読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

オススメお仕事小説ライト文芸編20選

前から作ろうと思いながら、忙しくてなかなか着手できていなかったお仕事小説企画ですが、少しだけ時間ができたのでまた勢いで作りました(苦笑)ライト文芸編と一般文庫編でそれぞれ20作品セレクトする予定です。さいきんお仕事小説めいた作品は増えていて、候補の作品数としてはわりとあったので、今回あやかしとかファンタジーめいた要素が絡む作品は除外しています。

 

どれを入れるのか入れないのか、これはお仕事小説にしていいのか等々...いろいろな意味でボーダーライン上の作品についてはいろいろ悩ましい部分もありましたが、あまり多すぎてもあれなのでえいやと決めました。一般文庫編も近いうちに公開予定です。これが終わったら部活小説も構想にありますが、いつになるかは忙しくならないことを祈るしかないですね…(遠い目

 

1.これは経費で落ちません!  (集英社オレンジ文庫)

入社以来経理一筋、きっちりとした仕事ぶりで評価される森若沙名子27歳。過剰なものも足りないものもないことを理想とする生活を送る彼女が、社内外で次々と起こる経理絡みの問題に巻き込まれてゆく物語。特に噂好きでもなく、社内の複雑な人間関係からどこか一歩引いた位置にいる彼女。怖いと誤解されてしまうこともあるけれど、やや不器用なだけできちんと相手を気遣える優しさを持っていて、幸せになりたくないわけじゃないんですよね。実はみんなに慕われていて、そんな彼女がいいと言ってくれる同僚の存在に気づく結末はとても良かったです。現在5巻まで刊行。

【関連作品】「風呂ソムリエ 天天コーポレーション入浴剤開発室」(集英社オレンジ文庫

2.Bの戦場 (集英社オレンジ文庫)

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防 (集英社オレンジ文庫)

 

物心ついた頃からブスで、結婚式に憧れ自分は無理でもそれを演出する人になろうと、ウェディングプランナーになった北條香澄。そんな彼女が絶世のブスと絶賛されやり手で絶世の美男子・久世課長に求婚される物語。これでもかと香澄のブスっぷりを真正面から突きつけられる展開は少なからずグサグサ突き刺さりましたが、さらに突き抜けている久世課長の存在感(苦笑)そういう決断しちゃうのかーとは少し思いましたが、お仕事小説としても面白かったですし、仕事に真摯に向き合う香澄の姿勢やその人柄が愛されているのが伺えてなかなか良かったです。全6巻。

3.ゆきうさぎのお品書き (集英社オレンジ文庫)

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (集英社オレンジ文庫)

ゆきうさぎのお品書き 6時20分の肉じゃが (集英社オレンジ文庫)

 

貧血で倒れた大学生の碧が、小料理屋「ゆきうさぎ」を営む青年大樹に助けられ、バイトとしてとして働くことになる物語。母を亡くして食が細くなっていた碧や大樹が女将から跡を継ぐ前は常連だった父、お向かいの洋菓子店の兄妹やお店の常連客など、周囲の身近な人たちとの相手を思いやるような交流だったり、美味しそうな料理とらしさを取り戻した大食漢・碧の食べっぷりとか、猫の武蔵も存在感があって、特に目新しさはなかったですけど、心温まるような雰囲気が読んでいてとてもいいなと思いました。現在7巻まで刊行。

4.ちどり亭にようこそ  (メディアワークス文庫)

京都・姉小路通沿いにある仕出し&弁当屋「ちどり亭」。店主の花柚さんと彼女に料理を教わるバイトの大学生・彗が、お弁当を作りながら周囲の人たちと交流してゆく物語。家付き娘で毎週お見合いをして人脈を広げている残念な花柚さんと、同級生に密かに恋する彗の二人で読んでいるだけでも美味しそうな料理を作りながら、お弁当を作る手助けをしたり、一緒に花柚さんの師匠を看取ったり、そして花柚さんの元婚約者との切ない関係だったり、不器用でなかなか素直になれない人たちの一途でくすぐったい気分になる優しい思いに満ちた素敵な物語でした。全4巻。

5.日本酒BAR「四季」春夏冬中 (メディアワークス文庫)

新潟の酒蔵で親と衝突し、東京に出てきたものの行き倒れになりかけていた冴蔵が、恵比寿の片隅で「四季-Shiki-」を営む楓さんに救われ二人で日本酒BARを再開する物語。その出会いは日本酒に詳しい夫が亡くなってから実質的に料理屋状態だった楓にとっても、衝突し家を出てきた冴蔵にとっても転機で、二人が力を合わせて訪れる人達ときちんと向き合って信頼関係を育んでいったことで、それぞれが抱えていたものを乗り越える支えとなる展開はとても良かったです。全2巻。

6.笑う書店員の多忙な日々 (メディアワークス文庫)

笑う書店員の多忙な日々 (メディアワークス文庫)

笑う書店員の多忙な日々 (メディアワークス文庫)

 

東京の小さな書店で新人バイトの紗和が直面する現実。そんな彼女に仕事を教える文庫文芸担当の楠奈津が、某出版社から持ち込まれた新人デビュー作のゲラに衝撃を受けて全店フェアを提案するお仕事小説。都内の書店でもこれくらい過酷な職場環境なのかと感じつつ読みましたが、書店が大好きで仕事に取り組む書店員たちがいきいきと描かれていて、初心者の紗和と経験を積んだ奈津の両視点から書店を描こうとして視点の切り替わりが多かったのはやや気になったものの、周囲も巻き込んで一丸となって本を売りに行く展開にはぐっと来るものがありました。

7.装幀室のおしごと。 ~本の表情つくりませんか?~ (メディアワークス文庫)

きちんとゲラを読んで理解し、本の表情を生み出すのが装幀家の役割だと信じる本河わらべが、出版社の合併で本の内容には目を通さない主義の巻島と組むことになり、ことあるごとに衝突しながらも本の装幀を作り上げていく物語。最初はゲラを読む読まないだけでなく、本に似合う装幀を作りたいと思うわらべと、多少強引でも売上に繋がるような装幀を意識する巻島が毎回衝突して苦笑いでしたけど、試行錯誤していく過程で徐々に連携も取れるようになったり、二人がそんな装幀を意識するきっかけに思わぬ顛末が待っていたりとなかなか楽しく読めました。全2巻。

8.雨ときどき、編集者 (メディアワークス文庫)

急逝した担当人気作家・樫木の死から立ち直れずにいた編集者・真壁が、生き別れたドイツ人の父親に本を届けて欲しいという樫木の遺言を実現するために奮闘する物語。ベストセラーでも海外向けの翻訳はごくわずかという厳しい現実に直面しながら、諦めずに道を探ったり運良く出会えたドイツ人翻訳者ルイルイと衝突したり、和解して理解を深めていく過程は、真壁自身にとっても樫木の死を受け止めて前に進むために必要なことだったのかなと思えた心地よい読後感の物語でした。

9.先生、原稿まだですか! 新米編集者、ベストセラーを作る (集英社オレンジ文庫)

先生、原稿まだですか! 新米編集者、ベストセラーを作る (集英社オレンジ文庫)

先生、原稿まだですか! 新米編集者、ベストセラーを作る (集英社オレンジ文庫)

 

念願かない百万書房に編集として入社した新入社員の平摘栞。大ヒットのデビュー作以降筆を止めていた憧れの作家や、ベテラン作家の新作を担当し編集業に奔走する物語。3年以内に100万部を超えるベストセラーを出せなければ、出版社を辞め見合いして結婚することを両親と約束して就職した栞。どうにか繋がりを持てた憧れの作家との意外な縁。「売れる本とは?」という難題。細部で首を傾げる箇所もありましたが、総じてテンポよく進むストーリーは読みやすく、奔走する栞の姿は素直に応援したいと思えました。続巻あるならまた読んでみたいです。

10.兼業作家、八乙女累は充実している (メディアワークス文庫)

突然の婚約破棄に昇進取り消し。順風満帆からまさかの人生のどん底に陥った大手通信会社営業・八乙女累が一念発起して書いた小説で小説新人賞を受賞し兼業作家デビューを果たすお仕事小説。ヤケを起こし迷走した果てに原点回帰して挑戦した小説新人賞。厳しいダメ出しをする鬼編集と組むことになり、仕事の方も大変なことばかりで厳しいと思いましたが、きちんと見据えて頑張ってみれば見えることもあるし助けてくれる人もいるんですよね。どうにか兼業作家のスタートラインに立てた今回、周囲との人間関係も気になりますし続巻を読んでみたいです。

11.原之内菊子の憂鬱なインタビュー (小学館文庫キャラブン!)

崖っぷち編プロ「三巴企画」の戸部社長と桐谷が弁当屋で見出した原之内菊子。その顔を見た者は自分語りが止まらなくなってしまう特殊能力を活かして、インタビューとして働くお仕事小説。引き出される本音ダダ漏れのインタビューに悪戦苦闘しながらも可能性を感じる桐谷と、自らも苦悩しながらそこに居場所を見出してゆく菊子。苦い過去を積み重ねてきた彼女が特殊能力によってもたらされた事態の重さに逃げ出して、それでもそんな彼女が必要だと追いかけてきた二人や周囲の人たちに認められ、乗り越えてゆく優しい結末はなかなか良かったですね。

12.ななもりやま動物園の奇跡 (メディアワークス文庫)

別居中の妻を事故で亡くし、高校生の一人娘・美嘉との関係は冷えきったままの不動産屋社長・幸一郎。そんな時3人の思い出の動物園が閉園危機にあると知り、美嘉の笑顔を取り戻すため何の知識もないまま動物園再建を決意する物語。最初は家族のためだったはずが、いつの間にか仕事一辺倒の状況にすれ違ってしまった関係。一縷の望みを託し動物園再建へ奔走してしまう幸一郎は本当に不器用だと思いましたが、その苦難にも諦めず立ち向かう姿に周囲も協力してくれて、どうにか修復に向けた一歩を踏み出せたことにとても温かい気持ちになれました。

13.農村ガール! (メディアワークス文庫)

農村ガール! (メディアワークス文庫)

農村ガール! (メディアワークス文庫)

 

営業として月見食品に就職した華の勤務先は秋田の山奥にある営業所。赴任初日に熊に襲われたが偶然職場の上司に救われ、仕事では思ってもみなかった獣害駆除を任されるお仕事小説。農村ガールというより契約農家のお仕事もお手伝いしつつ害獣駆除をお仕事とする展開はちょっと新鮮でしたけど、実際に猟銃を撃つとなると実際に従事するまでの手続きはいろいろ煩雑なんですね。最悪の出会いから始まった上司との関係の変化や、体育会系思考の都会人・華が手痛い失敗をしながらもそれを乗り越えて成長してゆく姿が描かれていてなかなか良かったです。

14.農業男子とマドモアゼル イチゴと恋の実らせ方 (富士見L文庫)

結婚の当ても外れ職も失った状態で30歳を迎えた恵里菜。婚活を調べるうちに見かけた長野県へのバスツアーに参加した彼女が、それをきっかけに長野に移住して手探りで手探りで飛び込む恋と農業ライフ。イケメンとの衝突というきっかけがあったとはいえ、知らない土地・知らないことだらけでゼロから飛び込む勇気はなかなか出ないよなあとか感じたりもしましたが、歳下の優真の助力を得て心機一転農業のいろはを学びつつ真摯に取り組んだり悩んだりな姿には好感。二人の関係にもこれから進展の余地はあるのか気になるシリーズ。現在2巻まで刊行。

15.ブラック企業に勤めております。 (集英社オレンジ文庫)

ブラック企業に勤めております。 (集英社オレンジ文庫)

ブラック企業に勤めております。 (集英社オレンジ文庫)

 

イラストの仕事だけでは食べていけず、夢破れて生きるために親に内緒で地元タウン誌を発行する会社の事務員として採用された夏実。その個性的な面々が集うブラック企業ぶりを描くお仕事小説。周囲の同僚がだらしない人たちで振り回されたり、仕事をスムーズに動かすために始発で行って仕事とか考えるあたりが、すでにもう重症だなと思わなくもないですけど、それはそれとして社会人として仕事をしっかりこなす夏実だからこそ周囲から信頼されるのも納得ですね。大変なことに巻き込まれましたが、林さんとの今後が気になりますね。現在3巻まで刊行。

16.要・調査事項です! ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

要・調査事項です! ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

要・調査事項です! ななほし銀行監査部コトリ班の困惑 (集英社オレンジ文庫)

 

顧客をクレーマー化させてしまったことを気に病み、辞職を考えていた入行一年目の小林髙。そんな彼が二年目の年度初めに支店から本部の監査部の個人取引担当―通称コトリ班へ異動するお仕事小説。外貨の偽札や通帳のトラブルといった要調査案件に、上司の矢岳に見守られつつ、きれいだが愛想のない多岐川千咲とコンビを組んで調査する構図で、関係なさそうだった事件が繋がっていって、高の着目や人間関係が事件解決のヒントになったり、少しずつ距離感も変わってきた多岐川千咲とのコンビがこれから面白くなりそうです。

17.銀行ガール 人口六千人の田舎町で、毎日営業やってます (メゾン文庫)

銀行ガール 人口六千人の田舎町で、毎日営業やってます (メゾン文庫)
 

都会に行ってモデルになることを夢見ながら、地方銀行の営業として働く五十嵐吟子、24歳の奮闘が描かれるお仕事小説。渉外として顧客を訪れる吟子の元に次々と舞い込む厄介な相談。戦前から続く雨漏り食堂の修繕費用融資から、リサイクルショップ立ち退き交渉、振り込め詐欺犯逮捕、町おこしに離婚して生き別れた父の過去が絡んできたり、かつての想い人との久しぶりの再会もあって、困っている人たちのために周囲の助けも借りながらアイデアをひねり出し、奔走するうちに自分の目指すところを見出してゆく吟子の姿には心に響くものがありました。

18.やくしょのふたり (メディアワークス文庫)

勤めていた東実電器から急な出向を命じられた社会人3年目の矢田聡司が、痴漢に間違われたところを助けてくれた鏑木彩佳と出向先の消費者省で再会する物語。流されるまま出向先にやってきた聡司が、抱えている想いから苛烈に不正を追求する彩佳に触発され、一方で彩佳もまた徐々に巧みにフォローをする聡司に感化されていくストーリーで、彼らが関わる過去の大切な思い出や悲しい事件も絡めつつ、困難な状況を諦めない二人の熱意が周囲をも巻き込んでいく展開はなかなか良かったですね。心地よい読後感を感じさせる結末でした。

19.長崎新地中華街の薬屋カフェ (小学館文庫キャラブン!)

長崎新地中華街の薬屋カフェ (小学館文庫キャラブン!)

長崎新地中華街の薬屋カフェ (小学館文庫キャラブン!)

