今回は3月MF文庫J・新文芸新刊感想まとめです。内訳はMF文庫Jの続巻3点、新作2点、新文芸の新作1点の計6点です。どれも面白いので気になる作品があったらぜひこの機会に読んでみて下さい。
※紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
ぼくたちのリメイク12 「おかえりなさい」 (MF文庫J)
ぼくたちのリメイク12 「おかえりなさい」
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木緒 なち/えれっと KADOKAWA 2023年03月25日
あの「やり直し」の始まりから十年が経ち、再び辿り着いた十年後の未来。厳しい現実に直面して、別の生き方も知った橋場恭也が、一度は離れた創作の世界に戻ってくる第十二弾。過去最大の壁に対して、再結集したチームきたやま渾身の企画を通すために挑んだ茉平社長へのゲーム企画のプレゼン。それによってもたらされた夢のような変化と、だからこそ突きつけられる現実に恭也が下した決断。最後までそう簡単には上手くいかないところがこの物語らしくて苦笑いでしたけど、それでも焦らずひとつひとつ必要なことを積み上げて、多くの人たちの心を揺さぶって慕われるようになって、紆余曲折を積み重ねた末に辿り着いたこの結末を読めて本当に良かったです。
聖剣学院の魔剣使い12 (MF文庫J)
聖剣学院の魔剣使い12
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志瑞祐/遠坂 あさぎ KADOKAWA 2023年03月25日
魔剣計画を進めるフィレットの魔手に囚われたエルフィーネ。闇に堕ちて虚無の裂け目に消えてしまった彼女を救うため、そしてもう一人の不死者の魔王との決戦に備えて、レオニスはある決意をする第十二弾。六英雄の龍神を倒したレオニスの前に現れる獣王、聖剣学院にも竜王と海王が押しかける中、エルフィーネを救うための手段を模索するリーセリアたち。第〇四戦術都市での決戦に向けて、動き出した物語の構図も少し変わってきましたけど、魅力的なキャラたちそれぞれのエピソードを上手く絡めながら、成長するヒロインたちそれぞれにきちんとらしい見せ場も作って、期待に応えてくれる抜群の安定感は今回も健在でした。安心して楽しめるシリーズで続巻も期待してます。
未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。2 (MF文庫J)
未来から来た花嫁の姫城さんが、また愛の告白をしてとおねだりしてきます。2
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ニャンコの穴/ミュシャ KADOKAWA 2023年03月25日
未来からやってきて冬花との関係に関与した、トウカさんのもう一つの目的。病に倒れた姉・夏美に対する悔恨を解消すべく、白馬にもう一度協力を依頼する第二弾。夏美と再会したトウカと夏美の家族に対する想い。幼馴染や冬花の妹・春音と一緒にプールやゲームセンターで遊ぶ二人の微笑ましいひとときもありましたけど、二人に協力する覚悟を決めてその想いを託され、過去を変えても避けられない現実に直面した時、自分に何ができるのかを懸命に考える白馬。なかなか難しい役目でしたけど、冬花たちの想いをきちんと受け止めて寄り添い、一緒に乗り越えた王子はカッコよかったですね。時には喧嘩しながらもお互いにかけがえのない存在になってゆく二人の関係がとても素敵な物語でした。
記憶喪失の俺には、三人カノジョがいるらしい (MF文庫J)
記憶喪失の俺には、三人カノジョがいるらしい(1)
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御宮 ゆう/たん旦 KADOKAWA 2023年03月25日
事故にあって、記憶を失った目覚めたらなぜか彼女が三人もいた高校生の真田勇紀。それでも一切過去の記憶がない、とんでもない不安の中で学校生活が始まる青春小説。勇紀の彼女だと主張する、家のお世話担当の幼馴染・湊明日香、同じクラスのカリスマモデル・有栖川紗季、そして勇紀のことを推す小動物系オタク後輩・笛乃ひな。三者三様の魅力ある彼女たちと、徐々に浮き彫りになる学校内の構図。未だ過去を思い出せない状況で彼女たちの事情に振り回されながらも、その苦境を放っておけず我が身を省みずに奔走する勇紀の真摯な姿勢がいいですね。今のところ謎めいた言動も多い紗季の様子が気になるところですが、三人との関係も絡めてどうやって物語を動かしてゆくのか、これからの展開がとても楽しみです。
僕らの春は稲妻のように (MF文庫J)
僕らの春は稲妻のように(1)
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鏡 遊/藤真 拓哉 KADOKAWA 2023年03月25日
名家の父親から庶子として認知され、母親と一緒に高層マンションに引っ越しして、私立中学に転入した灰瀬譲。そんな彼と出会って即プロポーズしてきた、ちょっと変わり者の許嫁・白河白亜との激動の日々を描く青春小説。中学生離れしたスタイルで可愛い名家の長女・白亜が正式な許嫁となり、一緒に学校をサボったり、譲の母親に会って気に入られ、彼女の両親にも挨拶したりと、事態は猛スピードで目まぐるしく進むのに、時折垣間見せる表情や不可解な出来事から、実は白亜のことをほとんど知らないことに気づく譲。彼女を巡る事情が明らかになってゆく中で、これまで見えていた構図も意味合いをガラリと変えて、二人でこれから未来にどう向き合うのか。著者さんの近著とはだいぶアプローチを変えてきたこともあって、今後の展開が気になるシリーズですね。
狐と戦車と黄金と1 傭兵少女は赤字から逃げ出したい!
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柳内 たくみ/叶世 べんち KADOKAWA 2023年03月25日
時には戦車傭兵や交易で金を稼ぎながら、戦車で旅するフォクシーと仲間たち。そんな彼女たちが訪れた街で、商売敵に誘拐されかけていた令嬢のレオナを偶然助けるマネー×ミリタリーファンタジー。発掘された戦車を運用する傭兵同士の戦いでは、フォクシーたちの乗る74式戦車が大活躍。しかし一方で金食い虫で希少な戦車の部品調達や維持に四苦八苦する戦車傭兵たちの姿も描かれていて、武力では敵わない戦車傭兵団にカネで復讐することを決意し、盤外ではフォクシーたちの協力も仰ぎながら、商品取引所でマネーバトルを仕掛けたレオナの覚悟は圧巻でしたけど、同時に戦車傭兵たちの悲哀を感じる結末でもありました。とはいえそんなレオナも仲間に加わってこれからどんな旅となってゆくのか、今後の展開がとても楽しみです。