物をすることになる第二弾。引きこもりの弟を案じる姉やおばあちゃん遺した言葉に悩む少女、気になる子のために悩む少年や、自分のありように悩む薬局局長など、龍臣が書く物語の噂を聞きつけて訪れる人たちのために寄り添い、ひとつひとつ向き合おうとするその姿は真摯で優しさに溢れていましたね。もどかしい不器用な二人の関係にもお互いを思う気持ちが感じられて、そんな彼らの今後をまた続巻で読んでみたいと思いました。
読了日:04月27日 著者:安澄 加奈
最強魔法師の隠遁計画 6 (HJ文庫)最強魔法師の隠遁計画 6 (HJ文庫)感想
親善魔法大会の本戦が進行する中で人知れず迫る人類存亡の危機。元首らが災厄の再来に怯える状況でアルスとレティが任務に赴くことになり、新たな闇も蠢き始める第六弾。バルメスが隠蔽していた高レートの魔物討伐失敗。後手に回る状況で犯罪組織・クラマも介入する困難な状況。大会の方はテスフィアとアリスの親友同士の対決、そしてロキとフィリリックの因縁の対決と死力を尽くした激闘にその成長を感じましたが、一方でクラマ幹部・イリイスには何やらアルファと因縁がありそうで、アルスとの邂逅で物語もまた大きく動きそうですね。続巻に期待。
読了日:04月26日 著者:イズシロ
常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)感想
大国ザルツボルクの侵攻を受けたヘイミナル王国が存亡の危機を救う切り札として起用された傭兵・『常敗将軍』のドゥ・ダーカス。王弟や王の娘など様々な思惑が入り乱れる中、圧倒的不利な状況に立ち向かうファンタジー戦記。全幅の信頼を得られず思うように動けない中、要所要所の危機で最悪の状況を回避すべく動くダーカスの奮闘ぶりと、彼が見出そうとした決着の落とし所とその結末。テンポ良い展開に彼を見極めようとするティナや姫将軍・シャルナといった魅力的なキャラクターたちもよく動いて、これは続巻が楽しみな期待大の新シリーズですね。
読了日:04月26日 著者:北条新九郎
青くて痛くて脆い青くて痛くて脆い感想
大学1年の春に秋好寿乃に出会い、二人で秘密結社「モアイ」を結成した楓。将来の夢を語り合った秋好はいなくなり、すっかり変わってしまったモアイを取り戻すべく楓が動き出す青春小説。周囲から浮いていて誰よりも純粋だった秋吉と、彼女の理想と情熱に感化されつつ徐々にすれ違うようになった楓。明らかになってゆく楓のモアイへの複雑な思いと不穏な構図、そしてやりきれない結末には流石に頭を抱えたくなりました。どこかで軌道修正できなかったのかいろいろ考えてしまいましたが、こういう自己陶酔的な青臭さや痛さもまた青春なんですよね…。
読了日:04月26日 著者:住野 よる
商人令嬢と猫かぶり王子 結婚? 興味ありません (コバルト文庫)商人令嬢と猫かぶり王子 結婚? 興味ありません (コバルト文庫)感想
貴族の生まれで有能な商人でもある令嬢ミレイア。許嫁に婚約を破棄された彼女が街の市場で第二王子イグナシオに出会う物語。許嫁に婚約破棄されてもめげないミレイアがイグナシオと交わした期間限定の婚約。真っ直ぐで商才に長けたミレイアと腹黒猫かぶり王子のコンビが隣国の陰謀を探るうちに、何となくミレイアが絆される感じになりましたが、腹黒王子らしいそつのない詰めとそれでもいいコンビだなと思える二人が迎えた結末はなかなか良かったですね。うっかり既刊をすっ飛ばして読んでしまいましたが、機会があったら読んでみたいと思います。 
読了日:04月25日 著者:秋杜 フユ
京都伏見のあやかし甘味帖 花散る、恋散る、鬼探し (宝島社文庫)京都伏見のあやかし甘味帖 花散る、恋散る、鬼探し (宝島社文庫)感想
人生計画が木っ端微塵な状況で京都の地に降り立ち早一ヶ月。東京とは違うゆるやかな時間の中で自分を取り戻しかけていたれんげにまたもや子狐がらみの妖しい難問が。そのうえ元彼も現れる第二弾。一ヶ月経って少しは冷静になったところで元カレと突然の再会。直接の原因はあれでしたけど振り返ればお互い後ろめたい気持ちもあって、あやかし絡みの事件も絡んでいろいろ面倒なことになっちゃいましたが、れんげがケジメをつけて前に進むためには必要でしたかね。幕間に紹介される甘味・お酒エピソードは相変わらず美味しそうで続巻の新展開に期待。 
読了日:04月25日 著者:柏てん
真実の10メートル手前 (創元推理文庫)真実の10メートル手前 (創元推理文庫)感想
表題作のほか高校生の心中事件「恋累心中」や「正義漢」、「名を刻む死」や「綱渡りの成功例」など、記者・太刀洗万智が遭遇する事件に隠された謎を解き明かしてゆく連作短編集。一見わかりやすい事件に見出した違和感から、鋭い着眼点と積み上げた取材で事件の核心に迫ってゆく万智。その真相にはやりきれないことも多かったですけど、それがそのまま読後感に繋がらなかったのは、真相を知ること向き合うことを恐れずに真摯にアプローチしていく万智の誠実さによるところが大きかったのかもしれないですね。「王とサーカス」の文庫化も楽しみです。
読了日:04月24日 著者:米澤 穂信
七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)七月のテロメアが尽きるまで (メディアワークス文庫)感想
人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀。ある日クラスメイト飯山直佳が落としたUSBメモリを拾い、中身の遺書を見てしまったことから奇妙な交流が始まる青春小説。彼女が進行性の記憶障害を患って自殺したがっていると知り、関わりたくなかったのに気になって仕方ないと自覚した秀が交わしたひとつの約束。秘密と約束を共有するようになった二人に訪れた転機と、やがて明らかになってゆく秀の苦い過去があって、その全てが繋がってゆく急展開には驚かされもしましたが、決着をつけた二人のその後のありようにはしっくり来るものがありました。
読了日:04月24日 著者:天沢 夏月
バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)バスカビル家の狗 1 (オーバーラップノベルス)感想
代々バスカビル王家に仕えてきた名門フォーマルハウト侯爵家。その次男で将来を有望視されながらもニートになっていたワイスが、親の七光りで第二王女アメリアの近衛騎士に任命され彼女に仕える物語。ハイスペックイケメンが何度も王女の危機を救えば惚れられるのも当然なんですが、本人は自己評価が低いコミュ障(問答集でごまかしているw)だったりで、現時点ではなかなか甘い雰囲気にはなりにくいですね(苦笑)兄や親友も王女の姉妹とそれぞれフラグが立っていたりで、その辺の恋愛模様が熟成されていけば面白くなりそうな予感も。続巻に期待。
読了日:04月23日 著者:糸宮むぎ
キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~ (メディアワークス文庫)キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~ (メディアワークス文庫)感想
嗄井戸の部屋からスナッフフィルムを見つけた奈緒崎。束が抱く複雑な想いも知って、過去の事件を解決すべくフィルムアーキビストの菱崖小鳩に協力を依頼する第三弾。奈緒崎の元カノが遭遇した消失事件を巡る想い、殺人事件の容疑者に仕立て上げられた奈緒崎、そして嗄井戸が引きこもるきっかけとなった事件の真相。何ともやりきれない事件でしたけど、作中で語られる薀蓄と嗄井戸の味方でいることを選んだ奈緒崎の奮闘と友情、現実を超える虚構という形で映画の可能性を提示してみせた結末には心に響くものがありました。次回作も期待しています。 
読了日:04月23日 著者:斜線堂 有紀
憧れの作家は人間じゃありませんでした3 (角川文庫)憧れの作家は人間じゃありませんでした3 (角川文庫)感想
ついに長編の執筆を始めた御崎禅。しかし人外の存在が絡んだ事件が相変わらず持ち込まれる中、御崎と因縁がある人狼が現れて新作完成目前のあさひ達に危険が迫る第三弾。小人の借り暮らしな生き方に対する少女の苦悩と、預言者菫さんが引き受けた異常者との対峙、そして御崎を探る人狼の存在。香苗とあさひの間で育まれてゆく友情や、変わりそうで変わらないあさひと御崎の関係とか、危険な事件に巻き込まれて発揮するあさひの編集者魂とか、いろいろその関係が難しいことを痛感しつつも、もうしばらく彼らの物語を見守りたいなと改めて思いました。
読了日:04月23日 著者:澤村 御影
ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」 (MF文庫J)ぼくたちのリメイク4 「いってらっしゃい」 (MF文庫J)感想
貫之が大学を去ったことで、自分の行動が誰かの進むべき道を捻じ曲げたと痛感した橋場恭也。そして今度は十一年の時を飛び、再び元の年齢へと強制的に戻される第四弾。作り直した人生ではシノアキが娘とともに傍らにあって、同僚の河瀬川や仲間たちと毎日のように起きるトラブルを解決する日々。それなりに充実した日々と感じる一方で過酷な現実にも直面する中、河瀬川の言葉には救われるものがありましたね。積み重ね成し遂げたことがその後の人生の変化に繋がるようで、心境が変化した彼が再び過去に戻ってどう模索していくのか続巻に期待ですね。
読了日:04月22日 著者:木緒 なち
エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 8 (MF文庫J)エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 8 (MF文庫J)感想
人類の悲願だったマリス群生地攻略に成功したエイルンコード。そんな彼らのにヘキサの刻印を除去し人に戻す研究を進めるスイスから研究終了までの護衛という極秘依頼が届く第八弾。警護に向かったスマトラで束の間の休息を満喫するエルインたち。その研究を禁忌として阻止すべく総勢7体のネイバーを率いて強襲するサクラノツルギ。互いの熱い想いがぶつかる激闘でしたけど、その先にあるのがまた上げて落とすのが大好きなんですか?と突っ込みたくなるような絶望と逆境で、それでも彼らはまた跳ね返してくれるんですよね…ということで続刊に期待。
読了日:04月21日 著者:東 龍乃助
15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)15歳でも俺の嫁! 交際0日結婚から始める書店戦争 (MF文庫J)感想
突然初対面の少女・君坂アリサに求婚され、うっかり承諾した大手出版取次に勤める火野坂賢一。実は中学生だったアリサとその実家を巡る騒動に巻き込まれてゆくラブコメディ。物語としてはやや構図を単純化し過ぎた感はありましたが、彼女と実家の書店をものにするためには手段を選ばない大手通販のゲスと対峙し、嫌がらせや中学生との婚約暴露という逆風に悩みながらも、これまで頑張ってきた仲間たちともに彼女や彼女が好きな書店を守ろうと奮闘し、愛の共同作戦wで劣勢を見事ひっくり返してみせた逆転劇はスカッとさせてくれるものがありました。
読了日:04月21日 著者:庵田 定夏
ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団 (ファンタジア文庫)ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団 (ファンタジア文庫)感想
古の魔王が再臨する絶望の未来を変えるため「アレンヘムの聖女」セシリアと婚約し、傭兵団「狂嗤の団」団長となる道を選んだカレル。聖女の加護を受け死の未来を回避する英雄として奮闘するファンタジー戦記。二年後の魔王再臨を限られた人しか知らない中で、代替わりした王国や戦争を仕掛けてきた自治領相手にどう立ち回るのか。腕が立って商才があり現実的な手段を積み重ねるカレルだけでなく、ヒロインのセシリアや仲間たち、王国の登場人物たちもまた魅力的なキャラが多くて、ここから物語がどう動くのか続巻がとても楽しみな新シリーズですね。
読了日:04月20日 著者:師走 トオル
キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦4 (ファンタジア文庫)キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦4 (ファンタジア文庫)感想
危険任務の手当として休暇を与えられ、リゾートへやってきたイスカたち。しかしそこでかつてイスカが救った魔女、皇庁第3王女シスベルと再会する第四弾。魔女化した隊長の今後も気になるところですが、イスカに接触するシスベルを取り巻く複雑な現状と暗躍する姉・イリーティアの存在、妹を追って砂漠のオアシスに向かうアリス。トラブルに巻き込まれながらも邂逅を果たしたイスカと姉妹でしたけど、それぞれの因縁が絡まり過ぎてイスカを巡る姉妹争奪戦が勃発しそうな予感も?これは(イスカは大変そうだけどw)次巻が楽しみになってきましたね。
読了日:04月20日 著者:細音 啓
鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のつれづれ (集英社オレンジ文庫)感想
高校を卒業し「つつじ和菓子本舗」へ住み込み、専門学校へ通いつつ和菓子職人の修業をスタートさせた淀川多喜次。恋する男子の和菓子な日々が描かれる『鍵屋甘味処改』スピンオフ小説。看板娘・祐雨子にプロポーズするも保留され、修行でも和菓子作りに携われない多喜次のもどかしい日々。お隣のその後の様子も垣間見えたり、一歩先ゆく同年代・柴倉の出現に危機感を募らせながら、周囲で起きる和菓子絡みの事件に体当たりで挑む多喜次の頑張りを祐雨子さんも見てくれていますね。柴倉もいいライバル関係になりそうで、この続きをまた読みたいです。