 

優秀な営業成績を認められ長崎の店舗へと配属されたドラッグストアで働く藤子。そんな彼女が仕事で遭遇する出来事や長崎新地中華街の「薬屋カフェ」で働く青年・ワンとの出会いが描かれるお仕事小説。真摯に働く藤子が直面する身近な店舗ならではのエピソードや人間関係の難しさ、薬屋カフェらしい美味しい食べ物や飲み物の話は興味深くて、全体としては恋愛小説というよりはやや仕事の方に比重が置かれた展開だったかなと感じましたけど、愛人さんの謎含めてわりと鈍感な藤子さんが遠回りしながらも心を通わせていく結末はなかなか良かったです。現在2巻まで刊行。

20.司書子さんとタンテイさん ~木苺はわたしと犬のもの~ (マイナビ出版ファン文庫)

祖母を亡くし老犬と一緒に暮らしながら、小さな市立図書館の児童室に勤める司書子さん。そんな彼女が“タンテイ"こと反田と知り合い、その世界が広がってゆく優しい物語。狭い世界で完結していた司書子さんと図書館常連のタンテイさんとの出会いで始まった日々の生活の変化。最初馴れ馴れしい印象もあったタンテイさんは、一方で困っている人を放っておけない人でもあって、彼に振り回されたりしつつも自身に起こる変化や気づきを司書子さんが前向きに受け止めるようになってゆく展開はなかなか良かったですね。

 

最近のおすすめラノベファンタジー7選+他文庫4選

最近、おおこれはと思うファンタジー作品がいくつか続いて、 6月下旬に上半期オススメ企画を予定しているのでそちらで紹介でも…とも思ったのですが、こういうのは「鉄は熱いうちに打て」ということで、最近のオススメファンタジーを紹介したいと思います(完全に勢い企画)。とはいえ最近ちょくちょく企画でファンタジー作品も紹介しているので、その辺りで紹介した作品は今回外しています(上半期企画でまとめる予定です)。

 

今回紹介するのはつまるところ自分が「読んで良かった」「続きが読みたい」作品です(苦笑)まずは何と言っても「Unnamed Memory」ですよ。1巻目から主人公とヒロインの魔女の掛け合いが良かったですが、2巻目で物語の展開としてもさらにぐぐっと盛り上がってきました(大迫力のイカも出ます 違)ファンタジーラブロマンスが好きな人には特にオススメしたい作品です(自分も大好きです)。個人的に今年のこのラノの単行本ではこれを1位に推します。

 

あと「のけもの王子とバケモノ姫」「ワールドエンドクロニクル」あたりはは今後に期待の作品、カッコいいけど不器用な年上お姉さんヒロイン好きには「やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚」をオススメしたいです。「エスケヱプ・スピヰド」(電撃文庫)の九岡望さん、ハヤカワ文庫でも作品出してるんです。あとヒロインが主人公のオススメ作品も3作品紹介しています。これはこれで今後に期待の作品・良かった作品なので興味があったら是非読んでみて下さい。

 

1.Unnamed Memory(DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王 (DENGEKI)

 
Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (DENGEKI)

Unnamed Memory II 玉座に無き女王 (DENGEKI)

 

幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、強国ファルサスの王太子・オスカーが試練を乗り越えたものに望みのものを与える魔女・ティナーシャに挑むファンタジー。解呪が容易でなく呪いに負けない女であればいい、という状況で目の前に好物件がいたことに気づき求婚するオスカーには苦笑いですが、わりとシリアスな展開ですが繰り返される二人のやりとりがクセになる感じで、じわじわ感化されつつも容易には頷きそうもない孤高(だったはず)の魔女・ティナーシャが、色んな意味で諦めが悪そうな最凶の求婚者・オスカー相手にどこまで頑張れるのか今後が楽しみなシリーズです。現在2巻まで刊行。

2.のけもの王子とバケモノ姫 (ファンタジア文庫)

長大な壁で外界を拒絶した人間の国イエール。不治の病で壁外に追放された第三王子シュウが、壁外で生きる異形の民モール族の王女ミサキと出会うファンタジー。急速に工業化が進むイエールの陰で犠牲になっているフロンティアの存在。シュウがミサキに連れられてたどり着いた新天地と病の真実。運命に翻弄されながらも人間とモール族の共生を目指して、ふたつの種族の間に横たわる大きな壁を破壊すべく、仲間とともに毅然と立ち向かう二人の姿にはぐっと来るものがありました。物語としてはまだまだこれからですが、今後に期待大の新シリーズですね。

3.ワールドエンドクロニクル 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)

ワールドエンドクロニクル 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)

ワールドエンドクロニクル 君がセカイを裏切る前に (GA文庫)

 

王国の姫君・リィンの裏切りによって魔族の手に堕ちた世界。王国騎士にして不世出の魔術師・クロウが時を超え十年前に遡り、最悪の未来を避けるため、彼女を暗殺する使命を本人から託されるヒロイック・ファンタジー。遡った世界で再会するクロウの裏切りを阻止するためもうひとつの十年後からやってきたリィン。裏切り者としてお互い疑いつつも、かつて恋人だった相手を信じたい複雑な想いもあって、何者かの企みによって心揺れる二人の絆が試される展開にはぐっと来るものがありましたね。空気だった幼馴染も今後キーマンになりそうで続巻に期待。6月に2巻目が刊行予定。

4.やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

 

女性の【うたうたい】が歌の加護を男性にしか与えないため、女性の魔物狩りが見下される世界。街を守ってくれている女魔物狩りオルカたち三姉妹と、魂の歌を歌う少年レンのシンフォニックファンタジー。その歌と性格から周囲に慕われるレンと、彼が憧れるクール(に見えて実は不器用なだけ)なお姉さんのオルカ、そんな二人を見守るオルカの妹たち。不器用な二人の距離感も好みでしたが、災魔流を何とかしようとするレンの勇気、絶望的な戦いを繰り広げる三姉妹を救うために成し遂げた奇跡があって、そんな彼らの旅をまた読んでみたいと思いました。

5.鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王 (電撃文庫)

 

空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナ。その北端に誰も訪れない「最果て図書館」の記憶のない館長ウォレスが、鏡越しに《はじまりの町》の少女・ルチアと出会うファンタジー。勇者様の魔王討伐を手伝いたいというルチアと、魔王討伐はどこか他人事のウォレス。けれどそんなウォルスも積み重ねてゆくルチアとのかげがえのないやりとりやメイド・リィリの変化、勇者一行らとの出会いを通じて少しずつ心境の変化があって、封じられていた過去の因縁にも向き合いつつ、しっかりと決着をつけてみせた結末はなかなか良かったですね。

6.リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

 

吸血鬼と戦う中で戦闘用絡繰騎士《白檀式》が暴走し、結果的に人間と吸血鬼が平等に暮らす共和国へと変貌を遂げたヘルヴァイツ公国。そこに十年ぶりに白檀式の失敗作・水無月が目覚めるバトルファンジー。亡き博士の娘でマスターのカノンとの不本意な関係と、偏見を持たない吸血鬼王女・リタとの出会い。世間知らずな自覚がない水無月とヒロインたちのズレた会話のやりとりは微笑ましくて、一方で巻き込まれてゆく争いの中で過去の真実と向き合うことにもなって、葛藤しながらも自分のありようを見出していく王道展開はなかなか良かったですね。6月に2巻目が刊行予定。

7.千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)

千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)
 

帝国の侵略で滅亡寸前の小国クーファ。密かに王国が滅亡する度に時間が巻き戻る不思議な体験を繰り返し、救国の道筋を探っていた孤独な若き黒騎士ラシードと、彼を救うべく剣を振るう女騎士パルミラのファンタジー戦記。あらゆる方策を試して何度も失敗し、幾多の戦乱を経験して最強の力と最善の方策を見出したラシード。孤独な戦いを乗り越えてきた彼の苦悩と、突き放されても共に向き合おうとするパルミラが一緒に打開して乗り越えてゆく展開が良かったですね。物語としてひとつの転機を迎えたここからが様々な意味で本当の勝負な新シリーズです。

8.言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)

言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)

言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)

 

全土は砂漠化し、人々は神である「言鯨」の遺骸周辺に鯨骨街を造って暮らす世界。街々を渡る骨摘みとして働く旗魚は、旅の途中で裏の運び屋・鯱と憧れの歴史学者浅蜊に出会い物語が動き出すファンタジー。内密に十五番鯨骨街へ奇病の調査に行った浅蜊が引き起こした言鯨の覚醒と仲間の消失。もたらされた旗魚の劇的な変化と、鯱や蟲使いの珊瑚との逃亡劇、そして言鯨と世界の核心に迫ってゆく展開で、明らかになってゆくこの世界の哀しい真実と登場人物たちそれぞれの熱い想い、そしてそれらに向き合ってゆく旗魚の姿がとても印象的な物語でした。

9.女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

女王の化粧師 (ビーズログ文庫)

 

五人の候補者が次期女王の座を競う小国デルリゲイリア。花街の化粧師ダイの下に、女王候補の一人マリアージュの遣いと称する男・ヒースが現れる物語。最も玉座から遠い癇癪持ちの女王候補・マリアージュの化粧師となったダイ。借金だらけの家のために奔走するヒース、実情を知らされないまま孤立し苛立ちを募らせるマリアージュ、厳しい状況を彼女に教えない家の者たち。苦しい状況なのに家中はバラバラで、ダイが化粧師という立ち位置からそこにどう関わってゆくのか、自身の想いやマリアージュとの関係がどう変わってゆくのか今後が楽しみなシリーズですね。

10.リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

リーリエ国騎士団とシンデレラの弓音 (集英社オレンジ文庫)

 

兜にある命石を砕いて勝敗を競う戦闘競技会が国々の命運を決する世界。優秀な騎士を輩出する村で弓しか扱えず周囲にバカにされてきた少女・ニナを、地方競技会を見たという騎士リヒトが騎士団へ勧誘するファンタジー。優秀な兄の片目を事故で失わせてしまい、自身も非力で自信喪失気味なニナの弓に希望を見出したリヒト。勧誘先がまさかの国家騎士団で最初は怯えて逃げ出しそうになりながらも、自分を認めてくれた大切な人たちのため「赤い猛禽」に立ち向かう構図はとても分かりやすいですが、最後まで期待にしっかり応えてくれた素敵な物語でした。

11.針子の乙女

針子の乙女

針子の乙女

 

前世の記憶を残したまま、技術貴族ヌイール家の子として転生したユイ。勘違いから針子との能力なしと判断されて邪魔者扱いされていた彼女が、ロダンと出会い人生に転機が訪れる異世界裁縫ファンタジー。地獄の日々から救ったロダンが気づいた精霊に愛される彼女の能力。ユイが前王に求婚される一方で、どうしようもないヌイール家の父や妹という分かりやすい構図でしたけど、テンポよく読ませる読みやすい文章と、人や環境に恵まれユイが幸せになってゆく展開はなかなか良かったです。とはいえちょっと頑張らないといけない状況のようで続巻に期待。

 

6月の購入検討&気になる本ほかピックアップ

GW10連休がデカすぎて、未だにその影響を引きずっている今日この頃ですが、もうそろそろ6月の購入候補を考えたい時期なので今月もリストを作りました。6月は毎年のことですが、角川文庫がカドフェスの影響で発売日が前倒しになり、14日前後にいろいろ発売日が被って大変なことになっています…このあたりと20日前後がいつも集中し過ぎなんですよね。分散してくれればいいのに(苦笑)

 

6月の気になる新作はスニーカー大賞金賞の「葡萄大陸物語」、雰囲気的に面白そうな匂いがする「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」、ガガ文庫の「小学館ライトノベル大賞 優秀賞受賞」の2作品、そしてファンタジア文庫の本格将棋ラブコメ「黒猫のおうて!」は気になりますね。久しぶりの野崎まどさんの作品「HELLO WORLD」にも注目です。

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 (角川スニーカー文庫)

 
幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

 
千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

千歳くんはラムネ瓶のなか (ガガガ文庫)

 
リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

リベンジャーズ・ハイ (ガガガ文庫)

 
黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

黒猫のおうて! (ファンタジア文庫)

 
HELLO WORLD (集英社文庫)

HELLO WORLD (集英社文庫)

 

 

ヒーロー文庫(5/30発売)
・青雲を駆ける5 肥前文俊/3

HJ文庫(6/1発売)
・インフィニット・デンドログラム10 海道左近/タイキ
百錬の覇王と聖約の戦乙女18 鷹山誠一/ゆきさん

スニーカー文庫(6/1発売)
・終末なにしてますか?異伝 リーリァ・アスプレイ 枯野瑛/ue
・【新】所持金ゼロの彼が資産家令嬢から求められるようになった理由 五木友人/Nardack
・【新】葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 一ツ屋赤彦/紅緒
[第24回スニーカー大賞<金賞>]

ビーンズ文庫(6/1発売)
・一華後宮料理帖 第九品 三川みり/凪かすみ

ポプラ文庫ピュアフル(6/5発売)
・世界の終わりと嘘つき少女 小野崎まち

小学館文庫キャラブン!(6/6発売)
・獣の牢番 妖怪科學研究所 久我有加/松尾マアタ
・蟲愛づる姫君の婚姻 宮野美嘉/碧風羽

文春文庫(6/6発売)
・京洛の森のアリス III 鏡の中に見えるもの 望月麻衣

宝島社文庫(6/6発売)
・京都伏見のあやかし甘味帖 紫陽花ゆれて、夢の跡 柏てん/細居美恵子

宝島社単行本(6/7発売)
・魔女と使い魔の猫 アマラ

電撃文庫(6/8発売)
・【新】幼なじみが絶対に負けないラブコメ 二丸修一/しぐれうい
魔法科高校の劣等生 (29) 追跡編 〈下〉 佐島勤/石田可奈
ストライク・ザ・ブラッド20 再会の吸血姫 三雲岳斗/マニャ子
・リベリオ・マキナ2 ―《白檀式》文月の嫉妬心― ミサキナギ/れい亜
ガーリー・エアフォース XII 夏海公司/遠坂あさぎ

TOブックス(6/10発売)
本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部 「貴族院の自称図書委員 VII」 香月美夜/椎名優

ハルキ文庫(6/12発売)
・菓子屋横丁月光荘2 ほしおさなえ

角川文庫(6/14発売)
・猟犬の旗 芝村裕吏
・地獄くらやみ花もなき 参 蛇喰らう宿 路生よる
・【文】いまさら翼といわれても 米澤穂信
・行きたくない 加藤 シゲアキほか

GA文庫(6/15発売)
・【新】お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 佐伯さん/和武はざの
・ワールドエンドクロニクル2 霜野おつかい/イセ川ヤスタカ
最弱無敗の神装機竜18 明月千里/村上ゆいち
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 大森藤ノ/ヤスダスズヒト
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア12 大森藤ノ/はいむらきよたか
・天才王子の赤字国家再生術4 ~そうだ、売国しよう~ 鳥羽徹/ファルまろ

富士見L文庫(6/15発売)
・紅霞後宮物語 第十幕 雪村花菜/桐矢隆
・榮国物語 春華とりかえ抄 五 一石月下/ノクシ
・ホームレス・ホームズの優雅な0円推理 森晶麿/カズアキ

ガガガ文庫(6/18発売)
・【新】千歳くんはラムネ瓶のなか 裕夢/raemz
[第13回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>]
・【新】リベンジャーズ・ハイ 呂暇郁夫/ろるあ
[第13回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>]

講談社タイガ(6/19発売)
・路地裏のほたる食堂 3つの嘘 大沼紀子

ファンタジア文庫(6/20発売)
・【新】学園王国の没落王と12人の生徒会長 乙女座ヴァージンロード 岬かつみ/甘味みきひろ
・【新】黒猫のおうて! 八奈川景晶 監修/ぎうにう
・公女殿下の家庭教師3 魔法革命で迷える聖女を導きます 七野りく/cura
アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫 天城ケイ/ニノモトニノ

