ライトノベルを読んでいると、ラブコメっていうほどじゃないなと思うけど、かといって青春小説というのはラノベだとちょっと硬いかな…しっくり来ないなとも感じていて、実はどう書けばいいのか密かにモヤることも少なくありませんでした。 そんな中で見たこれですよこれ! こんな感じの言葉で表現したらいいのかなと思いました。
とりあえず積極的に『アオハル・ラノベ!』『アオハル小説』って紹介の最後の〆に使っていこうかしら
— ゆきとも@ラノベ系YouTuber (@yuki_tomo624) 2021年6月13日
ほんと個人的にはアオハル小説好きなのでこういう言葉があったらいいですね。 なので最近の巻数少なめなおすすめ作品を15作品紹介したいと思います。
1.楽園ノイズ (電撃文庫)
女装して演奏動画をネットにアップし(男だけど)謎の女子高生ネットミュージシャンとして一躍有名になってしまった村瀬真琴。音楽教師・華園先生に正体を知られ、その弱みからこき使われる羽目に陥った彼が、三人の少女と巡り合うボーイ・ミーツ・ガールズ。不真面目な教師・華園を通じて巡り逢うひねた天才ピアニストの凛子、華道お姫様ドラマーの詩月、不登校座敷童ヴォーカリストの朱音。いかにも著者さんらしい主人公にヒロインたちがいて、そのテンポの良いやり取りは癖になって、熱く盛り上がってゆくストーリーは控えめに言って最高でした。現在2巻まで刊行。
2.オーバーライト ――ブリストルのゴースト (電撃文庫)
ブリストルに留学中の大学生ヨシがバイト先の店頭で発見したグラフィティ。何故か絵には詳しい先輩ブーディシアとともに落書きの犯人探しに乗り出す物語。犯人探しをする過程で出会ったグラフィティを競い合う少女ララや仲間たち。グラフィティの聖地を脅かす巨大な陰謀と、かつて「ブリストルのゴースト」と呼ばれたブーディシアが描くのを止めてしまった理由。登場人物たちのグラフィティへの熱く複雑な想いが交錯する展開でしたけど、真相にたどり着く中で明かされる過去と、葛藤を乗り越えて立ち向かうその姿にはぐっと来るものがありました。21年7月に3巻目刊行予定。
3.僕が答える君の謎解き 明神凛音は間違えない (星海社FICTIONS)
瞬時に犯人を突き止めるものの無意識下で推理を行い、真実に至った論理を説明できない生徒相談室の引きこもり少女・明神凛音。そんな彼女を教室に復帰させるため、伊呂波透矢が「彼女の推理」を推理してゆく青春ミステリ。指輪紛失事件や、彼女と出会うきっかけとなった机の落書き、二年前体育倉庫で起きた事件の真相など、凛音の姉・芙蓉や同級生の紅ヶ峰も絡めながら、凛音が推理に至る論理を透矢が解き明かしてゆく展開でしたが、彼女の思考に寄り添うことで育まれてゆく二人の距離感がなかなかいい感じで、今後がとても楽しみなシリーズですね。
4.義妹生活 (MF文庫J)
親同士の再婚をきっかけに、同級生の美少女・綾瀬沙季と兄妹として同居することになった高校生の浅村悠太。男女関係に慎重な価値観を持つ二人が、適度な距離感を試行錯誤する家族小説。不器用で孤独に努力を重ねて他人に甘える術を知らない沙季と、その言動に戸惑いながらも真摯に向き合おうとする悠太。甘い展開というよりは、バイト先の読売先輩にからかわれつつ、わりと独特な考え方をする沙季の良き理解者的立ち位置になっていくのかな…と思いながら読みましたけど、最後にある沙季の日記がじわじわ来る感じで、これは今後の展開が楽しみです。21年7月に3巻目刊行予定。
5.元カノが転校してきて気まずい小暮理知の、罠と恋。 (ガガガ文庫)
元カノが転校してきて気まずい小暮理知の、罠と恋。
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野村 美月/へちま 小学館 2021年03月18日
中学時代、秘密の恋人同士だった理知と孤高の美少女渋谷ないる。理知に一方的に別れを告げて転校した彼女が、再び転校生として彼の前に現れる青春小説。再会していっそう美人になったないるを意識せずにいられない理知。一方、理知に冷たい横顔を向けつつ、意味深な発言を繰り返すないる。変わり者の上級生佐伯冴音子の策略に振り回されたり、思わぬ急展開に動揺する理知には忘れていた過去があって、不器用過ぎて拗らせてしまう彼らの距離感がもどかしかったですけど、失いかけていた大切なものを取り戻した二人が迎える結末は微笑ましかったです。
