読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

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2021年7月に読んだ本 #読書メーターより

7月は四連休あたりの発売日集中がなかなか来るものがありましたけど、いろいろ後に取りこぼしつつ、そこそこの冊数は読めました。発売日付近で読みたい本全てを読むのはもはや幻想に過ぎないのは痛感していますが、諦めの悪さで読めなかったけど読みたい本をどんどん後に繰延べしているので、いつまで経っても積読が減らないのは仕方ないですね(苦笑)

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:82
読んだページ数:24887
ナイス数:6231

転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件2 (角川スニーカー文庫)転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件2 (角川スニーカー文庫)感想
隼人と再会してから変わりつつある春希。クラスの女友達も増えて賑やかになる一方で、隼人との時間が減ってしまい…のはずなのに、もっと相手の特別になりたくなる第二弾。孤高だった春希を変えるきっかけとなった隼人とのかけがえのない時間。園芸で隼人と仲良くなってゆくみなも、そして彼らと絡むようになってゆく海堂の過去。お互い特別なのは自覚していても考え過ぎて距離感を詰めきれず、どこかもやもやを抱えていた二人でしたけど、いつの間にか新たな友情も育みながら、ようやくきちんと向き合えた結末にこれからが楽しみになってきました。
読了日:07月01日 著者:雲雀湯
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い7 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する (角川スニーカー文庫)最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い7 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する (角川スニーカー文庫)感想
記念式典の裏で動き出した犯罪組織グリモワール。聖女レティシアを狙う彼らを討伐すべく、それぞれ動き出すアルとレオを、帝都全体を巻き込まんとする更なる強大な陰謀が待ち受ける第七弾。記念式典へ向けて続々と集結する要人たち、聖女レティシアが憂いを抱える理由、そして彼女に対するレオの真摯な思い。王国も絡んだ聖女であるレティシアが抱える事情が思っていた以上に深刻で、なのになかなか踏み込めない煮え切らないレオにはもどかしくなりましたけど、それでも窮地の大切な人を取り戻すため奮闘する彼の姿に、今回大きな成長を感じました。
読了日:07月01日 著者:タンバ
後宮の寵姫は七彩の占師 (スターツ出版文庫)後宮の寵姫は七彩の占師 (スターツ出版文庫)感想
王朝交代時の因縁から虐げられてきた異能一族の娘で占師の翠玉。ある日客として現れた因縁の一族の皇帝・啓進の依頼で呪いを解くために後宮入りする中華風ファンタジー。一人として育てられてきた双子の皇帝の秘密。二百年来の因縁の相手・呂氏、そして皇帝のために入内した三人の妃たち。自分たちでない以上、誰が呪いを掛けているのか。同じ三家の一人・李花とともに調査する展開する中、思い切りが良すぎてやや暴走気味だった翠玉には苦笑いでしたけど、だんだん思いを重ねてゆく二人を含めていい感じにまとめあげた結末はなかなか良かったです。
読了日:07月02日 著者:喜咲 冬子
後宮の月は、南天に舞う 臥龍(がりょう)城の奸臣 (PHP文芸文庫)後宮の月は、南天に舞う 臥龍(がりょう)城の奸臣 (PHP文芸文庫)感想
帝位を簒奪した現帝から逃れるため、先帝の妃・文姫によって仕人・宋娥に託された娘の昭月。男装で宦官として後宮に匿われていた昭月が、危機を感じた宋娥によって城外へ送り出される中華風ファンタジー。世間知らずの昭月が宋娥の紹介でその弟・梁健成に庇護され、学問好きな彼女が国子監で学ぶ機会を得て友を得る悦び。しかし偽物の昭月が宮廷に現れ奢侈の限りを尽くしているのを知り、放置できないあたりが彼女らしくて、意外な真実も明らかになりましたけど、それでも公主の立場より道理を貫いた昭月のありようがなかなか印象的な物語でしたね。
読了日:07月02日 著者:柏 てん
ホラー作家八街七瀬の、伝奇小説事件簿 (集英社文庫)ホラー作家八街七瀬の、伝奇小説事件簿 (集英社文庫)感想
美人売れっ子ホラー小説家で高校時代の同級生・八街七瀬の担当編集者として、彼女に振り回される日々を送る大和。七瀬のもとに節分祭に関する不思議な体験談が書かれたファンレターが届き、二人で現地取材向かう伝奇ミステリ。観光客を装った二人を強く警戒する集落に伝わる「姿を見てはいけない神様」の恐るべき秘密。二人が巻き込まれる…ではなく七瀬がぐいぐい踏み込んでいく、集落のおぞましい因習もなかなかインパクトありましたけど、ヘタレ過ぎる大和のせいで七瀬も拗らせてしまった二人の関係の行く末も楽しみな続編に期待のシリーズです。
読了日:07月03日 著者:竹林 七草
日本車は生き残れるか (講談社現代新書)日本車は生き残れるか (講談社現代新書)感想
ガソリン車の廃止 世界規模での再編 水平分業の大波 そしてコネクテッド...大きく変わりつつある自動車産業の現状を解説した一冊。日本車メーカーはなぜ安泰ではいられないのか、100年に一度の大変化と言われるCASEの意味、アメリカ、ドイツなど欧州勢、中国各社の動向を踏まえながら、日本各社の現状が今どうなっているのかを分析する内容で、自動運転やEV化と主戦場がハードからソフトに移行しつつある中、今のモノづくりにこだわる意識から脱却できるのか、ここ十年くらいにどうするのかが分かれ目となる正念場になりそうですね。
読了日:07月04日 著者:桑島 浩彰,川端 由美
探偵はもう、死んでいる。5 (MF文庫J)探偵はもう、死んでいる。5 (MF文庫J)感想
かつて死に別れ一人生き残ってしまい、凍える冷水の如き現実に溺れていた君塚。そんな彼が再び名探偵を取り戻すために立ち上がる物語。シードとの最終対決、事後処理と名探偵の失踪。そして思ってもみなかった名探偵との対峙。シードとの最終決戦自体は思ってよりもあっさり決着ついたなと思いましたけど、そこから仲間のために諦めない君塚たちのクライマックスかと思うような悪あがきする戦いが続いて、諦めかけていた彼女を翻意させる展開には熱いものがありましたね。つまるところ名探偵が好き過ぎて苦笑いでしたが、ここからの新展開にも期待。
読了日:07月04日 著者:二語十
グリモアレファレンス2 貸出延滞はほどほどに (電撃文庫)グリモアレファレンス2 貸出延滞はほどほどに (電撃文庫)感想
図書館の地下に広がる迷宮を探索する一方、レファレンス業務もこなす図書隊メンバーたち。そんな中、守砂は大学教授の紙珠から地下に収められた魔導書の貸出を依頼される第二弾。今回は連作短編集的なエピソードで、教授からの飛び入りレファレンスだったり、延滞している利用者に督促したり、加来との意外な共闘の結末、守砂隊にだけ反応するヌシへの挑戦などなかなか楽しいエピソードでした。周囲も慄くヤンデレっぷりな三火さんも、距離を縮める部分に関してはなかなか守砂と上手く噛み合わないようで、最後のあれはちょっと強敵ですねえ(苦笑)
読了日:07月04日 著者:佐伯 庸介
遺跡発掘師は笑わない 九頭竜のさかずき (角川文庫)遺跡発掘師は笑わない 九頭竜のさかずき (角川文庫)感想
福井県の九頭竜湖近く、鹿殿集落にある墳墓の調査依頼を受け、忍と共に現地へ赴いた無量。山中を探索したふたりは、謎めいた青い石室と石塔を見つける第十三弾。住民が工事を拒んでいる道路建設予定地を舞台に、越前・福井の戦国大名・朝倉氏の伝説と、恐竜の化石発掘を絡めて事態が急変する展開で、ロマンあふれるエピソードもなかなか興味深かったですけど、無量の身代わりに結婚しようとする忍や、元ウェルター級世界王者にリベンジ果たしちゃう萌絵がヤバ過ぎる(苦笑)無量はもうそろそろ過去の呪縛から解放されてもいいと思うんですけどね…。
