読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

8月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

というわけで8月の購入検討&気になる本ほかピックアップです。現時点で判明/自分が認識している分を掲載していますが、刊行点数が比較的少ないと言われる8月でも候補はまだちょっと多いですね…。一般文庫と単行本はいつもの通りでここからもう少し増えそうです。来月はお盆休みの影響もあってか中旬の発売がずいぶんと前後に振り分けられています。8月の連休前と20・21日前後はだいぶ発売が集中しそうです。

 

一覧を見てもらえば分かる通り(予定では)読みたいシリーズ続巻が目白押しで調整が大変です。電撃文庫の「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の続巻には愕然としましたが、その結末が妹ものを読む気が失せる原因となった個人的にいわくつきのシリーズなのですが、あやせifということでちょっと読んでみようかなとは思ってます(苦笑)「宝石吐きのおんなのこ」あたりも気になるところではあります。

 

新作は現時点ではそこまで手が回っていないので最終的な選別はちょっと調べてから考えることになりそうです。その中でも気になる新作を挙げていくと水野良さんのスニーカー文庫ロードス島戦記」、ラノベ文庫「あなたのことを、嫌いになるから。」「スーサイド少女」隙名ことさんのポプラ文庫ピュアフル「秋葉原オーダーメイド漫画ラボ」、大澤めぐみさんの光文社キャラクター文庫「彼女は死んでも治らない」、新創刊のポルタ文庫から斜線堂有紀さんの「死体埋め部の悔恨と青春」、周藤蓮さんの電撃文庫吸血鬼に天国はない」あたりですか。思った以上に激戦でどれを買うのか、読むのか悩みが尽きない一ヶ月になりそうです(苦笑) 

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

ロードス島戦記 誓約の宝冠1 (角川スニーカー文庫)

 
あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

あなたのことを、嫌いになるから。 (講談社ラノベ文庫)

 
スーサイド少女 (講談社ラノベ文庫)

スーサイド少女 (講談社ラノベ文庫)

 
(P[す]1-2)秋葉原オーダーメイド漫画ラボ

(P[す]1-2)秋葉原オーダーメイド漫画ラボ

 
死体埋め部の悔恨と青春 (ポルタ文庫)

死体埋め部の悔恨と青春 (ポルタ文庫)

 
吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない (電撃文庫)

 

 

HJ文庫(8/1発売)
・最強魔法師の隠遁計画9 イズシロ/ミユキルリア
・精霊幻想記 14.復讐の叙情詩 北山結莉/Riv

スニーカー文庫(8/1発売)
この素晴らしい世界に祝福を!16 脱走女神、ゴーホーム! 暁なつめ/三嶋くろね
・【新】ロードス島戦記 誓約の宝冠1 水野良

ビーンズ文庫(8/1発売)
アルバート家の令嬢は没落をご所望です6 さき/双葉はづき

講談社ラノベ文庫(8/2発売)
・【新】あなたのことを、嫌いになるから。 氷高悠/サコ
・【新】スーサイド少女 衛元藤吾/篠月しのぶ

ポプラ文庫ピュアフル(8/2発売)
・真夜中だけの十七歳 櫻いいよ
秋葉原オーダーメイド漫画ラボ 隙名こと

光文社キャラクター文庫(8/5発売)
・彼女は死んでも治らない 大澤めぐみ

小学館文庫キャラブン!(8/6発売)
・ヴァンパイア探偵 ――禁断の運命の血―― 喜多喜久/トーレス柴本
・返却はお早めに あやかし文庫へようこそ 椎名蓮月/潤宮るか

幻冬舎文庫(8/6発売)
・【文】放課後の厨房男子 まかない飯篇 秋川滝美

宝島社文庫(8/6発売)
・【文】木曜日にはココアを 青山美智子
・オタクと家電はつかいよう ミヤタ電器店の事件簿 田中静人

双葉文庫(8/8発売)
・ノベライズ ReLIFE 1 蒔田陽平 原作:夜宵草
・ノベライズ ReLIFE 2 蒔田陽平 原作:夜宵草

講談社単行本(8/8発売)
・電気じかけのクジラは歌う 逸木 裕

河出書房新社単行本(8/8発売)
・森があふれる 彩瀬まる

祥伝社単行本(8/8発売)
・無実の君が裁かれる理由 友井羊

GA文庫(8/9発売)
りゅうおうのおしごと!11 白鳥士郎/しらび
・ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか?4 ~好きの対義語は大好き~ 望公太/ななせめるち

GAノベル(8/9発売)
ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》 上 蝸牛くも/lack

講談社文庫(8/9発売)
・【文】病弱探偵 謎は彼女の特効薬 岡崎琢磨

SKYHIGH文庫(8/9発売)
・花琳仙女伝 引きこもり仙女は、それでも家から出たくない 桜川ヒロ/花邑まい

ポルタ文庫(8/9発売)
・死体埋め部の悔恨と青春 斜線堂有紀/とろっち
・託児処の巫師さま 奥宮妖記帖 霜月りつ/藤未都也

富士見L文庫(8/10発売)
・おいしいベランダ。 返事は7日後のランチで聞かせて 竹岡葉月/おかざきおか

・地球が終わるらしいので、いまからキミを監禁します。 兎山もなか/黒衛もん
・龍のいとし子 戌島百花/ハルカゼ
・さくら書店の藍子さん 小さな書店のささやかな革命 浅名ゆうな/カワグチ
・あやかしお宿に帰りましょう。 かくりよの宿飯 十 友麻碧

電撃文庫(8/10発売)
・【新】吸血鬼に天国はない 周藤蓮/ニリツ
俺の妹がこんなに可愛いわけがない (13) あやせif 上 伏見つかさ/かんざきひろ
・あの日、神様に願ったことは II girls in the gold light 葉月文/フライ

ビーズログ文庫(8/15発売)
・十三歳の誕生日、皇后になりました。2 石田リンネ/Izumi

ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ(8/17発売)
・宝石吐きのおんなのこ9 ~少女への祈り~ なみあと/景

ファンタジア文庫(8/20発売)
・撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ III  ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― 上川景/TEDDY
・ラストラウンド・アーサーズ4 最弱の騎士と最も優れた騎士 羊太郎/はいむらきよたか
・豚公爵に転生したから、今度は君に好きと言いたい8 合田拍子/nauribon
ゲーマーズ!12 ゲーマーズと青春コンティニュー 葵せきな/仙人掌
ロクでなし魔術講師と禁忌教典15 羊太郎/三嶋くろね

ハヤカワ文庫JA(8/20発売)
・誰も死なないミステリーを君に2 井上悠宇

ガガガ文庫(8/21発売)
コップクラフト7 DRAGNET MIRAGE RELOADED 賀東招二/村田蓮爾
・月とライカと吸血姫5 牧野圭祐/かれい
・ハル遠カラジ3 遍柳一/白味噌
・【新】むしめづる姫宮さん 手代木正太郎/Nagu

集英社オレンジ文庫(8/21発売)
・宝石商リチャード氏の謎鑑定 邂逅の珊瑚 辻村七子/雪広うたこ
後宮の烏3 白川紺子/香魚子
・法律は嘘とお金の味方です2 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 永瀬さらさ/おかざきおか
・要・調査事項です!2 (仮) きりしま志帆/鉄雄
・平安あや解き草紙 その後宮、百花繚乱にて (仮) 小田菜摘/シライシユウコ

講談社タイガ(8/22発売)
・体育会系探偵部タイタン! レボリューションズ 清水晴木/いつか

角川文庫(8/23発売)
・遺跡発掘師は笑わない 勤王の秘印 桑原水菜
・君の想い出をください、と天使は言った 辻堂ゆめ
・【文】教室の灯りは謎の色 水生大海
・小説 空の青さを知る人よ 額賀澪 原作:超平和バスターズ
・丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。5 竹村優希

MF文庫J(8/24発売)
・【新】わたしの知らない、先輩の100コのこと1 兎谷あおい/ふーみ
・ぼくたちのリメイク Ver.β 木緒なち/えれっと
・なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?7 禍の使徒 細音啓/neco

メディアワークス文庫(8/24発売)
・迷える羊の森 ~フィトセラピスト花宮の不思議なカルテ~ 有間カオル
・かりゆしの島のお迎えごはん ~神様のおもてなし、いかがですか?~ 早見慎司
・初恋ロスタイム ―First Time― 仁科裕貴
・初恋ロスタイム ―Advanced Time― 仁科裕貴
・いざ、しゃべります。 並木飛暁

HJノベルス(8/24発売)
うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。9 CHIROLU/景

オーバーラップ文庫(8/23発売)
・【新】本屋の店員がダンジョンになんて入るもんじゃない しめさば/切符

新潮文庫nex(8/28発売)
・天久鷹央の事件カルテ5 知念実希人/いとうのいぢ
・さよならの言い方なんて知らない。 河野裕
・君と漕ぐ2 ―ながとろ高校カヌー部― 武田綾乃/おとないちあき
・探偵AI2 早坂吝/VOFAN

夏に読みたいライトノベル/ライト文芸10選

書店で毎年恒例の夏の100冊を眺めていて、当初は夏の文庫セレクト企画的なものを考えていたのですが、学生も夏休み入ったしひと夏の物語企画を作ろうと思いついて今回の企画になりました。しかし基本的に企画を作るときは自分が読んだ本の中から選んでいるのですが、実際に選んでみるとまさかのひと夏の物語でオススメしたい本が思ったより少ないとかいう企画倒れになりかねない展開orz

 

内心ライトノベル単体で案外あるんじゃないかと思ったんですけどね…結局今回はライト文芸と合わせては厳選して文庫に絞って10冊にしました。夏の文庫企画的なものも作りたいんですけどね…今いろいろ忙しいので時間があれば考えたいところです。

 

1.きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

 

2025年の夏休み。双子の高校生・明日子と日々人は突然いとことの同居を父から告げられ、やって来た今日子が実は長い眠りから目覚めた三十年前の女子高生だったという物語。時代のギャップに戸惑いながら徐々に双子と打ち解けてゆく今日子の存在は、バラバラになっていた家族を繋ぐきっかけにもなって、過去との繋がりを感じるがゆえにもう取り戻せないことを痛感する彼女と、どうにもならない現実に直面した双子の対照的な選択、昔の想い人の回想がとても印象に残りました。懐かしい気持ちと切ない気持ちが入り混じる素敵なひと夏の物語ですね。

2.ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)

人と吸血鬼が昼と夜を分け合う世界。両親が営むコンビニを手伝う高校生・山森頼雅と、夕方に紅茶を買っていく自分と同じ蓮大附属に通う少女冴原綾萌と出会いを描く青春小説。頼雅と吸血鬼の少女冴原との出会いは不器用だけれどまっすぐで、容易には越えられない壁を感じながら、それでも惹かれ合う二人の思いにとても切ない気持ちになりました。そんな思い悩む吸血鬼の冴原も、夜の世界では厳しい指導ぶりにバレー部の後輩から「オニハラ」とか呼ばれてしまう存在。ファンタジーな設定が日常に溶け込んでいる、ステキな世界観でした。

3.夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)

 

海に面する田舎町・香崎。家族崩壊させた過去を悔やむ高校生・塔野カオルが、クラスで浮いた存在になっていた転校生・花城あんずと互いの欲しいものを手に入れるため協力関係を結ぶ青春小説。夏の日のある朝、塔野カオルが偶然耳にした、中に入れば年を取る代わりに欲しいものが何でも手に入る『ウラシマトンネル』の都市伝説。周囲との関係を拒絶していたあんずの言動はなかなかぶっ飛んでいましたが、彼女との協力関係から始まった二人の不器用なやりとりはとても甘酸っぱくて、大切なものに向き合った二人の結末にはぐっと来るものがありました。

4.かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月 (角川スニーカー文庫)

いなり寿司しか食べられない呪いを祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた高校生春秋。そんな彼が神様との縁を切ることで怪異を祓う花人の後継者の少女・空と出会い、怪異解決に挑む沖縄青春ファンタジー。天真爛漫でどこまでもフリーダムだけれど島想いな空たちに翻弄されながら、徐々に変わってゆく春秋の心境。師匠を亡くし未熟を自覚しつつも、事情を知って春秋のために呪いを解こうとする空の決意。のびやかな舞台で繰り広げられる物語の結末はちょっぴり切なくて、けれどそれを乗り越える爽快な読後感は著者さんらしい魅力に溢れていました。

5.黒豚姫の神隠し (ハヤカワ文庫JA)

黒豚姫の神隠し (ハヤカワ文庫JA)

黒豚姫の神隠し (ハヤカワ文庫JA)

 

黒豚の悪神伝説が言い伝えられている宇嘉見島。その古臭い慣習も閉鎖的な環境も大嫌いな中学生ヨナのクラスに、東京から美少女・波多野清子が転校してくるひと夏の異世界譚。清子の美声を聞いて彼女を主演に『オズの魔法使い』の映画を取りたいとアプローチするヨナ。そんな彼だけでなくクラスの皆からも距離を置く清子が隠す秘密。ヨナたちのお陰で本来の姿を見せるようになった清子はとてもいい子で、だからこそ明かされた真相には切ない気持ちにもなりましたけど、彼女が笑って過ごせるようになった結末にはとても心温かい気持ちになりました。

6.終わりの志穂さんは優しすぎるから (メディアワークス文庫)

東京のはるか南に位置する咲留間島。夏の間に画家として納得できる作品を描けなければ、筆を折ってこの島に骨を埋めようと覚悟して絵を描く森公一朗が、ミステリアスな雰囲気を持つ志穂さんと出会うひと夏の物語。なぜこのような場所にいるのか、いかにも訳ありに見える志穂さんと、島にやってきた志穂の妹・紫杏たちと交流しながら絵が完成に近づいていく一方、疑惑を深めていく公一朗が見つけてしまったモノの真実。できることなら二人がもっと違う形で出会うことができれば良かったですが、これはこれでこの物語らしい優しい結末だと思いました。

7.夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

夏の王国で目覚めない (ハヤカワ文庫JA)

 

再婚の父に新しい母と弟。私だけが家族になりきれていない女子高生の美咲。そんな彼女が熱中する作家・三島加深のミステリツアーに招待され、家を出て三日間のツアーに飛び込むひと夏のクローズドサークル。「謎を解けば加深の未発表作を贈る」と誘われて集まり、不可解な消失や死体でお互い疑心暗鬼になってゆく参加者たち。解き明かされてゆく謎は未発表作に込められた真意にも繋がっていて、彼らと共に過ごしたとても印象的なひと夏の体験が、きちんと今の自分と向き合ってそれぞれの新しい一歩を踏み出す勇気へと繋がってゆく素敵な物語でした。

8.二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

 

転校生・森山燐と意気投合し、念願だった文化祭でのバンド演奏を成功させながら、亡くなる間際の彼女に告白した結果すれ違ったまま失った智。そんな後悔から引きこもってしまった彼が、彼女と出会いからやり直す機会を得る物語。彼女との別れで再び後悔しないため、やり直す日々で奔走する智でしたが、それはやはり燐を大切に思う気持ちがあったからですよね。そう遠くない別れを予感しながらも精一杯生きようとする燐と、そんな彼女の思いをきちんと受け止めて、悲しみを乗り越えて再び歩き出そうとする智の二人を描いた素晴らしい青春小説でした。

9.夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

夏の終わりとリセット彼女 (ガガガ文庫)

 

