【Kindle30%オフ】小学館 2022年夏 ぴっかぴか小デジ! 感謝祭 (6/30まで)
2022年夏「ぴっかぴか小デジ!感謝祭」としてKindle/BOOK☆WALKERなどで小学館の文芸・小説、実用、新書、画集、写真集、一部ライトノベルジャンルのテキスト作品8000点以上が30%OFF、BOOK☆WALKERではさらにコイン+30%還元となっています。今回は対象の中からおすすめの文庫・単行本をセレクトしました。
気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。
※各作品タイトルのリンクはBookWalkerページに飛びます。
大阪マダム(小学館文庫キャラブン!)
大阪マダム、後宮妃になる!
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田井 ノエル/カズアキ 小学館 2020年09月08日
大阪で生まれ育ったコテコテのアラサー大阪女子が、凰朔国一の豪商・鴻家の華やかな屋敷に住む令嬢・鴻蓮華に転生し、放り込まれた後宮でたくましく生きてゆく後宮コメディファンタジー。理想の男性はバースと公言する大阪マダムが転生した理由には笑ってしまいましたが、母・皇太后と対立する疑り深い皇帝の天明に協力し、蓮華をライバル視する妃嬪候補たちすら巻き込んで、後宮にタコパを流行らせたり妃嬪たちに野球を指導したり、やりたい放題なのに深刻な問題すら何とかしてしまう蓮華の慧眼や心意気、圧倒的なパワーがとても痛快な物語ですね。
派遣社員あすみの家計簿(小学館文庫キャラブン!)
派遣社員あすみの家計簿
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青木 祐子/uki 小学館 2019年11月06日
自称飲食店社長の恋人に騙され、正社員として勤めていた会社を寿退社してしまった藤本あすみ、28歳。彼が姿を消し高額なカードの支払いだけが残ったあすみが、親友に説教され、ルーズな生活を立て直すべく奮闘する物語。正社員の当たり前はかけがえのないものだった…買いたいものも買えず、派遣社員としてすらなかなか次が決まらず、日雇いで稼ぐ日々はしんどいものがありますよね。すっかり生き方が変わったように見えた彼女の相変わらずな一面も垣間見えましたけど、そんな憎めないあすみがいつか幸せになれればいいなと応援したくなりました。
蟲愛づる姫君(小学館文庫キャラブン!)
宮野美嘉 小学館 2019年06月06日頃
蠱毒をこよなく愛し周囲から「毒の姫」とあだ名される斎帝国の第十七皇女・李玲琳。そんな彼女が最愛の姉である斎国の女帝・彩蘭の指示で魁国の王・楊鍠牙のもとへ嫁ぐ物語。華やかな衣裳や宝石より蟲が大好きな著者さんらしい強烈なキャラクターですけど、嫁ぎ先もまた鍠牙が命を狙われたりいろいろ物騒なところで、彼女の特技を活かしてその存在を認められてゆく展開はいいですね。姉に劣らず鍠牙も少しばかり執着気味なのはアレですが、結果から見れば水が合ったと言うかいい居場所を見つけられたのかな。続巻あったらまた読んでみたいです。
王と后 (小学館文庫キャラブン!)
神話に由来する八つの家が支配する国「千和」。突然都を去った天羽家から王の后と巫女を兼ねた女子を迎えて祭祀に関わらせる慣例で、新王・一嶺鳴矢の后に天羽淡雪が選ばれる和風ファンタジー。関係が悪化して都に送り込まれる天羽の娘は人質同然に後宮で軟禁されることが多い中、覚悟を決めてやってきた淡雪に優しく、ちゃんとした夫婦になりたいという鳴矢。快く思わないものがいたり、様々なしがらみもありそうですけど、淡雪との秘めやかで温かい交流があって、彼女の危機にも颯爽と現れて救う鳴矢もなかなかカッコよくて、これは今後に期待せずにはいられない楽しみな新シリーズです。
廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史(小学館文庫キャラブン!)
廃妃は再び玉座に昇る 耀帝後宮異史
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はるおか りの 小学館 2020年07月07日
残虐非道な凶后の姪として政変で断罪され、天下万民の怨敵として刑場に引っ立てられた先帝の廃妃・劉美凰。死ねずに幽閉された血染めの廃妃が、十年ぶりに後宮に帰還する中華風ファンタジー。彼女の身に宿る奇しき力を必要とし、皇太后とした現皇帝・天凱。表向きは白き喪服をまとった皇太后として、裏では天凱と一緒に都で猛威をふるう鬼病の原因を突き止めるため、未だ怨憎が煮えたつ禁城に舞い戻った美凰の苦悩がまた壮絶で、二人の愛憎が入り交じる複雑な因縁があまりにも切なくて、そんな二人の行く末がとても気になる注目シリーズですね。
ようこそ紅葉坂萬年堂 (小学館文庫キャラブン!)