ハヤカワ文庫JA(6/20発売)
・【文】ウタカイ 異能短歌遊戯 森田季節
・【文】〔少女庭国〕 矢部嵩

中公文庫(6/20発売)
・化学探偵Mr.キュリー8 喜多喜久

マイナビ出版ファン文庫(6/20発売)
・浅草ちょこれいと堂 江本マシメサ/細居美恵子

東京創元社単行本(6/20発売)
・九度目の十八歳を迎えた君と 浅倉秋成

集英社オレンジ文庫(6/21発売)
・時をかける眼鏡 魔術師の金言と眼鏡の決意 椹野道流/南野ましろ
・ゆきうさぎのお品書き 白雪姫の焼きりんご 小湊悠貴/イシヤマアズサ
・威風堂々惡女2 白洲梓/蔀シャロン
異世界温泉郷 あやかし湯屋の誘拐事件 高山ちあき/細居美恵子

集英社文庫(6/21発売)
HELLO WORLD 野崎まど

宝島社文庫(6/22発売)
響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 後編 武田綾乃

MF文庫J(6/25発売)
Re:ゼロから始める異世界生活20 長月達平/大塚真一郎

オーバーラップ文庫(6/25発売)
灰と幻想のグリムガル level.14++ 十文字青/白井鋭利
・現実主義勇者の王国再建記 X どぜう丸/冬ゆき

メディアワークス文庫(6/25発売)
・逢う日、花咲く。 青海野灰
・鈍感主人公になれない俺の青春 (仮) 成瀬唯
・わけありシェアハウス 綾藤安樹

新潮文庫nex(6/26発売)
・ケーキ王子の名推理4 七月隆文/高野苺
・猫河原家の人びと2 (仮) 青柳碧人/MITO

ファミ通文庫(6/29発売)
・【新】恋愛カルテット リトルプリンセスの恋愛相談 箕崎准/睦茸

令和になっても期待したい!注目ライトノベル20選

娘に指摘されるまですっかり忘れてましたが、本日誕生日を迎えました(苦笑) だからというわけではないのですが、この前平成最後のエントリということで印象的だった平成のライトノベル作品を挙げたのを受けての第二弾ということで、今回は令和になっても期待したいライトノベルを20作品紹介したいと思います。

令和になってもライトノベルを代表することになりそうな作品という意味では他の作品も多々挙がると思いますし、実際のところどう選んだものかといろいろ考えましたが、最終的に今後に向けた個人的な期待値をもとに独断と偏見で選びました。

 

1.弱キャラ友崎くん (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.7 (ガガガ文庫)

弱キャラ友崎くん Lv.7 (ガガガ文庫)

 

日本屈指のゲーマーながらリアルでは弱キャラの友崎が、同じくらいゲームを極めリアルでもパーフェクトヒロインの日南葵に炊きつけられ、クソゲーと断じるリアルで自己変革を目指す物語。ゲームに対する同じ想いを抱く葵の言葉を信じ、失敗しながらもチャレンジを諦めない友崎。そんな彼のフォローに奔走する葵が、凄まじいまでの努力家であることを何度も垣間見たこともきっと大きかったんですよね。魅力的なヒロインたちを絡めてテンポよく進む展開に友崎が現時点の精一杯で向き合う姿には、続巻をまた読んでみたくなる期待感がありますね。現在7巻まで刊行。

2.ファイフステル・サーガ (ファンタジア文庫)

古の魔王が再臨する絶望の未来を変えるため「アレンヘムの聖女」セシリアと婚約し、傭兵団「狂嗤の団」団長となる道を選んだカレル。聖女の加護を受け死の未来を回避する英雄として奮闘するファンタジー戦記。二年後の魔王再臨を限られた人しか知らない中で、代替わりした王国や戦争を仕掛けてきた自治領相手にどう立ち回るのか。腕が立って商才があり現実的な手段を積み重ねるカレルだけでなく、ヒロインのセシリアや仲間たち、王国の登場人物たちもまた魅力的なキャラが多くて、ここから物語がどう動くのか続巻がとても楽しみな新シリーズ。現在3巻まで刊行。

3.三角の距離は限りないゼロ (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ3 (電撃文庫)

三角の距離は限りないゼロ3 (電撃文庫)

 

過去の苦い経験から「偽りの自分」を演じてしまう高校生・矢野四季が、印象的な出会いを果たした物静かな転校生・水瀬秋玻に惹かれ、彼女ともうひとりの人格・春珂を支えるようになってゆく不思議な恋物語。しっかりものの秋玻と対照的な危なっかしい印象の春珂。状況的に春珂をフォローすることが多い四季と二人を見つめる秋玻の繊細な距離感がまた絶妙で、大切な存在なのにすれ違ってしまうやるせなさだったり、ごまかさずにきちんと想いをぶつけてゆく彼らの青春がとても良かったですね。終盤は挿絵の使い方も効いていますね。19年5月に3巻刊行予定。

4.ぼくたちのリメイク(MF文庫J

ぼくたちのリメイク6 アップロード日:9月1日 (MF文庫J)

ぼくたちのリメイク6 アップロード日:9月1日 (MF文庫J)

 

しがないゲームディレクターで会社は倒産、企画も頓挫して実家に帰ることになった橋場恭也。輝かしいクリエイターの活躍を横目にふて寝して目覚めると、なぜか十年前の大学入学時に巻き戻っていた青春リメイクストーリー。落ちたはずの大学に受かっていて憧れの芸大ライフ、さらにはシェアハウスで男女四人の共同生活。とはいえ同居人はそれぞれキラリと光るものを持っているのが垣間見えてしまう厳しい現実。これまでの経験を活かして存在感を出しつつまだまだ試される状況は続きそうで、気になる人間模様も含めて続巻が楽しみなシリーズですね。現在6巻まで刊行。

5.七つの魔剣が支配する (電撃文庫)

七つの魔剣が支配するIII (電撃文庫)
 

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」の宇野朴人さんによる新シリーズ。

名門キンバリー魔法学校に入学したオリバーが運命的な出会いを果たしたサムライ少女・ナナオ。魔法生物のパレードから始まるトラブルの連続に巻き込まれつつ出会った仲間たちと乗り越えてゆく学園ファンタジー。器用に魔法を応用しながら使いこなすオリバーと剣に突出した力を持つナナオを中心に、それぞれの想いを抱えながら入学した仲間たちと力を合わせ、危機的状況の連続を乗り越えて絆を育んでゆく展開がなかなか良かったからこそ、深い因縁を感じさせるエピローグが今後の波乱を予感させて、ここからどうなるのか楽しみな新シリーズですね。19年5月に3巻刊行予定。

6.ラストラウンド・アーサーズ (ファンタジア文庫)

ロクでなし魔術講師と禁忌教典」の羊太郎さんによる新シリーズ。

来るべき世界危機を救うため真なるアーサー王を決める「アーサー王継承戦」完璧チート高校生・真神凜太朗が、暇つぶしのためあえて最弱と呼ばれる残念少女・瑠奈に協力する現代異能ファンタジー。金のために聖剣を売り払ってしまったり、召喚した「騎士」ケイ卿にコスプレさせて利用する瑠奈。あざとい生徒会長選の票稼ぎやデートさせられたり彼女のわがままに振り回されつつも、垣間見えるその真っ直ぐな想いに王の資質を見出して、曲者ぞろいの強敵を相手に共に戦い絆を育んでいく王道展開を描く手腕は見事です。現在3巻まで刊行。

7.僕は何度も生まれ変わる (角川スニーカー文庫)

僕は何度も生まれ変わる2 (角川スニーカー文庫)

僕は何度も生まれ変わる2 (角川スニーカー文庫)

 

29歳で死んだ社畜が生まれ変わるたびに、18歳で漆黒の髪・赤い眼の帝国皇女に殺される運命。5回目の人生で傭兵暮らしをしていたロワが魔王の隠し子とされ、急転する運命に巻き込まれてゆく物語。容赦なく蹂躙し続ける帝国への対抗で送り込まれた先での王女との結婚と母国滅亡。またもや対峙することになるあの女に、醒めていたロワが大切の人たちを守るため泥臭く奔走するようになり、キーマンとなっていったロワと負けられない皇女・リンゼンカが再び対峙する濃厚な展開は著者さんらしさに溢れていて、ぐっと来るものがあります。現在2巻まで刊行。

8.継母の連れ子が元カノだった (角川スニーカー文庫)

中学生の時に恋人となり些細なことですれ違い、卒業を機に別れた伊理戸水斗と綾井結女。そんな二人が高校入学を機に再婚した親の再婚相手の連れ子として同居する青春ラブコメディ。思ってもみなかった形での最悪の再会と些細なことで衝突する二人。終わったはずなのにふとした拍子に思い出す黒歴史に赤面し、素直になれないけれど何だかんだ言いながらお互いの存在を気にかけていたり再評価したり。恋愛ROM専やぐいぐい介入してくる友人たちに振り回されつつ、再び少しずつ育まれてゆく二人の関係がどう変わってゆくのか続編がとても楽しみなシリーズです。現在2巻まで刊行。

9.あの日、神様に願ったことは (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

あの日、神様に願ったことはI kiss of the orange prince (電撃文庫)

 

一年に一度、願いが叶う宿星市に住む風祭叶羽が、十七歳の誕生日に出会った先輩・逢見燈華。願いを叶えるために星の幸魂の試練を課された燈華と、姉を喪い傷心を抱える叶羽の優しくて少し痛い奇跡の青春小説。病床にあった姉との悔いの残る別れから、写真を撮ることを止めてしまった叶羽が、人知れず試練を抱えていた燈華と出会い、振り回されながらも惹かれていく展開で、登場人物たちの不器用で甘酸っぱい想い、そして絶望を救おうと奔走する真摯で一途な想いがもたらした奇跡はとても素晴らしかったです。続巻も気になる期待の新シリーズですね。

10.友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

 

青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。

11.天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~ (GA文庫)

病床の国王に代わり摂政として弱小国家を背負うことになった若き王子ウェイン。文武に秀で臣下からの信頼も厚い彼が、絶望的な状況から密かに売国を志す弱小国家運営譚。状況を正しく認識して先を見通せるからこそ絶望を感じるウェイン。上手く終わらせるための手を打つのに、それがなぜか効果的な一手に繋がる皮肉な状況の変化や展開の連続でしたけど、ウェインが彼なりに最善へ真摯に取り組んだ結果だからこそ納得感がありました。補佐官のニニムに対する想いも気になる彼にいつか心境の変化はあるのか、どこまでやれるのか続巻が楽しみですね。19年6月に4巻が刊行予定。

12.月とライカと吸血姫 (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (4) (ガガガ文庫)

月とライカと吸血姫 (4) (ガガガ文庫)

 

連合王国より先に人類を宇宙へ到達させるべく、共和国の最高指導者はロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。実験体として選ばれた吸血鬼の少女・イリナと監視係に任じられた候補生レフの物語。蔑まれる境遇から自由を得るため実験体として志願したイリナ。そんな彼女に最初は戸惑いながらも、共に過ごし訓練するうちに大切な存在として思うようになってゆくレフ。あくまで実験体としてか扱われない彼女の境遇には厳しいものがありましたが、乗り越えて見せた彼女たちの未来が明るいものであることを信じたくなる物語ですね。現在4巻まで刊行。

13.ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (3) (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (3) (ガガガ文庫)

 

日本全国から集まった卓球エリートがひしめく私立卓越学園。そこにかつて天才卓球少年と呼ばれた飛鳥翔星が入学し、完敗した一年生最強の女子・白鳳院瑠璃と組んで、その姉で自らの因縁の相手でもある学園最強の女子・紅亜に挑む青春小説。膝の重症を乗り越えかつて対戦した少女を探していた翔星と、紅亜を負かすことに執念を燃やす瑠璃の共闘関係。衝突しつつも勝ちたい一心でのめり込んでいく、身を焦がすほどに卓球を愛する二人が挑む熱い勝負はこれまで積み重ねてきた想いもカタルシスに繋がっていて、そんな物語の結末もまた効いていました。19年5月に3巻刊行予定。

14.ひげを剃る。そして女子高生を拾う。 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。3 (角川スニーカー文庫)

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。3 (角川スニーカー文庫)

 

5年片想いした上司の後藤さんにバッサリ振られたサラリーマンの吉田。ヤケ酒の帰り道に路上で家出女子高生・沙優を発見し、なし崩し的に同居生活が始まる日常ラブコメディ。自分を大切にしないことを叱る吉田の優しさに戸惑う沙優と、彼女の存在が自分の中で少しずつ大きくなってゆくことを自覚する吉田。そんな何事にも真摯に向き合う彼の変化が気になる後藤さんと後輩の三島柚葉。周囲に振り回されてはいても根幹はブレない、相手を大切にしようとする吉田のありようが素敵で、何とも複雑な関係ですが今後の展開がとても気になるシリーズですね。現在3巻まで刊行。

15.ちょっぴり年上でも彼女にしてくれますか? (GA文庫)

電車で痴漢に遭っていた女子高生・織原姫を助け、そんな彼女に惹かれてゆく男子高校生・桃田薫。しかし好きになったJKの正体はアラサーのOLだったという年の差ラブコメディ。高校生と一回り近く年上のアラサーという組み合わせはいろいろ考えてしまいますが、懐かしいあるあるネタでたびたび世代間ギャップに凹みながらも、天然で素の反応が可愛くて破壊力抜群の姫と、その魅力にドキドキしながら真摯に向き合おうとする不器用なモモの距離感がとても良かったですね。いろいろ前途多難な二人がどうなってゆくのか期待のシリーズ。現在3巻まで刊行。

16.キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて2 (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて2 (角川スニーカー文庫)

 

余命半年を宣告されて大学を中退し実家でニートと成り果てた松本修。昔からの悪友・トミさんの誘いで母校の中学校を訪れた修が、かつて突き放した因縁の幼馴染・桐山鞘音と再会する青春小説。人生に絶望して投げやりな日々を送る修の後悔と、シンガーソングライターとして不調に陥り戻ってきた鞘音の覚悟。トミさんを介して昔のような不器用な二人の交流が再開して、鞘音と最後の共演のために覚悟を決めて自らを追い込んでゆく修。その過程で取り戻してゆくお互いの大切な想いと彼らの決意を応援したくなるシリーズです。現在2巻まで刊行。

17.ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

ゴスロリ卓球2 (電撃文庫)

ゴスロリ卓球2 (電撃文庫)

 

突然失踪した卓球部のエースで幼馴染の羽麗。父親の抱える8000万の借金返済のため彼女が裏賭場で戦うことを知った坂井修が、幼馴染を救うため共に命賭けの無謀なギャンブルに挑む物語。ゴスロリ卓球は一見微笑ましいのにレバレッジの変動で勝負と獲得金額が一致しないヤバイ闇卓球で、一歩間違えば奈落の底という緊張感のある状況でしたけど、卓球以外は残念美少女の羽麗とお世話係と化していた修の距離感や、お互いが傍らにいたらどんな境遇でも信じて頑張れると思えてしまう幸せそうな二人の関係にはぐっと来るものがあります。現在2巻まで刊行。

18.撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろ (ファンタジア文庫)

機甲車と弾丸魔法による凄絶な戦争が続く世界。戦いの中で亡霊を名乗る少女・エアと出会い、被弾者の存在・功績を消滅させる悪魔の弾丸を入手した学生兵・レインが、戦争を終わらせようと立ち上がるミリタリックファンタジー。授けられた弾丸を使って世界を再編していくレイン、謎めいたエアの過去と亡霊を巡る因縁。レインの学生らしい生活と背中合わせの容赦ない戦争の凄惨さがうまく描かれていて、因縁の決着をつけるために戦う二人の間で育まれてゆく絆が印象的です。現在2巻まで刊行。

19.虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん (オーバーラップ文庫)

虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2 (オーバーラップ文庫)

虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2 (オーバーラップ文庫)

 

たまたま虐殺スペックな女子高生・赤三月朝火の自殺を阻止した低スペックの九木野瀬伊吹。翌朝、朝火から脅迫されて『人生の攻略本作り』を手伝わされる青春小説。容姿端麗の人気者で多才な朝火の素の性格はわりとあれで、低スペックと言われる九木野瀬は屈折した現実主義の努力家。まずは周囲に妬まれて孤立する下級生・黒花(彼女もいい性格w)が直面する困難の克服に協力する展開でしたが、何だかんだでわりといいコンビっぷりを見せた二人はそれぞれ事情を抱えているようで、その関係が今後どう変わってゆくのか続巻に期待大の新シリーズです。現在2巻まで刊行。

20.常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)

 

大国ザルツボルクの侵攻を受けたヘイミナル王国が存亡の危機を救う切り札として起用された傭兵・『常敗将軍』のドゥ・ダーカス。王弟や王の娘など様々な思惑が入り乱れる中、圧倒的不利な状況に立ち向かうファンタジー戦記。全幅の信頼を得られず思うように動けない中、要所要所の危機で最悪の状況を回避すべく動くダーカスの奮闘ぶりと、彼が見出そうとした決着の落とし所とその結末。テンポ良い展開に彼を見極めようとするティナや姫将軍・シャルナといった魅力的なキャラクターたちもよく動いて、これは続巻が楽しみな期待大の新シリーズ。現在2巻まで刊行。

 

以上です。気になる作品があったら是非手に取ってみて下さい。

2019年4月に読んだ新作おすすめ本

2019年4月に読んだ新作おすすめ本です。ライトノベルはやはり何といってもGA文庫の「友達の妹が俺にだけウザい」ですね。テンポよく進む展開に友達の妹と幼馴染のダブルヒロイン、クリエイターものとしても気になる期待の新作です。あとは凛々しい(けど不器用な)年上お姉さんたち三姉妹がヒロインのファミ通文庫やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚」、何度もやり直した経験から亡国を救うスニーカー文庫のファンタジー戦記「千億亡国」あたりも注目の新シリーズです。

 

ライト文芸ではこなれたアラサーヒロインがなかなか面白いオレンジ文庫の「平安あや解き草紙」、シリアスなサスペンスもの「推定失踪」、一般文庫では辻堂ゆめさんの宝島社文庫今、死ぬ夢を見ましたか」、ポプラ文庫ピュアフル「僕と君の365日」あたりはなかなか良かったです。単行本ではスクールカーストを描いた浅倉秋成さんの「教室が、ひとりになるまで」が一押しです。新作はわりと豊作でなかなか興味深い作品が多かったですね。

 

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)

 

青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。 

やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)

 

女性の【うたうたい】が歌の加護を男性にしか与えないため、女性の魔物狩りが見下される世界。街を守ってくれている女魔物狩りオルカたち三姉妹と、魂の歌を歌う少年レンのシンフォニックファンタジー。その歌と性格から周囲に慕われるレンと、彼が憧れるクール(に見えて実は不器用なだけ)なお姉さんのオルカ、そんな二人を見守るオルカの妹たち。不器用な二人の距離感も好みでしたが、災魔流を何とかしようとするレンの勇気、絶望的な戦いを繰り広げる三姉妹を救うために成し遂げた奇跡があって、そんな彼らの旅をまた読んでみたいと思いました。

千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)
 

帝国の侵略で滅亡寸前の小国クーファ。密かに王国が滅亡する度に時間が巻き戻る不思議な体験を繰り返し、救国の道筋を探っていた孤独な若き黒騎士ラシードと、彼を救うべく剣を振るう女騎士パルミラのファンタジー戦記。あらゆる方策を試して何度も失敗し、幾多の戦乱を経験して最強の力と最善の方策を見出したラシード。孤独な戦いを乗り越えてきた彼の苦悩と、突き放されても共に向き合おうとするパルミラが一緒に打開して乗り越えてゆく展開が良かったですね。物語としてひとつの転機を迎えたここからが様々な意味で本当の勝負な新シリーズです。

自らモブとして目立つことを避けていた高校生・鷹野祐と孤高を貫く学園一の美少女・衣川マトの邂逅。二人が遭遇するサーバーセキュリティ絡みの問題を解決してゆく青春小説。祐の幼馴染が絡む試験問題漏洩事件、学校で起きたサイバー攻撃事件、マトが学校を中退して渡米しようとする理由。タイトルの印象より大分サイバーセキュリティが存在感のある内容でしたが、ミステリアスな彼女に最初は戸惑っていた祐が、マトのことを知っていくうちにその心境も変わっていって、彼女もまた祐たちとの出会いから新たな一歩を踏み出してゆく素敵な物語でした。

鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)

鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)

 

郷土史研究部とは名ばかりのシロ先輩の趣味を実践するだけの部活動に強引に入部させられたキタロー。今回は隠れキリシタンの郷として村興しを始めた村の取材に向かうウサギと鬼の青春怪異譚。振り回されると分かっていても彼女の笑顔と行動力に逆らえないキタローが一緒に向かった、隠れキリシタンに絡めた遺物を持つ村の取材。随所にシロ先輩の小動物めいた魅力が効いていた一方で、実はワケありな二人が解決した事件は意外と凄惨な結末でしたが、将来的に部員も増えそうな予感もあって、未だ謎も多い二人の怪しい部活動をまた読んでみたいですね。

針子の乙女

針子の乙女

 

前世の記憶を残したまま、技術貴族ヌイール家の子として転生したユイ。勘違いから針子との能力なしと判断されて邪魔者扱いされていた彼女が、ロダンと出会い人生に転機が訪れる異世界裁縫ファンタジー。地獄の日々から救ったロダンが気づいた精霊に愛される彼女の能力。ユイが前王に求婚される一方で、どうしようもないヌイール家の父や妹という分かりやすい構図でしたけど、テンポよく読ませる読みやすい文章と、人や環境に恵まれユイが幸せになってゆく展開はなかなか良かったです。とはいえちょっと頑張らないといけない状況のようで続巻に期待。

 

 

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)

平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)

 

東宮への入内話が立ち消えになり、婚期を逃したまま実家に居座っている左大臣の娘・藤原伊子。そんな彼女に今は亡き東宮の息子である今上帝が入内を希望してくる平安お仕事ミステリー。十年前に別れた恋人・嵩那との間にあった誤解、そして伊子が初恋の人だったという今上帝という何とも複雑な距離感の関係も交えつつ、帝の熱烈な要請によって尚侍として入った年相応にこなれた感のある伊予が好みで、嵩那とも協力しながら後宮で起こる事件を解決してゆく展開は面白かったです。恋の行方も気になるその後のお話がまた読めたらいいなと思いました。

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)

 

外務省のグレーゾーンな仕事を引き受ける外交官として働く桐島に宛てて、東南アジアの国・ビサワンで働く元恋人・亜希から謎めいたメールが届き、失踪した彼女を探すためビサワンへ飛ぶ物語。子供兵士の救済を目的とした国際NGOで働いていた亜希の失踪を探るうちに、ビサワンを巡る政情不安な状況に巻き込まれてゆく桐島。各国間の事情や利害関係に振り回されても諦めずに活路を見出そうとする中で、謎めいた彼女の過去も明らかになっていって、何ともやるせない結末でしたけど、最後まで真摯であろうとした彼女のありようはとても印象的でした。

鷹橋川で発見されたミイラ化した不思議な遺体。街の治安が急速に悪化してゆく中、圧力により捜査がたびたび頓挫する状況に、新米刑事の御堂陸が真相を解明するため美貌の科学者・神代宇路子の許へ押しかける物語。正義感が強く融通の利かない陸と、ミステリアスでスボラな宇路子のコンビが、協力しながら人魚をめぐる謎に迫る展開でしたが、民俗学と科学的視点を組み合わせて語られる見地はなかなか興味深く、二人もなかなかいいコンビっぷりでしたね。解決されないままの疑惑に宇路子の秘密も明らかになって、これは続刊に期待の新シリーズです。 

漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)

 

マンガ好きを周囲にひた隠す女子高生ときわが、学校帰りにアパートの前で行き倒れているのを発見した会社員・鈴木桂太。ご飯を食べさせてあげた彼が実は大好きなマンガ家の片割れだったと気づく物語。マンガ家のためのアパート・ヒット荘を舞台に、ほのかな恋心を抱く桂太や彼とコンビを組むレオ、新人漫画家の花や鬼の担当編集さん、マンガ家の桂太の妹たちも絡めながら、美味しそうなご飯やデザートを振る舞いつつのドタバタ劇や交流してゆく様子がなかなか楽しかったですね。ときわと桂太のその後も気になるので、また是非続巻を期待したいです。

憧れの初恋の人・白江を追いかけて、ブラック旅行会社から彼が社長を務める旅行会社に転職を果たした美紀。人にも霊にも冷酷な白江と一緒にワケあり旅行先の霊に関する問題を解決してゆく物語。入社研修先が怪異が起こるホテルで、その後も怪奇現象で有名な訳あり物件を人気観光地にしてきた白江に連れられ、霊に脅かされ振り回され続ける美紀。普段はツンツンしているイケメン白江にも抱える事情があって、そんな彼のことを見捨てられずについつい奔走してしまう、九割八分ビターだけれどちょっぴり甘い部分もあったりする二人の今後に期待ですね。

 

今、死ぬ夢を見ましたか (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

今、死ぬ夢を見ましたか (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

電車の中で、駅のホームから突き落とされて親友の五味淵と一緒に死ぬ夢を見た井瀬。彼が見た夢の内容を当て、同じ体験をしている女子高生・紗世と出会うタイムリミットサスペンス。同じように自らの死を回避すべく試行錯誤する紗世と彼女が憧れる先輩。刑務所から出所した井瀬を仕事に誘ってくれた五味淵と、井瀬を気にかける幼馴染の粕谷。テンポよく進む展開の中で誰を信じればいいのか、真相が明らかになるたびに物語の構図も変わってゆきますが、ありえたかもしれない可能性を思うと、その結末には何ともやるせないものを感じてしまいました。  

菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します (宝島社文庫)

菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します (宝島社文庫)

 

進路に悩む高校3年生・三峰菜月は、子供の頃に自分の大切な絵本を直してくれた書籍修復家・豊崎俊彦と再会。一念発起弟子入りを目指し奮闘するお仕事小説。親に言われるままに大学進学でいいのか疑問に思っていた菜月の運命の出会い。彼女の修行を通じて描かれる和書の修復がどのように行われるのか、その描写や解説はなかなか興味深かったですが、食べていくのが難しい仕事だからこそ、書籍修復の仕事にどう真摯に向き合うのかをしっかり考えるのは大切なことですよね。周囲の人に支えられながら成長してゆく菜月の今後を応援したくなりました。

(P[ゆ]1-1)僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[ゆ]1-1)僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)

 

色彩が失われて1年で死に至る無彩病だと知らされ、自暴自棄になりかけた高校生・新藤蒼也。そんな彼が進学クラスから自ら希望して落ちてきた美少女・立波緋奈と契約のような365日間の恋を始める物語。周囲に知らせず最後まで普通の日常を送りたいと願う蒼也と、その秘密を唯一知る緋奈の少しずつ変わってゆく関係と、幼馴染たちを絡めたかけがえのない日々。大切な存在だと思うようになればなるほど、失う辛さを感じさせて切なかったですが、最後まで精一杯向き合い続けた二人の想いと、エピローグで明らかになるもう一つの真実が印象的でした。

小説王 (小学館文庫)

小説王 (小学館文庫)

 

 華々しいデビューを飾ったものの鳴かず飛ばずの作家・豊隆と、彼の作品がきっかけで文芸編集者になった俊太郎。経営状態から俊太郎の所属する文芸誌存続が危ぶまれる状況で、あえて勝負に出る二人の物語。「いつか一緒に仕事を」と思いながらも、具体化しないまま迎えてしまった苦境。出版業界の苦境を生々しく描く一方で、それでもどうにかできないか諦めずに活路を見出そうとし、それぞれの立場から何度もぶつかり合い、もがき苦しみながらも目をそらさずに真っ向から向き合って、いい作品を作り上げていく熱い思いは心に響くものがありました。 

忘却城 (創元推理文庫)

忘却城 (創元推理文庫)

 

忘却城に眠る死者を呼び覚まし、蘇らせる術で発展した亀琲王国。過去の深い傷を抱えた青年儒艮は盲獄と呼ばれる牢で死霊術師の長・名付け師と出会い、幽冥祭で起きる事件を阻止すべく動き出す中華風ファンタジー。許嫁を殺された盲目の死霊術師の少女と、これまた訳ありの過去を持つ教師・儒艮の二つの視点から語られてゆく展開で、複雑な設定を作中でもう少し上手く説明できると良かったですが、スケールの大きな世界観や積み重ねていった伏線を最後で巧みにまとめあげてみせた結末には可能性を感じました。もう少し広がりを期待したい作品ですね。

ひょんなことから名探偵・九条清春の秘書になった渡会透子。自称ご当地探偵の九条と堅物で真面目さが取り柄の透子が、地元で起きる奇妙な謎を解き明かしてゆく連作ミステリ。神奈川県川崎市を舞台に、ご当地アイドルに届いた脅迫状や今は亡き親友の宝物の正体、地元出身のオリンピック選手を巡る嘘、動物公園で起きた不審な出来事、絵馬紛失事件の真相。こじんまりとした謎が中心の展開でしたけど、ぐうたらな九条と透子の掛け合いもなかなか楽しく、解き明かす真相もまた優しく味わいのある結末だったりで、是非シリーズ化を期待したい作品ですね。

 

教室が、ひとりになるまで

教室が、ひとりになるまで

 

北楓高校で起きた三人の生徒連続自殺事件。クラス内でも地味な存在の垣内友弘が、最高のクラスで起きた一連の不審死の謎を追う青春ミステリ。生徒に代々引き継がれてきた4つの特殊能力。不登校の白瀬美月から三人を殺した死神の存在を知らされた垣内が、突如引き継いだ特殊能力で他の能力者や犯人の正体を探ってゆく展開で、スクールカーストの力関係や伏線を巧妙に絡めながら、地味な特殊能力を駆使した殺人の結末へと導いていく展開はお見事。突きつけられた現実への失望があるからこそ、そんな彼にもたらされる一筋の光にぐっと来る物語でした。

わたしたち、何者にもなれなかった

わたしたち、何者にもなれなかった

 

高校時代の映画同好会に所属し映画で成功することを夢見ていた4人。しかし中心だった石田サキの突然の失踪で空中分解し、悔恨を抱えたまま12年が経過した彼女たちのもとに、サキの居場所を知らせる謎めいた電話がかかってくる物語。映画雑誌副編集長の夏美、束縛の強い夫に悩まされる佐和子、シングルマザーの弥生。すっかり変わってしまった彼女たちは未だ消えない悔恨が影を落としていて、そんな状況で十二年ぶりに再会したサキと過去の真相があって、止まったままだったかけがえのない思い出にようやく向き合えた彼女たちの姿が印象的でした。

これは花子による花子の為の花物語

これは花子による花子の為の花物語

 

高校時代の人間関係のトラウマをきっかけに、家から出られなくなり引きこもっていた花子。唯一の外との繋がりだったゲームアプリを通じてフリーターのレンと運命的な出会いを果たす恋の物語。積み重ねた二人の交流によって育まれてゆく想いと会う約束。緊張のあまり気を失う花子と、会っていないはずなのにいつのまにか増えていくレンとの思い出。お互い自信がなくて不安を隠せない二人を密かに支えてくれた存在があって、二人を繋ぐ運命的な繋がりもあって、過去を乗り越えた二人が勇気を持って一歩踏み出して未来に繋がってゆく素敵な物語でした。

