今回は1月のガガガ文庫・GCN文庫・富士見ファンタジア文庫・ガガガブックスf・集英社オレンジ文庫新刊感想まとめです。内訳はガガガ文庫が続刊1点、GCN文庫が続刊1点、富士見ファンタジア文庫が新作3点、続刊1点、電撃の新文芸の新作1点、新創刊のガガガブックスfの新作が1点、集英社オレンジ文庫の新作が1点、続刊が3点の計12点になります。気になる作品があったらこの機会にぜひ読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
弱キャラ友崎くん Lv.11 (ガガガ文庫)
楽しかったはずが、思いがけない形で終わってしまった大阪旅行。喜んでもらえると思ったのにまさかの反応に直面した友崎たちは、葵とほとんど話せないまま3年生への進級を迎える第十一弾。仲間たちが文系理系に分かれる中で、ひとり特進クラスとなった葵。そして思ってもみなかった状況が続く中で、覚悟を決めて葵の家を訪れた出会った友崎が出会った意外な人物。今回は今の葵が形作られるまでの過去が深く掘り下げられていて、けれど友崎だけでは翻意させるのは難しい状況でしたけど、自らもいろいろ悩みながら目をそらさずに向き合った、菊池さんの業とも言うべき洞察力がもうひとつのポイントになっていて、二人だけでなく友人たちの力も借りて総力戦でラスボス攻略に挑むこれからの展開が改めて楽しみになってきました。
モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件 2 (GCN文庫)
大国ドルセン撃破の熱狂が冷めやらぬファルーン王国。そこにドルセンが誇る五天位の一人「狂乱の皇女」カーミラが単身乗り込んでくる第二弾。あっさり捕まったカーミラに可能性を感じたヤマトは鍛えたいと言い、ガマラスは国の利益を考えて娶るべきと提案。そこから勃発する正妃の座をかけたカーミラとフラウの勝負、ファルーンのあまりに過酷な環境で性格が矯正されてゆくカーミラの提案による、新たな妃を増やすための武闘会。そこでまさかの師匠参戦には思わず笑ってしまいましたが、ちょうど良かったのかなと思いましたし、政変が起きたドルセンも必然の結末で、王国の脅威に対する動きもありますけど、王の意志を勘違いする部下たちがまた暴走しそうですよね(苦笑)
最後の英雄に捧ぐ花嫁学園 (富士見ファンタジア文庫)
最後の英雄に捧ぐ花嫁学園 時を超えし魔法使い、次代の姫と絆を結びハーレムを築く
posted with ヨメレバ
御鷹 穂積/Genyaky KADOKAWA 2024年01月19日
世界に平和をもたらしたものの、あまりにも強くなり過ぎて退屈していた最後の英雄アレク。未来に期待して眠りについた彼が約三百年後再び目覚めて、自身の伴侶を育成する花嫁学園に入学する学園ファンタジー。未だ恋愛が分からないまま、かつての仲間エステルが建てた学園に入学するアレク。英雄の伴侶育成が形骸化しつつあった学園で出会う、典型的ツンデレのヴェルや、優等生のサラ、食いしん坊のアウラ、故郷を救った英雄として慕うレイヤ、英雄に憧れてこじらせていた教師メーヴィスといったヒロインたち。最初はアレク本人なのか疑われながらも、三百年の進化に感心しつつもしっかりと適応してみせて実力を示し、彼女たちともしっかり向き合って寄り添う彼の姿は誠実で、ヒロインたちとの関係がこれからどう変わるのか今後が楽しみなシリーズです。
ラスボス討伐後に始める二周目冒険者ライフ (富士見ファンタジア文庫)
朱月十話/ファルまろ KADOKAWA 2024年01月19日
レベル99の盗賊として仲間と魔竜を討伐し、死の呪いを引き受け命を落としたマイト。女神の祝福で生き返り、希望によりレベル1の賢者としてはじまりの街へ帰還するやりなおしファンタジー。はじまりの街で出会った新米冒険者の剣士リスティ、聖騎士プラチナ、薬師ナナセの3人がギルドに持ち込んだ開けられない宝箱を開き、さらに彼女たちの荷物を狙った盗賊たちを撃退したことで彼女たちに懐かれるマイト。彼は見た目はレベル1の賢者でも、その身体能力は前世を引き継いでいて、明らかになってゆく鍵の魔法には様々な可能性があって、それを上手く駆使しながら、リスティたちと村を襲う謎の現象や、レベルの違う魔族との戦いに挑んでいく展開はなかなか良かったですね。事情を抱えるヒロインたちとの関係の変化にも期待です。
