このラノ集計期間と同じ形で一般文庫レーベル/ライト文芸/文芸単行本を紹介しようという試み「オススメ!この文庫が読みたい2021」「オススメ!このライト文芸が読みたい2021」に続く第三弾、文芸単行本編です。
今回も自分が読んだ中からおススメの30作品を紹介したいと思います。なお対象期間は19年9月から20年8月に刊行されたものが対象です。「medium 霊媒探偵城塚翡翠」「わたしの美しい庭」あたりは昨年さんざん話題になったことを思うと今更感もありますが、全体のバランスを見てそのまま入れることにしました。
1.52ヘルツのクジラたち
ワケありで大分にあった祖母の家に引っ越してきた貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた二人が出会う新たな魂の物語。引っ越し後も周辺住民に馴染めずにいた貴瑚を助けてくれた少年の事情。貴瑚が小さい頃から置かれていた環境や、抜け出せた後に辿った人生もなかなか過酷でしたが、少年を何とか助けたいという思いだけではどうしようもなくて、そんな彼女たちを支えて力になってくれた一度は自ら手放した貴瑚の親友だったり、距離を感じていた周囲の人の優しさ、温かさがとても心に響く物語でした。
推理作家として難事件を解決してきた香月史郎が出会った、霊媒として死者の言葉を伝える城塚翡翠。そんな彼女の霊視と論理の力を組み合わせて殺人事件に立ち向かうミステリ。殺された香月の後輩、招待された別荘で殺された先輩作家、女子高生連続の犯人を警察に協力する二人が翡翠の霊視と香月の論理で何とか解決してゆく展開で、けれど最後の連続殺人犯との対峙は、これまで積み重ねて来たものの何が虚で実だったのか分からなくなる急展開に繋がって、その何とも鮮烈で皮肉に満ちていた決着をいろいろと想起させるエピローグが際立たせていました。
3.わたしの美しい庭
マンションの屋上庭園の奥にある「縁切り神社」。そこを訪れる生きづらさを抱えた人たちと、統理とふたり暮らしの小学生の百音、同じマンションに住む路有たちの物語。元妻の血の繋がらない娘・百音と同居する統理、ゲイの路有や同じマンションに住む桃子、仕事でうつになってしまった基らの視点から、その生きづらさが語られるエピソードで構成されていて、失ってしまった人やものへのままならなさを抱えながらも、それを簡単に忘れられるものでもないし、抱えながら生きてゆくしかないことを受け入れる彼らのありようがとても印象的な物語でした。
4.凪に溺れる
一人の天才音楽青年が作った「凪に溺れる」。その曲と運命的な出会いを果たし、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻いた6人の人生を描く連作短編集。出会った人の心を揺さぶらずにはいられない十太の音楽。霧野十太と水泳少女の出会い、燻る高校時代に出会った少女、大学時代のバンド仲間、夢を思い出したフリーライター、彼の父を巡る過去。第三者視点ゆえに音楽に邁進し続けた十太の複雑な想いは想像することしかできないですけど、それでも彼が生み出した音楽は生き続けて、受け継がれてゆくことを予感させる結末がとても印象的な物語でした。
5.昨日星を探した言い訳
全寮制中高一貫校・制道院学園に進学した坂口孝文。中等部2年進級の際、映画監督の清寺時生を養父にもつ茅森良子が転入してきて、坂口と運命の出会いを果たす青春小説。生徒会長を目指す真っ直ぐだけれど脇の甘い茅森を、影から支える坂口の密かな共犯関係。二人だけでたくさんの想いを語り合い、揺るぎない信頼と甘酸っぱい関係を積み上げてきたからこそ、思ってもみなかった急展開には驚かされましたけど、どこまでも頑固者で不器用で揺るぎない二人が、意外な転機と巡り合わせの末に迎えた結末には、苦笑いしつつもぐっと来るものがありました。