読了日:04月19日 著者:梨沙
後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)後宮の烏 (集英社オレンジ文庫)感想
後宮奥深くにいる夜伽をしない不思議な力を持つ特別な妃「烏妃」。翡翠の耳飾りに取り憑いた女の幽霊の正体を探るべく訪れた皇帝・高峻が、その不思議な力を目の当たりにする中華風ファンタジー。辛い過去を抱え烏妃として孤独に生きようとする寿雪と、少年時代に生母を皇太后に殺され辛酸を舐めた高峻。後宮で起きる幽鬼絡みの事件を解き明かす過程で二人が関わる機会は増えていって、不器用な彼らの距離感や周囲との関係の変化はとても微笑ましくて、秘密を共有した二人がこれからどう変わってゆくのか、この続きを是非読んでみたいと思いました。
読了日:04月19日 著者:白川 紺子
青春のジョーカー青春のジョーカー感想
スクールカースト最底辺に所属し、上位女子グループの咲が気になっていた中三の基哉。閉塞感の漂う毎日を送っていた彼が、兄を通じて知り合った年上の二葉との出会いからジョーカーを得て少しずつ変わってゆく青春小説。いじられる存在で好きな子との会話すらままならない基哉の窮屈な生活と、ちょっとしたことで景色が全く違って見えたり、些細な噂で置かれる状況が一変することへの戸惑い。狭い世界の中での優越感やつまらない意地で失って大切な存在を自覚したり、甘酸っぱくほろ苦い青春と不器用な彼らの成長にはぐっと来るものがありました。 
読了日:04月19日 著者:奥田 亜希子
祈りのカルテ祈りのカルテ感想
初期臨床研修で様々な科を回る研修医・諏訪野良太が、行く先々で持ち前の観察力で患者たちが抱える秘密に迫り、その解き明かしてゆく医療ミステリ。大量服薬を繰り返し装う女性、自らの身体にメスを入れさせた老人、自ら火傷を負う女性、薬を棄てていた少女、そして世間を欺いて多くの患者を救おうとした女性。奇異な行動をする患者たちにはそうするだけ理由があって、思い悩む彼らの真意に気づいて寄り添いながらその最適解を提示する一方、思い悩んでいた自らの進路にも答えを出してゆく主人公のありようがとても良かったですね。シリーズ化期待。
読了日:04月19日 著者:知念 実希人
桜花妃料理帖 (富士見L文庫)桜花妃料理帖 (富士見L文庫)感想
偶然、迷子の国王・紫苑に料理を振る舞った宮廷料理人見習いの玉葉がお礼に差し出された桜の枝を受け取ってしまい、陰謀蠢く宮廷で期間限定の妃を務めることになる中華風ファンタジー。王から王妃に渡され一年間枯れぬことで絆が試される桜花国に伝わる桜・玲紀桜の枝。それを知らぬまま受け取った玉葉の料理バカっぷりと、男心が分からない鈍感さは突き抜けていましたが、でもそんな前向きな彼女のひたむきさが周囲を感化して流れを変えてゆく展開はなかなか良かったです。いい感じにまとまってはいましたが、続巻あるならまた読んでみたいですね。
読了日:04月18日 著者:佐藤 三
マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)感想
世にも不思議な病「量子病」に冒され、世界中を跳躍し続ける人生を生きることになった坂知稀。人生を“積み重ね"られない彼女がこれからの「幸せ」の意味を問う物語。資本主義が行き詰まった近未来を舞台に、一瞬後の居場所すら予測できず、行き先も滞在期間も不明な彼女にもたらされた、様々な立ち位置や思いを抱いた人たちとの出会いと別れ。繰り返される跳躍から始まる数多くのエピソードはやや断片的な印象もありましたが、そんな彼女に提示される未来の可能性とそれに対する回答は、積み重ねていった末に見出されたひとつの真理に思えました。
読了日:04月18日 著者:王城 夕紀
R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTII (新潮文庫nex)R.E.D. 警察庁特殊防犯対策官室 ACTII (新潮文庫nex)感想
新首都郊外の難民地区で多発する若い女性の行方不明事件。特殊捜査班「R.E.D.」が、困窮した少女たちを餌食にする暴力団と巨大外資企業、さらには児童福祉行政が一体となった国際人身売買ネットワークの影を捉える第二弾。相変わらずアクの強い世界観で躍動するサッチョウローズの少女たちに加えて希海もレギュラー化ですか。彼女らが巨悪を追い詰めてゆく分かりやすくテンポの良い展開は健在で、ただ彼女たちも組織に属する人間としていろいろなしがらみも出てくる中で決着は次巻に持ち越し。続巻では舞台も変わりそうで楽しみにしています。
読了日:04月17日 著者:古野 まほろ
お迎えに上がりました。 2 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)お迎えに上がりました。 2 国土交通省国土政策局幽冥推進課 (集英社文庫)感想
幽冥推進課の地縛霊を説得して成仏させるという業務にも慣れてきた夕霞。地縛霊の噂が観光名所の集客の妨げになっているので何とかしてほしいと依頼を受ける第二弾。相変わらず夕霞は臨時雇いで国民年金未納問題にも悩まされたりもしますが、奇想天外な解決方法を提示したかと思えば休日返上で地縛霊に寄り添って辛い結末に直面したり、神様と素直になれない娘の切ない関係解消のために奔走したり、まだまだ未熟で試行錯誤も多い彼女でしたけど少しずつ成長していますね。しかしそれにしても気になるエピローグで火車先輩は…続巻が気になります。 
読了日:04月16日 著者:竹林 七草
閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)閻魔堂沙羅の推理奇譚 (講談社タイガ)感想
現世に未練を残した人間の前に現われる閻魔大王の娘・沙羅。彼女がそんな彼らに願いに応じてある持ちかける生と死を賭けた霊界推理ゲーム。登場人物たちが直面する突然の暗転と、沙羅によって提示される究極の選択。読みやすいテンポよく進む展開の中にヒントを織り交ぜつつ提示されてゆく謎解き。被害者たちに容赦のない現実を突きつけながら解決する可能性も提示して、彼らにしっかり考えさせてそれぞれのエピソードを良かったなと思える結末に導いてゆく沙羅の不思議な魅力が効いていましたね。続刊も決まっているようなので楽しみにしています。
読了日:04月16日 著者:木元 哉多
プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)プランナーズ! あなたのお悩み解決します (角川文庫)感想
聴覚過敏症に起因する苦い過去を抱え、就職活動に苦戦していた雛子。ようやく受かった何でもありのマーケティング会社「プランナーズ」で依頼を成功させるべく奮闘するお仕事小説。不運も重なった苦い過去の失敗からすっかり自信喪失していた雛子。けれど蔵元の立て直しに奔走したり、息子の代わりに旅行に連れて行ったり、なかなかうまく行かなくても諦めずに真摯に向き合う気持ちだったり、そんな彼女を支えてくれる先輩たちの協力で乗り越えてゆく展開は良かったですね。気になる関係もいくつかあったりで、続きがあるならまた読んでみたいです。
読了日:04月16日 著者:梨沙
死なせない屋 (朝日文庫)死なせない屋 (朝日文庫)感想
医師免許国家試験で4浪決定した良太が、謎の美女・神楽からあらゆる手段で依頼人の命を守る『死なせない屋』のアルバイトにスカウトされ、その仕事を手伝うことになるミステリ。4浪決定で「ヨンロー」とか名付けてしまうネーミングセンスには苦笑いでしたが、拷問で死にかけた人を救ったり、都市伝説の殺し屋から狙われる人、自分の小説に登場する殺人鬼に狙われるミステリ作家からの依頼もあったり、著者さんらしい少し変わったテイストのミステリで面白かったです。続編出るならまた読んでみたいですけど主人公の名前変わるんでしょうか(苦笑)
読了日:04月15日 著者:七尾与史
なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?3 神々の道 (MF文庫J)なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?3 神々の道 (MF文庫J)感想
イオ連邦にひと時の休戦をもたらして、聖霊族が支配するユールン連邦への案内役としてエルフの巫女レーレーンを加えた一行が、導かれるようにオルビア預言神の祠へと辿り着く第三弾。そんなにラブコメっぽい展開ではない感じながらも、いつの間にか増えていくヒロインたちとカイの距離感も気になるところですが、シドに予言を与えた神の存在に一歩先ゆくラースイーエの意味深な一言、そして新たにシドの名前を持つ者たちの存在と、何かがひとつ明らかになるたびに新たな謎がどんどん増えていって、これからどうなるのか楽しみですね。続巻に期待。 
読了日:04月14日 著者:細音 啓
拝啓、本が売れません拝啓、本が売れません感想
15 年に『松本清張賞』『小学館文庫小説賞』をダブル受賞してデビューした自称「平成生まれのゆとり作家」額賀澪さんが、担当編集といかに自分の本を売るのかあちこち取材していくお話。ダブル受賞デビューした作家さんのリアルな現在地と危機感が綴られていて、三木さんやさわや書店の松本さんといった様々な人を取材して引き出した話もまたなかなか面白くて、タイトルの印象ほどネガティブでもなく、前向きに何とかしようと頑張っている著者さんの姿勢に好感を持ちました。著者さんの作風好きなので今書いている新刊も楽しみに待っています。 
読了日:04月13日 著者:額賀 澪
あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)あなたの人生、交換します The Life Trade (集英社オレンジ文庫)感想
自分の人生を交換するパーティーの招待状。その招待状を受け取った就職活動や婚活に失敗し続け、病気の母に苦労する山田尚子が、憧れていた国際的美人ピアニスト・桜庭響と人生を交換する物語。今の人生を生きる自分が不幸だと感じていた二人が、お試し期間の二週間付きの入れ替わりができると知って決断し、それぞれ経験してゆくもうひとつの人生。これまでと正反対の新鮮な生き方に刺激を受けたからこそ、見切りをつけようとしていたこれまでの人生で本当に大切だと感じていたことを自覚し、向き合っていこうとする展開はなかなか良かったですね。
読了日:04月13日 著者:一原 みう
魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate 2 (GA文庫)魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate 2 (GA文庫)感想
次なる魔人の少女リーモットを救うために新大陸へと渡ったウィズとアローン。しかしアローンが謎の病に倒れ、ウィズが一人でリーモットに会いに行く第二弾。辛い現実に人が信じられなくなりかけていたリーモットと出会い、それでも諦めずにアローンを救ってくれるよう依頼するウィズ。彼らは魔人に選ばれた少女たちを救いたいだけなのに、それを受け入れられない英雄パーティーとの対峙は暗い影を落とすような悲劇にしか繋がらなくて、何が正しく間違っているのか分からなくなってきますが、いつかまたわかり合える日が来るといいんですけどね…。 
読了日:04月13日 著者:西乃 リョウ
我が驍勇にふるえよ天地7 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)我が驍勇にふるえよ天地7 ~アレクシス帝国興隆記~ (GA文庫)感想
アドモフ帝都を目指し進軍を続けるレオナート。しかし東より草原最強の騎馬軍団クンタイト・ダラウチ氏族が襲来し、さらに若き皇帝ウィランがただひとり友と呼ぶ男、眠れる獅子ダノールが国家防衛のために立ちはだかる第七弾。騎馬軍団との対決は思わぬ結果に繋がりましたけど、何より今回は帝国軍最強のダノールとの激闘でしたね。帝国軍的にはどうもタイミングが悪かったというか、相手が悪かったというべきか迷いますが、それぞれのひとつの結末を提示したエピローグにはぐっと来るものがありました。ここからどう展開するのか続巻に期待ですね。
読了日:04月12日 著者:あわむら 赤光
かくりよの宿飯 八 あやかしお宿が町おこしします。 (富士見L文庫)かくりよの宿飯 八 あやかしお宿が町おこしします。 (富士見L文庫)感想
白夜の語った大旦那様の過去を胸に妖都から脱出し、北の地を治める八葉のもとへ向かうた葵。美しくも閉ざされた雪国で春日と再会した彼女が、天神屋で培ったおもてなし力で雪国の復興を託される第八弾。跡目争いの影響による治安の悪化で打撃を受けた北の地の観光業。立て直そうと奔走するキヨを助けたいのにすれ違う嫁の春日。そんな切ない状況をお節介で危なっかしい葵の奔走と、美味しい料理が切り拓いていく展開は相変わらずですね(苦笑)着実に仲間を増やしていく葵が垣間見せた大旦那様への想い。早く二人で笑い合える日が来るといいですね。
読了日:04月12日 著者:友麻碧
続・京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)続・京都烏丸御池のお祓い本舗 (双葉文庫)感想
1月の仕事始めの日『城之内相談事務所』に前世を知りたいという少女・梓が現れ、それを探るうちにバイトの海斗の前世にも繋がってゆく第二弾。思ってもみなかったいきなりの急展開にええっ?と驚きましたが、今回のメインは依頼に絡めて明らかになってゆく海斗の前世の因縁と、導かれるようにそれと対峙することになる海斗。相変わらず規格外の不思議なパワーを炸裂させるトモに笑って、狭い京都ならではのゲスト出演にはおおっとも思いましたけど、何より驚かされたのは海斗の過去の因縁の真相でした(苦笑)また続刊読めることを期待しています。