事故で記憶を失った杓子定規の風紀委員桜間さんと、ちょっと臆病で嫌なことがあるとサボる癖のある峰康。ぎこちない彼氏彼女の関係だった二人のリスタート。再会して「私が一番嫌いなタイプの人間だと思います」と本人に突きつける桜間さんからなぜ峰康に告白したのか。つまるところこの物語のテーマはそこに尽きるわけですが、徐々に明らかになっていく桜間さんの不器用な思いに対して、峰康は峰康で考え過ぎで見ていてもどかしくて、でもすれ違ってばかりの二人だからこそ、遠回りながらもいい感じにまとまりそうな結末には救われる思いでした。

10.八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。 (メディアワークス文庫)

高二の夏に心臓の病が原因で亡くなった彼女・透子のことを未だ引きずっていた成吾。四年ぶりに地元に帰った成吾が再び手にした交換日記の空白に新たな返事が綴られてゆく物語。彼女が亡くなって以来、初めて訪れた彼女の実家で手にした交換日記に起こった不思議な出来事。語られる彼らの出会いと、交換日記を通じて交わされる時を超えた透子とのやりとり。未来を知っているからこそ何とか変えたい成吾と、その時を後悔しないように精一杯生きたい透子の交流はもどかしく切なかったですが、精一杯真摯に向き合った二人のやりとりは心に響きました。

 

以上です。気になる本があったらぜひ手にとって読んでみてください。

 

好きなラノベを投票しよう 2019年上半期投票10作品

今年もやってきました好きなラノベを投票しよう、通称「好きラノ」。というわけで個人的に今回オススメする10作品を紹介します。いつもどおり期間中に刊行になった新作のみで構成しています。

 

1.お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

 

藤宮周が一人暮らしするマンションの隣室に住む学校で一番の美少女・椎名真昼。特に関わり合いのなかった彼女とふとしたきっかけから交流が始まる青春小説。雨の中ずぶ濡れの彼女に貸した傘をきかっけに、自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて食事を作り部屋を掃除し、何かと世話を焼く真昼。自分だけが知るクールで毒舌な彼女と過ごす日々に少しずつ心境が変化してく周と、家の事情を抱えていそうな彼女との関係がどうなるのか。現時点ではまだまだこれからですけど、もどかしい甘酸っぱい展開を期待できそうで今後が楽しみな新シリーズですね。

【19上ラノベ投票/9784815602482】


2.幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

 

脈アリと思っていた片思いの相手・白草に彼氏ができたと知った高校生・丸末晴。失意の彼に以前告白してきた幼馴染・黒羽が復讐を持ちかける青春ラブコメディ。美少女で芥見賞受賞の現役女子高生作家・白草と、陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系の黒羽。偽恋人として白草を挑発したり、白草の恋人という先輩と勝負したり、だいぶ拗らせたそれぞれの恋愛模様にもう素直になれよ…と思いましたけど、甘酸っぱい青春の先には斜め上の結末が待ってました(苦笑)そんな彼らだからこその新展開もあって、今後に期待大の新シリーズですね。

【19上ラノベ投票/9784049125245】


3.友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

 

青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。 7月に2巻目が刊行予定。

【19上ラノベ投票/9784815601874】

 

4.クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

 

異世界の魔人召喚に失敗したクラスメイトの美少女・藤原千影。不可抗力で彼女を使い魔にしてしまった落ちこぼれ魔術師・芦屋想太の主従関係を描く魔法学園ラブコメ。千影と融合した皇女で想太に執着する強力な異世界の魔人ソフィア。不本意な同居生活を始めた二人のツンデレ気味なテンポの良い掛け合いには確かな積み重ねがあって、自分を救ってくれた千影を取り戻すために想太が立ち上がり、千影が魔人相手に見事決着をつけてみせる展開にはぐっと来ました。過去の因縁を抱える主従関係がこれからどうなるのか、続巻にも期待大の新シリーズですね。

【19上ラノベ投票/9784094517910】

5.Unnamed Memory (DENGEKI

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

 

幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、強国ファルサスの王太子・オスカーが試練を乗り越えたものに望みのものを与える魔女・ティナーシャの塔に挑むファンタジー。解呪が容易でなく呪いに負けない女であればいい、という状況で目の前に好物件がいたことに気づき求婚するオスカー(苦笑)わりとシリアスな展開ですが繰り返される二人のやりとりが微笑ましくて、感化されつつも容易には頷きそうもない孤高の魔女・ティナーシャが、どんどん強くなってゆく諦めが悪そうなオスカー相手にどこまで頑張れるのか今後に期待のシリーズです。現在2巻まで刊行。

【19上ラノベ投票/9784049122671】


6.リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

 

塵禍で文明が一度滅び、砂塵を異能力に変換できる「砂塵能力者」が力を持つ近未来。因縁の復讐相手・スマイリーを追うチューミーが、利害の一致から一時的に粛清官に協力し、ワケありの粛清官・シルヴィとコンビを組む近未来SF復讐譚。特殊な事情を抱えていたシルヴィと出会い、最初は反発しながらも徐々に育まれていく相棒としての信頼感。テンポよく進む中でスマイリーと追う二人を巡る因縁も明らかになって、何度も葛藤と絶望に直面する異端のバディが待ち望んだ宿敵との対峙と決着、確かな絆が垣間見えた結末にはぐっと来るものがありました。

【19上ラノベ投票/9784094517972】

 

7.葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

 

様々な種族がひしめき合う小国ランタン。流浪の少年メルがランタン王に語学を買われ政略結婚を控える豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢、なりゆきで次期王に任命され敗戦必至の戦いに挑むファンタジー。常に優しいメルに惹かれてゆく奔放な姫君・シャルネ。婚姻が最悪の形で破談となった巻き添えで亡国の危機に陥ったランタン。シャルネと並び立つ弱小国王として仲間の助力を得て異なる種族の力を糾合し、熱い想いと知略を尽くして大軍に立ち向かいつつ、巧みな心理戦で勝利を手繰り寄せる展開にはぐっと来るものがありました。続編も期待してます。

【19上ラノベ投票/9784041083741】


8.撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ  (ファンタジア文庫)

機甲車と弾丸魔法による凄絶な戦争が続く世界。戦いの中で亡霊を名乗る少女・エアと出会い、被弾者の存在・功績を消滅させる悪魔の弾丸を入手した学生兵・レインが、戦争を終わらせようと立ち上がるミリタリックファンタジー。授けられた弾丸を使って世界を再編していくレイン、謎めいたエアの過去と亡霊を巡る因縁。レインの学生らしい生活と背中合わせの容赦ない戦争の凄惨さがうまく描かれていて、因縁の決着をつけるために戦う二人の間で育まれてゆく絆が印象的でした。現在2巻まで刊行。

【19上ラノベ投票/9784040730202】


9.のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)

長大な壁で外界を拒絶した人間の国イエール。不治の病で壁外に追放された第三王子シュウが、壁外で生きる異形の民モール族の王女ミサキと出会うファンタジー。急速に工業化が進むイエールの陰で犠牲になっているフロンティアの存在。シュウがミサキに連れられてたどり着いた新天地と病の真実。運命に翻弄されながらも人間とモール族の共生を目指して、ふたつの種族の間に横たわる大きな壁を破壊すべく、仲間とともに毅然と立ち向かう二人の姿にはぐっと来るものがありました。物語としてはまだまだこれからですが、今後に期待大の新シリーズですね。

【19上ラノベ投票/9784040731780】

 

10.1/2―デュアル― 死にすら値しない紅 (角川スニーカー文庫)

 

殺されヒトとしての一部分を失い、引き替えに特殊能力を得て生き返る偽生者。偽生者を殺し直すために生きる限夏が、不老不死な偽生者の少女・伴を相棒とする近未来SF。ぎこちない距離感から始まった二人が挑む、偽生者による国家統一を掲げたテロ事件発生と、首謀者と伴を巡る凄惨な因縁。そんな彼女に限夏がいかにして並び立つ存在になりうるのかが問われる展開でしたけど、絶妙のタイミングで複雑な過去や葛藤も絡めつつ、絶望する彼女が直面する最悪の状況にも最後まで諦めずに挑み、見事に伴の相棒たることを証明してみせた結末は見事でした。

【19上ラノベ投票/9784041076774】

 

以上です。

気になる本があったら是非読んでみて下さい。

2019年上半期注目のオススメ新作ライト文芸26選

2019年上半期注目のオススメ新作企画、「ライトノベルファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」「一般文庫」に続く第四弾は「ライト文芸」レーベル編です。どうしても後追い気味になっているために仕方ないのですが、この時期までずれ込むと、もうどこまで入れるのか諦めるのかなかなか難しいところではあります(苦笑)

 

ライト文芸レーベルの増加もあって刊行点数そのものが増えていて、できるだけ気になるものは読むようにしているものの、どこまでカバーできているのかは正直なところ怪しい部分も出てきました。とはいえ相対的に見ればそれなりに読んでいる方だとは思うので、自分が上半期に読んだものの中からオススメしたい26作品を今回紹介しています。

 

なお今回の上半期企画としてはあと「単行本」編が残っていますが、こちらもまだ読んでいない本が数冊あるので、それを読んだら更新の予定です。よろしくお願いします。

 

1.ホテルクラシカル猫番館 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

 

師匠が倒れ3年間勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。旧家の子女ゆえ祖父からお見合いを勧められるも、きっぱりと断って横浜・山手の「ホテル猫番館」で働き始める物語。紗良に仕事を紹介した叔父の誠、気難しいシェフの隼介や人なつっこいコンシェルジュの要に囲まれ、職場に溶け込んでゆく紗良。働く人たちそれぞれの事情や、彼らの意外な一面も明らかになっていって、師匠にその成長した姿を見せる展開にはぐっと来るものがありました。紗良たちのこれからを温かく見守りたい、続きが読みたいと思わせてくれる素敵な作品でした。

2.谷中びんづめカフェ竹善 (集英社オレンジ文庫)

大学デビューし損ねた「猫の町」谷中に住む女子大生・紬。故郷から送られてくる大量の野菜を持て余し、こっそり捨てようとして謎の英国人セドリックと出会う物語。コミュ障で趣味の手芸に生きがいを見出していた紬にとって転機となった。「びんづめカフェ」を営むセドリックとの出会い。彼の血の繋がらない息子・武流の家庭教師として関わる過程でいろいろ交流も増えていきましたけど、過去の複雑な事情が明らかになっていったあの親子との関係や距離感がここからどのように変わってゆくのか、これからの展開がちょっと気になる新シリーズですね。 

3.リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

 

兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語でした。

4.君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫nex)

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)

君と漕ぐ: ながとろ高校カヌー部 (新潮文庫)

 

両親の離婚で引っ越してきた高校一年生の舞奈。地元の川でカヌーを操る少女・恵梨香に出会った彼女が、一緒にながとろ高校カヌー部に入部する青春部活小説。長年コンビを組むも少しずつ想いがすれ違ってきた先輩の希衣と千帆。実力者恵梨香の出現による希衣の決意。初心者の舞奈は今後に期待ですけど、過去に執着していたり今の自分を見て欲しいと願う、それぞれの繊細で複雑な心情を巧みに描きつつ、ずっともやもやしていた思いをぶつけ合って、前に進む力に昇華させてゆく展開にはぐっと来るものがありますね。これは続巻に期待の新シリーズです。

5.わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)

 

名家に生まれたものの実母を早くに亡くし、継母と義母妹に虐げられて育った美世。そんな彼女が名門だけれど冷酷無慈悲と噂の若き軍人・清霞への嫁入りを命じられる物語。義妹のように異能も発現せず、使用人のように扱われていた美世に訪れた転機。我儘放題のお嬢様に辟易していた清霞と、自信なさげだった美世が少しずつ心を通わせてゆく積み重ねがとても良かったですね。因縁ある彼女の実家とはとりあえず決着が付きましたけど、彼女の生い立ちにまつわる謎もまだ残っていて二人のその後も見たいですし、是非シリーズ化に期待したい作品です。7月に2巻目刊行。

6.世界で一番かわいそうな私たち (講談社タイガ)

戦後最大の未解決事件「瀬戸内バスジャック事件」に巻き込まれたあの夏から声を失った三好詠葉。舞原杏が教壇に立つフリースクールで学ぶ彼女が教師・佐伯道成と出会う物語。事件に振り回され、居場所と声を失ってしまった詠葉が巡り合った一冊の小説とフリースクール。そこで教師として働くことになった佐伯。不器用で不確かな詠葉の想いと、生徒と真摯に向き合って何とかしようと奔走する佐伯。正解なんてない生徒と向き合うことの難しさを痛感する展開でしたけど、最後の急展開からどんな物語が紡がれてゆくのか登場人物たちの繊細な描写に注目のシリーズです。全3巻?

7.群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

群青ロードショー (集英社オレンジ文庫)

 

引っ越しや進学などで三年ごとに友達が入れ替わってきた三年周期の呪い。高校で映画好きの仲間を得た朝宮陽が、卒業しても友人三人との縁が切れないように、仲間たちで自分たちの映画を撮ろうと思い立つ青春小説。一念発起で仲間に提案した陽に、密かに声優を目指すお嬢様ミーコ、活動的で型破りなナツ、脚本を書くいおり。映画好きという共通項以外は性格も映画の好みもバラバラな少女たち四人が、映画製作に取り組んでいく中で葛藤したり衝突しながら、成長して絆を深めてゆく展開はなかなか良かったですね。結末もまた痛快で素敵な物語でした。

 8.ことのはロジック (講談社タイガ)

ことのはロジック (講談社タイガ)

ことのはロジック (講談社タイガ)

 

書くべき言葉を見失った元天才書道少年の墨森肇。金髪碧眼の転校生・アキに一目惚れした彼が、彼女とともに校内で発生する言葉にまつわる事件を解決してゆくミステリ。好奇心旺盛なアキや仲間たちと一緒に挑む回し手紙の伝言ゲーム、存在しない幽霊文字、同人誌の不可解な改変、そしてアキに対する違和感。探し続ける「月が綺麗ですね」を超える告白の言葉。彼らの心境の変化に繋がってゆくひとつひとつのエピソードがまた絶妙で、明らかになった真実にしっかりと向き合い、想いを込めた回答を提示してみせた結末にはぐっと来るものがありました。

9.ナイトメアはもう見ない (集英社オレンジ文庫)

遺体に触れると死の瞬間を追体験できる「夢視者」の能力で事件を解決に導く特殊捜査官・笹川硝子。意味深な言葉を残して突如失踪した先輩捜査官の行方を追ううちに意外な事実が明らかになってゆく物語。失踪を追う中で明らかになってゆく、硝子が生まれ育った研究所の火災で人生が変わってしまった人々、夢視捜査の際に使用される薬品を巡る疑惑。捜査線上に硝子と親しい関係者が次々と浮上する難しい状況で、それでもきちんと向き合おうとした彼女が辿り着いた結末は何ともほろ苦かったですが、硝子に希望も垣間見える最後には救われる思いでした。

10.推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

 

外務省のグレーゾーンな仕事を引き受ける外交官として働く桐島に宛てて、東南アジアの国・ビサワンで働く元恋人・亜希から謎めいたメールが届き、失踪した彼女を探すためビサワンへ飛ぶ物語。子供兵士の救済を目的とした国際NGOで働いていた亜希の失踪を探るうちに、ビサワンを巡る政情不安な状況に巻き込まれてゆく桐島。各国間の事情や利害関係に振り回されても諦めずに活路を見出そうとする中で、謎めいた彼女の過去も明らかになっていって、何ともやるせない結末でしたけど、最後まで真摯であろうとした彼女のありようはとても印象的でした。

