今回は21年1月のGA文庫おすすめ本を紹介します。
1月は第12回GA文庫大賞金賞受賞作が2作品、銀賞作品が2作品刊行されていて、その中から金賞作品を2点、銀賞作品を1点読みました。シリーズ続巻1点を含めた4点が紹介する本になります。どれも読んでみたら思っていた以上に面白かったので、自信を持ってオススメできます。
「忘れえぬ魔女の物語」はGA文庫大賞《金賞》受賞作。誰とも共有できない同じ日を何度も繰り返す女子高生が、かけがえのない存在に出会って変わってゆく少しSFめいた物語です。
壊れたレコードみたいに何度も繰り返す日々を生きる女子高生・綾香。そんな彼女が次の日も友達でいてくれた未散と出会う、恋も友情も知らなかった二人の少しフシギな物語。事情を知る従姉の優花以外は誰にも理解されない綾香。繰り返される同じ日から無作為に選ばれる一日と、彼女だけが覚えているたくさんの思い出。けれど未散の存在は波紋を投げかけるように彼女に変化をもたらして、かけがえのない存在だからこそ簡単には諦めきれなくて、不器用でひたむきな想いで挑み続けた末に、見事乗り越えてみせた彼女たちの結末がとても印象的な物語でした。
「貴サークルは"救世主"に配置されました」もGA文庫大賞《金賞》受賞作。100部売れなきゃ世界が滅ぶ!?同人誌販売で世界を救う異色の青春ファンタジーですね。
小田一文/肋兵器 SBクリエイティブ 2021年01月15日頃
自分の同人誌で魔王の復活が防がれる。突如現れた女子高生ヒメにそう諭された大学生のナイトが、彼女の協力のもと新刊制作に取り組む青春ファンタジー。即売会で同人誌を百部完売しないと世界が滅ぶことを知り、どうにかそれを回避するためヒメと一緒に取り組む同人誌制作。直面する現実、解釈違いに書くスピード、宣伝不足など問題は山積でしたが、ぶつかり合いすれ違いながらも仲間と協力して、目標達成に奮闘する王道で分かりやすい熱い展開にはグッと来るものがありましたね。それにしても次の目標はなかなかハードルが高そうです・・・(苦笑)
「俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ」はGA文庫大賞<銀賞>受賞作品。幼馴染になりそこなった不器用なぼっち三人による、電脳アイドル推し青春小説です。
りんごかげき/DSマイル SBクリエイティブ 2021年01月15日頃
あぶれてあまりモノ扱いされ幼馴染になり損なったぼっち三人。そのうちの一人、星夜アゲハが電脳アイドル『∞ギンガちゃん』として活動を始め、アズマとロコが激推しフォロワーとして密かに応援する青春小説。いがみあいながらも、ギンガちゃんを応援する同志として絆を深めてゆくアズマとロコ、二人との交流がメインだったギンガちゃんがチャレンジするコラボ企画。フォロワーが増えればアンチもいて、楽しい事ばかりではないけれど、交流の積み重ねで育まれてゆく彼らの固い絆と、挫折を乗り越えて成長してゆく姿にはぐっと来るものがありました。
「転生魔王の大誤算2~有能魔王軍の世界征服最短ルート」はメンタルはヘタレな転生魔王と有能で愉快な部下たちが繰り広げるファンタジーコメディの第二弾です。
あわむら赤光/kakao SBクリエイティブ 2021年01月15日頃
ベクター王国を一瞬で攻め落とすと、統治体制を確立するため民心獲得政策を打ち出す魔王・ケンゴー。金と物をバラ撒き魔王の体面を保ちながら、ヘタレチキン魔王の政治《たたかい》が始まる第二弾。有能な臣下たちも協力的で一見順風満帆に見える状況下で暗躍する、魔族と人族の融和を望まぬ者達。むしろ媚びるくらいの勢いで統治を始めたのに、施策が空回りする展開でしたけど、窮地に陥った部下や民を見捨てないケンゴーの奮闘にみんなメロメロですね(苦笑)相変わらずテンション高いですが、1巻目よりこなれて面白くなってきたので続巻に期待。
以上です。気になる本があったらぜひ読んでみて下さい。