日々の生活に疲れ、働く意味を見失ってしまった綾瀬葵。ある日、紅葉の美しい坂の途中にある万年筆などのペンを専門に扱う「紅葉坂萬年堂」と出会い、働くことを志願するお仕事小説。無愛想だけれどペンの知識が豊富な宗方が語る万年筆の世界に魅せられた葵。最初は失敗しながらも真摯な宗方の姿勢に感化されて成長していく葵だったり、万年筆のこと以外では残念で不器用な宗方との関係も含めて王道の展開でしたけど、それ以上に万年筆への愛に溢れていて、自分でも万年筆を使ってみたくなる素敵な物語でした。続刊あったらまた読んでみたいですね。
殺した夫が帰ってきました (小学館文庫)
取引先の穂高にしつこく言い寄られて悩む都内アパレルメーカー勤務の鈴倉茉菜。家の前で待ち伏せされた彼女が、かつて崖から突き落とし殺したはずのDV夫・和希に助けられるサスペンスミステリ。衝撃的な再会から始まった二人の同居生活。記憶を失って優しい和希との平穏な日々。けれど茉菜の過去を示唆するメッセージは誰が送ってきたのか、そして和希の正体を探る展開でしたけど、そこから思ってもみなかった形に構図がガラリと書き換えられていって、いろいろあった彼女でしたけど、いつか幸せになれるといいなと願わずにはいられませんでした。
ウズタマ (小学館文庫)
シングルマザー紫織との結婚を控え、父から見たこともない謎の預金通帳を手渡された松宮周作。父はそのまま脳梗塞で倒れ昏睡状態となってしまい、そのお金を用意した人物を探し始める物語。親戚付き合いもなく知人も少ない父の謎に包まれた過去。調べていくうちに知る25年前のある傷害致死事件の被害者だった母、そして加害者の当時18歳の少年。過去を探る周作は一方で結婚してやっていけるのか悩んでもいて、明かされてゆく真相は何とも切ないものでしたけど、それが過去や結婚に向き合うことにも繋がってゆく展開は心に響くものがありました。
ダンデライオン (小学館文庫)
ある日、病院で目覚めると大人の姿になっていた11歳の下野蓮司。20年の歳月が流れていたことに驚く彼に恋人と名乗る西園小春が姿を現す青春ミステリ。戸惑う蓮司に子ども時代と大人時代の一日が交換されたと説明する小春。一方、ある目的を達成するために、11歳の自分の体に送り込まれていた20年後の蓮司。入れ替わったからこそ成し遂げられた幸運、そして何とも運命的な出会いも絡めたパズルを組み合わせるような緊張感がありましたけど、皮肉な再会によって再び動き出した運命、最後までハラハラさせてくれる展開はなかなか良かったです。
跳べ、栄光のクワド (小学館文庫)
百年厨房碧野 圭 小学館 2022年02月04日
今回の大会はオリンピックの出場権がかかる、とても重要な試合・全日本フィギュア選手権。そんな大切な試合の直前に男子レジェンドスケーターが忽然と消えてしまうスポーツ小説。試合のジャッジ、アナウンサー、選手の身体をケアするトレーナー、母親、そして振付師。彼を見守ってきた人たちそれぞれの目線で語られる過去、今回の事件についての動機や考察、改めて浮き彫りになる彼のスケートに賭ける熱い想いがあって、そして「推し」をもつファンの目線も絡めながら描かれる真相と、その先にあったひとつの結末にはぐっと来るものがありましたね。
宇都宮市の元石材商旧家に暮らす公務員・石庭大輔。ある日、石庭家に明治の生まれで亡き祖父のもとで働いていた女性アヤが現れる家族ファンタジー。アヤがタイムしリップしてきたと騒ぐ友人の紫、さらに妹の忘れ形見・ルナを引き取ることになり、アヤや紫も巻き込んで始まる奇妙な同居生活。アヤが作り上げる壺飯、じんごろう焼き、源氏飯、チタケうどん、れもんミルク、ベーキャップルといった美味しい料理と、彼女たちと食卓を囲む楽しい日々に大輔の心境も変わっていって、時を超えて育まれてゆく絆と優しい結末にはぐっと来るものがありました。
十五歳になる年、裏山のクスノキで誓いを立てた俊介と幼馴染・一平と湯太郎。彼らと切磋琢磨しながら地図会社キョーリンの調査員として日本各地を歩き、家の表札を一軒ずつ書き留めてゆく地図づくりに生涯を捧げた男たちの熱き物語。住宅地図のゼンリンをモデルにしたストーリーのようで、何事も実地の手作業でやらなければなかった時代に、人海戦術も駆使しながら地道な取り組みで全国の住宅地図を作り上げてゆく熱い展開があって、そんな彼らの奮闘を支える人々もまた印象的で、三人の絆で危機を乗り越えてゆくとても爽やかな読後感の物語でした。
幼い頃に両親が離婚、育ててくれた祖母も失踪して児童養護施設で育った成美。小学校の先生が作ってくれた一杯のカレーライスに魅せられた彼女が、理想のカレーを追い求めるお仕事小説。調理師学校に入学して、一日三食カレーも辞さない文字通りカレーを追い求める日々。そんな彼女とカレー専門店「麝香猫」の運命の出会い。頼み込んでそこで働くようになった彼女が、さらにカレーにのめり込いんでいい時も悪い時も経験して、それでもカレーを食べてもらいたいと思う気持ちは本物なのかもですね。読んでいて自分もカレーが食べたくなりました(苦笑)