ミネルヴァの梟は飛び立ちたい ~東雲理子は哲学で謎を解き明かす~

ミネルヴァの梟は飛び立ちたい ~東雲理子は哲学で謎を解き明かす~

 

外部から城京大学大学院に進学した東雲理子。修士課程で哲学を専攻する彼女が、海外帰りの新指導教員・大道寺哲の助けを借りながら日常の謎に挑む哲学ライトミステリ。返却したはずなのに戻ってくる哲学辞典、ある日を境に姿を見せなくなった喫茶店の常連、休みのない古本屋の理由、何度待ち合わせをしても会えない友人、研究室に代々伝わる謎の掟など、身近で起こった謎を哲学を絡め解き明かしていくエピソードを八編収録。理子と父親の関係は気になりますが、大学で哲学を教える研究者である著者さんの文章は読みやすく書かれていて楽しめました。

くらやみガールズトーク

くらやみガールズトーク

 

女性の人生には通過儀礼が沢山ある。自分で選んだ人生のはずなのに、古い社会通念の箱に押し込められ、じわじわと別のものに変容させられていく言えない恐怖が描かれる連作短編集。当然のように夫の名字を与えられ消えてしまう旧姓や独り暮らし、恋、子育て、親の痴呆といった相手の都合に振り回されて、自分でないものにされてしまうのではないかという深刻な不安は、男の人だとおそらくこうなんだろうなと想像はできても、当事者として直面した時どう感じるのかはまた別ものなんでしょうね。リアルで生々しい苦悩がとても印象に残った作品でした。

ぼくたちは勉強ができない 非日常の例題集 (JUMP j BOOKS)

ぼくたちは勉強ができない 非日常の例題集 (JUMP j BOOKS)

 

人気コミック「ぼくたちは勉強ができない」ノベライズ版。アンチエイジング薬で幼女化してしまった桐須先生の冒険、世界征服を目指す魔王・成幸と配下たちの顛末、胸が大きくなった文乃が実感した持てるものの悩み、忍者となった成幸と三人が桐須城へ侵入する四つの連作短編集。構成としては本編には直接絡まない形で描かれたエピソードで、たびたびネタにされる文乃がやや不憫な印象もありましたけど、全体としては原作キャラらしさが文章でも上手く再現されていて、いきいきとよく動く登場人物たちらしいお約束の展開を安心して楽しく読めました。

2019年4月に読んだ本 #読書メーターより

4月はわりと忙しい日が続いていた一方で読みたい新刊も結構刊行になる状況で、一体どうなることかと思いましたが、終わってみたらコミック除いても60冊は読めたので新刊消化はそれなりに進んでホッとしましたが、積読は終わってみたら増えている状況に(苦笑)GWもそんなに読めなそうなので頭が痛い状況ではあります。

 

シリーズものでは何と言っても「弱キャラ友崎くん」の分厚さを感じさせない読ませる展開は流石でしたし、オーバーラップ文庫では珍しい青春小説もの「虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん」、富士見L文庫の「華仙公主夜話」なども今後に期待したくなる面白さ。階段島シリーズも「きみの世界に、青が鳴る」でついに完結しました。そして何より「継母の連れ子が元カノだった」ですよ。これは続巻にさらなる期待が掛かりますね。

 