6.ひだまりで彼女はたまに笑う。 (電撃文庫)
高校生活初日の朝、銀髪碧眼の少女・涼原楓と猫が相対している場面に遭遇した佐久間伊織。同じクラスとなった表情の乏しい少女を笑顔にさせる、甘くも焦れったい恋の物語。学校ではほとんど感情を表に出さない楓。だからこそ偶然目にする彼女の笑顔にたびたびハートを撃ち抜かれる伊織。彼女にパパラッチ呼ばわりされ、楓の親友・美鈴や周囲に生温かく見守られながら、少しずつ距離を詰めてゆく好青年・伊織が、可愛い妹と猫で楓を家に呼ぶ展開もほんわかしていてよかったですし、苦難に寄り添って一歩近づいた二人のこれからがとても楽しみですね。
7.キミの青春、私のキスはいらないの? (電撃文庫)
「高校生にもなってキスしたことないって病気じゃない?」そんな言葉に苦悩する完璧主義者で医師を志す黒木光太郎が、「誰とでもキスする女」と噂される同級生の日野小雪ととある勝負をする青春小説。小雪と出会って無意味でくだらない日々を過ごすうちに、彼女を意識せずにはいられなくなってゆく光太郎。幼馴染の純も絡めた友人たちとの放課後の時間も楽しくなっていって、誰もが複雑で繊細な思いを抱えるからこそ突然のすれ違いが半端なく寂しくて、みっともなくあがいてしまう彼らの奔走と迎える結末がほんと青春してるなあ…と眩しかったです。
8.失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い (講談社ラノベ文庫)
失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い 〜ビターのちシュガー〜
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七烏未 奏/うなさか 講談社 2020年10月02日頃
辛い失恋で体調を崩し、学校を休んでしまった高校生・沢渡悠。そんな彼のもとに理由もわからないまま険悪になっていた隣の部屋の幼馴染・白雪心愛が現れ、看病をきっかけに関係を再構築してゆく物語。再び悠を構うようになった心愛に首を傾げながらも、再び距離が近づいてゆく二人。彼女との触れ合いの中で傷付いた心を癒やされていく悠と、不器用な心愛の秘めていた想い。大きすぎる喪失感を簡単には切り替えられなくても、けれど彼女や周囲に支えられて積み重なってゆく想いがこれからどんな変化をもたらすのか、今後が楽しみな新シリーズですね。現在2巻まで刊行。
9.俺がピエロでなにが悪い! (講談社ラノベ文庫)
ストリートパフォーマーという将来の夢のため、密かに病院でホスピタル・クラウンとして芸を披露する高校生・宮守樹。なかなか笑わない入院中の少女・茉莉を笑わせようと奮闘する彼が、病院でクラスメイトのギャル・市川愛莉と出会う青春小説。高校ではボッチでも成績優秀な樹、そして読者モデルで遅刻常習犯でもある愛莉が抱える事情。アンタッチャブルだった愛莉に意見する樹と出会った転機、彼のことを知って変わろうとする彼女の思いがあって、樹が披露する真摯な芸が試練を抱える茉莉にも勇気をもたらす展開にはぐっと来るものがありましたね。
10.絶対にデレてはいけないツンデレ (電撃文庫)
一昔前に流行ったツンデレヒロインみたいなセリフから始まった夜船史吹と蒼月水悠の関係。自分を偽る少年少女が、好きな人に「デレる」までの物語。女王が支配する教室で、常にツンツンしてクラスでも浮いた存在だった蒼月。けれどその裏には隠れている温かさがあって、お互い他には言えない秘密を抱えていて、意外とファンタジーな理由だった蒼月の抱える呪いはなかなか難儀でしたけど、それでも積み重ねていった先に乗り越えた文化祭をきっかけとした様々な変化と、本来のらしさを取り戻してゆく二人が迎える結末にはぐっと来るものがありました。
11.飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか? (角川スニーカー文庫)
飛び降りようとしている女子高生を助けたらどうなるのか?(1)
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岸馬 きらく/黒なまこ KADOKAWA 2021年03月31日
