今回は8月電撃文庫・GA文庫・DREノベルズ・ドラゴンノベルスの新刊感想まとめです。内訳は電撃文庫の新作5点、続巻3点、GA文庫の新作1点、続巻1点、DREノベルズの新作2点、ドラゴンノベルスの新作1点の計13点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました1 (電撃文庫)
丸戸 史明/よむ KADOKAWA 2025年08月08日
ター君こと高村夕は10年来の幼馴染。白坂陽花梨が特に意識もしてなかった彼を改めて意識するようになって、最も近くて最も遠い、周回遅れの恋が始まる青春小説。ふとしたきっかけから自覚してしまった今更ながらの想い。気持ちは近づき過ぎていて、距離感は見誤りそうもないほどに近くて、けれど変に交わらない絶妙な幼友達の関係。部屋で背中を合わせたり、朝の登校時間を合わせたり、アプローチするものの空回り続きで、友人たちにもネタにされる状況。けれどター君とデートをしたり、彼の周辺事情を知ったり、これまで秘密にしていたことを知れば知るほど、陽花梨が期待してしまうのも仕方なくて、そんな流れからの最後のあれはなかなか衝撃的でした。これから一体どうなるんでしょうね…。
あの夏に捧ぐ逢いことば (電撃文庫)
何かを「願う」ことにトラウマを抱える修也がAIの少女・愛岳ユウと出会い、逃げ出してきたと言う彼女と逃避行を繰り広げるひと夏の青春小説。愛してくれた両親、優しくしてくれた養い親を不幸のどん底に突き落としてしまい、願うことを止めてしまった修也。そんな彼が追われるユウと共に仄甘い共犯者として逃げる中で少しずつ取り戻していく何かを願うこと。そしてかけがえのないやりとりを積み重ねて、ユウの開発者である有栖も絡めながら、明らかにされるユウが修也の元を訪れた本当の目的。それでも彼女を何とか残そうと奔走する修也の切なる願いがあって、諦めずに努力し続けた彼が辿り着いたその結末は、かけがえのないとても素敵なものに思えました。
義妹5人いる (電撃文庫)
父親の突然の再婚により、義母と5人の義妹が新たな家族として家に引っ越してきた高校2年生の宮永陸都。ひとつ屋根の下で波乱の生活が始まる青春家族小説。会って早々に起きたハプニングから、大の男嫌いで妹たちに近づくなと陸都を脅す長女の地夏。心優しい次女の水緒や、振り回してくりギャルの三女・火鈴、お嬢様に見えて素のキャラとのギャップが凄い四女・風香、甘えん坊の五女の空音といった個性豊かな義妹たちとはこっそり距離を縮めるものの、家でも学校でも地夏は相変わらず頑なという構図にどうなることかと思いましたが、そこから明らかにされる背景があって、彼女に協力する覚悟を示したことで、過去を残り越えて少しずつ変わり始めた新しい家族関係がどうなるのか楽しみになってきました。
悪役ムーブで青春リスタート! 悲劇のヒロインを金と権力で救い出す (電撃文庫)
左リュウ/ふじ子 KADOKAWA 2025年08月08日
取り違えが判明して「本物の息子」が現れて、親の金と権力で悪逆非道な高校生活を送る日々から追放された九蒸飛一が、高校生活の初日にタイムリープするやり直し青春小説。どん底の生活を送る中でただひとつ後悔していた、最後まで味方でいてくれたのに拒絶して死なせてしまったメイドの灰璃の存在。家庭環境にも友人にも恵まれない彼女を救うために、二周目を生きることを密かに決意する飛一。初っ端からたびたび窮地に陥る灰璃を一見傲慢に見える悪役ムーブで救い、けれど灰璃だけは彼の不器用な優しさにちゃんと気づいているところがいいですね。一周目とはいろいろと違う部分も出てきたタイムリープはそもそもなぜ起きたのか。いろいろ気になる部分も出てきて、これからの展開が楽しみです。
あのとき育てていただいた黒猫です。 (電撃文庫)
蒼井 祐人/きみしま 青 KADOKAWA 2025年08月08日
