先週刊行された本から気になった本をピックアップする今週注目のおすすめ15冊です。今回は月末ということもあり文芸単行本が多めです。畠中恵さんの『いわいごと』、瀬尾まいこさんの『その扉をたたく音』、住野よるさんの『麦本三歩の好きなもの 第二集』などが刊行になっています。
またシャネルの衝撃的な回想録『私の名前を知って』や、人気ポッドキャスト『ハードコア・ヒストリー』の語り手による『危機の世界史』、中公新書の『男が介護する-家族のケアの実態と支援の取り組み』も挙げておきたいと思います。
『いわいごと』
畠中 恵 文藝春秋 1,540円(税込)
江戸町名主の跡取り息子・高橋麻之助のもとに縁談が三つも!だが、どの縁談も妙なところがあるようで……。果たして縁談の行方は⁉
『その扉をたたく音』
瀬尾 まいこ 集英社 1,540円(税込)
29歳、無職。ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。 音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。
『麦本三歩の好きなもの 第二集』
住野 よる 幻冬舎 1,650円(税込)
後輩、お隣さん、合コン相手-三歩に訪れる色んな出会い。図書館勤務の20代女子・麦本三歩のあいかわらずだけどちょっと新しい日々。
『小説 品川心中』
坂井 希久子,柳家 喬太郎,松浦 シオリ 二見書房 1,540円(税込)
元最上位の遊女・お染。寄る年波には勝てず、馴染みの客たちも離れてしまい、いまや衣を新調するための金にも困るようなありさま。元来の勝気な性格もあって、ひと思いに死んでしまおうかと思うが、金に困ってひとり死んだと言われることはあまりにりも悔しく、ならは、心中をしようと考える。独り身で大食らい、ぬけている金蔵を相手に選び、手練手管で、ついに心中の約束を取りつけるのだが――
『ヴィクトリアン・ホテル』
下村 敦史 実業之日本社 1,760円(税込)
事件、誘惑、秘密の関係……すべてを見ているのは、このホテルだけ。伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテル」は明日、その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命の行方は――?『闇に香る嘘』『黙過』『同姓同名』など、話題作を次々発表する社会派ミステリの旗手がエンターテインメントを極めた、感動の長編ホテルミステリー! !
『六人の嘘つきな大学生』
浅倉 秋成 KADOKAWA 1,760円(税込)
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。
『草原のサーカス』
彩瀬 まる 新潮社 1,650円(税込)
私たちは、どこで間違ったのだろう――? 転がるようにうつろう世界で。製薬業界で研究者として働く姉と、アクセサリー作家として活動する妹。二人は仕事で名声を得るも、いつしか道を踏み外していく。世間の非難を浴びた転落の末に、彼女たちの目に映る景色とは。政治、経済、感染症の拡大……移り変わりゆく社会の中で、もがきながら再生の道を探る姉妹の姿を描く。
『私の名前を知って』
シャネル・ミラー,押野素子 河出書房新社 2,860円(税込)
2015年の米スタンフォード大で、シャネルを襲った性暴力事件。自身の身体に残された傷跡、そして現場から逃亡しようとした加害者と、それを阻止した目撃者の存在は、犯行が疑いのないものであることを示していた。しかし、事件以後の彼女に訪れた、孤独感や羞恥心との絶え間ない闘いの日々……彼女は何に怯え、何と闘い、何に勇気づけられてきたのか? 自分自身を取り戻すために過ごさなければならなかった波乱に満ちた時間を描き、社会や司法制度が抱える差別や抑圧に挑んだ、衝撃的な回想録。
『ダークデータ: 隠れたデータこそが最強の武器になる』
デイヴィッド・J・ハンド,黒輪篤嗣 河出書房新社 2,860円(税込)
私たちは世界を正しく認識しているつもりでも、たいせつな情報を見落としがちだ。医療・健康、マネー、アンケート調査、科学論文などの事例をまじえて、情報分析の極意を伝授する!
『危機の世界史』
ダン・カーリン 文藝春秋 2,200円(税込)
破局はいつもすぐそこにある――。新型ウイルスのパンデミックという事態を、世界中の誰が予期していただろうか。しかし過去を見直せば、人類の歴史は文明の崩壊、強力な疫病、核戦争の脅威といった、破滅への曲がり角でいっぱいだった。人気ポッドキャスト『ハードコア・ヒストリー』の語り手である著者が、古今東西の危機の時代を自在に往来し、人間と文明への疑問を投げかける。
『トロイア戦争』
エリック・H.クライン 白水社 2,750円(税込)
はるか昔、トロイア戦争の伝説を生み出した紛争があったのだろうか?叙事詩が歴史的事実に基づいていた可能性が本格的に注目されたのは、1870年代のシュリーマンによる発掘以降のことだった。以来、多くの発見がなされたが、謎はいまだに残る。本書はトロイア戦争に関連する三つの分野の研究成果――ホメロス叙事詩と「叙事詩の環」などの文学資料、ヒッタイト文書という歴史学資料、ヒサルルック遺跡からの考古学資料――を渉猟し、多角的・総合的に検証する。
『図説英国王室の食卓史』
スーザン・グルーム 原書房 4,180円(税込)
極上料理への欲望、豪華絢爛たる正餐――「食」への執着に苦悩する王たち。リチャード2世からエリザベス2世まで、歴代英国王の食卓を通し、貴重図版とともにたどる食文化の変遷。奇想天外な料理や大量の食材調達、毒見、マナー・厨房の発展など。
『ゆうきまさみロングインタビュー』
ゆうき まさみ 小学館 2,420円(税込)
ゆうきまさみがデビュー以来の作品と、40年の漫画家生活を語り尽くすロングインタビュー本。「運が良けりゃ!」(WITH A LITTLE BIT OF LUCK)と、自由に漫画を遊び、「運」だって味方につける、ゆうきワールドの魅力に迫ります。デビュー作など、また、貴重な漫画原稿をカラー写真で掲載。三谷幸喜氏との対談の再録や、単行本未掲載の漫画『究極超人あ~る EVOLUTION』『ちるた』も収録した、画業40年のメモリアルアイテム。
『我が師・志村けん 僕が「笑いの王様」から学んだこと』
乾き亭 げそ太郎 集英社インターナショナル 1,760円(税込)
乾き亭 げそ太郎 集英社インターナショナル 2021年02月26日頃
口数少ない志村けん氏の毎日を付き人として7年間、朝から晩まで、海外へも同行した男がいた。鹿児島出身の若者・櫨木信一(後に乾き亭げそ太郎)。志村けん氏に憧れ、上京した櫨木は運良く、ドライバー兼付き人として採用される。「笑いは正解のない世界だから、俺から教えることは何もないぞ」櫨木はその教えを真正面から受け止めて育っていった。
『男が介護する-家族のケアの実態と支援の取り組み』 (中公新書)
津止 正敏 中央公論新社 902円(税込)