今回は1月MF文庫J・オーバーラップ文庫・角川文庫新刊感想まとめです。
内訳はMF文庫Jの新作3点、続巻2点、オーバーラップ文庫の新作3点、続巻1点、角川文庫の新作1点です。気になる作品があったらぜひ読んでみて下さい。
※下記紹介作品のタイトルリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
ステラ・ステップ (MF文庫J)
隕石により荒廃し、国家間の戦争の手段として「アイドル」が戦うことを強いられる近未来。技術を追求し続けて感情を失いかけていた最強のアイドル・レインが、感情豊かに歌う少女ハナと出会う愛と絆の物語。無敗記録を続けるアイドルとして国民からは崇められながら、プロデューサーから活動停止を宣告された理由。愛されるアイドルを目指すハナとの出会いをきっかけに知ってゆく、勝てないアイドルの非情な現実、少しずつ取り戻してゆく感情。しかし彼女自身に心境の変化があったからといっても、事態がそう簡単に好転するわけでもなくて、状況が変わる中で衝撃の事実も突きつけられて、なかなか難しい状況になってきましたけど、どうやって未来を変えてゆくのか、これからの展開が楽しみになってきました。
死亡遊戯で飯を食う。2 (MF文庫J)
鵜飼 有志/ねこめたる KADOKAWA 2023年01月25日
伝説のゲーム・キャンドルウッズをクリアしてから三ヶ月。ようやくプレイヤーとして復帰した幽鬼が、足元の不安な廃ビルから脱出するゲーム・スクラップビルに挑む第二弾。高飛車なお嬢様のプレイヤー御城に困らされながらも何とかゲームを乗り切った幽鬼が、業界に不満を抱く者たちの接触や不調に悩みながら挑む業界の呪い「三十の壁」。毎回舞台も違い、ゲームクリアの条件も分からないまま始まるサバイバルを続けていれば、ライバルめいた存在も生まれてくるわけで、競い合い刺激を受けるような存在がいればこそ、ぶち当たる壁を乗り越えられるということなんですかね。まだまだ道のりは遠いですけど、彼女がどこまで行けるのか続巻に期待。
神は遊戯に飢えている。6 (MF文庫J)
細音 啓/智瀬 といろ KADOKAWA 2023年01月25日
巨神タイタンからチーム名『神々の遊戯を授かりし』を授けられたフェイたち。いまだ謎に包まれた世界最強チームにいるヘレネイアの真意を確かめるべく神秘法院本部を目指す第六弾。ミランダ事務長やウロボロスを引き連れて向かた先でフェイが再会した旧チームのリーダー・ケイオス先輩。彼の口から語られる世界最強チームの正体やヘレネイアの真意など、様々な事情が一気に明らかになって、ケイオス先輩との一騎打ちもギリギリの駆け引きの連続でなかなか熱かったですけど、そんな中でどこまでもマイペースなウロボロスちゃんは相変わらずでした(苦笑)でもまあ神様はみんな自分がやりたいように動いているので、この世界の神様はこんな感じなのかもしれないですね…。
さあっ候補生さま、“王霊討伐”の時間です (MF文庫J)
藤木 わしろ/にの子 KADOKAWA 2023年01月25日
異形の死者『悪霊』が蘇るようになった現代。特別な能力を生者に与える『善霊』から霊器を授けられた少女・穂羽天理が、『王霊』を討伐するための候補生に志願するファンタジー。悪霊による世界的な集団失踪事件で母を失った天理が出会った善霊リシアと殺し屋を名乗るハルト。曲者揃いの候補生たちと初めての異界攻略作戦に挑む展開で、誰が味方で敵なのか分からないまま疑心暗鬼になってゆく候補生たちの中で、関係者としての知識と卓越した洞察力で信頼を得てゆく天理はいい感じに存在感を見せていましたけど、物語の構図が見えてくる中で傍若無人な王霊にこれからどう対峙してゆくのか、今後の展開に期待したいと思います。
ゾンビ世界で俺は最強だけど、この子には勝てない (MF文庫J)
岩波零/TwinBox KADOKAWA 2023年01月25日
突如発生したゾンビパニック。人々が逃げ惑う中、ゾンビに噛まれてしまった高校生の幸坂優真。死の恐怖に怯える彼が、友達の妹・日向晴夏と数年ぶりに再会する極限状態ラブコメ。彼女に最期の思い出を作ってもらったはずが、ゾンビになったのになぜか自我を保ったままでいられることに気づいた優真。そこから行動を共にすることにした二人が、晴夏の高校の女子寮に転がり込む展開で、立てこもっていた生存者の女の子三人たちとの変化してゆく距離感もあったりで、晴夏がヤキモチを焼く展開は微笑ましかったですけど、そもそもなぜこのような事態に陥ってしまったのか、依然として先が見えない状況をこれからどう動かすのかも気になるところではあります。