読了日:04月11日 著者:望月 麻衣
ぼくたちの青春は覇権を取れない。 ‐昇陽高校アニメーション研究部・活動録‐ (電撃文庫)ぼくたちの青春は覇権を取れない。 ‐昇陽高校アニメーション研究部・活動録‐ (電撃文庫)感想
坂井九太郎が所属するアニ研の部員は、世迷言を乱発する部長をリーダーに九太郎と部長の幼馴染の3人のみ。生徒会に目をつけられている部員不足の彼らが、アニメにまつわる事件に巻き込まれつつ部員を増やし、廃部危機を乗り越えるべく奮闘する青春小説。アニ研廃部を巡る会長や理事長の強引な手法には少しばかり残念な印象もありましたが、ベタな部長や幼馴染の関係、寡黙な美少女やマイペースな田中など主人公を振り回す分かりやすい魅力的なキャラを配しつつ、遭遇する事件に絡めてアニメの多様な側面を語ってゆく展開はなかなか面白かったです。
読了日:04月11日 著者:有象利路
滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉 (電撃文庫)滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉 (電撃文庫)感想
天子の襲来からスラガヤを護り抜いた末、力を使い果たした二人。貪食の君は深き眠りに就き、取り残されたクロアは朽ち滅びた地下街エルラムで謎の集団に囚われてしまう下巻。貪欲の君の代わりに目覚めたガファルによって明かされる過去の記憶と、人と大獣を巡る負の連鎖。それを断ち切ろうと立ち上がるクロアといくつもの想いが交錯する展開は、著者の思い描く異質な世界を表現する難しさも感じましたが、一方で弱さを乗り越えたそれぞれの想いの積み重ねがもたらした力と、それが幸せな結末へと繋がってゆく丁寧な描写は心に響くものがありました。
読了日:04月11日 著者:新 八角
青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫)感想
高校二年生の3学期を迎える咲太。麻衣と高校で一緒にいられる学生生活も残り僅かとなったなか、咲太の妹・花楓が誰にも明かしたことのない胸の内を打ち明ける第二部開幕。引きこもり状態から保健室登校をするようになっていた花楓が密かに抱えていた想い。あえて極めて難しい選択をする彼女の背中を押す咲太。周囲の人たちの力も借りて花楓の揺れる思いと向き合いながら、いろいろなことに少しずつ方向性が見えて来たなあとわりと穏やかな気持ちで読んでいたので、終わっていなかった思春期症候群にはっとさせられました。続刊早く読みたいですね。
読了日:04月10日 著者:鴨志田 一
ストライク・ザ・ブラッド APPEND2 彩昂祭の昼と夜 (電撃文庫)ストライク・ザ・ブラッド APPEND2 彩昂祭の昼と夜 (電撃文庫)感想
彩海学園における秋の一大イベント・彩昴祭。古城のクラスが企画した仮想現実大規模多人数お化け屋敷の暴走により、学園内には様々な異変が起こり始める番外編第二弾。特典小説を加筆修正した学園祭にまつわる連作短編集ということでしたけど、モグワイの暴走で大混乱の学園祭でその存在感が光っていた腹黒ラ・フォリアとその護衛・紗矢華だけでなく、深森やヴァトラー、リディアーヌ、仙都木優麻まで登場するそれぞれのらしさ全開だったドタバタ劇は楽しかったです。那月ちゃんの過去話もまた興味深かったですね。本編の続巻も楽しみにしています。
読了日:04月10日 著者:三雲 岳斗
魔法科高校の劣等生(25) エスケープ編<下> (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(25) エスケープ編<下> (電撃文庫)感想
戦略級魔法に襲われた達也たちを守る代償に生命の危機に立たされる水波。自らの望みのため光宣はパラサイトという禁断の力を求め、同じ頃スターズではリーナ暗殺を目的とした叛乱が勃発する第二十五弾。達也が計画の標的にされた当初からだいぶ思わぬ方向に向かいましたけど、最初は大物っぽかった敵が達也相手だとやっぱり小物じみた扱いになってしまって(苦笑)、戦略級魔法師なのに同僚に妬まれていたリーナ合流と、水波に妄執する光宣との対立でクライマックスに向かうんですかね。ここからどう決着をつけるのか続巻の展開に期待ということで。
読了日:04月10日 著者:佐島 勤
本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員II」本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第四部「貴族院の自称図書委員II」感想
図書館に通いたい一心で勉強に試験に大奮闘を続けるローゼマインと、魔術具のシュバルツ達を巡って大領地ダンケルフェルガーの学生と衝突が勃発。他の領主候補生から秘密の相談を受けたり、王子の恋の相談にまで乗ってしまう第四部第二弾。何というかひたすら本読みたいがゆえに邁進して、派閥とか領地の関係を無視すれば別にそんなにおかしなこと言ってない気もしないでもないけど、でも周囲からしたらこんなこと続いたら頭抱えて呼び戻したくなる事態ではありますね(苦笑)アンゲリカが順調にマインに染まって似た者同士になってきてるのが怖いw
読了日:04月09日 著者:香月美夜
宮廷神官物語 一 (角川文庫)宮廷神官物語 一 (角川文庫)感想
聖なる白虎の伝説が残る麗虎国。美貌の宮廷神官・鶏冠が王命を受け、次の大神官を決めるために必要な慧眼を持つ奇蹟の少年・天青と出会う物語。屈強な青年・曹鉄や鶏冠と共に都を目指す過程で育まれてゆく絆といくつかの出会い、山奥育ちだった天青が知る世界の広さの一端と厳しい現実。そして否応なく巻き込まれてゆく次の大神官を巡る争い。物語としてはまだ序盤といった感じですが、やんちゃな天青や意外な一面も見せる美貌の神官の鶏冠など、登場人物たちがよく動いてテンポも良く、ここからどんな展開になってゆくのか今後に期待したいですね。
読了日:04月09日 著者:榎田 ユウリ
今からあなたを脅迫します 灰色たちの雨上がり (講談社タイガ)今からあなたを脅迫します 灰色たちの雨上がり (講談社タイガ)感想
犯罪を絶対に許さないはずだったのに、脅迫で事件を解決する千川に惹かれている澪。そんな彼女の前に脅迫屋・千川が追い求めた恋人の仇が現れ、千川たちと直接対決することになる第四弾。明らかになったかつての恋人・稚奈と千川の出会いと別れ、そして黒幕たちの思わぬ動きから危機に陥る脅迫屋メンバーたち。相手側エピソードも描写しつつ強敵との駆け引きには結果的に後手に回ることも多かったりで緊張感がありましたが、何だかんだでいろいろ上手くまとめつつスッキリ終わったようにも思えて、ここからまた続巻出るのかちょっと気になりました。
読了日:04月08日 著者:藤石 波矢
そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)そして僕らはいなくなる (講談社タイガ)感想
優等生の「着ぐるみ」をかぶって生活する高校生・宗也。帰宅の遅い幼馴染を捜しに出かけ事故に遭った宗也は断片的な幻覚に襲われるようになり、クラスで孤立する志緒と謎を追う青春ミステリ。不可思議な幻覚を共有した志緒と関わり、事件の真相を追ううちに少しずつ変わってゆく宗也の日常や心境。誰もが複雑な思いを抱える登場人物たちの心理描写は繊細で、幻覚を頼りに迫った事件の意外な真相は明示されないまま推測するに留まりましたが、それでもぐいぐい読ませる緊張感のある展開と、彼らが迎えた悪くない結末には充実した読後感がありました。
読了日:04月07日 著者:にかいどう 青
黄砂の進撃 (講談社文庫)黄砂の進撃 (講談社文庫)感想
満州人に辮髪と纏足を強要され、宣教師にも生活を蹂躙され不満は頂点に達していた清朝末期の漢人たち。義和団の乱の指導者の一人・張徳成の視点から描かれる『黄砂の籠城』と対をなす物語。史実の人物を軸に描かれてゆく運命に翻弄される義和団の急成長ぶりと、様々な思惑が入り乱れ行き当たりばったりな清朝末期の混乱。そんな状況に振り回され困惑しつつも、突き進まざるをえない状況に追い込まれてゆく張徳成たちの奮闘は何ともやるせない結末を迎えましたけど、そんな状況だからこそ最後まで矜持を貫いたありようには心響くものがありましたね。
読了日:04月06日 著者:松岡 圭祐
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 (宝島社文庫)感想
卒業したあすか・香織・晴香・葵たちのエピソード、優子・夏紀・希美・みぞれたちの卒業、奏・梨々花ら一年生たちの休日、そして優子の置き土産企画「アンサンブルコンテスト」が始動する連作短編集。あすか先輩たちのエピソードを交えつつ、引退して卒業していく優子たち世代や一年生、そして久美子世代の繊細な距離感や少しずつ育まれてゆく絆が描かれていたり、これまであまり詳しく描写されてこなかった他の吹奏楽部のメンバーたちもしっかりと掘り下げられていて、それを巧みに今後の展開へ繋げてゆく構成に続巻を読むのが楽しみになりました。
読了日:04月05日 著者:武田 綾乃
京都伏見のあやかし甘味帖 おねだり狐との町屋暮らし (宝島社文庫)京都伏見のあやかし甘味帖 おねだり狐との町屋暮らし (宝島社文庫)感想
働いていた商社を自主退職せざるをえなくなり、帰宅したら結婚予定の彼氏と見知らぬ女に遭遇したれんげ29歳。憤怒しつつも傷心のれんげが未踏の地・京都へ旅立ち、そこでおっとり系大学生とおしゃべりな黒狐と出会う物語。少し気が強くて不器用だけれど根は優しいれんげ、密かに和菓子大好きな虎太郎、ちゃっかりれんげと契約する伏見稲荷の神使・クロの軽妙な掛け合いと、時折衝突しながら少しずつ打ち解けて絆めいたものを育んでいく展開や、章の合間に挿入されている虎太郎の京都甘味レポもなかなか良かったですね。続巻もそのうち読みます。 
読了日:04月05日 著者:柏 てん
私、あなたと縁切ります!  ~えのき荘にさようなら~ (集英社オレンジ文庫)私、あなたと縁切ります! ~えのき荘にさようなら~ (集英社オレンジ文庫)感想
何か縁を切りたいものがあることが入居条件のシェアハウスえのき荘。その管理人に雇われた芽衣が、訳ありなシェアメイトと交友を深めてその卒業を見届ける物語。過剰なダイエットをするOLの理由、アニオタを隠すホスト、医者家系の期待を背負った4浪中の浪人生、そして口は悪いけれど優しい二代目大家。住人たちのエピソードから掘り下げられてゆくそれぞれの事情と大家とともに見届ける結末、そして管理人である彼女自身もまた実家の悪縁に縛られていて、彼らの心地よい距離感と優しさが心に沁みる物語でした。続刊あるならまた読みたいですね。
読了日:04月03日 著者:かたやま 和華
Bの戦場 4 さいたま新都心ブライダル課の慈愛 (集英社オレンジ文庫)Bの戦場 4 さいたま新都心ブライダル課の慈愛 (集英社オレンジ文庫)感想
新婦が子連れの再婚カップルと小姑の子供の躾を巡る騒動や、ブライズメイドを引き受けた友人たちの仁義なき駆け引き、そしてやりたい式を押し付ける親との確執、さらには弟の芳樹が彼女を紹介しようとする第四弾。城ノ宮さんの観察力はさすがで、その幕切れは何ともあれな感じでしたが、毎回お客様の思惑に振り回がちな香澄が、それでもできる範囲で何とかしようとする姿勢はいいですね。初登場だった弟の彼女・めぐっぺは意外といい子で、言い方に引っかかったりでいまいち素直になれなかった課長との仲もついに進展?続巻の展開が気になりますね。
読了日:04月03日 著者:ゆきた 志旗
それは桜のような恋だった (双葉文庫)それは桜のような恋だった (双葉文庫)感想
春になると目の前から様々なものが消えて、周囲と距離を置き春が嫌いになった大学生の隆哉。春休みに叔父夫婦の和菓子屋を手伝うために訪れた京都で、謎めいた女性・雪と出会う物語。これまで恋に消極的だった隆哉が自覚する雪との運命的な出会いと、ともに過ごすうちに募ってゆくこの出会いを大切にしたいという想い。明かされた忌むべき力の正体と彼女が抱える秘密に、大変だった二人のこれまでを思わずにいられませんでしたが、前途多難に思えた二人の想いがしっかりと繋がっていて、それが再び紡がれてゆく結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:04月02日 著者:広瀬 未衣
居酒屋ぼったくり〈1〉 (アルファポリス文庫)居酒屋ぼったくり〈1〉 (アルファポリス文庫)感想
東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。亡くなった両親の跡を継いだ娘の美音と妹の馨が、旨い酒と美味しい料理を提供しつつ人々とのふれあいも大切にしてゆく連作短編小説。両親の味を守りつつも時には新しいチャレンジをしてたり、客の思いをかなえたり心配事を解消するべくいろいろ試行錯誤してみたり。妹の恋を応援したり拾ってきた子猫のために懸命になる美音のことはお客さんだって応援したくなりますよね。そんな真っ直ぐな美音と印象的な出会いを果たし、常連客になった何やら訳ありっぽい要さんとの今後もちょっと気になります。
読了日:04月02日 著者:秋川 滝美
みとりしみとりし感想
派遣切りで職を失った薫が、幼い頃に一緒に事故に遭った陽太と偶然再会し、彼が社長を務めるペットの看取りをするペットシッターに再就職する物語。幼くして両親を失い伯母夫婦に育てられ、いい子を演じ続けるうちに自分が分からなくなってしまっていた薫。なかなか難しい人生を送ってきたことで、なかなか自分からアクションを起こせない不器用な彼女が、仕事を通じて飼い主やペット、そして関係者と関わっていくうちに様々な思いに触れ、陽太たちにも支えられながらきっかけを積み重ね、少しずつ変わってゆく展開はなかなか良かったと思いました。
読了日:04月01日 著者:髙森 美由紀