読了日:07月05日 著者:桑原 水菜
化学探偵Mr.キュリー10 (中公文庫 き 40-15)化学探偵Mr.キュリー10 (中公文庫 き 40-15)感想
四宮大学へ視察にやってきた姉妹都市協定を結ぶマイセン王国の王子。実はこれには隠された目的が……。一方、舞衣の元には研究施設を無断使用した学生の情報が入る第十弾。沖野に師事して化学研究に情熱的に取り組む王子の真の目的。王子からの提案にそれぞれ心揺れる舞衣と沖野、そしてなかなか真相に近づけない学生の隠された目的。提案を聞かされた時の二人の反応を見ると、そんな認識レベルなのかと正直まだ道のりは遠いなあと思わざるをえなかったですが、きちんと大切な人と向き合い収まるべきところに収まった結末はなかなか良かったですね。
読了日:07月05日 著者:喜多 喜久
神さまのいうとおり神さまのいうとおり感想
バラバラな家族を救ってくれたのは、曾祖母の暮らしの知恵だった。言い伝え、風習、おまじない…幸せに生きるための秘訣は、昔からずっと側にあることを知る連作短編集。会社を辞めて主夫になった父親、父親を恥ずかしいと思う思春期の娘、何も相談してくれない夫との関係に悩む母親。息子も含めた一家で曽祖父の住む田舎に引っ越して鬱屈を抱えている彼女たちが、ふとしたきっかけからこれまで知らなかったことに気づき、いろいろなものの見方も変わっていって、相手をきちんと知ろうと変わってゆく展開はとても優しくて心に響くものがありました。
読了日:07月06日 著者:谷 瑞恵
invert 城塚翡翠倒叙集invert 城塚翡翠倒叙集感想
綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女・城塚翡翠が現れる第二弾。ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。さりげない風を装い現れて、いつの間にか距離を縮めて、乗り切ったと思ったら思ってもみなかった部分から覆していく鮮やかな推理劇。でもこんな感じだったかな…と積み重なってゆく違和感が、最後の最後で反転するその理由が、前回とはまた違う意味で鮮烈な印象を残しました。
読了日:07月06日 著者:相沢 沙呼
詩剣女侠 (集英社オレンジ文庫)詩剣女侠 (集英社オレンジ文庫)感想
明の時代。剣筆の名門・斐家の令嬢・天芯に仕える侍女・春燕。当主の死後、妹夫婦に家を乗っ取られた主の斐家再興の意志を継ぎ、有名な老剣筆家と会うために訪れた杭州の地で、弟子だった二人の青年と出会う中華浪漫活劇。舞いながら岩紙に詩句を刻む剣筆。七天光筆の弟子・陸興破と韓九秋に教わりながら剣筆の腕を磨いて、仇を討つために大会出場を目指す春燕。何度も執拗な妨害に遭い、心折られかけながらも、その真っ直ぐな姿勢は多くの人を惹き付けて、諦めずにもう一度立ち向かってゆく彼女たちの姿とその結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:07月06日 著者:春秋 梅菊,新井 テル子
声の在りか声の在りか感想
小学四年生の息子・晴基とそっくりの筆跡で書かれた切実なメッセージ。本人に真意を問いただすことも夫に相談することもできない希和が、晴基が勝手に出入りする民間学童で働きはじめる物語。意思疎通がなくなっていた夫、噂話が大好きなママ友たち。いつの間にか言いたいことも言えなくなっていた彼女でしたけど、でも何も思ってないわけじゃないんですよね。マイペースな経営者・要や子供たちに振り回されながら働く中、少しずつ自分の思うこと、言いたいことを思い切って伝えるようになって、少しずつ変わってゆく周囲との関係が良かったですね。
読了日:07月07日 著者:寺地 はるな
カイタン 怪談師りん (集英社オレンジ文庫)カイタン 怪談師りん (集英社オレンジ文庫)感想
神隠しで消えてしまった妹・えつを探し続ける女子高校生・戸鳴りん。幼馴染の大学生・真加部丹葉とえつの手掛かりを求めて怪談イベントに参加し、そこで皮肉屋の偏屈なカリスマ怪談師・馬代融と出会う物語。えつを探すための情報提供と引き換えに、怪談事務所「カイタン」へ加入するよう要求する馬代。怪談師見習いとなって丹葉とともに取材のため心霊スポットをめぐる展開でしたけど、なかなか独特なホラーテイストで読んでいて面白かったです。登場人物もいい感じに効いていて、りんは妹に再会できるのか、この続きをまた読んでみたくなりました。
読了日:07月07日 著者:最東 対地,河下 水希
脳研ラボ。 准教授と新米秘書のにぎやかな日々 (集英社オレンジ文庫)脳研ラボ。 准教授と新米秘書のにぎやかな日々 (集英社オレンジ文庫)感想
入社した会社がことごとく倒産して疲れ果てた陽乃が、学生時代の知人のツテで、S総合大学脳科学研究所、略して「脳研」で秘書として働くことになるお仕事小説。意思の疎通と服のセンスが独特な千条、歴代秘書の勤務態度ゆえ秘書を警戒するポスドク・辻ナオ、チャラい院生・高柳など、濃ゆいキャラばかりの研究所でしたけど、そんな彼らは恋人に振られ母親に振り回される陽乃を気遣ってくれる優しい一面を見せてくれる人たちでもあって、いつの間にか彼女にとって脳研が居心地のいいかけがえのない居場所になってゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:07月07日 著者:羽野 蒔実,usi
彼方のゴールド (文春文庫 お 58-4)彼方のゴールド (文春文庫 お 58-4)感想
出版社の営業にようやく慣れた頃、野球もサッカーも知らない明日香がスポーツ雑誌「Gold」に配属され、体当たりでぶつかってゆく出版社お仕事小説。昔とは役割も様変わりした野球のリリーフ投手へのインタビューに始まり、子供の頃のスイミングスクールと幼馴染との思い出、スキャンダルと密告の真相、社内カメラマンの思わぬ再会、サッカーコーチと15年前の因縁、そして再会したもうひとりの幼馴染。雑誌編集として分からないなりに一生懸命調べて考え、真摯に相手に向き合おうとする明日香の成長とその結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:07月07日 著者:大崎 梢
准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影 (角川文庫)准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影 (角川文庫)感想
長野での記憶を失ってから元気がない高槻のもとに、絶縁状態だった従弟の優斗から婚約者の肩に「人面瘡」が現れたと連絡が入り二十年ぶりに再会する第六弾。お化け屋敷の幽霊と鏡、思ってもみなかった行動を取る従弟の婚約者の真意、実家の旅館にある「紫鏡」の調査依頼。前巻からの流れで高槻家の特異性が改めて浮き彫りになってゆく展開で、ちらりと登場した母親もまたなかなか強烈な存在でしたけど、そんな不安を抱える彼に寄り添おうと決意する尚哉の心意気がなかなか尊いですね…彼らにこれからどういう展開が待っているのか、続巻に期待です。
読了日:07月08日 著者:澤村 御影
ユア・フォルマII 電索官エチカと女王の三つ子 (電撃文庫)ユア・フォルマII 電索官エチカと女王の三つ子 (電撃文庫)感想
再び電索官として歩み始めたエチカに立ちはだかった、RFモデルの関係者連続襲撃事件。被害者の証言から他ならぬ〈相棒〉ハロルドの名前が容疑者として浮上する第二弾。ままならない状況に焦るほど、浮き彫りになる人と機械の絶対的な違い。埋められない溝に苦しみながらも捜査を続ける二人を待ち受ける衝撃の真相、そして心揺れるエチカが迫られる苦渋の選択。RFモデルを巡る連続事件で感じた決定的な違和感があって、隠されていた真相を知った上でそれでも彼と向き合うと決意したエチカたちに何が待っているのか、二人の今後が気になりますね。
読了日:07月08日 著者:菊石 まれほ
スパイ教室05 《愚人》のエルナ (ファンタジア文庫)スパイ教室05 《愚人》のエルナ (ファンタジア文庫)感想
