5/29(日)はサキイカスルメさん、しおりさんをスピーカーにお迎えして、Twitterで印象的なヒロインの作品紹介スペースを開催しました。ラノベ・ライト文芸・一般文庫などから印象的なヒロインが登場する作品を各自4作品紹介する形で、なかなか熱い紹介だったと思います。それを再現するのはさすがに厳しいので、簡単にではありますが今回の紹介作品をまとめています。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。※紹介している各作品タイトルのリンクは該当書籍のBookWalkerページに飛びます。
【サキイカスルメさんのセレクト】
サイレント・ウィッチ(カドカワBOOKS)
依空 まつり/藤実 なんな KADOKAWA 2021年06月10日頃
伝説の黒竜を一人で退けた若き英雄〈沈黙の魔女〉モニカ・エヴァレット。才能に無自覚なまま七賢人に選ばれてしまったモニカが、第二王子を護衛する極秘任務を押しつけられるファンタジー。冒頭カッコよく登場したのに、実は気弱で臆病でコミュ障なために無詠唱魔術を使えるようになっただけの数字オタク・モニカ。彼女があまりに可愛い小動物系主人公な感じでギャップ萌えしますが、仕事を押し付けたドSで愛妻家の同僚ルイス、彼女に興味津々の王子たちの生徒会に入ったりで、彼女自身これからどう変わってゆくのかとても楽しみなシリーズですね。
引き籠り錬金術師は引き籠れない(ドラゴンノベルス)
四つ目/azuタロウ KADOKAWA 2020年07月04日頃
楽するためにモノづくり……した筈が、どうしてやることが増えてくの!?腕はいいのに対人能力ゼロな引き籠り錬金術師セレス。ある日遂に家を追い出され、別大陸の田舎街へ辿り着く。そこで暮らし始めるのだが、作った薬は難病を癒し、戦えば魔獣を殲滅。気づけば街が賑わい、依頼も次々と増えていくことに。「私は引き籠りたいだけなのに……!!」これは隠遁生活を目指すも無自覚に仕事を増やす錬金術師の奮闘記である。
どうも、好きな人に惚れ薬を依頼された魔女です。(Mノベルスf)
六つ花えいこ/vient 双葉社 2019年10月18日頃
人間と離れてひっそりと暮らす湖の善き魔女・ロゼ。彼女が4年間秘かに片思いをしていた王宮騎士のハリージュから惚れ薬作成を依頼される物語。絶望的な依頼をきっかけに、これまで無自覚だった彼女の孤独な世界を広げ、かけがえのない存在となってゆくハリージュとの日々。彼の方も最初は放っておけない危なっかしいだけの存在だったはずが、いつの間にか自分だけが知っていると思っていた優越感を刺激され、臆病で優しい彼女を意識するようになってゆく姿がとても印象的で、そんな二人が紆余曲折の末に迎えた幸せな結末がとても素敵な物語でした。
宝石吐きのおんなのこ(ぽにきゃんBOOKS)
なみあと ポニーキャニオン 2015年05月03日頃
宝石店を営む店主スプートニクと宝石吐きの少女・クリューが、彼女の体質もあっていろいろ不思議な出来事に巻き込まれていく物語。クリューは奴隷のような毎日から自分を助けだしてくれたスプートニクを慕うものの、子供扱いされたり意地悪だったり、不用意な言動も多くてぷりぷりする毎日。でもそんな彼も彼女の危機には何を置いても最優先で奔走するんですよね。ちょっとしたやりとりに幸せを感じるクリューがとても可愛くて、恋人でも保護者でもないそんな二人のお互いを大切に思うほんわかした距離感や、物語の雰囲気がとてもいいと思いました。
【しおりさんのセレクト】
りゅうおうのおしごと!(GA文庫)
白鳥士郎/西遊棋 SBクリエイティブ 2015年09月14日頃
16歳で将棋界の最強タイトル『竜王』となった九頭竜八一の自宅に、小学三年生の雛鶴あいが弟子にしてもらうため押しかける物語。姉弟子の銀子とともに将棋漬けの生活を送ってきた八一と、驚異的な博覧強記と負けず嫌いな気持ちの強さで急速に成長していくあい。冒頭にインパクトのある師弟関係が描写されていた分、お互い刺激を受けて成長していく二人の関係がとても好ましく思えました。熱い想いを乗せた勝負もありとても面白かったですが、将棋を介して複雑に絡み合う八一とヒロインたちとの関係性にも期待のシリーズですね。
恋は双子で割り切れない(電撃文庫)
高村 資本/あるみっく KADOKAWA 2021年05月08日