読書メーター

5月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

5月もそれなりに気になる本がいろいろありますが新作については現時点で流動的で、試し読みなどで感触を確認しながら購入タイトルを決めることになりそうです。またいつものことですが現時点で公開になっていないだけで、5月に入ったら他にも追加で発売予定になりそうなタイトルもありそうなので、その辺はこれから注視していきたいと思っています。 

 

5月の注目としては期待のファンタジーということでHJ文庫の「常敗将軍、また敗れる」、スニーカー文庫「復讐の聖女」、紅玉いづきさんと岬鷺宮さんの電撃新刊、望公太さんのGA文庫新刊「ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?」、ガガガ文庫小学館ライトノベル大賞「《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!」、そしてMF文庫Jから刊行の松山剛さん「君死にたもう流星群」を挙げておきます。

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

 
復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)

復讐の聖女 (角川スニーカー文庫)

 
悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

悪魔の孤独と水銀糖の少女 (電撃文庫)

 
三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

 
《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫)

 
君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

 

 

コバルト文庫(4/27発売)
春華杏林医治伝 ~気鋭の乙女は史乗を刻む~ 小田菜摘/雲屋ゆきお
薬草令嬢ともふもふの旦那様 江本マシメサ/カスカベアキラ

HJ文庫(5/1発売)
【新】常敗将軍、また敗れる 北条新九郎/伊藤宗一
最強魔法師の隠遁計画6 イズシロ/ミユキルリア

スニーカー文庫(5/1発売)
スーパーカブ3 トネ・コーケン/博
【新】復讐の聖女 高橋祐一/岩本ゼロゴ
【新】雪崎光は俺にラブコメを教えたい 和見俊樹/アルデヒド

講談社ラノベ文庫(5/2発売)
【新】→ぱすてるぴんく。 悠寐ナギ/和錆
[第7回講談社ラノベ文庫新人賞<佳作>]
こんな僕が荒川さんに告白ろうなんて、おこがましくてできません。2 清水苺/シソ

宝島社文庫(5/8発売)
推理は空から舞い降りる 浪速国際空港へようこそ 喜多喜久

小学館文庫キャラブン!(5/8発売)
鉄道リドル いすみ鉄道で妖精の森に迷い込む 佐藤青南/ワカマツカオリ
32歳ひとり不幸OLが幸せ引き寄せちゃう話 櫻井千姫/24

 

光文社文庫(5/9発売)

すずらん通りベルサイユ書房リローデッド! 七尾与史


電撃文庫(5/10発売)
86―エイティシックス― Ep.4 ―アンダー・プレッシャー― 安里アサト/しらび
叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士2 杉原智則/魔太郎
【新】悪魔の孤独と水銀糖の少女 紅玉いづき/赤岸K
【新】三角の距離は限りないゼロ 岬鷺宮/Hiten

文藝春秋単行本(5/10発売)
烏百花 蛍の章 八咫烏外伝 阿部智里

文春文庫(5/10発売)
【文】玉依姫 阿部智里

創元推理文庫 (5/11発売) 
【文】気まぐれ食堂 神様がくれた休日 有間カオル/わみず

GA文庫(5/12発売)
【新】ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか? ~好きになったJKは27でした~ 望公太/ななせめるち
【新】天才王子の赤字国家再生術 ~そうだ、売国しよう~ 鳥羽徹/ファルまろ
可愛い女の子に攻略されるのは好きですか?2 天乃聖樹/kakao
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア10 大森藤ノ/はいむらきよたか
最弱無敗の神装機竜15 明月千里/春日歩

富士見L文庫(5/15発売)
ニセ恋シンデレラ 八巻にのは/相原実貴
吉祥寺のパン兄弟 祖母が遺した焼き立てバタール 半田畔/市川けい
文豪Aの時代錯誤な推理 森晶麿/カズアキ

ノゼルゼロ(5/15発売)
司書と王女の世界大戦 アイリス王国再興記 津田彷徨/necomi

 

講談社文庫(5/15発売)
華鬼4 梨沙

瑕疵借り 松岡圭祐


ハヤカワ文庫JA(5/17発売)
SF飯2 辺境デルタ星域の食べ物紀行 銅大

講談社単行本(5/17発売)
幸腹な百貨店 催事場で蕎麦屋呑み 秋川滝美

ガガガ文庫(5/18発売)
【新】《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! 飛田雲之/かやはら
[第12回小学館ライトノベル大賞<ガガガ賞>]
弱キャラ友崎くん Lv.6 屋久ユウキ/フライ

オレンジ文庫(5/18発売)
下鴨アンティーク アリスの宝箱 白川紺子/井上のきあ
相棒は小学生 図書館の少女は新米刑事と謎を解く ひずき優/木下けい子
君が死ぬ未来がくるなら、何度でも 茅野実柚/爽爽

ファンタジア文庫(5/19発売)
【新】青春失格男と、ビタースイートキャット。 長友一馬/いけや
[第30回ファンタジア大賞<審査員特別賞>]
お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか2 はむばね/sune
豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい5 合田拍子/nauribon
ゲーマーズ!10 天道花憐と不意打ちアップデート 葵せきな/仙人掌

講談社タイガ(5/21発売)
サイメシスの迷宮 逃亡の代償 アイダサキ/ヨネダコウ
閻魔堂沙羅の推理奇譚 負け犬たちの密室 木元哉多

マイナビ出版ファン文庫(5/21発売)
繰り巫女あやかし夜噺 ~かごめかごめのかごのとり日向夏/六七質

ミステリ・フロンティア(5/21発売)
ペンギンは空を見上げる 八重野統摩

MF文庫J(5/25発売)
14歳とイラストレーター5 むらさきゆきや 企画:溝口ケージ/溝口ケージ
俺もおまえもちょろすぎないか2 保住圭/すいみゃ
【新】君死にたもう流星群 松山剛/珈琲貴族

オーバーラップ文庫(5/25発売)
神話伝説の英雄の異世界譚10 奉/ミユキルリア

角川文庫(5/25発売)
宮廷神官物語 二 榎田ユウリ

メディアワークス文庫(5/25発売)
おとなりの晴明さん 第二集 仲町六絵
過去で君が待っている。 吉月生
笑う書店員の多忙な日々 石黒敦久

KADOKAWA単行本(5/25発売)
青の誓約 市条高校サッカー綾崎隼/ワカマツカオリ

新潮文庫nex(5/29発売)
時は止まったふりをする (仮) 藤石波矢

 

90年代の自分に影響を与えたコバルト文庫・X文庫ほか17選+α

少し前に90年代の自分に影響を与えたライトノベルのエントリーを書きましたが(一回貼ってから少女小説も含めると長すぎると思って消した十二国記の画像反映が消えませんw)

 その際同じように影響を受けたコバルト文庫・X文庫についても書くつもりが、分量的に長くなりそうだったので分割して今回はこちらで書いてみようと思います。

 

読むようになったきっかけはよくある話ですが3歳年上の姉の影響で、コバルト文庫やX文庫に加えて少女マンガもりぼんや花とゆめ系を中心に結構読んでました。ライトノベルもそうですけど思春期に読んだ本はその後の読書傾向にがっつり影響していきますね(苦笑)コバルト文庫やX文庫も当時のライトノベル同様図書館によく蔵書されていたので図書館で借りて読んでました。

 

まずぱっと思い出すのはやっぱり氷室冴子さんです。「ざ・ちぇんじ!」「なんて素敵にジャパネスク」ももちろん読みましたが、個人的には「なぎさボーイ」「多恵子ガール」「北里マドンナ」の影響が大きかったです。

 今回のエントリーの趣旨からは外れますけど氷室冴子さんは「海がきこえる」なんかも印象に残っている一冊ですね。 

海がきこえる (徳間文庫)

海がきこえる (徳間文庫)

 

 

そして後に一般文芸でも書くようになった山本文緒さん

野菜スープに愛をこめて (集英社文庫)

野菜スープに愛をこめて (集英社文庫)

 
ぼくのパジャマでおやすみ (集英社文庫)

ぼくのパジャマでおやすみ (集英社文庫)

 

 後に上記にあるように集英社文庫に再録されていますが、当時刊行された時にはコバルト文庫ですらなく「集英社文庫コバルトシリーズ」となっていました。


あとは日向章一郎さんの「星座シリーズ」「放課後シリーズ」

牡羊座は教室の星つかい (集英社文庫―コバルトシリーズ)

牡羊座は教室の星つかい (集英社文庫―コバルトシリーズ)

 
放課後のトム・ソーヤー (集英社文庫―コバルトシリーズ)

放課後のトム・ソーヤー (集英社文庫―コバルトシリーズ)

 

X文庫では後にガンダム系のノベライズをたくさん刊行している皆川ゆかさんの「ティー・パーティーシリーズ」「運命のタロットシリーズ」

運命のタロット〈1〉「魔法使い」にお願い? (講談社X文庫―ティーンズハート)

運命のタロット〈1〉「魔法使い」にお願い? (講談社X文庫―ティーンズハート)

 

 後に「十二国記」で注目される小野不由美さんの「悪霊シリーズ」なんかも読んでました。

悪霊はひとりぼっち (講談社X文庫―ティーンズハート)

悪霊はひとりぼっち (講談社X文庫―ティーンズハート)

 

表紙見ると当時はこんな感じだったなあと懐かしくなります(苦笑) 多作の作家さんは他にもいて、そのあたりも読んではいたんですけど著者さんの名前を見て読んでいたことは覚えていても内容までは記憶には残ってないですね。

 

そして当時を語る時に外せないのが、若木未生さん、桑原水菜さん、前田珠子さん。

漆黒の魔性―破妖の剣〈1〉 (コバルト文庫)

漆黒の魔性―破妖の剣〈1〉 (コバルト文庫)

 
炎の蜃気楼(ミラージュ)(1) (コバルト文庫)

炎の蜃気楼(ミラージュ)(1) (コバルト文庫)

 

 当時三作品とも読んでましたけど、このあたりの勢いは凄まじかったですね。前田珠子さんは「イファンの王女」なんかも印象に残っています。

イファンの王女 (コバルト文庫)

イファンの王女 (コバルト文庫)

 

 

それ以降は90年前後から始まったファンタジーブームもあってコバルト文庫やX文庫でも読むものは徐々にファンタジーにシフトしていって、小野不由美さんの「十二国記シリーズ」

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

 

高瀬美恵さんの「クシアラータの覇王シリーズ」

 岡野麻里安さんの「竜王の魂シリーズ」

 榎木洋子さんの 「リダーロイス・シリーズ」 

暁の王子 (コバルト文庫―リダーロイス・シリーズ)

暁の王子 (コバルト文庫―リダーロイス・シリーズ)

 

あたりを読んでいました。ファンタジー全盛の頃はコバルト文庫やX文庫でも面白い作品が結構出ていました。なんかもっとあったような気もするのですが、ちょっと思い出せなくて残念です。

 

ここまで挙げた作品のほとんどが93年以前に刊行になっています。ファンタジーものなどを中心にシリーズとして読んでいたものはその後も続けて読んではいたんですが、全体のトレンドとしてはそれ以降BLっぽい内容のものが増えていった印象があって、もともと恋愛ものやファンタジーなどを期待して読んでいたレーベルだったので、方向性の違いから自分はだんだんとフェードアウトしていきました。

 

以降は書店員などで文庫担当は続けていたものの、読者としてはライトノベルと同様ゼロ年代はほとんど読んでいなかったんですが、「コバルト文庫で辿る少女小説変遷史」とか「コバルト文庫40年カタログ」とか読んでると、ゼロ年代には自分好みそうな作品結構あったんですね…。 

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史

 
コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録

コバルト文庫40年カタログ コバルト文庫創刊40年公式記録

 

 もうさすがに遡るのは無理かなあとも思いますけど(苦笑)

 

2013年にライトノベルを読むのを再開したのに少し遅れて、また少しずつコバルト文庫やX文庫も自分の好きな中華ファンタジーものなんかを中心に読んでいたりします。

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

 
後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき (コバルト文庫)

 もう社会人になってから長いですし、基本的にはいろいろなジャンルを読みたい人なので、前みたいにがっつりと追いかけることはなくなりましたけど、気になったものはこれからも読んでいけたらなと思っています。
 

2018年3月に読んだ新作おすすめ本

 3月のラノベはシリーズものの消化が忙しくて新作にあまり手を出してませんでしたが、月末に出たファミ通文庫スニーカー文庫の3点は自分好みで個人的に強く推したい一冊。竹岡葉月さんの「恋するアクアリウム」(富士見L文庫筏田かつらさんの「君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった」(宝島社文庫)などスピンオフ小説もなかなか良かったですし、今回は全体的に粒ぞろいな感じです。興味を持てそうな本があったら是非読んでみて下さい。

 「異能兵器」が趨勢を左右する世界。転校した初恋の女の子・市ヶ谷すずに再会した辰巳千樫が、引っ込み思案な夢見る彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆくラブコメディ。テロに襲われすずの圧倒的な力を知る一方、瀕死の重傷から助けてもらった代償に交換条件を突きつけられた千樫。それでも中国やロシアの驚異的な異能兵器相手だろうが、すずは彼にとって守りたい女の子で、どこまでも献身的な奔走の先にあった噛みしめるような幕切れはあまりにも切なかったです。でもこれで終わりじゃないですよね?諦めない千樫たちの物語を最後まで読みたいです。

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

 

 無表情・無感情で人と関わろうとせず、そこかしこに絵を書き散らす芸術科の天才・小海澤有紗。変人扱いの彼女を気にかける雪斗が関わってゆくうちに、彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆく青春小説。コミュ障なオミサワさんと些細なやり取りを重ね交流を深めてゆく地道な努力が微笑ましくて、文字通り次元が違う秘密を知っても彼女を理解し共にあろうとする雪斗。大切だからこそ苦悩するオミサワさんでしたけど、彼女の想いを垣間見た雪斗と相変わらず難しい境遇でも確実に変わりつつある彼女が迎えた素敵な結末には、ついニヤニヤしてしまいました。

死神少女と最期の初恋 (ファミ通文庫)