ボス不在という問題を抱えていた全スパイ養成学校のトップ6で編成された機関「鳳」。彼らが凄腕のスパイ・クラウスに目をつけ、チーム灯に崩壊の危機が訪れる第五弾。養成学校卒業相当と太鼓判を押されたのに、なぜか任務ではうまく行かない彼女たちの前に現れたエリート集団。今回はクラウスを賭けてチーム鳳と争う展開で、エルナのエピソードがクローズアップされつつ、不格好ながらも諦めが悪い彼女たちの絆が光っていましたけど、いい感じにまとまったなと思いながら読んでいた分、最後の報告が衝撃的でした。これは続巻の展開が気になります。
読了日:07月08日 著者:竹町
新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち(2) (電撃文庫)新・魔法科高校の劣等生 キグナスの乙女たち(2) (電撃文庫)感想
魔法科高校での生活に慣れてきたアリサと茉莉花。今度こそアリサと同じクラスになりたい茉莉花は、月に一度のクラス振り分けテストの特訓に挑み始める第二弾。二科制が廃止された一高が実施する、月に一度のクラス振り分けテストを巡るあれこれ。入部したクラウド・ボール部活動の中で見えてくるアリサの勝利に対する執着、そして茉莉花と一条茜の運命的な邂逅。前作の登場人物たちのその後も垣間見えて楽しかったですが、茉莉花と茜はライバル関係として面白くなりそう。アリサと茉莉花はこれからもいろいろ巻き込まれていきそうな雰囲気ですね…。
読了日:07月09日 著者:佐島 勤
嘘と詐欺と異能学園 (電撃文庫)嘘と詐欺と異能学園 (電撃文庫)感想
エリート異能力者が日々熾烈な競争を繰り広げるハイベルク国立特異能力者養成学校。無能力者なのに入学試験を突破した天才詐欺師のジンが、〈災禍の女王〉と恐れられる少女・ニーナと出会う学園ファンタジー。学園の頂点を目指すジンと大きな秘密を抱えるニーナの運命的な邂逅と共犯関係。綿密な準備をして、相手の手の内を調べ上げる彼らの共闘は虚実が入り混じって、どこまでが本当なのか信じていいのか、予想外の展開なのか計算通りなのかヒリヒリする展開の連続で、そんな彼らが二人でどこまで駆け上がれるのか、今後に期待大のシリーズですね。
読了日:07月09日 著者:野宮 有
俺を好きなのはお前だけかよ(16) (電撃文庫)俺を好きなのはお前だけかよ(16) (電撃文庫)感想
奇想天外の連続だったジョーロが高校二年生に経験した出来事。クリスマスに姿を消した三色院董子が抱えた答えを見つけ出すために、仲間を得てその姿を探し始める第十六弾。約束通りに譲って姿を消しはしたけれど、一方探してほしいと思っている複雑な想い。ほんと最後まで面倒くさい展開だなと苦笑いでしたけど、だからこそジョーロたちらしくて、ヒロインたちの魅力も溢れていて、きちんと向き合って周囲にも祝福されて、らしい二人になってゆく大円団的結末がとても素敵な物語だったと思いました。もう一冊後日談的なエピソードも期待しています。
読了日:07月09日 著者:駱駝
オーバーライト3 ――ロンドン・インベイジョン (電撃文庫)オーバーライト3 ――ロンドン・インベイジョン (電撃文庫)感想
ヨシの帰国が迫る中、ロンドンからブーディシアの先輩・シュガーがクルーを引き連れてブリストルに襲来。彼らによりブリストルのグラフィティがボロボロに上書きされ、最大の危機が訪れる第三弾。強烈な信念で侵略するシュガーに多くの人が傷つけられる中、自分のやるべきことを見出してゆくヨシと、ブーディシアが抱えていた迷い。真っ直ぐに思いをぶつけ合って、自分のグラフティに真摯に向き合って、そして答えを見出してゆく二人の関係がとても良かったです。でも最後のあれから二人がどうなったのか、ちょっと読んでみたくなりますよね(苦笑)
読了日:07月09日 著者:池田 明季哉
ドラキュラやきん!3 (電撃文庫)ドラキュラやきん!3 (電撃文庫)感想
日常に戻りコンビニ夜勤に勤しむ吸血鬼・虎木のもとに、未晴から許嫁との縁談を破棄するため、虎木に恋人のフリをして京都の比企本家まで来てほしいと依頼される第二弾。未晴の結婚話が急に具体化することになったファントム界隈の事情。気になるあまり協定を破って京都に向かうアイリス、そして彼女と合流する未晴の婚約者・七雲。婚約絡みのドタバタ劇と思っていたら予想外の急展開で、ついでにいろいろな過去も明らかになりましたふぁ、虎木はこれからも周囲の様々な事情に巻き込まれそうですね(苦笑)そんな予感がした今回も面白かったですね。
読了日:07月10日 著者:和ヶ原 聡司
日和ちゃんのお願いは絶対3 (電撃文庫)日和ちゃんのお願いは絶対3 (電撃文庫)感想
誰にも逆らえない「お願い」の力で世界を変えてきた日和。しかし日に日に心を擦り減らす日和を見かねた深春は、彼女を天命評議会から抜けさせるべく決意する第三弾。評議会を抜けたことで取り戻してゆく、日和らしさとありふれた日常。一方で少しずつ確実に壊れていくもの、見慣れた風景、これまで見なくて済んでいた崩壊。できないことも増えてゆく中で共に過ごす二人の時間、そして日和へのサプライズはとても素敵でしたけど、気づいてしまったことに見て見ぬ振りをできないのが日和なんですよね...ここからどうなってしまうのか気になります。
読了日:07月10日 著者:岬 鷺宮
ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います2 (電撃文庫)ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います2 (電撃文庫)感想
イフールの町で年に一度開催される「百年祭」。去年も一昨年も残業のため祭りに参加できなかった受付嬢3年目のアリナが、今年こそ満喫百年祭を満喫すべく奮闘する第二弾。デマを真に受けた冒険者達のせいで危機的な状況に陥る百年祭参加。デマ発生源を叩き潰し、冷たくされもへこたれないジェイドの協力も得て仕事も終わらせたのに、満喫しようとした矢先に起きた事件。神様に嫌われているのでは?と思ってしまう運の悪さには苦笑いでしたけど、ヒーラーのルルリの因縁も上手く絡めながら、力を合わせて危機を乗り越える展開は今回も良かったです。
読了日:07月10日 著者:香坂 マト
境内ではお静かに 神盗みの事件帖境内ではお静かに 神盗みの事件帖感想
源神社の御神体が完全密室の神棚から盗まれ、壮馬は想いをかける美少女巫女・雫と、そのカレシを名乗る清宮と共に事件の謎を追うも次々と難題が訪れる第三弾。(一人だけ)盛り上がっているところから冷水をぶっかけるような急展開には苦笑いでしたけど、連作短編集的な形で展開される数々の事件が、源神社の御神体が盗まれた事件に繋がっていて、それらの謎を解き明かしたことで連鎖反応的にもう一つの事実にたどり着く展開は上手いなと思いました。何かタイミング的に今じゃないような気もするんですが、このまま突撃しちゃうんでしょうか(苦笑)
読了日:07月11日 著者:天祢 涼
白医白医感想
末期がん患者の水木雅隆に安楽死を行ったとして、裁判を受ける天心病院の医師・神崎。悲鳴をあげる命を前に、懊悩する医師がたどり着いた「答え」とは?安楽死をテーマに描く医療ミステリ。証人席からの悲痛な声にも一向に口を開こうとはしない神崎が行ったとされる三件の安楽死疑惑。延看護師の苦悩、命を望まれない患者、告発した医師、もうひとつの告白など、それぞれの側面から描かれる事情と意外な真相、そしてホスピタルケアで直面する葛藤を浮き彫りにしていて、なかなか重い命題に意外な答えを提示してみせた結末がまた印象的な物語でした。
読了日:07月12日 著者:下村 敦史
湯けむり食事処 ヒソップ亭2湯けむり食事処 ヒソップ亭2感想
素泊まり温泉旅館の「猫柳苑」の食事処「ヒソップ亭」に、働き者の安曇が新たに仲間入り。しかし突然の不況にヒソップ亭にも不穏な影が立ち込める第二弾。勉強熱心な新しい安曇の姿に、主人の章は「猫柳苑」の夕食復活に向けて意気込むものの、苦境の中で直面する新たに夕食まで手を広げるべきかという葛藤。今回は意外なところから光明も見えてきましたけど、料理に真摯な章と桃子や安曇たちの持ち味がそれぞれ補完し合うような関係があって、これからいい感じに化学反応を起こしていきそうな予感の中、今後の展開がまた楽しみになってきましたね。
読了日:07月12日 著者:秋川 滝美