特待生の学費免除を維持するため勉強とアルバイトに明け暮れる高校生・結城祐介。ある日、廃ビルの屋上から身投げしようとする少女・初白と出会う青春小説。勉強とバイトだけの日々に疲れ果て突然彼女が欲しくなってしまった祐介と、思ってもみなかった告白から同居生活を始めることになった訳アリの少女・初白。彼女がいる幸せを噛み締めながらきちんと配慮できる祐介の優しさがあって、彼らを助けてくれるいい友人がいて、ともに過ごすうちに少しずつ癒やされてゆく初白の危機に立ち向かい、一緒に乗り越えてみせる展開はなかなか良かったですね。
12.遥かなる月と僕たち人類のダイアログ (講談社ラノベ文庫)
援助交際をしているという噂の炭風凌香にクラスで自分にその真偽を尋ねるよう依頼された涼間鈴樹。不可解な言動の凌香に疑問を覚えた後を追った涼間が彼女の秘密知ってしまう青春小説。凌香によって明かされる彼女に性欲を抱いた人間は死んでしまう『月』の呪い。月の呪いを掛けられた凌香の背景はシリアスですが、表情に乏しそうな凌香なのに涼間に対する態度や言動はどこかじわじわくる感じで、呪いの原因である月もなかなかお茶目で、そんな彼女たちの素顔を引き出してみせた涼間の真摯に向き合おうとする姿勢が何かとてもいいなと思えましたね。
13.他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた (角川スニーカー文庫)
他人を寄せつけない無愛想な女子に説教したら、めちゃくちゃ懐かれた(1)
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向原 三吉/いちかわ はる KADOKAWA 2021年03月31日
ある日クラスメイトの不真面目女子・江南梨沙に対して、ついその態度を説教してしまったクラス委員長の大楠直哉。なぜかその翌日から江南に懐かれてしまう青春小説。彼女に説教をしたことで気まずくなったと思っていたのに、なぜか翌日から彼を待ち伏せして一緒に帰ろうとするようになった江南。その理由も分からないまま、彼女の突然の変化に主人公や周囲も困惑する展開でしたけど、多くを語らない少女が時折見せる表情がとても印象的で、その繋がりから少しずつ変わっていったこともあって、そんな二人のこれからをまた読んでみたいと思いました。
14.同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています (MF文庫J)
同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています(1)
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凪乃 彼方/葛坊 煽 KADOKAWA 2020年11月25日頃
交通事故のせいで高校浪人を余儀なくされた高村颯太。かつての同級生・倉咲千春に告白すべく一年遅れで入学した高校で、陸上部の後輩だった藤本青海に再会する青春ラブコメディ。高校浪人であることを隠しながら、先輩となった倉咲さんに告白しようとして空回りする颯太と、そんな彼にグイグイ懐いてくる同級生・青海。そんなもどかしい状況に過去に事情を抱える周囲のヒロインたちも絡めながら、だんだんと物語の構図が見えてくる展開でしたけど、いろいろ捻れたり隠されている真相をこれからどう使ってくるのか、今後が楽しみな新シリーズですね。現在2巻まで刊行。
15.放課後の聖女さんが尊いだけじゃないことを俺は知っている (ファンタジア文庫)
放課後の聖女さんが尊いだけじゃないことを俺は知っている(1)
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戸塚 陸/たくぼん KADOKAWA 2021年05月20日
コンビニからの帰宅途中に、同級生で聖女と呼ばれる美少女・白瀬聖良と出会った平凡な高校生・倉木大和。誘われるまま、真夜中の繁華街で共に時間を過ごし、その日をきっかけに二人の交流がはじまる青春小説。初めてのダーツ、CD貸し借り、ラーメン巡り…たまに甘えてきて、少しやんちゃな一面のある聖良と関わって色づいていく退屈だった大和の日常。言葉では言い表し難い聖良との関係に、周囲の目を気にしたり、考えすぎて空回りすることもありましたけど、お互いにかけがえのない存在なのは間違いなくて、そんな二人のこれからが楽しみですね。
以上です。気になる本があったら是非読んでみて下さい。