少し前から #1日1ラノベ と #1日1文庫 のハッシュタグで読んだ本の中から1日1作品紹介していましたが、実際にやってみて1日2冊紹介は流石にハイペースだったので、各100冊一区切りとして今後は #1日1冊 ということで紹介していきたいと思います。忙しかったりで抜ける日もあるかもしれませんが、ゆるりと続けていきたいと思っているのでよろしくお願いします。
【#1日1冊201日目】
ガーリー・エアフォース (電撃文庫)
突如出現した謎の飛翔体ザイに、母親と第二の故郷を奪われた少年鳴谷慧が、彼を救ったドーターを操る少女グリペンと出会うボーイミーツガールな物語。ザイに対抗する兵器として基地でも周囲から距離を置かれ、挙動が不安定で廃棄予定も囁かれているグリペン。そんな彼女が安定する存在として認識される慧が、その生い立ちを知って葛藤しながらも彼女を支えようと決意するストーリーは良かったと思いました。兵器とされるグリペンらも可愛くて、展開も設定もポイントを押さえた説明で複雑になり過ぎずわかりやすかったです。全12巻。
【#1日1冊202日目】
言鯨【イサナ】16号 (ハヤカワ文庫JA)
全土は砂漠化し、人々は神である「言鯨」の遺骸周辺に鯨骨街を造って暮らす世界。街々を渡る骨摘みとして働く旗魚は、旅の途中で裏の運び屋・鯱と憧れの歴史学者・浅蜊に出会い物語が動き出すファンタジー。内密に十五番鯨骨街へ奇病の調査に行った浅蜊が引き起こした言鯨の覚醒と仲間の消失。もたらされた旗魚の劇的な変化と、鯱や蟲使いの珊瑚との逃亡劇、そして言鯨と世界の核心に迫ってゆく展開で、明らかになってゆくこの世界の哀しい真実と登場人物たちそれぞれの熱い想い、そしてそれらに向き合ってゆく旗魚の姿がとても印象的な物語でした。
【#1日1冊203日目】
初恋コンテニュー (ガガガ文庫)
ギャルゲーの世界に取り込まれた高校生の兄妹が、文字通りゲーム世界の中で恋愛SLGを実際に演じ、主人公となった兄をゲーマーの妹がフォローしてヒロイン攻略を目指すというお話。フラグの立ち方やルートから外れた攻略キャラのフェードアウトしていく感じが、いかにもな展開でした。何度もゲームオーバーになりながらようやく攻略したヒロインは、ちょっとあれな人。鈍感な兄を想う妹ものとしては読んだほうが楽しめるかもしれないですね。顔見世程度だったキャラも今後の活躍に期待。2巻まで。
【#1日1冊204日目】
さよならクリームソーダ (文春文庫)
再婚した両親から逃げるように美大入学で一人暮らしを始めた友親。知り合った先輩の若菜と親交を深めるうちに、その過去と秘密を知ってゆく青春小説。両親に向き合えない後ろめたさを抱える友親と義姉・涼の複雑な関係。友親の前に現れた若菜を気にかける少女・恭子と、明らかになってゆく若菜が抱える絶望と秘密。登場人物たちのどうにもならない葛藤と生々しい感情のぶつかり合いが繊細に描かれていて、絶望に直面し何かが確実に壊れてしまった彼らが、それでも何とか生きていこうとする姿にはほろ苦くも未来があって、心に響くものがありました。
【#1日1冊205日目】
リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)
吸血鬼と戦う中で戦闘用絡繰騎士《白檀式》が暴走し、結果的に人間と吸血鬼が平等に暮らす共和国へと変貌を遂げたヘルヴァイツ公国。そこに十年ぶりに白檀式の失敗作・水無月が目覚めるバトルファンタジー。亡き博士の娘でマスターのカノンとの不本意な関係と、偏見を持たない吸血鬼王女・リタとの出会い。世間知らずな自覚がない水無月とヒロインたちのズレた会話のやりとりは微笑ましくて、一方で巻き込まれてゆく争いの中で過去の真実と向き合うことにもなって、葛藤しながらも自分のありようを見出していく王道展開はなかなか良かったですね。全4巻。