極剣のスラッシュ ~初級スキル極めたら、いつの間にか迷宮都市最強になってたんだが~ (ファンタジア文庫)
極剣のスラッシュ ~初級スキル極めたら、いつの間にか迷宮都市最強になってたんだが~(1)
posted with ヨメレバ
天然水珈琲/灯 KADOKAWA 2024年01月19日
初級スキルしか習得できず、パーティーを追放された剣士アーロン。馬鹿にされている初級スキルスラッシュを極め無双する迷宮ソードファンタジー。追放されてからソロでひたすら初級スキルを積み重ねた末に大災厄を剣一本で鎮めてみせ、フィオナの自称師匠を名乗りつつ、自覚もないまま正体不明の英雄・極剣として噂になるまでに成長したアーロン。そんな彼の力を見込んだ封神四家の一人・エヴァからの依頼で神骸迷宮踏破に参加する展開で、最初は実力を疑っていた最上級探索者たちを黙らせてしまう規格外の力は流石に圧巻でしたね。不穏な動きもあったりで、今後の展開が気になる新シリーズです。
最強ランキングがある異世界に生徒たちと集団転移した高校教師の俺、モブから剣聖へと成り上がる2 (富士見ファンタジア文庫)
最強ランキングがある異世界に生徒たちと集団転移した高校教師の俺、モブから剣聖へと成り上がる2
posted with ヨメレバ
逆霧/東西 KADOKAWA 2024年01月19日
最強ランキングがある異世界で、教え子の君島と死地から生還した重人。期せずして上位二桁に入り、天位の称号を得たことで狙われ始める第二弾。共に窮地を乗り越えた君島からは一段と好意を向けられるようになり、再会した桜木たちも加えて始まった新たな日常。生徒と一緒に所属先を検討しながら、重人は出会った謎多き強者レグレスと階梯上げに励むことになり、彼不在の状況で天位の置き換わりを狙う様々な思惑に巻き込まてゆく君島たち。こるべくして起きた事態でしたけど、その手前でレグレスと出会えたことはやはり大きかったですね。実力的にもひとつの壁を乗り越えて、危機に陥っていた生徒たちのために駆けつけて、見事守り切ってみせた重人がなかなかカッコよかったです。
派遣侍女リディは平穏な職場で働きたい (電撃の新文芸)
琴乃葉/朝日川 日和 KADOKAWA 2024年01月17日頃
街の派遣所から王城の給仕係として派遣された没落した元男爵令嬢のリディ。しかしある日、隠していた語学力を外交官のレオンハルト侯爵に見抜かれてしまい、彼の仕事を手伝うお仕事謎解きラブストーリー。お給金ぶんはきちんと働くが地味で目立たずほどほどにが信条の彼女が、追加の報酬に惹かれて直接雇用で彼の仕事を手伝う展開で、同僚からの嫉妬や様々なトラブルに巻き込まれてゆく一方で、それを切り抜けるリディ自身の才覚だったり、ピンチのたびに助けてくれるレオンハルトの存在があって、彼女自身の過去も明らかにされる中、わかりやすく彼女を意識してゆくレオンハルトとは意外な繋がりもありましたけど、これから変わっていきそうな二人の関係と今後の展開が楽しみですね。
義娘が悪役令嬢として破滅することを知ったので、めちゃくちゃ愛します (ガガガブックスf)
義娘が悪役令嬢として破滅することを知ったので、めちゃくちゃ愛します
posted with ヨメレバ
shiryu/藤村 ゆかこ 小学館 2024年01月18日頃
アランを愛さないという契約で公爵家のアランに嫁いだソフィーア。大人になった義娘レベッカが断罪される予知夢を見た彼女が、未来を変えるべく奮闘する家族ファンタジー。契約結婚をして無難な日々を送っていたソフィーアが、愛を受けずに育ちながらも公爵家に引き取られて健気に頑張るレベッカを溺愛して、レベッカもまた彼女に懐いて愛らしい天使のような表情を見せるようになり、アランもまたそんな二人の様子を見て少しずつ三人の関係が変わっていく展開で、ソフィーア、アラン、レベッカは環境は違えども、それぞれ家族の愛を知らずに育ってきた経緯が明らかになっていって、最初は偽物家族でしかなかった愛を知らない三人が、お互いを大切に思う本物の家族になってゆく素敵な物語になっていました。