天寿を全うし息を引き取った黒い雄猫テト。しかし飼い主・瑠璃香に何もお返しできていないことを悔やみ、猫又となって再会するハートフルストーリー。変化を試みるも妖力が足りず、幼い男の子の姿が精一杯のテト。けれどテトの喪失を受け入れられなかった瑠璃香は、彼との再会を喜んでもう手放さないとばかりに溺愛していく展開で、もう会えないと思っていたからこそ、またいなくなったりしないか不安を常に抱えていて、極度の方向音痴だったり、1人で住む家族背景など、瑠璃香にもいろいろ気になるところがありますが、テトが旧知のレイラなど猫世界にも相談しながら、恩返しをするために何ができるのかを考える姿も良かったですし、これからどんな関係になっていくのかも楽しみです。
組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い4 (電撃文庫)
年の瀬に身も心も一つとなった狼士と律花。以前にも増してイチャあま全開夫婦のイベントが盛りだくさんの冬が描かれる第4弾。芳乃と鹿山の関係が気になる初詣。パートナーを想うバレンタインデー。そして猪庭ににゃん吉を預けながら、奇妙奇天烈な狼士の同僚たちやなぜか兄・虎地も参戦するテンション高めな社員旅行に参加する律花。律花から年明け早々禁止を告げられる狼士には笑いましたが、今回は狼士と律花だけでなく、芳乃と鹿山、猪庭と璃、大鷹夫妻といったカップリングそれぞれの様子や、わりと露骨にバチバチやっていた後輩ちゃんと律花のやり取りと共感もなかなか良かったですね。虎地の秘書・飯塚さんもいい感じに効いていました。
レプリカだって、恋をする。5 Side:Original (電撃文庫)
榛名丼/raemz KADOKAWA 2025年08月08日
覚悟を決めたナオが素直の中に戻り、ただひとり残された素直。彼女が過去を乗り越えるために過ごした春夏秋冬の1年間が描かれる第5弾。 これまでやりたくないことをレプリカのナオに押し付けて逃げてきた、オリジナルの素直の覚悟。ナオみたいに上手にやりたいのに、実際の学校生活はうまくいかないことばかりで空回りしてしまう不器用な彼女が、それでも諦めずにアキや真田、佐藤やりっちゃんたちを相手に前を向いてひとりひとりしっかり向き合って、関係を再構築していく姿には素直の確かな成長を感じましたね…。素直が頑張った一年があったからこそ、あの結末にも感無量でしたし、そんな彼女ことを要所でさりげなくフォローしてくれた存在もいい感じに効いていました。
七つの魔剣が支配するXV (電撃文庫)
宇野 朴人/ミユキ ルリア KADOKAWA 2025年08月08日
校長不在のキンバリーを襲撃する異端「律する天の下」。その猛攻にさらされた学生たちと学内に残った教師陣が、それでも諦めず命の限りの抵抗でもって食い止める第15弾。敵も味方も一人また一人と命を散らしていく絶死の戦場、それぞれの持ち場で奮闘を続けるオリバーたち剣花団。その戦いぶりにはこれまで積み重ねてきた確かな成長が感じられて、それでも続々と奥の手を切る大司祭たち相手に、キンバリー側は苦戦を免れなくて、ついに陥落に王手をかける聖光教団。一歩間違えば誰が死んでもおかしくないギリギリの激闘の中で感じられた、これまで育んできた絆には心を揺さぶられるものがありましたが、大切な人を救うための壮絶な覚悟と、あまりにも切ないそれぞれの結末には言葉もありませんでした…。
俺がシフトの時だけバイト先の喫茶店に来る、クラスの美少女モデル様 (GA文庫)
岸本和葉/みわべさくら SBクリエイティブ 2025年08月09日頃