11.あの日の君に恋をした、そして (メディアワークス文庫)

あの日の君に恋をした、そして (メディアワークス文庫)

あの日の君に恋をした、そして (メディアワークス文庫)

 

十二歳の夏を過ごしていた少年・嵯峨ナツキ。しかしある事故をきっかけに心だけが三十年前に飛ばされ、今は亡き父親・愁の少年時代の心と入れ替わってしまい、クラスメイトの少女・緑原瑠依と運命の出会いを果たす物語。戸惑いながらも愁として三十年前の世界で過ごすナツキと、ともに過ごすうちに大切な存在となってゆく瑠依。彼女も関わる父の日記にあった凄惨な事件の解決に挑むナツキ。瑠依と繋がる意外な関係性も明らかになって、短くも濃厚でかけがえのない時間を過ごしたナツキが、現在で見出した不思議な縁にはぐっと来るものがありました。

12.そして、その日まで君を愛する (メディアワークス文庫)

そして、その日まで君を愛する (メディアワークス文庫)

そして、その日まで君を愛する (メディアワークス文庫)

 

十二歳の夏を過ごす少年・嵯峨愁。しかし彼はあるとき心だけが三十年後に飛ばされ、将来生まれる自分の息子・ナツキの少年時代の心と入れ替わってしまうもうひとつの物語。開き直ってナツキとして積極的に過ごす愁と、そっと寄り添う不思議な少女・雪見麻百合。運命の出会いから明らかになってゆくもうひとつの物語。愁はナツキとだいぶ違うタイプのキャラで、ナツキ側エピソードとも関連性を持たせつつ、2つの物語に深く関わる秘められた過去の精算と、時を超えて果たした運命の出会いがひとつの結末に繋がってゆく展開はなかなか良かったですね。

13.逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

 

13歳で心臓移植を受けたホズミ。それから自分が女の子になる夢を見るようになった彼が、明るく快活で幸せそうな彼女に恋をする奇跡の物語。移植された心臓の持ち主・葵花の記憶を夢で見るようになったホズミが抱く決して出会うことのない報われない恋心。ふとしたきっかけから知る彼女の背景。心臓を介しての二人だけの交流は微笑ましくて、そんな積み重ねがあったからこそ感じた違和感があって。大切な人を救うために最後まで諦めなかった彼の奔走と、彼女の強い想いによって新たに紡がれてゆくこの物語の結末にはぐっと来るものがありました。 

14.破滅の刑死者  (メディアワークス文庫)

ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。

15.妖怪解析官・神代宇路子の追跡 (メディアワークス文庫)

鷹橋川で発見されたミイラ化した不思議な遺体。街の治安が急速に悪化してゆく中、圧力により捜査がたびたび頓挫する状況に、新米刑事の御堂陸が真相を解明するため美貌の科学者・神代宇路子の許へ押しかける物語。正義感が強く融通の利かない陸と、ミステリアスでスボラな宇路子のコンビが、協力しながら人魚をめぐる謎に迫る展開でしたが、民俗学と科学的視点を組み合わせて語られる見地はなかなか興味深く、二人もなかなかいいコンビっぷりでしたね。解決されないままの疑惑に宇路子の秘密も明らかになって、これは続刊に期待の新シリーズです。 

16.告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

告白しましょう星川さん! (集英社オレンジ文庫)

 

駅のホームで「人が恋に落ちた瞬間が視える」女子高生・明花と出会ったアラサーリーマン・星川。告白至上主義の明花に振り回されながら他人の恋愛事情に関わってゆく物語。海外転勤を決めた女上司、幼馴染のお兄ちゃんの結婚を受け入れられない明花の親友、悪女と名高い受付嬢の真相、そして明花が告白に異常にこだわる理由。お人好しでおせっかいゆえに周囲の女性の恋愛話に振り回されがちな星川でしたが、その奔走が関わった人たちの新たな一歩を切り出すきっかけにも繋がっていて、過去を乗り越えた二人の今後を応援したくなる素敵な物語でした。

17.瑕疵物件ルームホッパー (集英社オレンジ文庫)

幼い頃から他人には見えないものが見えて人間関係を上手く築けず、勤め先の倒産で引き籠もっていた瀬山冬。家賃も払えず追い詰められた彼が、謎めいた資産家・羽塔花澄に死者の霊がいる家に住んで、死の瞬間を報告する仕事を押しつけられる物語。巻き込まれた冬が出会う刺殺された若い女の霊、やたらと腰の低い30代女性の霊、母親を探す少女の霊、空き家に住む四人以上の霊。依頼人の花澄たちもまた謎めいていますが、何だかんだでお人好しな冬と接するうちに変化してゆく霊たちとの関係もなかなかいい感じで、続巻あるならまた読んでみたいです。

18.さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

さよならを言えないまま、1000回想う春がくる (集英社オレンジ文庫)

 

事故の後遺症から記憶を忘却することができなくなり、過去の出来事を何度も追体験してしまう新川慧が、職場の同僚となった日野山空良と運命の出会いを果たす物語。記憶の再生をコントロールする術を見つけ出し、必死に日々をやり過ごしていた慧。彼女に突然告白し付き合うことになった空良がもたらしてくれた幸せな二人の日々と彼が抱えていた秘密。この人と思える存在だからこそ抱いてしまう複雑な想いがあって、その不在を痛感すればするほど相手の存在を意識せずにはいられなくて、そんな不器用で分かち難い運命の恋の結末はとても印象的でした。

19.平安あや解き草紙 (集英社オレンジ文庫)

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)

 

東宮への入内話が立ち消えになり、婚期を逃したまま実家に居座っている左大臣の娘・藤原伊子。そんな彼女に今は亡き東宮の息子である今上帝が入内を希望してくる平安お仕事ミステリー。十年前に別れた恋人・嵩那との間にあった誤解、そして伊子が初恋の人だったという今上帝という何とも複雑な距離感の関係も交えつつ、帝の熱烈な要請によって尚侍として入った年相応にこなれた感のある伊予が好みで、嵩那とも協力しながら後宮で起こる事件を解決してゆく展開は面白かったです。恋の行方も気になるその後のお話がまた読めたらいいなと思いました。

20.神様のスイッチ (講談社タイガ)

神様のスイッチ (講談社タイガ)

神様のスイッチ (講談社タイガ)

 

同棲相手との未来に迷うフリーター、街を警らする女性警察官、親友の彼女に横恋慕する大学生小説家、駆け出しやくざ、八方美人の会社員。神様が押した偶然という名の奇跡のスイッチによって繋がってゆく一夜限りの物語。年齢も生い立ちも違う五人それぞれの視点から始まるストーリーで、最初は頻繁に視点が切り替わる展開に困惑しましたが、話が進んでゆくごとに明らかになってゆく登場人物たちの意外な接点があって、それらが交差するたびに起きる変化を巧みに活かしつつ、それぞれのエピソードにもたらされた結末には心地よい読後感がありました。

21.流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

流星の下で、君は二度死ぬ (新潮文庫nex)

 

父を火事で亡くしたトラウマから、亡くなる瞬間の情景が「予知夢」として見える能力を得てしまった女子高生みちる。予知夢に見た従兄の一美を助けようと介入した結果、被害者が変わってしまう学園青春ミステリ。殺された同級生・渡辺と交流があった不登校の穂香、そして人気者のサッカー部員・浜坂との因縁も解き明かしてゆくみちると一美。新事実が明らかになるたびに印象が二転三転して、やりすぎなければ…と思う積み重ねが招いた惨劇の真相はほろ苦かったですが、自分の能力にきちんと向き合うようになってゆくみちるの姿が印象的な物語でした。

22.赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

赤レンガの御庭番 (講談社タイガ)

 

将軍直属の「御庭番」を務めた家で育った米国帰りの探偵・入江明彦。横濱を舞台に犯罪コンサルタント組織『灯台』と対峙する明治浪漫ミステリ。助手の少年・文弥に世話を焼かれつつ暮らす明彦が出会った訳ありの美青年・ミツ。彼らが遭遇する不老不死の霊薬、皇太子の切手、港の青年の行方、そして灯台の首領の意外な正体。著者さんらしい雰囲気描写に加えて、頭脳明晰で容姿端麗な明彦と有能な文哉、訳ありのミツたちのやりとりも軽妙でなかなか楽しめました。「灯台」を巡る事件は今巻で決着のようですが、続きがあるならまた読んでみたいですね。

23.銀行ガール (メゾン文庫)

銀行ガール 人口六千人の田舎町で、毎日営業やってます (メゾン文庫)
 

都会に行ってモデルになることを夢見ながら、地方銀行の営業として働く五十嵐吟子、24歳の奮闘が描かれるお仕事小説。渉外として顧客を訪れる吟子の元に次々と舞い込む厄介な相談。戦前から続く雨漏り食堂の修繕費用融資から、リサイクルショップ立ち退き交渉、振り込め詐欺犯逮捕、町おこしに離婚して生き別れた父の過去が絡んできたり、かつての想い人との久しぶりの再会もあって、困っている人たちのために周囲の助けも借りながらアイデアをひねり出し、奔走するうちに自分の目指すところを見出してゆく吟子の姿には心に響くものがありました。

24.漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

 

マンガ好きを周囲にひた隠す女子高生ときわが、学校帰りにアパートの前で行き倒れているのを発見した会社員・鈴木桂太。ご飯を食べさせてあげた彼が実は大好きなマンガ家の片割れだったと気づく物語。マンガ家のためのアパート・ヒット荘を舞台に、ほのかな恋心を抱く桂太や彼とコンビを組むレオ、新人漫画家の花や鬼の担当編集さん、マンガ家の桂太の妹たちも絡めながら、美味しそうなご飯やデザートを振る舞いつつのドタバタ劇や交流してゆく様子がなかなか楽しかったですね。ときわと桂太のその後も気になるので、また是非続巻を期待したいです。

25.ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

 

低迷が続く藤見屋百貨店吉祥寺店が再生をかけて食品フロアのリニューアルに乗り出し、食べるの大好きぽっちゃり女子・日向子が企画立案に立候補、高級志向のエリート上司・四ノ宮相手に挑むお仕事小説。B級グルメの企画をことごとく却下し本物の味を教えると言い出した四ノ宮。そんな対立の構図から境遇は違えど食に対する熱い想いで共感して、企画に邁進していく中でお互い助け合えるようないい関係に変わってゆく展開はいいですね。二人の距離感はまだまだこれからですけど相手を意識し始めてはいるようで、続きがあるならまた読んでみたいです。

26.主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅 (富士見L文庫)

主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅 (富士見L文庫)

主婦やめます! 家事代行チーム松竹梅 (富士見L文庫)

 

育ち盛りの子供を抱えて夫が突然のリストラ。松枝梨沙は、姑の反対や子供といたい葛藤を押し切り、主婦友の奥竹美加子、汐田梅の3人で、会社の立ち上げを決意する物語。資格マニアの梨沙、人脈が広い美加子、知恵袋の梅で組んだ家事代行『チーム松竹梅』。喧嘩した雑誌編集長と奥さんの仲を取り持ったり、訪問先の引きこもりの息子を気にかけたり、訪問先の事情にやや首を突っ込みすぎる感もありましたけど、局面を打開する彼女たちのスキルや、家事代行業を始めたことで周囲との関係が変わってゆく展開はなかなか良かったですね。続巻にも期待。

 

以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。

2019年上半期注目のオススメ新作一般文庫20選

2019年上半期注目のオススメ新作企画、「ラノベファンタジー」「ライトノベル恋愛・青春小説」に続く第三弾ということで「一般文庫」レーベル編です。ラノベの新刊以外は後追いがもはや常態化していて、ライト文芸レーベルや単行本もどこまで入れるのかという状況になりつつありますが、現在の積読の状況を鑑みてとりあえず一般文庫レーベルのおすすめ作品を先にリリースします。

 

一般文庫レーベルもライト文芸レーベルとの境界線が曖昧になってきていて久しいですが、刊行点数に比例して読みたい本も増えていく中、気になる本はできるだけカバーしたいと思っていますが、なかなかそれを全ては難しいですね(苦笑)取捨選択やりくりしながら読んだ本の中から今回20作品をセレクトしています。

 

1.わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

 

 苦い過去の経験から定時で帰ることをモットーにウェブ会社で働く東山結衣。ブラック上司に曲者揃いの同僚相手に定時で帰る?仕事する気あるの?という空気の中奮闘するお仕事小説。働き方も婚約者もやや極端から極端に走りがちな感もあった結衣でしたが、無理を精神論で通そうとする天敵の勘違い上司や、同僚や取引先に振り回され続ける展開には共感めいたものを覚えてしまいますね(苦笑)それでも何とかしてみせた結衣の奮闘っぷりは流石で、婚約者は正直どっちもどっちだけれど、とりあえず巧は止めておいて正解だった気がしました(苦笑)
2.明るい夜に出かけて (新潮文庫)

明るい夜に出かけて (新潮文庫)

明るい夜に出かけて (新潮文庫)

 

あるトラブルがきっかけで大学を休学し、実家を離れて期間限定の自立を始めた富山。人に言えない葛藤や臆病な自分に自信喪失気味だった彼が、バイトするコンビニで印象的な人たちと出会う青春小説。バイトリーダーの鹿沢や同級生の氷川、同じラジオ番組のヘビーリスナーの女子高生・佐古田たちと出会い、繋がっていくことで少しずつ変わってゆくその心境。誰しも不器用な一面があって、上手くいくことばかりでもなくて、けれどそんな彼らとの関わりから生まれる様々な出来事が、前へ進むきっかけに繋がってゆく展開にはぐっと来るものがありました。
3.農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

 

派遣切りに遭い、同棲相手からも突然別れを告げられ失意のどん底の水沢久美子、三十二歳の春。TV番組の「農業女子特集」を見て運命を感じ、一念発起田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意する物語。頼れる実家もない状況で同棲相手と別れると、こんな不安定な境遇になってしまうのかと痛感させられる展開でしたが、やはり地縁のないところで女ひとり就農するのも言うほど簡単ではないですよね…。知り合った友人たちのしたたかな行動力が印象的でしたけど、周囲の助けもあって久美子にもどうにか希望が見えてくる展開に救われる思いでした。
4.小説王 (小学館文庫)

小説王 (小学館文庫)

小説王 (小学館文庫)

 

華々しいデビューを飾ったものの鳴かず飛ばずの作家・豊隆と、彼の作品がきっかけで文芸編集者になった俊太郎。経営状態から俊太郎の所属する文芸誌存続が危ぶまれる状況で、あえて勝負に出る二人の物語。「いつか一緒に仕事を」と思いながらも、具体化しないまま迎えてしまった苦境。出版業界の苦境を生々しく描く一方で、それでもどうにかできないか諦めずに活路を見出そうとし、それぞれの立場から何度もぶつかり合い、もがき苦しみながらも目をそらさずに真っ向から向き合って、いい作品を作り上げていく熱い思いは心に響くものがありました。
5.虹を待つ彼女 (角川文庫)

虹を待つ彼女 (角川文庫)

虹を待つ彼女 (角川文庫)

 

優秀で予想できてしまう限界に虚しさを覚えていた研究者・工藤が、死者を人工知能化するプロジェクトに参加して、衝撃的な自殺でカルト的な人気のゲームクリエイター・水科晴を知る物語。過去の事件や水科晴のことを調べてゆくうちに、彼女に共鳴し惹かれてゆく工藤。重要なキーパーソン「雨」の存在と調査中止を警告する謎の脅迫。我が身が危険に晒されながらも諦めず、晴を人工知能で再現することに妄執する工藤の姿には鬼気迫るものがありましたが、真相を知った彼のほろ苦くも粋な決断は少なからず心に響くものがありました。
6.高校事変 (角川文庫)