死神少女と最期の初恋 (ファミ通文庫)

 

 死神を名乗る美しい少女・供花に七日後通り魔に刺されて死ぬと予告された大学生の波多野景。それまで生きる意味も目標もなかった彼が、彼女との出会いから徐々に変わってゆく物語。後輩からの告白にも心動かされず、思い残すこともあまりない景が供花に抱いた、最期を迎えるまで共に過ごして欲しいというささやかな願い。そして感情に乏しかった供花が景と共に過ごしていくうちに少しずつ積み重ねてゆく想いと心境の変化。運命が二人の出会いによって大きく変わる中、難しい立ち位置にあった彼ら二人に提示される落とし所は絶妙だったと思いました。

 

恋するアクアリウム。 (富士見L文庫)

恋するアクアリウム。 (富士見L文庫)

 

 会社にも地元にも居場所がなくなり上京した浅見桐子。しかし落ち着き先を火事で失い、仕方なく歳下の幼馴染・佐倉井真也の元に転がり込んで同居生活が始まる「おいしいベランダ。」のスピンオフ小説。魚マニアだった弟分を甲斐甲斐しく世話したり振り回したりで、その日常を確実に塗り替えてゆく桐姉の存在感。なのに転職先が決まってあっさり終わった同居生活と、思わぬところから明らかになる彼女の上京理由。お人好しで面倒見の良いところが裏目に出ていた桐姉でしたけど、彼女をよく知る真也の真摯な想いが心にじんわりと来る素敵な物語でした。

今夜、2つのテレフォンの前。 (集英社オレンジ文庫)

今夜、2つのテレフォンの前。 (集英社オレンジ文庫)

 

 幼馴染・想史に思いを寄せる女子高校生・志奈子と、初恋の女性の結婚が決まったと聞き動揺する高校教師の直江。不思議な縁で電話をするようになった二人が毎晩相談の電話を積み重ねてゆく物語。いつの間にか上手く行かなかった自分と幼馴染の関係を重ね合わせて、別の高校に通うようになって口を聞いてくれない想史と志奈子の恋を応援する直江。そんな繋がりをもたらしたきっかけには苦笑いでしたけど、きちんと向き合った志奈子だけでなく、自身もまた想いを燻らせていた直江が大切な人に想いを伝えようと奔走する姿には心に響くものがありました。

きみを忘れないための5つの思い出 (集英社オレンジ文庫)

きみを忘れないための5つの思い出 (集英社オレンジ文庫)

 

 他人の記憶に極端に残りにくい体質の少女、自分に恋する人の視力が下がってしまう少女、教室から出られなくなってしまった少女、事故で意識不明の恋人とメールでやり取りできるようになった少女と、少し変わった性質を持った少女たちと彼女に恋した少年たちの物語を描いた連作短編集。人と違う自分を意識することで周囲と距離を置いていた少女たち。そんな頑なになっていた彼女たちが築いた壁に挑む男の子たち、乗り越えようとしたヒロインには苦難や葛藤が伴いましたけど、それでも諦めずに乗り越え人生が変わってゆく展開はなかなか良かったです。

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

 

 人工海上都市『キヴィタス』のアンドロイド管理局に勤める若きエリート技師エルが、仕事からの帰り道で登録情報のない野良アンドロイドの少年・ワンと出会い不思議な共同生活を始める物語。アンドロイドが貴重な労働力になっている世界で、不器用だけれどアンドロイドには真摯に向き合うエルに、訳ありなアンドロイドのワンは何だかんだ言いながらも振り回されっぱなしで、エルの事情も明らかになってゆく中、二人の関係性がワンの過去を巡る騒動と絡めつつとてもいい感じに描かれていたと思いました。もし続巻あるようならまた読んでみたいですね。

どうか、天国に届きませんように (集英社オレンジ文庫)

どうか、天国に届きませんように (集英社オレンジ文庫)

 

 ある日の帰り道、自分の指に絡まる黒い糸に気づいたオカルトに憧れる小学生の「僕」。偶然が偶然を呼び、不幸に魅入られた者たちが巡り合い連鎖していく連作短編集。死体に導く黒い糸や、身寄りをなくした少年が身を寄せた白い檻、田舎にある古い家にあった灰色の箱、死んだ男が見出した光の窓、現実に絶望する少女の密かな望み。不思議な力に魅入られて人生を狂わせてゆく哀しい登場人物たちでしたけど、徐々にそれぞれの話が繋がり構図が明らかになってゆく展開の妙と、複雑な想いを抱かせてしまうその結末はとてもこの物語らしくて印象的でした。

君のいない町が白く染まる (キャラブン!小学館文庫)

君のいない町が白く染まる (キャラブン!小学館文庫)

 

 新社会人のケイが引っ越した高円寺のアパートで深夜に現れた幽霊のアカネ。なし崩し的にアカネと同居することになったケイが、ともに過ごすうちに惹かれてゆく物語。新社会人として多忙な毎日を過ごすケイの癒やしとなるアカネの存在。そして手帳を拾ったことをきっかけに始まった陽介と咲夜のもうひとつの恋。たびたび視点が切り替わる構成には最初戸惑いつつ、相手を想えば想うほど胸が締め付けられる展開には切なくなりましたが、物語がひとつにまとまってゆく中でそれぞれが自らの恋にひとつの決着をつける、真っ直ぐで不器用な恋の物語でした。

キュードー・ライフ! (メディアワークス文庫)

キュードー・ライフ! (メディアワークス文庫)

 

 高校生になった天野良治がひょんなことから弓の名手・那須与一の霊に取り憑かれ、弓道愛溢れる可愛い部長・鹿目梓が部長を務める未経験の弓道部へ入部する青春小説。始めは梓に一目惚れして入部した良治でしたけど、強豪校に所属する梓の兄・一世というライバルに刺激され、与一に見守られながら弓道にのめり込んでいく展開。二人部活という特殊な環境も梓が体育会系過ぎて(苦笑)恋愛模様の方はあまり発展しなかったのは少し残念でしたけど、それでも家族や友人にも支えられながら、ひたむきにまっすぐに取り組んでいく姿はなかなか良かったです。

断片のアリス (新潮文庫nex)

断片のアリス (新潮文庫nex)

 

 雪と氷に閉ざされた現実世界から離れ、人々が生活のほとんどをVRシステム「ALiS」の中で過ごす近未来。傷つくことのない穏やかで平和な仮想空間で、突如椎葉羽留がVR内に閉じ込められる脱出サバイバル。「ピノッキオの冒険」をモチーフにしたログアウトもできない謎のVR世界で、謎めいた指示に従って危険を乗り越え狂気の館に集まった生き残りの五人。誰かが死ぬ度に次第に状況が明らかになってゆく構図で、生き残るためにお互いが疑心暗鬼になってゆく展開には緊張感があって、こういう世界観ならではの結末はなかなか興味深かったです。

 

 

 異様に運の悪い大学生・柏原玲二が元カノの部屋へ大切な物を取りに行き、そこに住む見知らぬ女子・磯貝久美子に不審者扱いされる最悪の出会いを果たすもう一つの物語。玲二の後輩・奈央矢と幼馴染で偶然の出会いを果たした久美子。期せずして久美子を取り巻く恋愛模様に巻き込まれてゆく玲二。誤解から始まって結果的に他人の恋の邪魔をしてしまう間の悪さが、巡り巡って容易には変わらないはずの気持ちを少しずつ動かしてゆく展開が面白いですね。久美子が自分らしさを出せる相手は誰なのか、前作とも繋がるもう一つの物語を十分に堪能できました。

僕たちの小指は数式でつながっている (宝島社文庫)

僕たちの小指は数式でつながっている (宝島社文庫)

 

 友達を作らないと決めていた僕に唐突に話しかけてきた、数学が好きで天才で孤独な少女・秋山明日菜。不本意ながら始まった彼女との交流が僕を変えてゆく青春小説。心臓移植の影響で前向性健忘症となり一ヶ月しか記憶を保てない明日菜。彼女の日記を頼りに二人の思い出を積み重ねてゆく僕と、少しずつ変わってゆく明日菜との関係。そして僕の暗い過去と意外な形で繋がる彼女の秘密。あれほど望んでいたはずの治癒がもたらした皮肉な転機でしたが、ゼロではない可能性を信じ続けた二人の真摯な想いが引き寄せた結末にはぐっと来るものがありました。 

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

 高校生の時、偶然ピアノ調律師板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。ピアノを愛する双子の姉妹や先輩たちとの交流を通じて調律師として成長していく物語。生まれもあってか朴訥でひたむきに調律に臨む外村のありようがとても印象的で、いい刺激になる先輩たちに囲まれて繊細で答えのない作業に時には思い悩みながら、それでも淡々と着実に積み上げてゆく彼の強さや、そんな彼が双子のピアノを気にかけるようになっていったり、ピアニストになると決意した和音の変化に影響を受けたり、そんな描写の積み重ねがとても心に響く物語でした。

逆境ハイライト - へこたれずに生きています。 (中公文庫)
 

 商社で着実に出世街道に乗り彼女もいた朋文。それなりに順調な人生だったはずが、身に覚えのない罪状でいきなり逮捕され、さらに潰れかけた実家の老舗和菓子屋では父親の突然の失踪してしまう物語。朋文が直面する突然の逮捕から始まる運命の急転と、踏んだり蹴ったりなトラブルの連続。順調だった仕事も結婚を視野に入れていた彼女も、誤認逮捕で失ったものはもう取り戻せない容赦のない現実に読んでいる方も愕然としてしまいますが、それでも何とか乗り越えようと覚悟を決めた朋文が直面する新展開がどう繋がってゆくのか続巻に期待したいですね。

誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)

誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)

 

 自殺、他殺、事故死など寿命以外の死が見える志緒と屋上で出会った佐藤。彼女が悲しまぬよう死を回避させる協力をするようになってゆく君とぼくの物語。親の所業によって居場所をなくしていたミステリ好きの佐藤が、志緒が気づいた死の予兆を誰も死なないミステリに変えるべく頭を働かせる展開で、やろうとしていることの宿命でミステリとしてはやや締まらない感もありましたが、解き明かされる墜死事件の謎と回収されてゆく伏線によってひとつの物語として再構成されて、悔やんでいたひとたちの救いに繋がってゆくとても優しい素敵な結末でした。 

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)

たぶん、出会わなければよかった嘘つきな君に (祥伝社文庫)

 

 上司のパワハラに悩みながら資格試験の勉強をする冴えない伊東公洋の毎日を一変させた大学生・奈々との出会い。彼女に惹かれてゆく一方で、職場の峰岸からも好意を寄せられ何かが狂い始めてゆくミステリ。真面目で優しい不器用な公洋が、地味な同僚の峰岸にどんどん追い詰められてゆく展開は怖かったですが、そこから第二章以降の視点も変わる急展開にはビックリしました。事件の背景に意外な繋がりが見えてきて、思惑と譲れない意地が入り混じる真相には何とも複雑な気分になりましたし、タイトルに込められた意味をいろいろと考えてしまいますね。

 

 

額を紡ぐひと

額を紡ぐひと

 

 事故で婚約者を喪った額装師・奥野夏樹。少し変わった依頼でも真摯に向き合う夏樹が、彼女の作品の持つ雰囲気に惹かれた表具額縁店の次男坊・久遠純と出会う物語。時には依頼人の想いを暴いてしまう一方で、婚約者との過去にどう向き合うべきか悩む不器用な夏樹と、掴みどころのない純との微妙な距離感。そして二人の重要な過去に繋がる池端の存在。明らかになっていったそれぞれの過去に向き合うことにはほろ苦さも伴いましたけど、そんな自分に寄り添ってくれる存在がいて、新たな一歩を踏み出す姿が描かれる結末にはぐっと来るものがありました。

駒子さんは出世なんてしたくなかった

駒子さんは出世なんてしたくなかった

 

 公平な姿勢が評価され出版社の管理課課長を何とかこなす水上駒子に突然降って湧いた新規事業部署での次長昇進辞令。激変した環境に戸惑う駒子に家庭トラブルまで起きるお仕事小説。平穏な毎日を望んでいたはずなのに、セクハラの尻拭いや次長昇進から発生した問題の数々に加えて、家庭でも生じる専業主夫として支えてくれていた夫の仕事復帰や、息子の不登校問題。何を大切にすべきなのか優先すべきなのか、ままならない悩ましい状況が生々しく描かれていましたが、それでも試行錯誤して前向きに取り組む駒子が迎えた結末には救われる思いでした。 

完パケ!

完パケ!