星砕きの娘 (創元推理文庫 F ま 2-1)星砕きの娘 (創元推理文庫 F ま 2-1)感想
魔の化生、鬼の跋扈する地、敷島国。幼い頃に鬼に浚われ て囚われの身となっていた豪族の跡取り・弦太が、蓮の蕾から変化した赤ん坊・蓮華と運命の出会いを果たす和風ファンタジー。囚われて七年後、美しさと強さを兼ね備えた娘に成長した蓮華と弦太が迎える転機。弦太が後継者ゆえのままならなさを痛感する一方で、彼を慕う蓮華との間には変わらない強い絆があって、周囲の複雑な想いを絡めて二転三転してゆく激動の展開に翻弄されながらも、数奇な運命に向き合って決然と立ち向かった二人がたどり着いた粋な結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:07月12日 著者:松葉屋 なつみ
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5 (GA文庫)お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5 (GA文庫)感想
長い両片想いを経て、新たな関係性に一歩踏み出した周と真昼。お互いに未経験のことばかりに戸惑いながら、少しずつ距離を縮めていく第五弾。一緒に手繋ぎ登校で二人のことで話題は持ち切りの学校。顔を上げるようになった周の姿に周囲の見方も徐々に変わっていく様子に、気が気でない真昼。いや何というかオープンにしたら周囲を震撼させる二人の距離感には苦笑いでしたけど、周は私のものアピールする真昼が可愛かったですね(苦笑)周の実家でもすっかり家族みたいな扱いになっていて、過去にも決着をつけた甘すぎる二人のこれからが楽しみです。
読了日:07月13日 著者:佐伯さん
貴サークルは"救世主"に配置されました2 (GA文庫)貴サークルは"救世主"に配置されました2 (GA文庫)感想
渾身の一冊を描き上げ、魔王復活阻止に成功したナイトとヒメ。次なる目標に向けて動き出したナイトたちが、同じ大学に通うソラフネを愛する文芸先輩と出会う第二弾。スランプに陥ってしまったナイトが、プロの小説家でもある文芸先輩の小説同人誌にイラストを寄稿することになり、滅びの未来での因縁からそれを受け入れられずに衝突してしまうヒメ。新キャラの文芸先輩もなかなかインパクトある存在で、即売会での顛末は心に突き刺さりましたけど、複雑な思いを乗り越えてもう一度力を合わせて再挑戦する姿とその結末には熱くなるものがありました。
読了日:07月13日 著者:小田一文
ただ制服を着てるだけ (GA文庫)ただ制服を着てるだけ (GA文庫)感想
コンビニの雇われ店長として働く社畜・堂本広巳。そんな日々に疲れていた広巳は、ふとしたきっかけから繋がりができた少女・明莉が働くJKリフレにハマってしまう物語。毎週通ってくるのに下心が感じられない広巳と、そんな彼をちょっと変わった常連客として認識する明莉。休日に起きたトラブルをきっかけに同居することになってしまった二人は、それぞれに抱える辛い過去があったりもして、幸せでいることに慣れなくてすれ違ってしまう、いつの間にかお互いの存在が救いになっていた不器用すぎる二人のこれからを応援したくなる新シリーズですね。
読了日:07月13日 著者:神田暁一郎
どうか俺を放っておいてくれ なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる (GA文庫)どうか俺を放っておいてくれ なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる (GA文庫)感想
結局ぼっちのまま終わった高校生活の卒業式前日。同級生・花見辻空をかばいトラックに轢かれて人生の幕を閉じた七村穂高が、彼女と一緒にタイムリープして高校生活をやり直す青春ラブコメ。恩返しに穂高のぼっち脱却を手伝おうとする花見辻、やり直したところで現実はそう上手くは行かないと達観する穂高。穂高に助けられたリア充・星ヶ崎や、誤解の真相を知る委員長といったヒロインたちも絡めながら、少しずつ積み重ねられてゆく花見辻との関係、そして時折垣間見える花見辻の真意はどこにあるのか、今後の展開に期待したくなる新シリーズですね。
読了日:07月14日 著者:相崎壁際
厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由3 ~両片思いのやり直し高校生生活 (GA文庫)厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由3 ~両片思いのやり直し高校生生活 (GA文庫)感想
透花に琵琶子たちも加え騒がしい毎日が続く中、七哉に後輩の小栗からオフ会参加のお誘いメールが届く第三弾。高校時代、告白された相手からの誘いに行くべきか悩む七哉。それを透花と琵琶子に知られ、三人で一緒にオフ会に行く展開でしたが、遊園地に高校の文化祭といったイベントも絡めながら、ぐいぐい来る小栗の積極性に気が気でなかったり、うっかり桃源郷を見つけてしまった透花が微笑ましかったですけど、いろいろ難しく考え過ぎな七哉と恋には鈍い透花が空回りしているうちに、思ってもみなかった結末が待っていましたね…これは続巻に期待。
読了日:07月14日 著者:徳山銀次郎
わたしの幸せな結婚 五 (富士見L文庫)わたしの幸せな結婚 五 (富士見L文庫)感想
清霞への想いに気がついた美世。帝都では異能心教の侵出が進み、美世たちは皇太子・堯人の提案で宮城に身を寄せる第五弾。過去の記憶から変化を怖れて、想いが告げられない美世に、ある夜、清霞から告げられた思わぬ本心。不器用すぎる美世と清霞は、清霞が思っていることを少しずつつでも語るようになって、心を通わせることができるようになって良かったなと思いましたけど、情勢的としては内通者だらけの後手後手に回る展開で、かなり厳しくなってきちゃいましたね…ここから巻き返せるのか、美世が幸せになるためにも頑張ってほしいところです。
読了日:07月14日 著者:顎木 あくみ
浅草鬼嫁日記 九 あやかし夫婦は地獄の果てで君を待つ。 (富士見L文庫)浅草鬼嫁日記 九 あやかし夫婦は地獄の果てで君を待つ。 (富士見L文庫)感想
前世「茨木童子」の重ねた罪で、地獄に魂が囚われてしまった真紀。閻魔大王の判決を覆し、連れ戻せれば目覚める可能性はあることを知った馨が、迷わず地獄へ向かう第九弾。叶や茜の助力を得て地獄に潜入し、鬼の獄卒として出世して真紀の救出を目指す馨。意外なところから叶先生の様々な姿や過去の背景があって、改めてぶつかり合って確かめあった二人の絆にまたぐっと来るものがありましたね。彼らの今後の進路も気になるところですが、長らく続いてきた因縁の決着に向けて機運が高まっていくと同時に、改めて続巻がとても楽しみになってきました。
読了日:07月15日 著者:友麻碧
紅霞後宮物語 第零幕 五、未来への階梯 (富士見L文庫)紅霞後宮物語 第零幕 五、未来への階梯 (富士見L文庫)感想
思わぬ襲撃により腹心の部下復卿を亡くした小玉。その死が周囲に波紋を投げかける中、喪中で官職を辞していたはずの文林が陣営にやってくる前日譚第五弾。復卿の死を悼む恋人・清喜を思いやる周囲の人々、喪中に文林がやってきた理由、戻ってからの日々と官から去りゆく人々、そして思ってもみなかった人事。戦後処理的なあれこれが続く中で、宮仕えをする面倒くささが垣間見えたり、日常的な描写がわりと多かった印象でしたけど、いろいろなめぐり合わせの末に軍で出世していくことになる小玉の数奇な運命を、改めて感じずにはいられませんでした。
読了日:07月15日 著者:雪村花菜
原因において自由な物語原因において自由な物語感想
誰にも言えない秘密を抱える人気作家・二階堂紡季。その秘密を引き換えに廃病院から転落した恋人、そして高校のいじめ被害者の転落死事件の謎を追うミステリ。事件が起きた同じ廃病院から転落したスクールロイヤーの想護は、紡季に何を伝えたかったのか。沈黙する関係者の生徒、ウイルスのように感染していくいじめ問題。生徒たちが抱える複雑な心情が明らかになっていって、すれ違い追い詰められた先にあった悲劇があって、誰もが被害者にも加害者にもなりうる怖さと、それにどうやって向き合えばいいのか、その難しさを改めて痛感させられました。