高校事変 (角川文庫)

高校事変 (角川文庫)

 

平成最大のテロ事件を起こし死刑になった男の次女・優莉結衣。彼女が転入した武蔵小杉高校を総理大臣が極秘訪問することになり、学校が突如武装勢力に占拠に巻き込まれてしまうエンタメ小説。こういう状況に遭遇するのは偶然でも、なにかあるたびにその関与を疑われてしまう境遇というのはなかなか厳しい…とはいえ武装勢力を相手に先生や他の生徒たちがパニックに陥る中、冷静に状況を見極めて判断し活路を見出してゆく結衣の行動力は際立っていました。そんな結衣がこれからも普通の女子高生でいられるのか、続巻が気になるところではあります。
7.ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

ただいま、ふたりの宝石箱 (角川文庫)

 

仮面を被った仕事ぶりに限界が来て退職し、譲り受けた古民家で趣味のアクセサリーづくりをして暮らす涼子。そんな家に店子として宝飾職人「希美」さん住むことになるあたたかな再生の物語。趣味も合い配慮が行き届いていて、欲しい時に欲しい言葉をくれる希美に惹かれていく涼子。一方で未だに引きずる複雑な過去の想いや、容易に解けない呪いから素直に心を開けない状況にもどかしくもなりましたが、そんな彼女を尊重しつつ粘り強く向き合って、様々な過去のわだかまりを解きほぐすのを手伝ってくれた彼に出会えてほんとに良かったなと思えました。
8.ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

 

19世紀末、ロンドンの画廊で展示されたルーベンス未発表の真作。その絵に目を奪われたエディスが「贋作」と断言する美貌の青年・サミュエルと運命の出会いを果たすファンタジー。訳ありな貴族の娘・エディスと、絵より現れた異形の怪物から彼女を救ったサミュエル。ジョン・ラスキンヴィクトリア女王など実在の人物も絡めつつ、サミュエルと宿敵・ブラウンの贋作に宿る怪物を巡る戦いを描く展開でしたけど、虚構も織り交ぜながら展開されるストーリーはなかなか面白かったですね。未だ謎多きサミュエルとエディスの物語をまた読んでみたいです。
8.黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)

黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)

黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)

 

ある日の黄昏時。不遇の青年・遠野ハジメの目の前に、時の蟲から歴史を守る蟲番だと名乗る眼鏡をかけた不思議な男が現れ、一攫千金を夢見てハジメが奮闘するダークファンタジー。主君に逆らい切腹待ちの武士、男と心中を遂げる予定の遊女、関東大震災での父の死の回避。蟲によって意識を喰われた歴史上の人物の行動を修復してゆく中で、葛藤しながらも自分のことより周りの大切な人たちのために奔走してしまうのがハジメで、小さな幸せを掴みかけていた彼の願った報酬はとてもらしくて切なくもなりましたけど、そんな物語の結末がまた印象的でした。
9.猟犬の國 (角川文庫)

猟犬の國 (角川文庫)

猟犬の國 (角川文庫)

 

便宜上「イトウ家」と呼ばれる日本の誇る情報機関。日本人でもないのに不本意ながら猟犬になった男が、情報と軽武装を頼りに、国内外の邪魔者を排除するスパイ小説。あの「イトウさん」は組織名だったの?とか思わなくもなかったですが、スパイとしての大阪での日常を過ごす偽日系人の経歴を持つ男が、警察庁から出向してきた新人・幸恵に情け容赦のない環境を「アウトロー!」とか散々に罵られながら、コンビを組んでスパイとして新人教育していくゆるい展開がなかなか面白かったです。現在2巻まで刊行。
10.ヘタレな僕はノーと言えない (幻冬舎文庫)

ヘタレな僕はノーと言えない (幻冬舎文庫)

ヘタレな僕はノーと言えない (幻冬舎文庫)

 

前任者の指示で県内に住む凄腕の女職人・彬のもとへ向かった県庁職員・浩己。納品する代わりにあらゆる雑用を命じられ、いじられるのに彼女が気になってゆく年上美女×年下ヘタレの不器用な恋と仕事の物語。真面目で融通が効かず垢抜けない浩己と、彼をいじることが楽しそうな彬の面倒くさい距離感が絶妙で、強烈なインパクトがあった浩己の忘れられない過去や、彬にもいろいろ複雑そうな事情もあったりで、読んでいる方がもどかしくなる展開でしたけど、だからこそ遠回りしながらもいろいろなものが繋がった結末がかけがえのないものに思えました。
11.言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)

言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)

言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)

 

全土は砂漠化し、人々は神である「言鯨」の遺骸周辺に鯨骨街を造って暮らす世界。街々を渡る骨摘みとして働く旗魚は、旅の途中で裏の運び屋・鯱と憧れの歴史学者浅蜊に出会い物語が動き出すファンタジー。内密に十五番鯨骨街へ奇病の調査に行った浅蜊が引き起こした言鯨の覚醒と仲間の消失。もたらされた旗魚の劇的な変化と、鯱や蟲使いの珊瑚との逃亡劇、そして言鯨と世界の核心に迫ってゆく展開で、明らかになってゆくこの世界の哀しい真実と登場人物たちそれぞれの熱い想い、そしてそれらに向き合ってゆく旗魚の姿がとても印象的な物語でした。
12.本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)

本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)

本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)

 

過去のある事件がきっかけで本が読めなくなってしまった元書店員の啓。入院した伯父の代わりに書店で働くことになった彼が、店内で動き出す座敷童子人形に遭遇するマチナカ書店物語。突然動き出して書店繁盛の教育的指導を繰り返すワラシに振り回されたり、お花屋ののばらさんが気になりながら、伯父を慕って訪れるお客さんの本を巡る悩みをワラシと一緒に解き明かしてゆく展開で、不器用なりに取り組むその積み重ねが頑なだった啓の心境を少しずつ変えていって、苦い過去にも向き合って新たな一歩へと繋がってゆくとても優しくて素敵な物語でした。
13.機械式時計王子の休日 (ハルキ文庫)

機械式時計王子の休日 千駄木お忍びライフ (ハルキ文庫)

機械式時計王子の休日 千駄木お忍びライフ (ハルキ文庫)

 

千駄木すずらん通りで四代続くトトキ時計店。三つ子を抱える妹・桜子を手伝う母に代わり店番をすることになった十刻藤子が、スイスから来た兄弟と出会う下町ミステリ。亡き父との苦い思い出に囚われて前に進めないでいた藤子と、上の階に入居した訳ありのジャンとアキオ。時計バカな二人と屋上の時計塔を二十年ぶりに動かそうと試みたり、身の回りの出来事を時計を絡めて解決したり、気のいい彼らとのやりとりを積み重ねてゆくことで、少しずつその過去も解きほぐされ変わっていった彼女のリスタートと彼らとのほどよい距離感がとても好みでした。
14.人生写真館の奇跡 (宝島社文庫)

人生写真館の奇跡 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

人生写真館の奇跡 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

天国までの道の途中に佇む人生写真館。人生を振り返りながら、自分が生きた年数だけの写真を選び、自らの手で走馬燈を作る死者たちとその儀式を手伝う青年・平坂の奇跡の物語。九十二歳の老婆が選んだバスの写真、四十七歳のヤクザが選んだクリスマス・イブの写真、そして七歳の子どもと笑顔を浮かべる青年の写真。平坂と寄り添うように振り返ってゆく人生と、今までで最も印象的な場面を撮り直す思い出の写真にはぐっと来るものがあって、抗えぬはずの運命に立ち向かった平坂がいて、それらが全て繋がってゆくエピローグがとても素敵な物語でした。
15.菜の花工房の書籍修復家 (宝島社文庫)

菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します (宝島社文庫)

菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します (宝島社文庫)

 

進路に悩む高校3年生・三峰菜月は、子供の頃に自分の大切な絵本を直してくれた書籍修復家・豊崎俊彦と再会。一念発起弟子入りを目指し奮闘するお仕事小説。親に言われるままに大学進学でいいのか疑問に思っていた菜月の運命の出会い。彼女の修行を通じて描かれる和書の修復がどのように行われるのか、その描写や解説はなかなか興味深かったですが、食べていくのが難しい仕事だからこそ、書籍修復の仕事にどう真摯に向き合うのかをしっかり考えるのは大切なことですよね。周囲の人に支えられながら成長してゆく菜月の今後を応援したくなりました。
16.叡智の図書館と十の謎 (中公文庫)

叡智の図書館と十の謎 (中公文庫)

叡智の図書館と十の謎 (中公文庫)

 

時間にも空間にも支配されない無限に等しい書架を持つ「叡智の図書館」を探す旅人と、そこを守り訪れた相手に対して謎掛けをする守人の物語。謎の魔法の石板が旅人に提示する十の物語。女王の恋人と女戦士の物語や、貿易商人の使用人を刺した無実の罪に問われた少年といった中世風の話もあれば、映画スターとなった女優の波乱万丈の人生と故郷の物語、日本の吉備家の長年に渡る妖狐との戦いの顛末といったテーマや舞台も多岐に渡っていて、そんな物語の謎からもたらされた回答が、旅人の正体や結末へと繋がってゆくラストはなかなか良かったですね。
17.ダーティキャッツ・イン・ザ・シティ (中公文庫)

大都市の夜にコミュニティーを形成し人に紛れている吸血鬼たち。怠惰な吸血鬼・十二が久しぶりに目覚めると、池袋のまとめ役・白猫が失踪しており、関係者の少女・遠夜が十二の下に転がり込でくる物語。白猫不在の状況で秩序の一角が失われ、六本木の三長老や新宿の女王などもその動静を探る中、遠夜を巡る抗争の激化に巻き込まれてゆく十二。ハードボイルドでアウトローな雰囲気のある世界観は著者さんらしくて、個性的なキャラたちもなかなか印象的でしたが、真相は明らかになったものの結末はやや消化不良な感も…続巻あるなら読んでみたいです。
18.僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ゆ]1-1)僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ゆ]1-1)僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)

 

色彩が失われて1年で死に至る無彩病だと知らされ、自暴自棄になりかけた高校生・新藤蒼也。そんな彼が進学クラスから自ら希望して落ちてきた美少女・立波緋奈と契約のような365日間の恋を始める物語。周囲に知らせず最後まで普通の日常を送りたいと願う蒼也と、その秘密を唯一知る緋奈の少しずつ変わってゆく関係と、幼馴染たちを絡めたかけがえのない日々。大切な存在だと思うようになればなるほど、失う辛さを感じさせて切なかったですが、最後まで精一杯向き合い続けた二人の想いと、エピローグで明らかになるもう一つの真実が印象的でした。
19.ショパンの心臓 (ポプラ文庫)

([あ]8-2)ショパンの心臓 (ポプラ文庫)

([あ]8-2)ショパンの心臓 (ポプラ文庫)

 

就職先が決まらないまま大学を卒業してしまった羽山健太が、「よろず美術探偵」という風変わりな看板を掲げた店と店主・南雲に出会い働き始めるミステリ。健太は就活上手くいかないのも仕方ないと思うような空気読めない/活字読めないタイプで、そんな彼に美術館に勤める貴和子さんの絵を探す依頼を店主が丸投げした時にはびっくりしましたが、最初やらかしまくっていた健太にもそうなるだけの理由があったんですね…彼の成長とシリアスになってゆく展開の中で話をうまくまとめ上げていくところは流石で、読み応えがある話に仕上がっていました。 
20.さとり世代の魔法使い (双葉文庫)

さとり世代の魔法使い (双葉文庫)

さとり世代の魔法使い (双葉文庫)

 

魔女が隔世で生まれる家系の女子大生・北条雫、19歳。さとり世代のすっかり醒めた平成最後の魔女の前に、10年前いなくなった幼馴染の爽太が現れる物語。魔女だったおばあちゃんを巡る悔恨と姿を消していた爽太。再会した彼と一緒に果たしていく、好きな人に告白したい同級生の手伝い、素直になれない女の子と家族の仲直り、そして未来からやってきた孫娘との邂逅。素直になれないけれど雫は人のために頑張ろうとするいい子で、その過程でかけがえのないものを得ていった先の結末は切なくもありましたけど、未来に繋がるとても素敵な物語でした。

 

以上です。気になる本があったら是非手にとって読んでみて下さい。 「ライト文芸編」「単行本編」もそう遠くないうちに更新できるよう、もう少し積読の消化を頑張りたいと思います(苦笑)

 

2019年6月に読んだ新作おすすめ本

というわけで 19年6月に読んだ新作おすすめ本です。6月はラノベの注目新作が目白押しで、既刊シリーズとの兼ね合いに悩まされた一ヶ月でもありました。こんなに新作に手を出したのは久しぶりで、でもいずれもなかなかインパクトのある注目の作品としてオススメできますね。

 

個人的な注目としてはラノベだと電撃文庫幼なじみが絶対に負けないラブコメ」「スイレン・グラフティ」、ガガガ文庫リベンジャーズ・ハイ」、GA文庫お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」、角川スニーカー文庫理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい」、講談社ラノベ文庫の「未完結ラブコメと運命的な運命論」あたりですか。

 

ライト文芸ではオレンジ文庫の「ホテルクラシカル猫番館」、ややボリュームは薄めですがメディアワークス文庫逢う日、花咲く。」、一般文庫レーベルだと佐藤多佳子さんの新潮文庫明るい夜に出かけて」、単行本では宮西真冬さんの「友達未遂」、雪乃紗衣さんの近未来SFもの「エンド オブ スカイ」を挙げておきます。

 

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

 

脈アリと思っていた片思いの相手・白草に彼氏ができたと知った高校生・丸末晴。失意の彼に以前告白してきた幼馴染・黒羽が復讐を持ちかける青春ラブコメディ。美少女で芥見賞受賞の現役女子高生作家・白草と、陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系の黒羽。偽恋人として白草を挑発したり、白草の恋人という先輩と勝負したり、だいぶ拗らせたそれぞれの恋愛模様にもう素直になれよ…と思いましたけど、甘酸っぱい青春の先には斜め上の結末が待ってました(苦笑)そんな彼らだからこその新展開もあって、今後に期待大の新シリーズですね。

千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

 

クラス委員に指名されたトップカーストの千歳朔。担任から引きこもり生徒の更生を頼まれ、自信回復の手伝いをする青春小説。仲間の協力も得ながらあの手この手で引きこもりの健太を引っ張り出してみせた朔。そんな彼が魅力的な仲間やヒロインたちに信頼されるのも、周囲の期待に真摯に向き合い、大切なもののため誰かのために奔走することを惜しまないからで、テンプレートなリア充論を論破してみせる彼が、時折垣間見せる本音や葛藤がとても印象的でした。彼の恋愛模様やワケありの過去も気になりますし、続巻が楽しみな期待の新シリーズですね。 

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

 

塵禍で文明が一度滅び、砂塵を異能力に変換できる「砂塵能力者」が力を持つ近未来。因縁の復讐相手・スマイリーを追うチューミーが、利害の一致から一時的に粛清官に協力し、ワケありの粛清官・シルヴィとコンビを組む近未来SF復讐譚。特殊な事情を抱えていたシルヴィと出会い、最初は反発しながらも徐々に育まれていく相棒としての信頼感。テンポよく進む中でスマイリーと追う二人を巡る因縁も明らかになって、何度も葛藤と絶望に直面する異端のバディが待ち望んだ宿敵との対峙と決着、確かな絆が垣間見えた結末にはぐっと来るものがありました。

