これまで当ブログでは小説メインにいろいろ本を紹介してきましたが、考えてみたら小説だけに限定することもないなと思い、今回試験的に比較的最近読んだ中で今時代を考えるおすすめ本を15冊紹介してみようと思いました。このあたりは読んでる冊数が冊数なので今後は機会があったらとは考えていますが、小説以外にもいろいろおもしろい本がたくさん出ているので、これまでの形式も維持しつつ、そのあたりも週一回くらいの頻度でこのブログを使っておすすめしていけたらなと思っています。
1.ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式
今注目の著者が明かす、大きく切り替わった時代をしなやかに生き抜く「思考法」「働き方」「生き方」「キャリア」「学び方」についての考え方。「役に立つ」から「意味がある」に価値観がシフトしつつあるこれからの時代に必要なのは物事を解決する力や予測ではなく、物事を発見する力や構想力。社会構造の変化を6つのトレンドで読み解きつつ、24の新時代の思考・行動様式をオールドタイプからニュータイプへのシフトという形で解説した本書は頷けるところも多く、時代とともに求められる力も変わってゆくことを改めて実感するオススメの一冊。
2.歪んだ正義 「普通の人」がなぜ過激化するのか
テロリズム、学校襲撃、通り魔、コロナ禍に現れた「自粛警察」に共通する「歪んだ正義から」発生する暴力のメカニズムを、テロ加害者と被害者が混在するエルサレムで支局長を務めた著者が解き明かす一冊。現地での多くの取材から見えてくる、いわゆる「普通の人」が様々な経緯を経て過激化への道程を突き進んでしまう危険性には実感が伴っていて、強いストレスにさらされ続ける今の日本においても、その置き換えが歪んだ形で表出する今の状況はありますが、こういう時だからこそその意味を見極め、冷静に対処することの重要性を改めて痛感しました。
3.スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX
スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX
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島田 太郎/尾原 和啓 日経BP 2021年01月09日頃
コロナ禍を追い風に変えて成長を加速させているGAFA企業群に対し、日本企業はこれからどうすべきなのか。「スケールフリーネットワーク」をベースとした考え方でこれからのあり方を考える一冊。DX=デジタルトランスフォーメーションという言葉を最近よく耳にしますが、それをどう見てこれからどう考えていくべきなのか。圧倒的に見えるインターネット企業群の独占状況も現時点ではデジタル上のごく一部で、ここからの未だ手を付けられていないものづくりから得た資産をどう活かしていくべきか、それをわかりやすく示唆してくれる一冊ですね。
4.この一冊で全部わかる ビジネスモデル
この一冊で全部わかる ビジネスモデル
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根来龍之 富樫佳織 足代訓史 SBクリエイティブ 2020年11月21日頃
ビジネスの本質や企業の成り立ちを1つずつ解説して、その収益の仕組みや、他の企業に勝ち続けている「強さの秘密」を理解しようと試みた1冊。ビジネスモデルから戦略モデル、オペレーションモデルや収益モデル、ビジネスが成立するかを決める前提のコンテキストなど、63パターンのビジネスモデルを前提から実例、成立条件から落とし穴まで解説。面白い発想から生まれた先行事例を読むと、これから同じことの後追いではなかなか厳しいですし、どうすればこれまでと違った新しいビジネスを作り出せるのか、大胆な着想が大事なんだなと感じました。
5.歴史を変えた10の薬
一万年以上前から使用されていたアヘン、天然痘ワクチンを生み出すきっかけとなったレディ・メアリーの存在、有機体由来でない化合物によって生み出されたモルヒネ・ヘロイン、抗菌薬の誕生、抗精神病薬、ピルとバイアグラの開発、スタチン、モノクローナル抗体と、昔からある医薬品を中心に、その起源や開発の経緯などを紹介しつつ、現在の製薬企業のありかたや医薬関連規制、それぞれの薬がもたらした影響などが解説されていて、これまで誰もやらなかったことに挑戦することや、その薬の功罪を冷静に見極めることの難しさを改めて痛感しました。
6.フードテック革命
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義
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田中宏隆/岡田亜希子 日経BP 2020年07月27日頃
2025年までに世界700兆円と言われる超巨大市場フードテック。植物性代替肉や培養肉、キッチンOSなど「食×テクノロジー」を起点にあらゆる業界を巻き込む状況を解説した一冊。地球の脊椎動物のほとんどが家畜でそこに多大な土地や水が費やされている状況や、人口がさらに増えてゆく中でどうべきか世界的に試行錯誤の動きがあって、日本でも味の素や不二製油といった企業、外食産業やスーパーの取り組みや将来への危機感が紹介されていましたが、日本人の性質的にこういったことにはどうしてもリアクションになりがちなのかなと感じました。
7.Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である
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クリスティーン・ポラス/夏目 大 東洋経済新報社 2019年06月28日頃
ビジネスでも人間関係でも最強の武器になる礼節の力を解説した一冊。不機嫌だったり独善的だったり横暴だったり、つまらない無礼な態度がストレスに繋がってパフォーマンスの低下を招き、人間関係を破壊し、優秀な人材を去らせる負のスパイラルに陥るという指摘はもっともで、礼節を重視した姿勢が職場の良好な人間関係がポジティブな仕事へと繋がるというのはそのとおりなんですよね。不要なコミュケーションのストレスを抱えたり、労力を割くのは本当に時間のムダで、これを読んでそういう部分を少しでも減らしていければとしみじみと思いました。
8.トリガー 人を動かす行動経済学26の切り口