読了日:07月15日 著者:五十嵐 律人
Babel IV 言葉を乱せし旅の終わり (電撃の新文芸)Babel IV 言葉を乱せし旅の終わり (電撃の新文芸)感想
キスクでの激動を経てファルサスに帰還し、子供用言語教材を作成する仕事についた雫。一方、邪悪な魔法士アヴィエラが突如として大陸全土に向けて宣戦布告する第四弾。子供に言語を教えながらエリクと帰還の手立てを探り続ける雫、意外な場所から見つかった秘された歴史を記す一冊の本を巡る因縁、そして七番目の魔女を名乗るアヴィエラとの決戦。相変わらず雫は無茶するな…と思いながら読んでましたけど、これまで積み重ねられてきた伏線が徐々に収束して明らかになるひとつの真実は鮮烈で、長い旅の果てに下した雫の決断が印象に残る物語でした。
読了日:07月15日 著者:古宮 九時
あめつちのうた (講談社文庫)あめつちのうた (講談社文庫)感想
運動が苦手で家族に抱える鬱屈から逃げ出したい思いもあって、甲子園球場の整備を請け負う阪神園芸へと入社した雨宮大地。そんな彼が仕事や人々の出会いから変わってゆくスポーツ裏方小説。仕事もなかなか覚えられない大地に突っかかってくる、ケガでプロへの道を断念した同僚の長谷。それに同性愛者であることを周囲に隠す親友・一志や、重い病気を乗り越えて歌手を目指すビールの売り子・真夏と、同じく「選べなかった」運命に思い悩む仲間たちの葛藤を知り、自らも仕事や家族とも向き合いながらともに成長してゆく展開はなかなか良かったですね。
読了日:07月15日 著者:朝倉 宏景
公女殿下の家庭教師9 英雄の休息日 (ファンタジア文庫)公女殿下の家庭教師9 英雄の休息日 (ファンタジア文庫)感想
王国動乱決着。激闘を終えたアレンは東都で教え子たちに囲まれ、療養しながらほっと一息。だが彼を巡って教え子と大人たちが動き始める第九弾。決着した内乱の戦後処理、対外的な対応も動き始める中、年上メイドのリリーさんに甘やかされながら東都で教え子たちに囲まれて療養中のアレン。アレンに許された「流星」の称号とそれを巡る騒動。リリーさんが今回でぐいぐい存在感を増して、主要キャラの一人に躍り出そうな勢いですが、これだけ多くの人に支持されているアレンなら、もし快く思わない勢力が出てきても、みんなで乗り越えられそうですね。
読了日:07月16日 著者:七野りく
推しが俺を好きかもしれない (ファンタジア文庫)推しが俺を好きかもしれない (ファンタジア文庫)感想
ネットで人気の音楽ユニット『まんさき』のボーカル・U-Kaを推す夜宮光助が、U-Kaでもあり学校一可愛いクラスメイト花房憂花と立場を超えた交流が始まる青春ラブコメ。光助の推しのプライベートにオタクが干渉しちゃ駄目だという思いとは裏腹に、見てはいけない場面を立て続けに遭遇したことで憂花から接近、二人の空間になっていく放課後の文芸部室。憂花の不器用過ぎる言動の面倒くささには苦笑いでしたけど、それもまただんだんと変化してきて、空回りしてすれ違いながらも、大切なことだけは間違わなかった二人のこれからが楽しみです。
読了日:07月16日 著者:川田 戯曲
妹の友達の美人ヤンキーJK 世間知らず過ぎて世話を焼いていたら惚れられました (ファンタジア文庫)妹の友達の美人ヤンキーJK 世間知らず過ぎて世話を焼いていたら惚れられました (ファンタジア文庫)感想
高校進学でヤンキーデビューした妹と友達のたまり場になっていた、恋愛経験ゼロの大学生・ツカサの部屋。妹の友達の一人で常識を知らない自由奔放なエリカを放っておけず、マナーや常識をたたき込んでいく青春ラブコメディ。危うい彼女をそのままに出来ないツカサの優しさと、素直にそれを受け止めて自分に向き合ってくれる彼への想いが変わってゆくエリカ。彼女の境遇にはなかなか厳しいものがありましたけど、ドキドキしながらも彼女を大切にしようとするツカサ、そして真っ直ぐに思いをぶつけて成長しようとするエリカがなかなか良かったですね。
読了日:07月16日 著者:マリパラ
幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら4 彼女になった幼馴染とキスをした (ファンタジア文庫)幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら4 彼女になった幼馴染とキスをした (ファンタジア文庫)感想
二人らしい交際を順調に重ねながら、妹まなみのふとした一言から恋人っぽさを気にし始める愛沙と康貴。恋人とやりたいことを一緒に体験していく第四弾。カップルメニューの挑戦や、二人きりの限定同棲生活、修学旅行などで様々な思い出を積み重ねていく一方、周囲で続々と生まれてゆくカップルの経験談、自分にはないもので輝き始める有紀や妹のまなみに愛沙が焦燥を募らせる展開でしたけど、そんな愛沙の気持ちにしっかりと応えてくれる康貴がいて、周囲やライバルも苦笑いで認めざるをえない揺るぎない絆があって、とてもお似合いの二人でしたね。
読了日:07月17日 著者:すかいふぁーむ
威風堂々惡女 7 (集英社オレンジ文庫)威風堂々惡女 7 (集英社オレンジ文庫)感想
皇帝の命によって流刑地から後宮へ戻ることになった雪媛。 しかし皇帝・碧成しか訪れない小さな楼閣・夢籠閣に軟禁され、身動きが撮れなくなってしまう第七弾。雪媛に命じられ、火事になったという雪媛の生家を訪れた青嘉。反対する者を次々と粛清し、次々と殺されてしまう雪媛の協力者。監視されて外部との連絡も断たれて、自身もまた衰弱していく夢も希望もない絶望的な展開でしたけど、誰も信じられない恐怖政治が始まったら、それはいつかこうなりますよね…先の読めない状況になってきましたが、ここからどうなるのか早く続きが読みたいです。
読了日:07月18日 著者:白洲 梓,蔀 シャロン
みんな蛍を殺したかったみんな蛍を殺したかった感想
京都の底辺高校と呼ばれる女子校で底辺の扱いを受けてきたオタク女子三人。そんな彼女たちの前に東京から転校してきた息を呑むほど美しい少女・蛍が現れるミステリ。生物部に入部してそれぞれの趣味に没頭する三人に近づき、絆を深めつつあった蛍はなぜ死んでしまったのか。親友と無邪気に言う彼女と接するうちに抱いてゆく複雑な心情、辛い中でも大切にしてきたものを奪われかけた先にあった悲劇。取り戻せない後悔に今も絡め取られ続ける彼女たちの絶望と、一見単純に見えていた構図の中から見えてくるそれぞれの深遠な真実が印象的な物語でした。
読了日:07月18日 著者:木爾 チレン
貴方のために綴る18の物語貴方のために綴る18の物語感想
とある決意を秘めていた駅のホームで見知らぬ老紳士から声を掛けられた美織。「ミスター・コント」と名乗った彼から、短編を18本読み簡単な感想を書くという仕事をもちかけられる物語。報酬は1字10円、総額143万円。新手の詐欺かと訝しみつつも押し切られる形で前金を受け取り、1日1話届けられる物語を読んでいくうちに、次第に高ぶってゆく彼女の中の思い、読み終えた美織に明かされる意外な真相。18の短編は特に連続性もなくいい話もひどい話あって様々でしたが、心揺さぶられる美織が最後に知る優しさがなかなか印象的な物語でした。
読了日:07月19日 著者:岡崎琢磨
雨夜の星たち (文芸書)雨夜の星たち (文芸書)感想
他人に感情移入できない三葉雨音26歳。同僚星崎くんの退職を機に仕事を辞めた彼女が、他人に興味を持たない長所を見込まれ「お見舞い代行業」にスカウトされる物語。できないことはできません。やりたくないこともやりません。そんなポリシーで始めた移動手段のないお年寄りの病院送迎や雑用をする「しごと」では、その割り切った姿勢を評価されたりあるいは怒らせたりもあって。けれど一方でそんな彼女のありようを複雑に思う羨ましいと感じる人もいて、何だかんだで生きづらそうな彼女にも居場所があって良かったなと思える、そんな物語でした。
読了日:07月19日 著者:寺地はるな
超空気支配社会 (文春新書 1316)超空気支配社会 (文春新書 1316)感想