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)

 

藤宮周が一人暮らしするマンションの隣室に住む学校で一番の美少女・椎名真昼。特に関わり合いのなかった彼女とふとしたきっかけから交流が始まる青春小説。雨の中ずぶ濡れの彼女に貸した傘をきかっけに、自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて食事を作り部屋を掃除し、何かと世話を焼く真昼。自分だけが知るクールで毒舌な彼女と過ごす日々に少しずつ心境が変化してく周と、家の事情を抱えていそうな彼女との関係がどうなるのか。現時点ではまだまだこれからですけど、もどかしい甘酸っぱい展開を期待できそうで今後が楽しみな新シリーズですね。 

セレブの子息令嬢が通う私立瑛銘学院。外部編入ながら学院首席の久遠寺梓と、名家のお嬢様で数学の天才・弥勒院由槻が学院の特権を賭け相手に告白させる恋愛ゲームに挑む学園ラブコメディ。容姿端麗で数学の天才だけど生活力皆無で本末転倒な理論に陥るポンコツかわいい由槻。ちゃっかりした由槻の付き人・彩霞や常識人の楓音もゲームに巻き込まれて、真面目にやればやるほどどんどんズレていって、でも素直になれない由槻が時々見せるハッとするような破壊力が凄い(苦笑)いやもう二人のバカバカしい攻防をいつまでも眺めていたいと思いました。 

未完結ラブコメと運命的な運命論 (講談社ラノベ文庫)

未完結ラブコメと運命的な運命論 (講談社ラノベ文庫)

 

「もっと運命的な恋がしたいから」と彼女にフラれた高校生・砂川凍弥。そんな彼の前に謎の空飛ぶプリンが現れるラブコメディ。異なる世界線から来たラブコメのヒロインを攻略できなければ死ぬ?典型的なヒロイン・ミリカたちとベタな運命的出会いを果たし、ミッションに挑む中でヒロインたちと一緒に過ごし、その真摯な想い触れてゆく中で徐々に変わってゆく凍弥の心境。要所で登場するたびにその印象を変えてゆく元カノの存在も効いていて、突きつけられた究極のミッションに葛藤しながら向き合った結末には久しぶりにレーベルらしさを感じました。

恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 (ファミ通文庫)

恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 (ファミ通文庫)

 

母親との縁で隣に引っ越してきたリトルプリンセス・天城姫那。そんな彼女の恋を成就させるため、八神一冴は彼女が心を寄せているという柿内淳也のことを調べはじめる青春学園ブコメディ。自らの想いに真っ直ぐで応援したくなる姫那と彼女の想い人・淳也、淳也の幼馴染で一冴の想い人でもある凛々菜の4人を軸に、それぞれ事情を抱える彼らの恋模様が描かれる展開のようですね。今回は一途な姫那を軸としたストーリーがなかなか良かったですけど、謎めいた部分も多いもうひとりのヒロイン・凛々菜がもたらす急展開には期待せずにいられませんね。 

お隣さんな教え子と甘い○○ (講談社ラノベ文庫 も 2-7-1)

お隣さんな教え子と甘い○○ (講談社ラノベ文庫 も 2-7-1)

 

夢に挫折し高校の調理科でパティシエ講師を務める新見。四年前に印象的な出会いを果たし新入生として入学した理事長の孫娘である四宮蒼梨花が特別授業を求めて奮闘する年の差学園ラブコメディ。サラリーマン講師と化していた新見と、約束を胸に師事すべくひたすら努力してきた蒼梨花。お隣に引っ越してきた一人暮らしというベタな設定に、新見も一目置く天才妹弟子エイプリルを絡めたやりとりは楽しくて、力の差を痛感する強敵相手でも今持てる力で挑んでゆく、そんな真っ直ぐで熱い想いに周囲も心動かされる展開にはぐっと来るものがありました。 

スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)

スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)

 

母子家庭で働く母の代わりに双子の弟妹の面倒や家事に日々奮闘する女子高生・池野彗花。彼女が隣の席の不良として恐れられる庭上蓮のマンガ家になる夢を知り、一緒に住んで応援する青春小説。意外な一面を知って自分の家を密かに作業場として提供する彗花と、戸惑いつつも彗花の協力を受け入れるようになっていく蓮。双子を交えたやりとりは微笑ましくて、不器用で頑固な二人だからこそぶつかったりすれ違いもありましたけど、絶望に直面しても夢を諦めたくない蓮、彼女を信じて夢を応援したい彗花の真っ直ぐな想いがとても眩しい素敵な物語でした。

 

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)

 

師匠が倒れ3年間勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。旧家の子女ゆえ祖父からお見合いを勧められるも、きっぱりと断って横浜・山手の「ホテル猫番館」で働き始める物語。紗良に仕事を紹介した叔父の誠、気難しいシェフの隼介や人なつっこいコンシェルジュの要に囲まれ、職場に溶け込んでゆく紗良。働く人たちそれぞれの事情や、彼らの意外な一面も明らかになっていって、師匠にその成長した姿を見せる展開にはぐっと来るものがありました。紗良たちのこれからを温かく見守りたい、続きが読みたいと思わせてくれる素敵な作品でした。

逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)

 

13歳で心臓移植を受けたホズミ。それから自分が女の子になる夢を見るようになった彼が、明るく快活で幸せそうな彼女に恋をする奇跡の物語。移植された心臓の持ち主・葵花の記憶を夢で見るようになったホズミが抱く決して出会うことのない報われない恋心。ふとしたきっかけから知る彼女の背景。心臓を介しての二人だけの交流は微笑ましくて、そんな積み重ねがあったからこそ感じた違和感があって。大切な人を救うために最後まで諦めなかった彼の奔走と、彼女の強い想いによって新たに紡がれてゆくこの物語の結末にはぐっと来るものがありました。 

ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。

ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)

 

低迷が続く藤見屋百貨店吉祥寺店が再生をかけて食品フロアのリニューアルに乗り出し、食べるの大好きぽっちゃり女子・日向子が企画立案に立候補、高級志向のエリート上司・四ノ宮相手に挑むお仕事小説。B級グルメの企画をことごとく却下し本物の味を教えると言い出した四ノ宮。そんな対立の構図から境遇は違えど食に対する熱い想いで共感して、企画に邁進していく中でお互い助け合えるようないい関係に変わってゆく展開はいいですね。二人の距離感はまだまだこれからですけど相手を意識し始めてはいるようで、続きがあるならまた読んでみたいです。

 

 

明るい夜に出かけて (新潮文庫)

明るい夜に出かけて (新潮文庫)

 

あるトラブルがきっかけで大学を休学し、実家を離れて期間限定の自立を始めた富山。人に言えない葛藤や臆病な自分に自信喪失気味だった彼が、バイトするコンビニで印象的な人たちと出会う青春小説。バイトリーダーの鹿沢や同級生の氷川、同じラジオ番組のヘビーリスナーの女子高生・佐古田たちと出会い、繋がっていくことで少しずつ変わってゆくその心境。誰しも不器用な一面があって、上手くいくことばかりでもなくて、けれどそんな彼らとの関わりから生まれる様々な出来事が、前へ進むきっかけに繋がってゆく展開にはぐっと来るものがありました。

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)

 

派遣切りに遭い、同棲相手からも突然別れを告げられ失意のどん底の水沢久美子、三十二歳の春。TV番組の「農業女子特集」を見て運命を感じ、一念発起田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意する物語。頼れる実家もない状況で同棲相手と別れると、こんな不安定な境遇になってしまうのかと痛感させられる展開でしたが、やはり地縁のないところで女ひとり就農するのも言うほど簡単ではないですよね…。知り合った友人たちのしたたかな行動力が印象的でしたけど、周囲の助けもあって久美子にもどうにか希望が見えてくる展開に救われる思いでした。

高校事変 (角川文庫)

高校事変 (角川文庫)

 

平成最大のテロ事件を起こし死刑になった男の次女・優莉結衣。彼女が転入した武蔵小杉高校を総理大臣が極秘訪問することになり、学校が突如武装勢力に占拠に巻き込まれてしまうエンタメ小説。こういう状況に遭遇するのは偶然でも、なにかあるたびにその関与を疑われてしまう境遇というのはなかなか厳しい…とはいえ武装勢力を相手に先生や他の生徒たちがパニックに陥る中、冷静に状況を見極めて判断し活路を見出してゆく結衣の行動力は際立っていました。そんな結衣がこれからも普通の女子高生でいられるのか、続巻が気になるところではあります。

猟犬の國 (角川文庫)

猟犬の國 (角川文庫)

 

便宜上「イトウ家」と呼ばれる日本の誇る情報機関。日本人でもないのに不本意ながら猟犬になった男が、情報と軽武装を頼りに、国内外の邪魔者を排除するスパイ小説。あの「イトウさん」は組織名だったの?とか思わなくもなかったですが、スパイとしての大阪での日常を過ごす偽日系人の経歴を持つ男が、警察庁から出向してきた新人・幸恵に情け容赦のない環境を「アウトロー!」とか散々に罵られながら、コンビを組んでスパイとして新人教育していくゆるい展開がなかなか面白かったです。もしかしてあの人なんですかね(苦笑)とりあえず続巻も期待。

黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)

黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)

 

ある日の黄昏時。不遇の青年・遠野ハジメの目の前に、時の蟲から歴史を守る蟲番だと名乗る眼鏡をかけた不思議な男が現れ、一攫千金を夢見てハジメが奮闘するダークファンタジー。主君に逆らい切腹待ちの武士、男と心中を遂げる予定の遊女、関東大震災での父の死の回避。蟲によって意識を喰われた歴史上の人物の行動を修復してゆく中で、葛藤しながらも自分のことより周りの大切な人たちのために奔走してしまうのがハジメで、小さな幸せを掴みかけていた彼の願った報酬はとてもらしくて切なくもなりましたけど、そんな物語の結末がまた印象的でした。

本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)

本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)

 

 過去のある事件がきっかけで本が読めなくなってしまった元書店員の啓。入院した伯父の代わりに書店で働くことになった彼が、店内で動き出す座敷童子人形に遭遇するマチナカ書店物語。突然動き出して書店繁盛の教育的指導を繰り返すワラシに振り回されたり、お花屋ののばらさんが気になりながら、伯父を慕って訪れるお客さんの本を巡る悩みをワラシと一緒に解き明かしてゆく展開で、不器用なりに取り組むその積み重ねが頑なだった啓の心境を少しずつ変えていって、苦い過去にも向き合って新たな一歩へと繋がってゆくとても優しくて素敵な物語でした。

 

 

友達未遂

友達未遂

 

伝統と格式のある全寮制女子高・星華高等学校。その寮で不審な事件が次々と起き、ルームメイト4人が巻き込まれていく青春小説。家に居場所がなかった茜、学校で伝説となっている母を持つ生徒会長の桜子、美工コースの憧れの先輩・千尋、周囲に迎合しない天才肌の真尋。複雑な家の事情や周囲の評価とのギャップに鬱屈を抱えていたりと、一人ひとり語られてゆくそれぞれの過去。けれど今まで見えていたものが全てではなくて、自分をきちんと見て気にかけてくれる人がいて、少しずつ変わってゆく彼女たちが迎えた結末にはぐっと来るものがありました。

エンド オブ スカイ

エンド オブ スカイ

 

ゲノム編集技術によって老いや病から緩やかに遠ざかりつつある23世紀。謎の突然死「霧の病」を研究する遺伝子工学の権威ヒナコ・神崎博士が海から現れた少年・ハルと出会う近未来SF。ゲノム編集が推奨された香港に現れたオリジナルゲノムを持つハルと、どこか不安定なヒナコの交流の日々。「霧の病」が急速に拡大してゆく中でその原因が見えてきて、何が正常で異常なのかわからなくなる皮肉な展開でしたけど、周囲の人たちに支えられながらハルと向き合ったかけがえのない日々と、いくつもの伏線が回収された先にある結末が印象的な物語でした。

めぐり逢いサンドイッチ

めぐり逢いサンドイッチ

 

大阪の靱公園そばにあるサンドイッチの専門店『ピクニック・バスケット』で働くおっとりした姉笹子としっかり者の笹子の姉妹。店を訪れる人達の迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やす優しくも愛おしい物語。対照的な姉妹に、子供のころの記憶に苦しむOLや父の再婚に悩む少女、そして常連客の小野寺さんやパン職人の川端さんのエピソードも交えつつ、笹ちゃんが訪れた人たちの想いに寄り添うようなサンドイッチを作り上げてゆく展開で、関わる人たちの様々な想いに触れ、過去エピソードも絡めて絆を深めてゆく姉妹の関係がとても素敵でした。

マチのお気楽料理教室

マチのお気楽料理教室

 

ツアーコンダクターとして15年間国内外を旅してきて、義母の介護のために退職した常磐万智。旅先で料理について学んだ経験を生かし、義母の死去後自宅で料理教室を営むお料理小説。「どんどろけ飯」「トンテキ」「冷や汁」「ジンギスカン」「チキン南蛮」など、こじんまりとした料理教室で作られる郷土料理の数々と、参加する生徒たちの家族を絡めたエピソードがなかなか興味深かったですが、同時に物語の中で少しずつ明らかになってゆく常盤家の今に至るまでがなかなか複雑で、それを踏まえて物語を見返すと奥が深いな…と改めて唸らされました。

姑の遺品整理は、迷惑です

姑の遺品整理は、迷惑です

 

姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった嫁の望登子。業者に頼むと高くつくからと、自分で遺品整理をしようと奮闘する物語。生前あまり仲良くなかった記憶しかない姑の遺品整理。捨てられなくて溜まっていった膨大な遺品を孤軍奮闘で何とかしようとするのはさすがに厳しいものがありますよね…。でも整理を進める中で姑の意外な一面も明らかになっていって、比較対象だった母も他の人からみたらアレな一面もあって、直面したからこそわかったこともあったのかな。こういう時こそ人の繋がりが大事なのかなとしみじみと思いました。

御徒町カグヤナイツ

御徒町カグヤナイツ

 

仲間とともに青春を無防備に過ごしていた中学生・ヒロトの前に現れた一人の少女。特別な絆で結ばれたヒロトと3人のワケありな少年たちが月の王国の女王の娘を自称するノゾミを護るため「御徒町カグヤナイツ」を結成する青春小説。ヤクザの息子ケイゴ、中国人の頭脳派・ソン・器用なカトウといったワケありな仲間たちのままならない問題を一緒になって解決しつつ、仲間となって共感し羨望の眼差しを向けるノゾミとの甘酸っぱい恋と現実に直面する展開で、中学生の彼らができる精一杯で件名に向き合ったその真摯な姿にはぐっと来るものがありました。

星降る島のフットボーラー

星降る島のフットボーラー

 

実況の倉敷さんによる初小説。大西洋に浮かぶ七つの島による天の川リーグに加盟するエストレージャFC。世界に羽ばたく翼を目指すハルが一癖も二癖もある仲間たちとともに、列島リーグの未来を救うために立ち向かうフットボール小説。スコルピウスのオーナー・アルゴルによる八百長を使ったリーグの支配を阻止するため、真っ向勝負を挑むことになったエストレージャ。ダーティーなプレイで選手を削られたり脅されたりしながらも、強力な助っ人や熱い応援を得て、チーム一丸となって苦しい試合をひっくり返してみせる展開はなかなか面白かったです。

