今回は11月MF文庫J・ダッシュエックス文庫・MFブックスの新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jの新作1点、続巻3点、ダッシュエックス文庫の続巻2点、MFブックス新作1点の計7点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
堕天使陛下の仰せのままに え?俺が黙示録戦争を終わらせるんですか? (MF文庫J)
堕天使陛下の仰せのままに え?俺が黙示録戦争を終わらせるんですか?(1)
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西 条陽/らう KADOKAWA 2024年11月25日
高校をサボって街の小さな便利屋『英国屋』でバイトする班目真一。自称『陛下』で店主のエリさんと天使と悪魔の戦いに巻き込まれてゆくバトルファンタジー。不死者で時には『命令』で真一の身体を操る陛下と共に、後輩の女の子が無くしたキーホルダー探しをしていたはずが、いつの間にか都庁爆破で指名手配された挙げ句、天使と悪魔の『聖杯』争奪戦に巻き込まれてゆく真一。彼を中務省に入れようとする白川隊長とバチバチやる陛下も楽しかったですけど、何より様々な思惑が入り乱れる中で構図も二転三転する中で、教えられた矜持を胸に、陛下のために熱く戦う真一カッコよかったですね。ストーリーもテンポが良くキャラも立っていましたし、このコンビのこれからが楽しみです。
カルネアデス 3.空白の聖女と林檎の片割れ (MF文庫J)
カルネアデス 3.空白の聖女と林檎の片割れ(3)
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綾里 けいし/rurudo KADOKAWA 2024年11月25日
衝撃的な惨劇をもたらした吸血鬼殺人事件により、大いに荒れる五種族の関係。そんな中『魔王』の城へ向かった『聖女』ジェーン・ドゥが失踪する事件が起こる第3弾。聖女だけでなく、さらに五種族の代表全員も同じく姿を消してしまったことが明らかになり、ジェーン・ドゥの従者リリスと捜査を開始するエルとイヴ。しかし信じるべきものを見失い衆愚と化した人々が扇動されたことで、天使警察本部が襲撃され、裏切られた2人もまた窮地に陥っていく展開で、そんな中でもエルとイヴの揺るぎない絆があって、愚直なまでに相手を想うゆえの真意と向き合った末の結末は何とも切なかったですけど、ここからまた物語も大きく動きそうな今後の展開が気になりますね。
経学少女伝2 ~試験地獄の男装令嬢~ (MF文庫J)
性別バレをギリギリ回避して院試を通過した雪蓮と梨玉。遂に独房のような試験会場に放り込まれ、約2週間問題を解く『郷試』に挑む第2弾。皇帝の右腕として辣腕を振るい、今回臨時の試験官として現れた皇帝の妹・夏琳英に激励されて喜ぶ梨玉。しかし彼女は雪蓮の父殺害にも加担した一筋縄ではいかない人物で、一方、試験会場の外では「黄皇党」と呼ばれるテロ集団が蠢く混沌とした状況。試験官の思惑に振り回される試験が続く中で、真っ直ぐで素直な梨玉が利用され巻き込まれてゆく展開でしたけど、窮地を打開するために裏で手を回した雪蓮の判断は果たして良かったのか。今回の結末を受けてこれから梨玉と雪蓮の関係がどうなるのかも気になるところです…。
神は遊戯に飢えている。9 (MF文庫J)
「神の切り札」天使長フレイヤとの戦いを制し、前人未踏の「神々の遊び」9勝目を飾ったフェイたち。究極のすごろくを舞台に人間と神との最大の攻防が繰り広げられる第9弾。10勝を目指す戦いで対戦する、世界最強の使徒で半神でもある少女ヘレネイア率いる『すべての魂の集いし聖座』。神側が優位なルールの中でこれまで以上に厳しい戦いを強いられて、何度も窮地に追い詰められながら、それでも相手の思惑を読み合うギリギリの駆け引きを繰り広げるなかなか熱い展開で、ずっとフェイが探し求め続けていた過去の真相もまた明らかになっていきましたけど、前人未到の偉業に挑みながらゲームを楽しみたいという本質が最後まで変わらなかったフェイたちのありようが、とてもいきいきとしていて印象的な物語でしたね。
タメ口後輩ギャルが懐いたら、さすがに可愛すぎる 2 (ダッシュエックス文庫)
トラブルから助けたことをきっかけに、美少女後輩ギャル・大庭萌仲と仲良くなった正近。生徒会執行部の本格始動が近づく中、萌仲の役員入りをかけた生徒会試験が行われる第2弾。初詣で萌仲の願いをうっかり聞いてしまい、翻って自らの気持ちに悩む政近。一方で彼を取材したり、ライブハウスでバイトをしたりと直向きに課題に挑む萌仲。彼女とのバレンタイン家デートもいい感じだったからこそ、前生徒会長の暗躍が引き起こした思わぬ展開には正直なんだかな…とも思いましたけど、結果的に見れば抱えていたわだかまりがなくなったりもして、果たしてどこまで意図通りだったのか…それによって雨降って地固まった感もありますし、自分なりに筋を通した結末は彼らしいなと思えてなかなか良かったです。
地味なおじさん、実は英雄でした。2 (ダッシュエックス文庫)
三河 ごーすと/瑞色 来夏 集英社 2024年11月25日頃
姪っ子の光莉がダンジョンでの無双を配信して大バズリした平凡な中年サラリーマンの佐藤蛍太。勤め先の業績が悪化して、大手配信事務所DOOMプロに営業をかける第2弾。高圧的に枕営業を持ちかける相手から後輩の鵜飼を守る一方、電車では女性が否定しているのに強引に痴漢の冤罪をかけられてしまう蛍太。そんなストレスで魔物をカッ飛ばすべく淫魔宮へと繰り出した蛍太が、国民的歌姫と出会っている様子をヒカリが配信していてさらにバズってしまう展開で、その窮地を救うことで後輩を含めたヒロインたちから慕われているのに、本人にその自覚がほとんどないのがまた何ともあれですね(苦笑)さらに絆が深まりそうなヒロインたちとの過去エピソードも気になるところです。
精霊つきの宝石商1 特別なエメラルド (MFブックス)
20代にして過労死した会社員エマ。5歳の姿に若返り異世界で目が覚めた彼女が、見知らぬ街の中で宝石商の夫婦に見出され成長してゆく、精霊に愛された宝石商と美しい宝石たちの物語。見知らぬ街の中で妹も交えた温かな家庭に恵まれて成長し、宝石店の2号店も任されるまでになったエマ。時には周囲の人々の恋愛模様も絡めながら、彼女のお店を訪れるお店を訪れる妹の求めるノンオイルエメラルドを探しに来た美形伯爵フェリシアンや、常連の伯爵令嬢が求める婚約者のための指輪、第三王女殿下の猫への首輪など、お客様とのやりとりの中から、本当に求めているものを見出して、その要望に応える宝石を用意してゆくエピソードも良かったですし、未だ自覚に乏しい彼女を巡る人間模様にもこれから期待したいですね。