SNSの炎上、コロナ、オリンピック…現代日本を動かしていたのは「空気」だった。同調圧力やSNS社会に抗うべきと考える著者が、ウェブ媒体に掲載された時評をまとめた評論集。実は酷評されていた前回の東京オリンピック、コロナ自粛という空気について、コロナ下での図書館利用制限の影響、歴史の教訓や令和の皇室、アートについて、軍歌大国北朝鮮訪問や中国レッドツーリズム体験紀行など、どうしても極端な方向に向かいがちなネット上での言論に振り回されないよう、冷静に中道を目指すべきという主張には見るべきものがあったと思いました。
読了日:07月20日 著者:辻田 真佐憲
義妹生活3 (MF文庫J)義妹生活3 (MF文庫J)感想
何故か悠太が働く書店にアルバイトの後輩として働き始めることになった沙季。そんな二人が義理の兄妹になって初めての夏休みを迎える第三弾。バイトを通じて沙季の新たな一面に気づいていく悠太、同じシフトで働く読売栞が指摘する一見優秀に見える沙季の危うさ。共有する時間が増えて、お互い意識していることを自覚してゆく展開でしたけど、やはり今までの距離感を踏み越えれば、それが転機に繋がるのは必然で、義理の兄妹だからこそ抱く危機感と、思い切った彼女の決断がどんな展開に繋がるのか…もどかしい二人の今後が気になって仕方ないです。
読了日:07月20日 著者:三河 ごーすと
ぼくたちのリメイク9 怪物のはじまり (MF文庫J)ぼくたちのリメイク9 怪物のはじまり (MF文庫J)感想
体調を崩し倒れてしまったシノアキの付き添いとして福岡の実家へと向かった橋場恭也。絵を描くことに向き合ってきたシノアキと家族の関係性を知った恭也が一つの決断を下す第九弾。シノアキの実家で知る彼女が抱える悩みの本質、恭也なしで作品を作り上げようとあがく貫之、ナナコの苦悩、新しいやり方を始めた恭也とシノアキに会いに来た斎川の想い。クリエイターとしてどうあるべきか、正論や理想なんて吹き飛ばしてしまう心揺さぶるその本質を突きつけられたら、目をそらすことなんてできないですよね…覚悟を決めたこれからの展開が楽しみです。
読了日:07月20日 著者:木緒 なち
負けヒロインが多すぎる! (ガガガ文庫 あ 16-1)負けヒロインが多すぎる! (ガガガ文庫 あ 16-1)感想
クラスの人気女子・八奈見杏菜が幼馴染に振られるのを目撃してしまった存在感のない温水和彦。そんな彼が負けヒロイン―マケインたちの恋路に巻き込まれ、絡まれる日々を描く青春ラブコメディ。杏菜に陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花といった劣勢必至なヒロインたちの迷走、そんな彼女たちと振り回される和彦のやりとりが加速して、ヒロインたちそれぞれの見事な負けっぷりが何とも残念な感じでしたけど、それもまたひとつの青春と思える甘酸っぱい展開はなかなか良かったですね。最後の最後で締まらないそのオチには思わず笑ってしまいました。
読了日:07月20日 著者:雨森 たきび
君は僕の後悔 (ダッシュエックス文庫)君は僕の後悔 (ダッシュエックス文庫)感想
浅田結弦の中学生時代の恋人・水野藍衣。後悔を抱えながらもゆるやかに過去となり、思い出になってゆくはずだった高校一年の夏、藍衣が再び結弦の前に姿を現す青春小説。自由奔放なな彼女に惹かれ、振り回されることに苦しんだ苦い過去。以前と変わらない真っ直ぐな想いをぶつけてくる藍衣に戸惑い、どうしようもなく惹かれているのを自覚する結弦。周囲も否応なく巻き込んでゆく藍衣は台風のような強烈な存在でしたけど、覚悟を決めた結弦は意外と冷静で、そんな二人だからこそ周囲も呆れるお似合いの二人なのかなと微笑ましい気持ちになりました。
読了日:07月20日 著者:しめさば,しぐれうい
友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 5 (オーバーラップ文庫)友人キャラの俺がモテまくるわけないだろ? 5 (オーバーラップ文庫)感想
冬華や夏奈、真桐先生がいて。今までとは何もかもが違った夏休みも終わり始まった二学期。体育祭を目前に控える中、『主人公』キャラの池春馬に想いを寄せる竜宮乙女から相談を持ちかけられる第五弾。春馬に振り向いてもらえるようサポートして欲しいという乙女からの依頼。体育祭を利用し春馬に乙女を意識させようと試みる優児たち。体育祭でも活躍したりと、これまでの積み重ねで変わりつつあるクラスでの優児の扱いには感慨深いものがある一方、懲りていない乙女には苦笑いでしたけど、何とも意味深な春馬の真意が気になるところではあります…。
読了日:07月21日 著者:世界一
カーストクラッシャー月村くん 1 (オーバーラップ文庫)カーストクラッシャー月村くん 1 (オーバーラップ文庫)感想
飛び抜けた存在の友人達がいつも側にいるカーストトップの超絶リア充高校生・月村響。そんな彼がカーストにまつわる問題を解決するため、クラスのオタク女子をプロデュースする青春小説。彼女の牧田奏、友人の静玖やココと協力して、桐谷羽鳥のファッションをレクチャーし、意識を変えてゆく響の目的。彼女の劇的な変化によってクラス内のカースト内に投げかけられた波紋、好転しかけていた矢先の些細で決定的な齟齬。そこからの急展開はベタで王道ではありましたけど、それだけで終わらせない意外な結末には驚かされました。これは続巻に期待です。
読了日:07月21日 著者:高野小鹿
きみは本当に僕の天使なのか (ガガガ文庫 し 5-1)きみは本当に僕の天使なのか (ガガガ文庫 し 5-1)感想
推したアイドルがことごとく引退していった沖田優羽の最後の希望、完全無欠のアイドル瀬在麗。自分が推す最後のアイドルと決めていた彼女から、彼氏になるよう依頼される青春小説。女性恐怖症を患う優羽が勇気を出して参加した麗の握手会。その夜に優羽の家に押しかけてきた麗の事情。急変してゆく日常の中で、アイドルの麗しか知らなかった優羽が知ってゆく彼女の素顔。目的に向かって突き進むどこか危うい彼女のありように振り回されながらも、彼女のために自分はどうすべきか、考えに考え抜いた選択とその結末にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:07月21日 著者:しめさば
五人一役でも君が好き (MF文庫J)五人一役でも君が好き (MF文庫J)感想
入学早々に肥だめに落ちて絶望していた牧原大河を救ってくれた生徒会長・近衛・R・知佳さん。完璧な彼女を五つ子が五人一役で演じていたことを知った大河が、全員を彼女にすべくハーレムを目指す青春ラブコメ。憧れの彼女の隣に並ぶため、猛烈な努力を積み重ねて生徒会入りを果たした大河。役割が違う個性豊かな五つ子たちもそれぞれに魅力的な存在で、下心まみれなのに地道な積み重ねをして奔走する大河がいっそ清々しいくらいですが、最後に待っていた予想外の展開にも決して諦めない大河の不屈の闘志に、尊敬の念すら覚えてしまいました(苦笑)
読了日:07月21日 著者:壱日千次
元カノとのじれったい偽装結婚2 (MF文庫J)元カノとのじれったい偽装結婚2 (MF文庫J)感想
改めて正式に入籍した晴と理桜。二人が相変わらず不器用な距離感を続ける状況で、理桜への挨拶という名目で晴のバイト先の同僚たちが家に遊びに来る第二弾。まだ晴に未練があり、さらには二人の関係を疑う同僚で晴と同大学に通う女子大生・鹿野千百合。垣間見えるメイド林田の闇の深さもなかなかヤバい感じで、ボロを出さないように頑張る二人のうかつさには苦笑いしかないですが、口ではいろいろ言っても二人は素直に向き合えていないだけで、よくよく見たら分かりやすい彼らの想いなんてバレバレですよね(苦笑)兄嫁の暗躍も気になる続巻に期待。
読了日:07月21日 著者:望 公太
ミモザの告白 (ガガガ文庫 は 7-3)ミモザの告白 (ガガガ文庫 は 7-3)感想
とある地方都市に暮らす冴えない高校生・紙木咲馬の完璧な幼馴染・槻ノ木汐。高校に進学してからは疎遠な関係な関係になっていた二人が、とある夜の公園で再会して世界が激変する青春小説。クラスの星原夏希に淡い恋心を抱く咲馬。そんな彼が劣等感を募らせる存在だった汐の抱える秘密。周囲が困惑するのも無理ないなと思う急展開に、良くも悪くも抱く思いあればこそ過剰な反応にもなるわけで、強烈なアリサや掴みどころのない世良の存在が効いていましたが、咲馬が振り回されながらも汐に懸命に向き合おうとした末の困惑の結末は…波乱必至ですね。
読了日:07月21日 著者:八目 迷