言葉が難しく体系化されていない行動経済学をマーケティング領域で実践的に活用するための一冊。文中で出てくる理論はいずれもどこかで聞いたことがある内容で、目的別に分類して26の切り口で具体的な事例として紹介する形式。どういう切り口で紹介して知ってもらうべきか、それをどう購入に結びつけるのか、顧客の心理を分析しながらの施策は興味深く読みましたけど、そこから実践に移そうと思うとやはりそのまま使えるわけでもなくて、着想をどう落とし込むのか一工夫が必要ですね…でも読みやすくはあるので知っておいて損はないと思いました。
9.日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術
日経テクノロジー展望2020 世界を変える100の技術
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日経BP 日経BP 2019年10月19日頃
5G/人工知能/AI検査/AR・VR/人間拡張/量子コンピューター/フィンテック/自己治療材料/曲がるディスプレー/木造超高層/生分解性プラスチック/水素発電/アクティブ消音システム/再生医療/人工脾臓/細胞医薬など、今話題になっている最新技術を100紹介した一冊。中には一般人が使うレベルに実用化できるのかなと思う技術もありましたが、使う側の倫理観が問われるようなものは法整備も必要ですね。五輪に向けて東京が暑さ対策にいろいろ整備を進めていた点は、話が出た時にもう少し言及されても良かったのではと感じました。
10.圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100
圧倒的に自由で快適な未来が手に入る! 勝間式ネオ・ライフハック100
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勝間 和代 KADOKAWA 2020年07月29日頃
ストレスフリーを意識して豊かな人生へのシフト・最適化を目指す効率化のスペシャリスト勝間さんのライフハックアイデア本。やる気や頑張るではなくどうすればできるのか、イライラしないコツ、悪癖をやめられない理由、適当主義を目指す、iPhoneを止められない理由など、著者さんほど効率重視で割り切って生活できないので、読んで真似したいとか思うわけではないんですが、どうしてもこういうものだというのが自分の中で思うようになると考え方に柔軟性がなくなってくるので、こういう考え方もあるというのを知るのはいい刺激になりました。
11.問題発見力を鍛える (講談社現代新書)
もはや何が起こるかわからない今までの常識が通じない時代。これに立ち向かうためにが必要不可欠な自分の頭で考えて、問題・課題を発見する「問題発見力」を切り口に様々な思考法を解説した一冊。これまでの与えられた問題を解決する「問題解決力」から、何が問題なのか主体的に見つける「問題発見力」が求められるようになっていて、現状に疑問を持つこと、そこからさらに一歩進んで「こうなればもっとよくなるのに」という観点から考えることなど、受け身でなくポジティブに自分から関わってゆく意識はこれからもっと大事になっていきそうですね。
12.正義を振りかざす「極端な人」の正体 (光文社新書)
SNSでの誹謗中傷、不謹慎狩り、自粛警察、悪質クレーマー。正義を振りかざす「極端な人」はどのように生まれるのか、データ分析から考察した一冊。最近ネットでの強烈なバッシングから自殺者が出るようなことが続いていますが、炎上加担者は実際にはごく少数で、SNSの盛り上がりは世論を反映しないこと、炎上を煽っているのはマスメディアという指摘には頷けるものがありました。自分がそうならないために情報の偏りを知る、正義感に敏感になる、客観的に見る 情報から距離を取る、他者を尊重するといった部分は自分も意識していきたいです。
13.同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書)
長年、「世間」の問題と格闘をしてきた二人の著者が、自粛、自己責任、忖度などの背後に潜む日本社会の「闇」を明らかにする緊急対談。禁止でなく自粛に向かう日本独自の世間的な慣習に着目し、「世間=同調圧力」を生み出す日本独特のルールと西欧の社会を比較したり、日本独自の謝罪や身分を定義する人間関係だったり、比較の前提となる根拠に関してはわりとアバウトな印象はありましたけど、今の窮屈なこうあるべき論に支配される空気感に疑問を感じている人が、そのあたりを考えてみる際に参考として読んでみてもよい一冊なのかなと思いました。
14.民主主義とは何か (講談社現代新書)
ポピュリストや権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義の根幹を揺るがす状況の中、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを正しく知るための一冊。古代ギリシアのアテナイにおける民主主義の誕生から西欧における議会制、アメリカの独立、フランス革命、代議制民主主義や様々な形を取り上げた上で、日本の民主主義のことも取り上げていて、民主主義そのものの可能性を考えつつ理想と現実のバランスをどう取っていくのか、民主主義を実現し続けることの難しさと同時に、個々の参加や責任の意識の重要性を改めて感じました。
15.いまこそ「社会主義」 混迷する世界を読み解く補助線 (朝日新書)
いまこそ「社会主義」 混迷する世界を読み解く補助線
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池上彰/的場昭弘 朝日新聞出版 2020年12月11日頃
格差の極大化と中間層の貧困への転落は世界的にすすみ、行きづまった資本主義はどこへ向かうのか。いま「社会主義」がなぜ注目されるか。池上彰さんとマルクス研究の第一人者による社会主義論。コロナ禍で露呈した資本主義の限界。拡大成長が前提の資本主義では格差が生まれる中で、そもそも社会主義とは何かソ連や中国、東欧や中南米の事例をあたりながらの解説はなかなか興味深かったですけど、欧米各国などの現状も踏まえつつ、資本主義で足りていない部分を社会主義的要素で修正してゆく選択肢は、確かに一考に値するかもしれないと感じました。 以上です。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。
以上です。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。