今回は10月GA文庫・GAノベル・サーガフォレスト・講談社タイガ・富士見L文庫の新刊感想まとめです。内訳はGA文庫の続刊1点、新作1点、GAノベルの続刊1点、サーガフォレストの新作1点、講談社タイガの続刊1点、新作1点、富士見L文庫の新作3点の計9点になります。気になる本があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー2 (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル episodeリュー2
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大森藤ノ/ニリツ SBクリエイティブ 2023年10月14日頃
ヘスティアvsフレイヤの『戦争遊戯』の準備に沸く迷宮都市。そんな中、リューはひとり都市を発ち、遥か東の剣製都市を目指すクロニクル・シリーズ第三弾。その地で待つ女神アストレアに会うため、力を求めるため、自らの時計を前に進めるため、五年分の決意を秘めて再会に臨むリュー。そこで出会った同じファミリアの正義の女神を慕っている後輩たちとの衝突。焦燥を募らせるリューの帰還を許さず、なぜか剣製都市への滞在を言い渡すアストレアの真意。彼女だけでなく後輩の抱く複雑な想いも絡み合う展開でしたけど、迷える眷属たちを導くアストレアの包容力は流石でしたし、ぶつかり合いながらも一緒に乗り越えてみせた彼女たちの成長も良かったです。後輩たちはまた出番あるといいですね。
追放王子の暗躍無双~魔境に棄てられた王子は英雄王たちの力を受け継ぎ最強となる~ (GA文庫)
追放王子の暗躍無双~魔境に棄てられた王子は英雄王たちの力を受け継ぎ最強となる~(1)
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西島ふみかる/福きつね SBクリエイティブ 2023年10月14日頃
紋章を持たない忌み子として魔境に追放され、十年もの間生き延びてきた元王子のリオン。妹である王女セレスティアの危機に、王都への帰還を決意する暗躍無双ファンタジー。正体を隠したまま実力の片鱗を見せて妹の護衛に認められ、時には護衛として、時には謎の剣士として王女に迫る脅威を次々と排除していくリオン。紋章の力の影響が大きい王族の後継者争いが激化していく中で、彼の実力を認めてゆく勇者一族の末娘ジゼルや側近クレハといったヒロインたちと一緒に、妹を守るために奮闘する構図はなかなか良かったですけど、彼を見守る師匠たちもいい感じに効いていました。持っていなかったはずの紋章の力も今後どう影響してくるのか気になるところではあります。
前世魔術師団長だった私、「貴女を愛することはない」と言った夫が、かつての部下2 (GAノベル)
前世魔術師団長だった私、「貴女を愛することはない」と言った夫が、かつての部下2
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三日月さんかく SBクリエイティブ 2023年10月14日頃
ギルからのやり直し求婚を受け入れ、真の夫婦になったオーレリア。彼女がクリュスタルム返還を巡る、隣国トルスマン皇国とのトラブルに巻き込まれる第二弾。隣国大神殿からの使節団に王城で応対するため、すれ違いの毎日を送る二人。そんな中ふとしたきっかけから使節団の美少年クラウス君と一緒に過ごすことが増えて、それを見たギルのメンタルが大変なことになったり、使節団の陰謀に巻き込まれてオーレリアの魔力制御ができなくなったりもして、最強レベルに爆破魔術が増幅しているのに制御できないとかいう、文字通り魔王並の最悪な展開になりかけましたけど、ともあれ無事誕生日パーティーもできて良かったです。
アーシャ・リボルヴァの崇拝1 (サーガフォレスト)
陛下アウゴ暗殺を阻止した婚約者候補筆頭の公爵令嬢アーシャ。そんな彼女が皇国革命軍結成を宣言して、暗殺を目論んだ恋のライバル・令嬢ナバダを連れて、反乱分子のいる敵地に乗り込む国家動乱ラブ×アクション。異形の容姿、恋する狂気、特注の魔銃剣により『鉄血の乙女』と呼ばれる公爵令嬢アーシャ。そんな風に思われていても彼女自身は前向きで、陛下の唯一無二になるために賊を平定するぐらいできなくてはと自ら敵地に乗り込む展開で、とにかくいろいろな意味で突き抜けた存在のアーシャでしたけど、自分のことよりもまず他人を救うことを優先し、別け隔てなく真摯に向き合うそのあり方を見ていると、彼女が皇帝に溺愛されて周囲に慕われるのも分かるような気がしました。
