読書する日々と備忘録

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【メモ】8/27(金)このラノスペース2022まとめ

8/27(金)に開催された岡田氏を招いてのスペースにご参加いただいた方、ありがとうございました。60名程度集まったこともあってか、最後の方は配信が途切れ途切れになってしまいましたが、岡田氏の貴重なお話をいろいろ聞くことができました。せっかくなので今回のスペースはざっくりとではありますが、録音されたものをもとにまとめておきたいと思います。

 

8/27(金)22:30-23:30
参加者:岡田勘一氏(スピーカー/このラノ統括)@kanichi0203 
    秋野ソラ氏(スピーカー) @akinosora_ 
    よっち(ホスト/まとめ)@yocchi_reading

 

【このラノって何?】
宝島社から刊行しているライトノベルのファンブック「このライトノベルがすごい」のこと。
2004年から年一回刊行という形で始まった。
目利きなどを集めてランキングを決めるという試み。
11月下旬に刊行されるので、次の年がタイトルに付く
2004年頃ライトノベル解説本がいくつか出たが残っているのはこれだけ
統括の岡田氏は最初は読者だったが、2012年から参加
※ライターなどに協力を仰いではいるが、現在は協力者や出版社、デザインとのやりとりなど編集業務は岡田氏が担当している。

 

【ライトノベル刊行点数の推移】
2004年 800冊弱程度の刊行
2021年 3000冊程度の刊行

 

【投票者数の推移】
2004年 500人程度だった
2009年 1600人 禁書目録が出た頃 2008年に日本版Twitterが始まる
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この間1500人前後で推移
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2019年 4800人に急増
2020年 1万人を超えた

 

Twitterはライトノベル/TikTokはライト文芸に棲み分け?
ライトノベルの編集もTwitterで発信することが多いのでこちらに集まったか。

 

【協力者数の推移】
それまで50-60人 ※毎年10名程度は入れ替わり。
2020年 81人←ここで少し増やした。
2021年 新規30人ちょっとを増やして現在90人を少し超えるくらい。
最終的に100人程度に調整予定 ※後から追加の声がけの可能性あり
ライトノベルは読者の入れ替わりが激しい。毎年状況に合わせて変えている。

 

【紙面の調整】
2016年 文庫/単行本でランキングを振り分け
2020年 女性向けという括りは設けず一緒に
文庫向け男性ライトノベルがメインだが広い範囲で拾えるように、アンケート時の参考用リストを作っている。
ライト文芸は収集がつかなくなるので入れていない(アンケート回答者がライト文芸をライトノベルの範疇とするのなら、投票はしていい。それは制限していない)。
四六判を入れているだけでもカオス(今は文庫よりもたくさん出ている)。

 

【投票者の傾向】
10代の読者は四六判をあまり読めてないのでターゲットになりえていない
2020年は全体的にアンケート回答者が増えていたが、やはり10代の割合が多い。ランキングも割合の多い世代の傾向が色濃く反映されている。
作っている側の感覚としては、順当に世代交代している感。

 

【今回のレギュレーションについて】
9/3 18時~ WEBアンケート開始時に正式なものを告知します。

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今回の変更点
作品の回答数は5枠 ※5作品の回答が必須
2020年は1万件を超えたが、かなりのスパムがあった
全体の1/3が1位だけの1票だった。
「なるべく5作品を埋めてほしい」というスタンスだったが、アンケート回答者が増加している現状を鑑みて、5作品回答必須とした。

 

【協力者の60冊ハードルについて】
2020年のWEBアンケートでは、
1-10冊 31% 11-25冊 26.6% 年間25冊読んでいない人が50%超程度
年間50冊以上読んでいる人はこのラノ投票者の中でもエリート
「高校生でも月5冊くらいなら読める?ハードルが高くて応募が少ないのも…」という思い出、協力者の公募のハードルは「年間60冊読んでいればOK」とハードルを下げた。

 

【新規協力者】
結果的に、大部分の方は100冊以上読んでいました。
応募は70人くらい(思ったより応募があった)。
若い人が多かった印象。協力者にステータスを感じている?
動画配信、ラノベ垢などで活動している人が多かった。

 

去年(2020年)から新規募集をしたので協力者はだいぶ若返りました。
10代っぽい子を選んで世代交代を進めている。
高校生でもYouTubeで動画配信したり、Twitterで感想書いたり発信の仕方が変わってきている。ブログはアクセス数も伸び悩んで難しくなってきているのかも。

以前はマクロミル(アンケートサイト)でモニタ調査をやっていた。
※100人程度。微妙な投票も多いので2016年に止めました。

 

新規協力者がかなり増えたが全体としてはそこまで大きく変わらないと思っている。
協力者は個別掲載されるので死に票とか気にせず好きなものを投票してほしい。

 

【質問への回答】

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9月下旬頃の締め切りまでに刊行された続巻も評価の対象にしていいか。
評価に入れること自体は制限はしません。
以前は9月末までの作品を含めて10月頭の締切だったため、「読みきれない」という意見が多かった。そのため今は8月末までの作品としている。

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BookWalker主催で「新作ラノベ総選挙」やってましたよ(2019年で終わっている)。傾向が違うこういうのが出てくるのは業界としていいこと。あとは「ラノオンアワード」や「好きラノ」くらいしかない。2015年~17年にはSUGOI JAPANもあったが…ランキングになっているものは少ない(「ラノツイ」や「ラノベ好き書店員大賞」も止まってしまった。悲しい)。

 

【ライト文芸のランキング本について】
読者層が分断しており、読者それぞれ興味があるものを読んでいる印象。
ランキングよりも自分の好きなものを読みたいという感じ。
ネットで情報発信している人も少ない。

 

ライトノベル内でも「このラノ」の言及が出てくる。
先生とそのお布団 (ガガガ文庫) 

このラノ1位はアニメ化するくらいにはなっている
アニメ化していないのは「七つの魔剣が支配する」 (電撃文庫)くらい