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:90
読んだページ数:23381
ナイス数:5570

こちらは、国内ワケアリ旅行代理店です。 もしもし、観光地の怪奇解決もできますか? (富士見L文庫)こちらは、国内ワケアリ旅行代理店です。 もしもし、観光地の怪奇解決もできますか? (富士見L文庫)感想
憧れの初恋の人・白江を追いかけて、ブラック旅行会社から彼が社長を務める旅行会社に転職を果たした美紀。人にも霊にも冷酷な白江と一緒にワケあり旅行先の霊に関する問題を解決してゆく物語。入社研修先が怪異が起こるホテルで、その後も怪奇現象で有名な訳あり物件を人気観光地にしてきた白江に連れられ、霊に脅かされ振り回され続ける美紀。普段はツンツンしているイケメン白江にも抱える事情があって、そんな彼のことを見捨てられずについつい奔走してしまう、九割八分ビターだけれどちょっぴり甘い部分もあったりする二人の今後に期待ですね。
読了日:04月01日 著者:八巻にのは
続・この素晴らしい世界に爆焔を!2 この素晴らしい世界に祝福を!スピンオフ わがままバスターズ (角川スニーカー文庫)続・この素晴らしい世界に爆焔を!2 この素晴らしい世界に祝福を!スピンオフ わがままバスターズ (角川スニーカー文庫)感想
めぐみん視点の冒険が描かれるスピンオフ小説第二弾。カエルの王キングトード討伐、アルカンレティアでアクシズ教徒・セシリー、ゼスタたちに振り回されるエピソード、バートン教授の依頼で宝石獣との戦いなど、めぐみんがゆんゆんやアイリスなどと冒険の旅に出る連作短編集で、アクシズ教徒たちは相変わらず残念な方向に突き抜けてる感じですが、騙されやすそうなぼっちのゆんゆん、王女なのに素直に慕ってくるアイリスと一緒の冒険は何だかんだでみんな楽しそうなのがいいですね。どこかお姉さんぶりたい感じになってるめぐみんが微笑ましいです。
読了日:04月01日 著者:暁 なつめ
アルバート家の令嬢は没落をご所望です 5 (角川ビーンズ文庫)アルバート家の令嬢は没落をご所望です 5 (角川ビーンズ文庫)感想
大貴族の令嬢メアリは、彼女を溺愛してやまない双子の兄達との跡継ぎ騒動に巻き込まれ次期当主候補に。さらに友人のアリシアにかけられた出生疑惑が波乱を呼ぶ第五弾。今回のアルバート家の跡継ぎ騒動とか王女の出生疑惑あたりを軸にした展開で、人間関係の方向性自体はこれまででしっかり構築され定まっている感があるせいか、物語によってはシリアスな感じになっていてもおかしくないのに、メアリを慕うアリシアパルフェットたちが絡むほのぼのエピソードや、甘いカップたちの小ネタが随所にあって、わりとのんびりとした感じで楽しめました。 
読了日:04月02日 著者:さき
かなで香工房~幸せ調香いたします~ (メゾン文庫)かなで香工房~幸せ調香いたします~ (メゾン文庫)感想
恋人に振られた祥子の元に舞い込んできたアパート相続話。ワケあり住人たちが住むアパートの大家さんになった祥子の元に調香師だった故人を頼ってお客が次々と訪れる物語。職を失い家族とも不仲で、格安な家賃さえ支払えない住人たちに加えて怪しいものまで住んでいる頭の痛い状況。それでも失恋したOL、媚薬をほしがるサラリーマン、生き物嫌いな老婆たちのために故人の代わりに香りを調合するようになってゆく中で、何だかいい感じにまとまったような雰囲気になりましたけど、依然として問題はほとんど解決していなさそうなのは気になりました。
読了日:04月02日 著者:梨沙
死香探偵-連なる死たちは狂おしく香る (中公文庫)死香探偵-連なる死たちは狂おしく香る (中公文庫)感想
不審な事件で死香を食べ物の匂いに変換する潤平と、それを読み解く分析学のエキスパート風間。容疑者の謎の美女に過剰反応し、風間が潤平を初めて現場から遠ざける第二弾。人気作家のサイン本に付いた甘いチョコレートの死香。慰安旅行先の旅館で遭遇したセロリの香りと消えた死体、バナナの甘い香り漂う殺人現場。風間の周辺事情も明らかになって、死香のために食べられるものが減っていく状況は厳しいですけど、潤平も風間に引っ張り回されるだけの関係から変わろうとしているんですかね。最後の犯人は今後彼らのライバルになりうるんでしょうか。
読了日:04月03日 著者:喜多 喜久
予告状ブラック・オア・ホワイト (ご近所専門探偵物語) (創元推理文庫)予告状ブラック・オア・ホワイト (ご近所専門探偵物語) (創元推理文庫)感想
ひょんなことから名探偵・九条清春の秘書になった渡会透子。自称ご当地探偵の九条と堅物で真面目さが取り柄の透子が、地元で起きる奇妙な謎を解き明かしてゆく連作ミステリ。神奈川県川崎市を舞台に、ご当地アイドルに届いた脅迫状や今は亡き親友の宝物の正体、地元出身のオリンピック選手を巡る嘘、動物公園で起きた不審な出来事、絵馬紛失事件の真相。こじんまりとした謎が中心の展開でしたけど、ぐうたらな九条と透子の掛け合いもなかなか楽しく、解き明かす真相もまた優しく味わいのある結末だったりで、是非シリーズ化を期待したい作品ですね。
読了日:04月04日 著者:市井 豊
くらやみガールズトークくらやみガールズトーク感想
女性の人生には通過儀礼が沢山ある。自分で選んだ人生のはずなのに、古い社会通念の箱に押し込められ、じわじわと別のものに変容させられていく言えない恐怖が描かれる連作短編集。当然のように夫の名字を与えられ消えてしまう旧姓や独り暮らし、恋、子育て、親の痴呆といった相手の都合に振り回されて、自分でないものにされてしまうのではないかという深刻な不安は、男の人だとおそらくこうなんだろうなと想像はできても、当事者として直面した時どう感じるのかはまた別ものなんでしょうね。リアルで生々しい苦悩がとても印象に残った作品でした。
読了日:04月05日 著者:朱野 帰子
なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?6 天魔の夢 (MF文庫J)なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?6 天魔の夢 (MF文庫J)感想
各種族の英雄や精鋭たちと出会う中、「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイ。各種族の思惑が入り乱れる中で三英雄たちが衝突を始めた時、この世界を改変した黒幕が動き出す第六弾。カイを中心とした各種族との共存の可能性が見えてきた中で、姿を現した世界を改変した黒幕の存在。望んでいたはずの望んでいなかった世界に複雑な想いを隠せないカイでしたけど、絶望の中に見出した希望があって、残されたもうひとりのキーマンがいて、絶対的な相手にどう戦いを挑むのか続巻が楽しみです。最近他のヒロインに押されがちだったジャンヌにも期待。 
読了日:04月05日 著者:細音 啓
これは花子による花子の為の花物語これは花子による花子の為の花物語感想
高校時代の人間関係のトラウマをきっかけに、家から出られなくなり引きこもっていた花子。唯一の外との繋がりだったゲームアプリを通じてフリーターのレンと運命的な出会いを果たす恋の物語。積み重ねた二人の交流によって育まれてゆく想いと会う約束。緊張のあまり気を失う花子と、会っていないはずなのにいつのまにか増えていくレンとの思い出。お互い自信がなくて不安を隠せない二人を密かに支えてくれた存在があって、二人を繋ぐ運命的な繋がりもあって、過去を乗り越えた二人が勇気を持って一歩踏み出して未来に繋がってゆく素敵な物語でした。
読了日:04月05日 著者:木爾 チレン
教室が、ひとりになるまで教室が、ひとりになるまで感想
北楓高校で起きた三人の生徒連続自殺事件。クラス内でも地味な存在の垣内友弘が、最高のクラスで起きた一連の不審死の謎を追う青春ミステリ。生徒に代々引き継がれてきた4つの特殊能力。不登校の白瀬美月から三人を殺した死神の存在を知らされた垣内が、突如引き継いだ特殊能力で他の能力者や犯人の正体を探ってゆく展開で、スクールカーストの力関係や伏線を巧妙に絡めながら、地味な特殊能力を駆使した殺人の結末へと導いていく展開はお見事。突きつけられた現実への失望があるからこそ、そんな彼にもたらされる一筋の光にぐっと来る物語でした。
読了日:04月06日 著者:浅倉 秋成
アマゾンのすごい問題解決アマゾンのすごい問題解決感想
アマゾン ジャパンの立ち上げメンバーである著者が、アマゾンが培ってきた働く目的・方法・評価・コミュニケーションなどあらゆる問題解決についてわかりやすく解説した一冊。「成果を判断」するのではなく「達成をサポートする」「数値目標をもとに評価しあえる職場づくりが大切」など、仕事をしていく上で起こりやすい問題33に対する基本的なアプローチが書かれていて、タイトルからイメージするようなAmazonらしいすごい解決方法が載っていたわけではありませんが、オーソドックスな考え方を学ぶ一冊としては悪くなかったと感じました。
読了日:04月07日 著者:佐藤 将之
菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します (宝島社文庫)菜の花工房の書籍修復家 大切な本と想い出、修復します (宝島社文庫)感想
進路に悩む高校3年生・三峰菜月は、子供の頃に自分の大切な絵本を直してくれた書籍修復家・豊崎俊彦と再会。一念発起弟子入りを目指し奮闘するお仕事小説。親に言われるままに大学進学でいいのか疑問に思っていた菜月の運命の出会い。彼女の修行を通じて描かれる和書の修復がどのように行われるのか、その描写や解説はなかなか興味深かったですが、食べていくのが難しい仕事だからこそ、書籍修復の仕事にどう真摯に向き合うのかをしっかり考えるのは大切なことですよね。周囲の人に支えられながら成長してゆく菜月の今後を応援したくなりました。 
読了日:04月07日 著者:日野 祐希
京都伏見は水神さまのいたはるところ 花ふる山と月待ちの君 (集英社オレンジ文庫)京都伏見は水神さまのいたはるところ 花ふる山と月待ちの君 (集英社オレンジ文庫)感想
東京から伏見の蓮見神社に住む祖母の家に引っ越してきて半年近く。祖母を手伝って出した古いお雛さまから不思議な声が聞こえてきて幼馴染の大学生・拓己や白蛇の化身・シロとともに声の謎に迫る第二弾。観月橋雛人形に乗り移った思い、拓己が対峙する高校時代の剣道のライバル、決して咲かないしだれ桜といった謎に遭遇する一方で、大切な友人や拓己との距離感にもやもやするものを感じて自分なりに頑張ってみようとするひろや、彼女を暖かく見守る周囲との関係がいいですね。ただひろの変化に複雑なシロとの関係は気になるところではあります。 
読了日:04月08日 著者:相川 真
リフトガール ~ フォークリフトのお仕事 ~ (集英社オレンジ文庫)リフトガール ~ フォークリフトのお仕事 ~ (集英社オレンジ文庫)感想
サッカー選手になる夢をケガで諦めた女子高生・数音が、ふとしたきっかけからリフトマンに憧れ、資格を取って冷蔵庫工場で奮闘するお仕事小説。リフトマンとして働き始めて二年。「赤鬼」と恐れられている赤石率いる製品チームから、急遽部品運搬チームへ異動することになった数音。そこで出会った数音の次に若い部品チームのリーダー十和田。テーマ的には珍しい一方でややこじんまりとした感は否めませんが、ラブコメ要素も絡めながら、真摯に向き合う数音の仕事ぶりが認められていって、周囲との関係も変わってゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:04月08日 著者:要 はる
推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)推定失踪 まだ失くしていない君を (集英社オレンジ文庫)感想
外務省のグレーゾーンな仕事を引き受ける外交官として働く桐島に宛てて、東南アジアの国・ビサワンで働く元恋人・亜希から謎めいたメールが届き、失踪した彼女を探すためビサワンへ飛ぶ物語。子供兵士の救済を目的とした国際NGOで働いていた亜希の失踪を探るうちに、ビサワンを巡る政情不安な状況に巻き込まれてゆく桐島。各国間の事情や利害関係に振り回されても諦めずに活路を見出そうとする中で、謎めいた彼女の過去も明らかになっていって、何ともやるせない結末でしたけど、最後まで真摯であろうとした彼女のありようはとても印象的でした。
読了日:04月08日 著者:ひずき 優
わたしたち、何者にもなれなかったわたしたち、何者にもなれなかった感想
高校時代の映画同好会に所属し映画で成功することを夢見ていた4人。しかし中心だった石田サキの突然の失踪で空中分解し、悔恨を抱えたまま12年が経過した彼女たちのもとに、サキの居場所を知らせる謎めいた電話がかかってくる物語。映画雑誌副編集長の夏美、束縛の強い夫に悩まされる佐和子、シングルマザーの弥生。すっかり変わってしまった彼女たちは未だ消えない悔恨が影を落としていて、そんな状況で十二年ぶりに再会したサキと過去の真相があって、止まったままだったかけがえのない思い出にようやく向き合えた彼女たちの姿が印象的でした。
読了日:04月09日 著者:瀬那 和章
漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)漫画家先生とメシスタント (富士見L文庫)感想
マンガ好きを周囲にひた隠す女子高生ときわが、学校帰りにアパートの前で行き倒れているのを発見した会社員・鈴木桂太。ご飯を食べさせてあげた彼が実は大好きなマンガ家の片割れだったと気づく物語。マンガ家のためのアパート・ヒット荘を舞台に、ほのかな恋心を抱く桂太や彼とコンビを組むレオ、新人漫画家の花や鬼の担当編集さん、マンガ家の桂太の妹たちも絡めながら、美味しそうなご飯やデザートを振る舞いつつのドタバタ劇や交流してゆく様子がなかなか楽しかったですね。ときわと桂太のその後も気になるので、また是非続巻を期待したいです。
読了日:04月09日 著者:仲村 つばき
(P[ゆ]1-1)僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)(P[ゆ]1-1)僕と君の365日 (ポプラ文庫ピュアフル)感想
色彩が失われて1年で死に至る無彩病だと知らされ、自暴自棄になりかけた高校生・新藤蒼也。そんな彼が進学クラスから自ら希望して落ちてきた美少女・立波緋奈と契約のような365日間の恋を始める物語。周囲に知らせず最後まで普通の日常を送りたいと願う蒼也と、その秘密を唯一知る緋奈の少しずつ変わってゆく関係と、幼馴染たちを絡めたかけがえのない日々。大切な存在だと思うようになればなるほど、失う辛さを感じさせて切なかったですが、最後まで精一杯向き合い続けた二人の想いと、エピローグで明らかになるもう一つの真実が印象的でした。
読了日:04月09日 著者:優衣羽
魔法科高校の劣等生(28) 追跡編<上> (電撃文庫)魔法科高校の劣等生(28) 追跡編<上> (電撃文庫)感想
光宣による水波の奪取を許してしまった深雪。達也、十師族、抜刀隊が光宣の大追跡を開始し、一方で日本に亡命中の劉麗蕾にも大亜連合の魔の手が伸びる第二十六弾。光宣追跡中に介入してきた意外な相手、自覚がないまま光宣への想いと深雪への忠誠心とで心揺れる深雪。達也なら何でもできる、どうにかしてしまえるわけではないというのはわりと新鮮で、千葉修次がいいところを持っていった感がありますが、藤林家と九島家も絡む光宣と水波追跡、USNAとリーナの関係、亡命者の劉麗蕾、戦略級魔法師になった将輝と、結末がいろいろ気になりますね 
読了日:04月10日 著者:佐島 勤
86―エイティシックス―Ep.6 ―明けねばこそ夜は永く― (電撃文庫)86―エイティシックス―Ep.6 ―明けねばこそ夜は永く― (電撃文庫)感想
朽ちることを良しとするシリン達の姿に苦悩するエイティシックス。レーナと不格好にすれ違ったまま連合王国の命運をかけた「竜牙大山攻略作戦」が始まる第六弾。シリンと自分たちがどう違うのか、そしてレーナと分かり会える日が来るのか、攻略自体もわりとギリギリの戦いの連続だったはずですが、不器用なシンとレーナの見ている方がもどかしくなるすれ違いと、それを生暖かく見守る周囲という構図の方が気になって仕方ありませんでした(苦笑)終わらない戦いもいろいろ転機を迎えつつあるように思える中で、初々しい二人の今後が気になりますね。
読了日:04月10日 著者:安里 アサト
おねだりエルフ弟子と凄腕鍛冶屋の日常 (電撃文庫)おねだりエルフ弟子と凄腕鍛冶屋の日常 (電撃文庫)感想
全ての金属の街アル・メタリアで最高職人として名声を高めていた男・フィーゴと、嫁を自称するエルフの弟子・ルミアの日々を描く物語。フィーゴの元を訪れる様々な客たちと、ぐいぐいアプローチするけど訳ありっぽいルミア、二人に絡む彼女に仕えるマグネやフィーゴの幼馴染・セレス。ドタバタ劇めいた展開をびしっと締める最高職人・フィーゴの存在と、だんだんクローズアップされてゆくルミアの謎が効いていて、そのあり方を問われたルミアの覚悟はなかなか良かったですが、回収されない伏線に気になる結末と、これ続刊に期待して良いんですよね?
読了日:04月11日 著者:松山 剛
友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)友達の妹が俺にだけウザい (GA文庫)感想
青春の一切を非効率とする俺・大星明照が目指す伯父の会社への就職。ウザい親友の妹・彩羽に絡まれつつ、就職の条件として提示された幼馴染従妹・真白の偽彼氏役に挑む青春ラブコメディ。学校では存在感皆無の生活を送る明照と、彼に絡み部屋に入り浸る親友の妹・彩羽、最悪の再会から険悪な雰囲気の真白。親友を含めた周囲の登場人物にはそれぞれ抱える事情があって、陰キャラに甘んじる明照が仲間のためなら頑張る姿を見ると、彼らに慕われているのも納得ですね。気になる関係に投げ込まれた波紋で物語がどう動くのか、今後に期待大の新シリーズ。
読了日:04月11日 著者:三河ごーすと
獣に道は選べない (新潮文庫nex)獣に道は選べない (新潮文庫nex)感想
実は化け狸で任侠団体の組長の娘だった椿と一緒にいるため、新米任侠になるしかなかった化け猫の千歳。人間関係に悩み生き方に迷い、時に悪意に翻弄されながらも自分の歩む道を思い定めてゆく第二弾。椿と一緒にいるための選択がこれで良かったのか、思い悩むうちに彼女とぎくしゃくしてしまう千歳。相棒の諏訪の気になる人との仲を取り持とうとして、逆にトラブルに巻き込まれてゆく展開でしたけど、お人好しな千歳のありようは変わっていなくて、何だかんだでいい感じのところに落ち着きましたかね。諏訪ともいい相棒になりそうでまた続巻に期待。
読了日:04月12日 著者:Minoru,額賀 澪 
ビストロ三軒亭の美味なる秘密 (角川文庫)ビストロ三軒亭の美味なる秘密 (角川文庫)感想
ビストロ三軒亭で本格的にギャルソンの道を歩き始めた隆一に別の有名店で修行するチャンスが舞い込み、新たな悩みにぶつかる第二弾。結婚を考える恋人の嘘に悩む男性、自宅前に次々と置かれる奇妙な贈り物を怖がる女性、倒れた隆一の役者時代の先輩が残した謎の言葉。今回も訪れた客がもたらす謎を解決しつつ、別の場所で修行するチャンスや元いた店員が日本に戻ってきたり、昔の仲間に悩まされたりといろいろありましたけど、隆一も自分の方向性を見定めて、そして伊勢さんの彼女の彼女の件も良い方向に向かいそうで良かったです。また続巻に期待。
読了日:04月12日 著者:斎藤 千輪
ミネルヴァの梟は飛び立ちたい ~東雲理子は哲学で謎を解き明かす~ミネルヴァの梟は飛び立ちたい ~東雲理子は哲学で謎を解き明かす~感想
外部から城京大学大学院に進学した東雲理子。修士課程で哲学を専攻する彼女が、海外帰りの新指導教員・大道寺哲の助けを借りながら日常の謎に挑む哲学ライトミステリ。返却したはずなのに戻ってくる哲学辞典、ある日を境に姿を見せなくなった喫茶店の常連、休みのない古本屋の理由、何度待ち合わせをしても会えない友人、研究室に代々伝わる謎の掟など、身近で起こった謎を哲学を絡め解き明かしていくエピソードを八編収録。理子と父親の関係は気になりますが、大学で哲学を教える研究者である著者さんの文章は読みやすく書かれていて楽しめました。
読了日:04月13日 著者:草野 なつめ
八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる (富士見L文庫)八雲京語り 宮廷に雲雀舞いいづる (富士見L文庫)感想
夫婦で帝位を目指す嫁き遅れの頭領娘・雲雀とお飾り少年東宮・鈴鳴。鈴鳴が渋る雲雀を説き伏せ「豊寿の舞」参加を決めた矢先に、勝利確実と目されていた鎬雨が何者かに襲われる第二弾。容疑者として捕らえられた雲雀の部下・有宗。雲雀たちが「豊寿の舞」で勝てなければ有宗を処刑するという中宮の非常な宣告。ただでさえ不利な厳しい勝負でしたけど、印象的なヒロインたちのありようや、周囲の助けも得て可能性を信じて立ち向かう中で活路を見出し、過程ですれ違いかけていた信頼関係を再構築していく二人の距離感にぐっと来ました。続巻に期待。 
読了日:04月14日 著者:羽根川 牧人
アラフォー・クライシス: 「不遇の世代」に迫る危機アラフォー・クライシス: 「不遇の世代」に迫る危機感想
NHKクローズアップ現代+「アラフォークライシス」取材班が氷河期世代の実態を仕事・結婚・介護など様々な角度から当事者たちへの取材を行い明らかにした一冊。就職期に大きな時代の変化や不況に直面し、当時の時代の意識と社会の現実が大きくかけ離れていた状況に初めてさらされた世代。当事者たちの声は他人事ではなくて、根深く自己責任というほど単純なものでもなくて、様々なリスクを内包する状況をこれからどうすべきか、様々な取り組んでいる事例も紹介されていましたが「受援力」「防貧」という意識も重要なことなのかもしれないですね。
読了日:04月14日 著者:NHK「クローズアップ現代+」取材班
小説王 (小学館文庫)小説王 (小学館文庫)感想
華々しいデビューを飾ったものの鳴かず飛ばずの作家・豊隆と、彼の作品がきっかけで文芸編集者になった俊太郎。経営状態から俊太郎の所属する文芸誌存続が危ぶまれる状況で、あえて勝負に出る二人の物語。「いつか一緒に仕事を」と思いながらも、具体化しないまま迎えてしまった苦境。出版業界の苦境を生々しく描く一方で、それでもどうにかできないか諦めずに活路を見出そうとし、それぞれの立場から何度もぶつかり合い、もがき苦しみながらも目をそらさずに真っ向から向き合って、いい作品を作り上げていく熱い思いは心に響くものがありました。 
読了日:04月15日 著者:早見 和真
レフトハンド・ブラザーフッドレフトハンド・ブラザーフッド感想
エイリアン・ハンド・シンドロームを患い、左手から交通事故で死んだ双子の兄・海斗の声が聞こえるようになった岳士。家出した先で運悪く殺人事件の容疑者となってしまった二人が、容疑を晴らすべく真犯人を探し始める物語。怪しいドラッグ「サファイヤ」を販売する半グレ集団、そて岳士が巡り合い二人がすれ違うきっかけとなってゆく彩夏。うかつな岳士と案外アバウトな海斗のコンビによる犯人探しの迷走っぷりには頭を抱えましたが、お互い複雑な想いを抱えぶつかり合う二人の葛藤と、何ともほろ苦かったその決着にはいろいろ考えてしまいました。
読了日:04月16日 著者:知念 実希人
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編 (宝島社文庫)響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章 前編 (宝島社文庫)感想
三年生となり新体制で始動した新・北宇治高校吹奏楽部。新しい一年生が入部してくる中、強豪・清良女子から転入してきた三年生のユーフォニアム奏者、黒江真由が入部する第十一弾。最終学年で悲願の「全国大会金賞」を目指し燃える麗奈と、様々な想いを抱く一年生、そして久美子を複雑な想いを抱かせる同じユーフォニアム奏者・真由の存在。新メンバーも加入して様々な思いが渦巻く部内の雰囲気に、それを取りまとめる部長の久美子は大変だなとつくづく思いましたけど、くすぶる火種を抱えたままの状況をどう乗り越えてゆくのか、続巻が楽しみです。
読了日:04月16日 著者:武田 綾乃
ガーリー・エアフォースXI (電撃文庫)ガーリー・エアフォースXI (電撃文庫)感想
ザイ殲滅への光明がアニマに大きな代償を強いるものと知ってしまう慧。納得できずにグリペンと仲違いしたまま決戦に挑む第十一弾。平行線なままのグリペンと慧、各国間の思惑を利害調整する中で迷走してゆく作戦。最後まで相変わらずだった慧には苦笑いでしたけど、遠回りしながらもきちんと向き合い仲間たちと共に戦った最終決戦は、ここまで物語を引っ張ったことを思えばややあっさりしていた感もありますが、二人で一緒に飛び戦う姿がとてもこの物語らしいと改めて感じました。本編はこれで完結のようですが、サイドストーリーも期待しています。