 

 経営難で閉校が噂される武蔵映像大学。卒業制作のドラマ映画を撮れるのはたった一人。コンペでガチンコ勝負した親友で監督志望の安原と北川が監督とプロデューサーとして映画製作に挑む青春小説。自らの抱える事情に苦しみながらも妥協しない不器用な監督・安原と、そのフォローをそつなくこなす一方で自分にないものに葛藤する北川の複雑な関係。そして映画に関わる制作側・役者たちにもそれぞれの葛藤があって、ぶつかりあいながら少しずつお互いを理解していって、完パケに向けてひとつにまとまってゆく熱い展開にはぐっと来るものがありました。

さよなら、わるい夢たち

さよなら、わるい夢たち

 

 学生時代の友人・麻衣亜の夫のSNSによって彼女が幼い息子を連れて失踪したことを知ったジャーナリストの長月菜摘が、行方不明の麻衣亜の行方と失踪に駆り立てた要因を探るミステリ。彼女が失踪した理由を知らないという夫や両親・同僚たちの話から徐々に明らかになっていく、追い詰められていった麻衣亜の悲惨な境遇。悪い夢を見ているような状況を突きつけられた彼女の絶望を思うと暗澹たる気持ちになりましたが、腹を括った麻衣亜の覚悟と周到に準備され暴かれてゆく事実によって、これまでの構図が激変してゆく意外な結末には驚かされました。

 

3月に読んだ本 #読書メーターより

やっぱり3月は刊行点数が多かったこともあって久々の100冊超え。もちろんいくつかマンガのシリーズまとめて読んだのもありますが、新刊の多かったマンガ以外も新刊が出る日あたりは頑張って64冊とちょっと頑張りました。新作や安心安定のシリーズものも良かったですけど「異世界迷宮の最深部を目指そう」「灰と幻想のグリムガル」(どっちもオーバーラップ文庫だw)とか「京都西陣なごみ植物店」「魔女は月曜日に嘘をつく」といった続きが読みたかったシリーズも続刊が読めて嬉しかったです。

 

3月の読書メーター
読んだ本の数:100
読んだページ数:24938
ナイス数:5435

 

それでも異能兵器はラブコメがしたい (角川スニーカー文庫)