2019年月6に読んだ本 #読書メーターより

6月は何となく忙しかったり体調崩したりで全体では92冊でしたけど、書籍は58冊とやや少なめ。新作がわりと豊作だったので充実度は高かったですが、後半増えた積読を消化しきれずに積み増しして翌月に持ち越し…orz 7月はいつもより忙しくなりそうで厳しい状況はしばらく続きそうです(苦笑)

 

6月の読書メーター
読んだ本の数:92
読んだページ数:22754
ナイス数:5761

ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人 (集英社オレンジ文庫)感想
師匠が倒れ3年間勤めたパン屋さんをやむなく離職したパン職人の紗良。旧家の子女ゆえ祖父からお見合いを勧められるも、きっぱりと断って横浜・山手の「ホテル猫番館」で働き始める物語。紗良に仕事を紹介した叔父の誠、気難しいシェフの隼介や人なつっこいコンシェルジュの要に囲まれ、職場に溶け込んでゆく紗良。働く人たちそれぞれの事情や、彼らの意外な一面も明らかになっていって、師匠にその成長した姿を見せる展開にはぐっと来るものがありました。紗良たちのこれからを温かく見守りたい、続きが読みたいと思わせてくれる素敵な作品でした。
読了日:06月01日 著者:小湊 悠貴
天命の巫女は紫雲に輝く 彩蓮景国記 (角川文庫)天命の巫女は紫雲に輝く 彩蓮景国記 (角川文庫)感想
景国の祭祀を司る貞家の一人娘なのに、宮廷の華やかな儀式には参加させてもらえない貞彩蓮が、護衛の皇甫珪と宦官殺人事件を調べるうちに第三公子・騎遼と出会い、宮廷内の争いに巻き込まれてゆく中華風ファンタジー。野心家の騎遼と出会い興味を持たれ、蠱毒や息壌を用いた巫覡を阻止するために関わってゆく彩蓮と皇甫珪。護衛として凸凹コンビを組む三十路男・皇甫珪に加えて、騎遼もまた彩蓮に興味津々で、彩蓮自身がどうありたいのかを問われる展開でしたが、座して待つのではなく自ら立ち向かう彩蓮の決断はなかなか悪くなかったと思いました。
読了日:06月02日 著者:朝田小夏
宮廷神官物語 六 (角川文庫)宮廷神官物語 六 (角川文庫)感想
現国王は藍晶王子の王位継承権を明らかにすべく、立太子礼を行うと決定。しかし世継の証となる宝剣は行方知れずで、藍晶は代わりの証を得るため、天青らを連れて神秘の孤島を目指す第六弾。天青、鶏冠や曹鉄らを連れて神秘の孤島を目指し、荒れる海を超え霧の島へ辿り着いた一行。いかにもなアレの存在がどういう意味を持つのか気になっていましたが、戻ってきて無事立太子が終わると思っていた矢先のまさかの急展開には驚きました。いろいろ構図も変わってきて…ここから王位継承権がどうなるのか、ちょっと展開が読めないですね~。続巻に期待。 
読了日:06月03日 著者:榎田 ユウリ
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?7 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?7 (ファンタジア文庫)感想
景品に当たってリゾート観光のはずが飛行機が無人島に墜落、装備も失ったけれど真々子の母なる力でリゾート開発に着手する第七弾。四天王の新キャラ・フラテロが登場。無人島サバイバルかと思ったらなぜかリゾート開発になっていて、母の力を制限された状態でも子供たちのために頑張ってしまう真々子さんでしたけど、ヒロインたちに茶化されながらも母の状態に気づいてちゃんと配慮できる真人がいろいろ成長してますね。なんか要所要所で登場するHAHAKOさんがやたらと存在感ありました(苦笑)ポータの抱える謎がちょっと気になるところです。
読了日:06月03日 著者:井中 だちま
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?8 (ファンタジア文庫)通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?8 (ファンタジア文庫)感想
リベーレ四天王を操る黒幕ハハーデスの計画によってゲーム世界での急速な子供たちの親離れから始まり、母を想うポータが突如パーティを離脱してしまう第八弾。反抗組織リベーレの四天王の一人となったポータを説得するためハハーデス城へと向かう真人たち。そして親離れが加速する世界の危機を救うため和乃、メディママとアイドルユニットを結成する真々子。真々子さんは要所要所で流石の存在感を見せつつも、今回はこれまでのエピソードの集大成として成長した真人たちにも見せ場があって。そろそろ物語の終わりも見えてきたようですが続巻に期待。
読了日:06月04日 著者:井中 だちま
エンド オブ スカイエンド オブ スカイ感想
ゲノム編集技術によって老いや病から緩やかに遠ざかりつつある23世紀。謎の突然死「霧の病」を研究する遺伝子工学の権威ヒナコ・神崎博士が海から現れた少年・ハルと出会う近未来SF。ゲノム編集が推奨された香港に現れたオリジナルゲノムを持つハルと、どこか不安定なヒナコの交流の日々。「霧の病」が急速に拡大してゆく中でその原因が見えてきて、何が正常で異常なのかわからなくなる皮肉な展開でしたけど、周囲の人たちに支えられながらハルと向き合ったかけがえのない日々と、いくつもの伏線が回収された先にある結末が印象的な物語でした。
読了日:06月05日 著者:雪乃 紗衣
黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)黄昏出張所 歴史修復官は時を駆ける (角川文庫)感想
ある日の黄昏時。不遇の青年・遠野ハジメの目の前に、時の蟲から歴史を守る蟲番だと名乗る眼鏡をかけた不思議な男が現れ、一攫千金を夢見てハジメが奮闘するダークファンタジー。主君に逆らい切腹待ちの武士、男と心中を遂げる予定の遊女、関東大震災での父の死の回避。蟲によって意識を喰われた歴史上の人物の行動を修復してゆく中で、葛藤しながらも自分のことより周りの大切な人たちのために奔走してしまうのがハジメで、小さな幸せを掴みかけていた彼の願った報酬はとてもらしくて切なくもなりましたけど、そんな物語の結末がまた印象的でした。
読了日:06月05日 著者:中村 ふみ
弁当屋さんのおもてなし まかないちらしと春待ちの君 (角川文庫)弁当屋さんのおもてなし まかないちらしと春待ちの君 (角川文庫)感想
お互いの思いを再確認した千春とユウ。一方で千春の帰任期限はあと半年と迫り、札幌で転職して一緒に暮らすか遠距離恋愛か悩む千春に、ユウがお弁当にメッセージを込める第五弾。くま弁のアクシデントに再来した将平とともに奮闘する千春、かつてくま弁で食べた餃子の味、ラワンブキを通じて明らかになった真相、そしてサクラマスに託したユウの想い。仕事もユウも大事で思い悩む千春もようやくユウに相談できて、いろいろ案も出ていい感じにまとまりそうな結末でしたが、落とし所は見つかりそうな気がするんですけどね。物語はもう少し続くのかな?
読了日:06月06日 著者:喜多 みどり
准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る (角川文庫)准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る (角川文庫)感想
怪異収集家の准教授・高槻と、その助手で嘘を聞き分ける大学生・深町尚哉のもとに「学校の怪談」調査依頼が舞い込む第二弾。小学校の「コックリさんの呪い」の噂、有名女優からのスタジオに出現した幽霊の調査依頼、奥多摩で崇められている「奇跡の少女」の真相。文中に出てくる高槻の講義内容もなかなか興味深いですが、高熱で倒れた尚哉のために奔走する高槻の想いや、そんな彼の優しさに戸惑う不器用な尚哉の姿が印象的で、エピソードの中で徐々に明らかになってきた高槻の過去もまた壮絶そうですね…そんな二人の今後を温かく見守りたいです。 
読了日:06月06日 著者:澤村 御影
ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 罪を喰らうもの (講談社タイガ)ふりむけばそこにいる 奇譚蒐集家 小泉八雲 罪を喰らうもの (講談社タイガ)感想
神学校の閉ざされた聖堂に現れた変死体。神学校に編入したオーランドとこの世の怪を蒐める不思議な少年・パトリックが身の回りに起こる怪異に立ち向かう第二弾。日に日に恐るべき速さで成長する彼らのもとを訪れる子供の正体、姿を消した黒猫と死を呼ぶ青い蝶、そして変死体を巡る怪異譚。手回しオルガンや黒猫の話にはまだ救いがありましたけど、貴族を巡るお家事情とか神学校にやって来る生徒たちは何かしら鬱屈を抱えていて、しんみりとした気分になってしまいました。まだぎこちない二人の交友がアイルランド行きで良い方に変わるといいですね。
読了日:06月07日 著者:久賀 理世
友達未遂友達未遂感想
伝統と格式のある全寮制女子高・星華高等学校。その寮で不審な事件が次々と起き、ルームメイト4人が巻き込まれていく青春小説。家に居場所がなかった茜、学校で伝説となっている母を持つ生徒会長の桜子、美工コースの憧れの先輩・千尋、周囲に迎合しない天才肌の真尋。複雑な家の事情や周囲の評価とのギャップに鬱屈を抱えていたりと、一人ひとり語られてゆくそれぞれの過去。けれど今まで見えていたものが全てではなくて、自分をきちんと見て気にかけてくれる人がいて、少しずつ変わってゆく彼女たちが迎えた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月07日 著者:宮西 真冬
幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)感想
脈アリと思っていた片思いの相手・白草に彼氏ができたと知った高校生・丸末晴。失意の彼に以前告白してきた幼馴染・黒羽が復讐を持ちかける青春ラブコメディ。美少女で芥見賞受賞の現役女子高生作家・白草と、陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系の黒羽。偽恋人として白草を挑発したり、白草の恋人という先輩と勝負したり、だいぶ拗らせたそれぞれの恋愛模様にもう素直になれよ…と思いましたけど、甘酸っぱい青春の先には斜め上の結末が待ってました(苦笑)そんな彼らだからこその新展開もあって、今後に期待大の新シリーズですね。
読了日:06月08日 著者:二丸 修一
魔法科高校の劣等生(29) 追跡編<下> (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(29) 追跡編<下> (電撃文庫)感想
富士樹海に潜伏する光宣を追い、張り巡らされた結界『蹟兵八陣』を破る方法を思案する達也。一方、USNA軍非合法魔法師暗殺者小隊『イリーガルMAP』が達也の暗殺に動き出す第二十九弾。米国への脱出に向けて動き出した光宣と追跡する達也、一方で達也暗殺のためにほのかと美月を人質にしようとするイリーガルMAP。エリカやレオたちの活躍も久しぶりに読めましたけど、光宣に関する処遇にはいろいろな思惑も垣間見えて、意外な対決も実現して楽しかったです。舞台を移しての新展開になるのか、最後に出てきた達也の提案も気になりますね。 
読了日:06月08日 著者:佐島 勤
ストライク・ザ・ブラッド20 再会の吸血姫 (電撃文庫)ストライク・ザ・ブラッド20 再会の吸血姫 (電撃文庫)感想
真祖たちの乱入によって混迷を深めていく絃神島の領主選争。事態収拾の切り札である十二番目のアヴローラを連れて、絃神島へと向かう志緒と唯里たちが第二真祖に襲われる第二十弾。原因不明の飢えと渇きに苦しむ古城と、第一真祖が告げた眷獣たちの暴走を防ぐ恐るべき方法、混迷をもたらした吸血王と領主選争いの真の目的。ヒロインたちもそれぞれらしさ全開で奮闘してましたけど、そんな彼女たちが霞んでしまうアヴェローラの圧倒的メインヒロイン感…ここに来て思わぬ急展開でしたけど、二人がどうやってこの混迷を収束させるのか続巻に期待です。
読了日:06月09日 著者:三雲 岳斗
スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 (電撃文庫)感想
母子家庭で働く母の代わりに双子の弟妹の面倒や家事に日々奮闘する女子高生・池野彗花。彼女が隣の席の不良として恐れられる庭上蓮のマンガ家になる夢を知り、一緒に住んで応援する青春小説。意外な一面を知って自分の家を密かに作業場として提供する彗花と、戸惑いつつも彗花の協力を受け入れるようになっていく蓮。双子を交えたやりとりは微笑ましくて、不器用で頑固な二人だからこそぶつかったりすれ違いもありましたけど、絶望に直面しても夢を諦めたくない蓮、彼女を信じて夢を応援したい彗花の真っ直ぐな想いがとても眩しい素敵な物語でした。
読了日:06月09日 著者:世津路 章
めぐり逢いサンドイッチめぐり逢いサンドイッチ感想
大阪の靱公園そばにあるサンドイッチの専門店『ピクニック・バスケット』で働くおっとりした姉笹子としっかり者の笹子の姉妹。店を訪れる人達の迷える人々の心を、絶品サンドイッチが癒やす優しくも愛おしい物語。対照的な姉妹に、子供のころの記憶に苦しむOLや父の再婚に悩む少女、そして常連客の小野寺さんやパン職人の川端さんのエピソードも交えつつ、笹ちゃんが訪れた人たちの想いに寄り添うようなサンドイッチを作り上げてゆく展開で、関わる人たちの様々な想いに触れ、過去エピソードも絡めて絆を深めてゆく姉妹の関係がとても素敵でした。
読了日:06月10日 著者:谷 瑞恵
弥栄の烏 (文春文庫)弥栄の烏 (文春文庫)感想
地震に襲われ山内崩壊が危惧される状況で、山神に仕えるよう命じられる若宮。山神の呪いが明らかになってゆき、人喰い猿との最終決戦も近づく第六弾。荒ぶる山神に対する無力感を痛感する一方で、八咫烏生き残りの方策を模索する中で山神との関係に希望を見出す若宮。とはいえ事態はすでに動き始めていて、そこで雪哉の非常とも言える策がもたらした長年の因縁の決着はほろ苦く、希望の光も垣間見えた結末ではありましたけど、生き残ったものたちがこれからどう生きていくのか、ここからどんな未来に繋がっているのか、第二部に期待ということで。
読了日:06月11日 著者:阿部 智里
横浜ヴァイオリン工房のホームズ2 (メディアワークス文庫)横浜ヴァイオリン工房のホームズ2 (メディアワークス文庫)感想
元天才ヴァイオリニストで「絶対音感」で様々な音から謎を解く名探偵・響子と助手の広大に、同級生からいわくつきの楽器の相談を持ち込まれる第二弾。所有者に不幸をもたらすナポレオンも所有した呪いのヴァイオリンの正体、中華街の二胡の名手に依頼された駆け落ちした息子の捜索、戻ってきてしまうヴァイオリンがもたらした再会。二人で謎解きに挑むエピソードを重ねてゆく中で、独特の感性で広大を振り回す響子さんと、すっかり助手っぽいポジジョンに収まった広大の関係もいい感じに馴染みつつあって、二人の今後も気になるところではあります。
読了日:06月11日 著者:上津 レイ
暁花薬殿物語 第二巻 (富士見L文庫)暁花薬殿物語 第二巻 (富士見L文庫)感想
目を覚ますと正妃になっていて高まる世継ぎへの期待もどこ吹く風の暁下姫。しかし、都に鬼が出現したと報告が入り、相次いで村が消えたという噂が広がる第二弾。自由に動けるようになるため、帝に髪を切ってもらい小坊主姿で修行をすることになった暁下姫。四貴族の後宮に入った姫や帝に対する扱いがいろいろ露呈して、鬼が暗躍する不穏な状況の中で暁下姫は現実を突きつけられる展開でしたが、それでも周囲に頼れる人がいる彼女よりも、この状況で信頼できる味方も武官もほとんどいない帝は立ち位置的にかなり危ういのでは…続刊が気になりますね。