愚痴聞き地蔵、カンパニーのお家騒動に巻き込まれる。 (集英社オレンジ文庫)
地味で平凡なところを買われ、大手化粧品メーカー最川堂の総務部に配属された朝井詩央。社長直々に呼び出された彼女が、存在感のなさと聞き上手を買われて密命を下されるお仕事小説。業務の合間に社員の愚痴を聞いて『愚痴聞き地蔵』呼ばれる彼女が、社長から下された「次期社長候補3名の調査をせよ」という密命。隠密とも呼べないレベルの調査で明らかになる、それぞれが有能だけど癖の強い候補者たち。さらに不穏な動きから彼女もまたお家騒動に巻き込まれてゆく展開で、そんな中でも詩央は要所でいい仕事をしていて、地味なりに彼女が社内で評価される理由が分かるような気がしました。でも社長がそんな詩央の存在を知った意外な経緯には思わず笑ってしまいましたね。
神招きの庭 9 ものを申して花は咲く (集英社オレンジ文庫)
消えてしまった人としての二藍。その後に降り立った記神から、半年後号令神と化した二藍が滅国の神命を下しに訪れると告げられる第九弾。しかしそれでも大君の妃宮・鮎名が兜坂国は滅びないと確信を持って言い切った理由。兜坂国の滅国を避けるために策を遺していた二藍。そして運命に否を突きつける役割を託され、神に刃向かうために物申としての力を取り戻そうとする綾芽。もちろん彼女だけでなく、斎庭や八杷島の面々も協力する文字通り総力戦と言える展開で、何度も絶望を突きつけられながら、それでも最後までお互いを信じ続けた二人が手繰り寄せてみせたその結末はなかなか良かったですね。
後宮史華伝 すべて夢の如し (集英社オレンジ文庫)
シリーズ本編では語られることのなかった、大凱帝国の後宮に生きる皇族や美姫、宦官たちの秘されたエピソードを収録する『後宮史華伝』シリーズ短編集。『後宮染華伝』『後宮戯華伝』『後宮茶華伝』などの、WEBマガジンや公式HP、購入者特典などで描かれた、それそれの作品の登場人物たちの前日譚や後日譚を描いた短編者SSに、書下ろしを三編加えた全十五のエピソードを掲載する構成になっていて、もともと登場人物がかなり多いシリーズでしたけど、本編で描ききれなかった主人公たち以外の関係についても、ひとつひとつ丁寧に掘り下げて描かれた興味深いエピソードになっていました。
双蛇の落胤 濫国公主月隠抄 (集英社オレンジ文庫)
次期族長として育てられた草原の民・アルタナ族長の息子スレン。干陀羅の草原侵略に備えるべく、再び濫と協定を結ぶ使者として濫を訪れる第二弾。草原西方の氏族・ドルガが西の大国・干陀羅によって占領されたとの報から、濫国と草原双方の血を引く特殊な出自を持つスレンが使者として濫国を訪れ、そこで運命的な出会いを果たすことになった、かつて深く信仰されていた双蛇神を廃した『双蛇嫌い』の父帝に反発を抱く光藍とその妹・白月。加えて各国の思惑に巻き込まれてゆくスレン自身もまた、その出自からこれからどうするのか選択を迫られそうで、物語としても大きく動きそうな今後の展開が楽しみです。
冥府の花嫁 2 地獄の沙汰も嫁次第 (集英社オレンジ文庫)
閻魔王・天鴦の花嫁候補という名目で王宮の下女として働くことになった翠。別人に成り代わって冥官勤めをしている瑞月と再会を果たす第二弾。亡くなった鬼族の息子に成り代わって冥官として働く一方で、日夜暗躍していた消息不明の弟・瑞月のことを探していた翠。一方で密かに天鴦のもとに忍び込んで彼のことを試し、結家の真相を語って翠に対する想いと覚悟を問う瑞月。そんな彼が遠く離れた五道転輪州で勾留されたと知って、冤罪を晴らすために奔走する翠の姿や、そんな彼女を守ろうとする瑞月の覚悟に、お互いを思う強い姉弟の絆を感じましたね。天鴦と翠の関係は転機を迎えつつあるものの、改めて今後に向けた前途多難な状況を予感させました…。