6.文身
好色で酒好きで暴力癖のある最後の文士と呼ばれた作家・須賀庸一。作品がすべて私小説だと宣言されていた彼の死後、娘に託された文章でその真相が明らかになってゆく物語。弟・堅次との関係、家を飛び出した経緯、作家となった兄弟が抱えた秘密、妻との出会いからの変化と、弟が書いたことを小説とするために実践する兄の変化、そして兄弟の相克に至るまで、作家であり続けるためにそこまでしなければならないのか、何が虚構で何が現実がなのか、複雑に絡み合う壮絶な展開でしたけど、その娘に届いた手紙の意味を思うとドキッとしてしまいました。
7.金木犀とメテオラ
母を亡くした東京生まれの秀才・佳乃と、家族に問題を抱える美少女・叶の邂逅。北海道に新設されたばかりの中高一貫の女子校を舞台に、やりきれない思春期の焦燥や少女たちの成長を描く青春小説。2歳の頃から英才教育を受けてきたピアノも苛烈な受験勉強も奪われて北海道にやってきた宮田佳乃と、母親に振り回される人生から脱却しようとあがく奥沢叶。何かと比較されてライバル視するようになってゆく二人が、残酷な現実を突きつけられて焦燥を募らせてゆく中、ライバルの意外な素顔を知ったことで垣間見える希望にはぐっと来るものがありました。
8.ピカソになれない私たち
7.法廷遊戯
法曹の道を目指してロースクールに通う、久我清義と織本美鈴。二人の過去を告発する差出人不明の手紙をきっかけに不穏な出来事が続き、意外な形で事件に巻き込まれてゆくリーガル・サスペンス。清義が相談を持ち掛けたのは、異端の天才ロースクール生・結城馨。思いもしなかった形で起訴された美鈴と、それを弁護することになった清義。人生を諦めたくなかった久我清義と織本美鈴の苦い過去と、明らかになってゆく意外な事件の真相、そして突きつけられる司法界の問題と、それぞれの良心が問われる中で導かれてゆく結末がとても印象的な物語でした。
10.クスノキの番人
不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯し逮捕された玲斗。送検・起訴を待つ状況を救ってくれた伯母・千舟から不思議なクスノキの番人を任された玲斗と、祈念に訪れる人々が織りなす物語。母の異母姉・千舟と出会ったことによる転機。詳細を知らされぬまま番人として過ごす日々と様々な出会いの中で、徐々に明らかになってゆく不思議なクスノキの秘密もなかなか興味深かったですが、依頼人や千舟とのやり取りの中で人として少しずつ成長していった玲斗が、向き合って導き出したひとつの想いはなかなか印象的でぐっと来るものがありました。
11.定価のない本
終戦から一年。復興を遂げつつあった神田神保町で、古書の山に圧し潰されて死んだ古書店主・芳松。事後処理を引き受けた琴岡庄治が芳松の不自然な死に気づき、そこから始まる古書店主たちの終わらない戦いを描いた物語。行方を眩ませる被害者の妻、注文帳に残された謎の名前、名もなき古書店主の死を巡る探偵行の先にあった暗躍するGHQの壮大な計画。登場した意外な人物もいい感じに効いていて、追い詰められながらも大切なもののために反撃の道を探り続けて、仲間の古書店主たちとともに戦ってみせた庄治たちの意地とその結末は圧巻でした。
12.スワン