読了日:04月16日 著者:夏海 公司
忘却城 (創元推理文庫)忘却城 (創元推理文庫)感想
忘却城に眠る死者を呼び覚まし、蘇らせる術で発展した亀琲王国。過去の深い傷を抱えた青年儒艮は盲獄と呼ばれる牢で死霊術師の長・名付け師と出会い、幽冥祭で起きる事件を阻止すべく動き出す中華風ファンタジー。許嫁を殺された盲目の死霊術師の少女と、これまた訳ありの過去を持つ教師・儒艮の二つの視点から語られてゆく展開で、複雑な設定を作中でもう少し上手く説明できると良かったですが、スケールの大きな世界観や積み重ねていった伏線を最後で巧みにまとめあげてみせた結末には可能性を感じました。もう少し広がりを期待したい作品ですね。
読了日:04月17日 著者:鈴森 琴
弱キャラ友崎くん Lv.7 (ガガガ文庫)弱キャラ友崎くん Lv.7 (ガガガ文庫)感想
文化祭準備も佳境を迎え、演劇の脚本作りで登場人物と演者のイメージを近づけるため、友崎と菊池さんが葵の過去を取材する第七弾。みみみとのもどかしい距離感、菊池さんに協力しながら作り上げていく演劇の脚本、二人との関係に対する課題を友崎に提示する葵。取材で垣間見えた葵を演劇に投影してゆく菊池さんには、自分も変わろうとする強い決意があって、心揺れる友崎と彼女たちの繊細な描写を積み重ねていった今回はいつも以上に大きく動きましたけど、これは終わりではなく新たな始まりなんですよね。今後の展開に期待せずにはいられないです。
読了日:04月17日 著者:屋久 ユウキ
妹さえいればいい。 (12) (ガガガ文庫 ひ 4-12)妹さえいればいい。 (12) (ガガガ文庫 ひ 4-12)感想
主人公になることを諦めて、淡々と小説を書き続ける伊月。一方、那由多は小説を書くことをやめ部屋に引きこもり、そんな二人を春斗や京がどうにか立ち直らせようとする第十二弾。まず伊月の姿にはビックリしました(苦笑)別れた二人のその後は対照的で、そんなありようがそれはそれで彼ららしかったですけど、拗らせた二人を再び変えたきっかけが面白かったですね。アシュリーさんのツンデレエピソードだったり、丁寧に積み重ねていった先に迎えた結末は王道で、ちょっぴり気になるところが残った今回からきちんと補足してくれるあたりが流石です。
読了日:04月17日 著者:平坂 読
後宮香妃物語 鳳凰の将軍と愛しき定め (角川ビーンズ文庫)後宮香妃物語 鳳凰の将軍と愛しき定め (角川ビーンズ文庫)感想
大将軍・我嵐の告白に戸惑う凛莉を待っていたのは、妃たちが対立し荒れる麗華宮。その不和は諸外国の国賓も招く国事・雅香会の準備に絡み宮廷へも広がってゆく第四弾。闇香士団の扇動によって対立が激化する後宮、嵌められて弾劾される宰相、混乱する中で進まない雅香会の準備。相変わらず危なっかしい凛莉の行動が流れを変えてゆく展開がいいのか悪いのか、何とも悩ましいところですね。意外な場所に潜んでいた黒幕の動きも気になるところですが、凛莉を妃に任命しておいて我嵐にどちらが射止めるか勝負とか言うのはありなんですか?煌翔(苦笑) 
読了日:04月18日 著者:伊藤 たつき
鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のもろもろ (集英社オレンジ文庫)鍵屋の隣の和菓子屋さん つつじ和菓子本舗のもろもろ (集英社オレンジ文庫)感想
和菓子職人として修業中の多喜次が、あまりの字の下手さに書道教室に通い始める第三弾。教室で出会ったアレルギー持ちの女の子でも食べられる和菓子ケーキ作りに挑戦したり、父親のために和菓子教室で作った練り切りに挑戦したい女の子を手伝ったり、あちこち首を突っ込んでは誰かのために奔走する多喜次と、それを温かく見守る祐雨子さんや支えてくれる周囲の人たちとの関係がいいですね。相変わらずのようでいて少しずつ着実に積み上げていたはずの二人の関係が、予想もしなかった急展開を迎えたのにはビックリですよ。続き早く読ませて下さいw 
読了日:04月18日 著者:梨沙,ねぎしきょうこ
王宮の凶鳥姫 (小学館文庫キャラブン!)王宮の凶鳥姫 (小学館文庫キャラブン!)感想
王朝が滅びる際に凶鳥が現れる国のひとつ焦。国王の第二公主として生まれて特殊能力を周囲に疎まれていた瑠蘭が、亡国の危機に神仙・鵬天の力を借りるべく彼が隠棲する漉冥山へ向かう中華風ファンタジー。二百年前と同様に青い炎で王宮を襲った蒼焔、国の一大事にも力を貸す気はない鵬天。世界観を考えると意外にこじんまりとした印象でしたけど、鵬天をもどかしく思いつつも自らの力と向き合い、民のために奔走する瑠蘭に鵬天も感化され、二百年前の真実も明らかになってゆく展開は良かったですね。今後各国の物語へ世界が広がっていくことを期待。
読了日:04月19日 著者:相内 藍
平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)平安あや解き草紙 ~その姫、後宮にて天職を知る~ (集英社オレンジ文庫)感想
東宮への入内話が立ち消えになり、婚期を逃したまま実家に居座っている左大臣の娘・藤原伊子。そんな彼女に今は亡き東宮の息子である今上帝が入内を希望してくる平安お仕事ミステリー。十年前に別れた恋人・嵩那との間にあった誤解、そして伊子が初恋の人だったという今上帝という何とも複雑な距離感の関係も交えつつ、帝の熱烈な要請によって尚侍として入った年相応にこなれた感のある伊予が好みで、嵩那とも協力しながら後宮で起こる事件を解決してゆく展開は面白かったです。恋の行方も気になるその後のお話がまた読めたらいいなと思いました。 
読了日:04月19日 著者:小田 菜摘
ラストラウンド・アーサーズ3 雪の少女とアーサー殺しの王 (ファンタジア文庫)ラストラウンド・アーサーズ3 雪の少女とアーサー殺しの王 (ファンタジア文庫)感想
魔人化の知られざる一面を知った凜太朗。正義を語るアーサー王候補によって、倒れた瑠奈と奪われた居場所を取り戻すため、凜太朗は真なる力を手に入れる第三弾。今回は苦境に陥ったところをモルガンに扇動されたゲスいアーサー王候補・片山に襲撃され、絶望的な厳しい戦いでそれぞれが意地を見せる熱い展開でしたけど、それにしても凜太朗は美味しいところを持っていきますね(苦笑)今後に向けてキーマンとなっていきそうなヒロインたちそれぞれの背景も徐々に明らかになってきて、彼女たちがこれからどう物語に絡んでくるのか続巻が楽しみですね。
読了日:04月20日 著者:羊太郎
撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろII ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)撃ち抜かれた戦場は、そこで消えていろII ―弾丸魔法とゴースト・プログラム― (ファンタジア文庫)感想
銀弾でも覆せない戦況の悪化に焦燥を募らせ、エアと仲違いするレイン。第二世代エクセリアの輸送任務中、交戦により雪山で孤立したレインたちが敵国の亡霊デッドリムと出会う第二弾。冷静さを失っていたレインが招いた雪山での遭難。生き延びるために敵国の亡霊デッドリムたちと協力しての脱出行。デッドリムたちとの出会いを通じて、亡霊についていろいろ語り合えたことはレインに多くの気付きを与えて、二人の関係性がどう変わってゆくか注目ですね。切り替わった世界での急展開の理由も気になりますが、出番が少なかったアスリーの奮起にも期待。
読了日:04月20日 著者:上川 景
妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ (メディアワークス文庫)妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ (メディアワークス文庫)感想
鷹橋川で発見されたミイラ化した不思議な遺体。街の治安が急速に悪化してゆく中、圧力により捜査がたびたび頓挫する状況に、新米刑事の御堂陸が真相を解明するため美貌の科学者・神代宇路子の許へ押しかける物語。正義感が強く融通の利かない陸と、ミステリアスでスボラな宇路子のコンビが、協力しながら人魚をめぐる謎に迫る展開でしたが、民俗学と科学的視点を組み合わせて語られる見地はなかなか興味深く、二人もなかなかいいコンビっぷりでしたね。解決されないままの疑惑に宇路子の秘密も明らかになって、これは続刊に期待の新シリーズです。 
読了日:04月22日 著者:峰守 ひろかず
灰と幻想のグリムガル level.14+ 相変わらずではいられない (オーバーラップ文庫)灰と幻想のグリムガル level.14+ 相変わらずではいられない (オーバーラップ文庫)感想
ハルヒロたちが他界パラノへと迷い込んでいた時、グリムガルで起きていたとてつもない異変。志半ばで死んだ見習い義勇兵・マナトの想いを綴ったエピソード、シホルとユメがそれぞれのギルドで出会った師匠たちとの交流や、旅を続けるランタの悪戦苦闘を描いた連作短編集で、特にこれまであまり描かれることのなかったマナトの心理描写はなかなか新鮮でした。自らに問いかけ続けるランタの姿には成長を感じましたけど、ランタがその後どうなったのか、あれから時間が経過してハルヒロたちの状況がどう変わったのか続巻が気になるエピソードでした。 
読了日:04月22日 著者:十文字青
華仙公主夜話 二 その麗人、後宮に嵐を招く (富士見L文庫)華仙公主夜話 二 その麗人、後宮に嵐を招く (富士見L文庫)感想
各地で宮女試験が始まる中、千州では義賊が街中の噂で招福赤猫が大流行。次期皇帝・紫旗の花嫁候補を巡る事件が勃発し、皇族と仙人の血を継ぐ華仙公主・明花が事件解決に乗り出す第二弾。宮女試験を巡る様々な因縁と義賊・赤猫をきっかけに悪化する治安。明らかになってゆく背後関係と、事件解決のため花嫁試験に潜入する明花。明花の周辺関係も徐々に明らかになってきて、紫旗を皇帝に就けるためにコンビを組む彼女と腹黒宰相・伯慶の絶妙な相棒感がとてもいい感じで好みです。紫旗と未来の皇后の出会いもあったりでまた続巻が読みたい作品ですね。
読了日:04月23日 著者:喜咲冬子
虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2 (オーバーラップ文庫)虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2 (オーバーラップ文庫)感想
虐殺スペックを持つ絶対的美少女・赤三月朝火の攻略本制作に巻き込まれ、彼女や黒花に振り回される日々を送る九木野瀬伊吹。そこにもうひとりの虐殺スペックの持ち主が加わる第二弾。傍目から見たら楽しい日々を送っているようにも見えなくもない伊吹たちの前に現れた、朝火とはライバル関係になるもうひとりの虐殺スペックの持ち主・歌ノ森夕緋。夕緋もかなりぶっ飛んだキャラですが、伊吹とは何とも複雑な過去を抱える関係で、伊吹がどのように決着をつけるのか、依然として謎も多い朝火の事情も絡めた今後の展開が俄然楽しみになってきました。 
読了日:04月23日 著者:蓮見景夏
隣に住む教え子と結婚したいのですが、どうしたらOKがもらえますか? 1 (オーバーラップ文庫)隣に住む教え子と結婚したいのですが、どうしたらOKがもらえますか? 1 (オーバーラップ文庫)感想
高校入学でひとり暮らしを始め、隣に住んでいる担任・御厨充希先生にいきなりプロポーズされた藤本千里。ウブでうっかりで無防備な彼女に振り回されっぱなしの年の差イチャラブラブコメディ。地味教師・干物女・超絶美女と様々な顔を持つ充希さんが千里を相手にぐいぐい攻める展開で、想いは溢れているけれど恋愛経験に乏しい彼女の空回りっぷりだったり、千里とクラスメイトの女の子が話しているだけでやきもきしたり、ベタな展開ながらも恋愛初心者同士な年の差カップルのドタバタ劇は楽しかったです。最後のエピローグがなかなか効いていました。
読了日:04月24日 著者:遠藤遼
神話伝説の英雄の異世界譚 12 (オーバーラップ文庫)神話伝説の英雄の異世界譚 12 (オーバーラップ文庫)感想
初代皇帝の遺骸を乗っ取りついに復活を果たした無貌王。精霊壁崩壊により大帝都へと迫る化物の軍勢と比呂が対峙し、リズはグランツ大帝国の混乱に乗じようとするヴァニル三国の対処に向かう第十二弾。ヴァニル三国との対決ではアウラがようやく軍神乙女らしい本領を発揮した今回でしたが、リズもひとつの因縁に決着をつけて、化物を率いる無貌王と比呂を巡る過去も明らかになって、かなり遠回りした感もありましたがいろいろな流れが繋がって、結末に向けた舞台も整いましたね。次巻で完結とのことですが、是非ともハッピーエンドでお願いしますよw
読了日:04月24日 著者:
新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IV (電撃文庫)新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IV (電撃文庫)感想
港湾都市ラウズボーン。教会改革を使命とするコルの活躍が皮肉にも王国と教会の関係に緊張をもたらし、窮地に陥った彼の前にロレンスのかつての好敵手・女商人エーブが現れる第四弾。王国の権力を背景にした徴税人たちと教会側に立つ貿易商人組合の対立。戦争が不可避な状況に向かってゆく中でコルに協力を申し出てきたエーブ。見えていなかった事情が明らかになるたびに構図もガラリと変わって、二転三転する状況で百戦錬磨なエーブ相手に後手に回りましたが、ミューリと力を合わせてギリギリの状況から活路を見出してゆく展開は良かったですね。 
読了日:04月25日 著者:支倉 凍砂
きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫 こ 60-6)きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫 こ 60-6)感想
魔女の座を巡り時任さんから魔法を託された安達と真辺、堀と七草。それぞれがコンビを組んで親の愛情に植える相原大地が幸せになる道を探ってゆく第六弾。階段島に住んでいる愛を失った大地の母・美絵、亡くなった父・三島と大地の交流。どこまでも真っ直ぐな真辺が絶望的な状況でも諦めずにいられる理由も、自分らしさを失わないために大切なものもたったひとつで、安達が魔女を目指した真意だったり、心揺れながらもワガママな魔女であろうとした決意した堀さん、そして覚悟を決めた七草たちがたどり着いたこの物語の結末はとても印象的でした。 
読了日:04月25日 著者:河野 裕
今、死ぬ夢を見ましたか (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)今、死ぬ夢を見ましたか (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
電車の中で、駅のホームから突き落とされて親友の五味淵と一緒に死ぬ夢を見た井瀬。彼が見た夢の内容を当て、同じ体験をしている女子高生・紗世と出会うタイムリミットサスペンス。同じように自らの死を回避すべく試行錯誤する紗世と彼女が憧れる先輩。刑務所から出所した井瀬を仕事に誘ってくれた五味淵と、井瀬を気にかける幼馴染の粕谷。テンポよく進む展開の中で誰を信じればいいのか、真相が明らかになるたびに物語の構図も変わってゆきますが、ありえたかもしれない可能性を思うと、その結末には何ともやるせないものを感じてしまいました。 
読了日:04月26日 著者:辻堂 ゆめ
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術12 (講談社ラノベ文庫)異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術12 (講談社ラノベ文庫)感想
討伐目標だったはずのコボルトと仲良くなってしまい、王国と対立してしまうディアブロたち。しかしゲルメド帝国が王国に宣戦布告し、事態が大きく動きだす第十二弾。シルヴィとホルンを救うために王都へ向かうディアブロたちと、帝国の主力である魔導機兵を操る少女たちの事情。帝国上層部のゲスっぷりが際立ちますが、関連ゲームの事情も絡んだりこの世界のありようが気になりましたが、大切な人たちを守るためのディアブロの覚悟がまた複雑な因縁に繋がっていきそうな何とも難しい状況で、この展開にどう決着をつけるのか続巻に期待ということで。
読了日:04月26日 著者:むらさき ゆきや
やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)やがてうたわれる運命の、ぼくと殲姫の叛逆譚 (ファミ通文庫)感想
女性の【うたうたい】が歌の加護を男性にしか与えないため、女性の魔物狩りが見下される世界。街を守ってくれている女魔物狩りオルカたち三姉妹と、魂の歌を歌う少年レンのシンフォニックファンタジー。その歌と性格から周囲に慕われるレンと、彼が憧れるクール(に見えて実は不器用なだけ)なお姉さんのオルカ、そんな二人を見守るオルカの妹たち。不器用な二人の距離感も好みでしたが、災魔流を何とかしようとするレンの勇気、絶望的な戦いを繰り広げる三姉妹を救うために成し遂げた奇跡があって、そんな彼らの旅をまた読んでみたいと思いました。
読了日:04月26日 著者:藍月 要
鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)鬼畜の僕はウサギ先輩に勝てない (HJ文庫)感想
郷土史研究部とは名ばかりのシロ先輩の趣味を実践するだけの部活動に強引に入部させられたキタロー。今回は隠れキリシタンの郷として村興しを始めた村の取材に向かうウサギと鬼の青春怪異譚。振り回されると分かっていても彼女の笑顔と行動力に逆らえないキタローが一緒に向かった、隠れキリシタンに絡めた遺物を持つ村の取材。随所にシロ先輩の小動物めいた魅力が効いていた一方で、実はワケありな二人が解決した事件は意外と凄惨な結末でしたが、将来的に部員も増えそうな予感もあって、未だ謎も多い二人の怪しい部活動をまた読んでみたいですね。
読了日:04月26日 著者:三咲悠司
継母の連れ子が元カノだった2 たとえ恋人じゃなくたって (角川スニーカー文庫)継母の連れ子が元カノだった2 たとえ恋人じゃなくたって (角川スニーカー文庫)感想
両親の前では家族らしく振る舞うも、二人きりになると昔の思い出が蘇り、やっぱりお互いが気になる水斗と結女。そんな二人の前に趣味で水斗と意気投合する少女・いさなが現れる第二弾。GWのやり取りだったり、席替えで過去のすれ違いに気づいたり、相変わらずな二人の何ともな距離感にテンションが上りますが、だからこそひとつの転機となったいさな登場からの展開とその結末にはぐっと来るものがありました…。結女たちとも仲良くなったいさなの存在が二人の関係にどう効いてくるのか、幼馴染コンビも気になります。今後の展開にも期待大ですね。
読了日:04月27日 著者:紙城 境介
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました4 (角川スニーカー文庫)真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました4 (角川スニーカー文庫)感想
勇者パーティーから離脱したルーティを追い求め、辺境ゾルダンの遺跡に人類最強の英雄達が集結。ルーティを連れ戻そうとする賢者アレスと、妹の身を案じるレッドが遂に全面対決へと発展する第四弾。勇者であることを拒みルーティとして生きていくことを決意した少女と、それを応援するレッドたち。自らの野心の為に卑劣な策略を巡らせ手段を選ばなくなったアレス。もはや対決が不可避な状況で激突した二人の結末は仕方ないのかなとも思いましたけど、友人を得て役割から解放された彼女がこれからどういう人生を歩んでいくのか、今後の展開に期待。 
読了日:04月27日 著者:ざっぽん
噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか? (角川スニーカー文庫)噂の学園一美少女な先輩がモブの俺に惚れてるって、これなんのバグですか? (角川スニーカー文庫)感想
自らモブとして目立つことを避けていた高校生・鷹野祐と孤高を貫く学園一の美少女・衣川マトの邂逅。二人が遭遇するサーバーセキュリティ絡みの問題を解決してゆく青春小説。祐の幼馴染が絡む試験問題漏洩事件、学校で起きたサイバー攻撃事件、マトが学校を中退して渡米しようとする理由。タイトルの印象より大分サイバーセキュリティが存在感のある内容でしたが、ミステリアスな彼女に最初は戸惑っていた祐が、マトのことを知っていくうちにその心境も変わっていって、彼女もまた祐たちとの出会いから新たな一歩を踏み出してゆく素敵な物語でした。
読了日:04月27日 著者:瓜生聖
千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)千億亡国 死の螺旋にあらがえ黒騎士 (角川スニーカー文庫)感想
帝国の侵略で滅亡寸前の小国クーファ。密かに王国が滅亡する度に時間が巻き戻る不思議な体験を繰り返し、救国の道筋を探っていた孤独な若き黒騎士ラシードと、彼を救うべく剣を振るう女騎士パルミラのファンタジー戦記。あらゆる方策を試して何度も失敗し、幾多の戦乱を経験して最強の力と最善の方策を見出したラシード。孤独な戦いを乗り越えてきた彼の苦悩と、突き放されても共に向き合おうとするパルミラが一緒に打開して乗り越えてゆく展開が良かったですね。物語としてひとつの転機を迎えたここからが様々な意味で本当の勝負な新シリーズです。
読了日:04月27日 著者:高橋 祐一
針子の乙女針子の乙女感想
前世の記憶を残したまま、技術貴族ヌイール家の子として転生したユイ。勘違いから針子との能力なしと判断されて邪魔者扱いされていた彼女が、ロダンと出会い人生に転機が訪れる異世界裁縫ファンタジー。地獄の日々から救ったロダンが気づいた精霊に愛される彼女の能力。ユイが前王に求婚される一方で、どうしようもないヌイール家の父や妹という分かりやすい構図でしたけど、テンポよく読ませる読みやすい文章と、人や環境に恵まれユイが幸せになってゆく展開はなかなか良かったです。とはいえちょっと頑張らないといけない状況のようで続巻に期待。
読了日:04月28日 著者:ゼロキ
ぼくたちは勉強ができない 非日常の例題集 (JUMP j BOOKS)ぼくたちは勉強ができない 非日常の例題集 (JUMP j BOOKS)感想
人気コミック「ぼくたちは勉強ができない」ノベライズ版。アンチエイジング薬で幼女化してしまった桐須先生の冒険、世界征服を目指す魔王・成幸と配下たちの顛末、胸が大きくなった文乃が実感した持てるものの悩み、忍者となった成幸と三人が桐須城へ侵入する四つの連作短編集。構成としては本編には直接絡まない形で描かれたエピソードで、たびたびネタにされる文乃がやや不憫な印象もありましたけど、全体としては原作キャラらしさが文章でも上手く再現されていて、いきいきとよく動く登場人物たちらしいお約束の展開を安心して楽しく読めました。
読了日:04月29日 著者:はむばね
はんぶんこの、おぼろくんはんぶんこの、おぼろくん感想
高校生になった小春が生まれて初めて恋をした隣の席のおぼろくん。体は男の子で心は女の子の彼のためにどうにかしようと奮闘する青春小説。隣の席なのに鏡越しに眺めるだけだったおぼろくん。偶然女装して歩くおぼろくんの姿を知ったことで始まった密かな交流と、想いを伝えられないまま募らせてゆく小春。小春の兄と小春の親友・鮎子の普通の恋が描かれる一方で、当たり前が優しくない世界にはどうにもならないこともあって、理解するのはなかなか簡単なことではないですが、乗り越えて再び向き合おうとする二人の関係を応援したいと思いました。 
読了日:04月30日 著者:犬飼鯛音
居酒屋ぼったくり〈6〉 (アルファポリス文庫)居酒屋ぼったくり〈6〉 (アルファポリス文庫)感想
ついにお付き合いすることになった美音と要。けれど要の出自を知っていて、自分とは釣り合わぬ恋になるのでは…という覚悟を持って接している美音が少し切ない。今回のエピソードの中で美音の過去の恋愛話や家族との過去話、要の周辺事情も明らかになってきて、本人同士の想いは確かにあってもいろいろ考え出すと思わぬすれ違いも起きそう。要がそこから一歩踏み出したことで転機につながればいいんですが。周辺への騒音問題やら商店街の書店話なんかもなかなか難しい問題ですけど、それより美音さん考えすぎないといいなと思わずにいられないです。
読了日:04月30日 著者:秋川 滝美