【#1日1冊206日目】
風見夜子の死体見聞 (富士見L文庫)
事故や事件の現場に必ず居合わせることで「死神」とあだ名される女子高生・風見夜子。数年来絶縁状態だった夜子に死ぬところを救われた幼馴染の凪野陽太が、過剰な人助けに巻き込まれてゆく青春ミステリ。死ぬ予定の死体が見えてしまう力を持ち「あなた死ぬわよ」と強引にでも回避しようとする夜子。傍若無人な彼女に恩に着せられ脅され人助けを手伝うようになる凪野とのテンポの良い応酬が楽しくてじわじわ来ますね(苦笑)素直じゃない不器用な彼女の理解者が少しずつ増えてゆく一方で明らかになってゆく宿敵の存在も気になりますね。
【#1日1冊207日目】
29とJK(GA文庫)
目つきは怖いけれど職場では一目置かれる29歳の社畜・槍羽鋭二。そんな彼が休日のネカフェで説教した女子高生・南里花恋になぜか告白されてしまう物語。運命的な出会いと信じて果敢に攻める花恋。彼女の言動にやきもきして孫との交際を業務命令してしまう社長。そんな状況に戸惑う彼が直面する仕事上での危機的状況。女子高生に社畜が迫られるラノベ的展開ながら、そんな鋭二も周囲の人々に慕われる存在で、仕事や花恋の夢にそれぞれの事情とやや1冊に詰め込み過ぎた感はありましたが、登場人物たちが奮闘する展開は読みやすくて面白かったです。全8巻。
【#1日1冊208日目】
踊り場姫コンチェルト (メディアワークス文庫)
伊佐美高吹奏楽部に入部した梶浦康規が、全国大会を目指すべく先輩から才能を持ちながら破滅的な指揮を振る「踊り場姫」藤野楡を変えるよう命じられる物語。生真面目な演奏になりがちな康規と型破りな指揮者・楡という対極な二人の印象的な出会い。孤高な存在だった楡の康規の作曲を知ってからの変化、変わらぬ指揮をする楡との衝突、それを乗り越え素晴らしい演奏に繋げてゆく展開はとても良かったですが、吹奏楽をメインに据えた物語で楡の変化など繊細な心理描写があるともっと良かったのかも。全体としては清々しい読後感のある青春小説でした。
【#1日1冊209日目】
異世界拷問姫 (MF文庫J)
父親に殺され魂を異世界召喚された瀬名櫂人が、悪魔狩りを命ぜられた『拷問姫』エリザベートに仕えることになるダークファンタジー。凄惨な世界に召喚したエリザベートに拷問か執事の二択を突き付けられ、身の回りを世話をすることになった櫂人。美しく拷問器具を用いて悪魔と戦うエリザベートもまた過酷な運命を背負う少女で、悪魔たちや宿命の相手との救いのない戦いが続く一方、それと合間にある主従関係の日常とのギャップが秀逸で、イラストに鵜飼さんを起用したことで独特な世界観を作り出していました。全9巻+別巻1巻。
【#1日1冊210日目】
華仙公主夜話 (富士見L文庫)
華仙公主夜話 その麗人、後宮の闇を討つ
posted with ヨメレバ
喜咲冬子/上條ロロ KADOKAWA 2018年07月14日頃
仙人の力を借りて建国した伝説を持つ基照国。先帝の落とし胤と噂の酒楼の女主・明花のもとに、滅亡寸前の国と幼い次期皇帝・紫旗を守るため次期宰相の李伯慶が訪ねてくる中華ファンタジー。紫旗を取り巻く不穏な状況とそれを打開するために動く伯慶、可愛い紫旗を助けたいという思いからその誘いに乗る明花。テンポの良いストーリーに紫旗のためという利害の一致で相棒となった腕力頼み公主とケチな伯慶が、言い争いながらも相手のことを認め合うようになってゆくサッパリした関係もなかなか良かったですね。全3巻。