貘: -獣の夢と眠り姫- (ガガガ文庫 な 10-1)貘: -獣の夢と眠り姫- (ガガガ文庫 な 10-1)感想
共有された夢の中でも生活できる夢信空間が発展した世界。そんな夢に侵入し精神を破壊する悪夢を狩るチーム「貘」の少年・瑠岬トウヤが、車椅子に乗った魔女・呀苑メイアと出会うSFファンタジー。過去の因縁から悪夢を狩り続ける少年と、何一つ自由にならない身体を持つメイアの運命的な邂逅。そこからトウヤも関わる隠蔽された過去の大事件、夢信技術を巡る闇、そして関わった人たちの忘れられない因縁や思いが繋がって、目を覚ました災害級の悪夢〈獣の夢〉相手のギリギリの激闘、それを乗り越えた先にある結末にはぐっと来るものがありました。
読了日:07月22日 著者:長月 東葭
ストライクフォール (4)ストライクフォール (4)感想
慣性制御や散兵戦術により根底から覆された宇宙戦闘ドクトリン。シルバーハンズは火星のカレン・フェニックスを擁するガーディアンズと激突する第四弾。慣れない新ポジションで機能せず成績が下降線を辿る現状に苦悩する雄星、送り込まれてきたルナチャイルド・シルヴィア、そしてチームと雄星ともに正念場を迎える一戦。様々な思惑が絡み合う大人たち相手に渡り合う環もまた戦っていましたが、何よりそれぞれ思いを秘めながら競技に賭ける選手たちの熱量が凄まじくて、ここに来ての大胆な展開と決着に最後まで一気読みせずにはいられませんでした。
読了日:07月22日 著者:長谷 敏司
剣と魔法の税金対策 (3)剣と魔法の税金対策 (3)感想
新しく始めた魔族・人族共同の産業振興計画。不思議の妙薬の原料マンドラゴラ栽培・輸出で儲けようとするメイたちの前に、高級ブランドを持つエルフの国から横槍が入る第三弾。メイを宥めてなんとか挑んだエルフ族との交渉の決裂。状況把握のために向かったボストガルで明らかになってゆく関税絡みの陰謀。新キャラも登場して相変わらず暴走気味なメイや、ゼオスさん何食べてんですか?とツッコミたくなる展開もありましたが、事件こそ解決したもの何かいろいろ背後関係がありそうな気配ですね…思わぬ急展開が何をもたらすのか続巻が気になります。
読了日:07月23日 著者:SOW
京都岡崎、月白さんとこ 迷子の子猫と雪月花 (集英社オレンジ文庫)京都岡崎、月白さんとこ 迷子の子猫と雪月花 (集英社オレンジ文庫)感想
身よりをなくした茜とすみれが月白邸に暮らすようになって早や2ヵ月。大掃除中に月白さんが愛用していた酒器を見つけた茜は、青藍とともに清水に住む陶芸家・遊雪のもとを訪ねる第二弾。遊雪さんによる酒器の金継ぎと語られる過去の思い出、「花なき里」という名の舞扇の物語、茜たちの亡き父母の思い出の詰まった喫茶店の物語。三人が月白邸で過ごす日々が日常になりつつある中で、まだ時間は掛かるかもしれないですけど青藍の喪失感や、父母の不在を痛感する茜も少しずつ前を向けるようになっていけるといいな、と思わずにはいられませんでした。
読了日:07月24日 著者:相川 真,くじょう
神のダイスを見上げて (光文社文庫)神のダイスを見上げて (光文社文庫)感想
巨大小惑星ダイスが接近し人類があと5日で終わりを迎える『裁きの刻』。最愛の姉・圭子を殺された高校生の漆原亮が、自分の手で復讐すべく犯人を調べ始まる青春タイムリミットミステリ。唯一の家族だった圭子の衝撃的な死。ダイス接近により国内が大混乱に陥る中、恋人がいたらしい圭子の背後関係を調べていくうちに判明するダイスを崇拝するオカルト集団「賽の目」の存在。一連の事件を引き起こした妄執の結末を思うと何とも複雑な気持ちになりましたが、残された彼らが『裁きの刻』が迎える時、寄り添える理解者が傍にいてくれて良かったですね。
読了日:07月25日 著者:知念実希人
雲神様の箱 花の窟と双子の媛 (角川文庫)雲神様の箱 花の窟と双子の媛 (角川文庫)感想
樟葉を攻め落として、飛鳥の大王への叛逆の旅を続ける若王・雄日子と土雲族・セイレン。戦続きの旅にも慣れてきたセイレンだったが、一族の追手に襲われ故郷の異変を知らされる第三弾。人の形をとった神に育ての親と双子の姉・石媛が囚われていると知って、里へ忍び込む計画を企てるセイレン。危険を顧みず協力を申し出た雄日子の秘めた目的。違う生き方を重ねてきたセイレンと石媛は、一族の危機に対する思いも対照的で、雄日子の率直な物言いはある意味残酷ではありましたけど、彼の立場を考えるとその気持ちも何かわかるなと思ってしまいました。
読了日:07月25日 著者:円堂 豆子
Re:ゼロから始める異世界生活27 (MF文庫J)Re:ゼロから始める異世界生活27 (MF文庫J)感想
玉座を追われた皇帝アベルと対峙するスバルは、レムを連れてルグニカ王国への帰還を誓う。だが、乗り込んだ城郭都市で予測不可能に迫りくる『死』の螺旋がスバルを襲う第二十七弾。アベルたちと袂を分かったスバルがグァラル城郭都市で直面する、なかなか逃れられない死の恐怖。やはり帝国全土を巻き込む巨大な内乱に巻き込まれることになりましたけど、こういう時こそスバルの奇策が光りますね。けれど意外と真っ当なアベルを見ていると、なぜこんな状況に至ったのかその理由が気になるところではあります。まさかの急展開もどうなるか楽しみです。
読了日:07月26日 著者:長月 達平
推し飯研究会 (集英社オレンジ文庫)推し飯研究会 (集英社オレンジ文庫)感想
この春から一人暮らしを始めた料理嫌いの大学生・佳奈子。ひょんなことから入った『推し飯研究会』に入った彼女が、手作り料理の美味しさや「推し」がいかに尊いのかを実感してゆく物語。先輩や友人の様々な推しの話を聞いて、どんどん感化されてゆく佳奈子。そして研究会で作られる「愛ゆえにたまごトースト」「ストイック素うどん」「適当極みクッキー」「懐深いカレー」「背徳の炭水化物パーティー」といった推し飯も美味しそうで、最後に彼女自身によって明かされる自らの推しのエピソードでこれまでの伏線が回収されてゆく素敵な物語でしたね。
読了日:07月26日 著者:秋杜 フユ,コナリ ミサト
水よ踊れ水よ踊れ感想
香港でスラムの闇に飲み込まれた一人の少女。大学生の瀬戸和志はかつての恋人が死んだ理由を探るため、建築学院の交換留学生として再び返還直前の香港の地を踏む物語。活動家やボートピープル、黒社会の住人、共産党員と噂される大物建築家、彼女の家族などとの出会いを通じて、次第に浮かび上がる混沌とする香港の実相。そして彼女がひた隠しにしていた過去。突きつけられた真相は和志にとってなかなか厳しいものでしたけど、過去に向き合ったからこそ生まれた強い決意があって、熱い思いで希望を見出そうとするその姿がとても印象的な物語でした。
読了日:07月27日 著者:岩井 圭也
科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
東啓大学理学部に新設された寄附講座『科学警察研究講座』。新たに配属された松山悠汰が、科捜研から派遣された研究員・北上の指導のもと、同期の藤生と協力して実際の未解決事件の捜査に携わる第三弾。未解決強盗殺人事件で金庫に付着した絵具の意味、二人の夫を転落死で失った妻の事件性、密室で死亡した老人の体内から検出された高濃度のヒ素、藤生の弟が公園で殺害された十四年前の事件。土屋先生のひらめきからの推理力は相変わらずで、今回からメンバーも環境も一新されて新鮮な気持ちで読めましたが、最後の結末はちょっと切なかったですね。
読了日:07月27日 著者:喜多 喜久
零の晩夏零の晩夏感想
描かれたモデルが例外なく死に至る「死神」の異名を持つ謎の絵師ナユタ。駆け出しの美術ライター八千草花音が、運命に導かれるようにナユタの謎を追う美術ミステリ。広告代理店を辞めた花音が巡り合った美術ライターの仕事。その中で紹介される謎の絵師ナユタの存在。関係者として紹介される人々を取材し、その謎を追ううちにナユタを巡る壮絶な過去と意外な繋がりが明らかになって、元同僚・浜崎の存在もなかなか効いていましたけど、運命に導かれるように謎を追う花音が、紆余曲折の末にたどり着いた壮大な真相にはぐっと来るものがありましたね。
読了日:07月28日 著者:岩井 俊二
四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫)四元館の殺人 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫)感想
