今回は2月GA文庫・サーガフォレストの新刊感想まとめです。内訳はGA文庫の新作2点、続巻1点、サーガフォレストの続巻2点の計5点の紹介になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
それは、降り積もる雪のような。 (GA文庫)
とある事情により、知人一家の喫茶店に住み込みで働きながら高校生活を送る高校生の渡静一郎。彼と居候中の菫野家の一人娘・澄花とのもどかしい関係を描く青春小説。うっかり澄花が自分に好意を抱いているらしいと知ってしまった静一郎。保護者代わりの透乃や同級生のサラとの人間模様も絡めながら、そこから改めて彼女のことを意識していく展開で、居候の身で彼女の父から喫茶店の手伝いを請われている立場でもあり、明らかになっていく2人の両親の事情があって、どうしても2人の関係を難しいものにしていましたけど、拗らせてすれ違いかけたことでお互いの存在の大きさを実感して、自らの想いにも向き合うことができた2人のこれからが楽しみな物語ですね。
S級冒険者が集う酒場で一番強いのはモブ店員な件 (GA文庫)
徳山銀次郎/三弥カズトモ SBクリエイティブ 2025年02月15日頃
異世界転生して女神から桁外れのステータスとチート能力を得たことを記憶喪失で忘れてしまったアミトが、偶然出会った酒場の店主ロッテに見込まれ、S級冒険者が集う酒場で働く異世界ファンタジー。自力で危険なダンジョンを脱出したアミトが、前世の経験を活かして働き始めた酒場でもS級冒険者ともすぐに顔馴染みになって、ロッテへの借金返済のために冒険者としても登録して彼らの依頼も手伝い始める展開で、とはいえ手違いで能力が正しく計測されず、実力がないと勘違いしているアミトと、その実力を垣間見て密かに驚愕するS級冒険者という構図の中で、アミト以外は彼の正体が一体何者なのか気になってゆくのは必然で、そこから誘拐された王女たちの救出に向かったその結末にはこの物語らしさがよく出ていました。
前世が最強魔導師だった俺、異世界魔法で無双する!2 (GA文庫)
kimimaro/刀 彼方 SBクリエイティブ 2025年02月15日頃
前世で魔導師だった記憶を思い出し、その力を使って討伐者を始めた桜坂天人。所属する詩条カンパニーはまだまだ弱小で、新たな人集めに動く第2弾。同じ詩条カンパニーの仲間になった神南の伝手でインフルエンサーの来栖を紹介してもらい、SNS運用のレクチャーがてら難易度の高いダンジョン攻略に向かう中で、思わぬ形で天人の規格外の能力が明らかになってしまう展開で、それをきっかけに討伐者の実力者との新たな出会いもあったり、来栖が誘拐されたりもする中、討伐者を巡る事情や国防軍などの様々な思惑も浮き彫りになっていきましたけど、来栖は性格も能力的にもこれまでいなかった自分のこだわりを大切にキャラで、物語のいいアクセントになりそうですね。
オルクセン王国史4 (サーガフォレスト)
一丸となりエルフたちとの戦いに身を投じる魔種族連合オルクセン軍。そしてついにオーク族たちとの戦い方を確立し、エルフィンド軍最強と名高いマルリアン大将がオルクセン軍の前に立ちはだかる第4弾。先の戦いで王国の先王を討ったマルリアン大将。可憐な見た目とは裏腹に老練で、近代戦への転換期に籠城を選択した彼女が直面する、彼我の砲撃の有効射程の差、圧倒的な命中精度や破壊力、もたらされる甚大な被害。激変する戦いに愕然としながらも、できることを考えて打った遅滞戦術は流石でしたけど、時間稼ぎはできても状況的に和平交渉も望めない状況の上に、イレギュラーな事態に直面してもしっかり対応してくるオルクセン軍は難敵で、絶望的な戦いの果てにどんな結末が待っているのか…むしろどこまでやるのか気になるところです。
魔女姫クレアは人形と踊る2 (サーガフォレスト)
大樹海で発見された遺跡調査から一夜が明け、薬草採取の依頼を受け森へ向かった黒き魔女の弟子で見習い魔女クレアと仲間たち。そこで帝国の工作員に襲撃される第2弾。師匠のロナによってトーランド辺境伯に引き合わされ、グライフによって明かされる中で自身の背景を知ってゆくクレア。そして襲撃してきた帝国の工作員に仲間たちと立ち向かう中、不意を突かれてクレアたちも工作員と一緒に大樹海深部にいる危険な領域主のもとへと飛ばされてしまう展開で、陥った窮地は師であるロナが長らく抱えていた因縁にも繋がっていて、諦めたくないクレアの想いも力に変えて乗り越えた決着があって、帝国は未だ諦めていないようですが、過去を乗り越えて新たな一歩を踏み出したクレアたちの今後が楽しみです。