巨大ショッピングモール「スワン」で起きた前代未聞のテロ事件。生き残った五人の関係者に招待状が届き、事件の中の一つの死の真相を明らかにするために集まるミステリ。自暴自棄なテロリストによる襲撃という極限状況において、それぞれがどんな行動を取ったのか。同じ被害者でも各々が置かれた立場は違って、思惑を秘めて参加したお茶会で暴かれる当日の行動。その場で最善を取るのは容易ではなくて、終わってからもどうすればという後悔は消えなくて、そんな中でどんなに追い詰められても大切なものを手放さなかったいずみの決意が印象的でした。
13.十字架のカルテ
親友を殺した犯人が精神鑑定で不起訴になった過去を抱える若き新人医師・弓削凛が、正確な鑑定のためにはあらゆる手を尽くす日本有数の精神鑑定医・影山司の助手に志願する物語。歌舞伎町無差別通り魔事件、生後五ヶ月の娘を抱いてマンションから飛び降りた母、姉を刺し逮捕された引きこもり、精神疾患は詐病とした傷害致死犯の思わぬ反撃、過去に犯した殺人事件を多重人格で不起訴となっていた犯人の真意。容疑者たちの真意を些細な手がかりから見抜いていく展開はなかなか面白かったですが、過去の因縁を絡めた最後の事件は業が深かったですね…。
14.虎を追う
30年前に起きた連続幼女殺人事件。刑事を引退した後もこの事件には真犯人がいるのではとずっと感じていた星野誠司が、孫である大学生の旭とその友人・哲に協力を仰いで事件を再び追う物語。孫たちの協力も得てSNSや動画投稿サイトも駆使し冤罪事件の真相解明を目指す星野班。そしてそんな彼らの活動に反応する真犯人「虎」。遺族など関係者への配慮や世論を巻き込んで事態を動かしていく手法の是非は難しいものがありますが、それでも緊張感のある展開はなかなか読ませるものがあって、物語を締めくくるエピローグにまたゾッとさせられました。
15.虜囚の犬
過去の苦い事件から家裁調査官を辞め、妹の専業主夫代わりの日々を送る白石洛。友人の刑事・和井田からかつて担当した少年・薩摩治郎が死体となって発見されたことを知らされるサスペンスミステリ。治郎の自宅を訪れて判明する監禁虐待されていた女性たち。なぜ治郎は監禁したのか、史上最悪の監禁犯を殺したのは誰なのか。強権的な父や無力な母、家政婦や庭師、精神医を通じて明らかになる凄惨な背景。中学生二人の動向も絡めて組み上げられる構図に覚えた違和感の正体は見事打破されましたけど、根深く逃げられないその連鎖には戦慄を覚えました。
16.どうぞ愛をお叫びください
引っ込み思案で帰宅部の松尾が幼馴染の織田に「ユーチューバーやろうぜ」と誘われ、戸惑いつつも織田と同じバスケ部の面白担当・坂上、軽音部で一つ年上の個性派イケメン・夏目も誘ってゲーム実況に挑戦する青春小説。普段なら接点のないタイプの仲間たちと、気軽に始めたゲーム実況動画配信の思っていた以上に大変な現実。人気が出てきたからこその楽しいだけではない葛藤もあって、窮地にもきちんと向き合える彼らの育んできた友情があって、それを乗り越えてずっと見守っていくれていた大切なものを取り戻す結末にはぐっと来るものがありました。
17.愛されなくても別に
学費と家に月八万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩。浪費家の母を抱え友達もおらず、ただひたすら精神をすり減らす彼女が、傍若無人な同級生・江永雅と運命の出会いを果たす青春小説。自分は母親に愛されていると思っていた陽彩が、訳ありの江永雅と出会ったことでようやく気づいた衝撃の真実。それが当たり前だと思わされ、がんじがらめに囚われていた登場人物たちが抱えるしんどさはあまりに重く心揺さぶられましたが、だからこそその呪縛を断ち切り、未来に希望を見出そうとする彼女たちの決意を応援したくなる物語でした。
18.全部ゆるせたらいいのに