読書メーター

自分のライトノベル観に影響を与えた平成のライトノベル15作品

ついに平成も終わりということで、何かそれにちなんだ企画を…とうーん、とずっと考えていたんですが、今から平成30年分も振り返るのは無謀だし(終わらないw)、かなり昔のラノベ書いてもあんまりピンとこないだろうし、そもそも90年代はともかくゼロ年代は作品の傾向変わった時期でラノベから離れていたこともあって、考えた末に自分がまたラノベを読むようになってから好み的に影響を受けたなと感じたルーツとも言うべき15作品を挙げてみることにしました。

 

セレクト自体はそんなに迷わなかったです。選んでみると他の人と比較してないのであれですけど、自分の好みみたいなのが少しは出たのかなと?ただこれだと過去を振り返って終わるだけになってしまうので、令和になったら改めて「令和になっても期待したいシリーズ」みたいな今後に向けて期待するシリーズ企画でも何かもう一本作ろうかなと思っています。

 

1.“文学少女”シリーズ (ファミ通文庫)

どんなものを食べても味がしなくて、代わりに物語を美味しそうに食べる遠子さん。そんな遠子さんに文芸部に引っ張り込まれて、毎日三題噺を書いている心葉の物語。21世紀に入ってしばらくの間ライトノベルから離れていた自分が、再び読むきっかけとなった一冊。ほんとたまたまだったんですが、これを読んでいなかったらたぶん今の自分はありませんでした。

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

“文学少女”と死にたがりの道化 (ファミ通文庫)

 

2.やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)

当初から面白いとは思っていましたが、衝撃を受けた6巻の展開は未だに忘れられないです。そこから雪乃だけでなく結衣やいろはといったヒロインも存在感を増してきて、毎巻出るたびに物語の解釈を巡って激論がかわされていたのは良い思い出。予想以上に完結まで長引いていますが、それでも思い入れのある一冊です。ちなみに自分は八雪派(誰も聞いてない)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (6) (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (6) (ガガガ文庫)

 

3.冴えない彼女の育てかた (富士見ファンタジア文庫)

物語としてはあざといテンプレキャラ詰め込み過ぎでベタな展開のはずなのに、読ませる構成と衝撃的な挿絵の使い方にガッツリハートを掴まれたシリーズ。お姉さんヒロイン詩羽先輩を始めとする数多のヒロインたちはことごとく濃いキャラで魅力的なのに、そんな中をフラットな恵さんがどんどん存在感を増して制圧してゆく展開が素敵です。

冴えない彼女の育てかた 2 (富士見ファンタジア文庫)

冴えない彼女の育てかた 2 (富士見ファンタジア文庫)

 

4.ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)

人と吸血鬼が昼と夜を分け合う世界、ヨリマサと吸血鬼の少女・冴原との出会いという、ファンタジーと禁断の青春小説を絡めた作風がこれも好みどストライクでハマった作品。けれどこれで石川博品作品を知って他の作品に手を出したら、あまりの作風の違いにことごとく玉砕したのも今ではいい思い出…。

5.とある飛空士への誓約 (ガガガ文庫)

同盟関係を結んだセントヴォルト、秋津連邦から集まった士官候補生の七人の数奇な運命。飛空士シリーズは既刊もなかなか好みでしたけど、ガッツリはまったのはここから。 運命に翻弄されるヒロインたちを見たくないような、それでもぐいぐい読んでしまう中毒性の高い作品で、衝撃的な展開もありましたけど、飛空士シリーズの締めくくりとしてきっちりとまとめてあげる手腕は流石です。

とある飛空士への誓約 (2) (ガガガ文庫)

とある飛空士への誓約 (2) (ガガガ文庫)

 

6.覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

 辺境に飛ばされた皇女と、読書好きな軍師が出会うことで始まるファンタジー戦記。魔法や特殊要素がほぼなく、本で得た知識をベースに戦略を組み立てる軍師の組み合わせに若干危うさも感じなくはなかったですが、読み始めた時ここまで伸びるとは思いませんでした。今ではライトノベルのファンタジー戦記の代表作のひとつですね。

覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫)

 

7.ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (電撃文庫)

国立図書館司書のポストを狙っていたはずが皇女を救ってしまい、強引に軍人への道を進まされることになったイタクと仲間たちの物語がここまで壮大な展開になっていくとは…インパクトも相当なものでしたけど、七巻の衝撃的な展開が物語の方向性を劇的に変えてしまったのは間違いなくて、それが良かったのか悪かったのか、今でも時々考えることがあります。

 8.ストライク・ザ・ブラッド (電撃文庫)

一見怠惰な生活を送る普通の高校生で実は世界最強の吸血鬼“第四真祖”暁古城に、獅子王機関から見習い剣巫の姫柊雪菜が監視役として派遣されることで始まるファンタジーですが、毎回魅力的なヒロインが出てきて、大筋としては同じような水戸黄門的展開なのにきちんと話が進んで面白いのに衝撃を受けた作品。でもこの作品何だかんだで自分は大好きです。

ストライク・ザ・ブラッド (1) 聖者の右腕 (電撃文庫)

ストライク・ザ・ブラッド (1) 聖者の右腕 (電撃文庫)

 

9.デート・ア・ライブ (富士見ファンタジア文庫)

世界を殺す災厄・正体不明の怪物と、世界から否定される少女を止める方法は二つ。殱滅か対話。名前もない精霊を十香と名付けた五河士道が、精霊をデレさせるべく奮闘するボーイ・ミーツ・ガールな作品ですが、これも毎回同じ展開ながらもお他の追随を許さないやたらと濃い精霊ヒロインたちがクセになるほど魅力的でハマって一気読みした作品でした。

デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

 

10.生徒会探偵キリカ (講談社ラノベ文庫)

ふとしたきっかけから、巨大一貫校の莫大な予算を扱う生徒会に巻き込まれ、生徒会会計兼探偵のキリカと一緒に解決する学園探偵もの。個人的に初杉井光作品でここからその作風にハマって、神様のメモ帳や既刊作品を掘り下げていきました。しかし杉井光作品にはありがちですが、この作品も面白いのに完結してないのが惜しい。

生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫)

生徒会探偵キリカ1 (講談社ラノベ文庫)

 

11.WORLD END ECONOMiCA (電撃文庫)

夢を叶えるため株式市場に活路を見出す月生まれ月育ちの家出少年ハルが、ふとしたきっかけから数学の天才少女ハガナと出会い、コンテスト優勝と周囲の人々の危機打開を目指す壮大なスケールのボーイミーツガール。支倉凍砂さんは劇的な展開と作品ごとにタイプの違う魅力的なヒロインとのやりとりがとても好みで、「狼と香辛料」「マグダラで眠れ」なんかも捨てがたいですけどあえてこちらを推したいです。

WORLD END ECONOMiCA (1) (電撃文庫)
 

 12.黒鋼の魔紋修復士 (ファミ通文庫)

 神巫になったばかりの少女・ヴァレリアと、実力はあるものの性格に難のある紋章官ディミタールが主人公のファンタジー。各国も絡む激動の展開が続く中で、最初の反発することの多かった二人の変わってゆく関係がとても好みだったシリーズで、これも後追いで一気読みした作品。ちなみにこの作品をきっかけにミユキルリアさんが挿絵描いてる作品が気になるようになりました(苦笑)

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

 

13.魔法科高校の劣等生 (電撃文庫)

一般に計測可能な尺度では劣等生でも、実戦では図抜けた力を持っているという、ある意味タイトル詐欺的な作品だったりもするわけなんですが、若干凝り過ぎな感もある作品設定さえ乗り越えれば普通に面白かったシリーズ。個人的に分かりやすい構図が大好きというのもあるんですが、読んでみれば売れているのも納得のシリーズなんじゃないかと。

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

 

14.薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)

花街の薬師だったのをさらわれて後宮で下働き中の娘・猫猫が、薬師としての能力を美形の宦官・壬氏に見込まれ、後宮の事件や噂を解決する中華風ファンタジー。中華風の後宮にいるものの特に出世を目指すわけでもないわりとさっぱりとした性格の猫猫も印象的ですが、ライトノベルを再び読むようになる前から元々中国小説好きだった自分が、少女小説ライト文芸などで最近流行りつつある後宮小説に手を出すようになるきっかけになった作品でもありました。

 15.クロックワーク・プラネット (講談社ラノベ文庫)

いったん現代の地球が死に絶えて全てが時計・歯車で再構成された世界で、偶然出会った眠り姫のような毒舌ツンデレオートマタ・リューズと、凄まじい聴力の良さを活かして200年ぶりに彼女を復活させたナオト、そしてもう一人の天才技師マリーの2人の天才の出会いから始まる物語。著者さんの代表作といえば「ノーゲーム・ノーライフ」ですけど、個人的にはこちらの方が断然好み…なんですがこれも完結してないんですよね。また続巻出るといいんですけど。

クロックワーク・プラネット1 (講談社ラノベ文庫)

クロックワーク・プラネット1 (講談社ラノベ文庫)

 

 

以上15作品の紹介でした。こういう切り口ならいろんな個性が出て面白いと思うんですよね。他の人のも読んでみたいので、自分ならこれという方は是非企画記事よろしくお願いします(笑)