読了日:06月12日 著者:佐々木 禎子
農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)感想
派遣切りに遭い、同棲相手からも突然別れを告げられ失意のどん底の水沢久美子、三十二歳の春。TV番組の「農業女子特集」を見て運命を感じ、一念発起田舎に引っ越し農業大学へ入学することを決意する物語。頼れる実家もない状況で同棲相手と別れると、こんな不安定な境遇になってしまうのかと痛感させられる展開でしたが、やはり地縁のないところで女ひとり就農するのも言うほど簡単ではないですよね…。知り合った友人たちのしたたかな行動力が印象的でしたけど、周囲の助けもあって久美子にもどうにか希望が見えてくる展開に救われる思いでした。
読了日:06月12日 著者:垣谷美雨
マチのお気楽料理教室マチのお気楽料理教室感想
ツアーコンダクターとして15年間国内外を旅してきて、義母の介護のために退職した常磐万智。旅先で料理について学んだ経験を生かし、義母の死去後自宅で料理教室を営むお料理小説。「どんどろけ飯」「トンテキ」「冷や汁」「ジンギスカン」「チキン南蛮」など、こじんまりとした料理教室で作られる郷土料理の数々と、参加する生徒たちの家族を絡めたエピソードがなかなか興味深かったですが、同時に物語の中で少しずつ明らかになってゆく常盤家の今に至るまでがなかなか複雑で、それを踏まえて物語を見返すと奥が深いな…と改めて唸らされました。
読了日:06月13日 著者:秋川 滝美
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 (GA文庫)感想
藤宮周が一人暮らしするマンションの隣室に住む学校で一番の美少女・椎名真昼。特に関わり合いのなかった彼女とふとしたきっかけから交流が始まる青春小説。雨の中ずぶ濡れの彼女に貸した傘をきかっけに、自堕落な一人暮らしを送る周を見かねて食事を作り部屋を掃除し、何かと世話を焼く真昼。自分だけが知るクールで毒舌な彼女と過ごす日々に少しずつ心境が変化してく周と、家の事情を抱えていそうな彼女との関係がどうなるのか。現時点ではまだまだこれからですけど、もどかしい甘酸っぱい展開を期待できそうで今後が楽しみな新シリーズですね。 
読了日:06月13日 著者:佐伯さん
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 (GA文庫)ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 (GA文庫)感想
深層の決死行を乗り越えて、地上の帰還を果たしたベル達。冒険の成果でそれぞれが成長を果たし、過去のエピソードが綴られる第十五弾。ヘスティア・ファミリアそれぞれの過去エピソードも交えつつ、各自が成長を遂げる描写ではリリの浮かれっぷりが微笑ましいですね。そして何とも残念な結果に終わったヴォルフ…(苦笑)ベルの前ではポンコツエルフと成り果ててしまう(のに自覚してなさそうな)リューが可愛すぎて、春姫もまた健気に頑張っていて、気になるエピローグだったアイズと、ヒロインたちとの今後もいろいろ気になるところではあります。
読了日:06月13日 著者:大森 藤ノ
天才王子の赤字国家再生術4~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)天才王子の赤字国家再生術4~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)感想
新皇帝を決めるため皇子三人による会談が持たれることになったアースワルド帝国。ロウェルミナからミールタース市に招待され、ウェインの代理で妹姫フラーニャ王女が出席する第四弾。ニニムとともに帝国に向かい、最初は戸惑いながらも逞しく成長していくフラーニャ。重度なシスコンのウェインが妹を放っておくわけもなくて、思わぬ事態に巻き込まれてゆくお約束展開でしたが、今回は状況が目まぐるしく変わる中でのそれぞれの駆け引きが興味深かったですね。各方面から執着されて大変なウェインが次はどんな騒動に巻き込まれるのか続巻に期待です。
読了日:06月13日 著者:鳥羽 徹
紅霞後宮物語 第十幕 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第十幕 (富士見L文庫)感想
皇族・琮尚書の引退で新たに茹王が復帰。あわせて彼の長女も後宮に入るはずが後宮に入る前に亡くなり、代わりに腹違いの妹・仙娥が妃嬪としてやってくる第十弾。病弱の姉を支えた妹という第一印象からは思ってもみなかった急展開。小玉親衛隊状態だった後宮が、正論で殴ってくる茹昭儀や徐麗丹のような人物の登場によって否応なしに変化の時を迎えて、小玉たちも対応が難しいところですね。並行して進むエピソードもこれからどう絡んでくるのか、せっかくヒゲが生えたのに違うところで各方面から評価がだだ下がりな文林の動向も気になるところです。
読了日:06月14日 著者:雪村花菜
ワールドエンドクロニクル2 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)ワールドエンドクロニクル2 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)感想
魔神復活の危機を食い止め、リィンを殺さずに済む道を探すクロウ。王家からの依頼で封印されていた魔神の遺骸を破壊しようとするも、遺骸から救国の英雄イオンが復活する第二弾。魔神の討滅を目指すイオンの元に結集する各国。そんな彼を怪しみ真意を探るため独自に動き始めるクロウとリィン。幼馴染も意外な形で絡んできましたが、三百年前の真実に加えて二人を巡る事実も判明して、でも彼女の幸せを一番に考えるのがクロウらしいですね。過去の因縁を精算した世界で迎えた結末は、粋な計らいもあってなかなか良かったと思いました。次回作も期待。
読了日:06月14日 著者:霜野おつかい
最弱無敗の神装機竜《バハムート》18 (GA文庫)最弱無敗の神装機竜《バハムート》18 (GA文庫)感想
「聖蝕」と一体化したラフィによる世界崩壊の足音が間近に迫る中、記憶を失っていたかつての仲間たちがルクスという道標の下へ集い、極限の死闘が『古代の森』で展開される第十八弾。世界改変の呪縛に囚われたままのリーシャ、ルクスを信じたクルルシファーたちと自動人形たちの死闘、一度は敗れながらも偽っていた自分の本当に気持ちに気づきリーシャと対峙するルクス。そして立ちはだかるラフィ。物語の終わりは見えてきましたが、残るはフギルとの決着と…これまでルクスを支えてきたヒロインたちがどうなるかですね、やはり気になります(苦笑)
読了日:06月15日 著者:明月 千里
星降る島のフットボーラー星降る島のフットボーラー感想
実況の倉敷さんによる初小説。大西洋に浮かぶ七つの島による天の川リーグに加盟するエストレージャFC。世界に羽ばたく翼を目指すハルが一癖も二癖もある仲間たちとともに、列島リーグの未来を救うために立ち向かうフットボール小説。スコルピウスのオーナー・アルゴルによる八百長を使ったリーグの支配を阻止するため、真っ向勝負を挑むことになったエストレージャ。ダーティーなプレイで選手を削られたり脅されたりしながらも、強力な助っ人や熱い応援を得て、チーム一丸となって苦しい試合をひっくり返してみせる展開はなかなか面白かったです。
読了日:06月16日 著者:倉敷 保雄
姑の遺品整理は、迷惑です姑の遺品整理は、迷惑です感想
姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった嫁の望登子。業者に頼むと高くつくからと、自分で遺品整理をしようと奮闘する物語。生前あまり仲良くなかった記憶しかない姑の遺品整理。捨てられなくて溜まっていった膨大な遺品を孤軍奮闘で何とかしようとするのはさすがに厳しいものがありますよね…。でも整理を進める中で姑の意外な一面も明らかになっていって、比較対象だった母も他の人からみたらアレな一面もあって、直面したからこそわかったこともあったのかな。こういう時こそ人の繋がりが大事なのかなとしみじみと思いました。
読了日:06月16日 著者:垣谷 美雨
御徒町カグヤナイツ御徒町カグヤナイツ感想
仲間とともに青春を無防備に過ごしていた中学生・ヒロトの前に現れた一人の少女。特別な絆で結ばれたヒロトと3人のワケありな少年たちが月の王国の女王の娘を自称するノゾミを護るため「御徒町カグヤナイツ」を結成する青春小説。ヤクザの息子ケイゴ、中国人の頭脳派・ソン・器用なカトウといったワケありな仲間たちのままならない問題を一緒になって解決しつつ、仲間となって共感し羨望の眼差しを向けるノゾミとの甘酸っぱい恋と現実に直面する展開で、中学生の彼らができる精一杯で件名に向き合ったその真摯な姿にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月17日 著者:浅原 ナオト
猟犬の國 (角川文庫)猟犬の國 (角川文庫)感想
便宜上「イトウ家」と呼ばれる日本の誇る情報機関。日本人でもないのに不本意ながら猟犬になった男が、情報と軽武装を頼りに、国内外の邪魔者を排除するスパイ小説。あの「イトウさん」は組織名だったの?とか思わなくもなかったですが、スパイとしての大阪での日常を過ごす偽日系人の経歴を持つ男が、警察庁から出向してきた新人・幸恵に情け容赦のない環境を「アウトロー!」とか散々に罵られながら、コンビを組んでスパイとして新人教育していくゆるい展開がなかなか面白かったです。もしかしてあの人なんですかね(苦笑)とりあえず続巻も期待。
読了日:06月17日 著者:芝村 裕吏
千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)感想
クラス委員に指名されたトップカーストの千歳朔。担任から引きこもり生徒の更生を頼まれ、自信回復の手伝いをする青春小説。仲間の協力も得ながらあの手この手で引きこもりの健太を引っ張り出してみせた朔。そんな彼が魅力的な仲間やヒロインたちに信頼されるのも、周囲の期待に真摯に向き合い、大切なもののため誰かのために奔走することを惜しまないからで、テンプレートなリア充論を論破してみせる彼が、時折垣間見せる本音や葛藤がとても印象的でした。彼の恋愛模様やワケありの過去も気になりますし、続巻が楽しみな期待の新シリーズですね。 
読了日:06月17日 著者:裕夢
リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)感想
塵禍で文明が一度滅び、砂塵を異能力に変換できる「砂塵能力者」が力を持つ近未来。因縁の復讐相手・スマイリーを追うチューミーが、利害の一致から一時的に粛清官に協力し、ワケありの粛清官・シルヴィとコンビを組む近未来SF復讐譚。特殊な事情を抱えていたシルヴィと出会い、最初は反発しながらも徐々に育まれていく相棒としての信頼感。テンポよく進む中でスマイリーと追う二人を巡る因縁も明らかになって、何度も葛藤と絶望に直面する異端のバディが待ち望んだ宿敵との対峙と決着、確かな絆が垣間見えた結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月18日 著者:呂暇 郁夫
本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)本屋のワラシさま (ハヤカワ文庫JA)感想
過去のある事件がきっかけで本が読めなくなってしまった元書店員の啓。入院した伯父の代わりに書店で働くことになった彼が、店内で動き出す座敷童子人形に遭遇するマチナカ書店物語。突然動き出して書店繁盛の教育的指導を繰り返すワラシに振り回されたり、お花屋ののばらさんが気になりながら、伯父を慕って訪れるお客さんの本を巡る悩みをワラシと一緒に解き明かしてゆく展開で、不器用なりに取り組むその積み重ねが頑なだった啓の心境を少しずつ変えていって、苦い過去にも向き合って新たな一歩へと繋がってゆくとても優しくて素敵な物語でした。
読了日:06月18日 著者:霜月りつ
君の××を消してあげるよ君の××を消してあげるよ感想
高校受験を控え、地元テレビ局によるコンクール密着取材を聞いてバトン部の退部を申し出た幸。誰にも言えない辛い秘密を抱える彼女が、同級生のクラゲと出会う青春ミステリ。父の再婚で家に居心地の悪さを感じ、学校でも親友と仲違いしてすっかり居場所を失ってしまった幸。そんな状況でふとした共感から同級生・クラゲの復讐に幸が協力する展開で、中学生の計画がそうそう思い通りに行くわけもないですが、自分の力ではままならない窮屈な絶望の中で、だからこそ自分の居場所があること、秘密を共有できる存在の貴重さを改めて痛感する物語でした。
読了日:06月19日 著者:悠木 シュン
麦本三歩の好きなもの麦本三歩の好きなもの感想
大学図書館勤務の20代女子、麦本三歩のなにげなく愛おしい日々を描いた日常小説。優しい先輩や怖い先輩、おかしい先輩などに囲まれながら、気になることを見つけたり、ミスしても懲りずにマイペースな日々を送る三歩。単純で天然だけどだけど何も考えていないわけではなくて、時には苦悩したり誰かのために奔走したり、変わった行動に走って先輩たちをドン引きさせたり、物語としては特に大きな山や谷があるわけではないですが、そんな日々を送るよくも悪くも真っ直ぐでお茶目な彼女が、先輩たちに可愛がられるのも何か分かるような気がしました。
読了日:06月20日 著者:住野 よる
アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫 (ファンタジア文庫)アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫 (ファンタジア文庫)感想
未だ混乱が続く中、聖フリーデスウィーデに貴族純血思想の理事長が就任。公爵家令嬢を利用して貴族階級を揺るがそうと目論むレイボルト財団の社長クローバーを調査するクーファに、騎士団からエリーゼ暗殺の司令が下る第十弾。統制が取れていない状況下で極端な思想に走る輩が台頭すると、狙われるのは公爵家なのに侍クラスのメリダや象徴たる聖騎士クラスのエリーゼになるわけで、でも逆境でこそメリダエリーゼの二人の絆や、彼女たちのために奔走するクーファとの信頼関係が光りますね。覚悟を決めたクーファや彼女たちのここからの逆襲に期待。
読了日:06月20日 著者:天城ケイ
公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます (ファンタジア文庫)公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます (ファンタジア文庫)感想
アレンの指導で魔法士として急成長を遂げたティナたち。一方でティナの姉・ステラはすっかり自信を喪失してしまい、アレンは両公爵家による合同商社立ち上げの責任者という大役を任される第三弾。両公爵家がアレンを極限までフル活用とか思わなくもない展開ですが、それでも甘えてくる教え子たちや妹、腐れ縁さんに後輩、恩師までフォローしつつ、頑張りやさんのステラを立ち直らせて、商売に才能を見せるフェリシアまで見出して、そんなアレンさんの虜になってしまうヒロインがまた増えました(仕方ない)この物語がどこに向かうのか続巻に期待。
読了日:06月20日 著者:七野りく
ゆきうさぎのお品書き 白雪姫の焼きりんご (集英社オレンジ文庫)ゆきうさぎのお品書き 白雪姫の焼きりんご (集英社オレンジ文庫)感想