認知症を患う80歳の母・万津子を自宅介護しながら、スミダスポーツで働く泰介。万津子がテレビのオリンピック特集を見た時の意味深な呟きを聞き、知らなかった母の過去を調べ始める物語。選手として挫折し慣れない仕事をする中、介護で家族とギクシャクし、選手として注目される娘に複雑な想いを抱く泰介はあまりにも残念な存在でしたが、何も語らない母には過酷な過去を乗り越えた決意があって、これまで支えてくれた妻の存在があって、娘の勇気ある一言から泰介が新たな一歩を踏み出し、人生が変わってゆく展開にはぐっと来るものがありました。
宇山 佳佑 小学館 2022年03月14日頃
大学四年生の春、就職試験に全滅した葵日向が、友人から紹介された不思議なアルバイト。怪しいと思いつつも、彼はそこで出逢った依頼主・雫に一目惚れする物語。希望をなくしていた日向を変えた雫の存在。彼女に振り向いてもらいたいと新たな一歩を踏み出した日向が知ることになる雫の秘密。一年のうちたった一週間しか逢えない事実に動揺しながら、それでも不安を抱えるために彼女のために頑張って関係を積み重ねて、生きがいを見出すようになった日向が直面する運命はなかなか厳しいと感じましたけど、彼が雫にもたらしてくれた切なくもとても素敵な思いが最後まで印象的な物語でした。
白尾 悠 小学館 2022年04月05日頃
人生十色、生きづらさを抱え悩み傷つきながら、人生の黄昏で見出した小さな希望を、丁寧に描いてゆく温もり溢れる六つの連作短編集。同級生がいじめで自殺したことにショックを受ける少女が出った老人、解雇された40代独身女性の求職と婚活、定年男性が偶然再会した女性との因縁、老人の家を訪れる二人のマイノリティの生きづらさ、かつて女性の誰もが抱いていたつらさと葛藤、老人の心に去来する悔恨に満ちた人生。リア王を演じる素人劇団に関わる人々で繋がる巧みな構成の中に、垣間見える積み重ねてきた想いがあって、自分はそういったものにきちんと向き合えているのか、はっとさせれられる話が多かったですね。
年末の漫才日本一を決めるKOMで敗れ、今年ダメなら実家の生業を継ぐと公言していた相方とのコンビも解散となり絶望する加瀬凛太。何とかして漫才を続けたい凛太の前に、先輩KOM王者からある情報が寄せられるお笑い小説。来年決勝に残れなければ芸人を辞めることを条件に、死神の異名を取る謎の作家ラリーに教えを請う凛太。同様に師事するキングガン、放送作家を目指す梓、それぞれの視点で描かれてゆく葛藤やぶつかり合う姿はとても熱くて、それらが見事な形で繋がって、結実してゆく展開にはぐっと来るものがありましたね。面白かったです。
バンコクからの帰国子女で、日本の生活に馴染むことができないでいた高校1年生の漣。そんな彼女が高校の渡り廊下で見つけた先輩に一瞬で心囚われてしまう青春小説。目をそらせないと気づいてしまった、自分を助けてくれた先輩。どうしようもなく惹かれてゆく中で、好きになってはいけない相手であることに気づく漣。かけがえのない自分の居場所も家族への配慮も大切で、多くの人の話を聞きながらどうにかならないのかと必死に抗う漣の想いがとても切なくて、頭では分かっていてもどうにもならないことってあるよな…としみじみとしてしまいました。
新進気鋭の美人研究者水澤鞠華が発表したモテ薬。そのセンセーショナルな発表は再現性や論文の不備から捏造疑惑を糾弾されるようになり、そんな状況で指導教授の吉見が研究室で遺体として発見されるサイエンスミステリ。モテ薬は本当にあるのか、吉見教授の死の真相とは何か。科学誌の女性記者・田中の視点で、吉見のライバル教授、出入り業者、共同研究者や吉見の妻たちを取材する中で明らかにされてゆく、モテ薬と鞠華の壮絶な周辺事情。けれどそこから浮かび上がる鞠華自身はどこまでも真摯な研究者でしかなくて、意外な結末もまた印象的でした。
幼い頃に父親を亡くし、継母や義理の姉たちとともに暮らすシンデレラ。怪しい魔法使いに言葉巧みに王城の舞踏会へと誘われた彼女が、王子様殺しの容疑者とされてしまうファンタジーミステリ。ガラスの靴を返してもらおうとしたシンデレラが遭遇する、先ほどまで生きていたはずの王子様の死体。自身の無実を証明するためシンデレラがを探偵役として真犯人を探し出す展開でしたけど、テンポが良いストーリーは読みやすくて、思いもよらない新真実を明らかしてゆくシンデレラが導き出す事件の真相と、思ってもみなかった結末はなかなか面白かったです。