犯人のAI・以相が電脳空間で開催した犯罪オークション。落札したのは復讐のための殺人を叶えたいというひとりの少女だった?以相による殺意の連鎖を食い止めるべく、AI探偵・相以と助手の輔が動き出す第三弾。雪山に佇む奇怪な館「四元館」に住まう奇妙な四元一族と、閉ざされた館で次々と不可思議な変死事件を引き起こした前代未聞の犯人。さすがにこれは予想もつかない斜め上の犯人で苦笑いしたけど、相以と以相の駆け引きだったりAIらしい発想も出てきたりで、うまく逆手に取って窮地を切り抜けたアイデアはなかなかおもしろかったですね。
読了日:07月28日 著者:早坂 吝
むすぶと本。 『夜長姫と耳男』のあどけない遊戯 (ファミ通文庫)むすぶと本。 『夜長姫と耳男』のあどけない遊戯 (ファミ通文庫)感想
中学二年生の夏に出会った、はな色の本を忘れられずにいた榎木むすぶ。そして中学三年生の夏、むすぶは再び北陸の地を訪れる第三弾。悠人先輩の妹・蛍やハナを交えたやりとりや、女の子にモテモテな若迫くんの恋愛相談、悠人先輩の初恋、そしてむすぶと夜長姫との再会、悠人先輩の遠縁の親戚で、次々との男をたぶらかすお嬢様・鏡見子。流人や千愛といった文学少女ファンには懐かしいキャラたちのその後も盛り上がりましたけど、何より夜長姫と思いを交わすようになるまでのきっかけのエピソードもなかなか鮮烈で、改めてここからの続巻に期待です。
読了日:07月28日 著者:野村 美月
仮面家族仮面家族感想
高1の娘・栄子に毎日詳細な日記を書かせ、やるべきことを命令してくる母。かなり年下で画家らしい母の言いなりの新しい父。その狂気にも似た行動の驚愕の理由が徐々に明らかになってゆくミステリ。隣に住む女子高生と仲良くなれと指示したかと思うと、嫌われろと言ったり、娘を振り回す母に対する不満と疑問。父や家庭教師も絡めた様々な出来事の積み重ねで、少しずつ確実に変わってゆく隣の黒崎家。様相をガラリと変えてゆく構図、浮かび上がる真相の先に迎える結末も衝撃的でしたが、だからこそ最後に突きつけられた痛烈な皮肉が効いていました。
読了日:07月29日 著者:悠木 シュン
DEVIL'S DOOR (集英社文庫)DEVIL'S DOOR (集英社文庫)感想
ヒト型AI・マニピュレイテッドが人と同等の自由を得た世界。悪魔祓いを生業とするヒト型AIのユマがその身に魂を宿すため、聖書の形を模した悪魔アグリと契約して〈地獄の扉〉を探す近未来ファンタジー。かつての主人の意志を継いで、お喋りなアグリを相棒に導きの悪魔を探し求めるユマ。そんな二人が遭遇する悪魔絡みの事件、そして悪魔的な美声で人々を魅了する歌姫シオリの護衛任務。テンポの良いストーリー展開で、心を解さないAIが変化し、魂を堕落させようとする悪魔とのコンビで恐るべき真実にたどり着く結末はなかなか面白かったです。
読了日:07月29日 著者:東山 彰良
継母の連れ子が元カノだった7 もう少しだけこのままで (角川スニーカー文庫)継母の連れ子が元カノだった7 もう少しだけこのままで (角川スニーカー文庫)感想
水斗と散々嫌みを言い合った手前、いまさら好きだと言いにくい結女。緊張の面持ちで生徒会に足を踏み入れた彼女が、会長・紅鈴理はじめ女子メンバーの恋バナをヒントに、水斗から告白させるための小悪魔ムーブを思いつく第七弾。生徒会で結女をライバル視する同級生の新キャラ明日葉院のお約束な展開が可愛くて、積極的な紅会長や空回りする愛沙に感化される結女が相変わらず迷走していて苦笑いでしたけど、普段はいさなが天然っぷりを発揮してぐいぐい水斗に迫る中、大事なところは譲らない結女みたいな展開があるからこの物語は面白いんですよね。
読了日:07月30日 著者:紙城 境介
時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん2 (角川スニーカー文庫)時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん2 (角川スニーカー文庫)感想
コンビを組んで会長選を戦い抜くことを約束したアーリャと政近。圧倒的なカリスマを誇る次期会長候補筆頭・周防有希との対決に向け、アーリャと政近は対策会議をはじめる第二弾。覚悟を決めてちょっと真面目な雰囲気になってきた政近とどこか懐疑的なアーリャ。会長選を戦うにあたって改めて有希の存在感がクローズアップされる展開で、兄妹が好きすぎてヤバい彼女の従者・綾乃と有希のやりとりには苦笑いでしたけど、ここにきて様々な角度から焦点を当てることで、アーリャにも分かるように彼の評価をぐっと高めていく展開はなかなか良かったです。
読了日:07月30日 著者:燦々SUN
彼女にナイショの恋人ごっこ。 (角川スニーカー文庫)彼女にナイショの恋人ごっこ。 (角川スニーカー文庫)感想
出向先の菓子工場で働く大野一郎と、その彼女で多忙から会えない月日が重なってゆく大人気アイドル・小犬沢彼方。彼が通うコンビニでバイトをする女子高生・猫平桃子が、恋愛相談の相手になる青春小説。桃子の提案に彼方を繋ぎ止めたい一心で、桃子に理想の恋人を教わることにした一郎。コンビニでバイトしながら一郎の工場でも働くようになった桃子が抱える秘密。一郎をからかっていた桃子の窮地を放っておけなくて、なかなか会えない彼方もまた真摯な思いを抱えていて、一郎を巡るこの複雑な関係がどこに向かうのか今後に期待の新シリーズですね。
読了日:07月30日 著者:あまさきみりと
幼なじみからの恋愛相談。2 相手は俺っぽいけど違うらしい (角川スニーカー文庫)幼なじみからの恋愛相談。2 相手は俺っぽいけど違うらしい (角川スニーカー文庫)感想
幼馴染である栞から恋の相談を受け、応援することになった龍之介。しかし疎遠となっていた空白の時間が埋まるにつれ、栞に対しての気持ちが恋であることに気付いてしまう。不器用な二人の恋物語第二弾。こういう形でしか再接近できない不器用な栞と、彼女の気持ちをなかなか汲み取れない龍之介。そこにバイトで出会ったクラスメイトの新キャラ・三瀬の登場や、ぐいぐい来る後輩キャラ・本間の存在で、栞がますます素直になれず、どうにかしようと思っても空回りするもどかしい展開でしたけど、こじらせた両片思いの二人をまた応援したくなりました。
読了日:07月30日 著者:ケンノジ
果てない空をキミと飛びたい 雨の日にアイドルに傘を貸したら、二人きりでレッスンをすることになった (HJ文庫)果てない空をキミと飛びたい 雨の日にアイドルに傘を貸したら、二人きりでレッスンをすることになった (HJ文庫)感想
飛行機が身近になった世界。雨の中で泣く美少女・涼名美月と出会った航専科所属の矢ヶ崎矧。翌日美月と再会した矧は、飛び方を知らない彼女に飛行機操縦を教えることになる青春小説。空が怖くて萎縮し今にも心折れそうになっていた美月。そんな彼女にマンツーマンで教え、その笑顔を取り戻してゆく矧。飛行機バカの矧と努力家の美月が絆を育んでゆく甘酸っぱい展開に、優しく厳しい教官や美月の友人の存在も効いていて、なかなか厳しそうな目標に二人がこれからどう挑むのか、関係がどう変わってゆくのか、この物語の続きをまた読みたくなりました。
読了日:07月31日 著者:榮 三一
ねぇ、もういっそつき合っちゃう? 1 幼馴染の美少女に頼まれて、カモフラ彼氏はじめました (HJ文庫)ねぇ、もういっそつき合っちゃう? 1 幼馴染の美少女に頼まれて、カモフラ彼氏はじめました (HJ文庫)感想
オタク男子・真園正市と、人気者の美少女で腐れ縁の幼馴染・来海十色。正市の部屋に入り浸る家族同然の十色から頼まれて、正市が偽装カップル役を演じる青春ラブコメディ。友人に誘われて正市と遊べず、恋愛関係のトラブルにも巻き込まれる状況に嫌気がさした十色からの依頼。学校での立ち位置以上に、熟年夫婦のような以心伝心っぷりでかえって怪しまれる展開には苦笑いでしたけど、彼女のために変わろうとする正市の心境の変化があって、けれどお互いが大切にしているものは変わらなくて、そんな二人のこれからがとても楽しみな新シリーズですね。
読了日:07月31日 著者:叶田キズ

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