お隣に住む双子美人姉妹と家族同然で育ってきた幼馴染・白崎純。初恋をこじらせる純に姉の琉実が発した一言が、彼らを複雑な三角関係へと導いていく初恋双子こじらせ系青春ラブコメ。見た目ボーイッシュで中身乙女なリア充スポーツ少女の姉・琉実と、対照的に見た目は可愛いけれど熱くて濃いオタトークができる妹・那織。対照的な双子美人姉妹は純の初恋相手と初めて付き合った相手で、彼を挟んでお互い強烈に意識せざるをえない存在で、ないものねだりでこじれにこじれた三角関係がこれからどうなるのか、注目しておきたいシリーズですね。
GOSICK -ゴシック(角川文庫)
前世紀初頭、ヨーロッパの小国ソヴュール。極東の島国から留学した久城一弥は、聖マルグリット学園の図書館塔で奇妙な美少女・ヴィクトリカと出会った。彼女の頭脳は学園の難事件を次々解決してゆくが、ある日ヴィクトリカと一弥は豪華客船に招待され、そこで本物の殺人事件に遭遇してしまう。やがて彼ら自身に危機が迫ったとき、ヴィクトリカは──!? 直木賞作家が贈る、キュートでダークなミステリ・シリーズ。
彩雲国物語(角川文庫)
彩雲国を舞台に名門紅家直系長姫ながら貧乏生活を送っている紅秀麗が、あるきっかけで「官吏になりたい」と一度諦めた夢を追い求め叶えようとする物語。昏君を演じていた劉輝や王の側近である絳攸らの尽力によって官吏となるも、州牧に大抜擢されたかと思うと冗官(無位無官の官吏)に落とされるなど、毀誉褒貶の激しい人生を送る。その過程で建国にもかかわったとされる「彩八仙」にもかかわってゆくが…?
【よっちさんのセレクト】
死の森の魔女は愛を知らない (富士見L文庫)
浅名 ゆうな/あき KADOKAWA 2021年02月15日頃
偉大な魔女だった祖母の後を継ぎ、使い魔と森で暮らす「死の森の魔女」リコリス。毒薬を求めて彼女のもとにやってきた王兄ゼルクトラの依頼を断るものの、それを機に生活が一変してゆく物語。たびたび訪れてきて、使い魔とも仲良くなってしまったゼルクトラ。リコリスを呼び出した複雑な想いを抱く王と王太后の依頼。そして苦い初恋相手との再会。放っておけなくて首を突っ込む事件も印象深かったんですが、それ以上にゼルクトラや使い魔、そしてめちゃくちゃ歪んでますが初恋相手にもリコリスは愛されてますね…喜んでいいのかはあれですが(苦笑)
聖女ヴィクトリアの考察 (角川文庫)
春間 タツキ KADOKAWA 2021年08月24日
平和を司るアウレスタ神殿の聖女のひとりで霊が視える少女ヴィクトリア。その能力を疑われ追放を言い渡された彼女が、辺境の騎士アドラスに依頼され、出生の謎を解き明かす謎解きファンタジー。アドラスと共に彼の故郷へ向かい、出生の秘密を調べ始めるヴィクトリア。彼女が巻き込まれてゆく思惑が絡み合う帝位継承争い。真実はどこにあるのか、陥れられた窮地をいかに乗り越えるのか。腹を括った彼女の優れた観察力・洞察力で事態を打開して、思ってもみなかった真実へと導いてゆく展開はなかなか面白くて、また続きを読んでみたい新シリーズです。
午前零時のサンドリヨン (創元推理文庫)
相沢沙呼 東京創元社 2012年10月
不器用な須川くんが不器用なマジシャン酉乃さんに出会って、身の回りに起こる様々な事件を解決していくお話。時にはうまくやろうとして失敗したりはあっても、最終的に事件を解決に導くことができたのは、酉乃さんや須川くんの、何とか事件を解決しようとする真摯な気持ちがあったからこそだと思います。途中残念なところもあったけれど、最後きちんと酉乃さんに言葉で思いを伝えた須川くんは、とてもカッコ良かったです。
サラの柔らかな香車 (集英社文庫)
橋本長道 集英社 2014年09月19日頃
プロ棋士の夢破れた瀬尾が金髪碧眼の日系ブラジル人の少女サラに出会い、彼女に将棋の才を見出して将棋を教えるところから始まる物語。将棋のプロになれなかった場合の厳しい現実も描写されていますが、何より波はあるものの時折驚異的な才能の発露を見せ、周囲の人たちの人生に少なからず影響を与えながら、言語能力に乏しくてほとんど会話にならないサラの特異性が際立っていました。澱んだ将棋へのこだわりに縛られた人たちの想いを、将棋の対局を通して変えていくサラが、そして彼女の将棋が今後どうなっていくのか、続きが気になる物語でした。