それでも異能兵器はラブコメがしたい (角川スニーカー文庫)感想
「異能兵器」が趨勢を左右する世界。転校した初恋の女の子・市ヶ谷すずに再会した辰巳千樫が、引っ込み思案な夢見る彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆくラブコメディ。テロに襲われすずの圧倒的な力を知る一方、瀕死の重傷から助けてもらった代償に交換条件を突きつけられた千樫。それでも中国やロシアの驚異的な異能兵器相手だろうが、すずは彼にとって守りたい女の子で、どこまでも献身的な奔走の先にあった噛みしめるような幕切れはあまりにも切なかったです。でもこれで終わりじゃないですよね?諦めない千樫たちの物語を最後まで読みたいです。
読了日:03月31日 著者:カミツキレイニー
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 5 (HJ文庫)魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 5 (HJ文庫)感想
順調に仲を深めつつあるネフィとザガン。一方自らの出自を知って出奔したネフテロスはビフロンスのキメラに追われ、教会から派遣された盲目の獣人少女司祭を街でサガンが救う第五弾。ネフィとデートすべくいそいそと下調べするサガンの発想には苦笑いでしたが、今回は対照的な構図がいくつも描写されている中でシャスティルがこれまでのポンコツぶりから一回り成長し、新キャラやネフテロス含めた立ち位置の再構成がいろいろ進んだ印象です。これはもう展開的に次回ネフィとザガンのデート回期待してもいいということですよね?楽しみにしています。
読了日:03月30日 著者:手島史詞
百錬の覇王と聖約の戦乙女 15 (HJ文庫)百錬の覇王と聖約の戦乙女 15 (HJ文庫)感想
命を引き換えにハールバルズを倒したリーファ。しかし迫るユグドラシル崩壊の刻が迫る中、勇斗は休む間もなく世界制覇のための次なる布石を打ち、北進を始める《炎》の織田信長と激突する第十五弾。神帝即位の根回しやユグドラシル崩壊への対策も進めないといけない状況で、信長と激突することになった勇斗。底知れない信長相手の戦いは秘策で勝機を掴んだはずが、逆に痛い犠牲を強いられるお互い一進一退の攻防で、より便利な未来から来たはずの勇斗でも難しい戦いになりそうですね。イングリットの想いもいつか報われることを祈りつつ続巻に期待。
読了日:03月30日 著者:鷹山誠一
精霊幻想記 10.輪廻の勿忘草 (HJ文庫)精霊幻想記 10.輪廻の勿忘草 (HJ文庫)感想
遂に公の場で前世由来のアマカワ姓を名乗ると決めたリオ。その姓に沙月やリーゼロッテが強く反応を示す中、美春は自分の決意をリオに告げる第十弾。大切な人たちに明かされてゆくリオが抱えている事情。リオが煮え切らなくても美春の想いはハッキリとしていて、各国の思惑が入り乱れる中で貴久が焦燥を募らせ壊れてゆく展開は不安を煽りましたけど、じれったい二人の関係もようやく変化の兆しが見えてきて、新たな一歩を踏み出すことになりそうな結末にほっとしました。亜紀とのわだかまりもいつか解消できるといいですね。続巻も期待しています。 
読了日:03月29日 著者:北山結莉
死神少女と最期の初恋 (ファミ通文庫)死神少女と最期の初恋 (ファミ通文庫)感想
死神を名乗る美しい少女・供花に七日後通り魔に刺されて死ぬと予告された大学生の波多野景。それまで生きる意味も目標もなかった彼が、彼女との出会いから徐々に変わってゆく物語。後輩からの告白にも心動かされず、思い残すこともあまりない景が供花に抱いた、最期を迎えるまで共に過ごして欲しいというささやかな願い。そして感情に乏しかった供花が景と共に過ごしていくうちに少しずつ積み重ねてゆく想いと心境の変化。運命が二人の出会いによって大きく変わる中、難しい立ち位置にあった彼ら二人に提示される落とし所は絶妙だったと思いました。
読了日:03月29日 著者:水城 水城
オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)感想
無表情・無感情で人と関わろうとせず、そこかしこに絵を書き散らす芸術科の天才・小海澤有紗。変人扱いの彼女を気にかける雪斗が関わってゆくうちに、彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆく青春小説。コミュ障なオミサワさんと些細なやり取りを重ね交流を深めてゆく地道な努力が微笑ましくて、文字通り次元が違う秘密を知っても彼女を理解し共にあろうとする雪斗。大切だからこそ苦悩するオミサワさんでしたけど、彼女の想いを垣間見た雪斗と相変わらず難しい境遇でも確実に変わりつつある彼女が迎えた素敵な結末には、ついニヤニヤしてしまいました。
読了日:03月28日 著者:桐山 なると
額を紡ぐひと額を紡ぐひと感想
事故で婚約者を喪った額装師・奥野夏樹。少し変わった依頼でも真摯に向き合う夏樹が、彼女の作品の持つ雰囲気に惹かれた表具額縁店の次男坊・久遠純と出会う物語。時には依頼人の想いを暴いてしまう一方で、婚約者との過去にどう向き合うべきか悩む不器用な夏樹と、掴みどころのない純との微妙な距離感。そして二人の重要な過去に繋がる池端の存在。明らかになっていったそれぞれの過去に向き合うことにはほろ苦さも伴いましたけど、そんな自分に寄り添ってくれる存在がいて、新たな一歩を踏み出す姿が描かれる結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:03月28日 著者:谷 瑞恵
駒子さんは出世なんてしたくなかった駒子さんは出世なんてしたくなかった感想
公平な姿勢が評価され出版社の管理課課長を何とかこなす水上駒子に突然降って湧いた新規事業部署での次長昇進辞令。激変した環境に戸惑う駒子に家庭トラブルまで起きるお仕事小説。平穏な毎日を望んでいたはずなのに、セクハラの尻拭いや次長昇進から発生した問題の数々に加えて、家庭でも生じる専業主夫として支えてくれていた夫の仕事復帰や、息子の不登校問題。何を大切にすべきなのか優先すべきなのか、ままならない悩ましい状況が生々しく描かれていましたが、それでも試行錯誤して前向きに取り組む駒子が迎えた結末には救われる思いでした。 
読了日:03月27日 著者:碧野 圭
さよなら、わるい夢たちさよなら、わるい夢たち感想
学生時代の友人・麻衣亜の夫のSNSによって彼女が幼い息子を連れて失踪したことを知ったジャーナリストの長月菜摘が、行方不明の麻衣亜の行方と失踪に駆り立てた要因を探るミステリ。彼女が失踪した理由を知らないという夫や両親・同僚たちの話から徐々に明らかになっていく、追い詰められていった麻衣亜の悲惨な境遇。悪い夢を見ているような状況を突きつけられた彼女の絶望を思うと暗澹たる気持ちになりましたが、腹を括った麻衣亜の覚悟と周到に準備され暴かれてゆく事実によって、これまでの構図が激変してゆく意外な結末には驚かされました。
読了日:03月26日 著者:森 晶麿
おんみょう紅茶屋らぷさん ~この一杯に、すべてを~ (メディアワークス文庫)おんみょう紅茶屋らぷさん ~この一杯に、すべてを~ (メディアワークス文庫)感想
アイスティーの入れ方を知るために「おんみょう紅茶屋 らぷさん」を訪れてきた老人。そしてパートナーの英子を得た陰陽師・正明が吉祥寺や姉を脅かす因縁の師・麿と最終対決する第三弾。アイスティーのおいしい入れ方に関する正明とのやりとりがとても興味深かった、紅茶に造詣が深い老人の正体には苦笑いでしたけど、宿敵・麿との直接対決では英子の気づきと存在が改めてクローズアップされ、詳細に語られてこなかった過去の精算と、今後に向けた期待ということで今回でいったん一区切りということですかね。続編はまた出るんでしょうか...。 
読了日:03月26日 著者:古野 まほろ
誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)誰も死なないミステリーを君に (ハヤカワ文庫JA)感想
自殺、他殺、事故死など寿命以外の死が見える志緒と屋上で出会った佐藤。彼女が悲しまぬよう死を回避させる協力をするようになってゆく君とぼくの物語。親の所業によって居場所をなくしていたミステリ好きの佐藤が、志緒が気づいた死の予兆を誰も死なないミステリに変えるべく頭を働かせる展開で、やろうとしていることの宿命でミステリとしてはやや締まらない感もありましたが、解き明かされる墜死事件の謎と回収されてゆく伏線によってひとつの物語として再構成されて、悔やんでいたひとたちの救いに繋がってゆくとても優しい素敵な結末でした。 
読了日:03月25日 著者:井上 悠宇
ホーンテッド・キャンパス 墓守は笑わない (角川ホラー文庫)ホーンテッド・キャンパス 墓守は笑わない (角川ホラー文庫)感想
美人の彼女ができたという噂が広まり、否定するもののギクシャクしてしまう森司とこよみ。そんな中で保育園を襲う怪、湖畔で取り憑いた女霊の正体、閉鎖的な村にある聖人のお宝伝説と今回も謎がもたらされる第十三弾。今回の事件は悲劇から蓄積されていった悪意にゾワゾワさせられる展開。こよみに少しばかり変化があった一方、視える人からズバリ指摘される関係に二人で動揺したり、寝ぼけたこよみの想いを聞いてしまったり、さらには待ったなしのエピローグまで提示されて、ここまできてもヘタレな森司でしたけどそろそろ決めるしかないですよ。
読了日:03月24日 著者:櫛木 理宇
キュードー・ライフ! (メディアワークス文庫)キュードー・ライフ! (メディアワークス文庫)感想
高校生になった天野良治がひょんなことから弓の名手・那須与一の霊に取り憑かれ、弓道愛溢れる可愛い部長・鹿目梓が部長を務める未経験の弓道部へ入部する青春小説。始めは梓に一目惚れして入部した良治でしたけど、強豪校に所属する梓の兄・一世というライバルに刺激され、与一に見守られながら弓道にのめり込んでいく展開。二人部活という特殊な環境も梓が体育会系過ぎて(苦笑)恋愛模様の方はあまり発展しなかったのは少し残念でしたけど、それでも家族や友人にも支えられながら、ひたむきにまっすぐに取り組んでいく姿はなかなか良かったです。
読了日:03月23日 著者:末羽 瑛
貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります 2 (ダッシュエックス文庫)貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります 2 (ダッシュエックス文庫)感想
綾瀬真を保護すると決意した誠一郎が、真を試すために池袋の実力者たちへと彼女を「おつかい」に出す一方、六本木吸血鬼事件に関わって追われる身となった大学時代の後輩・芹沢春香を匿う第二弾。誠一郎の相棒となるべく動き出した真と、誠一郎や綾瀬泉の過去を知る春香。それぞれが全てを明かさないまま打開策を模索する状況で明らかになる新事実がまた謎めいていて、探していた妹も絡んでくる展開は今後が楽しみですね。ただ元々分量が多くないのに物語の本筋以外の部分に相当量ページが割かれていたのは残念。続巻は分量マシマシでお願いします。
読了日:03月23日 著者:鈴木 大輔
あまのじゃくな氷室さん2 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)あまのじゃくな氷室さん2 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた (MF文庫J)感想
こじらせた関係から晴れて『友達』となり一歩前進した田島と氷室さん。しかし相変わらずあまのじゃくな氷室さんに対して田島に急接近の砂城、さらに田島を応援するという書記の相沢が新たな火種となってゆく第二弾。砂城を意識して『友達』の氷室さんがますますこじらせてしまい、掴みどころのない相沢の言動にも困惑する田島。普通なら訳分からなくなりそうなカオスな展開でしたけど、こういう状況だからこそブレない田島の真っ直ぐな想いが効いてますね。しかしやる気がなさ過ぎて笑えないダメ神・ナンナの思わせぶりな警告が気になります..。
読了日:03月22日 著者:広ノ祥人
デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師〈リヴェンジャー〉2 (ファンタジア文庫)デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師〈リヴェンジャー〉2 (ファンタジア文庫)感想
帝国の東部侵攻に対するエルザイム王国の徹底抗戦の要は城塞都市テリナス。流民の慰撫を託された義妹のルルと共に街へ入ったシオンの前に、死んだはずの双子の妹・ランが現れる第二弾。仇だったはずの黒天騎士団の「白鳥」となって現れ、シオンの傍らにいる義妹・ルルの存在に激高するラン。健気なルルの切なる願いには心打たれましたが、乱れた感情の赴くままにシオンと激突したランが囚われている現状がまたやりきれなくて、王国内の立ち位置も少しずつ変わりつつあるシオンと、いつか笑い合える日が来てほしいと願わずにはいられませんでした。 
読了日:03月22日 著者:大黒 尚人
グランクレスト戦記 10 始祖皇帝テオ (ファンタジア文庫)グランクレスト戦記 10 始祖皇帝テオ (ファンタジア文庫)感想
皇帝聖印の完成が現実のものとなった矢先、三勢力に向けられた魔法師協会の暴挙。テオは皇帝軍を編制し協会の本拠地エーラムの制圧を決断し、混沌か秩序か、協会の理念とテオの信念がぶつかり合う第十弾。これまで紆余曲折あったテオとシルーカの物語でしたけど、秩序を求めて協会と対決する今回で結末ですか。毎巻ページ数以上の密度の濃い物語があって、登場人物たちの熱い想いに心揺さぶられて、これまで積み上げてきた集大成として描かれた今回の決着には、いかにもこの物語らしいと思える心地よい読後感がありました。次回作も期待しています。
読了日:03月22日 著者:水野 良
デート・ア・ライブ18 澪ゲームオーバー (ファンタジア文庫)デート・ア・ライブ18 澪ゲームオーバー (ファンタジア文庫)感想
士道の前に姿を現した始原の精霊・祟宮澪。澪の圧倒的な力によって絶望が戦場を支配する中、士道もまた精霊を巡る争いの元凶・ウェストコットと対峙する第十八弾。登場した澪によって明かされるシンへの真っ直ぐな想いと、挿入される甘く切ないエピソード。澪が全てを理解した上でもたらす絶望的な展開と、垣間見えるそれぞれの想いには言葉もなかったですが、そこから密かに積み重ねられていた伏線が士道の活路へと繋がってゆく見事な流れにはぐっと来ました。いかにもこの物語らしいクライマックスにどう決着をつけるのか、続巻に期待しています。
読了日:03月21日 著者:橘 公司
異世界迷宮の最深部を目指そう 10 (オーバーラップ文庫)異世界迷宮の最深部を目指そう 10 (オーバーラップ文庫)感想
地上への帰還を目指すカナミたちの前に立ちはだかる『風の理を盗むもの』ティティーと手を組んで彼に執着するノスフィー。そんな状況にカナミは全ての罪過を償うと覚悟を決める第十弾。彼女たちが囚われる千年前の未練とカナミの因縁。カナミがティティーと追体験した千年前の前日譚で明らかになった未練の真実。ヤンデレなヒロインの事情に奔走するカナミという構図は相変わらずでしたが、頑張ってるわりにそんなヒロインが周囲に増えていくだけというか、一難去ってまた一難というか、平穏には程遠い彼を生温かい目で見守りたくなりました(苦笑)
読了日:03月21日 著者:割内タリサ
灰と幻想のグリムガル level.12 それはある島と竜を巡る伝説の始まり (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.12 それはある島と竜を巡る伝説の始まり (オーバーラップ文庫)感想
オルタナに戻るべく東を目指すハルヒロたち。ようやく辿りついた海辺で遭遇した謎の海賊モモヒナに敗北して手下となった彼らが、大昔から竜が住まうエメラルド諸島へと向かう第十一弾。自由を取り戻すために海賊の街が竜に襲われる原因を調査するハルヒロたち。不安を抱えるメリィ相手に相変わらずヘタレなハルヒロと見守る周囲という構図には苦笑いでしたが、一方でリーダーとしての冷静な交渉事や状況判断には成長したなあと感じる部分もあって、うまく乗り越えた先に待っていた思わぬ急展開には驚かされました。これからどうなるのか続巻に期待。
読了日:03月21日 著者:十文字青
冴えない彼女の育てかた Memorial (ファンタジア文庫)冴えない彼女の育てかた Memorial (ファンタジア文庫)感想
各ヒロイン紹介や店舗特典SSなどを集めたメモリアル短編集。メタ店舗紹介的なものも含めた特典SSを中心にしたこの構成でここまでの分量になるのは凄いですね。これまで特典とか特に意識して集めていたわけではないので、こういうのもまた楽しめました。インタビューを読むまでもなく加藤恵のために作られた物語ではありましたけど、登場した他のヒロインたちもまたそれぞれが魅力的な存在だったと改めて思いますね。深崎さんの素敵なイラストもハマってましたし、これだけ魅力的なヒロインばかりだと贅沢というかちょっと勿体無いですよ(苦笑)
読了日:03月20日 著者:丸戸 史明
ロクでなし魔術講師と禁忌教典11 (ファンタジア文庫)ロクでなし魔術講師と禁忌教典11 (ファンタジア文庫)感想
帝国魔術学院の新学院長就任から始まった武一辺倒の教育改革に反発するグレンたち。そこに先の戦いの失態でイヴが学院に講師として左遷されてくる第十一弾。グレンのクビを賭け新学院長率いる模範生と勝負することになった生徒たち。これまでは家にこだわって空回りばかりだったイヴでしたけど、今回は生徒たちの力を底上げして慕われるようになって、一方でグレンとの不器用な関係も少しずつ変わりつつあったりと、これまでの印象と随分変わりましたね。白猫やルミアの危機感を刺激した強力で頼れるライバル出現に今後の展開が楽しみになりました。
読了日:03月20日 著者:羊太郎
クロハルメイカーズ: 恋と黒歴史と青春の作り方 (ガガガ文庫)クロハルメイカーズ: 恋と黒歴史と青春の作り方 (ガガガ文庫)感想
クリエイティブ活動なら何でもありの「創造部」。曲者揃いの部員たちが新入部員募集のために作ったドB級ショートムービーが、なぜかオタク文化に全く触れずに育ったお嬢様転校生・比香里の心を掴んでしまう青春小説。何も知らない比香里にいい気になって創作論を説いてみせたり、挙句の果てにド素人相手の企画勝負でドツボにハマり迷走する湊介が読んでいて痛かったですが、そんなこっ恥ずかしい出来事もまたよくある青春の1ページで、手を差し伸べてくれた仲間と一緒に作品を作る楽しさや熱い思いを取り戻してゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:03月20日 著者:砂義 出雲
ジャナ研の憂鬱な事件簿 3 (ガガガ文庫)ジャナ研の憂鬱な事件簿 3 (ガガガ文庫)感想
真冬と過ごしていくうちに少しずつ自分が変化していることを自覚する啓介。様々な出来事を通じてお互いを意識するようになってゆく日常系ミステリー第三弾。真冬の曾祖父が残したメッセージの真意、祭りの夜に姉の絵里と遭遇した逃げる少女が抱える事情、そしてユリのマジックショーと思い出した啓介の「怖い記憶」の真実。今回の謎解きは啓介の意識の変化も感じられて、お互い意識せざるをえない出来事が続いた二人の距離感が印象的でしたが、そんな着実に変わりつつある関係を象徴するような思わぬ一石が投じられて続巻が早く読みたくなりました。
読了日:03月19日 著者:酒井田 寛太郎
断片のアリス (新潮文庫nex)断片のアリス (新潮文庫nex)感想