スペル&ライフズ 1 (オーバーラップ文庫)
十利ハレ/たらこMAX オーバーラップ 2023年01月23日
魔法と召喚獣を顕現させる異能のカード『スペル&ライフズ』を操る力に覚醒した少年・桐谷駿が、全プレイヤーが集う人工島・色藤島で姉を探す少女・萌葱咲奈と出会うファンタジー。生き別れた妹を探している駿が、恋人を自称する少女・ミラティアとともにその調査に協力する展開で、ルールと手持ちのカードを駆使しての駆け引きが熱いバトルを繰り広げながら、異能の力に魅入られた存在の意志と思惑に繋がってゆく中で見せる、駿の隠されていた異能とミラティアとの絆がなかなか良かったですね。仲間も増えてこれからが楽しみになる結末には、今後に向けた確かな期待感がありました。
落ちこぼれから始める白銀の英雄譚 1 (オーバーラップ文庫)
鴨山兄助/刀 彼方 オーバーラップ 2023年01月23日
魔獣と契約して変身する操獣者が平和を守る世界。魔獣と契約できずトラッシュと蔑まれるレイが、それでもヒーローだった父親の背中を追いかける英雄譚。操獣者の魔武具整備士として日々を過ごすレイを、チームにスカウトする新進気鋭の操獣者フレイア。苦い過去から逡巡するレイが、大量発生した食獣魔法植物ボーツに遭遇して共闘する展開で、浮かび上がるレイに対する周囲の複雑な感情、一方で頑張ってきた彼を見守ってきた人たちもいて、因縁の地での絶望的な戦いに挑む中でも最後まで諦めず、見事過去を乗り越えてみせたその結末は心を熱くさせるものがありました。
かみつら 1 (オーバーラップ文庫)
北条新九郎/トーチケイスケ オーバーラップ 2023年01月23日
高校生の志郎が紀行作家の父親に連れられて引っ越してきた太平洋の孤島「神面島」。未婚の女性は仮面を着けて暮らさねばならないその島で、島の当主の孫娘・真璃の素顔を見てしまう青春小説。伴侶となる者以外の男性に素顔を見せてはいけないしきたりが残る神面島で、うっかり掟を破ってしまい秘密を共有することになった二人。さらにそして島の外に憧れる魅力的な真璃の従姉・直のアプローチによって彼女の素顔も見てしまい、島の禁忌を犯しながらの三角関係に心揺れる展開でしたけど、彼女たちの真摯な想いにそれぞれ向き合った志郎の結論がそれか!と思わず笑ってしまいましたが、ここから物語をどう動かしてゆくのか今後の展開が楽しみな新シリーズですね。
負けヒロインと俺が付き合っていると周りから勘違いされ、幼馴染みと修羅場になった 2 (オーバーラップ文庫)
ネコクロ/piyopoyo オーバーラップ 2023年01月23日
校内二大美少女の一人でありながら負けヒロインになった秋実真凛と幼馴染の根本佳純。彼女たちの恋の戦争に葉桜陽が巻き込まれてゆく第二弾。前回の後始末をしながら、今後の方向性を模索する中で、真凛から突然名前で呼ばせてほしいとねだられるようになって、さらに疎遠だったはずの佳純から甘やかすことを要求される陽。真凛、佳純と動画撮影をするために遠出をする中で、手を変え品を変えて甘えようとする佳純と対抗する真凛という構図は、今後ますますヒートアップしそうな予感しかしなくて、それを凪沙がさらにかき回してくるので、一人振り回される陽は大変そうですけど強く生きて欲しいと思いました(苦笑)
華は天命を診る 莉国後宮女医伝 (角川文庫)
小田 菜摘/Minoru KADOKAWA 2023年01月24日頃
女子太医学校を首席で卒業し、市井の医療院で研修する新人医官・李翠珠。医学的知識で根拠に薬店店主を救ったことをきっかけに、後宮への配置換えを命ぜられる中華医療ミステリ。彼女の医療に対する真摯な姿勢や医学知識を評価され、実直な若き官吏・鄭夕宵とともに、河嬪の殿舎から見つかった堕胎薬、発熱を繰り返す御史大夫、呂貴妃が体調を崩した原因など、後宮や周辺で次々と起きる医療絡みの事件解決に挑む展開で、姉弟子や周囲とも相談しながら過去の因縁も絡むそれらの真相を解き明かしてみせた読後感は悪くなかったです。最初は実家の医院を継ぐつもりだったはずの彼女が、これからどんな生き方を選ぶのか、今後に期待の新シリーズですね。
「探偵はもう、死んでいる。8」(MF文庫J)はそのうち読みます。