生まれたばかりの娘・恵と一日中向き合い、仕事の苦しみから酒に逃げる夫に苦悩する千映。安心が欲しいだけなのに、あきらめて生きる癖がついた、明日何が起きるか予測がつかない日常とその過去を描く物語。言葉が通じない小さな子供と一日中向き合うだけでも大変なのに、酒に溺れたびたび何かやらかすようになった夫に振り回される日々も突き刺さりましたが、それ以上にアルコール依存症だった父と家族の歪んだ関係、それでも希望を見出したくなる気持ちが切なくて、上手くいくようになるといいなと思わずにはいられない結末がとても印象的でした。
19.銀色の国
自殺対策NPO法人の代表として日々奔走する晃佑のもとに届いた友人の自殺という悲報。元相談者の友人が今になって死を選んだ原因を調べるうちに、恐ろしい計画の一端に辿り着くミステリ。逃げたい衝動を抱える詩織が陥った罠、自傷行為を繰り返す浪人生のくるみ、そして自殺者の原因を探るうちに明らかになるVR「銀色の国」の存在。死を願う人々に忍び寄る常軌を逸した悪意と、影響されてありようを変えてしまった人々がいて、それを細い繋がりから活路を見出し、向き合い続けた晃佑の熱い想いが引き寄せた結末にはぐっと来るものがありました。
20.Iの悲劇
六年前に滅びた簑石に人を呼び戻すIターン支援プロジェクトが実施され、南はかま市甦り課の三人が奔走する現実と真実の物語。最初に入居した二組の夫婦のいがみ合い、水田養鯉を志した入居者の誤算、行方不明になった子ども、秋祭りで起きた食中毒、なくなった仏像といった問題に、やる気の見えない課長・西野の下で、実務を担う万願寺や新人の観山が奔走する展開でしたけど、やけに西野が要所をしっかり押さえていると思ったら真相はそういうことでしたか。言われてみれば納得ですけど、苦心してきた立場からすればそれはないよって話ですよね。
21.あの日の交換日記
先生の提案から始まった交換日記。様々な立場の二人による7編の交換日記が紡ぐ連作短編集。白血病で入院する生徒と先生、教師と殺人予告をする生徒、双子姉妹のやりとり、母に息子が書いた交換日記の真相、交通事故の加害者と被害者のやりとり、上司と部下による手書きの業務日誌を通じた交流、先生が縁で出会った夫妻と、ひとつひとつのエピソードが積み重ねてゆく中で、徐々に明らかになってゆく登場人物たちの意外な繋がりとその後にも驚かされましたが、交換日記の広がりを通じて紡がれていった優しさに満ちた関係がとても印象的な物語でした。
22.さよならが言えるその日まで
教え子を誘拐したとされる父が事故死しひっくり返った日常。誰も何もわかってない親族や警察、マスコミに憤る遺された女子高生の娘・イオが父の名誉にかけて事件の真相を追う物語。車に残されていた行方不明だった謙介の教え子・ロクの痕跡。親戚のヒデローと調査を始めたイオが直面した意外な事実、ロクを匿った引きこもりのミキヤス、明らかになってゆくロクと父親・ツギオの関係や当時の状況。大人たちに時には振り回され助けられながら、それぞれが向き合って過去を乗り越え、新たな一歩を踏み出すエピローグにはぐっと来るものがありました。
23.タイタン
至高のAI『タイタン』のサポートで、人類は仕事から解放され自由を謳歌する未来。心理学を趣味とする内匠成果を世界でほんの一握りの就労者ナレインが訪れ、彼女に仕事を依頼する近未来SF。成果に託される突如として機能不全に陥ったタイタンAIのカウンセリング。仕事という概念がない世界で考察する働くことの意味、仕事しかしたことがないコイオスと共に旅する中で目にする様々なこと、そんな中でコイオスの成長や彼女自身の心境の変化もあって、未来に生きるとはどういうことか、いろいろと可能性を垣間見せてくれる物語は面白かったです。
24.ベーシックインカム