就職活動をはじめて3カ月、縁あって私立女子高から内定をもらうことができた碧。ゆきうさぎでの店主・大樹との穏やかな日々が戻ってきたある日、老舗旅館の女将で大樹の祖母・葉月が訪ねてくる第七弾。鎌倉への紅葉狩り、誕生日プレゼントの交換とか、碧と大樹が一緒に過ごす時間が増えてゆくのをほほえましい想いで読めましたが、都筑さんのエピソードとかタマちゃんたちの関係も良かったですし、何より思わぬところから繋がっての祖母・葉月のゆきうさぎ訪問は、自分も一緒になってハラハラしちゃいました(苦笑)これは続巻も期待の展開ですね。
読了日:06月21日 著者:小湊 悠貴
破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S (メディアワークス文庫)破滅の刑死者 内閣情報調査室「特務捜査」部門CIRO-S (メディアワークス文庫)感想
ある怪事件と同時に消えた国家機密ファイル。事件当夜現場で目撃された大学生・戻橋トウヤと「特務捜査」部門CIRO-Sに配属された新米捜査官・雙ヶ岡珠子が二人で協力して事件とファイルの捜査にあたるサスペンスミステリ。示唆される特殊能力の存在と、自らを賭けることを厭わない危ういトウヤの狂気、彼を放っておけず一緒に捜査する珠子。特殊能力を持つ相手に大胆な駆け引きで勝負を挑み続けるトウヤと、正義感の強い珠子がなかなかいい感じのコンビで、彼らが挑むヒリヒリするような勝負の先にあった意外な結末がまた印象的な物語でした。
読了日:06月21日 著者:吹井 賢
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編 (宝島社文庫)感想
久美子を部長に新体制でスタートした北宇治高校吹奏楽部。新入部員や転入生のユーフォニアム奏者・真由の入部で波乱が巻き起こる状況で、悲願の「全国大会金賞」を目指す第十四弾。これまでとやり方を変えてきた滝先生だったり、メンバーやソロ選出を巡る部内の微妙な空気感があったりで、ほんといろんな子がいるんですね。久美子自身もいろいろ葛藤を抱えていたりもしましたが先輩の助言や仲間の助けも得たりで、それぞれが逃げずに向き合って乗り越えて得た最後の結果にはぐっと来るものがありました。最後のエピローグまでほんと良かったです。 
読了日:06月22日 著者:武田 綾乃
現実主義勇者の王国再建記X (オーバーラップ文庫)現実主義勇者の王国再建記X (オーバーラップ文庫)感想
東方諸国連合から帰還したソーマが迎える暫定国王から真の国王になるための戴冠式。ソーマと婚約者たちの婚礼の儀に合わせて臣下にも結婚式を挙げるよう勧める第十弾。暫定国王になってからいろいろあり過ぎて長かった感もありましたけど、すっかり家族になった婚約者それぞれとも仲良しでようやくという感じですかね。合わせてポンチョやハルバート、ルドウィンやクーたち、なかなかくっつかなかったカップルたちの結婚にいたるエピソードもじっくりと描かれていてお腹いっぱいになりました(苦笑)番外編のエリシャのエピソードも良かったです。 
読了日:06月23日 著者:どぜう丸
後宮天后物語 ~絡まる想いにご決着!~ (ビーズログ文庫)後宮天后物語 ~絡まる想いにご決着!~ (ビーズログ文庫)感想
決死の告白でようやく想いを通わせた雛花と志紅。だが、仮死状態だった兄・黒煉の体に志紅に宿っていた男神・伏羲が戻ってしまう第四弾。兄を救うため雛花が瀕死の志紅とともに禁城を脱出、丹朱から解決の糸口を探ろうとする展開でしたけど、まさにラストまで駆け抜けたというか文字通り怒涛の展開でしたね…でも千年前の因縁も、黒煉のことも二人の仲もきちんといい感じに収まった結末には何かほっとしましたね。最後まで相変わらずな二人に周囲の反応も苦笑いでしたけど、だからこそ最後の最後でようやく素直になれた様子が可愛らしく思えました。
読了日:06月23日 著者:夕鷺 かのう
ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)ごちそうは残業のあとで (富士見L文庫)感想
低迷が続く藤見屋百貨店吉祥寺店が再生をかけて食品フロアのリニューアルに乗り出し、食べるの大好きぽっちゃり女子・日向子が企画立案に立候補、高級志向のエリート上司・四ノ宮相手に挑むお仕事小説。B級グルメの企画をことごとく却下し本物の味を教えると言い出した四ノ宮。そんな対立の構図から境遇は違えど食に対する熱い想いで共感して、企画に邁進していく中でお互い助け合えるようないい関係に変わってゆく展開はいいですね。二人の距離感はまだまだこれからですけど相手を意識し始めてはいるようで、続きがあるならまた読んでみたいです。
読了日:06月24日 著者:紅原 香
高校事変 (角川文庫)高校事変 (角川文庫)感想
平成最大のテロ事件を起こし死刑になった男の次女・優莉結衣。彼女が転入した武蔵小杉高校を総理大臣が極秘訪問することになり、学校が突如武装勢力に占拠に巻き込まれてしまうエンタメ小説。こういう状況に遭遇するのは偶然でも、なにかあるたびにその関与を疑われてしまう境遇というのはなかなか厳しい…とはいえ武装勢力を相手に先生や他の生徒たちがパニックに陥る中、冷静に状況を見極めて判断し活路を見出してゆく結衣の行動力は際立っていました。そんな結衣がこれからも普通の女子高生でいられるのか、続巻が気になるところではあります。 
読了日:06月24日 著者:松岡 圭祐
明るい夜に出かけて (新潮文庫)明るい夜に出かけて (新潮文庫)感想
あるトラブルがきっかけで大学を休学し、実家を離れて期間限定の自立を始めた富山。人に言えない葛藤や臆病な自分に自信喪失気味だった彼が、バイトするコンビニで印象的な人たちと出会う青春小説。バイトリーダーの鹿沢や同級生の氷川、同じラジオ番組のヘビーリスナーの女子高生・佐古田たちと出会い、繋がっていくことで少しずつ変わってゆくその心境。誰しも不器用な一面があって、上手くいくことばかりでもなくて、けれどそんな彼らとの関わりから生まれる様々な出来事が、前へ進むきっかけに繋がってゆく展開にはぐっと来るものがありました。
読了日:06月25日 著者:佐藤 多佳子
逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)逢う日、花咲く。 (メディアワークス文庫)感想
13歳で心臓移植を受けたホズミ。それから自分が女の子になる夢を見るようになった彼が、明るく快活で幸せそうな彼女に恋をする奇跡の物語。移植された心臓の持ち主・葵花の記憶を夢で見るようになったホズミが抱く決して出会うことのない報われない恋心。ふとしたきっかけから知る彼女の背景。心臓を介しての二人だけの交流は微笑ましくて、そんな積み重ねがあったからこそ感じた違和感があって。大切な人を救うために最後まで諦めなかった彼の奔走と、彼女の強い想いによって新たに紡がれてゆくこの物語の結末にはぐっと来るものがありました。 
読了日:06月25日 著者:青海野 灰
ケーキ王子の名推理 4 (新潮文庫nex)ケーキ王子の名推理 4 (新潮文庫nex)感想
コンクール優勝の副賞としてパリへ研修旅行に行くことになった二人。そこで颯人の最大のライバル、若き天才料理人ルイ・デシャンと出会い、複雑な心境を抱えたまま文化祭に突入する第四弾。二人での楽しいパリ旅行から一転、ルイ・デシャンとの出会いによって焦燥を募らせる颯人と、文化祭で未羽の前に再び現れる漣。少しずつ意識するようになっていった未羽も戸惑いはあったでしょうけど、颯人もまた心穏やかではいられない状況の連続で、読んでる方もドキドキしちゃいますね(苦笑)素敵な結末を迎えた二人のこれからに期待せずにはいられません!
読了日:06月25日 著者:七月 隆文
マージナル・オペレーション改 07 (星海社FICTIONS)マージナル・オペレーション改 07 (星海社FICTIONS)感想
米中二大国の対立は直接的な衝突へと向かい、朝鮮半島情勢が膠着化する中、中国は政治的空白地帯となったミャンマー・シャン州を支配下に収めるべく、さらなる大軍を繰り出す第七弾。近未来の戦争はこう変わっていくのかと思いながら、まめたんの運用と驚異的な戦果を読んでましたけど、これはアラタが凄すぎるだけなんですかね(苦笑)なし崩し的に米軍海兵隊との共同作戦に突入する状況で、この戦いをどう終わらせるのか、子どもたちとの傭兵家業に終わりはあるのか、相変わらずヒロインの気持ちに鈍いアラタだったり、いろいろ気になりますね。 
読了日:06月26日 著者:芝村 裕吏,しずま よしのり
茉莉花官吏伝 六 水は方円の器を満たす (ビーズログ文庫)茉莉花官吏伝 六 水は方円の器を満たす (ビーズログ文庫)感想
白楼国と隣接するシル・キタン国からの侵攻の可能性に気づいた州牧補佐の茉莉花。仲間として距離が縮まっていた御史台の翔景や大虎とともに、侵攻を阻止するべく動き出す第六弾。今ある状況を分析して運も味方につけつつシル・キタン国の侵攻撃退の手立てを講じてゆく茉莉花。人と協力することを覚えた彼女の今回の大戦果にその成長を感じましたけど、凄まじい功績のはずなのになかなか素直に認められない状況をうまく誘導していった珀陽も、流石にあれは冷静でいられなかったですかね…仕方ないw 茉莉花さんの真意が気になるところではあります。
読了日:06月26日 著者:石田 リンネ
悪魔の孤独と水銀糖の少女II (電撃文庫)悪魔の孤独と水銀糖の少女II (電撃文庫)感想
呪われた島から旅立ち逃亡の日々を送る孤独の悪魔を背負う男ヨクサルと死霊術師の孫娘シュガーリア。二人は人ならざる有翼種の血を引く子供・ビーノと出会う第二弾。帝国の謀略が蠢く砂漠の街・バフハに潜入した二人。ヨクサルは自分の罪と過去に直面することになり、ビーノの激情がシュガーリアの身を焦がす展開でしたけど、そんな熱い想いをぶつけられたからこそ皮肉にも自覚した揺るぎない想いがあって、捕らわれたヨクサルもかえがえのないものがあると気付かされて、そんな二人の絆がとても良かったです。続刊あるならまた読んでみたいですね。
読了日:06月27日 著者:紅玉 いづき
外資の流儀 生き残る会社の秘密 (講談社現代新書)外資の流儀 生き残る会社の秘密 (講談社現代新書)感想
マクドナルド・ディスニー・ケンタッキーと外資系で45年働いた著者が経験を元に語る日本企業が強くなる「8つの方程式」。外資系企業やアメリカの合理的な判断を紹介しつつ、外資の勝利の方程式、効率的な判断と生産性、日本の生産性が低い原因、今後日本に起こる変化、効果的な転職の方法を語った一冊で、なるほどなと思う部分もところどころありましたが、異なる文化圏の発想をそのまま導入すればいいというほど単純なものでもないですね、やっぱり。でもこういう違う視点や考え方があることを知るのは、大切なことなのかなとは実感しました。 
読了日:06月27日 著者:中澤 一雄
恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 (ファミ通文庫)恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 (ファミ通文庫)感想
母親との縁で隣に引っ越してきたリトルプリンセス・天城姫那。そんな彼女の恋を成就させるため、八神一冴は彼女が心を寄せているという柿内淳也のことを調べはじめる青春学園ブコメディ。自らの想いに真っ直ぐで応援したくなる姫那と彼女の想い人・淳也、淳也の幼馴染で一冴の想い人でもある凛々菜の4人を軸に、それぞれ事情を抱える彼らの恋模様が描かれる展開のようですね。今回は一途な姫那を軸としたストーリーがなかなか良かったですけど、謎めいた部分も多いもうひとりのヒロイン・凛々菜がもたらす急展開には期待せずにいられませんね。 
読了日:06月27日 著者:箕崎准
子守り男子の日向くんは帰宅が早い。2 (角川スニーカー文庫)子守り男子の日向くんは帰宅が早い。2 (角川スニーカー文庫)感想
5歳の妹・蕾の面倒を見る新垣日向の夏休み。クラスの陽キャ女子・唯や悠里に誘われてキャンプや花火大会とイベントで大忙しの日々を送る第二弾。真っ直ぐに家に帰宅していた日向が、夏休みに妹の蕾や後輩の日和と一緒に参加したキャンプや花火大会。そんな彼に関わり続けてくれた友人たちの存在も大きかったですけど、第三者で人に大切にされ自由に生きてきた霧子との印象的な出会いは、この物語の大きなターニングポイントになりそうですね。新たな一歩を踏み出した日向がここからどう変わってゆくのか、続巻の展開が俄然楽しみになってきました。
読了日:06月28日 著者:双葉三葉
理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい (角川スニーカー文庫)理系な彼女の誘惑がポンコツかわいい (角川スニーカー文庫)感想
セレブの子息令嬢が通う私立瑛銘学院。外部編入ながら学院首席の久遠寺梓と、名家のお嬢様で数学の天才・弥勒院由槻が学院の特権を賭け相手に告白させる恋愛ゲームに挑む学園ラブコメディ。容姿端麗で数学の天才だけど生活力皆無で本末転倒な理論に陥るポンコツかわいい由槻。ちゃっかりした由槻の付き人・彩霞や常識人の楓音もゲームに巻き込まれて、真面目にやればやるほどどんどんズレていって、でも素直になれない由槻が時々見せるハッとするような破壊力が凄い(苦笑)いやもう二人のバカバカしい攻防をいつまでも眺めていたいと思いました。 
読了日:06月28日 著者:長田 信織
未完結ラブコメと運命的な運命論 (講談社ラノベ文庫)未完結ラブコメと運命的な運命論 (講談社ラノベ文庫)感想
「もっと運命的な恋がしたいから」と彼女にフラれた高校生・砂川凍弥。そんな彼の前に謎の空飛ぶプリンが現れるラブコメディ。異なる世界線から来たラブコメのヒロインを攻略できなければ死ぬ?典型的なヒロイン・ミリカたちとベタな運命的出会いを果たし、ミッションに挑む中でヒロインたちと一緒に過ごし、その真摯な想い触れてゆく中で徐々に変わってゆく凍弥の心境。要所で登場するたびにその印象を変えてゆく元カノの存在も効いていて、突きつけられた究極のミッションに葛藤しながら向き合った結末には久しぶりにレーベルらしさを感じました。
読了日:06月28日 著者:ゆうび なぎ
お隣さんな教え子と甘い○○ (講談社ラノベ文庫)お隣さんな教え子と甘い○○ (講談社ラノベ文庫)感想
夢に挫折し高校の調理科でパティシエ講師を務める新見。四年前に印象的な出会いを果たし新入生として入学した理事長の孫娘である四宮蒼梨花が特別授業を求めて奮闘する年の差学園ラブコメディ。サラリーマン講師と化していた新見と、約束を胸に師事すべくひたすら努力してきた蒼梨花。お隣に引っ越してきた一人暮らしというベタな設定に、新見も一目置く天才妹弟子エイプリルを絡めたやりとりは楽しくて、力の差を痛感する強敵相手でも今持てる力で挑んでゆく、そんな真っ直ぐで熱い想いに周囲も心動かされる展開にはぐっと来るものがありました。 
読了日:06月29日 著者:望月 唯一
道然寺さんの双子探偵 揺れる少年 (朝日文庫)道然寺さんの双子探偵 揺れる少年 (朝日文庫)感想
福岡の夕筑市にある寺院・道然寺で暮らす中学3年生のランとレン。熊本地震に直面し、その被害から逃れてきた少年を巡る事件に2人が関わってゆく第二弾。今回は震災の被害によって引っ越してきた少年と、震災によって母親が精神を病んでしまった少年の複雑な関係に、ランとレンが関わってゆく様子が描かれていましたけど、こういう繊細な問題はどうすれば正解という話でもないだけになかなか難しいものがありますね…。でもそれでも考え続けてフォローしていく姿勢も大事なんでしょうし、合間に描かれたみずきの恋愛模様もちょっと気になりました。
読了日:06月30日 著者:岡崎 琢磨

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