今世間で話題のクール系美少女モデルでクラスメイトの神坂しずく。そんな彼女が御影純太郎がバイトをしている喫茶店に現れる青春小説。自らの目標を見定めて、努力を積み重ねていくしずくの成長もあって、お互い本質的なところに惹かれていく2人の距離感が微笑ましかったですね。周囲の優しい大人に見守られながら、想いにしっかりと向き合っていく姿がとても素敵な物語でした。自らの目標を見定めて、努力を積み重ねていくしずくの成長もあって、お互い本質的なところに惹かれていく2人の距離感が微笑ましかったですね。周囲の優しい大人に見守られながら、想いにしっかりと向き合っていく姿がとても素敵な物語でした。
不死探偵・冷堂紅葉 03.君への挑戦状 (GA文庫)
零 雫/美和野らぐ SBクリエイティブ 2025年08月09日頃
青崎高校の学園祭が開催され、冷堂紅葉と共にイベントを満喫する天内晴麻。しかし学校に乱入した無法者達に教頭が拉致監禁される非常事態が起きる第3弾。大混乱のさなか再び密室で殺害されてしまった冷堂に、この謎は解かない方が良いと告げる晴麻。文化祭を2人で一緒に満喫したり、晴麻と思わぬドキドキアクシデントに遭遇したり、宮川がライバル?と挙動不審になる冷堂が可愛かったですが、一方で次々と起きる事件の謎を解き明かしたり、監禁されていた冷堂を晴麻が救出したり、カーチェイスを繰り広げたりとストーリーのメリハリも効いていて、何より最後に気づいてしまった真相は何とも切なかったですね。番外編もなかなか良かったです。
汝、暗君を愛せよ (DREノベルス)
父の死により地方の造園会社を引き継いだ三代目社長の人生に嫌気がさして自ら命を絶った主人公。破綻寸前国家の若き王として転生するファンタジー。王となって直面する巨額の赤字財政と半独立諸侯の存在、足を引っ張り合う周辺諸国との関係といった八方塞がりの頭の痛い状況。前世の経験から自分ひとりでは何もできないことを痛感する彼が、病から回復して以降は掲げていた現実的でない理想論から、突然別人のように方針転換したことを訝しみながら、その謙虚で真摯な姿勢と考え方を認め、協力するようになっていく妃候補の令嬢や有能な重臣たち。簡単な道を選ばずにひとつひとつ自ら向き合い、難しい局面を乗り切って新たな可能性を切り開いたグロワスの覚悟はなかなか読み応えがありました。
追放された悪役令嬢は【錬金スキル】で華麗なるチート生活を満喫する (DREノベルス)
朝月アサ/狂zip ドリコム 2025年08月06日頃
婚約者の王太子から婚約破棄を言い渡され、最強だった魔女の前世の記憶を取り戻したアンリエッタが、死を偽って自由の身となり国外へと旅に出る人生やりなおしファンタジー。王太子に恋人の聖女に愛人がいることをバラして落とし前をつけて、旅に出た彼女が空から降ってきた瀕死の騎士ダリオンを救って従者として冒険者を目指す展開で、最初は彼女の錬金術師としての圧倒的な力を知って警戒していたダリオンが、アンリエッタの意外と世間知らずで脇が甘い一面や、アンバランスな危うさを放っておけなくなっていく展開で、恋を知らなかったがゆえに迷走気味のアンリエッタと、愚直なダリオンがもどかしい不器用な空回りを繰り返しながら、かけがえのない存在となっていった2人の関係がなかなか良かったです。
ガラス工房の錬金術師 (ドラゴンノベルス)
辺境領主一家の長男に転生したルオ。火の精霊ラヴァとの出会いで、ガラス工芸師になる前世の夢を思い出す転生異世界ものづくりファンタジー。火を司る精霊と出会いラヴァと名付けて契約し、父が招いてくれた高名な錬金術師ヴァンデラーに師事して、錬金術の力でガラス作りに挑戦を目指していくルオ。ガラスを作る基礎力を身につけるために豊富な魔力を使いながらポーション作りに挑戦したり、家畜用のヒマワリやジャガイモに目を付けたり、自身はそこまで意図したものではなかったようですけど、周辺の領地が食糧難や魔物の襲撃で危機に陥っていく中で、否が応でも巻き込まれていく領地の助けになりましたね。鏡作りも始めた今後の展開が楽しみです。