雪と氷に閉ざされた現実世界から離れ、人々が生活のほとんどをVRシステム「ALiS」の中で過ごす近未来。傷つくことのない穏やかで平和な仮想空間で、突如椎葉羽留がVR内に閉じ込められる脱出サバイバル。「ピノッキオの冒険」をモチーフにしたログアウトもできない謎のVR世界で、謎めいた指示に従って危険を乗り越え狂気の館に集まった生き残りの五人。誰かが死ぬ度に次第に状況が明らかになってゆく構図で、生き残るためにお互いが疑心暗鬼になってゆく展開には緊張感があって、こういう世界観ならではの結末はなかなか興味深かったです。
読了日:03月19日 著者:伽古屋 圭市
お天気屋のお鈴さん (角川文庫)お天気屋のお鈴さん (角川文庫)感想
杜の都仙台を舞台に江戸時代の幽霊・お鈴さんがOLカエデを従えて、人に取り憑いて痴漢する幽霊を追いかけたり、カエデとこんちゃんの親が初めて顔合わせしたりするシリーズ第二弾。相変わらずお鈴さんが周囲を巻き込んでやりたい放題でそれにカエデが振り回される構図。二人のご両親との顔合わせで大騒動に発展した時には、流石ににやり過ぎなんじゃとも思いましたが、危機的状況を彼女なりのやり方でちゃんと挽回してみせるあたりが憎めないんですよね(苦笑)新居でもトラブル続出のカエデでしたけど、お鈴さんとの関係はまだまだ続きそうです。
読了日:03月19日 著者:堀川 アサコ
君のいない町が白く染まる (キャラブン!小学館文庫)君のいない町が白く染まる (キャラブン!小学館文庫)感想
新社会人のケイが引っ越した高円寺のアパートで深夜に現れた幽霊のアカネ。なし崩し的にアカネと同居することになったケイが、ともに過ごすうちに惹かれてゆく物語。新社会人として多忙な毎日を過ごすケイの癒やしとなるアカネの存在。そして手帳を拾ったことをきっかけに始まった陽介と咲夜のもうひとつの恋。たびたび視点が切り替わる構成には最初戸惑いつつ、相手を想えば想うほど胸が締め付けられる展開には切なくなりましたが、物語がひとつにまとまってゆく中でそれぞれが自らの恋にひとつの決着をつける、真っ直ぐで不器用な恋の物語でした。
読了日:03月18日 著者:安倍 雄太郎
システムの問題地図 ~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色システムの問題地図 ~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色感想
現場の生産性を向上させるためのシステム開発は長い間運用側のシステム構築窓口を担当していて、書いてあることはあるあるなことばかりで実感としてもよく分かりますし、そもそもシステム化が必要なのか、どういう基準で作るのかといった視点、そして作ってもらう側もいろいろと整理が必要だし、作る側とお互い努力する・尊重する・歩み寄るしかないんですよね。シリーズとしてよくある現状を整理して問題提起する流れは踏襲されていて、作りっぱなしで実は使われていないはよくある話なので、廃止基準を設けるという視点にはなるほどと思いました。
読了日:03月17日 著者:沢渡 あまね
金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス感想
金曜堂すっかり店にも馴染み、日々お客様に寄り添って、業務に励むアルバイトの倉井。しかし就職活動でどうすべきか悩み、幼い頃に別れた母とも再会することになる第四弾。突然留年したいと言い出した少女の理由に加えて、幼い頃に家を出ていった母との再会、ヤスの恋、金曜堂と知海書房など将来に揺れる倉井の葛藤や、少しずつ変化する南店長との距離感だったり、今回は登場人物それぞれについて随分と掘り下げていくなと感じましたが、この4巻で完結でしたか。一応区切り良く終わってはいますけど、金曜堂や彼らのその後がまた読んでみたいです。
読了日:03月17日 著者:名取佐和子
中古でも恋がしたい! 11 (GA文庫)中古でも恋がしたい! 11 (GA文庫)感想
修学旅行から戻った清一を待っていたのは、聖美お手製のバレンタインチョコによる過激な試食テロ。古都子たちは清一と聖美の不仲を見かねて関係改善の協力を約束。清一も聖美の本心を探る第十一弾。メインヒロイン二人の関係がある程度落ち着いたところで顕在化した、まともに向き合えていない不仲な妹との関係。もうひとつの未来の可能性を垣間見せたイブとの過去の精算もしつつ、バレンタイン対決で聖美との関係も少しは前向きになれましたかね。懸念も解消されて、そろそろ清一もヒロインたちに対する答えを出す時期が近づいてきたんですかね。 
読了日:03月17日 著者:田尾 典丈
タタの魔法使い (電撃文庫)タタの魔法使い (電撃文庫)感想
弘橋高校1年A組の教室に突如出現した謎の魔法使いタタ。タタにより中学校の卒業文集に書かれた全校生徒および教職員の「将来の夢」が全て実現して、学校ごと異世界に転移してしまう物語。生徒の姉による生徒のインタビューをベースに考察を交えながら事件を振り返ってゆく構成。衝撃的な悲劇から始まって、複雑な人間関係の難しさを抱えながら帰還に向けて動き出す物語の本筋自体は悪くなかったと思うんですが、憶測が入り交じった第三者的視点による注釈がいちいち入ることで、うまくやろうとしてかえって空回りした印象を持ってしまいました。 
読了日:03月16日 著者:うーぱー
化学探偵Mr.キュリー7 (中公文庫 き 40-9)化学探偵Mr.キュリー7 (中公文庫 き 40-9)感想
猫柳課長が大学で遭遇した猫虐待事件。美間坂剣也がCM出演オファーを受けた「酔わない酒」の謎。沖野を理解すべく、氷上一司が挑む学生の記憶喪失事件など、これまで出てきた登場人物たち視点の連作短編集第七弾。今回は沖野に舞衣が絡むいつも通りの展開ではなく、要所要所登場して存在感は見せるもののあくまでアドバイザー的立ち位置。猫柳課長視点の話はなかなか興味深かったですけど、これまで登場してきた登場人物たちにもそれぞれ物語があって、視点が変わるとまた新鮮な印象でした。沖野と舞衣の関係はこれからどうなるんでしょうね…。 
読了日:03月15日 著者:喜多 喜久
完パケ!完パケ!感想
経営難で閉校が噂される武蔵映像大学。卒業制作のドラマ映画を撮れるのはたった一人。コンペでガチンコ勝負した親友で監督志望の安原と北川が監督とプロデューサーとして映画製作に挑む青春小説。自らの抱える事情に苦しみながらも妥協しない不器用な監督・安原と、そのフォローをそつなくこなす一方で自分にないものに葛藤する北川の複雑な関係。そして映画に関わる制作側・役者たちにもそれぞれの葛藤があって、ぶつかりあいながら少しずつお互いを理解していって、完パケに向けてひとつにまとまってゆく熱い展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:03月15日 著者:額賀 澪
京都寺町三条のホームズ(9)恋と花と想いの裏側 (双葉文庫)京都寺町三条のホームズ(9)恋と花と想いの裏側 (双葉文庫)感想
大学にも馴れてきたけれど、相変わらず修行中の清貴とはなかなか会えない日々を過ごす葵。清貴は修行先で仕事に謎解きに活躍し、葵もまた手伝うサークルで先輩の謎の決断に直面する第九弾。何というか修行に行く先々で大活躍する清貴のそつのなさにはもう苦笑いしかないですが、だからこそ彼が見せる葵にはぞっこんな様子のギャップが効いてますね。葵もちゃんと自分のしたいことに向かって努力する真っ直ぐな姿が印象的で、頑張る二人には不安もあるだろうけれど、一緒に乗り越えて欲しいと応援したくなりました。二人の旅行編楽しみにしています。
読了日:03月14日 著者:望月 麻衣
恋するアクアリウム。 (富士見L文庫)恋するアクアリウム。 (富士見L文庫)感想
会社にも地元にも居場所がなくなり上京した浅見桐子。しかし落ち着き先を火事で失い、仕方なく歳下の幼馴染・佐倉井真也の元に転がり込んで同居生活が始まる「おいしいベランダ。」のスピンオフ小説。魚マニアだった弟分を甲斐甲斐しく世話したり振り回したりで、その日常を確実に塗り替えてゆく桐姉の存在感。なのに転職先が決まってあっさり終わった同居生活と、思わぬところから明らかになる彼女の上京理由。お人好しで面倒見の良いところが裏目に出ていた桐姉でしたけど、彼女をよく知る真也の真摯な想いが心にじんわりと来る素敵な物語でした。
読了日:03月14日 著者:竹岡 葉月
浅草鬼嫁日記 四 あやかし夫婦は君の名前をまだ知らない。 (富士見L文庫)浅草鬼嫁日記 四 あやかし夫婦は君の名前をまだ知らない。 (富士見L文庫)感想
前世の嘘の一つが明かされ、すれ違っていた想いに再び向き合った真紀と馨は約束していた江ノ島デートへ。その頃浅草では由理彦の妹・若葉が怪我をしたあやかしと出会う第四弾。らしさを取り戻しつつある二人にホッとしましたが、今回は由理彦の嘘と彼を気にかける妹・若葉の関係がテーマ。大切に思うからこそ本当のことを知りたいという切なる想いが、思わぬ結果を招いてしまう皮肉な結末。周囲が許容して今の家族が大切でも、決断を翻さなかった彼の選択には救いもありましたが、それで失われてしまった関係を思うとやはり複雑な気分になりました。
読了日:03月14日 著者:友麻碧
ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン (GA文庫)ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン (GA文庫)感想
ゴブリンの襲撃で最愛の姉や村を喪った少年。五年後、辺境の街の冒険者ギルドに訪れた少年はゴブリンを皆殺しにすべく冒険者となって、帰る村をなくしたかつての幼馴染と再会する前日譚的外伝。悔恨を抱えたままだった牛飼娘との再会だけでなく、新人だった頃の受付嬢や槍使い、重戦士たちとの邂逅もあって、ゴブリン相手の戦いの中で経験不足や足りない部分を補いつつ、一人でゴブリンと戦い続けようとする彼の姿は印象的でした。自覚のないまま幼き頃の女神官とも出会っていたりで、仲間たちと邂逅するまでどのような物語があるのか続巻にも期待。
読了日:03月14日 著者:蝸牛 くも
ゴブリンスレイヤー7 (GA文庫)ゴブリンスレイヤー7 (GA文庫)感想
故郷から知らせを受けた妖精弓手の招きで森人の里に行くこととなった一党。川を上り森人の里を目指す一党がゴブリンに遭遇し、密林の奥に潜むと言われている古きものが現れる事件が起きる第七弾。今回は牛飼娘と受付嬢も加えた一党で森人の里訪問となりましたけど、ゴブリンスレイヤーの行くところゴブリンありとなるのはお約束ですね(苦笑)彼に会って頼まれごとをされ心浮き立つ剣の乙女が可愛かったり、相変わらず過酷な戦いでは窮地に女神官の奮闘もあったりで、彼も周囲も少しずつ変わってゆく今回もまた読み応えがありました。続巻に期待。 
読了日:03月13日 著者:蝸牛 くも
りゅうおうのおしごと! 8 (GA文庫)りゅうおうのおしごと! 8 (GA文庫)感想
順位戦が終わり『山城桜花戦』を見守るため、あいを伴って京都を訪れた八一。挑戦者の月夜見坂燎とタイトル保持者の供御飯万智、親友同士の二人が激突する第八弾。短編ネタを挟みつつ月夜見坂燎と供御飯万智それぞれと縁のある八一とのエピソード、そして二人の熱い戦いが描かれた今回でしたけど、二人の女流棋士の葛藤とそれでも前を向こうとするそのありようにもまたぐっと来るものがありました。ますますロリキングぶりに磨きがかかる竜王はその熱い思いで周囲を巻き込まずにいられないというか、ほんと罪作りなおひとですね(苦笑)続巻に期待。
読了日:03月13日 著者:白鳥 士郎
どうか、天国に届きませんように (集英社オレンジ文庫)どうか、天国に届きませんように (集英社オレンジ文庫)感想
ある日の帰り道、自分の指に絡まる黒い糸に気づいたオカルトに憧れる小学生の「僕」。偶然が偶然を呼び、不幸に魅入られた者たちが巡り合い連鎖していく連作短編集。死体に導く黒い糸や、身寄りをなくした少年が身を寄せた白い檻、田舎にある古い家にあった灰色の箱、死んだ男が見出した光の窓、現実に絶望する少女の密かな望み。不思議な力に魅入られて人生を狂わせてゆく哀しい登場人物たちでしたけど、徐々にそれぞれの話が繋がり構図が明らかになってゆく展開の妙と、複雑な想いを抱かせてしまうその結末はとてもこの物語らしくて印象的でした。
読了日:03月13日 著者:長谷川 夕
逆境ハイライト - へこたれずに生きています。 (中公文庫)逆境ハイライト - へこたれずに生きています。 (中公文庫)感想
商社で着実に出世街道に乗り彼女もいた朋文。それなりに順調な人生だったはずが、身に覚えのない罪状でいきなり逮捕され、さらに潰れかけた実家の老舗和菓子屋では父親の突然の失踪してしまう物語。朋文が直面する突然の逮捕から始まる運命の急転と、踏んだり蹴ったりなトラブルの連続。順調だった仕事も結婚を視野に入れていた彼女も、誤認逮捕で失ったものはもう取り戻せない容赦のない現実に読んでいる方も愕然としてしまいますが、それでも何とか乗り越えようと覚悟を決めた朋文が直面する新展開がどう繋がってゆくのか続巻に期待したいですね。
読了日:03月13日 著者:谷崎 泉
マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)感想
人工海上都市『キヴィタス』のアンドロイド管理局に勤める若きエリート技師エルが、仕事からの帰り道で登録情報のない野良アンドロイドの少年・ワンと出会い不思議な共同生活を始める物語。アンドロイドが貴重な労働力になっている世界で、不器用だけれどアンドロイドには真摯に向き合うエルに、訳ありなアンドロイドのワンは何だかんだ言いながらも振り回されっぱなしで、エルの事情も明らかになってゆく中、二人の関係性がワンの過去を巡る騒動と絡めつつとてもいい感じに描かれていたと思いました。もし続巻あるようならまた読んでみたいですね。
読了日:03月12日 著者:辻村 七子
きみを忘れないための5つの思い出 (集英社オレンジ文庫)きみを忘れないための5つの思い出 (集英社オレンジ文庫)感想
他人の記憶に極端に残りにくい体質の少女、自分に恋する人の視力が下がってしまう少女、教室から出られなくなってしまった少女、事故で意識不明の恋人とメールでやり取りできるようになった少女と、少し変わった性質を持った少女たちと彼女に恋した少年たちの物語を描いた連作短編集。人と違う自分を意識することで周囲と距離を置いていた少女たち。そんな頑なになっていた彼女たちが築いた壁に挑む男の子たち、乗り越えようとしたヒロインには苦難や葛藤が伴いましたけど、それでも諦めずに乗り越え人生が変わってゆく展開はなかなか良かったです。
読了日:03月12日 著者:半田 畔
恋してるひまがあるならガチャ回せ! (電撃文庫)恋してるひまがあるならガチャ回せ! (電撃文庫)感想
バイト代を全てスマホゲーに突っ込んでしまうガチャだけが生き甲斐の留年寸前大学生・遠野が、旧華族出身のガチお嬢様で廃課金ゲーマーの薗村紗雪と邂逅する廃課金ラブコメ。拗らせ過ぎて言動がキモい遠野と、そこまで突き抜けてないだけで負けず嫌いの廃課金ゲーマーな紗雪。一見まともに見える友人の樋沢も違う意味で残念なお人で、ラブコメよりもひたすらスマホゲーとガチャに突っ走る彼らの呆れ果てたやり取りには苦笑いでしたけど、だからこそ覚悟した遠野が見せた矜持とそのブレない熱い想いは良かったですし、二人のその後が気になりますね。
読了日:03月11日 著者:杉井 光
Hello,Hello and Hello (電撃文庫)Hello,Hello and Hello (電撃文庫)感想
なぜだか春由のことを知っていて声を掛けてくる不思議な少女・椎名由希。何度も消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を二人で積み重ねてゆく出会いと別れの物語。シチュエーションを変えて出会いと思い出を積み重ねてゆく春由と由希。なぜ出会いが繰り返されるのか、甘酸っぱい思い出の中で由希は切なそうなのか、明らかになってゆく彼女の特殊な事情。何度もお互い想い合うようになっても、彼女の真意はなかなか伝わらなくて、確かに望みは叶えられたのかもしれないけれど、これで良かったと言えるのかいろいろと考えてしまう結末でした。 
読了日:03月11日 著者:葉月 文
俺を好きなのはお前だけかよ(8) (電撃文庫)俺を好きなのはお前だけかよ(8) (電撃文庫)感想
甲子園優勝を目指すサンちゃんが、体育館裏の木の上から突然落ちて来た少女・アネモネと出会い、野球部のマネージャーになった謎めいたお姫様と甘酸っぱくほろ苦いひと夏を過ごす第八弾。今回はサンちゃんが主人公のサイドストーリー。伸び悩む部員たちと共に過ごしてなくてはならない存在になっていったアネモネの魅力とサンちゃんとの甘酸っぱいやりとり、野球部員たちの決意がもたらした結末は切なかったですけどぐっと来るものがありました。でもそれをああやって繋げてくるのはずるい(苦笑)これもまた本編に繋がってるんですね。続巻に期待。
読了日:03月10日 著者:駱駝
魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編<上> (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編<上> (電撃文庫)感想
七賢人のレイモンド・クラークによってトーラス・シルバーの正体を明かされてしまった司波達也ディオーネー計画に対抗すべく兼ねてより研究をしていたESCAPES計画を発表する第二十四弾。こうなった以上、対抗するには向こうの計画に匹敵する対案を出すしかないわけで、逃げるのではなく真っ向から立ち向かっていった達也の立ち位置はまたここで大きく変わっていってる感。実力行使に出てきた相手に加えて、変わりつつある光宣や複雑な立ち位置にあるリーナたちの動向や、何より以前の悲劇は繰り返されないんですよね?続巻が気になります。
読了日:03月10日 著者:佐島 勤
京都西陣なごみ植物店 2 「安倍晴明が愛した桔梗」の謎 (PHP文芸文庫)京都西陣なごみ植物店 2 「安倍晴明が愛した桔梗」の謎 (PHP文芸文庫)感想
マンション建設予定地に異常なほど雑草が生い茂る理由、怪しげなカフェが売り出す晴明の愛でた桔梗、角倉了以が茶会であえて使った「禁じられた花」の正体など、不思議な植物と謎を巡る連作ミステリー第二弾。いい感じなのに実菜相手にもう一歩が踏み込めない状況で、姉妹をよく知る鈴池雪伸が登場。強力なライバルに心揺れながらも、二人で補い合いながら一緒に事件を解決したり、実菜の姉・花弥や雪伸がもたらす謎に真摯に向き合う神苗が良かったですね。著者さんらしい雰囲気が二巻目でさらにいい感じにこなれてきて、続巻が楽しみになりました。
読了日:03月09日 著者:仲町 六絵
女子高生探偵シャーロット・ホームズの帰還 〈消えた八月〉事件 下 (竹書房文庫)女子高生探偵シャーロット・ホームズの帰還 〈消えた八月〉事件 下 (竹書房文庫)感想
毒殺未遂と失踪事件から始まった絵画贋作事件を追うシャーロットとジェイミー。ジェイミーは誘拐されかけ、シャーロットが真相解明に向け動き出す第二弾下巻。モリアーティ家の長年の抗争に巻き込まれ、当たり前のようにシャーロットと行動を共にして毎回ボロボロになるジェイミー。お互いかけがえのない存在と思っていても求めるところがズレている二人の関係は複雑で、明らかになっていく事件の何ともあれな構図を知ってしまうと何か報われてない感が半端ないですね...ここまで来たらこれから二人がどうなってゆくのか最後まで見届けたいです。
読了日:03月09日 著者:ブリタニー・カヴァッラーロ
女子高生探偵シャーロット・ホームズの帰還 〈消えた八月〉事件 上 (竹書房文庫)