AI、遺伝子操作、VR、人間強化、ベーシックインカム。未来で技術・制度が実現したとき何が起こるのか、そのひとつの可能性を描いた近未来SFミステリ短編集。日本語を学ぶために幼稚園で働くエレナが気になった言葉、豪雪地帯に残された家族と父親の奇妙な遺体、VR映画を観た妻が突然失踪した理由、視覚障害の娘が人工視覚手術で知る真実、ベーシックインカムを肯定する教授の預金通帳が盗まれた理由。確かにこれはそんな未来が実現したからこそ起きた事件で、けれどその鍵を握るのが人の複雑で繊細な心理だったりするのが面白かったですね。
25.できない男
地方広告制作会社のデザイナー芳野荘介28歳。年齢=恋人いない歴で仕事も中途半端な自分に行き詰まる「できない男」が、憧れの超一流クリエイターのブランディングチームに地元デザイナー枠として突然放り込まれ、少しずつ変わってゆく青春小説。初っ端からやる気を見せてみても簡単には変わらない現実を突き付けられるキツイ展開から、覚悟出来ない男・河合や様々な人たちと出会い、感化されながら成長してゆく姿やそれぞれの選択は印象的でしたが、最後のあれは痛快だけれど、もう地元に帰れなくなるのでは…とちょっと心配になりました(苦笑)
26.目を見て話せない
入学早々友達づくりに乗り遅れて愕然とする房総大学の新入生・藤村京。教室に残された高級な傘に気づき持ち主を推理するコミュ障探偵ミステリ。傘を忘れた人は誰か、服屋で消えた同級生の謎、カラオケで酒を飲ませた犯人、祭りの中での盗難事件、元喫煙室で起きた冤罪事件の真相。いろいろ考え過ぎて話せなくなる/動けなくなる藤村だからこそ、その推理力には眼を見張るものがあって、少しずつ増えてゆくかけがえのない友人たちを助けるため、遭遇した謎を推理してゆく彼のありようはとても好ましかったです。
27.あめつちのうた
運動が苦手で家族に抱える鬱屈から逃げ出したい思いもあって、甲子園球場の整備を請け負う阪神園芸へと入社した雨宮大地。そんな彼が仕事や人々の出会いから変わってゆくスポーツ裏方小説。仕事もなかなか覚えられない大地に突っかかってくる、ケガでプロへの道を断念した同僚の長谷。それに同性愛者であることを周囲に隠す親友・一志や、重い病気を乗り越えて歌手を目指すビールの売り子・真夏と、同じく「選べなかった」運命に思い悩む仲間たちの葛藤を知り、自らも仕事や家族とも向き合いながらともに成長してゆく展開はなかなか良かったですね。
28.ミライヲウム
付き合っていた女性に触れた瞬間に未来が見えてしまう体質と苦い過去から、恋愛と無縁の大学生活を貫いていた凜太郎。そんな彼が同級生・立花に突然告白され、キスした瞬間にとんでもない未来が見えてしまう青春小説。見えてしまった未来を回避するには彼女の想いにどう応えるべきか。なかなか素直になれない立花の想いは真摯で、そんな彼女に惹かれてゆく自覚があるからこその葛藤があって、両親の過去もまた印象的なエピソードでしたが、不器用でもどかしい二人が向き合って乗り越えた未来と、その先にあった結末にはぐっと来るものがありました。
29.晴れ、時々くらげを呼ぶ
父親を病気で亡くし、ワーカホリック気味な母と二人で暮らしの高校生の越前亨。図書委員になった亨が、毎日屋上でくらげ乞いをする後輩・小崎優子と出会う青春小説。理不尽に対抗するためにくらげを降らせようとする小崎の相手をしながら、日常を適当にこなす亨。本が好きな図書委員たちの読書あるあるがあって、同じ場所にいるのに温度差を感じてしまう亨がいて、けれどバス停で見かけた小崎をきっかけに、バラバラだったそれぞれの想いが繋がる展開は優しくて、ずっと忘れていた大切なものを思い出してゆく、とても素敵な結末だったと思いました。
30.プルースト効果の実験と結果