水無月家の許嫁3 天女降臨の地 (講談社タイガ)
明らかになった水無月家の闇。百年に一度生まれる“不老不死”の神通力を持つ葉は、一族の掟で余呉湖の龍に贄子として喰われる運命にあることを知らされる第三弾。妄執に囚われた長浜の一族の道長に葉とともに攫われた六花。何もできず自らの無力感に苛まれていた六花が、輝夜姫なら龍との盟約を書き換えて葉を救えると知り、決意を固めてついに輝夜姫としての力を覚醒させる展開で、大混乱に陥った状況を鎮めて龍にも向き合い、見事に流れを変えてみせましたね。因果応報とも思える結末も待っていましたけど、いろいろと流れも変わりつつある中で、覚悟も定まってしっかり想いを伝えあった二人のこれからが楽しみです。
傷モノの花嫁 (講談社タイガ)
猩猩に攫われ額に妖印を刻まれてしまい、陰陽五家の一家・白蓮寺家の跡取りとの結婚も破談した菜々緒。里中から蔑まれ死んだように日々を過ごしていた彼女が、皇國の鬼神と恐れられる紅椿夜行に見初められる傷だらけの二人の恋物語。猿面を付けていた菜々緒と出会い、美味しいご飯と高い霊力を評価して、その場で妻にすると宣言した夜行。里を出て皇都に向かった菜々緒が知ってゆく、紅椿家に代々受け継がれた忌まわしい秘密。それでも自らの居場所を得て癒やされる菜々緒と、甘やかす夜行の少しずつ変わる関係が良かったですけど、誤解からのすれ違いがあったり、過去の事件の真相が明らかになったり、彼女を巡る妄執に振り回されたりしても、一緒にそれを乗り越えてさらに絆を深めた二人のこれからが楽しみですね。
海辺の町で間借り暮らし (富士見L文庫)
安住の地と定めた海辺の町に引っ越してきたものの、その翌日に家が火事で全焼してしまい途方に暮れる鮎川紗枝。そんな彼女に隣人の桂木が手を差し伸べる20歳差の二人の間借り暮らし物語。これまで過去を隠して根無し草のように、あちこちを転々として生きてきた紗枝。一方で美しい容姿で資産もあることから、執着されることに疲れてしまっていた桂木。そういう経験を積み重ねてきたから二人だからこそ、自然と相手に配慮できるその距離感が心地良くなるのも分かるような気がしましたけど、明らかになってゆくそれぞれの過去にも一緒に寄り添って、かけがえのない安心感もたらしてくれる二人の関係がとても素敵だと思いました。
流蘇の花の物語 銀の秘めごと帳 (富士見L文庫)
密かに女王直属の間諜組織「天色」の一員として働く、美しく飄々とした性格の女官の銀花。冷徹でありながら抜群の人当たりの良さを持つ銀花に、新たな任務が命じられるアジアン・スパイ・ファンタジー。表と裏の複数の上司の命をこなす銀花が新たに命じられた、宗主国の将軍の妻になって国外に潜伏する任務。淡々と妻をこなしながらも、一方でいろいろ背景や置かれている事情を察してしまう銀花だからこその様々な配慮があって、そんな彼女に徐々に執着してゆく無骨な優しさを持つ夫・涛声。居心地は悪くなくても、任務ゆえにいつか終わりのくるのは間違いなかった関係でしたけど、そこからどうなるかとドキドキさせてくれた急展開から、新たな未来を予感させてくれるその結末はなかなか良かったですね。
後宮の薫香妃 (富士見L文庫)
150年前の祖先の罪「英雄殺し」を理由に、後宮に幽閉されている現在の「贖罪妃」薫香。そんな彼女がめったに人など訪れない自分の宮の前で倒れていた宦官・黒曜と出会い運命が動き始める中華風後宮ミステリ。匂いから黒曜の秘密を言い当て、一族の悲願である立場回復への協力を取り付けた薫香。その黒曜の策で伝説の「香妃」の再来として皇后を目指し、皇后を目指す曲者ぞろいの四妃を相手に香の嗅ぎ当てに挑むことになった薫香。匂いを鍵に殺された宦官の謎や仲良くなった南貴妃を巡る事件を解決したことで、結果として思わぬ事態に繋がっていきましたけど、現帝を巡る構図やその思惑、黒曜の複雑な立ち位置も明らかになって、四妃の背後にいる四王家を含めた様々な思惑が絡む今後の展開が気になるところではあります。